JP2005102519A - 糖液の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 糖液をダイアフィルトレーション濾過することによりブドウ糖を回収すると共にマッドを濃縮するに当り、濃縮効率の向上を図ると共に、濃縮マッドを容易に処理する。
【解決手段】 糖液を膜分離処理して濃縮液と透過液とに分離し、この濃縮液をダイアフィルトレーション濾過して得られた濃縮液をプレコート濾過する。ダイアフィルトレーション濾過で得られた濃縮液をプレコート濾過することにより、助剤コスト及び廃棄物量の低減を図った上で、ブドウ糖を効率的に回収すると共に、ブドウ糖を回収した後の濃縮マッドを容易に処理することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は糖液の処理方法に係り、特に、ダイアフィルトレーション濾過とプレコート濾過とを併用して、デンプン糖化液からのブドウ糖の回収と濃縮マッドの処理を効率的に行う糖液の処理方法に関する。
従来、ブドウ糖或いはその異性化糖は、デンプン糖、甜菜糖、甘蔗糖、甘藩糖及び多糖類の溶液である糖液を濾過などにより精製することにより得ることができる。以下に代表的なブドウ糖の製造工程を記載する。
まず、原料デンプン(コーンスターチなど)を酵素液化した後、酵素糖化してブドウ糖溶液(糖液)を製造する。この糖液中には、コーン等の原料由来の固形物が混入している。この固形物はマッドと呼ばれ、蛋白質、脂質、繊維質などから成っている。糖液を精製する段階では、このマッドを除去する必要がある。従来は、珪藻土やパーライトをプレコートしたドラム型フィルターで糖液を濾過し、糖液中のマッドを珪藻土等のプレコート層上に残し、濾液側にブドウ糖液を回収する。
この濾過工程を経て精製されたブドウ糖液は、次いで活性炭による脱色処理、イオン交換樹脂による脱塩処理を経て更に精製され、その後、精製ブドウ糖液を得るためには濃縮処理され、精製異性化糖液を得るためには異性化工程、脱塩工程及び除菌のための膜濾過工程を経た後、濃縮処理される。
しかし、珪藻土やパーライトをプレコートしたドラム型フィルターで糖液を濾過する従来の方法では、濾過助剤として大量の珪藻土又はパーライトを使用する必要があり、しかも分離したマッドを含む珪藻土又はパーライトのスラッジが大量に排出される。このスラッジは珪藻土又はパーライトを含むため焼却処理することができず、しかも、有効利用も困難であり、産業廃棄物として投棄処分するための処分場の問題がある。
この問題を解決するものとして、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜を用いた膜分離法が提案されている。膜分離法による糖液からのブドウ糖の回収は、糖液の濾過、濃縮(ブドウ糖の透過とマッドの濃縮)とダイアフィルトレーション(加水処理による、濃縮液側に残ったブドウ糖の透過液側への回収)とによって行われる。即ち、まず、糖液を膜分離処理してブドウ糖を透過液側に回収すると共にマッドを濃縮し、マッドの濃縮がある程度進んだ後に、濃縮液側に水を徐々に添加(加水処理)しながら膜分離を続けるダイアフィルトレーションと称される操作を行うことで濃縮液側に残留するブドウ糖の透過液側への回収を促進する(例えば、特開2002−112800号公報)。
この方法であれば、珪藻土やパーライト等の濾過助剤を使用しないため、プレコートの費用削減に加えて、産業廃棄物の大幅な削減が可能となる。
特開2002−112800号公報
しかし、膜分離装置のみによる濃縮では、濃縮の程度にも限界があり、最終的に得られる濃縮マッドは液状である。このため、濃縮マッドの取り扱いや処理の点において問題があった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、糖液をダイアフィルトレーション濾過することによりブドウ糖を回収すると共にマッドを濃縮するに当り、濃縮効率の向上を図ると共に、濃縮マッドを容易に処理する糖液の処理方法を提供することを目的とする。
本発明の糖液の処理方法は、糖液をダイアフィルトレーション濾過して濃縮液と透過液とに分離するダイアフィルトレーション濾過工程を備える糖液の処理方法において、ダイアフィルトレーション濾過により得られた濃縮液をプレコート濾過することを特徴とする。
糖液をダイアフィルトレーション濾過して得られた濃縮液をプレコート濾過することにより、この濃縮液を更に高度に濃縮することができる。しかも、濃縮マッドは、濃縮され最終的にはプレコート層の珪藻土との混合物として固形状となるため、その取り扱い及び処理も容易である。
なお、ダイアフィルトレーション濾過で得られる濃縮液のプレコート濾過速度は、糖液の濾過速度よりも遅く、通常、糖液の濾過速度の1/2〜1/5程度となるが、ダイアフィルトレーション濾過で得られる濃縮液量は糖液量の1/10〜1/30程度となるため、このダイアフィルトレーション濾過の濃縮液のプレコート濾過に必要な濾過時間及び珪藻土等のプレコート濾過助剤使用量は、糖液を直接プレコート濾過する場合に比べて1/2〜1/5程度に低減することができる。従って、本発明ではプレコート濾過を採用しても、プレコート濾過のための助剤使用量をプレコート濾過のみを行う場合に比べて1/2以下に大幅に削減することができ、廃棄物量の低減にも有効である。
本発明においては、ダイアフィルトレーション濾過に先立ち、通常の膜分離処理を行って、糖液を濃縮液と透過液とに分離し、得られた濃縮液をダイアフィルトレーション濾過することが好ましい。
また、プレコート濾過に供する濃縮液は、SS濃度が15重量%以下、特に10重量%以下で、糖濃度が10重量%以下、特に5重量%以下であることが、プレコート濾過を円滑に行う上で好ましい。
本発明の糖液の処理方法によれば、糖液のダイアフィルトレーション濾過で得られた濃縮液をプレコート濾過することにより、助剤コスト及び廃棄物量の低減を図った上で、ブドウ糖を効率的に回収すると共に、ブドウ糖を回収した後の濃縮マッドを容易に処理することができる。
以下に図面を参照して本発明の糖液の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の糖液の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
酵素糖化工程からの糖液(デンプン糖化液)は、第1循環槽1を経てポンプPにより第1膜分離装置2に送給され、クロスフロー濾過方式で膜分離処理され、膜を透過したブドウ糖を含む透過液(第1透過液)は透過液貯槽3に送給される。一方、不溶解性のデンプンや蛋白質などの懸濁物質等のマッドが濃縮された濃縮液は第1循環槽1に戻され、循環処理される。この濃縮液(第1濃縮液)は次いで第2循環槽4に送給され、希釈液で希釈され、ポンプPにより第2膜分離装置5に送給され、クロスフロー濾過方式でダイアフィルトレーション濾過が行われる。この第2膜分離装置5の膜を透過したブドウ糖を含む透過液(第2透過液)は透過液貯槽3に送給される。透過液貯槽3内の透過液は、更に後段の脱色工程及び脱塩工程に順次送給され、常法に従って精製処理される。一方、マッドが濃縮された濃縮液は循環槽4に循環される。この第2循環槽4内の濃縮液(第2濃縮液)は濃縮液受槽6に送給される。
濃縮液受槽6の濃縮液は、次いでポンプPにより、珪藻土やパーライトをプレコートしたドラム型フィルター等を備えるプレコート濾過装置7に送給され、プレコート濾過される。
第1及び第2膜分離装置2,5の分離膜としては、通常、MF膜が使用される。糖液は、腐敗防止のため、液温が60〜80℃になっているので、このMF膜には耐熱性が要求されることから、膜素材としては、ポリスルホン、テフロン、セラミック、金属が用いられているが、耐久性の面から、ステンレス焼結チューブの内面にチタン粒子を焼結した金属膜を使用することが望ましい。
ダイアフィルトレーション濾過に供する前段の膜分離装置の濃縮液の濃縮倍率には特に制限はないが、糖液をダイアフィルトレーション濾過の前段で10〜30倍程度に濃縮することが、膜分離効率及びブドウ糖の回収効率の面で好ましい。
また、ダイアフィルトレーション濾過における加水量については、ブドウ糖の回収率を上げるためには、多い方が好ましいが、この加水量が過度に多いと、得られた透過液を後工程で濃縮する際の負荷が大きくなる上に、装置が大型化してしまい好ましくない。従って、このダイアフィルトレーション濾過における加水量は、処理する糖液の液量に対して、得られる全透過液量が120%以下(即ち、増加液量が20%以下)、特に100〜110%(増加液量が10〜10%)となるような加水量とするのが好ましい。なお、このダイアフィルトレーション濾過の希釈液としては、通常、脱イオン水、一般工業水(井水)、緩衝液、糖化プロセスからの糖分を含んだ排水等が用いられる。この希釈液の加水形態には特に制限はなく、連続加水、間欠加水、或いはバッチ毎の加水であっても良いが、濃縮液量を一定に保ちながら透過液量に見合った水量を徐々に加えてゆく方法が一般的である。
本発明では、このようにしてダイアフィルトレーション濾過を行って得られる濃縮液(濃縮マッド)をプレコート濾過するが、このプレコート濾過に供する濃縮液は、SS濃度が15重量%以下、特に10重量%以下、例えば4〜8重量%であることが、濃縮液をポンプで容易に移送して円滑なプレコート濾過を行う上で好ましい。また、この濃縮液は、糖濃度が10重量%以下、特に5重量%以下、例えば2〜5重量%であることが、プレコート濾過を円滑に行う上で好ましい。
なお、プレコート濾過の処理条件には特に制限はなく、一般的には、珪藻土やパーライト等の濾過助剤を厚さ20〜50cm程度にプレコートしたフィルターを用いて、60〜90kPa程度の吸引下に濾過を行うことが好ましい。
なお、図1は、本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示の方法に限定されるものではない。
例えば、膜分離装置を3段以上の多段に設け、最後段の膜分離装置でダイアフィルトレーション濾過を行うようにし、ダイアフィルトレーション濾過の前段で多段膜分離を行うようにすることもできる。また、1基の膜分離装置で膜分離処理とその後のダイアフィルトレーション濾過を行うようにすることもできる。また、複数の膜分離装置を並列に配置して処理量の変動に対応するようにすることもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
コーンスターチを糖化して得られたブドウ糖(DE98)の28重量%溶液(SS濃度0.3重量%)20mを、金属膜(チタンコーティング、孔径0.1μm、内径19mmのチューブラー膜、膜面積5m)を装填した金属膜分離装置で膜分離処理して、一次側のブドウ糖液を20倍に濃縮し、1mの濃縮液(SS濃度6重量%)と、透過液19mを得た。同じ、金属膜分離装置を用いて、得られた濃縮液をダイアフィルトレーション濾過して、ブドウ糖濃度5重量%の濃縮液を得た。なお、ダイアフィルトレーション濾過は、100Lの水を加えて、100Lの透過液を得る操作を18回繰り返して行った。
このダイアフィルトレーション濾過で得られた濃縮液を、直径50cmのドラムフィルター(面積1.6m)に珪藻土50kg(厚み3cm)をプレコートしたものを用いてプレコート濾過を行った。ドラムフィルターの受槽容量は100Lでドラムの直径の1/3が液に浸漬するように調整した。ドラムは1分間で1回転し、20秒間濾過を行い、40秒間脱水するようにした。濾過時の吸引は−50cmHg(−66.6kPa)とした。1時間で、ダイアフィルトレーション濾過で得られた濃縮液1000Lの濾過を行うことができ、脱水ケーキ144kg(含水率55重量%)を得た。珪藻土使用量は5kgであった。
金属膜分離装置で得られた透過液は合計20,800Lで、そのブドウ糖濃度は26.7重量%であった。また、プレコート濾過で得られた脱水濾液は790Lで、そのブドウ糖濃度は4.8重量%であった。これらの透過液と脱水濾液に回収されたブドウ糖の回収率は99.9重量%であった。
比較例1
実施例1において、ダイアフィルトレーション濾過を行わず、膜分離処理で得られた濃縮液を直接プレコート濾過したこと以外は同様にして処理を行った。
その結果、800Lの濃縮液のプレコート濾過は4.5時間で行うことができ、脱水ケーキ171kg(含水率51重量%)を得た。珪藻土使用量は24kgであった。
金属膜分離装置で得られた透過液は19,000Lで、そのブドウ糖濃度は28重量%であった。また、プレコート濾過で得られた脱水濾液は760Lで、そのブドウ糖濃度は25重量%であった。これらの透過液と脱水濾液に回収されたブドウ糖の回収率は98.4重量%であった。
比較例2
実施例1において、金属膜分離装置を使用せずに、ブドウ糖溶液を直接プレコート濾過したこと以外は同様にして処理を行った。
その結果、20,000Lのブドウ糖溶液のプレコート濾過は6時間で行うことができ、脱水ケーキ185kg(含水率45重量%)を得た。珪藻土使用量は42kgであった。プレコート濾過で得られた脱水濾液は19,750Lで、そのブドウ糖濃度は28重量%で、ブドウ糖の回収率は98.8重量%であった。
これらの結果を、表1にまとめて記載する。
Figure 2005102519
表1より明らかなように、本発明によれば、プレコート濾過における助剤使用量を大幅に低減した上で、従って、廃棄物量をも大幅に低減した上で、ブドウ糖を効率的に回収することができ、濃縮液を脱水ケーキとして良好な取り扱い性のもとに容易に処理することができる。
本発明の糖液の処理方法の実施の形態を示す系統図である。
符号の説明
1 第1循環槽
2 第1膜分離装置
3 透過液貯槽
4 第2循環槽
5 第2膜分離装置
6 濃縮液受槽
7 プレコート濾過装置

Claims (4)

  1. 糖液をダイアフィルトレーション濾過して濃縮液と透過液とに分離するダイアフィルトレーション濾過工程を備える糖液の処理方法において、
    ダイアフィルトレーション濾過により得られた濃縮液をプレコート濾過することを特徴とする糖液の処理方法。
  2. 請求項1において、糖液を膜分離処理して濃縮液と透過液とに分離する第1の膜分離工程と、第1の膜分離工程で得られた濃縮液をダイアフィルトレーション濾過するダイアフィルトレーション濾過工程とを備えることを特徴とする糖液の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、プレコート濾過に供する濃縮液のSS濃度が15重量%以下であり、糖濃度が10重量%以下であることを特徴とする糖液の処理方法。
  4. 請求項3において、プレコート濾過に供する濃縮液のSS濃度が10重量%以下であり、糖濃度が5重量%以下であることを特徴とする糖液の処理方法。
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