JP2006142242A - マイクロ液体制御デバイス - Google Patents

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美知雄 高山
Takehiko Kitamori
武彦 北森
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Abstract

【課題】精度の高い気液界面を形成可能で、ゴミやパーティクルその他不純物の付着のないマイクロ液体制御デバイスを提供することである。
【解決手段】マイクロ液体制御デバイスは、シリコン基板11とガラス基板16とを、陽極接合法を用いて接合することにより作成する。そして、上記シリコン基板11に液体が流れる流路17として、深さの異なる第1の溝12及び第2の溝13を形成する。更に、シリコン基板11とガラス基板16が対向する部分で、上記流路と空間的に接続されていると共に、上記流路17の深さ及び幅のどちらか狭い方よりも狭い間隙を有する部分に狭間隙部17aを形成する。また、狭間隙部17aのシリコン基板11側に、撥水性金属膜14を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体の微細加工技術を用いて製造される液体制御用デバイスに関する。
近年、マイクロ流路デバイスを用いての化学・生化学分析システム小型化の研究が活発に行われている。マイクロ流路デバイスは、一般に、流路を形成した基板と、蓋となる基板とを貼り合わせることで作製される。
こうした化学或いは生化学分野での反応、分析に於いて、流体を停止させたり、流れ方向を切換えたりする流体制御は不可欠である。
流体を簡便に流路中で停止させる手法としては、流路中に流路断面積を小さくした部分を設け、この部分の流路壁面を撥水処理したパッシブバルブが提案されている。撥水性壁面を有する流路に於いて、流路断面積が小さくなると、流路抵抗が非常に大きくなるため、この流路抵抗に打ち勝つ高圧力で流体を移送したときのみ、流体が流れる。
パッシブバルブを開放流路端に設けたマイクロ流体デバイスに於いては、低圧力での流体移送時には、気液界面がパッシブバルブに形成されることになる。
一般的に作製されるパッシブバルブは、マイクロ流路デバイス基板の水平方向に流路幅を狭めることで、流路断面積を小さくしている。パッシブバルブ部のみに撥水処理を施すうえで、上記パッシブバルブ構造に於いては、基板に垂直な流路側面に撥水処理膜を形成する必要がある。しかしながら、膜厚が均一で高品質の膜を形成するのは困難である。
また、陽極接合法は、接着剤を使用しないため、流路への接着剤はみ出しや、接着剤不足による蓋の接合不良がなく、化学、生化学分析システムに於いて致命的となる汚染の心配が少ない。一方、接着剤を用いない基板接合方法としては、拡散接合法もあるが、接合温度が700℃以上であり、撥水処理膜の耐熱限界を超えてしまう。
これに対し陽極接合法での接合温度は200〜400℃であるため、撥水処理膜が耐えられる温度である。
このような観点から、パッシブバルブを形成したマイクロ流体デバイスの形成に於いて、陽極接合法は極めて有望な基板接合方法と考えられている。
しかしながら、陽極接合法は、基板間に高電界を印加するため、強い静電吸引力にて基板同士が引付けられ、狭間隙部がつぶれて接合されてしまう。
陽極接合にて狭間隙を維持する手法としては、例えば、ガラス基板上に金属膜を形成しておけばよい(例えば、特許文献1参照)。
図13は、この従来の手法を模式的に示した図である。
陽極接合に於いて、シリコン(Si)基板1上に形成されたガラス基板2中のNaイオンは、ヒータ5によって200〜400℃に加熱されることにより、ガラス内を移動可能となる。そして、500V前後の強電界が、電源6によってシリコン基板1側を陽極として印加されることにより、Naイオンは陰極に引き寄せられて析出される。この結果、ガラス基板2とシリコン基板1とが直接接した場所に於けるガラス中の負イオン密度は、シリコンとの接合界面に於いて最大となる。これにより、ガラス、シリコン界面には、急峻な電界勾配が形成される。
この電界勾配により、ガラス基板2とシリコン基板1との間に強い静電引力が発生する。したがって、両基板は引き寄せられ、その間隙3が原子オーダに達すると、ガラス中の酸素とシリコンとが化学結合して、強固な接合が達成される。
一方、ガラス基板2に金属膜4を形成した場所では、金属膜4がシリコン基板1と接した時点でシリコン基板1と同電位となってしまうため、静電引力は緩和されてしまう。したがって、共有結合がなされないために両基板が接合されることはなくなる。
特開平9-329518号公報
しかしながら、金属膜は一般に親水性であるため、狭間隙部3aが形成されても、液体の流路抵抗は十分に高まらず、パッシブバルブとして作用させることができない。したがって、気液界面を形成することができない。
また、パッシブバルブに於いて、精度の高い気液界面を形成するためには、狭間隙部3aの間隙寸法は厳密に管理されなければならない。加えて、金属膜4を形成する場合はその膜厚や膜質も均一でなければならない。
更に、マイクロ流路デバイスの流路内に、ゴミやパーティクル、その他不純物等が入ると、分析・反応等への利用に於いて高精度な分析・反応ができなくなる。こうした膜厚精度や膜の均質性の高い成膜は、半導体製造に用いられる装置を使用することで可能であり、また、ゴミやパーティクル、その他不純物の付着も低減する。
しかしながら、陽極接合可能なガラス基板2にはナトリウム等のアルカリ金属イオンが含まれている。アルカリ金属イオンは、半導体デバイスの電気特性を劣化させるため、半導体装置内にそのようなガラス基板を入れることは一般に敬遠されるものである。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、陽極接合法を用いて狭間隙を形成することで、精度の高い気液界面を形成可能で、ゴミやパーティクルその他不純物の付着のないマイクロ液体制御デバイスを提供することを目的とする。
すなわち、第1の発明は、ガラス部材と半導体部材とを陽極接合法を用いて接合することにより作成した、液体の動きを制御するマイクロ液体制御デバイスに於いて、上記液体が流れる流路と、上記流路と空間的に接続されていると共に、上記流路の深さ及び幅のどちらか狭い方よりも狭い間隙を有する上記ガラス部材と上記半導体部材が対向する狭間隙部と、を具備し、上記狭間隙部の上記半導体部材側に撥水性金属膜が形成されていることを特徴とする。
このように構成されることにより、撥水性金属膜が狭間隙部に形成されており、撥水性金属膜は導電性であり、且つ撥水性の性質を併せ持つため、陽極接合に於いて基板間に働く静電吸引力を緩和させ狭間隙を形成可能にすると共に、狭間隙部を撥水性にするため、低圧力の液体移送時には気液界面を形成することが可能となる。また、撥水性金属膜は半導体部側に形成されているため、半導体製造に使用される装置を用いることができるので、極めて膜厚精度の高く、均質な膜質の成膜が可能であり、加えて、ゴミやパーティクル、その他不純物の付着も少なくすることができる。したがって、デバイスの撥水特性が安定するため、精度の高い気液界面が形成可能となる。また、デバイス流路内にゴミやパーティクル、不純物の付着が無いため、精度の高い分析・反応等に利用可能となる。
その他の発明は、上記撥水性金属膜として、撥水性粒子分散金属膜が形成されていることを特徴とする。
このように構成することにより、より安定した気液界面を形成することが可能となる。
その他の発明は、上記狭間隙部に対向するガラス部材の面は撥水処理が施されている部分を含むことを特徴とする。
このように構成することにより、撥水性金属形成面と対向したガラス面にも撥水処理がなされているので、より安定した気液界面が形成可能となる。
その他の発明は、上記撥水処理として、上記狭間隙部の上記ガラス部材側に上記撥水性金属膜が形成されていることを特徴とする。
このように構成されることにより、撥水性金属形成面と対向したガラス面にも撥水性金属膜が形成されているので、より安定した気液界面が形成可能となると共に、陽極接合時の静電吸引力がいっそう緩和しやすくなるので、安定して作製可能となる。
その他の発明は、上記狭間隙に於いて気液界面が形成されることを特徴とする。
このように構成されることにより、狭間隙部に於いて気体は容易に通過可能であるが、液体は間隙幅により流路抵抗が大きく変わる。したがって、このように構成したマイクロ液体制御デバイスに於いては、液体の制御が容易となる。
その他の発明は、上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して垂直方向に形成されることを特徴とする。
このように構成されることにより、液体の流れ方向への進行の作動・停止を容易にすることが可能となる。
その他の発明は、上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して平行に形成されることを特徴とする。
このように構成されることにより、液体の流れ方向以外への液体進行を容易に防止することが可能となる。
その他の発明は、上記気液界面は、上記液体の流れる流路と上記流路に平行して形成された気体の流路となる上記狭間隙部分との間に形成されることを特徴とする。
このように構成されることにより、液体の流れ方向以外への液体進行を容易に防止することができるので、液体と気体が平行して安定に流れることが可能となる。
その他の発明は、上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して垂直に形成される状態と、平行に形成される状態とを含む少なくとも2つの状態をとることを特徴とする。
このように構成されることにより、液体の流れ方向への進行の作動・停止を容易にすることが可能となると共に、液体の流れ方向以外への漏れや進行を防止することができる。
その他の発明は、上記液体が流れる流路につながる第1の開口部を有する上記ガラス部材と、上記ガラス部材と接合して固定された第1の半導体部材と、上記ガラス部材に対して上記狭間隙を有すると共に相対的に移動可能に設けられ、且つ上記液体が流れる流路につながる第2の開口部を有する第2の半導体部材とで構成された上記半導体部材と、を具備し、上記第1の開口部と上記第2の開口部との位置を相対的に変化させることにより、上記開口部同士が接続した状態と離れた状態とを切り替えることが可能であることを特徴とする。
このように構成されることにより、第1及び第2の開口部と第3の開口部との位置を相対的に変化させることにより、開口部同士が接続した状態と離れた状態とを切り替えることを可能にすることで、第2の開口部から第3の開口部に向かって流れる液体を機械的に制御することが可能である。このようなデバイスに於いてはガラス部材と半導体部材との間隙を狭く一定にすることが重要であるが、本構成とすることにより制御性よく狭間隙を形成できるので、安定して液体を機械的に制御するマイクロ液体制御デバイスを作製することが可能となる。
その他の発明は、上記第1の開口部と上記第2の開口部との位置を相対的に変化させることによって、上記狭間隙部に形成される気液界面が、上記液体の流れる方向に対して垂直に形成される状態と平行に形成される状態とを含む少なくとも2つの状態をとることを特徴とする。
このように構成されることにより、液体の進行方向への作動・停止を、より安定化すると共に、進行方向以外への漏れを防止することができる。
本発明によれば、陽極接合法を用いて狭間隙を形成することで、精度の高い気液界面を形成可能で、ゴミやパーティクルその他不純物の付着のないマイクロ液体制御デバイスを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るマイクロ液体制御デバイスの実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、図1乃至図5を参照して、本発明のマイクロ液体制御デバイスの第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を示す断面図である。
図1に示されるように、このマイクロ液体制御デバイス10は、例えば、シリコン(Si)等の半導体部材である第1の部材11と、例えば、パイレックス(登録商標)ガラス等のガラス基板から成る第2の部材16とが接合されて構成される。
第1の部材11には、深さの異なる第1の溝12と、第2の溝13とが形成されている。そして、これら第1の溝12と第2の溝13は、連結していて1つの流路を形成している。このうち、浅い方の溝である第2の溝13の底面部には、撥水性金属膜14が形成されている。撥水性金属膜14としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の撥水性樹脂を微粒子化したものを、例えばNi、Au等の金属膜に分散した撥水性粒子分散金属膜が利用可能である。
上記第1の部材11の第1の溝12を形成した面には、第2の部材16が、陽極接合法を用いて接合されており、第1の溝12及び第2の溝13の蓋部となっている。また、第2の溝13の底面部に形成された撥水性金属膜14表面と第2の部材16との間隙は、例えば10μm以下であり、狭間隙部17aとして構成されている。
尚、第1の溝12の端部は液体導入口18aとなっており、第2の溝13の端部は液体導出口18bとなっている。
次に、図2及び図3を参照して、このように構成されるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明する。
先ず、図2(a)に示されるように、第1の部材(シリコン基板)11上に第1のエッチング時の第1のエッチングマスク21となる、例えばSiO2 、SiN等の膜が成膜される。そして、第1の溝12のパターンがこの第1のエッチングマスク21となる膜に形成されることで、第1の部材であるシリコン基板11上に第1のエッチングマスクが形成される。
次に、図2(b)に示されるように、この第1の溝12のパターン上に重なるように、第2の溝13のパターンを形成するための第2のエッチングマスク22が、例えばSiO2 、SiN等の膜から成る第2のエッチングマスク材により形成される。
更に、図2(c)に示されるように、例えば水酸化カリウム水溶液や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、フッ硝酸水溶液等での湿式エッチング法や六フッ化イオウガスや塩素ガス等が用いられた反応性イオンエッチング法等の乾式エッチングが用いられて、上記シリコン基板11が第1及び第2のエッチングマスク上からエッチング処理される。これにより、第1のエッチングによる溝12aが形成される。
次に、図2(d)に示されるように、上記第2のエッチングマスク22のみが剥離される。この時、第1のエッチングマスク21が剥離されないようにするため、第1のエッチングマスク21と第2のエッチングマスク22とは異なる膜材を用いたほうが好ましい。例えば、第1のエッチングマスク21にSiO2 、第2のエッチングマスク22にSiNが選択された場合、加熱されたリン酸水溶液が用いられることで、第2のエッチングマスク22であるSiN膜のみが選択的にエッチング除去されることが可能である。
また、同一材質が用いられた場合にも、第2のエッチングマスク22の膜厚を第1のエッチングマスク21の膜厚よりも十分薄くしておくことで、時間制御により第1のエッチングマスク21を残して第2のエッチングマスク22を剥離することが可能となる。
次に、図2(e)に示されるように、再び上述したような方法が用いられて、シリコン基板11が第1のエッチングマスク21上からエッチングされる。これにより、第2のエッチングマスク22が形成されていた部分に溝(第2の溝13)が形成されると共に、上述した第1のエッチングによる溝が深堀りされて、第2のエッチングによる溝(第1の溝12)が形成される。
そして、図3(a)に示されるように、第1のエッチングマスク21がシリコン基板11上から剥離される。この際には、例えば第1のエッチングマスク21としてSiO2 が用いられた場合には、フッ化水素酸水溶液等を用いた湿式エッチング等を用いることができる。
次いで、図3(b)に示されるように、上述した第2のエッチングマスク22が形成されてあった部分に形成された溝(第2の溝13)の底部に、撥水性金属膜14が形成される。この撥水性金属膜14は、成膜後、その表面と第2の溝13の上端までの距離が10μm以下になるような厚さに形成される。これにより、溝上に蓋となる基板が接合された際、撥水性金属膜形成部に於いて溝底と蓋となるガラス基板16との間隙は10μm以下になるので、液体の流路抵抗が非常に大きくなる。
撥水性金属膜14としては、例えばPTFE粒子分散Niメッキ膜等の複合メッキ皮膜を利用することができる。また、複合メッキ皮膜は、例えば、フッ化黒鉛、PTFE、フッ化ピッチ等の撥水性粒子をメッキ液中に分散させ、電解或いは無電解メッキを行うことにより、金属メッキ膜中に撥水性粒子を共析させた複合膜である。この皮膜は、バルクとしては金属の性質を持ち導電性を有するが、表面は共析した撥水性粒子の影響で撥水性を持つことが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3151533号公報 PTFE粒子分散Niメッキ膜を用いて撥水性金属膜を形成する場合には、シリコン基板11上の撥水性金属膜形成部にのみ、例えば、厚さ100〜1000nm程度のNi薄膜を、スパッタ、真空蒸着法等を用いて形成する。この後、粒径が、例えば、10nm〜10μm程度のPTFE粒子が分散されたNiメッキ溶液が用いられてメッキ処理がなされることにより、上述したNi薄膜上にのみPTFE粒子分散Niメッキ膜を形成することができる。
次に、図3(c)に示されるように、第2の部材である例えばガラス基板16がシリコン基板11上の流路形成面に重ねられ、陽極接合法により接合される。本製造方法によれば、第2の溝13底面部には撥水性金属膜14が形成されている。
撥水性金属膜14がAu、Pt、Co、Mo等の酸化しにくい金属を主成分とするものであれば、陽極合時にガラス中の酸素と化学結合できないため、撥水性金属膜形成部は接合されない。また、撥水性金属膜14の主成分がNi、Al、Ti等の酸化性金属である場合にも、陽極接合過程で基板接合前に金属膜表面が酸化してしまうため、結局ガラス中の酸素と金属膜とが化学結合することはなく、2つの基板11、16は接合されない。
以上から、シリコン基板11に金属膜が形成されている箇所に於いては、基板は接合されなくなる。
したがって、第2の溝部に於けるガラス基板16と溝部の底との間隙が、一般的な値である10μm以下であっても、撥水金属膜14が形成されているので、間隙がつぶれて接合されてしまうことはなくなる。
また、撥水性の底面部を持つため、第2の溝13は液体の流路抵抗が非常に高くなる。加えて、陽極接合法にて流路の蓋となる第2の部材13を接合しているので、接着剤等を使用する必要がない。したがって、流路に有機溶剤等を流しても不純物が溶出することがないので、安定して精度の高い分析や反応に利用することができる。
最後に、図3(d)に示されるように、上記撥水性金属膜14の形成部に於いて、流路を形成する溝の長手方向と垂直の方向に、接合された基板が切断される。これによって、本実施形態によるマイクロ液体制御デバイスが作製される。
次に、本実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する。
図4は、第1の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。
本実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスは、流路中を流れる液体の進行の有無を、液体導入、若しくは吸引圧力の大小により制御する、いわゆるパッシブバルブを構成している。
本デバイスに於いて、第2の溝13の底部と蓋であるガラス基板16との間隙は10μm以下であり、第1の溝12の底部とガラス基板16との間隙よりも十分小さく形成されている。また、第2の溝13の底部には撥水性金属膜14が形成されているので、第2の溝13部底面は撥水性である。
以上の理由により、第1の溝部に比べ第2の溝部の流路抵抗は非常に大きくなっている。
図4(a)は、流路を流れる液体の、第2の溝13に於ける流路抵抗よりも液体導入若しくは吸引圧力が大きい場合の例を示している。この場合には、液体導入口18aより導入された液体は、図示矢印A方向に流れ、第2の溝13を通過して液体導出口18bへ流れ出る。
図4(b)は、流路を流れる液体の、第2の溝13に於ける流路抵抗よりも液体導入若しくは吸引圧力が小さい場合の例を示している。この場合には、液体導入口18aより導入された液体は図示矢印B方向に流れるが、第2の溝13に進入することができず、第1の溝12と第2の溝13の境界部に液体の端部が留まる。したがって、第1の溝12には液体が、第2の溝13には気体が留まることになり、気液界面25が、第1の溝12と第2の溝13の境界部に形成される。
尚、図5に示されるように、第2の溝13に対向するガラス基板16上にPTFE、フッ素樹脂等の撥水性膜26や、上述した撥水性金属膜を形成しておいてもよい。
これにより、第2の溝13の撥水性が更に向上して流路抵抗が大きくなるため、第1の溝12の流路抵抗との差が増大するので、より安定して液体を制御することが可能となる。
更に、上述した第1の実施形態では、撥水性金属膜14をシリコン基板11側に形成しているが、シリコン基板11側に形成せずにガラス基板16側に撥水性金属膜14を形成するようにしても、ある程度は第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、図6乃至図9を参照して、本発明のマイクロ液体制御デバイスの第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を示したもので、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C′線に沿った断面図である。尚、図6(a)に於いて、後述する第2の部材であるガラス基板は、説明の簡単化のため図示を省略している。
第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイス30に於いて、例えば、シリコン(Si)基板31から成る第1の部材には、液体導入口37から延出されて、液体・気体導出口39へとつながる第1の溝32が形成されている。そして、この第1の溝32の長手方向に沿って該第1の溝32の両側に第1の溝32と深さの異なる第2の溝33及び第3の溝34が形成されている。但し、第2の溝33及び第3の溝34の深さは、第1の溝32の深さよりも浅く形成される。
また、第2の溝33及び第3の溝34には、上記液体導入口37を挟むようにして、気体導入口38a及び気体導入口38bが形成されている。これら気体導入口38a及び気体導入口38bは、第1の溝32に沿って形成されている第2の溝33及び第3の溝34が、途中で第1の溝32より離れて独立した溝の先端部に形成されるものである。
つまり、各々の気体導入口38a及び38bから延出される第2の溝33及び第3の溝34は、共に上記第1の溝32と接続して、接続後は第2の溝33と第3の溝34とで第1の溝32を挟み、各々第1の溝32に沿って液体・気体導出口39へとつながるように形成されている。
第1の部材であるシリコン基板31の溝形成側には、例えばパイレックス(登録商標)ガラスで構成されたガラス基板40のような可動イオンを含む第2の部材が接合され、第1乃至第3の溝32〜34の蓋となっている。そして、上記第2の溝33及び第3の溝34の底面部には、それぞれ撥水性金属膜35及び36が形成されている。第2の溝33、第3の溝34の底部に形成された撥水性金属膜35及び36の表面とガラス基板32との間隙は、例えば10μm以下に狭く形成されて、狭間隙部33a及び34aが形成されている。
次に、図7及び図8を参照して、第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明する。
図7はマイクロ液体制御デバイスの製造工程を示す断面図であり、図8は製造工程中に用いられる第1のエッチングマスク及び第2のエッチングマスクを説明するための上面図である。
先ず、図8(a)に示されるように、Si等から成る第1の部材(シリコン基板)31上に、例えばSiO2 、SiN等から成る第1のエッチングマスクパターン41が形成される。この例では、第1のエッチングマスク41のパターンは上面から見ると、長手方向に沿って溝41aが形成されて、液体導入口37と気体導入口38a、38bに相当する部分が分岐した形状となっている。
その後、図7(a)及び図8(b)に示されるように、例えばSiO2 、SiN等から成る第2のエッチングマスク42a及び42bのパターンが第1のエッチングマスク41のパターン上の所定の位置に重ねて形成される。
第1のエッチングマスク41と第2のエッチングマスク42a、42bは、異なる材質である方が望ましい。両者を同一材質で形成する場合には、第2のエッチングマスク42a、42bの膜厚を第1のエッチングマスク41の膜厚よりも薄くすることが好ましい。
次に、図7(b)に示されるように、例えば水酸化カリウム水溶液や水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、フッ硝酸水溶液等での湿式エッチング法や六フッ化イオウガスや塩素ガス等が用いられた反応性イオンエッチング法等の乾式エッチングが用いられて、上記シリコン基板31に対して、第1のエッチングマスク41及び第2のエッチングマスク42a、42b上から第1のエッチング処理が行われる。こうして、第1のエッチングによる溝32aが形成される。
次に、図7(c)に示されるように、第2のエッチングマスク42a、42bのみが剥離される。この時、第1のエッチングマスク41が剥離されないようにするため、例えば第1のエッチングマスク41にSiO2 が、第2のエッチングマスク42a、42bにSiNが選択された場合、加熱されたリン酸水溶液を用いることで第2のエッチングマスクパターン42a、42bであるSiN膜のみを選択的にエッチング除去することが可能である。
また、同一材質が用いられた場合にも、第2のエッチングマスク42a、42bの膜厚を第1のエッチングマスク41の膜厚よりも十分薄くしておくことで、時間制御により第1のエッチングマスク41を残して第2のエッチングマスク42a、42bを剥離することが可能となる。
そして、図7(d)に示されるように、再び上述したような方法が用いられて、シリコン基板31に対して第1のエッチングマスク41上から第2のエッチング処理が行われる。これにより、第2のエッチングマスク42a、42bで保護されていた部分に溝33、34が形成されると共に、上述した第1のエッチングによる溝が深堀りされて、第2のエッチングによる溝32が形成される。
次に、図7(e)に示されるように、第1のエッチングマスク41がシリコン基板31上から剥離される。この際には、例えば第1のエッチングマスク41としてSiO2 を用いた場合にはフッ化水素酸水溶液等を用いた湿式エッチング等を用いることができる。
この後、上述した第2のエッチングマスク42a、42bで保護されていた部分に形成された第2の溝33及び第3の溝34の底部に、それぞれ撥水性金属膜35及び36が形成される。撥水性金属膜35及び36は、成膜後、その表面と溝上端までの距離が10μm以下になるような厚さに形成される。
最後に、図7(f)に示されるように、強電界が電源44によってシリコン基板31側を陽極として印加される陽極接合法により、ガラス基板40等から成る第2の部材が、上記第1の部材であるシリコン基板31の溝形成面側に接合される。これにより、上記シリコン基板31の撥水性金属膜35及び36が形成した部位に於ける溝部の底とガラス基板40との間隙は、10μm以下の狭間隙部となる。
また、この時、ガラス基板40に於ける、シリコン基板31の上記撥水性金属膜35及び36が形成された部位に対して対向する位置に、予めPTFEやフッ素樹脂のような撥水性膜や上記撥水性金属膜を形成しておいてから、両部材を陽極接合するようにしてもよい。
これにより、狭間隙部の撥水性が更に高まるので、液体の流路抵抗はいっそう高まる。
次に、図9を参照して、本第2の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する。
図9は、第2の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。
第1の溝32に連なる液体導入口37からは液体が、第2及び第3の溝33及び34に連なるそれぞれ第1及び第2の気体導入口38a及び38bから気体が導入される。このうち、第2の溝33及び第3の溝34は、それぞれの底面と、蓋となるガラス基板(第2の部材)40との間隙が、第1の溝32のそれよりも十分小さく、更に撥水性の面を有しているので、液体に対する流路抵抗は、第1の溝32よりも非常に大きい。この結果、第1の溝32に導入された液体は、該第1の溝32と平行して接している第2、第3の溝33、34に入り込むことはない。
一方、気体は溝部の底と蓋部材との間隙が10μm以下と狭く、撥水性膜が形成されていても、さほど流路抵抗は大きくない。したがって、第2、第3の溝33、34に導入された気体は、各流路を流れて液体・気体導出口39へと流れ出る。
以上の結果、極めて安定した気液界面48a及び48bが、第1の溝32と間隙部との境に、液体が流れる方向に平行に形成される。
このマイクロ液体制御デバイスを用いることにより、気体と液体とを相互作用させての分析・反応を安定して行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明のマイクロ液体制御デバイスの第3の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を説明するもので、(a)は上面図、(b)は(a)のD−D′線に沿った断面図である。尚、図10(a)に於いて、後述する第2の部材であるガラス基板は、説明の簡単化のため図示を省略している。
図10(b)に示されるマイクロ液体制御デバイス50に於いて、第1の半導体部材53a及び第2の半導体部材53bは、第1のガラス基板51と第2のガラス基板52により挟まれている。第1のガラス基板51及び第2のガラス基板52には、貫通された第1の開口部56及び第2の開口部57が、それぞれ形成されている。これら第1の開口部56及び第2の開口部57は、対応して重なるように配置されている。また、第2の半導体部材53bの所定箇所には、上記第1開口部56及び第2開口部57に対応して貫通された第3の開口部58が形成されている。
そして、上記第2の半導体部材53bと第1のガラス基板51及び第2のガラス基板52の間には、狭間隙部67及び68が形成されている。第2の半導体部材53bの第1のガラス基板51と対向する面と、第2のガラス基板52に対抗する面で、且つ上記第3の開口部58の近傍以外の部分には、それぞれ撥水性金属膜65及び66が形成されている。
上記第1の半導体部材53aと第1のガラス基板51及び第2のガラス基板52とは、陽極接合法を用いて接合されている。尚、第2の半導体部材53bは、第1の半導体部材53aで囲まれた枠内を、図示矢印E方向に移動可能である。そして、第2の半導体部材53bは、第3の開口部58が、上記第1のガラス基板51及び第2のガラス基板52に形成された第1の開口部56及び第2の開口部57と連結する位置及び連結しない位置に、相対的に位置を変えるよう移動可能となっている。
一方、図10(a)に示されるように、第2の半導体部材53bの周囲に、枠状に形成された第1の半導体部材53aが形成されている。この第1の半導体部材53aで第2の半導体部材53bと対向する面側の所定箇所には、第2の半導体部材53bの変位する方向を規制するための接触部62が複数個(この場合4個)、更に第2の半導体部材53bを位置決めするための位置決め部63が複数個(この場合3個)が、それぞれ形成されている。
また、上記第1の半導体部材53aに形成された接触部62及び位置決め部63は、変位する第2の半導体部材53bとは点接触または線接触するものである。
次に、図11を参照して、このように構成されたマイクロ液体制御デバイス50を作製する製造工程について説明する。
先ず、図11(a)に示されるように、第1及び第2の半導体部材を構成するSi等の半導体部材53が準備される。
次に、図11(b)に示されるように、上記半導体部材53の一部が両面からエッチングされる等により、薄膜化部53′が形成される。この時、両面での薄膜化量が概ね同等になるように注意する。
更に、図11(c)に示されるように、上記薄膜化部53′上の所定位置に、撥水性金属膜65及び66が成膜されることで、一体となった半導体部材が形成される。上記所定位置とは、後述する第2の半導体部材53bとなる際に形成される第3の開口部58を除く位置である。上記撥水性金属膜65及び66は、Si上に、例えばNi薄膜がスパッタ形成された後、撥水性粒子として、例えばPTFE粒子が分散されたNiメッキ液が用いられて、複合メッキが施されることで形成される。
一方、図11(a2)に示されるように、第1のガラス基板51が準備される。
次いで、図11(b2)に示されるように、上記第1のガラス基板51に貫通孔が形成されることで、第1の開口部56が形成される。この第1の開口部56は、例えば、薬液やガスによるエッチング、サンドブラスト、超音波、レーザ加工、ドリル等の機械加工等を用いて形成することができる。
次に、図11(c2)に示されるように、上記第1のガラス基板51の上面、すなわち、上記半導体部材53に於いて後に第2の半導体部材53bとなる部位に対向する箇所に、犠牲層70が形成される。犠牲層70の材質としては、例えば、レジスト等のSiやガラス基板、撥水性金属膜よりもエッチング除去されやすい膜が形成される。
ここで、図11(d)に示されるように、図11(c)に示される工程にて形成された一体となった半導体部材53と、図11(c2)に示される工程にて形成された第1のガラス基板51とが、陽極接合法が用いられて接合される。このとき、半導体部材53に形成される第3の開口部58となるべく位置と、第1のガラス基板51の第1の開口部56の位置と対向するように、位置合わせが行われて接合される。
そして、図11(e)に示されるように、半導体部材53の薄膜化部53′に、貫通孔が形成されることで第3の開口部58が形成される。それと共に、半導体部材53が第1の半導体部材53aと第2の半導体部材53bとに分離される。
また、図11(a3)及び(b3)に示される工程にて、上述した図11(a2)及び(b2)に示される工程と同様にして、第2のガラス基板53が加工されて第2の貫通孔としての第2の開口部57が形成される。
次いで、図11(f)に示されるように、上記第1のガラス基板51と第1の半導体部材53aとが一体的に接合されたものの第1の半導体部材53a側(図11(f)に於いて上側)に、更に第2のガラス基板53が位置合わせされて陽極接合される。
最後に、図11(g)に示されるように、犠牲層70が除去されることで、第2の半導体部材53bが第1のガラス基板51から切り離される。
以上により、本実施形態によるマイクロ液体制御デバイス50が完成する。
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する。
図12は、第3の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。
本マイクロ液体制御デバイス50の第2の半導体部材53bは、第3の開口部58が形成されている面と平行方向、すなわち図示矢印E方向に、第1の半導体部材53aに囲まれた範囲内で移動可能である。そして、第3の開口部58を、第1及び第2の開口部56及び57と連結する位置及び連結しない位置に配置させることが可能となっている。
第2の半導体部材53bの第3の開口部58の開口面と、それに対向する第1及び第2のガラス基板51及び52の面との間には、第2の半導体部材53bを移動可能とするための狭間隙部67及び68が、それぞれ形成されている。
ここで、本第3の実施形態のマイクロ液体制御デバイスの構造に於いて、撥水性金属膜を形成しなかった場合の例について説明する。
この場合、狭間隙部の流路抵抗はさほど大きくならないので、図12(c)に示されるように、第3の開口部58が第2の開口部57に連結しない位置に配置された状態に於いても、第2のガラス基板52に形成された第2の開口部57に液体を導入すると、狭間隙部68に液体は流れ込む。そして、第2の半導体部材53bの端部等を伝わって、反対面の狭間隙部67へと進行し、第1のガラス基板51に形成された第1の開口部56へと流れ込んで導出されてしまう。
図12(a)は、撥水性金属膜を有した第3の実施形態によるマイクロ液体制御デバイス50に於いて、第3の開口部58が、第1の開口部56及び第2の開口部57に連結された位置に配置された状態を示している。
この状態に於いて、第2のガラス基板52に形成された第2の開口部57に液体を導入する。すると、液体は第3の開口部58を経由して、第1のガラス基板51に形成された第1の開口部56から導出させることができる。
ところで、第2の半導体部材53bと、第1及び第2のガラス基板51及び52との間には、狭間隙部67及び68が形成されているが、第2の半導体部材53bの第3の開口部58の周囲には、撥水性金属膜65及び66が形成されている。そして、狭間隙部67、68方向の流路抵抗が第3の開口部58或いは第1及び第2の開口部56、57方向への流路抵抗に比べて非常に大きくなる。そのため、導入された液体は、第2の開口部57から第3の開口部58、第1の開口部56の方向に流れる。
このとき、狭間隙部67及び68は気体で満たされているため、液体が流れる方向と平行に気液界面72が、第1、第2の開口部56、57と、第3の開口部58の間を流れる液体の周りに形成される。
また、図12(b)は、第3の開口部58が第1及び第2の開口部56及び57に連結しない位置に配置された状態を示している。この状態に於いて、第2のガラス基板52に形成された第2の開口部57に液体を導入すると、第2の開口部57と第3の開口部58は連結していないので、液体は狭間隙部68へと流れ込もうとする。しかしながら、撥水性金属膜66により、狭間隙部68は撥水性となっており、流路抵抗が非常に高いので流れこむことができない。したがって、図12(b)に示されるように、液体は第2の開口部57端で留まってしまう。
尚、狭間隙部69は気体で満たされているので、気液界面72は液体が進行する方向とは垂直方向に形成される。
以上のように、本第3の実施形態のマイクロ液体制御デバイスは、第2の半導体部材53bを移動させることで、第2のガラス基板に形成された第2の開口部に導入した液体を、第1のガラス基板に形成された第1の開口部から導出したり、しなかったりすることが可能なバルブ素子として用いることができる。
尚、請求項1に記載の発明に関する実施形態は、第1乃至第3の実施形態が対応する。そして、請求項1に記載の発明によれば、撥水性金属膜が狭間隙部に形成されており、撥水性金属膜は導電性であり、且つ撥水性の性質を併せ持つため、陽極接合に於いて基板間に働く静電吸引力を緩和させ狭間隙を形成可能にすると共に、狭間隙部を撥水性にするため、低圧力の液体移送時には気液界面を形成することが可能となる。また、撥水性金属膜は半導体部側に形成されているため、半導体製造に使用される装置を用いることができるので、極めて膜厚精度の高く、均質な膜質の成膜が可能であり、加えて、ゴミやパーティクル、その他不純物の付着も少なくすることができる。したがって、デバイスの撥水特性が安定するため、精度の高い気液界面が形成可能となる。また、デバイス流路内にゴミやパーティクル、不純物の付着が無いため、精度の高い分析・反応等に利用可能となる。
請求項2に記載の発明に関する実施形態は、第1の実施形態が対応する。そして、請求項2に記載の発明によれば、より安定した気液界面を形成することが可能となる。
請求項3に記載の発明に関する実施形態は、第1の実施形態が対応する。そして、請求項3に記載の発明によれば、撥水性金属形成面と対向したガラス面にも撥水処理がなされているので、より安定した気液界面が形成可能となる。
請求項4に記載の発明に関する実施形態は、第1の実施形態が対応する。そして、請求項4に記載の発明によれば、撥水性金属形成面と対向したガラス面にも撥水性金属膜が形成されているので、より安定した気液界面が形成可能となると共に、陽極接合時の静電吸引力がいっそう緩和しやすくなるので、安定して作製可能となる。
請求項5に記載の発明に関する実施形態は、第1乃至第3の実施形態が対応する。そして、請求項5に記載の発明によれば、狭間隙部に於いて気体は容易に通過可能であるが、液体は間隙幅により流路抵抗が大きく変わる。したがって、このように構成したマイクロ液体制御デバイスに於いては、液体の制御が容易となる。
請求項6に記載の発明に関する実施形態は、第1の実施形態が対応する。そして、請求項6に記載の発明によれば、液体の流れ方向への進行の作動・停止を容易にすることが可能となる。
請求項7に記載の発明に関する実施形態は、第2の実施形態が対応する。そして、請求項7に記載の発明によれば、液体の流れ方向以外への液体進行を容易に防止することが可能となる。
請求項8に記載の発明に関する実施形態は、第2の実施形態が対応する。そして、請求項8に記載の発明によれば、液体の流れ方向以外への液体進行を容易に防止することができるので、液体と気体が平行して安定に流れることが可能となる。
請求項9に記載の発明に関する実施形態は、第3の実施形態が対応する。そして、請求項9に記載の発明によれば、液体の流れ方向への進行の作動・停止を容易にすることが可能となると共に、液体の流れ方向以外への漏れや進行を防止することができる。
請求項10に記載の発明に関する実施形態は、第3の実施形態が対応する。そして、請求項10に記載の発明によれば、第1及び第2の開口部と第3の開口部との位置を相対的に変化させることにより、開口部同士が接続した状態と離れた状態とを切り替えることを可能にすることで、第2の開口部から第3の開口部に向かって流れる液体を機械的に制御することが可能である。このようなデバイスに於いてはガラス部材と半導体部材との間隙を狭く一定にすることが重要であるが、本構成とすることにより制御性よく狭間隙を形成できるので、安定して液体を機械的に制御するマイクロ液体制御デバイスを作製することが可能となる。
請求項11に記載の発明に関する実施形態は、第3の実施の形態が対応する。そして、請求項11に記載の発明によれば、液体の進行方向への作動・停止を、より安定化すると共に、進行方向以外への漏れを防止することができる。
本発明の第1の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を示す断面図である。 第1の実施形態により構成されるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明する図である。 第1の実施形態により構成されるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明する図である。 本発明の第1の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。 本発明の第1の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの他の構成例を示した断面図である。 本発明の第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を示したもので、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C′線に沿った断面図である。 第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明する断面図である。 第2の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスを製作する製造工程について説明するもので、製造工程中に用いられる第1のエッチングマスク及び第2のエッチングマスクを説明するための上面図である。 第2の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。 本発明の第3の実施形態によるマイクロ液体制御デバイスの構造を説明するもので、(a)は上面図、(b)は(a)のD−D′線に沿った断面図である。 第3の実施形態により構成されたマイクロ液体制御デバイス50を作製する製造こうしてについて説明する図である。 本発明の第3の実施形態に於けるマイクロ液体制御デバイスの動作について説明する図である。 従来のマイクロ流体デバイスの構成を示した断面図である。
符号の説明
10、30…マイクロ液体制御デバイス、11…第1の部材(シリコン基板)、12、32…第1の溝、13、33…第2の溝、14、35、36…撥水性金属膜、16…第2の部材(ガラス基板)、17…流路、17a、33a、34a…狭間隙部、18a、37…液体導入口、18b…液体導出口、21…第1のエッチングマスク、22…第2のエッチングマスク、25…気液界面、31…シリコン(Si)基板、34…第3の溝、38a、38b…気体導入口、39…液体・気体導出口、40…ガラス基板。

Claims (11)

  1. ガラス部材と半導体部材とを陽極接合法を用いて接合することにより作成した、液体の動きを制御するマイクロ液体制御デバイスに於いて、
    上記液体が流れる流路と、
    上記流路と空間的に接続されていると共に、上記流路の深さ及び幅のどちらか狭い方よりも狭い間隙を有する上記ガラス部材と上記半導体部材が対向する狭間隙部と、
    を具備し、
    上記狭間隙部の上記半導体部材側に撥水性金属膜が形成されていることを特徴とするマイクロ液体制御デバイス。
  2. 上記撥水性金属膜として、撥水性粒子分散金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  3. 上記狭間隙部に対向するガラス部材の面は撥水処理が施されている部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  4. 上記撥水処理として、上記狭間隙部の上記ガラス部材側に上記撥水性金属膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  5. 上記狭間隙に於いて気液界面が形成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  6. 上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して垂直方向に形成されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  7. 上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して平行に形成されることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  8. 上記気液界面は、上記液体の流れる流路と上記流路に平行して形成された気体の流路となる上記狭間隙部分との間に形成されることを特徴とする請求項7に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  9. 上記気液界面は、上記液体が流れる方向に対して垂直に形成される状態と、平行に形成される状態とを含む少なくとも2つの状態をとることを特徴とする請求項5に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  10. 上記液体が流れる流路につながる第1の開口部を有する上記ガラス部材と、
    上記ガラス部材と接合して固定された第1の半導体部材と、上記ガラス部材に対して上記狭間隙を有すると共に相対的に移動可能に設けられ、且つ上記液体が流れる流路につながる第2の開口部を有する第2の半導体部材とで構成された上記半導体部材と、
    を具備し、
    上記第1の開口部と上記第2の開口部との位置を相対的に変化させることにより、上記開口部同士が接続した状態と離れた状態とを切り替えることが可能であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ液体制御デバイス。
  11. 上記第1の開口部と上記第2の開口部との位置を相対的に変化させることによって、上記狭間隙部に形成される気液界面が、上記液体の流れる方向に対して垂直に形成される状態と平行に形成される状態とを含む少なくとも2つの状態をとることを特徴とする請求項10に記載のマイクロ液体制御デバイス。
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