JP2005105203A - 機能性繊維及びそれを用いた繊維成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】変性ポリオレフィンの有する接着性能と、製造、使用、廃棄の全ての段階において、人体や環境へ有害な影響を与える可能性が少なく、より安全性が高く、少量の難燃剤の含有で優れた難燃性能を有する機能性繊維及びそれを用いた繊維成形体を提供すること。
【解決手段】不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種からなるビニルモノマー(以下、これらを変性剤という。)でグラフト重合された変性ポリオレフィンと窒素含有リン化合物とを含有する機能性繊維による。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた難燃性と接着性とを兼ね備えた、機能性繊維及びそれを用いた繊維成形体に関する。
ペレット状、フィルム状またはスティック状のホットメルト接着剤は、他素材同士の接着に利用されているが、繊維ウェブ、不織布等の布帛と木材との接着に用いた場合に、得られる接着物は、本来、布帛の有している通気性、濾過性を生かすことができず、これらの物性を著しく低下させてしまい、更に得られた接着物は、高重量になる等の様々な問題を有している。そこで、ペレット状、フィルム状またはスティック状のホットメルト接着剤を用いず、布帛またはそれらの原料繊維自体に他素材との接着性能を与える検討が行われている。
他素材と良好な接着性を有する、特定のビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンを接着成分とする熱接着性複合長繊維が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。この複合長繊維は、該長繊維同士の接着性だけでなく、他素材との熱接着性に優れており、更に通気性、濾過性を低下させることがほとんどなく、軽量である。しかし、得られた接着物は、通気性が高いことに加えて可燃性物質であることから、建材等に利用される場合に特に重要視されている難燃性が不足する問題があり、難燃性能の向上が望まれていた。しかし、これらの熱接着性能を妨げずに、接着物またはその原料繊維に難燃性を付与する手段は知られていなかった。
従来から知られている繊維の難燃化方法は、デカブロモジフェニルオキサイドに代表される有機ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムに代表される金属水和物等の難燃剤を熱可塑性繊維等の繊維に添加する方法等である。デカブロモジフェニルオキサイドは、三酸化アンチモンと併用し、繊維中に5重量%以上添加することで、高度に繊維を難燃化することができることから、主にポリオレフィン繊維に利用されている。しかし、この難燃剤を添加した繊維は、繊維製造時にその表面から難燃剤の脱落が起こる不具合がある。また、この繊維は、燃焼時にダイオキシン類似物が発生する恐れがあるだけでなく、耐光性が著しく乏しい等、様々な問題を有している(例えば、特許文献2参照。)。
一方、水酸化アルミニウムは、燃焼時に有害なガスをほとんど発生しないことから、熱可塑性繊維に添加され、利用されている。繊維中に水酸化アルミニウムを33重量%以上添加することで、繊維を難燃化することができる。しかし、得られた繊維は、有機ハロゲン系難燃剤を添加した繊維と比べて、難燃性能が低いだけでなく、繊維強度が著しく低く、更に繊維製造時にその表面から難燃剤の脱落が生じる等の問題がある(例えば、特許文献3〜5参照。)。難燃性能を更に向上させる場合には、難燃剤を更に高添加しなければならず、繊維の製造自体が困難になることが予想される。
近年、取り扱いが容易で、熱安定性、耐加水分解性及び難燃性に優れ、有害な燃焼ガスの発生がほとんどない環状ホスファゼン化合物を使用した難燃剤が開発されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、この難燃剤のみを配合して得られた成型物は、難燃効果は高いものの、他素材との接着性がないために、接着性素材としては適さないといった問題を有している。
このように、これらの難燃化方法では、他素材との接着性が不充分になり、難燃性と接着性とを兼ね備えた繊維が得られていなかった。
特開2002−54069号公報 特公昭60−7722号公報 特開平5-295181号公報 特開昭61-296045号公報 特許第2836152号 特開2001−192392号公報
そこで、本発明の課題は、変性ポリオレフィンの有する接着性能と、製造、使用、廃棄の全ての段階において、人体や環境へ有害な影響を与える可能性が少なく、より安全性が高く、少量の難燃剤の含有で優れた難燃性能を有する機能性繊維及びそれを用いた繊維成形体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた。その結果、変性ポリオレフィンと窒素含有リン化合物とを含有させた繊維を製造することで、前記課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
[1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種からなるビニルモノマー(以下、これらを変性剤という。)でグラフト重合された変性ポリオレフィンと窒素含有リン化合物とを含有する機能性繊維。
[2]機能性繊維が、変性ポリオレフィンを含有する第2成分と、第2成分よりも融点の高い第1成分とからなる複合繊維であって、第2成分が、該複合繊維の表面の少なくとも一部をその長さ方向に連続して形成しており、第1成分及び/または第2成分に窒素含有リン化合物が含有されていることを特徴とする前記[1]項記載の機能性繊維。
[3]窒素含有リン化合物が、式(1)で示される環状ホスファゼン誘導体及び式(2)で示される鎖状ホスファゼン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン誘導体であることを特徴とする前記[1]項または前記[2]項記載の機能性繊維。

Figure 2005105203

Figure 2005105203

式(1)において、mは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
式(2)において、nは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
[4]窒素含有リン化合物が、機能性繊維に対して0.25〜5重量%の範囲で含有されていることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の機能性繊維。
[5]式(3)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体が、機能性繊維に対して0.1〜3重量%の範囲で更に含有されていることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の機能性繊維。

Figure 2005105203

Figure 2005105203

式(3)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル、炭素数5〜12のシクロアルキル、炭素数7〜12の二環式または三環式の炭化水素及び炭素数7〜15のフェニルアルキルからなる群から選ばれる基であり、R、R、R及びRは、炭素数1〜4のアルキルからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基、または、RとR及び/またはRとRが結合したペンタメチレン、Rは、炭素数1〜4のアルコキシル、炭素数6〜12のアリールオキシ、炭素数1〜18のアミノ、式(4)で示される基からなる群から選ばれる基であり、Aは、酸素またはN−Rを示し、Rは水素、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキルからなる群から選ばれる基である。
ここに、式(4)において、R、R、R、R、R及びAは、式(3)と同様である。
[6]変性剤が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、機能性繊維に対して該変性剤が0.001〜2モル/kgの範囲で含有されていることを特徴とする前記[1]項記載の機能性繊維。
[7]機能性繊維が、ポリオレフィン系繊維であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項記載の機能性繊維。
[8]機能性繊維が、ポリエステル系繊維であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれか1項記載の機能性繊維。
[9]前記[1]〜[8]のいずれか1項記載の機能性繊維を用いた繊維成形体。
本発明の機能性繊維は、難燃剤の脱落がなく、少ない難燃剤使用量で優れた難燃性能を発揮できる。更に本発明の機能性繊維は、他素材との接着性が良好であることに加えて、物理的強度が良好であるので、長期間に亘って、難燃性、接着性及び物理的強度を維持できる。更に焼却または廃棄を行った場合に、環境及び人体に悪影響を殆ど及ぼさない。また、本発明の機能性繊維からなる繊維成形体は、難燃性を有することから、建材等の接着剤として用いた場合に初期火災を防ぐことが可能になる。しかも万が一、火災が発生しても従来のハロゲン系難燃剤で問題になっている、難燃剤による有害な燃焼ガスの発生がない。また、本発明の機能性繊維は、難燃剤の脱落がなく、物理的強度が高いことから、生産性が良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の機能性繊維は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるビニルモノマー(以下、これらを変性剤という。)でグラフト重合された変性ポリオレフィン(以下、これを単に「変性ポリオレフィン」という。)と窒素含有リン化合物(以下、これを「難燃剤」という。)とを含有する。変性ポリオレフィンは、単独で使用してもよいが、高変性された変性ポリオレフィンを用いて、これを熱可塑性樹脂と混合し、希釈して利用することもできる。このとき、希釈する熱可塑性樹脂は、変性ポリオレフィンの幹ポリマーと同種であることが好ましい。
本発明において、変性ポリオレフィンに用いる変性剤は、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるビニルモノマーであり、具体的には、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種のビニルモノマーである。なお、変性剤には、これら以外の他のビニルモノマーを含有させてもよい。他のビニルモノマーとしては、ラジカル重合性に優れた汎用モノマーを使用することができる。例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、これらと同様なアクリル酸エステル類等を挙げることができる。
変性ポリオレフィンにグラフトされた不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物は、他素材との接着性に直接的に寄与する成分である。また、それら以外の他のビニルモノマーは、接着成分である変性ポリオレフィンを熱可塑性樹脂中に均一分散させる効果と、極性の少ないポリオレフィンに極性を付与し、他素材との親和性を向上させる効果があり、他素材との接着性に間接的に寄与する。他素材とは、パルプ等の天然素材、アルミ箔等の金属素材等をいう。
これらのビニルモノマーをポリオレフィンにグラフト重合する方法は、公知の方法で行うことができる。例えば、ポリオレフィン、ビニルモノマー及びラジカル開始剤を溶融混練して重合する方法や反応槽内で重合する方法等が挙げられる。
変性ポリオレフィン中の変性剤の量は、赤外吸収スペクトルを測定することで算出することができる。例えば、変性ポリオレフィンが、ポリエチレンを無水マレイン酸でグラフト重合させた変性ポリエチレンの場合には、以下の操作によって、グラフト重合された変性剤の量を測定することができる。
変性ポリエチレンを沸騰キシレンに溶解させ、その溶解液を3倍量の常温のアセトンに注ぎ、充分に冷却する。この液の濾過物を更にアセトンで洗浄し、真空乾燥することで、未反応の無水マレイン酸が除去された粉末状の変性ポリエチレンが得られる。この粉末をフィルム成形し、それを用いてフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定することで無水マレイン酸のグラフト量が算出できる。
変性ポリオレフィンの主鎖ポリマーとなるポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。ポリエチレンとしては、エチレンのホモポリマー、またはエチレンと他のα−オレフィンとのコポリマーを用いることができる。具体的には、密度が0.910〜0.925g/cmの低密度ポリエチレン、0.926〜0.940g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン、0.941〜0.980g/cmの高密度ポリエチレン等の汎用品を用いることができる。これらの融点は100〜135℃程度である。なお、これらよりも密度が低いポリエチレンが市販されており、使用することができる。ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマー、またはプロピレンとプロピレン以外のエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンとのコポリマーを用いることができる。これらの融点は130〜170℃程度である。なお、これらのポリマーの中で、融点範囲やグラフト重合の容易性を考慮するとポリエチレンが好ましい。なお、本発明に用いる変性ポリオレフィンは、それ単独で用いるだけでなく、変性ポリオレフィンの2種以上の混合物、変性ポリオレフィンの主鎖ポリマーと同種ポリマーとの混合物、または変性ポリオレフィンの主鎖ポリマーと異種ポリマーとの混合物を用いることができる。変性ポリオレフィンを単独で用いる場合や混合物として用いる場合には、機能性繊維中の変性剤のグラフト量が0.001〜2モル/kgの範囲であればよい。この範囲であれば、機能性繊維は、公知の紡糸装置で生産でき、しかも他材料との接着性を発揮することができる。
本発明に用いる機能性繊維の形態は、単一繊維、複合繊維等が利用できる。複合繊維は、例えば、鞘芯型複合繊維、偏心鞘芯型複合繊維、並列型複合繊維、分割型複合繊維、海島型複合繊維等が利用でき、なかでも鞘芯型複合繊維、偏心鞘芯型複合繊維、並列型複合繊維が好ましく利用できる。複合繊維の場合に、熱接着性能を発揮させるためには、変性ポリオレフィンを含有する第2成分と、第2成分よりも融点の高い第1成分とからなる複合繊維であって、第2成分が、該複合繊維の表面の少なくとも一部をその長さ方向に連続して形成する構造であることが好ましい。更に複合繊維の第2成分だけに変性ポリオレフィンを用いた場合には、単一繊維に比べて、繊維表面を構成する成分に変性ポリオレフィンを含ませることができるため、少ない変性ポリオレフィンの使用量で接着機能を発揮させることができる。また、窒素含有リン化合物は、第1成分及び/または第2成分に含有されていればよいが、第1成分のみに添加することで、変性ポリオレフィンの接着性を阻害せず、熱接着性をより有効に発揮させることができる。また、第1成分と第2成分との層間接着力を増やし、両成分の剥離を防ぐために、変性ポリオレフィンを両成分に添加してもよい。
機能性繊維を複合繊維の形態で利用することで、成形加工する際に繊維成形体にかかる熱風(加熱)による高熱、エンボス(加圧)による圧縮力から繊維ウェブまたは繊維成形体の大幅な溶融変形を防ぎ、繊維形状を保持することができる。これにより繊維ウェブまたは繊維成形体の有する、通気性、弾力性、強度等が維持できるため望ましい。
本発明に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等の結晶性ポリマーだけでなく、これらの非晶性ポリマー等が利用できる。本発明の機能性繊維が複合繊維の場合には、紡糸性、耐薬品性、融点等の点を重視すると、第1成分として、結晶性プロピレンホモポリマー、または、プロピレンと、エチレン、1−ブテン等のα−オレフィンとのコポリマーである結晶性プロピレンコポリマーが好ましく、強度、耐熱性等の点を重視すると、第1成分として、ポリエチレンテレフタレートが好ましく利用できる。また、第2成分としては、変性ポリオレフィンの接着性を考慮すると、ポリエチレンが好ましく利用できる。なお、第1成分と第2成分との組み合わせは、付加価値や要求性能に応じて選択すればよい。
本発明に用いる窒素含有リン化合物は、分子内にリン原子及び窒素原子が含まれる化合物であれば使用でき、難燃効果を発揮することができる。窒素含有リン化合物は、例えばリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸グアニジン、ホスファゼン誘導体及びそれらの被覆処理物が挙げられる。これらのなかでも、特にホスファゼン誘導体が好ましい。
本発明に用いるホスファゼン誘導体は、式(1)で示される環状ホスファゼン誘導体、式(2)で示される鎖状ホスファゼン誘導体である。

Figure 2005105203

Figure 2005105203

式(1)において、mは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基であり、式(2)において、nは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。式(1)及び式(2)で示されるホスファゼン誘導体は、前記定義した範囲内であれば、特に限定されない。
前記アルコキシルは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ等の基を挙げることができ、その炭素数は1〜8が好ましい。前記アリールオキシは、例えば、非置換または、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、tert−ブチル、tert−オクチル、メトキシ、エトキシ、2,3−ジメチル、2,4−ジメチル、2,5−ジメチル、2,6−ジメチル、3,5−ジメチル、フェニル等で置換されたフェニルオキシ基等を挙げることができる。更に前記アリールとして、ナフチル等を挙げることもできる。前記アミノは、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ等の直鎖または分岐鎖を有するモノアルキルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等の直鎖または分岐鎖を有するジアルキルアミノ等を挙げることができる。
また、式(2)で示されるホスファゼン誘導体には、製造工程において未反応物として残るハロゲンを含有している場合があるが、本発明は有害なガスの発生が極端に少ない難燃剤を目的としているため、該ホスファゼン誘導体中の全ハロゲン含有量を0.05重量%以下にすることが望ましい。
本発明に用いる式(1)で示される環状ホスファゼン誘導体としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノシクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1 ,3 ,5 −トリス(iso −ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が利用できる。
本発明に用いる式(2)で示される鎖状ホスファゼン誘導体としては、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5 −ヘキサ(4−iso−プロピルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサアミノトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス (iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−ブチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−tert−オクチルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,3,5−トリス(iso−ブトキシ)−1,3,5−トリス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(メトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(エトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−プロポキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(n−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(iso−ブトキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(フェノキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−トリルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(p−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(m−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(o−アニシルオキシ)トリホスファゼン、1,1−ジアミノ−3,3,5,5−テトラキス(4−フェニルフェノキシ)トリホスファゼン等が利用できる。
本発明に用いるホスファゼン誘導体は、式(1)で示される環状ホスファゼン誘導体及び式(2)で示される鎖状環状ホスファゼン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、これらのいずれか1種を用いても、2種以上の混合物として用いてもよいが、本発明においては、環状ホスファゼン誘導体を利用することが特に望ましい。
窒素含有リン化合物を、変性ポリオレフィンを含む成形体表面に、単に付着させただけでは後加工や後処理及び長期使用により剥がれ落ちる等の不具合が発生する可能性がある。そのため、本発明では、窒素含有リン化合物を繊維中に存在するように熱可塑性樹脂に配合して成形加工し、各種成形体として利用する。
本発明の機能性繊維は、変性ポリオレフィンと難燃剤である窒素含有リン化合物とを含有する熱可塑性繊維である。窒素含有リン化合物の添加量は、機能性繊維の重量に対して、0.01〜20重量%の範囲であることが好ましく、0.25〜5重量%の範囲であることがより好ましい。前記機能性繊維が、単一繊維の場合には、難燃剤が繊維全体にほぼ均一に分散するが、複合繊維の場合、第1成分及び/または第2成分に窒素含有リン化合物を含有させて利用することができるため、熱接着性に寄与しない第1成分に難燃剤を添加することで、接着性機能を発現する変性ポリオレフィンと難燃性機能を発現する窒素含有リン化合物とが異なる成分中に含有されることになり、難燃性と接着性のお互いの性能を阻害することなく、それぞれの性能を充分に発揮できるために好ましい。
前記ホスファゼン誘導体の難燃助剤として、式(3)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体が好ましくに利用できる。

Figure 2005105203

Figure 2005105203

式(3)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル、炭素数5〜12のシクロアルキル、炭素数7〜12の二環式または三環式の炭化水素及び炭素数7〜15のフェニルアルキルからなる群から選ばれる基であり、R、R、R及びRは、炭素数1〜4のアルキルからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基、または、RとR及び/またはRとRが結合したペンタメチレン、Rは、炭素数1〜4のアルコキシル、炭素数6〜12のアリールオキシ、炭素数1〜18のアミノ、式(4)で示される基からなる群から選ばれる基であり、Aは、酸素またはN−Rである。
また、式(4)において、R、R、R、R、R及びAは、式(3)と同様である。
本発明の難燃助剤に用いるヒンダードアミン誘導体は、耐候性能を有するヒンダードアミン部と難燃性能を有するsym−トリアジン部とを有する構造である。この構造を有するヒンダードアミン誘導体は、前記ホスファゼン誘導体との相性がよく、併用することで非常に優れた難燃性をもたらす。なかでも、式(5)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体が好ましく、式(6)で示されるヒンダードアミン誘導体が更に好ましい。


Figure 2005105203

Figure 2005105203

式(5)において、R、R、R、R及びRは、式(3)と同様であり、Rは水素、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキルからなる群から選ばれる基である。また、式(6)において、T〜Tは、水素、式(5)で示される基からなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
なお、ここで、R同士が架橋反応を起こすこともあるが、反応物が存在していてもなんら差し支えない。
式(6)において、T、T、Tが、式(5)で示される基であること、または、T、T、Tが、式(5)で示される基であることが望ましく、具体的には、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン、N,N’,N”−トリス{2,4−ビス[(1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−sym−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン等を例示することができる。
本発明に用いるヒンダードアミン誘導体は、前記ヒンダードアミン誘導体のいずれか1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ヒンダードアミン誘導体とホスファゼン誘導体とを同時に添加する場合、特定比率にて配合すると相乗効果により非常に優れた難燃性能を示す。その配合比率は、ヒンダードアミン誘導体/ホスファゼン誘導体が、0.005〜300の範囲であることが好ましく、0.01〜4の範囲であることがより好ましい。
本発明の機能性繊維には、本発明の効果を阻害しない範囲で、慣用の添加物を更に配合してもよい。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、金属不活性剤、親水剤等が利用できる。また必要に応じて各種充填剤、導電性粉末、他の難燃剤、難燃助剤等を配合してもよい。
本発明の機能性繊維は、用途に応じて短繊維、長繊維に加工して利用できる。本発明の機能性繊維は、紡糸・延伸後、必要に応じてクリンプ処理を施して所定の長さに切断することで、短繊維として得られる。また、本発明の機能性繊維は、紡糸・延伸後、切断しないことで長繊維のトウの状態で得られる。本発明の機能性繊維を切断して用いる場合、その繊維長には特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できるが、繊維同士を熱融着させて得られる繊維成形体に充分な引張強力を付与させるためには、2mm以上の繊維長であることが好ましい。該繊維をカード法に用いる場合、繊度にもよるが、一般に20〜76mmの繊維長であれば、均一性の高いウェブを得ることができる。また、抄紙法やエアレイド法に用いる場合は、一般に2mm〜20mmの繊維長が好ましい。更に、これらの繊維を単体で使用して繊維成形体を形成してもよいが、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内であれば、該繊維と必要に応じて他の繊維等を混紡、混繊にしてもよい。また、形成する樹脂構成が異なる繊維やその他の繊維類が混紡、混繊にしてもよい。
本発明の繊維成形体は、公知の方法により作製することができる。例えば、本発明の繊維を所定の長さに切断した後に、カード法等の乾式法または抄紙法等の湿式法により繊維成形体(ウェブ)とし、加熱ロールまたは超音波による圧着や加熱空気による融着、高圧水流またはニードル等による繊維交絡により不織布にする方法、所定の長さに切断した該繊維をエアレイド法により積層して、加熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して不織布にする方法、本発明の機能性繊維を所定の長さに切断した後に、カード法によりスライバーとし、これを熱処理して繊維成形体にする方法及び本発明の機能性繊維を紡績糸、連続糸等とし、これを編織加工により編織物にする方法等を挙げることができる。特に、本発明の機能性繊維は難燃剤を繊維内部に主に含有しているので、溶液に浸漬させる等の方法により難燃剤を表面に付着させた繊維に比べ、カード法や高圧水流処理によって繊維から脱落する難燃剤を極端に抑えることができる。また、スパンボンド法やメルトブロー法により繊維成形体を得る方法、長繊維のトウを切断することなく過熱ロールまたは加熱空気等で熱処理して繊維成形体を得る方法等も利用できる。本発明の機能性繊維は、該繊維のみを使用して織物、編物、不織布及びフィルター等の繊維成形体としてもよく、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内であれば、必要に応じて他の繊維等を混綿、混紡または混繊して繊維成形体としてもよい。
前記他の繊維の具体例として、ポリアミド{例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等の脂肪族ポリアミド、ナイロンMXD6(MXD:メタキシリレンジアミン)等の半芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドと半芳香族ポリアミドの共重合体等及びこれらの混合物}、全芳香族ポリアミド(例えば、パラ系アラミドやメタ系アラミド)、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、全芳香族ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル等の合成繊維、綿、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維、半合成繊維、ポリ乳酸繊維、ポリブチレンサクシネート繊維等の生分解性繊維、パルプ、グラスファイバー、炭素繊維等が利用できる他、これら他の繊維に記載の繊維を難燃化したものが利用できる。
本発明に用いる機能性繊維の断面形状は、円形だけでなく、楕円形、ブーメラン形、クロス形等の異形断面形状が利用でき、これらの各断面形状の機能性繊維を組み合わせて繊維成形体を形成してもよい。複合繊維の場合は、並列型、多分割型、同心鞘芯型、偏心鞘芯型等の複合形態が挙げられ、各複合形態の機能性繊維を組み合わせて繊維成形体を形成してもよい。また、2成分からなる複合繊維の場合、第1成分と第2成分の容積割合(繊維断面積をその測定に採用した場合にはその断面積の割合に相当する)は、通常、第1成分:第2成分の容積比で10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜70:30の範囲にすることが好ましい。容積比が10:90〜90:10の範囲であれば、接着性、難燃性、紡糸性が良好になる。特に容積比が30:70〜70:30の範囲であれば、熱加工等の処理を施した場合に、芯成分が繊維形状を強固に保持できるために好ましい。なお、複合形態として上記の2成分形態だけでなく3成分形態以上であっても本発明の効果を奏することができる。
本発明に用いる繊維成形体を構成する機能性繊維の繊度は、用途に応じて適宜選択すればよく、通常、0.01〜100dtex程度が用いられる。接着性や生産性を考慮すると、0.01〜50dtexが好ましく、0.1〜20dtexがより好ましい。土木資材用途、農業資材用途等では、更に太い繊度の繊維が求められる場合があり、用途により最適な繊度を選択調整すればよい。
本発明の繊維成形体が不織布である場合、その目付は、原料として用いる樹脂の種類や用途に応じて適宜選択すればよいが、通気性や生産性を考慮すると、5〜200g/mが好ましく、5〜50g/mが特に好ましい。
本発明の機能性繊維または繊維成形体には、静電気防止性、開繊性、平滑性等の機能を付与するため、その表面に界面活性剤を付着させることができる。それらに界面活性剤を付着させる方法は、ローラー法、浸漬法、パットドライ法等が利用できる。その際、用途に合わせて、界面活性剤の種類、その濃度を調整して利用することが好ましい。界面活性剤を付着させる段階は、紡糸、延伸、捲縮のいずれの工程で行ってもよく、必要に応じて、繊維成形体に加工した後にその表面に界面活性剤を付着させてもよい。
以下、本発明の機能性繊維及び繊維成形体の製造方法について一般的製糸方法を用いる場合について説明する。原料の樹脂は、例えば、無水マレイン酸と直鎖状低密度ポリエチレンとを混合してグラフト重合させた変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物を第2成分として用い、第2成分より融点の高い結晶性ポリプロピレンに環状ホスファゼン誘導体または環状ホスファゼン誘導体及びヒンダードアミン誘導体を含む樹脂組成物を第1成分として用いる。これらの樹脂を、鞘芯型複合紡糸口金を備えた、一般的な熱溶融紡糸機により紡糸する。このとき、口金直下において、クエンチ装置の送風によって、吐出する半溶融状態の樹脂を冷却し、固化させ、未延伸状態の繊維(以下、未延伸糸という。)を製造する。この工程中で、必要に応じて表面処理剤を付着してもよい。また延伸を行なう場合を考慮して、溶融した樹脂の吐出量及び未延伸糸の引取速度を任意に設定し、目標繊度に対して1.1〜5倍程度の繊維径の未延伸糸とする。得られる未延伸糸は一般的な延伸機で延伸加工することで延伸糸とすることができる。この延伸糸は、延伸加工を施しているが、捲縮加工を施していない状態の繊維である。通常の場合、30〜120℃に加熱した延伸ロールにおいて、未延伸糸の入り口側と、その出口側ロールの速度比が1:1.1〜1:5の範囲となるように延伸処理を施す。必要に応じて、延伸処理によって得られた延伸糸にタッチロールやスプレー等で、界面活性剤等の表面処理剤を付着した後、ボックス型の捲縮加工機で捲縮を付与する。捲縮を付与された延伸糸を乾燥機で、50〜120℃の温度により乾燥し、用途に合わせて任意の繊維長に押し切りカッターで切断して使用する。このようにして機能性繊維の短繊維が得られる。更に、該機能性繊維を一般的に知られるカーディング法、エアレイド法、抄紙法等の方法でウェブにして、得られたウェブを一般的に知られるポイントボンド法、熱風加熱法、高圧水流法、ニードルパンチ法、超音波接着法等の加工法で成形体としてもよく、更にこれらを組み合わせて加工してもよい。また、延伸糸を短くカットせずに長繊維であるトウの状態から加工してもよく、トウを熱処理することで棒状の成形体に加工することができ、トウ開繊法によって不織布に加工することができる。
以下、本発明の機能性繊維及び繊維成形体を製造する方法について、スパンボンド法を例にして説明する。原料の樹脂は、例えば、無水マレイン酸をグラフト重合した直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂組成物を第2成分として用い、第2成分より融点の高い結晶性ポリプロピレンに環状ホスファゼン誘導体または環状ホスファゼン誘導及びヒンダードアミン誘導体を含む樹脂組成物を第1成分として用いた。2機の押出機を有する汎用の複合スパンボンド紡糸機を使用し、それぞれの押出機にそれぞれの樹脂を投入し、高温に保温した複合紡糸口金から溶融樹脂を長繊維として吐出させる。吐出した長繊維群をエアサッカーに導入して牽引延伸し、続いてエアサッカーから長繊維群を排出させ、コンベア上に捕集する。このときサクションコンベア上に、直接、長繊維ウェブとして長繊維群を捕集する方法や、コンベア上に捕集する前に開繊し、その後、捕集する方法がある。開繊する方法は、例えば長繊維群の排出の途中で一対の振動する羽根状物(フラップ)の間に長繊維群を通過させる方法、長繊維群を反射板等に衝突させる方法、コロナ帯電法により長繊維群を帯電させる方法等が挙げられる。捕集した長繊維ウェブを、サクションコンベアで搬送し、熱処理加工を施す。熱処理加工としては、例えば、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとで構成されたポイントボンド加工機で、加圧されたロール間にウェブを導入し、前記凹凸ロールの凸部に対応する区域において、第2成分を溶融または軟化して長繊維相互間を熱融着させることで行われる(ポイントボンド法)。これにより繊維成形体が得られる。このとき、繊維成形体の目付は、紡糸吐出速度(時間当たりの吐出量)やサクションコンベアの移動速度等の設定で調節することができる。なお、不織布化加工は、ポイントボンド法に限らず、熱風加熱法、高圧水流法、ニードルパンチ法、超音波接着法等の方法で行ってもよく、更にこれらを組み合わせてもよい。
以下、本発明に用いる機能性繊維及び繊維成形体を製造する方法について、メルトブロー法を例にして説明する。2機の押出機を有する汎用の複合メルトブロー紡糸機を使用し、スパンボンド法と同様に、第1成分と第2成分として用いる樹脂をそれぞれの押出機に投入し、高温に保温された、吐出孔が横一列に並んだ複合メルトブロー紡糸口金より吐出させ、吐出孔の両側より高温、高速の熱風を吹き付けることで、細繊化された長繊維群をサクションコンベアやサクションドラム上に長繊維ウェブとして捕集する。メルトブロー法で得られるウェブは、熱融着しているので、ウェブの状態でも取り扱い上は問題ないレベルの不織布強度を持つ。そのため、熱加工せずにそのまま使用することができる。しかし、用途に応じて、スパンボンド法と同様に、更にポイントボンド法等の加工を施してもよい。
これら製造方法のなかでも、特にスパンボンド法は引張強度等の機械的物性に優れた繊維成形体を容易に得られるという特徴をもつ。また、スパンボンド法やメルトブロー法では、溶融紡糸して得られる長繊維をそのまま開繊及び集積して繊維成形体へと加工できるので、生産性に非常に優れ、安価に繊維成形体を製造できるため好ましい。更に、スパンボンド法やメルトブロー法を用いることで、繊維成形体と他材料とを接着させるときに、接着力を低下させる恐れのある表面処理剤を使用せずに繊維成形体を製造できる。このため、表面処理を必要とする一般的な紡糸方法により得られた繊維成形体と比較して、他素材との接着力に特に優れるという特徴を持つ。
また、スパンボンド法で得られた繊維成形体と、メルトブロー法で得られた繊維成形体とを積層し、ポイントボンド加工機等で接合した機能性繊維成形体積層物も本発明に利用できる。積層物は、例えば、SM(スパンボンド不織布/メルトブロー不織布の積層物)、SMS(スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層物)、SMMS(スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層物)等が挙げられる。更に、スパンボンド法やメルトブロー法で得られた繊維成形体と、機能性繊維のカーディング法、エアレイド法、抄紙法等によるウエブとを積層した積層物も利用できる。
繊維成形体が積層物の場合、積層されている全ての繊維成形体に本発明で用いる変性剤及び/または窒素含有リン化合物が含まれていてもよいが、変性剤及び/または窒素含有リン化合物を一部に使用した繊維成形体の積層物でもよい。この場合、繊維成形体を構成する機能性繊維中に、変性剤が0.001〜2モル/kg及び窒素含有リン化合物が0.1〜10重量%含まれていればよい。
本発明で用いる繊維成形体または機能性繊維成形体には、必要に応じて熱処理時または熱処理後に2次加工を施すことができ、これにより任意の形状の成形体にすることが可能になる。例えば、長繊維をウェブ段階で束にし、これに熱処理等を施し、繊維交点を接着することで、ロッド状等の様々な形状の成形体とすることができ、また繊維成形体を任意の形状の容器に充填して熱処理等を行い繊維交点を接着することで、様々な形状の成形体にすることができる。
本発明の機能性繊維または繊維成形体は、優れた接着性能と難燃性能を有しているので、航空機、船舶、自動車の素材やそれらの内装材、壁紙、カーペット等のインテリア資材、エアーフィルターや濾過材等のフィルター材及び衣類等の接着性素材として極めて有用である。
以下、本発明を各実施例と各比較例にて更に詳細に説明する。なお、各実施例、各比較例に使用する用語と評価方法は以下の通りである。
(メルトフローレート)
JIS K 7210 熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に記載の操作B法(自動時間測定法)に準拠し、熱可塑性樹脂のメルトフローレート値を測定した。ポリエチレンは、試験条件4(温度190℃、荷重21.18N)で測定した。ポリプロピレンは、試験条件14(温度230℃、荷重21.18N)で測定した。
(融点)
TA Instruments社製 示差走査熱量計DSC Q10(商品名)を用い、JIS K 7122に準拠し、熱可塑性樹脂の融点を測定した。
(難燃性能評価)
*残炎時間・炭化面積測定
実施例1〜8及び比較例1〜6において得られた試験片のうち、各々の目付200g/m不織布を用い、JIS L 1901のA−1法に準じて残炎時間(秒)と炭化面積(cm)を調べ、それを基に難燃性能を評価した。残炎時間及び炭化面積ともに数値の小さい方が難燃性能に優れていることを示す。
*評価
前記残炎時間・炭化面積測定によって得られた値を基に、各不織布の難燃性能を次の4段階に評価した。◎:非常に優れている。○:優れている。△:難燃性能はあるが、優れたものではない。×:難燃性能がないか、著しく劣る。
(接着性評価)
*アルミ箔との接着性
実施例1〜8及び比較例1〜6において得られた機能性繊維を、各々の目付30g/mの不織布(繊維成形体)となるように成形した。次いでその不織布を5cm(巾)×10cm(長さ)にカットし、同様に5cm(巾)×10cm(長さ)カットした厚み20μmの被着体(アルミ箔)で試料(不織布)を両側から挟み、四隅が揃うように重ね合わせ、その重ね合わせた試料の短辺方向、つまり幅方向に細長いヒートシールを施す。ヒートシール加工機として、テスター産業株式会社製「ヒートシールテスターTP−701」(商品名)を使用して、5cm(巾)×1cm(長さ)の部分がヒートシールされるように加工を施した(図1の剥離強さ試験サンプルの構成を示した説明図参照)。ヒートシール条件は、温度140℃(上下とも)、加圧時間3秒、圧力0.3MPaである。
この方法で得られた剥離強さ用の接着試料を、ヒートシールを施した側と異なる他辺の短辺側から開き、非接着試料のそれぞれの端辺をチャック間が10cmになるように調整した株式会社オリエンテック製テンシロン引張試験機「ROM−100」(商品名)のチャック間に弛みが生じないように固定した。剥離強さの測定は引張速度100mm/分で測定した(図2の剥離強さ試験の実施方法を示した説明図参照)。剥離強さの計算方法はJIS L 1086−1983に準拠した。
(環境配慮性)
実施例1〜8及び比較例1〜6において得られた機能性繊維に、燃焼時または廃棄時に人体や環境に悪影響を及ぼす有害物質が含まれている可能性があるか否かを2段階で評価した。なお、燃焼時については、機能性繊維を燃焼した場合に、燃焼ガスまたは残渣中にハロゲン化合物やダイオキシン類似物が含まれるかどうかを推定した。また、廃棄時については、機能性繊維に添加した材料から、有害物質が含まれるかどうかを判断した。
◎:燃焼時または廃棄時に人体や環境に悪影響を及ぼす物質が含まれていない。
×:燃焼時または廃棄時に人体や環境に悪影響を及ぼす物質が含まれている可能性がある。
(原料樹脂)
PP:結晶性ポリプロピレン(プロピレンホモポリマー、MFR36、融点161℃)
HDPE:高密度ポリエチレン(エチレンホモポリマー、Mw/Mn=4.2、MI30、融点132℃、密度0.955g/cm
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン−ブテン−1コポリマー、Mw/Mn=3.5、MI20、融点122℃、密度0.920g/cm
変性PP(変性ポリプロピレン):ポリプロピレンホモポリマーを主鎖ポリマーとして無水マレイン酸をグラフト重合したコポリマー(無水マレイン酸含量0.05mol/kg、MFR3.0、融点165℃、密度0.910g/cm
変性PE(変性ポリエチレン):高密度ポリエチレン(エチレンホモポリマー、Mw/Mn=4.0、MI2.0、融点132℃、密度0.960g/cm)を主鎖ポリマーとして無水マレイン酸をグラフト重合したコポリマー(無水マレイン酸含量0.2mol/Kg)
PET:ポリエチレンテレフタレート(IV0.63、融点255℃)
難燃剤A:環状ホスファゼン誘導体型難燃剤
ケミプロ化成(株)製「KEMIDANT 302S」(商品名)
難燃剤B:ヒンダードアミン誘導体型難燃剤
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「FLAMESTAB NOR 116」(商品名)
難燃剤C:三酸化アンチモン
難燃剤D:ハロゲン系難燃剤
グレートレイクスケミカル日本(株)製「GLC DE−83R」(商品名)
難燃剤E:無機系難燃剤(水酸化マグネシウム)
協和化学工業(株)製「キスマ−5A」(商品名)
実施例、比較例の繊維成形体を構成する機能性繊維のうち長繊維については、公知のスパンボンド法またはメルトブロー法によって作製し、短繊維については、公知の複合繊維紡糸法で得られたトウを延伸し、任意の長さにカットすることで作製した。
スパンボンド法を用いた繊維成形体の製造方法。
2機の押出機を有する複合スパンボンド紡糸機を使用して、繊維成形体を製造した。原料の熱可塑性樹脂(前記の熱可塑性樹脂または樹脂組成物)を、鞘芯型または並列型複合紡糸口金を用い、それぞれの押出機に投入し、芯成分の紡糸温度を260℃とし、鞘成分の紡糸温度を260℃として、第1成分と第2成分との容積比を50:50に設定して、紡糸口金から溶融樹脂を長繊維として吐出させた。吐出した長繊維群をエアサッカーで牽引延伸し、サクションコンベア上に排出させ長繊維ウェブとして捕集した。なお、このときの繊度が3dtex/fとなるようにエアサッカーの牽引速度を調節した。得られた長繊維ウェブをコンベアで搬送し、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとで構成されたポイントボンド加工機のロール間で加圧した。これにより、凹凸ロールの凸部に対応する区域において第2成分が溶融または軟化して長繊維相互間が熱融着された繊維成形体を得た。なお、繊維成形体の目付がアルミ箔との接着性評価用は30g/m、難燃性評価用は200g/mになるように繊維の種類に応じてサクションコンベア移動速度及びポイントボンド加工機のロール速度を調節した。
メルトブロー法を用いた繊維成形体の製造方法。
孔径0.3mm、孔数501個の紡糸口が一列に並んだメルトブロー用鞘芯型または並列型の複合紡糸口金を用い、第1成分の紡糸温度を290℃とし、第2成分の紡糸温度260℃として、第1成分と第2成分の容積比を50:50に設定して、紡糸口から押し出された溶融樹脂を380℃の加圧空気によってネットコンベヤーに吹き付けることで長繊維ウェブを得た。得られた長繊維ウェブを、ネットコンベヤーで移送しながら遠赤外線ヒーターで145℃に加熱し、この区域において第2成分が溶融または軟化して長繊維相互間が熱融着された繊維成形体を得た。なお、繊維成形体の目付がアルミ箔との接着性評価用は30g/m、難燃性評価用は200g/mになるように繊維の種類に応じてネットコンベア移動速度を調節した。
一般的な複合繊維紡糸法を用いた繊維成形体の製造方法。
孔径が0.6mmの鞘芯型または並列型の複合紡糸口金を備えた複合紡糸装置で、第1成分の紡糸温度を260℃とし、第2成分の紡糸温度を260℃として、第1成分と第2成分の容積比を50:50に設定して、1000m/minの引取り速度により紡糸し、単糸繊度が4.0dtex/fの同心鞘芯型複合未延伸糸を得た。次にこの複合未延伸糸を延伸倍率2.4倍、延伸温度95℃の条件で延伸し、機械捲縮を付与し、80℃で乾燥させた後、用途に応じた繊維長にカッターで切断し、短繊維を製造した。ミニチュアカード機用の繊維は25mm、エアレイド機用の繊維は5mmに切断した。得られた短繊維を、ミニチュアカード機またはエアレイド機でウェブとした後、熱風循環式乾燥器で145℃、5分間の熱処理を施して繊維成形体とした。なお、繊維成形体の目付がアルミ箔との接着性評価用は30g/m、難燃性評価用は200g/mになるように、繊維の種類に応じて調節した。
実施例1
並列型複合紡糸用口金を取り付けた、2機の押出機を有する複合紡糸装置を使用し、一般的な複合繊維紡糸方法にて並列型複合繊維を製造した。
片側成分としてPPが88.4重量%、難燃剤Aが1.5重量%及び難燃剤Bが0.1重量%、変性PPレジンが10重量%からなる第1成分と、もう1方の片側成分としてHDPEが88.4重量%、難燃剤Aが1.5重量%及び難燃剤Bが0.1重量%、変性PEレジンが10重量%からなる第2成分とを、前記2機の押出機、各々のホッパーに投入して、260℃の温度で、第1成分と第2成分との容積比が50:50の並列型の繊維断面形状となるように複合繊維を紡糸し、ワインダーによってこれを巻き取った。前記巻き取り工程において、紡出された複合繊維の表面に、界面活性剤としてアルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。次に、ワインダーで巻き取った複合繊維(未延伸糸)を延伸機によって、100℃の温度条件下、4.5倍に延伸した後、スタッフィングボックスに通して機械捲縮を付与し、次いで長さ51mmに切断し、捲縮の施された3.3dtexの繊維(ステープルファイバー)を製造した。
次に、得られたステープルファイバーをカード機でカーディングしてウェブとし、該ウェブを熱風貫通型ドライヤーで、温度130℃、処理時間12秒の条件で熱処理して、複合繊維の交点が熱融着された不織布(繊維成形体)を得た。得られた不織布について難燃性能評価及びアルミ箔との接着性評価を実施した。その結果を表1に示す。なお、難燃性評価に用いる不織布は、目付を200g/mに調整し、アルミ箔との接着性評価に用いる不織布は、目付を30g/mに調整した。
実施例2
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例1に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性評価を実施した。その結果を表1に示す。
実施例3
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例1に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性評価を実施した。その結果を表1に示す。
実施例4
鞘芯型複合紡糸用口金を取り付けた、2機の押出機を有する複合紡糸装置を使用し、スパンボンド法を用いて鞘芯型複合繊維を製造した。
芯成分としてPPが98.0重量%、難燃剤Aが2.0重量%からなる第1成分と、鞘成分としてLLDPEが90.0重量%、変性PEレジンが10重量%からなる第2成分とを、前記2機の押出機、各々のホッパーに投入して、260℃の温度で、第1成分と第2成分との容積比が50:50の同心鞘芯型の繊維断面形状になるように複合繊維を紡糸した。吐出した長繊維群をエアサッカーで牽引延伸し、サクションコンベア上に排出させ長繊維ウェブとして捕集した。なお、このときの繊度が3dtex/fとなるようにエアサッカーの牽引速度を調節した。得られた長繊維ウェブをコンベアで搬送し、加熱された凹凸ロールと平滑ロールとで構成されたポイントボンド加工機のロール間で加圧した。これにより、凹凸ロールの凸部に対応する区域において第2成分が溶融または軟化して長繊維相互間が熱融着された不織布(繊維成形体)を得た。なお、難燃性評価に用いる不織布は、目付を200g/mに調整し、アルミ箔との接着性評価に用いる不織布は、目付を30g/mに調整した。
実施例5
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例4に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性評価を実施した。その結果を表1に示す。
実施例6
表1に示した繊維組成とした以外は、実施例4に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性評価を実施した。その結果を表1に示す。
実施例7
鞘芯型複合紡糸用口金を取り付けた、2機の押出機を有する複合紡糸装置を使用し、メルトブロー法を用いて鞘芯型複合繊維を製造した。芯成分としてPPが98.0重量%、難燃剤Aが1.5重量%、難燃剤Bが0.5重量%からなる第1成分と、鞘成分としてLLDPEが88.0重量%、難燃剤Aが1.5重量%、難燃剤Bが0.5重量%、変性PEレジンが10重量%からなる第2成分とを、前記2機の押出機、各々のホッパーに投入して、芯成分の紡糸温度を290℃とし、鞘成分の紡糸温度260℃として、第1成分と第2成分の容積比を50:50に設定して、紡糸口から押し出された溶融樹脂を380℃の加圧空気によってネットコンベヤーに吹き付けることで長繊維ウェブを得た。得られた長繊維ウェブを、ネットコンベヤーで移送しながら遠赤外線ヒーターで145℃に加熱し、この区域において第2成分が溶融または軟化して長繊維相互間が熱融着された不織布(繊維成形体)を得た。なお、難燃性評価に用いた不織布は、目付を200g/mに調整し、アルミ箔との接着性評価に用いた不織布は、目付を30g/mに調整した。
実施例8
表1に示した繊維組成とし、鞘芯型複合紡糸用口金を取り付けた2機の押出機を有するに複合紡糸装置を使用して300℃で紡糸、110℃で3.0倍に延伸する以外は、実施例1に準拠した方法により鞘芯型複合繊維を製造した。ウェブの熱処理温度を140℃とした以外は、実施例1に準拠した製造方法により、不織布を難燃性能評価及びアルミ箔との接着性能評価を実施した。その結果を表1に示す。
比較例1〜3
表2に示した繊維組成とした以外は、実施例1に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性能評価を実施した。その結果を表2に示す。
比較例4〜6
表2に示した繊維組成とした以外は、実施例4に準拠した製造方法により、各複合繊維及び不織布を製造し、これらを用いて、難燃性能評価及びアルミ箔との接着性能評価を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 2005105203
Figure 2005105203
参考例1〜2
表2に示した繊維組成とした以外は、実施例4に準拠した製造方法により、複合繊維を作製しようとしたが、紡糸塔周辺の臭気がひどく、しかも糸切れが頻繁に起こったため繊維作製は不可能であった。
表1から、本発明の難燃剤組成物を用いた実施例1〜8の繊維は、優れた難燃性能とアルミ箔との接着性能を有していることが明らかである。
これに対し、表2から、難燃剤と変性ポリオレフィンとが共に無添加の比較例1は、難燃性能とアルミ箔との接着性能は不良であった。
また、本発明に好適な難燃剤であるフォスファゼン誘導体が無添加で、変性ポリオレフィンが添加されている比較例2は、アルミ箔との接着性能は良好であるが、難燃性能は不充分であった。
また、変性ポリオレフィンが無添加で、本発明に好適な難燃剤を添加した比較例3は、難燃性能は充分であるが、アルミ箔との接着性能は不良であった。
比較例4〜6では、本発明に好適な難燃剤が無添加であることから、難燃性能と接着性能のバランスが悪いことが表2より明らかである。特に、比較例4〜5は難燃剤として水酸化マグネシウムを使用しているために難燃性能が悪く、変性ポリオレフィンを適量添加しているにもかかわらず、アルミ箔との接着性能が非常に悪かった。これは、難燃剤が繊維表面にブリーディングしているためと考えられる。
比較例6では、三酸化アンチモンとハロゲン系難燃剤とを組み合わせた難燃剤が添加され、変性ポリオレフィンも添加されているが、難燃性能は良好であるものの、アルミ箔との接着性能はやや劣っていた。また、ハロゲン系難燃剤を使用していることから、焼却廃棄する際に環境を著しく害する燃焼ガスが発生することが予想される。
また、表2の参考例1〜2は、本発明に好適な難燃剤を使用しているが、添加量が過多であるために、紡糸時に紡糸塔周辺に異臭がみとめられ、紡糸時の糸切れが多発し、曳糸性が著しく低下し、繊維加工性が著しく不良になった。
このように本発明の機能性繊維またはそれを用いた機能性繊維成形体は、難燃性能が高いことに加えて、環境への悪影響が少なく、強力な接着性を保持でき、長期間の使用に適したものであり、自動車内装材、建築材料、インテリア資材、フィルター資材等の様々な製品や製品の接着に広く好適に用いることができる。
近年、航空機、船舶、自動車等の輸送機器関連、電気・電子関連素材、土木建築資材等の分野では安全上の理由から素材を難燃化する必要性が高まり、それに伴い難燃性素材を接着する接着性素材にも難燃性が必要とされている。
剥離強さ試験サンプルの構成を示した説明図 剥離強さ試験の実施方法を示した説明図

Claims (9)

  1. 不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種からなるビニルモノマー(以下、これらを変性剤という。)でグラフト重合された変性ポリオレフィンと窒素含有リン化合物とを含有する機能性繊維。
  2. 機能性繊維が、変性ポリオレフィンを含有する第2成分と、第2成分よりも融点の高い第1成分とからなる複合繊維であって、第2成分が、該複合繊維の表面の少なくとも一部をその長さ方向に連続して形成しており、第1成分及び/または第2成分に窒素含有リン化合物が含有されていることを特徴とする請求項1記載の機能性繊維。
  3. 窒素含有リン化合物が、式(1)で示される環状ホスファゼン誘導体及び式(2)で示される鎖状ホスファゼン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のホスファゼン誘導体であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の機能性繊維。

    Figure 2005105203

    Figure 2005105203

    式(1)において、mは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
    式(2)において、nは3〜10の整数であり、Qはアルコキシル、アリールオキシ及びアミノからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
  4. 窒素含有リン化合物が、機能性繊維に対して0.25〜5重量%の範囲で含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の機能性繊維。
  5. 式(3)で示される基を有するヒンダードアミン誘導体が、機能性繊維に対して0.1〜3重量%の範囲で更に含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の機能性繊維。

    Figure 2005105203

    Figure 2005105203

    式(3)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル、炭素数5〜12のシクロアルキル、炭素数7〜12の二環式または三環式の炭化水素及び炭素数7〜15のフェニルアルキルからなる群から選ばれる基であり、R、R、R及びRは、炭素数1〜4のアルキルからなる群からそれぞれ独立して選ばれる基、または、RとR及び/またはRとRが結合したペンタメチレン、Rは、炭素数1〜4のアルコキシル、炭素数6〜12のアリールオキシ、炭素数1〜18のアミノ、式(4)で示される基からなる群から選ばれる基であり、Aは、酸素またはN−Rを示し、Rは水素、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキルからなる群から選ばれる基である。
    ここに、式(4)において、R、R、R、R、R及びAは、式(3)と同様である。
  6. 変性剤が、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、機能性繊維に対して該変性剤が0.001〜2モル/kgの範囲で含有されていることを特徴とする請求項1記載の機能性繊維。
  7. 機能性繊維が、ポリオレフィン系繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の機能性繊維。
  8. 機能性繊維が、ポリエステル系繊維であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の機能性繊維。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の機能性繊維を用いた繊維成形体。
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