JP2005106574A - 振動式測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明はマグネットとコイルとの相対的な位置ずれにより検出感度が低下することを課題とする。
【解決手段】 質量流量計10は、密閉された収納ケース12の内部に挿入された1本のセンサチューブ14と、センサチューブ14の長手方向の中間部分を加振する加振器16と、振動するセンサチューブ14の流入側の変位を検出する流入側ピックアップ18と、振動するセンサチューブ14の流出側の変位を検出する流出側ピックアップ20とを有する。駆動用マグネット16a,16b及び検出用マグネット18a,18b,20a,20bは、夫々センサチューブ14の外周に形成された取付面14a〜14fに固着されている。従って、各マグネットからの磁束が各コイルの軸心を通るように位置合わせすることが可能になり、その結果、計測時の検出感度がより高められると共に、効率良く加振力を付与することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は振動式測定装置に係り、特にセンサチューブを加振してコリオリ力によるセンサチューブの変位を検出して流量または密度を計測するよう構成した振動式測定装置に関する。
流体が供給された管路を振動させて流体の物理量を測定する振動式測定装置として、例えばコリオリ式質量流量計又は振動式密度計がある。以下、コリオリ式質量流量計について説明する。
このコリオリ式質量流量計では、被測流体が通過するセンサチューブを加振器により半径方向に振動させ、流量に比例したコリオリ力によるセンサチューブの変位をピックアップにより検出するよう構成されている。また、振動式密度計も上記コリオリ式質量流量計と同様な構成になっており、センサチューブが被測流体の密度に応じた周波数で振動する。
従来の振動式測定装置としては、例えば、コリオリ式質量流量計の場合、一対のセンサチューブに流体を流し、加振器(駆動コイル)の駆動力により一対のセンサチューブを互いに近接、離間する方向に振動させる構成とされている(例えば、特許文献1参照)。
また、加振器及びピックアップは、マグネットとコイルとから構成されており、加振器の駆動コイルに駆動パルスまたは正負のある交番電圧(交流信号)が入力されると、センサチューブに取り付けられた駆動用マグネットに対して吸引力または反発力を作用させてセンサチューブを振動させ、振動するセンサチューブに取り付けられた検出用マグネットの変位をピックアップのセンサコイル(検出部)から出力される検出信号により検出するようになっている。
そして、コリオリの力は、センサチューブの振動方向に働き、かつ入口側と出口側とで逆向きであるのでセンサチューブに捩れが生じ、この捩れ角が質量流量に比例する。従って、一対のセンサチューブの入口側及び出口側夫々の捩れる位置に振動を検出するピックアップ(振動センサ)を設け、両センサの出力検出信号の時間差を計測して上記センサチューブの捩れ、つまり質量流量を計測している。
ところが、例えば自動車の燃料として使用されるCNG(Compressed Natural Gas)等の高圧に加圧された圧縮性天然ガスを給送するガス供給系路に上記質量流量計を設けて流量計測を行う場合、センサチューブの耐圧強度を高める必要がある。
しかしながら、センサチューブの肉厚を厚くすると、センサチューブを振動させる加振器の駆動力を大きくしなければならず、且つセンサチューブの剛性が高くなった分、計測時の共振振幅が小さくなって外乱の影響を受けやすくなったり、流量計測時、流入側及び流出側の振動センサの位相差(ねじれ角)が小さくなったりして、計測精度が低下するといった課題が生じる。
そこで、従来の振動式測定装置では、センサチューブの圧力供給孔から収納ケース内に被測流体を供給することにより、センサチューブの内部と外部との圧力をバランスさせて、センサチューブの耐圧強度を高めなくても高圧流体を計測することができるようにしている。(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−331406号公報
また、従来の振動式測定装置では、上記のように収納ケースの内部に被測流体を充填させて高圧流体を計測する場合、加振器及びピックアップが収納ケースの内部に収納されているため、被測流体が燃料等の可燃性流体である場合には、加振器の駆動コイル及びピックアップのセンサコイルを被測流体に接触しないように防爆ケースなどで覆う必要があり、電気信号によるスパークが生じない構成とする必要があった。
さらに、被測流体によっては、加振器のマグネットやコイルの材質や絶縁被覆に影響を与える場合や、電気配線を内部まで通過させるために収納ケースに貫通端子を設けたりする必要があった。
このような問題を解消するため、電気信号が入出力される加振器の駆動コイルやピックアップのセンサコイルを収納ケースの外部に設けることが検討されている。
しかも、センサチューブに取り付けられるマグネットには、希土類の材料が使われる場合が多いが、希土類の金属は、水素と化合しやすく、水素雰囲気中では、磁力の低下や破壊される場合があり、被測流体に接触する場所での使用が難しかった。
そのため、燃料電池車の燃料タンクに高圧水素を充填する充填装置の燃料供給経路に質量流量計を設ける場合、センサチューブの耐圧強度を小さくして計測精度を高めるため、センサチューブを収納する収納ケース内にも被測流体が充填させる構成が採用されると、センサチューブに取り付けられたマグネットが水素に接触してしまいマグネットの磁力の低下や破壊を招くおそれがあったので、水素が浸透しにくい材質(例えば、ステンレス材)でマグネットを覆う必要があった。
さらに、センサチューブの計測感度を上げるため、被測流体の圧力脈動に耐えうる限界まで薄肉化している。そのため、薄肉化されたセンサチューブにかかる荷重を軽減するため、センサチューブの外周に直接固定されるマグネットの小型化及び軽量化を行う必要があった。
このように、従来のものは、加振器の駆動コイルやピックアップのセンサコイルを収納ケースの外部に設け、且つ小型化されたマグネットの周囲を水素が浸透しにくい材質で覆うように構成した場合には、各コイルとマグネットとの距離が離れると共に、マグネットからの磁力が弱まり、コイルでの検出感度が低下するという問題があった。
さらに、従来は、断面形状が円形のセンサチューブにマグネットを固定する際にマグネットが周方向にずれやすく、マグネットの軸心を各コイルの軸心と一致するように固定することが難しいため、検出感度が低下するという問題があった。
また、加振器の駆動コイルと駆動マグネットとの間では、上記理由による磁力低下によって駆動力不足が生じると、センサチューブの加振力が十分に得られないという問題もある。
そこで、本発明は上記問題を解決した振動式測定装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、本体と、被測流体が流れるセンサチューブと、前記センサチューブに取り付けられた駆動用磁石と、前記本体側に設けられ、前記駆動用磁石を振動方向に駆動する駆動コイルとからなる加振器と、前記センサチューブに取り付けられた検出用磁石と、前記本体側に設けられ、前記検出用磁石の変位を検出する検出部とからなるピックアップと、を有する振動式測定装置において、前記センサチューブの外周のうち少なくとも前記駆動用磁石及び前記検出用磁石の何れか一方の取付位置に平面状の取付面を形成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記取付面は、前記センサチューブの長手方向上、前記駆動コイル、前記検出部の取付位置と一致する位置に形成されたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記センサチューブの同一長さ位置に前記取付面を2方向から形成し、一対の取付面が平行となるように形成したことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記取付面の両側から断面形状がコ字状に形成された磁石取付台を設け、前記一対の磁石取付台の平面部に前記駆動用磁石、前記検出用磁石を固定したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記本体を内部に密閉された空間が形成された収納ケースとし、前記収納ケース内に前記センサチューブを設け、前記収納ケースの外壁に前記駆動コイルを設け、前記収納ケースの外壁に前記検出部を設けたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、センサチューブの外周に形成された取付面に駆動用磁石及び検出用磁石を取り付けることにより、磁石と各コイルとの位置合わせが容易に行えるので、マグネットの軸心と各コイルの軸心とを一致させて検出感度をより高めることが可能になる。
請求項2記載の発明によれば、取付面を駆動コイル、検出部の取付位置と一致する位置に設けるため、検出感度をより高めることが可能になると共に、加振力を確保することができる。
請求項3記載の発明によれば、センサチューブの外周の同一長さ位置に2方向から取付面を形成することにより、検出感度をより高めることが可能になると共に、加振力を確保することができる。
請求項4記載の発明によれば、磁石取付台を取付面の両側から嵌合させて磁石取付台の平面部に各磁石を固定することにより、各磁石の取付精度を高め、ひいては検出感度をより高めることが可能になると共に、加振力を確保することができる。
請求項5記載の発明によれば、磁石の取付高さ(センサチューブの中心からの外径)が低くなり、その分、収納ケースの外径を小さくして磁石と各コイルとの距離を小さくできるので、この点からも検出感度をより高めることが可能になる。また、加振器の駆動コイルと駆動磁石との間では、磁力が確保されてセンサチューブを十分に加振することが可能になり、駆動力不足を解消することができる。
以下、図面と共に本発明の一実施例について説明する。
図1は本発明になる振動式測定装置の一実施例としてのコリオリ式質量流量計の横断面図である。図2は図1中A−A線に沿う縦断面図である。図3は図1中B−B線に沿う縦断面図である。
尚、振動式測定装置は、被測流体の密度、及び密度を利用して質量流量を求めることができるため、振動式密度計及びコリオリ式質量流量計として用いられる。振動式密度計とコリオリ式質量流量計とは、同様な構成であるので、本実施例では質量流量計として用いた場合について詳細に説明する。
図1乃至図3に示されるように、質量流量計10は、密閉された収納ケース12(本体)の内部に挿入された1本のセンサチューブ14と、センサチューブ14の長手方向の中間部分を加振する加振器16と、振動するセンサチューブ14の流入側の変位を検出する流入側ピックアップ18と、振動するセンサチューブ14の流出側の変位を検出する流出側ピックアップ20とを有する。また、収納ケース12は、例えば、オーステナイト系からなる非磁性のステンレス材(SUS316L)により形成されている。
加振器16、流入側ピックアップ18、流出側ピックアップ20は、センサチューブ14の軸線に対して対称に配置され、且つ加振器16を中心に流入側ピックアップ18と流出側ピックアップ20とが対称に設けられている。
収納ケース12は、円筒状に形成されており、両端開口が円盤状に形成されたフランジ22,24によって閉塞されている。尚、フランジ22,24は、収納ケース12の端部に溶接等によって一体的に固着される。
また、収納ケース12は、被測流体がCNGのような高圧流体が内部空間26に充填されても圧力に耐えられるように耐圧強度が確保されている。
センサチューブ14は、直管状に形成された金属パイプからなり、一端14aが流入側のフランジ22を貫通する取付孔22aに挿入された状態で固着され、他端14bが流出側のフランジ24を貫通する取付孔24aに遊嵌状態で挿入される。また、センサチューブ14の一端14aの外周には、円盤状の流入側支持板28が嵌合固定され、流入側支持板28の外周が収納ケース12の一端に形成された環状の凹部12aに嵌合固定される。
また、センサチューブ14の他端14bの外周には、円盤状の流出側支持板30が嵌合固定され、流出側支持板30の外周が収納ケース12の他端に形成された環状の凹部12bに嵌合固定される。さらに、取付孔24aの内周には、鉤型の溝24bが形成されている。
そして、流出側支持板30は、鉤型の溝24bに挿入される突起32が設けられ、且つ突起32に連続するように収納ケース12の内周よりも内側に形成された凹部30aが設けられている。そのため、センサチューブ14の他端14bは、上記溝24bと突起32、及び凹部30aと収納ケース12の内壁との間に形成された通路34を介して内部空間26に連通される。
よって、センサチューブ14に流入された被測流体は、他端14bから通路34を通過して内部空間26に供給される。これにより、センサチューブ14の内部圧力と内部空間26の圧力が平衡になり、センサチューブ14の内部と外部との圧力差が小さくなる。
これにより、センサチューブ14の肉厚を被測流体の圧力に応じた厚さにする必要がなくなり、例えば、CNGのように20MPa以上の高圧で供給されるガスを計測する場合でもセンサチューブ14の肉厚を厚くして耐圧強度を高める必要が無く、加振器15の駆動力を増大させる必要もない。
センサチューブ14の中間部分の外周には、加振器16の駆動用マグネット16a,16bが180度の間隔で取り付けられている。また、センサチューブ14の加振器16より流入側の外周には、流入側ピックアップ18の検出用マグネット18a,18bが180度の間隔で取り付けられている。また、センサチューブ14の加振器16より流出側の外周には、流出側ピックアップ20の検出用マグネット20a,20bが180度の間隔で取り付けられている。
駆動用マグネット16a,16b及び検出用マグネット18a,18b,20a,20bは、夫々センサチューブ14の外周に形成された取付面14a〜14fに固着されている。この取付面14a〜14fは、直方体形状の各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bを安定した状態で取り付けられるように、センサチューブ14の外周をプレス加工することにより形成された平面である。そのため、各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bを取り付ける際の位置合わせが容易に行えると共に、マグネット取付精度を高めることが可能になる。
さらに、収納ケース12の外周には、マグネット16a,16bに対向する駆動コイル16c,16dと、マグネット18a,18bに対向するセンサコイル18c,18dと、マグネット20a,20bに対向するセンサコイル20c,20dとが取り付けられている。このように、質量流量計10では、駆動コイル16c,16d及びセンサコイル18c,18d,20c,20dが収納ケース12の外周に設けられているので、例えば、収納ケース12の内部にCNGのような可燃性ガスが充填されても電気系統からのスパークが引火する可能性が無いので、安全性が確保されている。
また、収納ケース12の外周には、マグネット16a,16bに対向する駆動コイル16c,16dと、マグネット18a,18bに対向するセンサコイル18c,18dと、マグネット20a,20bに対向するセンサコイル20c,20dとが取り付けられ取付面12a〜12fが設けられている。そして、センサチューブ14は、取付面14a〜14fが収納ケース12の取付面12a〜12fと平行且つ対向するように位置調整される。
図2及び図3に示されるように、センサチューブ14の取付面14a〜14fは、駆動コイル16c,16d、センサコイル18c,18d,20c,20dの取付面12a〜12fと対向するように、長手方向上一致する位置に設けられている。そのため、各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bは、取付面14a〜14fの両側から嵌合固定された一対の取付台35の平面35a,35bに当接した状態で接着等の締結手段により保持されている。
また、取付台35は、センサチューブ14の負担を軽減するため、樹脂材により成形されている。そして、取付台35は、センサチューブ14の取付面14a〜14fを側方から把持するようにコ字状に形成されており、取付面14a〜14fに対してがたつきのない安定状態に固着される。従って、取付面14a〜14fと平行に形成された取付台35の平面35aに固着された各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bは、各コイル16c,16d,18c,18d,20c,20dと同軸上に位置するように取り付けられる。
よって、各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bからの磁束が各コイル16c,16d,18c,18d,20c,20dの軸心を通るように位置合わせすることが可能になり、その結果、計測時の検出感度がより高められると共に、効率良く加振力を付与することが可能になる。
さらに、駆動コイル16c,16dの中心には、例えば、フェライト系の磁性材からなる鉄心16e,16fが挿入されている。そのため、駆動コイル16c,16dが収納ケース12の外周に設けられていても駆動コイル16c,16dにより生じた磁束は、収納ケース12を貫通してマグネット16a,16bに到達する。これにより、駆動コイル16c,16dは、収納ケース12の外周からマグネット16a,16bを振動方向(Y方向)に加振することができる。
加振器16は、上記マグネット16a,16bと、駆動コイル16c,16dとから構成されており、駆動コイル16c,16dに交互に正負のある交番電圧(交流信号)が印加されて生じる磁界に対してマグネット16a,16bが吸引または反発することで、センサチューブ14の中間部分を横方向(Y方向)に振動させる。
流入側ピックアップ18は、上記マグネット18a,18bと、センサコイル(検出部)18c,18dとから構成されており、マグネット18a,18bがセンサチューブ14と共に横方向(Y方向)に振動するのに伴ってセンサコイル18c,18dに対して近接・離間するため、センサコイル18c,18dからマグネット18a,18bの変位量(変位速度)に応じた検出信号を出力する。
流出側ピックアップ20は、上記マグネット20a,20bと、センサコイル(検出部)20c,20dとから構成されており、マグネット20a,20bがセンサチューブ14と共に横方向(Y方向)に振動するのに伴ってセンサコイル20c,20dに対して近接・離間するため、センサコイル20c,20dからマグネット20a,20bの変位量(変位速度)に応じた検出信号を出力する。さらに、センサコイル20c,20dの中心には、例えば、フェライト系の磁性材からなる鉄心20e,20fが挿入されている。
質量流量計10では、上記のように収納ケース12の内部空間26に被測流体が充填されてセンサチューブ14の内部と外部との圧力差が小さくなるので、センサチューブ14の肉厚を小さくすることで、加振器16の駆動力を小さくすることが可能になり、加振器16の駆動コイル16c,16dに流れる電流値を小さくして消費電力を節約することができる。
しかも、センサチューブ14は、肉薄形状の金属パイプからなるため、コリオリ力によるセンサチューブ14の変形・変位が大きくなり、ピックアップ16より大きな出力が得られ、SN比を改善することができると共に、計測精度が向上する。
収納ケース12の外周に設けられた加振器16の駆動コイル16c,16d及びピックアップ18,20のセンサコイル18c,18d,20c,20dは、ケーブル36a〜36fを介して流量計測制御回路38と接続されている。駆動コイル16c,16d及びセンサコイル18c,18d,20c,20d及びケーブル36a〜36fは、収納ケース12の内部に挿入されないため、安全性が高まる。
流量計測制御回路38は、本質安全防爆バリア回路、励振・時間差検出回路、ヤング率・V/F変換回路、出力回路、電源回路、減衰率検出回路、判別回路、制御回路(夫々図示せず)等を有する。
流量計測時、上記構成になる質量流量計10において、流量計測制御回路38によって加振器16が駆動され、センサチューブ14の振動特性(固有振動数)に応じた周期、振幅でセンサチューブ14の中間部分を横方向(Y方向)に加振させる。
このように、振動するセンサチューブ14に流体が流れると、その流量に応じた大きさのコリオリ力が発生する。そのため、直管状のセンサチューブ14の流入側と流出側で動作遅れが生じ、これにより流入側ピックアップ18と流出側ピックアップ20との出力信号に位相差が生じる。
流量計測制御回路38は、上記流入側の出力信号と流出側の出力信号との位相差が流量に比例するため、当該位相差に基づいて流量を演算する。よって、センサチューブ14の変位が流入側ピックアップ18及び流出側ピックアップ20により検出されると、上記センサチューブ14の振動に伴う上記位相差が流量計測制御回路38により質量流量に変換される。
ここで、上記センサチューブ14を加振器15により振動させて被測流体の流量を計測する場合の原理について説明する。
図4は加振器15がセンサチューブ14を振動させる状態を模式的に示す図である。図5は振動するセンサチューブ14に作用するコリオリ力を模式的に示す図である。
図4に示されるように、流量計測時は、加振器16の駆動コイル16c,16dに対して上記流量計測制御回路38の励振回路から正負のある交番電圧(交流信号)が交互に出力されることで、センサチューブ14の中間部分が共振状態で振動する。
すなわち、加振器16は、一方の駆動コイル16cがマグネット16aに対して反発力を付与すると共に、他方の駆動コイル16dがマグネット16bに対して吸引力を付与する。これにより、加振器16は、センサチューブ14の中間部分をY方向に押圧する加振力Faを発生させる。これにより、センサチューブ14は、両端14a,14bを節として中間部分が一点鎖線で示すように円弧状に撓む。
また、加振器16は、一方の駆動コイル16cがマグネット16aに対して吸引力を付与すると共に、他方の駆動コイル16dがマグネット16bに対して反発力を付与する。これにより、センサチューブ14は、両端14a,14bを節として中間部分が破線で示すように円弧状に撓む。
このように、駆動コイル16c,16dに交互に正逆の電圧を印加することで、センサチューブ14は、一定の周期、振幅で振動する。そして、振動しているセンサチューブ14内を被測流体が流れるときにコリオリの力が生じる。
また、駆動コイル16c,16dに180度に位相差を持ったオン・オフのパルス信号を与えた場合は、オフ時には吸引力もしくは反発力が発生しないが、センサチューブ14の振動の慣性により全く同じ動きをする。
図5に示されるように、センサチューブ14の流入側と流出側とでは、逆方向のコリオリ力+F,−Fが作用する。これにより、センサチューブ14は、流入側と流出側とで振動に位相差が生じる。
すなわち、センサチューブ14の中間部分が図4中一点鎖線で示すように駆動されるとき、図5中一点鎖線で示すようにセンサチューブ14の流入側にコリオリ力+Fが作用し、センサチューブ14の流出側にコリオリ力−Fが作用する。また、センサチューブ14が図4中破線で示すように駆動されるとき、図5中破線で示すようにセンサチューブ14の流入側にコリオリ力−Fが作用し、センサチューブ14の流出側にコリオリ力+Fが作用する。
このセンサチューブ14の変位は、ピックアップ18,20のセンサコイル18c,18d,20c,20dにより検出され、流量計測制御回路38において、加振器15に入力された入力信号との時間差Δtの信号に変換され、さらに流量パルスに変換される。
即ち、流量計測制御回路38は、次式の演算を行って質量流量Qmを算出する。
Qm=A・Δt…(1)
但し、Aは質量流量計固有の定数である。
尚、上記実施例では、1本のセンサチューブ14が収納ケース12の内部に挿通される構成を一例として挙げたが、これに限らず、例えば、2本のセンサチューブを平行に配置して2本のセンサチューブの相対変位を検出するようにして良いのは勿論である。
ここで、上記マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bの構成について説明する。尚、マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bは、夫々同一構成であるので、以下マグネット16aの構成について説明し、それ以外のマグネットの説明は省略する。
図6はマグネット16aの構成を示す図であり、(A)は横断面図、(B)は縦断面図である。
図6(A)(B)に示されるように、マグネット16aは、磁性材からなる直方体形状とされた永久磁石70と、永久磁石70の全表面を覆うように直方体形状とされたカバー部材72とから構成されている。永久磁石70は、カバー部材72の密閉された空間72aに収納されており、外部と遮断されている。
マグネット16aは、上面と下面との間で磁力線が形成されており、例えば、上面側がN極とすると、下面側がS極となるように着磁されている。また、マグネット16aは、磁力線が増大するようにセンサチューブ14の長手方向に沿うように長方形に形成されている。
カバー部材72は、例えば、非磁性体のステンレス鋼などの高圧水素が金属分子間に浸透することを防止することのできるような強固なもので、且つ、水素脆性に強い材質で形成されている。
そのような材質としては、オーステナイト系ステンレス鋼が条件に適しており、その中でもモリブデンが組成に含まれているものが好適である。さらに、低炭素鋼(化学成分として、炭素が0.04%以下)であれば、なお好適である。また、ステンレス鋼以外では、ガラス等も考えられる。
また、カバー部材72の製造方法としては、金属板をプレス加工して永久磁石70の外周を覆うような形状に加工し、継目を溶接などで接合させるような金属加工技術により形成する方法を採用しても良い。あるいは、めっきなどにより永久磁石70の表面に直接金属膜を被覆形成する方法も考えられる。
永久磁石70は、例えば、希土類の金属により形成されている場合、水素と化合しやすく、水素雰囲気中においては、磁力の低下や破壊される場合がある。しかしながら、永久磁石70の全表面をカバー部材72で覆うことにより、永久磁石70が被測流体である高圧水素に接触することが防止され、磁力の低下や破壊されることがない。
そのため、質量流量計10では、センサチューブ14の耐圧強度を小さくして計測精度を高めるため、センサチューブ14を収納する収納ケース12内にも被測流体(水素)が充填させる構成が採用されても、センサチューブ14に取り付けられた永久磁石70が水素に接触することが防止され、燃料電池車の燃料タンクに高圧水素を充填する充填装置の燃料供給経路で水素充填量を計測することが可能になる。
図7はセンサチューブ14を2方向からプレス加工する前の状態を示す工程図である。図8はセンサチューブ14を2方向からプレス加工した状態を示す工程図である。
図7に示されるように、内部に流路を有するセンサチューブ14は、外周にも被測流体の圧力がかるため、供給圧力に耐えるように肉厚は必要なく、被測流体の圧力脈動により生じる内外圧力差に耐えうる所定の肉厚を有し、円形断面とされたパイプ材74を2方向からプレス加工される。例えば、固定台76の上面76aにパイプ材74を載置し、上方からプレス部材76の下面76aをパイプ材74の外周に当接させる。
固定台76及びプレス部材76は、取付面14a〜14fに対応する幅寸法を有するため、センサチューブ14の長手方向上マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bを取り付けるのに必要な部分だけプレス加工することが可能になる。
図8に示されるように、プレス部材76に荷重Wを付与することによりパイプ材74は、2方向(上下方向)から押圧される。プレス部材76に対する荷重Wは、円形断面のパイプ材74が押圧されて扁平形状に変形され、厚さ寸法が予め設定された所定寸法に達するまでプレス部材76に付与される。
尚、プレス加工されたパイプ材74の変形後の厚さ寸法は、センサチューブ14の振動特性に影響を与えない範囲内になるように予め実験により求められている。
このように、取付面14a〜14fは、上記プレス加工により比較的簡単に加工することができ、しかもセンサチューブ14の上下方向から同時に取付面を形成することが可能であるので、加工精度が確保されている。
図9はマグネット16a,16bをセンサチューブ14の取付面14a,14bに取り付けた状態を拡大して示す縦断面図である。
図9に示されるように、マグネット16a,16bは、N極及びS極の向きが一致するようにセンサチューブ14の取付面14a,14bに嵌合固定された取付台35の平面35a,35bに固着される。また、取付面14a,14bは、センサチューブ14の軸心側にプレス加工されているため、マグネット16a,16b間、18a,18b間、20a,20b間がより近接し、その分センサチューブ14の内径を小径化することができるので、各コイル16c,16d,18c,18d,20c,20dとマグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bとの離間を小さくして検出感度を高めることが可能になる。
ここで、変形例について説明する。
図10は変形例1の質量流量計40の構成を示す横断面図である。図11は図10中C−C線に沿う縦断面図である。図12は図10中D−D線に沿う縦断面図である。尚、図10乃至図12において、上記図1乃至図3に示す質量流量計10と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図10乃至図12に示されるように、質量流量計40は、密閉された収納ケース12の内部に挿入されたセンサチューブ14と、センサチューブ14を加振する加振器46と、振動するセンサチューブ14の流入側変位を検出する流入側ピックアップ48と、振動するセンサチューブ14の流出側変位を検出する流出側ピックアップ50とを有する。
加振器46は、上記センサチューブ14に設けられたマグネット46a,46bと、収納ケース12の外周に設けられた駆動コイル46c,46dとから構成されており、駆動コイル46c,46dに交互に正負のある交番電圧(交流信号)が印加されて生じる磁界に対してマグネット46a,46bが吸引または反発することで、センサチューブ14の中間部分を横方向(Y方向)に振動させる。
また、マグネット46a,46bは、前述したマグネット16aと同様な構成になっており、被測流体が永久磁石70に接触しないように永久磁石70をカバー部材72によって覆われている。この駆動用のマグネット46a,46bは、センサチューブ14の取付面14a,14bに取り付けられている。センサチューブ14の取付面14a,14bは、駆動コイル46c,46dに対向するようにX方向と平行となるように設けられている。
駆動コイル46c,46dの中心には、例えば、フェライト系の磁性材からなる鉄心46e,46fが挿入されている。
そのため、駆動コイル46c,46dが収納ケース12の外周に設けられていても駆動コイル46c,46dにより生じた磁束は、収納ケース12を貫通してマグネット46a,46bに到達する。これにより、駆動コイル46c,46dは、収納ケース12の外周からマグネット46a,46bを振動方向(Y方向)に加振することができる。
本実施例では、マグネット46a,46b及び取付台52が加振時の重りとして機能する。マグネット46a,46bを支持する取付台52は、比較的比重の重い金属材により形成されている。
このように、取付台52は、振幅が最大となるセンサチューブ14の中間部分の外周に固定されているので、加振される際に慣性質量として機能する。これにより、センサチューブ14は、加振器46の駆動力によって効率良く振動することが可能になり、共振周波数の付近で描く共振の尖鋭さ、共振特性の幅の狭さを示すQ(quality factor)が高められる。
また、振動系で使われるQは、Q=ω/Δωで求まり、共振周波数ωの波形においてピークから3dB下がった高さでの幅Δωの数値(共振特性の幅)によって決まる。従って、Q(quality factor)は、共振周波数の尖鋭さを示すと同時に共振時における拡大度を示す数値でもあり、Δωが小さいほど共振特性の幅が小さくなって共振特性が高められる。これにより、質量流量計40では、センサチューブ14の振動部分の慣性質量を増大させてセンサチューブ14の振動特性を高めることができ、例えば、コリオリ力が小さくなる微小流量域の計測精度を高めることができる。
流入側ピックアップ48は、センサチューブ14の流入側外周の上下位置に固着されたマグネット48a,48bと、収納ケース12の外周の上下位置に設けられた磁気センサ(検出部)48c,48dとから構成されており、マグネット48a,48bがセンサチューブ14と共に横方向(Y方向)に振動するのに伴って磁気センサ48c,48dに対して近接・離間するため、磁気センサ48c,48dからマグネット48a,48bの変位量に応じた検出信号を出力する。
流出側ピックアップ50は、上記センサチューブ14の流出側外周の上下位置に固着されたマグネット50a,50bと、収納ケース12の外周の上下位置に設けられた磁気センサ50c,50dとから構成されており、マグネット50a,50bがセンサチューブ14と共に横方向(Y方向)に振動するのに伴って磁気センサ50c,50dに対して近接・離間するため、磁気センサ50c,50dからマグネット50a,50bの変位量に応じた検出信号を出力する。
磁気センサ48c,48d及び50c,50dは、例えば、微弱な磁界変化を検出することができる高感度のGMR(巨大磁気抵抗効果:giant magnetoresistive effect)センサなどが用いられる。また、磁気センサ48c,48d及び50c,50dは、高感度であるため、収納ケース12の外周からでもマグネット48a,48b及び50a,50bのY方向の振動に伴う磁界変化に応じた電流を検出信号として出力する。
また、変形例2の質量流量計40の計測動作は、前述した質量流量計10と同様であるので、その説明は省略する。
図13は変形例2の質量流量計60の構成を示す横断面図である。図14は図13中E−E線に沿う縦断面図である。図15は図13中F−F線に沿う縦断面図である。尚、図13乃至図15において、上記図1乃至図3に示す質量流量計10と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図13乃至図15に示されるように、質量流量計60において、駆動コイル16c,16d及びセンサコイル18c,18d,20c,20dの中心には、鉄心62a〜62fが挿入されている。また、鉄心62a〜62fと対向する収納ケース12の外周には、円柱状に形成された磁性材64a〜64fが嵌合固定される凹部66a〜66fが設けられている。
従って、収納ケース12の凹部66a〜66fに埋め込まれた磁性材64a〜64fは、鉄心62a〜62fと当接しており、駆動コイル16c,16d及びセンサコイル18c,18d,20c,20dからの磁束を収納ケース12の内部に導く磁路として作用する。
そのため、収納ケース12の肉厚が被測流体の圧力に耐えられるように設定されていても収納ケース12の凹部66a〜66fに磁性材64a〜64fを嵌合固定することで、耐圧強度を保ちながら駆動コイル16c,16dによる駆動力及び、センサコイル18c,18d,20c,20dによる検出感度を高めることが可能になる。
これにより、質量流量計60では、センサチューブ14の振動部分の慣性質量を増大させてセンサチューブ14の振動特性を高めることができ、例えば、コリオリ力が小さくなる微小流量域の計測精度を高めることができる。
質量流量計60では、前述した質量流量計10と同様に、駆動用マグネット16a,16b及び検出用マグネット18a,18b,20a,20bは、夫々センサチューブ14の外周に形成された取付面14a〜14fに固着されている。この取付面14a〜14fは、直方体形状の各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bを安定した状態で取り付けられるように、センサチューブ14の外周をプレス加工することにより形成された平面である。そのため、各マグネット16a,16b,18a,18b,20a,20bを取り付ける際の位置合わせが容易に行えると共に、マグネット取付精度を高めることが可能になる。
また、収納ケース12の外周には、マグネット16a,16bに対向する駆動コイル16c,16dと、マグネット18a,18bに対向するセンサコイル18c,18dと、マグネット20a,20bに対向するセンサコイル20c,20dとが取り付けられ取付面12a〜12fが設けられている。そして、センサチューブ14は、取付面14a〜14fが収納ケース12の取付面12a〜12fと平行且つ対向するように位置調整される。
また、変形例3の質量流量計60の計測動作は、前述した質量流量計10と同様であるので、その説明は省略する。
尚、上記実施例では、CNGのような可燃性ガスを被測流体として流量計測する場合を例に挙げたが、これに限らず、他の高圧、高温の流体を計測するのにも適用できるのは勿論である。
本発明になる振動式測定装置の一実施例としてのコリオリ式質量流量計の横断面図である。 図1中A−A線に沿う縦断面図である。 図1中B−B線に沿う縦断面図である。 加振器15がセンサチューブ14を振動させる状態を模式的に示す図である。 振動するセンサチューブ14に作用するコリオリ力を模式的に示す図である。 マグネット16aの構成を示す図であり、(A)は横断面図、(B)は縦断面図である。 センサチューブ14を2方向からプレス加工する前の状態を示す工程図である。 センサチューブ14を2方向からプレス加工した状態を示す工程図である。 マグネット16a,16bをセンサチューブ14の取付面14a,14bに取り付けた状態を拡大して示す縦断面図である。 変形例1の質量流量計40の構成を示す横断面図である。 図10中C−C線に沿う縦断面図である。 図10中D−D線に沿う縦断面図である。 変形例2の質量流量計60の構成を示す横断面図である。 図13中E−E線に沿う縦断面図である。 図13中F−F線に沿う縦断面図である。
符号の説明
10,40,60 質量流量計
12 収納ケース(本体)
12a〜12f 取付面
14 センサチューブ
14a〜14f 取付面
16,46 加振器
16a,16b 駆動用マグネット
18a,18b,20a,20b 検出用マグネット
18,48 流入側ピックアップ
20,50 流出側ピックアップ
22,24 フランジ
26 内部空間
28 流入側支持板
30 流出側支持板
34 通路
35,52 取付台
36a〜36f ケーブル
38 流量計測制御回路
48c,48d,50c,50d 磁気センサ
70 永久磁石
72 カバー部材

Claims (5)

  1. 本体と、
    被測流体が流れるセンサチューブと、
    前記センサチューブに取り付けられた駆動用磁石と、前記本体側に設けられ、前記駆動用磁石を振動方向に駆動する駆動コイルとからなる加振器と、
    前記センサチューブに取り付けられた検出用磁石と、前記本体側に設けられ、前記検出用磁石の変位を検出する検出部とからなるピックアップと、
    を有する振動式測定装置において、
    前記センサチューブの外周のうち少なくとも前記駆動用磁石及び前記検出用磁石の何れか一方の取付位置に平面状の取付面を形成したことを特徴とする振動式測定装置。
  2. 前記取付面は、前記センサチューブの長手方向上、前記駆動コイル、前記検出部の取付位置と一致する位置に形成されたことを特徴とする請求項1記載の振動式測定装置。
  3. 前記センサチューブの同一長さ位置に前記取付面を2方向から形成し、一対の取付面が平行となるように形成したことを特徴とする請求項1乃至2何れか記載の振動式測定装置。
  4. 前記取付面の両側から断面形状がコ字状に形成された磁石取付台を設け、
    前記一対の磁石取付台の平面部に前記駆動用磁石、前記検出用磁石を固定したことを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の振動式測定装置。
  5. 前記本体を内部に密閉された空間が形成された収納ケースとし、
    前記収納ケース内に前記センサチューブを設け、
    前記収納ケースの外壁に前記駆動コイルを設け、
    前記収納ケースの外壁に前記検出部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4何れか記載の振動式測定装置。
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