以下、図面を参照して、本発明に係るスライド式バルブ装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
初めに、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示した図、図2は該スライド式バルブ装置の製作工程を示した図である。
図1に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材1と第2の部材2とを有して構成されている。これら第1の部材1と第2の部材2とがそれぞれの厚み方向に並べられることで積層されている。
更に、上記第1の部材1または上記第2の部材2の少なくも一方の部材、この場合第2の部材2の所定箇所には、図示されない流体が移動可能な貫通孔3が流路として形成されている。この貫通孔3は、第2の部材2の厚さ方向(図1に於いて上下方向)に形成されているもので、その表面部には開口部3aが設けられている。
そして、図1に於いて、第1の部材1の長手方向の長さをa、この長手方向と直交する方向の長さをb、更にこれら2つの方向と直交する厚さ方向の長さをcとする。同様に、第2の部材2についても、それぞれの長さをa′、b′、c′とする。また、上記a×bで得られる面の面積をS1、a×cで得られる面積をS2、b×cで得られる面積をS3とし、上記a′×b′で得られる面の面積をS1′、a′×c′で得られる面積をS2′、b′×c′で得られる面積をS3′とする。
すると、これらの長さ及び面積の関係は、第1の部材1ではa>b>c、S1>S2>S3、第2の部材2ではa′>b′>c′、S1′>S2′>S3′で表される。但し、ここでは便宜上、a>b、a′>b′、S1>S2、S1′>S2′としたが、a=b、a′=b′、S1=S2、S1′=S2′やa<b、a′<b′、S1<S2、S1′<S2′の関係であっても良い。
このような構成に於いて、上記第1の部材1と上記第2の部材2とを相対変位させることによって、流体の移動が制御される。つまり、第1の部材1で第2の部材2の貫通孔3を塞ぐことによって、流路が塞がれて流体の移動が制御されるようになっている。
次に、図2を参照して、このように構成されるスライド式バルブ装置を製作する半導体製造工程について説明する。
先ず、図2(a1)に示されるように、可動部及びガイド部を構成する第2の部材15として、Si、ガラス、SUS、セラミック基板、樹脂基板等の薄膜基板が準備される。
次に、図2(b1)に示されるように、上記第2の部材15の一部が両面からエッチングされる等により、薄膜化部15aが形成される。この時、両面での薄膜化量が概ね同等になるように注意する。
更に、図2(c1)に示されるように、上記薄膜化部15a上の所定位置に、撥水、溌油、低摩擦の特性を有する膜16が形成される。この膜16は、例えば、旭ガラス(株)製サイトップ(登録商標)等のフッ素系樹脂膜等が、スピンコート法により形成されるようにしても良いし、窒化シリコン膜がCVD法により形成されるようにしても良い。
撥水、溌油性の膜を形成するのは、バルブ完成後、可動部とこれに対抗する固定基板との間への流体リークを減らすためである。また、低摩擦の膜を形成するのは、可動部と固定基板との摩擦力を減らすことにより、可動部の駆動力を小さくし、装置を小型化するためである。
一方、図2(a2)に示されるように、固定基板となる第1の部材11として、Si、ガラス、SUS、セラミック基板、樹脂基板等の薄膜基板が準備される。
次いで、図2(b2)に示されるように、上記第1の部材11に第1の貫通孔12が形成される。この貫通孔12の形成は、例えば、薬液やガスによるエッチング、サンドブラスト、超音波、レーザ加工、ドリル等の機械加工等を用いることができる。
次に、図2(c2)に示されるように、上記第1の部材11の上面、すなわち、上記第2の部材に於いて後に可動部となる部位に対向する箇所に、犠牲層13が形成される。犠牲層13の材質としては、例えば、レジスト、PSG、SOG等、Siやガラス基板よりもエッチング除去されやすい膜が形成される。
ここで、図2(d)に示されるように、図2(c1)に示される工程にて形成された第2の部材(薄膜基板)15と、図2(c2)に示される工程にて形成された第1の部材(薄膜基板)11とが接合される。このとき、第1の部材11に形成された貫通孔12と、第2の部材15の所定位置に重なるように位置合わせが行われて接合される。接合方法としては、例えば、陽極接合や拡散接合、接着層を形成してこれを介しての接合等がある。尚、この時、犠牲層13と第2の部材15の膜16とが接着するように、犠牲層材質と接合方法を選択する必要がある。
そして、図2(e)に示されるように、第2の部材15の薄膜化部15aに第2の貫通孔17が形成されると共に、可動部とガイド部とに分離される。また、図示されないが、可動部を外部駆動装置と接続させるための開口となる挿入部が、この時ガイド部に形成されるようにしても良い。
また、図2(a3)及び(b3)に示される工程にて、上述した図2(a2)及び(b2)に示される工程と同様にして、第3の部材20が加工されて第3の貫通孔21が形成される。
次いで、図2(f)に示されるように、上記第2の部材15と、この第2の部材15を接合したものの第2の部材側に、更に第3の部材20が位置合わせされて接合される。
最後に、図2(g)に示されるように、犠牲層13が除去されることで、可動部が第2の部材15から切り離される。犠牲層13の除去には、例えば、犠牲層13としてレジストを用いた場合にはアセトン等の薬液が使用可能であるし、膜16が窒化シリコン膜のような無機膜であれば、CF4 と酸素の混合ガスによるプラズマ処理等による犠牲層除去も用いることが可能である。
以上により、本構成のスライド式バルブ装置が完成する。
このように、第1の実施形態によれば、半導体製造に使用される微細加工技術を用いて薄板状の基板を加工することで作製できるので、極めて微細な開口部の形成や高精度の位置合わせが容易に可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、基本的に図1に示されたものと同様であり、上述した第1の実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付してその図示及び詳細な説明は省略する。
図3(a)は、本発明の第2の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示した図である。
図3(a)に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材1と第2の部材2とを有して構成されている。そして、第1の部材1の所定箇所及び第2の部材2の所定箇所には、貫通孔5及び貫通孔3が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、貫通孔5及び貫通孔3が形成されている第1の部材及び第2の部材の表面部には、それぞれ開口部5a及び開口部3aが設けられている。
そして、上記第1の部材1と上記第2の部材2とは、互いに交差する異なる2方向に相対変位可能に配設されている。この場合、第1の部材1が第2の部材の開口部3aが設けられた面上を、直交する2方向に移動可能とされている。
これにより、貫通孔5と貫通孔3とが連通した位置で流体が移動し、第1の部材が図示矢印方向に移動して貫通孔5と貫通孔3の位置がずれると、流体の移動が制御されることになる。
図3(b)は、第2の実施形態に於ける他の例を示した図である。
図3(b)に於いて、第1の部材1は、第2の部材2上の一方向と図示円方向に移動可能である。
このように第1の部材の移動方向を変えても、流体の移動を制御することが可能である。
尚、第2の実施形態に於いては、貫通孔の数をそれぞれの部材に対して1つとして説明したが、これに限られるものではなく、複数設けても良い。
第2の実施形態によれば、複数個の貫通孔の配置の自由度が増すため、より複雑な流体制御を行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
図4は本発明の第3の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示したもので、(a)は斜視図、(b)は(a)の第1の部材を取り除いて示した平面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、基本的に図1に示されたものと同様であり、上述した第1の実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付してその図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材1と第2の部材2とを有して構成されている。そして、第1の部材1の所定箇所及び第2の部材2の所定箇所には、貫通孔5及び貫通孔3が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、貫通孔5及び貫通孔3が形成されている第1の部材及び第2の部材の表面部には、それぞれ開口部5a及び開口部3aが設けられている。
上記第2の部材2の周囲には、この第2の部材の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。このガイド部材25には、該ガイド部材25に対して第2の部材2の変位する方向を規制するための接触部26が複数個、この場合4個形成されている。加えて、第2の部材2の変位する方向のガイド部材25には、該第2の部材2を位置決めするための位置決め部27が複数個、この場合3個形成されている。
尚、上記ガイド部材25は、該ガイド部材25により変位を規制する上記第2の部材2には連結されていない。
また、上記ガイド部材25に形成された接触部26及び位置決め部27は、変位する第2の部材2とは点接触または線接触するものである。
尚、上記ガイド部材25は、上記第2の部材2と同一母材から形成される。
このような構成に於いて、第1の部材1に対して変位する第2の部材2は、接触部26に接触しながら位置決め部27に当接する位置まで移動する。これによって、貫通孔5と貫通孔3が連通する位置で流体の移動が可能となる。また、第2の部材2が一次元方向に変位することによって、2つの貫通孔5と貫通孔3がずれて、流量が制御されるようになっている。
このような構成にすることにより、変位する部材の変位量がガイド部材により規制されるので、変位する部材の変位の大きさや変位の最大量を規制することが可能となる。
また、上述した実施形態では、上記ガイド部材25は第2の部材2と同一母材から形成されるとしたが、これに限られるものではなく、第1の部材1と同一母材から形成されるもの、または第1の部材1若しくは第2の部材2またはガイド部材のうち何れか2つが同一母材から分離して形成されるものであっても良い。
更に、本実施の形態では変位する部材の変位方向を一次元方向として説明したが、これに限られずに、例えば円周方向に変位するものであっても良い。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図5(a)は、本発明の第4の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示した側断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、基本的に図1に示されたものと同様であり、上述した第1の実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付してその図示及び詳細な説明は省略する。
図5(a)に於いて、第1の部材1には貫通孔5が形成されており、この第1の部材1の下面側には貫通孔3が形成された第2の部材2が配設されている。また、この第2の部材2の周囲には、該第2の部材2を変位可能に支持するガイド部材25が配設されている。
そして、第2の部材2と第1の部材1との間隔dは、ガイド部材25と第1の部材1との間隔eよりも大きくなるように設定されている。
このような構成にすることにより、変位する第2の部材2部材が容易に変位可能となるため、変位させるための駆動力が小さくて済む。
また、図5(b)は、本第4の実施形態の変形例を示す図である。
図5(b)に於いて、第1の部材1には貫通孔5が形成されており、この第1の部材1の下面側には貫通孔32が形成された第2の部材31が配設されている。この第2の部材32は、外側部分に対して貫通孔32が形成されている部分が凹型形状に形成されている。また、この第2の部材31の周囲には、該第2の部材31を変位可能に支持するガイド部材25が配設されている。
そして、第2の部材31の貫通孔32が形成されている部分と第1の部材1との間隔をd、第2の部材31の外側部と第1の部材1との間隔をf、ガイド部材25と第1の部材1との間隔をeとすると、次のような関係が成り立つ。
d>e、且つ、f≧e
このような構成にすることにより、変位する第2の部材の貫通孔の形成されている部分と第1の部材との間隔が、上記第2の部材の周囲と第1の部材との間隔よりも大きく設定されているので、部材同士の摩擦により貫通孔を破損する危険性が低くなる。
図6は、本第4の実施形態の更なる変形例を示す図である。
図6に於いて、第1の部材1には貫通孔5が形成されており、この第1の部材1の下面側には貫通孔32が形成された第2の部材31が配設されている。この第2の部材32は、外側部分に対して貫通孔32が形成されている部分が凹型形状に形成されている。また、この第2の部材31の周囲には、該第2の部材31を変位可能に支持するガイド部材25が配設されている。
そして、図6に示される例に於いては、上記間隔d、e、fの間で次の関係が成り立つ。
d>e、且つ、f<e
このような構成にしても、変位する第2の部材の貫通孔の形成されている部分と第1の部材との間隔が、上記第2の部材の周囲と第1の部材との間隔よりも大きく設定されているので、貫通孔を破損する危険性が低くなる。
また、図5及び図6に示される変形例等を含む第4の実施形態に於いて、図7に示されるように、変位する第2の部材31の貫通孔32が形成されている面と、この面と対向する第1の部材の面との間隙dは、10μm以下に規制することもできる。
対抗する面の間隙が10μm以上あると、流体は容易に間隙部に入り込むため、バルブ装置内で流体がリークしてしまうが、10μm以下であれば高圧力で流体を導入しないと間隔部に流体が入り込むことはない。
この間隙量の数値は、以下に述べる実験により決定された。
図8は、上述した間隙量を10μm以下にした根拠を示す実験に使用された実験系を示した図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。
(i)基板33に間隙部となる深さ3、5、10、15μmの凹部34を形成((a)の斜線部)する。
(ii)この凹部34内に流体の導入出口となる貫通穴を形成し、凹部34を形成した側に透明な基板を接合する。
(iii)最後に流体導入出口にチューブを接続して、実験用チップを完成させた。
(iv)この流体導入口に圧力センサ35を介して流体(水)を導入させ、各間隙量に対して、流体導入圧がいくらの時に間隙部に流体がリークして流れ出すかを評価した。
この評価結果は、以下の通りである(図9参照)。
1)間隙量15μm、10μmでは、流体導入圧1kPa以下で流体が間隙部にリークした。
2)間隙量5μmでは、流体リークの発生する圧カは約130kPaであった。
3)間隙量3μmでの流体リークの発生する圧力は約170kPaであった。
以上の結果から、間隙量を10μm以下にすれば、高圧力で流体を導入しないと間隙部にはリークしなくなる。
尚、この結果は、間隙部に撥水表面処理を行わずに行ったものである。間隙部を撥水表面処理することにより、更に高圧で流体を導入しないと間隙部へのリークが起こらないことは既に確認済みである。
以上が、間隙量を10μm以下にした根拠である。
尚、実験結果に示すように、間隙壁は小さければ小さいほどリークが少なくなって望ましいが、スライド部が可動するためには間隙がある程度必要となる。作製工程の安定性を考慮すると、間隙量の最小は1μm程度と考えられる。したがって、リーク及び可動性の両方を考慮すると、間隙量は望ましくは1〜5μmである。
(第5の実施形態)
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第5の実施形態を説明する。
図10は本発明の第5の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す斜視図であり、図11(a)は第5の実施形態によるスライド式バルブ装置の第1の状態を示した断面図、(b)は第5の実施形態によるスライド式バルブ装置の第2の状態を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材38と第2の部材2とを有して構成されている。そして、第1の部材38の所定箇所には貫通孔39及び40が、また第2の部材2の所定箇所には貫通孔3が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、貫通孔39及び40が形成されている第1の部材38の表面部には開口部39a及び40aが設けられている。同様に、貫通孔3が形成されている第2の部材の表面部には開口部3aが設けられている。
上記第2の部材2の周囲には、この第2の部材2の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。このガイド部材25には複数個の接触部26が形成されると共に、第2の部材2を位置決めするための複数個の位置決め部27が形成されている。
尚、上記ガイド部材25は、該ガイド部材25により変位を規制する上記第2の部材2には連結されていない。
また、上記ガイド部材25に形成された接触部26及び位置決め部27は、変位する第2の部材2とは点接触または線接触するものである。
尚、上記ガイド部材25は、上記第2の部材2と同一母材から形成される。
このような構成に於いて、例えば、図11(a)に示されるように、第1の状態では、第1の部材38に対して変位する第2の部材2は、位置決め部27に当接する位置に設定されている。このとき、第2の部材の貫通孔3は、第1の部材の貫通孔39と連通している。
この後、第2の部材2が変位されて、図11(b)に示されるように、第2の状態となる。すると、第2の部材2は図11(a)に示される位置決め部材27とは反対側に設けられた位置決め部材27に当接している。この第2の状態では、第2の部材の貫通孔3は、貫通孔39ではなく貫通孔40と連通している。
このような構成とすることにより、例えば、第1の状態と第2の状態とで、第2の部材の貫通孔と連通する貫通孔を切換えることができる。したがって、流路を切換え制御することが可能になる。
このような構成にすることにより、変位する部材の変位方向がガイド部材により規制されるので、変位する部材を所望の位置に制御することが可能となる。
また、上述した実施形態では、上記ガイド部材25は第2の部材2と同一母材から形成されるとしたが、これに限られるものではなく、第1の部材1と同一母材から形成されるものであっても良い。
(第6の実施形態)
次に、図12を参照して、本発明の第6の実施形態を説明する。
図12(a)は本発明の第6の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す側断面図、(b)は(a)のスライド式バルブ装置から第1の部材を取り除いた状態を示す上面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図12に於いて、第2の部材2から延出されて形成された接続部43が、外部駆動装置42に接続されている。上記接続部43は、ガイド部材25の一部に切り欠いて形成されている挿入部44を介して、第2の部材2と外部駆動装置42とを接続している。
上記外部駆動装置42は、ガイド部材25により変位を規制される第2の部材2を図示矢印方向に駆動するためのものである。
このような構成にすることにより、変位部材と外部駆動装置とを容易に接続可能となる。
尚、上記挿入部44は、接続部43が通るものであれば、切欠きや溝形状であっても良い。
(第7の実施形態)
図13は、本発明の第7の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示した図であり、(a)は第7の実施形態によるスライド式バルブ装置の第1の状態を示した上面図、(b)は第7の実施形態によるスライド式バルブ装置の第2の状態を示した上面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図示されない第1の部材に対して変位可能な第2の部材2は、この第2の部材の変位を規制する、流路を有さないガイド部材45が配設されている。このガイド部材45には、該ガイド部材45に対して第2の部材2の変位する方向を規制するための複数個の接触部46が形成されている。加えて、第2の部材2の変位する方向のガイド部材45の一方の側には、該第2の部材2を位置決めするための複数個の位置決め部47が形成されている。そして、上記位置決め部47の間には、図示されない外部駆動装置によって第2の部材を押し込むための挿入部48が形成されている。
一方、上記第2の部材2の変位する方向のガイド部材45の他方の側には、該第2の部材2を位置決めするための位置決め部50が形成された付勢部材49が設けられている。
また、上記ガイド部材45に形成された接触部46及び位置決め部47、50は、変位する第2の部材2とは点接触または線接触するものである。
このような構成に於いて、第2の部材2が外部駆動装置によって図13(a)に於ける図の左方向に押し込まれると、付勢部材49が変形し、図13(b)に示されるような第2の状態になる。その後、外部駆動装置からの押し込み力がなくなると、付勢部材49の弾性によって付勢されるため第2の部材2が移動し、図13(a)に示される第1の状態になる。
このような構成にすることにより、変位部材を外部駆動装置にて移動させた後、バネの復元力により変位部材を移動前の位置に戻すことが可能となる。
尚、上述した付勢部材は、ガイド部材と同一部材で構成されるものでなくとも良い。
(第8の実施形態)
次に、図14を参照して、本発明の第8の実施形態を説明する。
図14は本発明の第8の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示すもので、(a)はスライド式バルブ装置から第1の部材を取り除いて示した上面図、(b)は側断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図14に於いて、所定箇所に貫通孔53が流路として形成された第1の部材には、後述する接続部57が挿通される挿入部54が設けられている。この第1の部材53上には、変位可能な第2の部材55が設けられている。そして、この第2の部材55には、所定箇所に貫通孔56が流路として形成されていると共に接続部57が設けられている。この接続部57は、上記挿入部54を介して外部駆動装置42に接続されている。
また、第2の部材2の周囲には、複数個の接触部59と複数個の位置決め部60が形成されたガイド部材58が設けられている。
尚、上記外部駆動装置42は、ガイド部材25により変位を規制される第2の部材2を図示矢印方向に駆動するためのものである。
このような構成にすることにより、外部駆動装置をバルブ素子の直上若しくは直下に配置することができる。
尚、上記挿入部54は、接続部43が通るものであれば、切欠きや溝形状であっても良い。
(第9の実施形態)
次に、図15を参照して、本発明の第9の実施形態を説明する。
図15は本発明の第9の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示すもので、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材1と第2の部材63とを有して構成されている。そして、第1の部材1の所定箇所には貫通孔5が、また第2の部材63の所定箇所には貫通孔64が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、貫通孔5が形成されている第1の部材1の表面部には開口部5aが、同様に、貫通孔64が形成されている第2の部材の表面部には開口部64aが設けられている。
また、第2の部材63の第1の部材1と対向する面側は、複数個の凸部67を含んで形成されている。
上記第2の部材2の周囲には、この第2の部材の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。
尚、上記ガイド部材25は、該ガイド部材25により変位を規制する上記第2の部材2には連結されていない。
このような構成にすることにより、変位する第2の部材63と対向する第1の部材1との接触面積が小さくなる。したがって、摩擦力が低減するので、変位部材を変位させるための駆動力が小さくて済む。
また、本第9の実施形態は、次のような変形が可能である。
図16及び図17は、第9の実施形態の変形例を示した図である。
例えば、図16(a)に示されるように、初めは第2の部材63の表面68aが粗めの凹凸を含んだ状態であったとする。ここで、図16(b)に示されるように、表面68a上に、平滑化薄膜68bが形成される。
これによって、第2の部材の表面は、当初粗めに形成されていたものでも、当該面の表面に薄膜を形成することによって、滑らかな面とすることができる。
更に、例えば、図17(a)に示されるように、初めは表面69aが粗めの凹凸を含んだ状態の第2の部材63を、図17(b)に示されるように、平滑化して滑らかな表面69bとすることも可能である。
このように、粗めの表面を有する第2の部材に対して、当該面の表面に薄膜を形成する等して、所望の大きさの微細な凹凸を有する面を形成するようにして、摩擦力を低減させるようにしても良い。
(第10の実施形態)
ここで、上述したような部材の表面処理について、図18乃至図21を参照して説明する。
表面処理が行われる部位について、
a)流体(溶液)が通らない、流体と接触しない箇所
b)対向する面全面
c)貫通孔の周囲を除く箇所
d)貫通孔を囲む箇所
e)全面または一部に格子状、縞状、水玉状に存在する箇所
f)流体(溶液)の通る、流体と接触する箇所(親水処理)
g)部材が相対的に移動する範囲
等が考えられる。
例えば、図18(a)に於いて、部材160の流体が通る貫通孔162以外の部分全面に表面処理が施される(表面処理部161)。これは、上記a)、b)が相当する。また、この表面処理部161の形状は、図19に示されるような種々の形状が考えられる。
1つは、図19(a)に示されるような部材160の表面に対して、ほぼ直角に切除されて貫通孔162の周面から延出された形状である。
もう1つは、図19(b)に示されるような、部材160に於いて貫通孔162の周面から表面処理部161の表面にかけてテーパがつけられた形状である。この場合、図19(b)に於いて、表面処理部161の径は、下側(貫通孔162とセットする側)が上側よりも小さく形成されている。このようにテーパが設けられたことにより、流体は貫通孔162に流れやすくなる。
更にもう1つは、図19(c)に示されるような、部材160に対して、上述した図19(b)とは逆方向にテーパがつけられた形状である。つまり、表面処理部161の径は、下側(貫通孔162とセットする側)が上側よりも大きく形成されている。このようにテーパが設けられたことにより、流体が貫通孔162から表面処理部161側に漏れにくくなる。
また、上記のような部材同士が対向する面以外にも、対向する別部材の面との間隙が所定の値以下である面に表面処理を行うようにしても良い。このような面は、液体のリークを防ぐために意図的に間隙が所定の値以下にされた面であるか、設計上対向する面との摩擦が生じやすい面であるため、表面処理を行うことで、リークを低減したり、摩擦力を低減させることができる。
図18(b)は、上記c)に相当するもので、部材160に於いて、貫通孔162の周囲には表面処理が施されず、この周囲を除く部材160の全面が表面処理が施された表面処理部161となっている。
更に、図18(c)は、上記d)に相当するもので、部材160に形成された貫通孔161から所定間隔おいて、該貫通孔162を囲む位置にのみ表面処理が施された表面処理部161が形成されている。
図20(a)〜(c)は、上記e)に相当するもので、(a)は部材160の全面に格子状の表面処理部167が形成された例を示している。また、図20(b)は部材160の全面に縞状の表面処理部168が形成された例を示している。更に、図20(c)は、部材160の全面に水玉状に存在する表面処理部169が形成された例を示している。
このように、表面特性の異なる部分が点在するように、すなわち所定の部位に表面特性の分布が生じるよう不連続に表面処理を行っても良い。
そして、図20(d)及び図21は、上記f)に相当するもので、流体の通る貫通孔162の周面に表面処理が施された表面処理部170が形成された例を示している。これにより、貫通孔162に流体が通りやすくなる、いわゆる親水処理が施されたことになる。
処理方法としては、(1)微細な凹凸の形成、(2)撥水、溌油性、低摩擦性、耐摩耗性の膜形成、(3)基板表面の変性、(4)親水化、(5)親水性、撥水性を切換え、の各処理が行われる。微細な凹凸により、摩擦力が低減し摺動性が増す。また、撥水性も高まり、リークが低減する。
尚、上述した表面処理は、本発明に於いては、相対的に変位可能な第1の部材若しくは第2の部材の少なくとも一方に施されるものとして説明している。また、相対的に変位可能な第1の部材と第2の部材は、元々1つの部材から切り出されたものであっても良い。
(1)微細な凹凸の形成
(A)機械的加工
機械的加工としては、研磨、ブラスト、スパッタエッチング等がある。
上記研磨は、例えば、図22に示されるような研磨装置によって行われる。すなわち、研磨常盤175上に研磨フィルム(またはスラリ)176が敷かれ、その上に基板177が載置される。そして、該基板177の処理面が加圧装置178によって押し付けられながら研磨常盤175が回転されることにより研磨される。
これにより、流路が研磨後に形成されると、流路に研磨剤や研磨かすが入ることがなくなる。
ブラストは、微細粒状の研削材を圧縮空気や高圧水と共に高速で処理面に吹き付けることにより、表面に凹凸が形成される。研削材の材質やサイズ、吹き付け圧等により処理面の加工状態が制御される。
このように流路が研磨後に形成されると、流路に研磨剤や研磨かすが入ることがなくなる。
また、スパッタエッチングは、図23に示されるようにして行われる。すなわち、グロー放電にて発生されたプラスイオンが電界で加速されて、陽極180から陰極181に衝突させられてエッチングされる。一般に、Arガス等が用いられる。
このような処理により、PTFE表面に円錐状の微小突起が形成されることが知られている。
以上のような処理を行う以外に、次の(B)乃至(D)等のような、少なくとも化学的なプロセスを含む過程を経て所望の特性を有する面若しくは層を形成しても良いし、または後述する第14の実施形態の(2)に代表されるように、これらの特性を有する膜を付加しても良い。
(B)微細孔を形成
微細孔の形成としては、基板を多孔質化、基板に多孔質膜を形成することが考えられる。
基板を多孔質化するものとして、アルミの陽極酸化による多孔質アルミナが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
応用物理 第69巻 第5号 558〜562(2000) これによれば、アルミを酸性電界液中で陽極酸化処理することで、多孔性アルミナが形成される。そして、図24(a)に示されるように、アルミ基板183が、例えば硫酸、シュウ酸、リン酸等の電界液184中で電圧数十〜数百Vが印加されて処理される。これにより、図24(b)に示されるように、ハニカム状に微細孔185の開いたアルミナ186が形成される。
また、基板を多孔質化するものとして、Siの陽極酸化による多孔質Siも知られている。
これは、Si基板をフッ酸水溶液中で電界をかけながら処理すると、基板が陽極酸化された後、フッ酸水溶液にてこの酸化膜が除去されるため、基板が多孔質化する。
基板に多孔質膜を形成するものとして、上述したアルミの陽極酸化による多孔質アルミナの形成にて、基板にアルミを成膜した後、同様の処理を行うことで、基板表面にハニカム状の微細孔の開いたアルミナ膜を形成することが可能である。
(C)微小粒子を形成、或いは微小粒子、微小繊維、微小フィラ含有樹脂を形成
これについては、先ず、金或いは銀の金属ナノ粒子のペーストをスピンコート等により成膜することが考えられる。
また、フッ素系樹脂等に微小ビーズを配合した膜の形成が考えられる。例えば、フッ素系樹脂として旭ガラス(株)製サイトップに粒径1μm程度の微小ビーズを配合し、これを、例えばSi基板上にスピンコート法で成膜する。次に、サイトップ膜上にフォトレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィにてレジストを所望のパターンに形成する。次に、このレジストパターンをマスクとして、酸素プラズマによるRIE処理を行うことで、サイトップ膜をエッチングし、アセトン溶液に基板を浸すことでレジスト膜を剥離する。その後、再びレジストパターンを形成し、これをマスクとしてICPエッチングにてSi基板に貫通孔を形成、最後にマスクレジスト膜をアセトンにて剥離することにより、所望の位置に微小ビーズの配合されたサイトップパターンを有する貫通孔形成基板を作製することができる。
サイトップ膜はフッ素系樹脂膜であり、元々撥水性であり、摺動性も良い。更に、このように形成することにより、サイトップ膜表面に微小粒子による微細な凹凸が形成されるため、接触面が小さくなり摩擦が低減するので、摺動性は更に良くなるし、微小凹凸の効果により撥水性も高まる。
尚、微小粒子の代わりに、カーボンナノチューブ等の微小繊維でもよいし、TiO2 フィラ等でも良い。
更に、上記PTFE樹脂にTiO
2 フィラを配合して成膜する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−217941号公報 (D)微小突起を形成 微小突起形成による撥水性向上の実験結果が、記載されている(例えば、非特許文献2参照)。
IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference Technical Digest pp479−482(2002) 以上説明した表面処理については、表面処理が施される部材を1つの基板に対してのみ図示したが、上述した第1乃至第9の実施形態、及び以下に述べる実施形態に於いて、第1の部材、第2の部材、第3の部材の何れにも適用可能であるのは言うまでもない。
図25は、本発明の第10の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第1の例として、マスク形成した基板をエッチング処理する工程を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、以下に述べる表面処理工程に於いては、半導体微細加工技術によって製造されるものである。
図25(a)に於いて、シリコン基板70に、例えば酸化シリコン膜が形成され、これがフォトリソグラフィにより所望の位置にパターン形成される。このパターン形成された酸化シリコン膜71がマスクとされて、シリコン基板70が、例えばKOHやTMAHのようなアルカリ水溶液でエッチング処理されれば、図25(b)に示されるように、側面が結晶平面を持つ錐体状の突起70aが形成できる。
また、フッ硝酸と酢酸の混合溶液が用いられてエッチングされれば、等方的にエッチングが進行するため、側面が曲率を持った錐体状の突起が形成できる。例えば、CF4 ガスやSF6 ガス等にO2 ガスが少量添加されてプラズマ処理されても、等方的にエッチングが進み、側面が曲率を持った錐体状の突起が形成できる。
このようにして突起70aが形成された後、図25(c)に示されるように、マスクとなる酸化シリコン膜71が除去される。そして、図25(d)に示されるように、最後に貫通孔72が形成されれば、表面に突起を有した貫通孔形成基板を作製することができる。
このように、基板の表面上に突起が存在すると、対向面に対し点状で接触するため接触面積が極めて小さくなり、摩擦が低減するため、摺動性が向上する。
このような構成にすることにより、半導体微細加工技術により凹凸を形成可能となるため、規定の位置に凹凸を配することができる。したがって、特性の安定したバルブ装置を提供可能となる。
図26は、本発明の第10の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第2の例として、基板にマスク形成して矩形状にRIE処理した後アルカリ異方性エッチングにより突起形成する工程を示した断面図である。
図26(a)に於いて、シリコン基板190に酸化膜マスク191がフォトリソグラフィにより形成され、これをマスクとしてRIEやICPにて矩形状にシリコン基板190がエッチングされる。次いで、図26(b)に示されるように、矩形状に形成された表面の酸化膜マスク191が残された状態で、KOHやTMAH等のアルカリ水溶液にて異方性エッチングが加えられると、図26(c)に示されるように、矩形パターン190aの側面が結晶面に依存してエッチングされる。
このため、図26(d)に示されるように、結果的に錐体状の突起190bを形成することができる。この方式の方が、表面から異方性エッチングする方式よりも制御性よく錐体状パターンを形成可能である。
図27は、本発明の第10の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第3の例として、基板に薄膜を形成して、マスク形成により薄膜をエッチング処理して突起形成する工程を示した断面図である。
図27(a)に於いて、基板70上に、例えば酸化シリコン膜74が形成される。そして、図27(b)に示されるように、その表面にレジストパターン75が形成される。これがマスクとされて、フッ酸水溶液にて酸化シリコン膜がエッチング処理される。
すると、等方的にエッチングは進むのでマスクの下部も次第にエッチングされ、結果的に、図27(c)に示されるように、錐体状のパターン74aが形成される。更に、図27(d)に示されるように、貫通孔70が形成される。
尚、上述したような酸化シリコンでなく、ポリシリコンやアモルファスシリコンを形成し、これをCF4 やSF6 と酸素の混合ガスによりプラズマエッチング処理することで、等方的にエッチングして同様に錐体状の突起を形成しても良い。
また、等方的でなくRIEやICPにて垂直に薄膜をエッチングしても、もちろん構わない。
このようにして、薄膜をエッチング処理して微小突起を形成すると、突起の高さの制御性が向上し、特性が安定する。
図28は、本発明の第10の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第4の例として、犠牲酸化による突起形成する工程を示した断面図である。
図28(a)に於いて、シリコン基板70の表面上に窒化シリコン膜76が形成され、フォトリソグラフィにより微小にパターンが形成される。この後、シリコン基板70が熱酸化処理されると、窒化シリコン膜76の表面からは酸素が拡散しないので、シリコン基板70は酸化されないが、窒化シリコン膜76端部からパターン内部に向かって少しずつ酸化77が横方向に進行する(図28(b))。
図28(c)に示される酸化終了後、酸化シリコン膜77がフッ酸水溶液で除去され、窒化シリコン膜76のパターンがリン酸等で剥離されれば、熱酸化処理によりシリコン基板70が消費されるので、図28(d)に示されるように、結果的に突起パターン78が形成される。この後、貫通孔72が形成される。
この方法は、突起高さの制御性が良いことと、基板両面を同時に酸化処理可能なので、工程を簡略化することができる。
(第11の実施形態)
次に、図29を参照して、本発明の第11の実施形態について説明する。
図29は、本発明の第11の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、以下に述べる表面処理工程に於いては、半導体微細加工技術によって製造されるものである。
図29(a)に於いて、シリコン基板70上に、例えばアルミニウム等の薄膜80が形成される。次いで、図29(b)に示されるように、多孔質薄膜81が形成される。そして、図29(c)に示されるように、最後に貫通孔72が形成される。
このように、多孔質薄膜を形成することにより、変位する部材と対抗する部材との接触面積が小さくなり、摩擦力が低減するので、変位部材を変位させるための駆動力が小さくて済む。したがって、小型で安価なバルブ装置が提供可能となる。
(第12の実施形態)
次に、本発明の第12の実施形態について説明する。
図30は、本発明の第12の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第1の例を示したもので、マスク無しでブラックシリコン形成される条件によりRIEにてエッチング処理する例を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、以下に述べる表面処理工程に於いては、半導体微細加工技術によって製造されるものである。
先ず、図30(a)に於いて、シリコン基板70がSF6 ガスとO2 ガスの混合ガスでRIEにてエッチング処理される。この際、O2 ガスの添加量が総ガス量の20%を超えると、シリコン基板表面に針状化された微小突起83が多数形成され、黒色化する(図30(b))。そのため、ブラックシリコンと称されているが、これにより基板表面の撥水性及び摺動性は向上する。
尚、ブラックシリコンができるのは、O2 ガス含有量が高まると、シリコンの対酸化膜に対するエッチングレート比が向上するため、放電による基板表面酸化で形成された酸化膜がマスクとなってしまうためと考えられる。
こうして針状化された微小突起83が形成されたシリコン基板70に対して、図30(c)に示されるように、貫通孔72が形成される。
図31は、本発明の第12の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程の第2の例を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、以下に述べる表面処理工程に於いては、半導体微細加工技術によって製造されるものである。
上述した第1の例と同様にして、図31(a)に示されるように、シリコン基板70がRIEにてエッチング処理される。そして、図31(b)に示されるように、シリコン基板70の表面に多孔質化された微小突起84が形成される。更に、図31(c)に示されるように、シリコン基板70に貫通孔72が形成される。
このように、第12の実施形態によれば、多孔質化または針状化することにより、変位する部材と対抗する部材との接触面積が小さくなり、摩擦力が低減するので、変位部材を変位させるための駆動力が小さくて済む。また新たな材料を形成する必要もないので、小型で安価なバルブ装置が提供可能となる。
(第13の実施形態)
次に、本発明の第13の実施形態について説明する。
図32は、本発明の第13の実施形態によるスライド式バルブ装置の製作工程を示した図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、以下に述べる表面処理工程に於いては、半導体微細加工技術によって製造されるものである。
先ず、図32(a)に示されるように、シリコン基板70の一方の面、この場合上面に、微粒子、微小繊維溶解樹脂が混入された膜86が形成される。次いで、図32(b)〜(d)に示されるように、マスクパターン87の形成、エッチング、マスクパターンの剥離、貫通孔形成の各工程が行われる。これら図32(a)〜(d)に於いて実行される工程は、上述した図27(a)〜(d)に示される第10の実施形態の第3の例と同様である。
また、図32(e)は、図32(d)に示されるパターン86aを拡大して示した図である。
このように構成することにより、凹凸を安定して形成できるため、小型で安価なバルブ装置を提供可能となる。
(第14の実施形態)
図33は、本発明の第14の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示した側断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図33に於いて、第1の部材1には貫通孔5が形成されており、この第1の部材1の下面側には貫通孔92が形成された第2の部材90が配設されている。更に、この第2の部材90の、上記第1の部材1と対向する面には、表面処理部91が施されている。また、上記第2の部材90の周囲には、該第2の部材90を変位可能に支持するガイド部材25が配設されている。
尚、上記表面処理部91は、フッ素樹脂、パリレン、窒化珪素膜等の撥水、撥油、または低摩擦材で形成されるものであっても良い。
このように、撥水、撥油材が第2の部材の表面に形成されることにより、変位する部材と対向する部材との間隔に流体がリーク低減する。また、低摩擦材が形成されることにより、当該部材間の摩擦力が低減するので、変位部材を変位させるための駆動力が小さくて済む。したがって、高性能で小型、且つ安価なバルブ装置が提供可能となる。
ここで、上述した撥水、溌油性、低摩擦性、耐磨耗性の膜の形成について説明する。
(2)撥水、溌油性、低摩擦性、耐摩耗性の膜形成
耐磨耗性膜としては、C(カーボン)、cBN(立方晶窒化ホウ素)、TiN、TiC、Si3 N4 、Al2 O3 等が考えられる。
また、低摩擦性としては、PTFE、Au、Ag、MoS2 、WS2 、TiO2 等が考えられる。
撥水、溌油としては、CF系重合膜、PTFE、フッ素系樹脂、シリコーンゴム等が考えられる。
これら各種膜材料のなかでも、PETE膜は低摩擦で、且つ撥水、撥油機能を持つので、バルブ変移部の駆動力を低減させると共に、リーク量を低減させることも可能となる。したがって、高性能で小型、且つ安価なバルブ装置の提供に好適な膜である。
そして、成膜法としては、スパッタ、蒸着、LPCVD(減圧気相成長法)、APCVD(常圧気相成長法)、プラズマCVD(プラズマ誘起気相成長法)、スピンコート、ディップ、スプレーコート、LB法等がある。
(3)基板表面の変性
基板表面の変性としては、カップリング剤処理、イオン注入、気体処理等がある。
カップリング剤処理としては、シラン系、チタン系、有機リン酸系、シリルパーオキサイド系のカップリング剤に基板を浸漬させてオーブンにて乾燥させることによって、カップリング剤と表面の間に化学結合が形成される。また、オーブン中にカップリング剤を置き、蒸発したカップリング剤との気相反応により化学結合を形成することもできる。
イオン注入としては、基板にイオン注入することにより、撥水、溌油性をましたり、対磨耗性を向上させる。
更に、気体処理としては、フッ素雰囲気下に基板を放置することにより、基板表面にフッ素を導入し、撥水、溌油性を向上させる。
(4)親水化
この親水化とは、流体が流れる面の表面エネルギーを高める処理である。
基材の表面エネルギーと溶液の表面張力とが同等程度になると、ぬれ性が最もよくなる。水の表面張力は72dyn/cm程度であり、樹脂材料の表面エネルギーは30〜50dyn/cm程度である。したがって、基材の表面エネルギーを高めれば、水に対するぬれ性はよくなる。
この流体が流れる面の表面エネルギーを高める処理は、コロナ放電、グロー放電プラズマ等のプラズマ処理と、UVオゾン処理と、界面活性剤処理がある。
コロナ放電、グロー放電プラズマ等のプラズマ処理について、例えば、グロー放電プラズマ処理の場合、基板を処理装置に設置し、減圧して残存ガスを取り除いた後、O2 ガスを100cc/分で導入、100WのRF印加により酸素プラズマ処理することにより、基板のぬれ性を向上させている。O2 ガスの代わりにCOガス等も用いられる。
UVオゾン処理については、樹脂表面にUV照射すると表面の水素原子が引き抜かれ、そこに活性酸素が導入されると表面に酸素原子が結合してC−OやC=O結合が生成され、ぬれ性が高まる。
界面活性剤処理は、界面活性剤の溶液中に基板を浸漬させて、引き上げた後にオーブンで乾燥させることによって薄膜が形成される。樹脂の基材100に対して3界面活性剤を添加した後にオーブンで50度10時間ベークさせると、親水性の表面を得ることができる。
尚、上述したコロナ放電、グロー放電プラズマ等のプラズマ処理と、UVオゾン処理とは、基板を変性するためのものであり、界面活性剤処理は基板上に形成するためのものである。
(5)温度やPH等の変化による親水性、撥水性の切換え
温度により親水性と撥水性が切換わる樹脂については、例えば、以下の文献が知られている(例えば、特許文献4参照)。
特開平7−318551号公報 この特許文献3によれば、例えば、表面にアミノ基、カルボキシル基、水酸基等を有する担体を、末端にアミノ基、カルボキシル基、水酸基等を有するポリアルキルアクリルアミド、或いはその共重合体で化学修飾することにで達成される。
以上、第9乃至第14の実施形態で述べたように、スライド式バルブを構成する部材(基板)の所定部位に、例えば第9の実施形態及び第10の実施形態等に代表されるように表面形状を変化させる、第14の実施形態(3)及び(4)等に代表されるように部材の表面自体を変性させる、または第11の実施形態並びに第14の実施形態(1)及び(2)等に代表されるように部材表面に成膜する等の所定の表面処理を行うことで、高性能なスライド式バルブ装置を提供することができる。
更に、上記表面処理は、バルブの使用目的(流れる流体の特性)に応じた処理であったり、温度、接触している流体のPH等の特性、外部環境等に応じて処理表面の特性が変化するものであっても良い。
また、上述したような表面処理は、処理される部位、処理へ方法、バルブの製造方法に応じて、第1の部材若しくは第2の部材またはガイド部材が分離される前、分離された後、組み立てられる前、組み立てられた後、製造工程の最初、最後など、適切な工程で行うことができる。
(第15の実施形態)
次に、図34を参照して、本発明の第15の実施形態を説明する。
図34は本発明の第15の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示すもので、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材1と第2の部材94とを有して構成されている。そして、第1の部材1の所定箇所には貫通孔5が、また第2の部材94の所定箇所には貫通孔95が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、貫通孔5が形成されている第1の部材1の表面部には開口部5aが、同様に、貫通孔95が形成されている第2の部材の表面部には開口部95aが設けられている。
そして、第1の部材1と第2の部材94のそれぞれ対向する面の少なくとも一方側の面、この場合第2の部材94の第1の部材1と対向する面97側は、第2の部材94のガイド部材25と対向する面96よりも滑らかな面となっている。
このように、開口部が設けられている面または当該面に対向する面は、その面荒れが大きすぎると互いの面間隔に流体がリークしやすくなる。一方、当該部材の他の面は流体リークとは関係しないので、加工精度を落として多少荒れていても構わない。したがって、第15の実施形態の構成により安価なバルブ装置を提供可能となる。
(第16の実施形態)
次に、図35及び図36を参照して、本発明の第16の実施形態について説明する。
図35は本発明の第16の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す斜視図であり、図36(a)は第16の実施形態によるスライド式バルブ装置の第1の状態を示した断面図、(b)は第16の実施形態によるスライド式バルブ装置の第2の状態を示した断面図、(c)は第16の実施形態によるスライド式バルブ装置の第3の状態を示した断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材100と、第2の部材105と、第3の部材109とを有して構成されている。そして、第1の部材100の所定箇所には複数個、この場合3つの貫通孔101、102、103が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。また第2の部材105の所定箇所には、長孔状の貫通孔106及びコの字状の貫通孔107が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。更に、第3の部材109の所定箇所には、例えば第1の部材100に形成された貫通孔101、112、103に対応した3つの貫通孔110、111、112が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
そして、貫通孔101、102、103が形成されている第1の部材100の表面部には開口部101a、102a、103aが設けられている。同様に、貫通孔109、110、111が形成されている第3の部材109の表面部には開口部110a、111a、112aが設けられている。
また、上記第2の部材105の周囲には、この第2の部材105の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。このガイド部材25には複数個の接触部26が形成されると共に、第2の部材105を位置決めするための複数個の位置決め部27が形成されている。
尚、上記ガイド部材25は、該ガイド部材25により変位を規制する上記第2の部材105には連結されていない。
また、上記ガイド部材25に形成された接触部26及び位置決め部27は、変位する第2の部材105とは点接触または線接触するものである。
尚、上記ガイド部材25は、上記第2の部材105と同一母材から形成される。
このような構成に於いて、例えば、図36(a)に示されるように、第1の状態では、第2の部材105の貫通孔106によって、第1の部材100の貫通孔103と第3の部材109の貫通孔112とが連通している。これにより、第2の部材105の貫通孔106内に流体が溜まる。同様に、第2の部材105の貫通孔107によって、第1の部材100の貫通孔102と第3の部材109の貫通孔111とが連通している。これにより、第2の部材105の貫通孔107内に流体が溜まる。
次に、図36(b)に示されるように、第2の部材105がスライドしてガイド部材25の一方の側に当接した状態を第2の状態とする。この第2の状態では、第2の部材105の貫通孔106によって、第1の部材100の貫通孔101と第3の部材109の貫通孔110とが連通している。これにより、第2の部材105の貫通孔106内に溜まっていた流体が、第3の部材109の貫通孔110に導出される。
一方、図36(c)に示されるように、第2の部材105がスライドしてガイド部材25の他方の側に当接した状態を第3の状態とする。この第3の状態では、第2の部材105の貫通孔107によって、第1の部材100の貫通孔101と第3の部材109の貫通孔110とが連通している。これにより、第2の部材105の貫通孔107内に溜まっていた流体が、第3の部材109の貫通孔110に導出される。
このような構成とすることにより、例えば、第1の状態と、第2の状態及び第3の状態とで、連通する貫通孔を切換えることができる。したがって、流路を切換え制御することが可能になり、異なる容量の流体を所望の流路に導入することができる。
(第17の実施形態)
図37は、本発明の第17の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示すもので、(a)は断面図、(b)は(a)のスライド式バルブ装置から第1の部材を取り除いて示した上面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図37に於いて、所定箇所に貫通孔5が形成された第1の部材1の上面側には、位置検出部116として光検出器120からの光が照射される部分を除いて、光透過防止膜115が形成されている。
上記第1の部材1の下面側には、所定箇所に上記第1の部材1の貫通孔5と対応する貫通孔118が流路として形成された第2の部材117が、変位可能に設けられている。この第2の部材117には、また、接続部57が接続されている。更に、第2の部材117の上面側には、第1の部材1に対する第2の部材117の相対変位を検出するための位置検出手段が設けられている。この場合、位置検出手段は、位置検出されるための位置検出用パターン119と、この位置検出用パターン119を読取るための読取装置である位置検出器120により位置が検出されるための位置検出用パターン119が設けられている。
そして、上記第2の部材117の下面側には、所定箇所に貫通孔53が流路として形成されていると共に接続部57を挿通するための挿入部54が形成されている。
また、第2の部材117の周囲には、複数個の接触部26と複数個の位置決め部27が形成されたガイド部材25が設けられている。
尚、上記外部駆動装置42は、ガイド部材25により変位を規制される第2の部材2を図示矢印方向に駆動するためのものである。
このような構成にすることにより、変位する第2の部材117の位置を、外部の位置検出器120により検出可能となる。この位置情報を外部駆動装置42にフィードバックすれば、自由な位置に変位する第2の部材117を移動させることが可能となる。
尚、上記位置検出用パターン119は、凹凸、当該パターンが形成されている基板と反射率の異なる膜、貫通孔、不純物拡散層等で構成される。
また、上記位置検出部116は、貫通穴、当該検出部が形成されている部材と光透過率を変えたもの、不純物拡散層等で構成される。
更に、上記位置検出手段によって検出された位置に基づいて相対変位を制御する位置制御手段を有していても良い。
(第18の実施形態)
次に、本発明の第18の実施形態を説明する。
図38(a)は、本発明の第18の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材123と第2の部材126とを有して構成されている。そして、第1の部材123の所定箇所には2つの貫通孔124及び125が形成されている。また、第2の部材126の上面部の所定箇所には、上記貫通孔124及び125に対向する面上に水平に溝127が形成されている。これら貫通孔124及び125と溝127は、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
また、上記第2の部材126の周囲には、この第2の部材126の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。
尚、上記ガイド部材25には、上述した実施形態と同様に接触部、位置決め部が形成されているが、説明を簡略化するため、ここでは図示しないものとする。
このような構成に於いて、例えば、実線で示される第1の状態では、第2の部材126に形成された溝127が、第1の部材123の2つの貫通孔124及び125と連通する位置に設定されている。そして、第2の部材126が図示矢印方向にスライドされて、破線で示される第2の状態の位置に到達すると、貫通孔125と溝127は連通するものの、貫通孔124は溝127と連通しない状態となる。
このように構成することにより、バルブ装置内に流路が構成されるので、この流路を用いて化学操作を行ったり、また他の流路に連結する際、種々の容積の流量を切り取ったりして、オン、オフ制御が可能となる。
また、図38(a)では、流路としての溝を、第1の部材に対して変位する第2の部材の側に形成していたが、図38(b)に示されるように、第1の部材側に溝を設けても良い。
すなわち、スライド式バルブ装置は、相対的に変位可能に配設された第1の部材129と第2の部材131とを有して構成されている。そして、第2の部材131の所定箇所には2つの貫通孔132及び133が形成されている。また、第1の部材129の下面部の所定箇所には、上記貫通孔132及び133に対向する面上に水平に溝130が形成されている。これら貫通孔131及び132と溝130は、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
また、上記第2の部材131の周囲には、この第2の部材131の変位を規制する、流路を有さないガイド部材25が配設されている。
尚、上記ガイド部材25には、上述した実施形態と同様に接触部、位置決め部が形成されているが、説明を簡略化するため、ここでは図示しないものとする。
このような構成に於いて、例えば、実線で示される第1の状態では、第1の部材129に形成された溝130が、第2の部材131の2つの貫通孔132及び133と連通する位置に設定されている。そして、第2の部材131が図示矢印方向にスライドされて、破線で示される第2の状態の位置に到達すると、貫通孔132と溝130は連通するものの、貫通孔133は溝130と連通しない状態となる。
(第19の実施形態)
次に、本発明の第19の実施形態を説明する。
図39(a)は、本発明の第19の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
この第19の実施形態は、上述した第18の実施形態に於いて、水平の溝が形成された部材に対向する部材に、電極、拡散層等から構成されるセンサが形成されているものである。
すなわち、図39(a)に於いて、第1の部材123にて、貫通孔124と貫通孔125の間で、第2の部材の水平の溝127と対向する位置にセンサ135が設けられている。このセンサ135は、電極、拡散層等から構成されるもので、溝127に流れる流体の物理的特性、化学的特性を検出するためのものである。
その他の構成及び動作は、上述した第15の実施形態と同様であるので、同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
また、図39(b)に於いては、第2の部材131にて、貫通孔132と貫通孔133の間で、第1の部材の水平の溝130と対向する位置に、溝130に流れる流体の物理的特性、化学的特性を検出するためのセンサ136が設けられている。
その他の構成及び動作は、上述した第18の実施形態と同様であるので、同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
このように構成することにより、水平の溝に流れる流体の物理的、化学的特性をバルブ内で検出することが可能となるため、高性能のバルブ装置を提供可能である。
(第20の実施形態)
図40は、本発明の第20の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図40(a)に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材140と、相対的に変位可能に配設された第2の部材143とを有して構成されている。この第2の部材143の周囲には、ガイド部材25が配設されている。
そして、第1の部材140の所定箇所には複数個、この場合2つの貫通孔141、142が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。また、第2の部材143の所定箇所には、上記第1の部材140との対向面に、上記2つの貫通孔141、142に連通する溝144が、流体が移動するための流路として形成されている。
更に、図40(b)に示されるように、上記第1の部材140の対向面側で、上記第2の部材143が配設されたのと反対側には、第3の部材145が配設されている。そして、この第3の部材145の所定箇所には、第1の部材の2つの貫通孔141、142に連通した溝146、147が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
このように構成することにより、2つの貫通孔を介して接続される流路間を流れる流体を制御することが可能になる。
(第21の実施形態)
次に、本発明の第21の実施形態を説明する。
図41は、本発明の第21の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図41に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材1と、相対的に変位可能に配設された第2の部材2と、第3の部材150及び第4の部材154とを有して構成されている。また、上記第2の部材2の周囲には、ガイド部材25が配設されている。
上記第1の部材1の所定箇所には、流体が移動するための流路としての貫通孔5が形成されている。また、第2の部材2の所定箇所には、上記第1の部材1の貫通孔5と連通可能な貫通孔3が、流体が移動するための流路として形成されている。
上記第3の部材150は、上記第2の部材2の対向面側で、上記第1の部材1が配設されたのと反対側に配設されている。そして、この第3の部材150の所定箇所には、第2の部材2の貫通孔3と連通した貫通孔151と、この貫通孔151に連通して水平方向に延出した溝(チャンネル流路)153と、更にこの溝153と連通した貫通孔152が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
そして、第3の部材150の上記第2の部材2との対向面と反対側には、上記溝153を覆うようにして第4の部材154が配設されている。尚、上記第3の部材150と第4の部材154とで、マイクロチャンネル構造体を形成している。
このような構成に於いて、例えば、第1の部材1の貫通孔5より導入される流体(図示せず)は、第2の部材2の貫通孔3を介して、第3の部材150に形成された貫通孔151、溝153を経て貫通孔152より導出される。ここで、第2の部材2がスライドすることによって、貫通孔3を流れる流体の量が制御される。つまり、上記貫通孔や溝で構成される流路に流れる流体を制御することができる。勿論、この流体の制御は、貫通孔152から貫通孔5に向かって流れる場合にも適用可能である。
このように構成することにより、第3の部材に於いて水平に延出した溝は第4の部材で覆われているので、上記第1及び第2の部材が第3の部材より小さくても、上記溝の中を流体が流れることが可能である。
相対的に可動する第1及び第2の部材の作製は手間がかかるため、これらを半導体製造技術を用いて同一基板上で多数作製し切断分離した後に、第3の基板上に接合すれば、安価に高精度の化学操作を行うことのできる、小型で高性能のバルブ装置を提供することが可能となる。
尚、上述した第3の部材と第4の部材は、マイクロチャンネル構造体を形成しているとしたがこれに限られるものではなく、第3の部材と第4の部材の両者が、元々一体に構成されているものであっても良い。
(第22の実施形態)
次に、本発明の第22の実施形態を説明する。
図42は、本発明の第22の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図42に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材1と、相対的に変位可能に配設された第2の部材2と、第3の部材155及び第4の部材158とを有して構成されている。また、上記第2の部材2の周囲には、ガイド部材25が配設されている。
上記第1の部材1の所定箇所には、流体が移動するための流路としての貫通孔5が形成されている。また、第2の部材2の所定箇所には、上記第1の部材1の貫通孔5と連通可能な貫通孔3が、流体が移動するための流路として形成されている。
上記第3の部材155は、上記第2の部材2の対向面側で、上記第1の部材1が配設されたのと反対側に配設されている。そして、この第3の部材155の所定箇所には、第2の部材2の貫通孔3と連通した貫通孔156と、この貫通孔156と離間して設けられた貫通孔157が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
そして、第3の部材155の上記第2の部材2との対向面と反対側には、水平方向に延出された溝(チャンネル流路)159が形成された第4の部材158が配設されている。上記溝159は、上記第3の部材に形成された2つの貫通孔156と157とを連通するようにしている。
尚、上記第3の部材155と第4の部材158とで、マイクロチャンネル構造体を形成している。
このような構成に於いて、例えば、第1の部材1の貫通孔5より導入される流体(図示せず)は、第2の部材2の貫通孔3、更には第3の部材155に形成された貫通孔156を介し、第4の部材の溝159を経て、第3の部材155の貫通孔157より導出される。ここで、第2の部材2がスライドすることによって、貫通孔3を流れる流体の量が制御される。つまり、上記貫通孔や溝で構成される流路に流れる流体を制御することができる。勿論、この流体の制御は、貫通孔157から貫通孔5に向かって流れる場合にも適用可能である。
このように構成することにより、第4の部材に水平方向に延出された溝は第3の部材で覆われているので、上記第1及び第2の部材が、溝の形成されている第4の部材より小さくても、上記溝の中を流体が流れることが可能である。
尚、上述した第3の部材と第4の部材は、マイクロチャンネル構造体を形成しているとしたがこれに限られるものではなく、第3の部材と第4の部材の両者が、元々一体に構成されているものであっても良い。
(第23の実施形態)
次に、本発明の第23の実施形態を説明する。
図43は、本発明の第23の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図43に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材1と、この第1の部材1の上面側で相対的に変位可能に配設された第2の部材2と、第3の部材150及び第4の部材154とを有して構成されている。また、上記第2の部材2の周囲には、ガイド部材25が配設されている。
上記第1の部材1の所定箇所には、流体が移動するための流路としての貫通孔5が形成されている。また、第2の部材2の所定箇所には、上記第1の部材1の貫通孔5と連通可能な貫通孔3が、流体が移動するための流路として形成されている。
上記第3の部材150は、上記第1の部材1の対向面側で、上記第2の部材2が配設されたのと反対側に配設されている。そして、この第3の部材150の所定箇所には、第1の部材1の貫通孔5と連通した貫通孔151と、この貫通孔151に連通して水平方向に延出した溝(チャンネル流路)153と、更にこの溝153と連通した貫通孔152が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
そして、第3の部材150の上記第1の部材1との対向面と反対側には、上記溝153を覆うようにして第4の部材154が配設されている。尚、上記第3の部材150と第4の部材154とで、マイクロチャンネル構造体を形成している。
このような構成に於いて、例えば、第2の部材2の貫通孔3より導入される流体(図示せず)は、第1の部材1の貫通孔5を介して、第3の部材150に形成された貫通孔151、溝153を経て貫通孔152より導出される。ここで、第2の部材2がスライドすることによって、上記貫通孔や溝で構成される流路に流れる流体を制御することができる。勿論、この流体の制御は、貫通孔152から貫通孔3に向かって流れる場合にも適用可能である。
このように構成することにより、第3の部材に於いて水平に延出した溝は第4の部材で覆われているので、上記第1及び第2の部材が第3の部材より小さくても、上記溝の中を流体が流れることが可能である。
相対的に可動する第1及び第2の部材の作製は手間がかかるため、これらを半導体製造技術を用いて同一基板上で多数作製し切断分離した後に、第3の基板上に接合すれば、安価に高精度の化学操作を行うことのできる、小型で高性能のバルブ装置を提供することが可能となる。
尚、上述した第3の部材と第4の部材は、マイクロチャンネル構造体を形成しているとしたがこれに限られるものではなく、第3の部材と第4の部材の両者が、元々一体に構成されているものであっても良い。
(第24の実施形態)
次に、本発明の第24の実施形態を説明する。
図44は、本発明の第24の実施形態によるスライド式バルブ装置の構成を示す断面図である。
尚、以下に述べる実施形態に於いて、スライド式バルブ装置の構成等について、上述した実施形態と同じ部分には同一の参照番号を付して、その図示及び詳細な説明は省略する。
図44に於いて、本実施の形態に於けるスライド式バルブ装置は、第1の部材1と、この第1の部材1の上面側で相対的に変位可能に配設された第2の部材2と、第3の部材155及び第4の部材158とを有して構成されている。また、上記第2の部材2の周囲には、ガイド部材25が配設されている。
上記第1の部材1の所定箇所には、流体が移動するための流路としての貫通孔5が形成されている。また、第2の部材2の所定箇所には、上記第1の部材1の貫通孔5と連通可能な貫通孔3が、流体が移動するための流路として形成されている。
上記第3の部材155は、上記第1の部材1の対向面側で、上記第2の部材2が配設されたのと反対側に配設されている。そして、この第3の部材155の所定箇所には、第1の部材1の貫通孔5と連通した貫通孔156と、この貫通孔156と離間して設けられた貫通孔157が、それぞれ流体が移動するための流路として形成されている。
そして、第3の部材155の上記第1の部材1との対向面と反対側には、水平方向に延出された溝(チャンネル流路)159が形成された第4の部材158が配設されている。上記溝159は、上記第3の部材に形成された2つの貫通孔156と157とを連通するようにしている。
尚、上記第3の部材155と第4の部材158とで、マイクロチャンネル構造体を形成している。
このような構成に於いて、例えば、第2の部材2の貫通孔3より導入される流体(図示せず)は、第1の部材1の貫通孔5、更には第3の部材155に形成された貫通孔156を介し、第4の部材の溝159を経て、第3の部材155の貫通孔157より導出される。ここで、第2の部材2がスライドすることによって、上記貫通孔や溝で構成される流路に流れる流体を制御することができる。勿論、この流体の制御は、貫通孔157から貫通孔3に向かって流れる場合にも適用可能である。
このように構成することにより、第4の部材に水平方向に延出された溝は第3の部材で覆われているので、上記第1及び第2の部材が、溝の形成されている第4の部材より小さくても、上記溝の中を流体が流れることが可能である。
尚、上述した第3の部材と第4の部材は、マイクロチャンネル構造体を形成しているとしたがこれに限られるものではなく、第3の部材と第4の部材の両者が、元々一体に構成されているものであっても良い。また、上述したような表面処理が、第2の部材の第3の部材と対向する面や第3の部材にも行われていても良いのは、言うまでもない。
尚、請求項1に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項1に記載の発明によれば、所定の部位に所定の表面処理を施すことで、高性能なスライド式バルブ装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項2に記載の発明によれば、一体的に第1の部材と第2の部材を形成可能となるので、高性能で安価なバルブ装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項3に記載の発明によれば、小型で安価なバルブ装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項4に記載の発明によれば、一体的に変位方向のガイド部材及び変位の規制部を組み付けることが可能となるので、高性能で安価なバルブ装置を提供することが可能となる。
請求項5に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項5に記載の発明によれば、高性能のバルブ装置を提供することが可能となる。
請求項6に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項6に記載の発明によれば、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上したり、漏れ性が低減したりするので、高性能のバルブ装置を提供することが可能となる。
請求項7に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項7に記載の発明によれば、流体を漏らすことなく、変位する部材が容易に変位可能となるため、変位させるための駆動力が小さくて済むので、小型で安価なバルブ装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項8に記載の発明によれば、小型で安価なバルブ装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項9に記載の発明によれば、流体が流路以外を流れにくくなるので、漏れが低減するため、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項10に記載の発明によれば、容易に表面処理が可能となるので、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項11に記載の発明によれば、流路内を親水処理すれば、水は流路内を流れやすくなるので、高性能なバルブ装置を提供することが可能である。
請求項12に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項12に記載の発明によれば、開口部に向かって流体が流れやすくなるので、高性能なバルブ装置を提供することが可能である。
請求項13に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項13に記載の発明によれば、表面処理が簡単であり、安価で高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項14に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項14に記載の発明によれば、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上したり、漏れ性が低減したりするので、高性能のバルブ装置を提供することが可能である。
請求項15に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項15に記載の発明によれば、表面処理が容易になるため、安価で高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項16に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項16に記載の発明によれば、化学処理等を行う流路に流体が入りやすくなるので、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項17に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項17に記載の発明によれば、撥水部には水は流れにくいので、水を流したくない部位に本処理を施せば、所定の部位にのみ水を流すことが可能となり、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項18に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項18に記載の発明によれば、親水部には水が流れやすいため、水を流したい部位に本処理を施すことで容易に水が流れるので、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項19に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項19に記載の発明によれば、撥油部には油脂は流れにくいので、流体が油脂である場合に油脂を流したくない部位に本処理を施せば、所定の部位にのみ流体を流すことが可能となり、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項20に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項20に記載の発明によれば、親水性になるため、所定の部位にのみ水を流すことが可能となるので、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項21に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項21に記載の発明によれば、流体を流したい部位の流体に対する濡れ性が相対的に向上するので、本処理を施すことで容易に流体が流れ、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項22に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項22に記載の発明によれば、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上するので、高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項23に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項23に記載の発明によれば、化学的、物理的、若しくは機械的処理により、表面処理を行うことで、高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項24に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項24に記載の発明によれば、基板の表面形状を変化させることで、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上したり、漏れ性が低減したりするので、高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項25に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項25に記載の発明によれば、微細な凹凸等を形成することで、基板の表面形状を変化させることができる。
請求項26に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項26に記載の発明によれば、微細な凹凸等を容易に形成可能となるので、撥水性や摺動性を向上させることが可能となるため、安価に高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項27に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項27に記載の発明によれば、微細な凹凸等を容易に形成可能となるので、撥水性や摺動性を向上させることが可能となり、安価に高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項28に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項28に記載の発明によれば、微細な凹凸等を容易に形成可能となるので、撥水性や摺動性を向上させることが可能となり、安価に高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項29に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項29に記載の発明によれば、微細な凹凸等を容易に形成可能となるので、撥水性や摺動性を向上させることが可能となり、安価に高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項30に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項30に記載の発明によれば、基板自体の費用面を編成させることで、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上したり、漏れ性が低減したりするので、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項31に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項31に記載の発明によれば、基板表面に膜を形成することで、変位する部材と対向する部材の間での摺動性が向上したり、漏れ性が低減したりするので、高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項32に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項32に記載の発明によれば、PTFE等の炭素を含む材料により、低摩擦の膜を形成することができる。
請求項33に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項33に記載の発明によれば、PTFE、フッ素系樹脂、フッ素系高分子等のフッ素を含む材料により、撥水性の膜を形成することができる。
請求項34に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項34に記載の発明によれば、低摩擦で、且つ撥水、撥油機能を持つPETE膜を形成することにより、バルブ変移部の駆動力を低減させると共に、リーク量を低減させることも可能となるので、高性能で小型、且つ安価なバルブ装置を提供することが可能となる。
請求項35に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項35に記載の発明によれば、部材の材質に応じた適切な表面処理を行うことで、より高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項36に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項36に記載の発明によれば、流体の特性に応じた適切な表面処理を行うことで、より高性能のバルブ装置を提供することが可能となる。
請求項37に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項37に記載の発明によれば、接する流体の特性によって異なる特性の表面状態となるので、上記流体の特性に基づいて流体を識別することが可能となるため、高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項38に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項38に記載の発明によれば、外部環境によって異なる特性の表面状態となるので、上記外部環境に基づいて流体を識別することが可能となるため、高性能のバルブ装置を提供することができる。
請求項39に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項39に記載の発明によれば、所定の部位に容易に表面処理が可能であり、表面処理方法の選択の自由度が高いので、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項40に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項40に記載の発明によれば、所定の部位に容易に表面処理が可能であり、表面処理方法の選択の自由度が高いので、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項41に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項41に記載の発明によれば、まとめて表面処理を行うことが可能となるので、工程を減らすことができ、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項42に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項42に記載の発明によれば、所定の部位に容易に表面処理を行うことが可能であり、表面処理方法の選択の自由度が高いので、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項43に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項43に記載の発明によれば、所定の部位に容易に表面処理を行うことが可能であり、表面処理方法の選択の自由度が高いので、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項44に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項44に記載の発明によれば、まとめて表面処理を行うことが可能となるので、工程を減らすことができ、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
請求項45に記載の発明に関する実施形態は、第10乃至第14の実施形態が対応する。そして、請求項45に記載の発明によれば、まとめて表面処理を行うことが可能となるので、工程を減らすことができ、安価で高性能なバルブ装置を提供することができる。
1、11…第1の部材、2、15…第2の部材、3、5、12、17、21、72、162…貫通孔、3a、5a…開口部、13…犠牲層、15a…薄膜化部、16…膜、20…第3の部材、25…ガイド部材、26…接触部、27…位置決め部、70…シリコン基板、70a…突起、71…酸化シリコン膜、160…部材、161、167、168、169、170…表面処理部。