JP3815351B2 - 糖液精製装置及び糖液精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は糖液からブドウ糖を高度に回収するための精製装置及び精製方法に係り、特に、糖液精製プロセスにおける濾過工程において、精製コストの削減、廃棄物量の低減を図ると共に、後工程の負荷を軽減し、ブドウ糖を効率的に回収するための糖液精製装置と、この糖液精製装置を用いた糖液精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブドウ糖或いはその異性化糖は、デンプン糖、甜菜糖、甘蔗糖、甘藩糖及び多糖類の溶液である糖液を濾過などにより精製することにより得ることができる。以下に代表的なブドウ糖の製造工程を記載する。
【0003】
まず、原料デンプン(コーンスターチなど)が酵素液化工程、酵素糖化工程を経て、下記組成及び粘度のブドウ糖溶液(糖液)が製造される。
[糖液組成及び粘度]
ブドウ糖 :33%
脂肪酸 :0.2%
タンパク質 :0.1%
その他の不溶物:0.1%
粘度(60℃):1.0cp
【0004】
このように酵素糖化工程からの糖液は不純物を多く含む粗製品であるため、次いで濾過工程で不純物を分離してブドウ糖を回収する。従来、この濾過工程では、珪藻土のプレコートフィルターを用いる珪藻土濾過法が採用されている。この方法では、糖液中の不純物を珪藻土上に残し、透過液側にブドウ糖液を回収する。
【0005】
この濾過工程を経て精製されたブドウ糖液は、次いで活性炭による脱色処理、イオン交換樹脂による脱塩処理を経て更に精製され、その後、精製ブドウ糖液を得るためには濃縮処理され、精製異性化糖液を得るためには異性化工程、脱塩工程及び除菌のための膜濾過工程を経た後、濃縮処理される。
【0006】
しかし、珪藻土濾過法により糖液を濾過する従来の方法では、大量の珪藻土を使用する必要があり、しかも分離した不純物を含む珪藻土のスラッジが大量に排出される。このスラッジは珪藻土を含むため焼却処理することができず、産業廃棄物として投棄処分するため、処分場の問題がある。
【0007】
この珪藻土濾過法の問題を解決するものとして、限外濾過(UF)膜又は精密濾過(MF)膜を用いた膜分離法が提案されている。膜分離法による糖液からのブドウ糖の回収は、糖液の濾過、濃縮(ブドウ糖の透過と不純物の濃縮)とダイアフィルトレーション(加水処理による、濃縮液側に残ったブドウ糖の透過液側への回収)とによって行われる。即ち、まず、糖液を膜分離処理してブドウ糖を透過液側に回収すると共に不純物を濃縮し、不純物の濃縮がある程度進んだ後に、濃縮液側に水を徐々に添加(加水処理)しながら膜分離を続けるダイアフィルトレーションと称される操作を行うことで濃縮液側に残留するブドウ糖の透過液側への回収を促進する。
【0008】
しかして、特開平10−304899号公報には、糖液を第1膜処理装置及び第2膜処理装置で順次処理して濃縮し、第3膜処理装置でダイアフィルトレーション濾過を行う方法において、後段のイオン交換脱塩工程のイオン交換樹脂の洗浄排水をダイアフィルトレーションの加水処理水として有効利用する方法が記載されている。
【0009】
この方法であれば、珪藻土を使用しないため、珪藻土の費用削減に加えて、産業廃棄物の大幅な削減が可能となる。また、濾過残渣は有機物のみから構成されるため、これを生物処理により廃液処理することができ、肥料や家畜用飼料としての有効利用も可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平10−304899号公報に記載されるように、多段膜分離処理を行う場合、装置が大型化し、工業的に不利である。
【0011】
本発明は上記従来の問題点を解決し、糖液からブドウ糖を効率的に回収することができ、かつ装置の小型化と、洗浄による処理性能の再生を容易に実施することが可能な糖液精製装置と、この糖液精製装置を用いた糖液精製方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の糖液精製装置は、糖液を精密濾過膜によって濃縮液と透過液とに分離するための膜分離手段が多段に配置され、前段の膜分離手段の濃縮液を後段の膜分離手段で濃縮液と透過液とに分離し、最終段の膜分離手段でダイアフィルトレーション濾過を行う糖液精製装置において、すべての膜分離手段の精密濾過膜が金属膜であり、前記最終段の膜分離手段を除く膜分離手段の精密濾過膜は実質的に同一の膜面積であり、該最終段の膜分離手段の精密濾過膜の膜面積は他の膜分離手段の膜面積よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
本発明では、多段に設けた膜分離手段の精密濾過膜として、金属膜を用いることにより、他の膜にない安定した濾過性能と高濃縮を実現することができる。
【0014】
即ち、有機膜は無機膜に比べて安価で装置が小型であるため経済的に有利であるが、化学的、機械的強度が無機膜に比べて劣り、高温、高圧といった過酷な条件での運転ができないことから濃縮率を上げることができず、10〜20倍濃縮程度が限度であるという短所がある。一方、無機膜は、有機膜に比べて化学的、機械的強度が高く、有機膜よりも運転条件を上げることができ、50倍濃縮程度まで可能であるが、高価で装置が大型化するため、経済的に不利である。
【0015】
本発明では、糖液が高温で高い濾過性能を発揮することに着目し、無機膜のなかでも金属膜を採用することにより、高温、高圧に耐え、かつ酸、アルカリによる効率的な洗浄を可能とし、コンパクトでメンテナンス性の良い装置を実現した。
【0016】
本発明においては、このように高温、高圧に対する耐久性に優れた金属膜を用いて、多段に設けた膜分離手段によるブドウ糖の透過液側への回収及び濃縮と、最終段の膜分離手段によるダイアフィルトレーション濾過により、ブドウ糖を高い回収率で回収すると共に、不純物を高度に除去することができるため、
▲1▼ 多段膜分離処理で、着色原因となる溶存蛋白質などが高度に除去されるために、後工程の活性炭による脱色工程において、粉末活性炭の使用量を、珪藻土濾過法を採用する場合に比べて20%以上削減することができる。その結果、粉末活性炭の費用削減に加えて粉末活性炭の除去に用いているフィルタープレスなどの濾過機の負荷も低減できる。また、粒状活性炭の場合は、再生サイクルが長くなり費用削減を図ることができる。
▲2▼ 多段膜分離処理で、イオン交換樹脂の汚染原因となる溶存蛋白質やポリフェノールなどが高度に除去されるために、後工程のイオン交換樹脂による脱塩工程において、イオン交換樹脂の寿命を珪藻土濾過法を採用する場合に比べて20%以上延ばすことができる。また、珪藻土を使用しないため、珪藻土から溶出するシリカによるイオン交換樹脂に対する負荷を低減することができる。従って、イオン交換樹脂の使用量を削減し、カートリッジフィルターの交換頻度を低減できる。
といった効果も奏され、糖液精製プロセス全体の処理コストの低減、処理効率の向上を図ることができる。
【0017】
本発明においては、最終段の膜分離手段とこの最終段の前段の膜分離手段との間に、濃縮液受槽と、この濃縮液受槽内の濃縮液を最終段の膜分離手段に送給する移送ポンプとを設けて、最終段の膜分離手段に送給する濃縮液量を調整可能とすることが好ましい。
【0018】
また、多段に設けた膜分離手段のうち、最終段の膜分離手段以外の膜分離手段の精密濾過膜は実質的に同一の膜面積であることが、高い濃縮と濾過性能を得る上で好ましく、また、ダイアフィルトレーション濾過を行う最終段の膜分離手段の精密濾過膜の膜面積をこれらの膜分離手段の精密濾過膜の膜面積よりも小さくすることにより、濃縮によるデッドスペースを無くし、効率的な濃縮処理を行うことができる。
【0019】
更に、膜分離手段を洗浄するための、エチレンジアミン四酢酸及び/又はその塩を含有するアルカリ洗浄液を膜分離手段に供給するためのアルカリ洗浄液供給手段を備えることが好ましい。
【0020】
そして更に、ダイアフィルトレーション濾過を行う最終段の膜分離手段から別途設けた飼料生成手段へ、ダイアフィルトレーション濾過後の濃縮液を移送するための濃縮液移送手段を設けることが好ましい。
【0021】
本発明の糖液精製方法は、このような本発明の糖液精製装置を用いて、糖液を50℃以上の温度で膜分離処理することによりブドウ糖を回収するものであり、高温、高圧条件での使用が可能な金属膜を備える糖液精製装置により、高温条件にて効率的な濾過を行える。そして、この濾過効率の向上により装置の小型化を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の糖液精製装置の実施の形態を示す系統図である。
【0024】
酵素糖化工程からの糖液(デンプン糖化液)は、糖化液受槽10を経てポンプP1により第1膜分離装置1の循環ポンプP2の吸引側に送液され、この循環ポンプP2により、第1膜分離装置1の金属膜によりクロスフロー濾過方式で膜分離処理される。第1膜分離装置1の金属膜を透過したブドウ糖を含む透過液(第1透過液)は透過液受槽40に送給される。一方、不溶解性の脂肪や蛋白質などの懸濁物質等の不純物が濃縮された濃縮液は、次の循環ポンプP3の吸引側に送液され、その循環ポンプP3で第2膜分離装置2により、クロスフロー濾過処理される。この第2の膜分離装置2の透過液(第2透過液)も透過液受槽40に送給され、濃縮液(第2濃縮液)は、上記と同様に次の循環ポンプP4により第3膜分離装置3でクロスフロー濾過処理され、透過液(第3透過液)は透過液受槽40へ、濃縮液(第3濃縮液)は循環ポンプP5により第4膜分離装置4でクロスフロー濾過処理され、透過液(第4透過液)は透過液受槽40へ送給される。このような多段のクロスフロー濾過処理で目的の濃縮倍数に濃縮された濃縮液(第4濃縮液)は濃縮液受槽20に送給される。
【0025】
濃縮液受槽20内の濃縮液は、ポンプP6により加水濾過調整槽30A,30Bに定量送液され、加水配管31A,31Bからの希釈液で希釈され、ポンプP7A,P7Bで第5膜分離装置(最終段膜分離装置)5A,5Bに送液され、循環ポンプP8A,P8Bにより第5膜分離装置5A,5Bの金属膜によりクロスフロー濾過方式で濃縮液量を一定に保ったダイアフィルトレーション濾過が行われる。この第5膜分離装置5A,5Bの膜を透過したブドウ糖を含む透過液(第5透過液)は透過液受槽40に送給される。一方、不純物が濃縮された濃縮液は加水濾過調整槽30A,30Bに循環される。一定の加水濾過により糖分が除去された加水濾過調整槽30A,30B内の濃縮液は、加水後濃縮液受槽80に移され、飼料化工程へポンプP13により移送された後、飼料又は肥料として有効利用される。透過液受槽40内の透過液は、更に後段の脱色工程及び脱塩工程に順次送液され、常法に従って精製処理される。
【0026】
本発明では、このように多段に配置された膜分離装置の分離膜の精密濾過膜として、金属膜を用いる。
【0027】
この金属膜としては、特に下記のようなチューブラー型のステンレスチタン膜を用いるのが好ましく、最終段の膜分離装置以外の膜分離装置の金属膜の膜面積は実質に同一とし、最終段の膜分離装置の金属膜の膜面積(図1に示す如く、複数の膜分離装置を併列に設けた場合は、その合計の膜面積)は、その他の膜分離装置の膜面積の5〜30%程度とすることが好ましい。また、最終段の前段までの膜分離装置における多段処理により糖液(デンプン糖化液)を10〜30倍に濃縮し、最終段の膜分離装置においてこの濃縮液をダイアフィルトレーション濾過することが好ましい。
[ステンレスチタン膜]
ステンレス支持体(肉厚0.8〜1.5mm、孔径1.0μm)の表面に、チタン活性層(膜厚0.01〜0.1mm、孔径1.0μm)を形成した精密濾過膜。
【0028】
また、ブドウ糖の回収率を上げるためには、最終段の膜分離装置5A,5Bにおけるダイアフィルトレーション濾過で加水する希釈液量が多い方が好ましいが、この加水量が過度に多いと、得られた透過液を後工程で濃縮する際の負荷が大きくなる上に、装置が大型化してしまい好ましくない。従って、このダイアフィルトレーション濾過における加水量は、処理する糖液(デンプン糖化液)の液量に対して、得られる全透過液量が120%以下(即ち、増加液量が20%以下)、特に100〜110%(増加液量−10〜10%)となるような加水量とするのが好ましい。なお、このダイアフィルトレーション濾過の希釈液としては、通常、脱イオン水、一般工業水(井水)、緩衝液、糖化プロセスからの糖分を含んだ排水等が用いられる。この希釈液の加水形態には特に制限はなく、連続加水、間欠加水、或いはバッチ毎の加水であっても良いが、濃縮液量を一定に保ちながら透過液量に見合った水量を徐々に加えてゆく方法が一般的である。
【0029】
ダイアフィルトレーション濾過後の濃縮液は加水後濃縮液受槽80を経由してポンプP13により飼料化工程に送られることが好ましい。飼料化工程に送られる濃縮液中の固形分濃度は20%以下、好ましくは10%以下が望ましい。この固形物濃度は、膜分離装置の濃縮倍率を変えることで調整できる。前記濃縮液は飼料化工程でグルテンフィード等に添加されるが、この場合は前記濃縮液をコーンスティープリカーと混合した後、コーン皮と混合して乾燥される。
【0030】
本発明で用いる金属膜を装着した膜分離装置は、高温、高圧での濾過が可能であり、また、耐酸性、耐アルカリ性にも優れ、高濃度な酸、アルカリを高温、高圧下で供給することもできる。
【0031】
一方で、本発明において処理する糖液は、高温における濾過性能に優れることから、本発明の糖液精製装置による処理は、系内の温度を50℃以上、好ましくは60〜90℃に維持して行うことが好ましい。
【0032】
このような高温での濾過処理のために、送液配管を断熱ないし保温構造としたり、糖化液受槽、濃縮液受槽及び加水濾過調整槽に加温手段を設けることが好ましい。また、加水濾過調整槽に供給する希釈液としても温水等を用いることが好ましい。
【0033】
また、膜分離装置の耐高温、高圧、耐アルカリ、耐酸性を利用して、高濃度の酸やアルカリ或いは蒸気による膜洗浄手段を設けることが好ましく、これにより、有機物による膜汚染やスケール等を十分に洗浄除去することができる。
【0034】
特に、デンプン糖化液などの糖液の製造においては、シュウ酸カルシウムなどカルシウム系の無機薬剤が使用されているため、金属膜孔へのシュウ酸カルシウム結晶の詰まりや配管等へのスケール付着が起こる。このため図1に示す糖液精製装置では、有機物汚染やシュウ酸カルシウムなどカルシウム系スケールの洗浄機能を有するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩を含むアルカリ性の洗浄液を貯留するEDTA含有アルカリ貯槽60と、スケール一般の洗浄機能を有する酸貯槽70と、CIP洗浄槽50が設けられており、CIP洗浄槽50に、アルカリ貯槽60又は酸貯槽70より、ポンプP10又はポンプP11によりアルカリ又は酸を送給し、温水で適宜希釈した洗浄液を各膜分離装置1〜4に送給し、各膜分離装置1〜4とCIP洗浄槽50との間で循環洗浄を行うことができるように構成されている。また、最終段膜分離装置5A,5Bに対しては、加水濾過調整槽30A,30Bにアルカリ又は酸を送給し、同様に循環洗浄を行うことができるよう構成されている。なお、この膜分離装置の洗浄に当っては、膜分離装置内の透過液及び濃縮液をポンプで系外へ排出する。
【0035】
通常、デンプン糖化液などの糖液の濾過処理では、タンパク質、脂肪酸等の有機物による膜汚染が主であり、スケール等の無機物による膜汚染は少ないことから、EDTA及び/又はその塩を含むアルカリ性の洗浄液での洗浄を定期的に実施し、無機物の洗浄除去に有効な酸洗浄は間隔をあけて実施するのが好ましい。通常、アルカリ性の洗浄液での洗浄は1〜2日に一回の割合で定期的に行い、酸洗浄は半年に一回の割合あるいは、それより低い頻度で、適時実施する。なお、糖液の品質によっては、濾過性能が著しく低下する場合があるが、この場合、濾過性能の低下は、供給量の低下と供給圧力の上昇をひきおこすため、予め設定した供給量と圧力の値をはずれたところで、濾過を止め、アルカリ性の洗浄液での洗浄を実施することができる。この場合、多段に設けられた膜分離装置をメリーゴーランド方式で洗浄することもできる。
【0036】
アルカリ性の洗浄液を膜分離装置に供給した場合の、系内での最終濃度としては、EDTA及び/又はその塩の濃度として10〜5000ppm、好ましくは100〜2000ppmであり、アルカリ性はpH11以上、好ましくはpH13以上が良い。また、界面活性剤が10ppm以上添加されると洗浄効果は更に優れる。使用される界面活性剤に特に制限は無く、膜分離装置の洗浄に通常用いられるものを好適に使用することができる。
【0037】
酸洗浄液を膜分離装置に供給した場合の、系内のpHは4以下で、好ましくは3以下が良い。使用される酸には、特に制限はないが、例えば塩酸、硝酸、クエン酸等が使用される。
【0038】
このアルカリ洗浄、酸洗浄の洗浄温度も金属膜の耐熱性を利用して60℃以上、特に70〜90℃で行うことが好ましい。
【0039】
なお、図1に示す糖液精製装置は、本発明の糖液精製装置の実施の形態の一例であって、本発明はその要旨を超えない限り、何ら図示のものに限定されるものではない。
【0040】
例えば、図1の糖液精製装置では、第1〜4膜分離装置1〜4と第5膜分離装置5A,5Bにより全5段の膜濾過、即ち、最終段のダイアフィルトレーション濾過以外で4段の膜濾過を行うが、この最終段のダイアフィルトレーション濾過を行う膜分離装置以外の膜分離装置の設置段数は4段に限らず、1段、2段、3段又は5段以上であっても良い。しかし、この段数が1段ではダイアフィルトレーション濾過前に十分に濃縮倍率を上げることができないため、ダイアフィルトレーション濾過前の段数は2段以上、特に3〜5段とすることが好ましい。
【0041】
また、ダイアフィルトレーション濾過を行う最終段の膜分離装置は、2基の膜分離装置を並列に設けているが、この膜分離装置は1基のみでも良く、また3基以上を並列に設けても良い。
【0042】
また、一日当たりの糖液の製造量は年間を通して、最大量を100とした場合、最小量が40ぐらいまで変動することがある。この場合、ダイアフィルトレーション濾過の前段に設けられた複数段の膜分離装置において、使用する段数を調整することで、濾過に必要な動力費を節減できる。ダイアフィルトレーション濾過の基数も、複数用意すると、糖液の処理量に応じて同様に使用基数を調整することができる。
【0043】
このような本発明の糖液精製装置によれば、処理する糖液中のブドウ糖の99.5%以上を透過液中に回収することができる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0045】
実施例1
酵素糖化工程からの下記組成及び粘度の糖液を75℃にて70m3/hrの処理量で図1に示す装置で処理した。
[糖液及び粘度]
ブドウ糖 :33%
脂肪酸 :0.2%
タンパク質 :0.1%
その他の不溶物:0.1%
粘度(60℃):1.0cp
【0046】
各膜分離装置の仕様及び運転条件は次の通りとした。なお、第5膜分離装置の希釈液としては脱イオン水を用いた。
[第1〜第4膜分離装置]
使用膜 :チューブラー型ステンレスチタン膜
膜面積 :150m2×4基
膜孔径 :0.1μm
透過液量(合計) :66.5m3/hr
濃縮液受槽への濃縮液量:3.5m3/hr
循環液量(1基当たり):1000m3/hr
濃縮倍率 :20倍
[第5膜分離装置]
使用膜 :チューブラー型ステンレスチタン膜
膜面積 :50m2×2基
膜孔径 :0.1μm
透過液量(1基当たり) :7.5m3/hr
循環液量(1基当たり) :720m3/hr
希釈液加水量(1基当たり) :7.5m3/hr
系外への排出濃縮液量(1基当たり):3.5m3/回
【0047】
その結果、第1,第2,第3,第4,第5透過液及び第1,第2,第3,第4,第5濃縮液として、表1に示す組成のものが得られ、全透過液中に処理した糖液中のブドウ糖を99.5重量%の回収率で回収することができた。なお、処理した糖液量に対する全透過液量の割合は107%でその増加分は7%であった。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例2
実施例1に記載の処理を100時間継続して実施した後、系内のデンプン糖化液を排出・水洗し、その後、EDTA含有アルカリ貯槽にEDTAとNaOH及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加して、pH12、EDTA500mg/L、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム50mg/Lのアルカリ洗浄液を調製し、各膜分離装置をこのアルカリ洗浄液を用いて洗浄液温度70〜80℃で0.5時間循環洗浄した。アルカリ洗浄前後での各膜分離装置の純水の透過流束の変化を表2に示す。
【0050】
比較例1
実施例1に記載の処理を100時間継続して実施した後、系内のデンプン糖化液を排出・水洗し、その後、アルカリ貯槽にNaOH及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加して、pH12、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム50mg/Lのアルカリ洗浄液を調製し、各膜分離装置をこのアルカリ洗浄液を用いて洗浄液温度70〜80℃で0.5時間循環洗浄した。アルカリ洗浄前後での各膜分離装置の純水の透過流束の変化を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
表2より、EDTAを含むアルカリ洗浄液によれば、膜性能を効果的に回復させることができることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、ブドウ糖精製プロセスにおける濾過工程において、精製コストの削減、廃棄物量の低減を図ると共に、後工程の負荷を軽減し、ブドウ糖を効率的に高い回収率で回収することができ、しかも装置の小型化が可能な糖液精製装置と、この糖液精製装置を用いた糖液精製方法が提供される。更に本発明によれば、洗浄により容易に膜分離装置の性能の再生を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糖液精製装置の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 第1膜分離装置
2 第2膜分離装置
3 第3膜分離装置
4 第4膜分離装置
5A,5B 最終段膜分離装置(第5膜分離装置)
10 糖化液受槽
20 濃縮液受槽
30A,30B 加水濾過調整槽
40 透過液受槽
50 CIP洗浄槽
60 EDTA含有アルカリ貯槽
70 酸貯槽
80 加水後濃縮液受槽
Claims (5)
- 糖液を精密濾過膜によって濃縮液と透過液とに分離するための膜分離手段が多段に配置され、
前段の膜分離手段の濃縮液を後段の膜分離手段で濃縮液と透過液とに分離し、最終段の膜分離手段でダイアフィルトレーション濾過を行う糖液精製装置において、
すべての膜分離手段の精密濾過膜が金属膜であり、前記最終段の膜分離手段を除く膜分離手段の精密濾過膜は実質的に同一の膜面積であり、該最終段の膜分離手段の精密濾過膜の膜面積は他の膜分離手段の膜面積よりも小さいことを特徴とする糖液精製装置。 - 請求項1において、前記最終段の膜分離手段と、該最終段の前段の膜分離手段との間に、濃縮液受槽と、該濃縮液受槽内の濃縮液を該最終段の膜分離手段に送給する移送ポンプとを備えることを特徴とする糖液精製装置。
- 請求項1又は2において、前記膜分離手段を洗浄するための、エチレンジアミン四酢酸及び/又はその塩を含有するアルカリ洗浄液を、該膜分離手段に供給するためのアルカリ洗浄液供給手段を備えたことを特徴とする糖液精製装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、ダイアフィルトレーション濾過を行う前記最終段の膜分離手段から別途設けた飼料生成手段へ、ダイアフィルトレーション濾過後の濃縮液を移送するための濃縮液移送手段を設けたことを特徴とする糖液精製装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の糖液精製装置により、糖液を50℃以上の温度で膜分離処理することにより、ブドウ糖を回収することを特徴とする糖液精製方法。
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