JP2005099721A - 熱現像装置及び方法 - Google Patents

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恭義 大田
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Abstract

【課題】 小型化を可能にし、しかも、両面に記録層を形成した熱現像記録材料の熱現像
を安価に実現することができる熱現像装置及び方法を得る。
【解決手段】 シート状の熱現像記録材料71を熱現像する熱現像装置は、加熱手段79
による加熱域の終端に、前記熱現像記録材料71を反転させて前記加熱手段79による加
熱域の始端に戻す反転処理機構110と、前記熱現像記録材料71の進路を前記反転処理
機構110側又は排出側搬送ルート130に選択切り替えする搬送ルート切り替え手段1
20とを備えて、前記熱現像記録材料71の両面の記録層に対して熱現像を実施する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シート状の熱現像記録材料の記録層に対し熱現像処理をする熱現像装置及び
方法に関し、特に、記録層をベースフィルムの両面に有した熱現像記録材料の熱現像を安
価に実現するための改良に関するものである。
ディジタルラジオグラフィーシステム、CT、MR等の医療用の画像を記録する画像記
録装置として、従来、銀塩写真式感光材料に撮影又は記録後、湿式処理して再現画像を得
るウエットシステムが用いられている。これに対して、近年、熱現像感光材料を用いたドライシステムによる記録装置(熱現像記録装置)が注目されている。
図8は、この種の熱現像記録装置の従来例を示したものである。
この熱現像記録装置100は、シート状の熱現像記録材料21を収容した記録材料供給
部Aと、この記録材料供給部Aから供給された熱現像記録材料21に対して画像データに
基づく露光処理を行う画像露光部Bと、この画像露光部Bで露光処理を済ませた熱現像記
録材料21に対して所定の加熱による熱現像処理を行う熱現像部Cと、熱現像処理を済ま
せた熱現像記録材料21を冷却して排出する冷却部Dと、以上の各部への給電や各部の動
作制御を行う電源/制御部Eと、記録材料供給部Aの熱現像記録材料21を画像露光部B
,熱現像部Cを順に経由して冷却部Dに送る搬送手段とを備えている(例えば、特許文献
1参照)。
特開平2000−98576号公報
熱現像記録材料21は、感光性及び感熱性を有する記録層がベースフィルムの片面に装
備されたもので、具体的には、記録層の特徴により、熱現像感光材料と、感光感熱記録材
料が使用される。
熱現像感光材料の記録層は、光ビーム(例えば、レーザビーム)による露光によって画
像を潜像として記録し、その後、熱現像により発色させる記録材料である。
一方、感光感熱記録材料の記録層は、光ビームによる露光によって画像を潜像として記
録し、その後、熱現像して発色させるか、或いは、レーザビームのヒートモード(熱)に
よって画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で画像を定着させる記録材料で
ある。
図示例の記録材料供給部Aは、上下に3段に記録紙収容ケース(マガジン)15a,1
5b,15cを配置している。それぞれの記録紙収容ケース15a,15b,15cには
、シート状の熱現像記録材料21が多数枚(例えば、150枚等)の積層状態に収容可能
である。そして、各記録紙収容ケース15a,15b,15cの出口側には、それぞれ、
ケース内の熱現像記録材料21を一枚ずつ繰り出して搬出する繰り出しローラ対13a,
13b,13cが装備されている。
繰り出しローラ対13a,13b,13cによって各記録紙収容ケース15a,15b
,15cから繰り出された熱現像記録材料21は、その上端に装備された搬送手段22に
よって、画像露光部Bに送られる。
画像露光部Bは、駆動ローラ31,33とガイド板35とを備えて記録材料供給部Aか
ら供給される熱現像記録材料21を所定速度で搬送する搬送手段27と、この搬送手段2
7によって搬送される熱現像記録材料21に対して、搬送方向と直交する方向に光ビーム
(レーザビーム)28による走査を行うビーム発射手段29とを備えている。この画像露
光部Bは、ビーム照射手段29による走査方向を主走査方向、搬送手段27の搬送方向を
副走査方向として、CTやMR等の画像情報源から受ける記録画像データに基づいて熱現
像記録材料21の記録層上に光ビーム28による主・副走査をすることで、記録する画像
に応じた露光処理を行い、熱現像記録材料21の記録層に潜像を記録する。
熱現像部Cは、画像露光部Bで露光処理された熱現像記録材料21を、円弧状の経路で
搬送する搬送手段36と、この搬送手段36による搬送経路に沿って装備されて搬送手段
36によって搬送中の熱現像記録材料21の記録層に所定の加熱処理を行う加熱手段37
とを備えた構成である。
搬送手段36は、歯車43に従動して回転駆動される複数個の押さえローラ41と、画
像露光部B寄りに配置された供給ローラ対39とによって、熱現像記録材料21を円弧状
の経路で搬送する。
加熱手段37は、搬送手段36の円弧状の搬送経路に沿って配置された複数個のプレー
トヒータ37a,37b,37cとを備えた構成である。熱現像記録材料21は、記録層
をプレートヒータ37a,37b,37c側に向けた状態で、搬送される。
以上の加熱手段37は、熱現像記録材料21の記録層を、規定の熱現像温度(例えば、
120℃)に昇温させることで、熱現像記録材料21に記録されていた潜像を所定濃度の
可視像として現像・定着させる。
冷却部Dは、現像処理を終えた熱現像記録材料21を受け渡しローラ45を介して受け
取り、適宜数の冷却ローラ対47による搬送時の放熱によって熱現像記録材料21を常温
等の適宜温度に冷却する。
冷却された熱現像記録材料21は、ガイドプレート49による誘導経路と、搬出ローラ
対51とを経て、排出トレイ17に排出される。
ところで、最近は、医療現場においてベースフィルムの両面に記録層を有した熱現像記
録材料を使用して撮影した記録画像を直ちにドライ化して観たいという要求がある。
しかし、従来の熱現像記録装置は片面に記録層を有した熱現像記録材料を使用すること
を前提としたもので、そこに採用されている熱現像部Cは、搬送される熱現像記録材料の
片面側にしか加熱手段37を装備していない。
そのため、両面に記録層を形成した熱現像記録材料を使用した場合、一方の面の記録層
に対しては規定の熱現像温度に加熱できるが、他方の面の記録層に対しては加熱不足によ
り熱現像処理を行うことができない。
そこで、従来装置に、熱現像記録材料の他方の面を加熱するための加熱手段を追加装備
する対応が提案された。しかし、このような対応では、加熱手段の追加に伴って装置の大
型化や、電源容量のアップによる製造コストの増大を招くという問題が生じた。
本発明は上記課題を解消することを目的としてなされたもので、ベースフィルムの両面
に記録層を形成した熱現像記録材料の熱現像を安価に実現できる熱現像装置及び方法を提
供することにある。
上記目的は下記構成により達成される。
(1) シート状の熱現像記録材料を搬送手段によって搬送しつつ、前記熱現像記録材料を片面側から加熱手段によって熱現像する熱現像装置であって、
前記加熱手段による加熱域より排出された前記熱現像記録材料を反転させ前記加熱域に
戻す反転処理機構と、
前記加熱手段による加熱域より排出された前記熱現像記録材料の進路を前記反転処理機
構側又は排出側搬送ルートに選択切り替えする搬送ルート切り替え手段とを備えたことを
特徴とする熱現像装置。
(2) 上記(1)において、前記反転処理機構に、前記熱現像記録材料の温度降下を防止するための保温部を備えたことを特徴とする熱現像装置。
(3) 上記(1)又は(2)において、反転させる前記熱現像記録材料を一時的に待機させる一時貯留部として、熱現像処理前の前記熱現像記録材料が収容される記録紙収容ケースを利用することを特徴とする熱現像装置。
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記搬送手段を速度可変にしたことを特徴とする熱現像装置。
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱現像装置を用いて、両面に記録層を有したシート状の熱現像記録材料を熱現像する熱現像方法であって、
一方の面に対して前記加熱手段による熱現像処理を済ませた熱現像記録材料を前記反転
処理機構により反転させて前記加熱手段による加熱域に戻し、前記搬送手段及び前記加熱
手段の稼働によって当該熱現像記録材料の他方の面に対しても熱現像処理を実施した後に
排出することで、前記熱現像記録材料の両面の記録層を熱現像することを特徴とする熱現
像方法。
(6) 上記(5)において、前記反転処理機構による反転処理と、前記搬送手段及び前記加熱手段による別の熱現像記録材料に対する熱現像処理とが同時並行して実施されるように、前記反転処理機構における所要時間を設定したことを特徴とする熱現像方法。
(7) 上記(5)又は(6)において、一方の面の熱現像処理を済ませた前記熱現像記録材料の他方の面の熱現像処理に対し、前記搬送手段による搬送速度を一方の面の熱現像時よりも高速化するか、或いは、前記加熱手段による加熱量を一方の面の熱現像時よりも下げて熱現像を実施することを特徴とする熱現像方法。
上記(1)に記載の熱現像装置では、(5)に記載の熱現像方法を実施することで、熱
現像記録材料の両面の記録層に対し加熱不足等の無い適正な加熱処理を実施することがで
きる。
しかも、装置としては、片面にのみ記録層を有した熱現像記録材料の現像処理を前提と
する従来の熱現像装置に、反転処理機構と搬送ルート切り替え手段とを追加するだけの小
規模な改造で済み、電力消費が大きい加熱手段の追加を必要とせず、装置の大型化や、電
源容量のアップによる製造コストの増大等を排除することができる。
即ち、装置としては、従来の装置をわずかに改良するだけで、両面に記録層を形成した
熱現像記録材料の熱現像を、安価に実現することができる。
上記(2)に記載の熱現像装置では、反転処理機構によって反転される熱現像記録材料
は、反転処理機構に装備した保温部によって温度降下が防止され、他方の面の熱現像処理
が開始するまで、熱現像記録材料自体の温度が安定に維持される。
従って、一方の面(例えば、表面)の熱現像処理を済ませた熱現像記録材料を、反転処
理機構によって反転させて、残る他方の面(例えば、裏面)の熱現像を行う際、加熱域に
おける加熱手段は、表面の熱現像処理時の加熱量よりも軽減して加熱することができ、電
力消費を抑えることができる。
更に、裏面の熱現像を開始する際の熱現像記録材料の温度にバラツキをなくすことがで
きるため、濃度ムラ等の発生原因となる加熱ムラの発生を抑えて、濃度の高い高品位の画
像記録を実現することができる。
また、(1)又は(2)に記載の熱現像装置では、反転処理機構において熱現像記録材
料を反転処理する際の所要時間を、反転処理機構内での待機時間も含めて適宜に調整すれ
ば、反転処理機構において熱現像記録材料を反転処理している間に、同時に別の熱現像記
録材料が熱現像処理されるという(6)に記載の熱現像方法が実現でき、反転処理機構の
動作中は熱現像処理が中断するという無駄が発生せず、ベースフィルムの両面に記録層を
有した熱現像記録材料の熱現像処理効率を向上させることができる。
上記(3)に記載の熱現像装置では、反転処理時の熱現像記録材料を一時的に待機させ
る一時貯留部として、既存の記録紙収容ケースが有用に活用されるため、専用のトレイ等
を追加装備する必要が無くなり、構成部品の追加を抑えて、装置の単純化や、製造コスト
の削減を図ることができる。
上記(4)に記載の熱現像装置では、上記(7)に示すように、一方の面の熱現像処理
を済ませた熱現像記録材料の他方の面に対して熱現像処理する際には、搬送手段による搬
送速度を、一方の面の熱現像時よりも高速化するという熱現像方法が実現可能になる。
これによって、処理の高速化を図ると同時に、一方の面の熱現像処理時の残存熱の影響
による過剰加熱を防止して、ベースフィルムの両面に記録層を有した熱現像記録材料に対
する高品位の熱現像を確保することが可能になる。
以下、本発明に係る熱現像装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説
明する。
図1及び図2は本発明に係る熱現像装置の第1の実施の形態を示したもので、図1は装
置全体の縦断面図、図2は図1の熱現像装置で実施する熱現像方法の処理手順の説明図で
ある。
この第1の実施の形態の熱現像装置200は、ドライシステムとして医療用の画像記録
に使用される熱現像記録装置の熱現像部として使用可能なもので、既に露光処理によって
潜像が形成されたシート状の熱現像記録材料71を収容した記録紙収容ケース(カセッテ
)73と、このカセッテ73に収容された熱現像記録材料71をカセッテ73外に一枚ず
つ繰り出す繰り出し機構75と、この繰り出し機構75によってカセッテ73から繰り出
された熱現像記録材料71を所定の経路に沿って搬送する搬送手段77と、搬送経路に沿
って装備されて熱現像記録材料71に対してその片面側から所定の加熱処理を行う加熱手
段79と、各駆動部や加熱手段の動作を制御する電源/制御部80と、加熱手段79によ
る加熱域の終端側の反転処理機構110及び搬送ルート切り替え手段120とを備えて、
熱現像記録材料71の両面の記録層に対して熱現像処理を行う。
搬送ルート切り替え手段120は、搬送手段77によって搬送されて加熱域の終端より
排出された熱現像記録材料71の進路を、反転処理機構110側又は排出側搬送ルート1
30のいずれかに選択切り替えするもので、後述する案内片120aをソレノイドによっ
て切り替える構成である。
排出側搬送ルート130の途中には、熱現像を済ませた熱現像記録材料71を排出可能
な低温域まで冷却する冷却部81が装備されている。また、装置筐体83の上面には、冷
却を済ませた熱現像記録材料71を載置する排出トレイ85が装備されている。
冷却部81は、適宜数の冷却ローラ対47による搬送時の放熱によって熱現像記録材料
71を適宜温度に徐冷する徐冷部82と、ガイドプレート49による誘導経路に冷却風を
当てて排出可能温度まで冷却する本冷却部84とを備え、冷却した熱現像記録材料71を
、搬出ローラ対51により搬送して排出トレイ85に排出するようにしている。
カセッテ73は、装置内に収容された前端上部が開閉扉73aにより開閉可能になって
いる。
繰り出し機構75は、カセッテ73に収容されている熱現像処理前のシート状の熱現像
記録材料71を吸着して外部へ取り出す取り出しヘッド75aと、この取り出しヘッド7
5aによって取り出された熱現像記録材料71を搬送手段77の始端の導入ガイド部77
aに送り込む送りローラ対75bとから構成されている。
搬送手段77は、繰り出し機構75が繰り出した熱現像記録材料71の先端を所定位置
に案内する導入ガイド部77aと、円弧面の外周が熱現像記録材料71の搬送面となる円
筒状ローラガイド77bと、この円筒状ローラガイド77bの外周に、複数個が配置され
て熱現像記録材料71を押さえ付けると同時に加熱手段79を内蔵して熱現像を行う押さ
えローラ77cとを備えた構成である。
押さえローラ77cは、円筒状ローラガイド77bの外周に一定ピッチで複数個配列さ
れている。
各押さえローラ77cは、図示略の駆動機構によって回転駆動されて、熱現像記録材料
71を搬送する。
また、本実施の形態の場合、搬送手段77は速度可変に構成され、また、加熱手段79
による加熱量も調整可能になっている。
加熱手段79は、ハロゲンランプで、各押さえローラ77cに内蔵された形態で、装備
されている。
従って、加熱手段79による加熱域は、円筒状ローラガイド77bの外周における複数
個の押さえローラ77cの分布域Hに等しく、加熱域の始端は最前部の押さえローラ77
cの装備位置HSとなり、加熱域の終端は最後部の押さえローラ77cの装備位置HLとな
る。
搬送ルート切り替え手段120は、図中矢印(イ)に示すように回動可能な案内片12
0aの向きを切り替えることで、搬送手段77によって加熱域の終端に排出される熱現像
記録材料71の進路を反転処理機構110側、又は排出側搬送ルート130に選択切り替
えする。
反転処理機構110は、搬送手段77によって搬送された熱現像記録材料71を反転さ
せて加熱域の始端HSに戻す。
この反転処理機構110は、搬送ルート切り替え手段120の装備位置で分岐された材
料回収ライン111と、この材料回収ライン111の途中から分岐して、熱現像記録材料
71を搬送手段77の始端の導入ガイド部77aに導く材料戻しライン113と、各ライ
ンに誘導された熱現像記録材料71を走行させる送りローラ対114,115,116と
を備える。
材料回収ライン111の終端側は、回収した熱現像記録材料71を一時的に待機させて
おくための一時貯留部118になっている。
材料回収ライン111の始端側に設けられた送りローラ対114は、熱現像記録材料7
1を一時貯留部118側に送るように回転駆動される。
一時貯留部118に装備された送りローラ対115は、逆転も可能な送りローラで、一
時貯留部118に向かって送られてきた熱現像記録材料71を所定位置まで引き込む動作
と、一時貯留部118に一時待機させた熱現像記録材料71を材料戻しライン113に送
り出す動作とを行う。
材料戻しライン113に装備されている送りローラ対116は、一時貯留部118から
送り出された熱現像記録材料71を、導入ガイド部77aに送る。
材料回収ライン111と材料戻しライン113との分岐部には、一時貯留部118から
材料戻しライン113に送り出された熱現像記録材料71が、材料回収ライン111側に
逆送することを防止するための搬送ルート切り替え手段119が装備されている。
この搬送ルート切り替え手段119は、図中矢印(ロ)に示すように回動可能な案内片
119aの向きを切り替えることで、熱現像記録材料71が材料回収ライン111側に進
入することを防止する。
以上の熱現像装置200では、両面に記録層を有したシート状の熱現像記録材料71を
、次の手順で熱現像処理する。
まず、一方の面に対して加熱手段79による熱現像処理を済ませた熱現像記録材料71
は、反転処理機構110により反転させて加熱手段79による加熱域の始端に戻し、再び
搬送手段77及び加熱手段79の稼働によって当該熱現像記録材料71の他方の面に対し
ても熱現像処理を行って、熱現像記録材料71の両面の記録層を熱現像する。
そして、一方の面の熱現像処理を済ませた熱現像記録材料71の他方の面に対して熱現
像処理する際には、搬送手段77による搬送速度を一方の面の熱現像時よりも高速化する
か、或いは、加熱手段79による加熱量を一方の面の熱現像時よりも下げて、一方の面の
熱現像処理時の残存熱の影響による過剰加熱を防止する。
なお、反転処理機構110による反転処理と、搬送手段77及び加熱手段79による別
の熱現像記録材料71に対する熱現像処理とが同時並行して実施されるように、反転処理
機構110における待機時間を調整する。
以上の熱現像方法は、具体的には、図2の(a)〜(h)に示す手順で実施される。
まず、(a)に示すように、不図示の第1のカセッテから繰り出した1枚目の熱現像記
録材料71Aの表面の記録層に対して熱現像処理を実施する。そして、この1枚目の熱現
像記録材料71Aの表面の記録層に対する熱現像処理が終了間近になったら、2枚目の熱
現像記録材料71Bの表面の記録層の熱現像に備えて、2枚目の熱現像記録材料71Bを
有した第2のカセッテ73Bから熱現像記録材料71Bの繰り出しを開始する。
次いで、(b)に示すように、表面の記録層に対する熱現像処理が終了した1枚目の熱
現像記録材料71Aは、反転処理機構110の一時貯留部118に送り出す。そして、1
枚目の熱現像記録材料71Aを一時貯留部118に送り出す処理に並行して、2枚目の熱
現像記録材料71Bの表面の記録層に対する熱現像処理を実施する。
次いで、2枚目の熱現像記録材料71Bの表面への熱現像処理が終了したら、(c)に
示すように、一時貯留部118に待機させた1枚目の熱現像記録材料71Aを、その裏面
側の熱現像処理のために加熱手段79による加熱域の始端に戻すと同時に、表面の記録層
に対する熱現像処理が終了した2枚目の熱現像記録材料71Bを一時貯留部118に送る
そして、(d)に示すように、1枚目の熱現像記録材料71Aの裏面を加熱域で熱現像
中、表面の熱現像処理を済ませた2枚目の熱現像記録材料71Bは一時貯留部118に一
時待機させておき、その一方で、次の熱現像処理に備えて、3枚目の熱現像記録材料71
Cを有した第3のカセッテ73Cから熱現像記録材料71Cの繰り出しを開始する。
そして、1枚目の熱現像記録材料71Aの裏面への熱現像が完了したら、(e)に示す
ように、3枚目の熱現像記録材料71Cを加熱域に移動させると同時に、1枚目の熱現像
記録材料71Aは加熱域の終端から排出側搬送ルート130に排出する。そして、3枚目
の熱現像記録材料71Cの表面への熱現像を開始する一方で、一時貯留部118に待機さ
せていた2枚目の熱現像記録材料71Bを、搬送手段77の始端に戻す。
そして、3枚目の熱現像記録材料71Cの表面への熱現像が終了したら、(f)に示す
ように、3枚目の熱現像記録材料71Cを一時貯留部118に移動させる一方で、2枚目
の熱現像記録材料71Bを加熱域に移動させ、この2枚目の熱現像記録材料71Bの裏面
の熱現像処理を開始する。そして、更に、4枚目の熱現像記録材料71Dを有した第4の
カセッテ73Dから熱現像記録材料71Dの繰り出しを開始して、次の新たな熱現像記録
材料の処理に備える。
そして、2枚目の熱現像記録材料71Bの裏面の熱現像が終了したら、(g)に示すよ
うに、2枚目の熱現像記録材料71Bは加熱域の終端から排出側搬送ルート130に排出
し、それと並行して、新たに繰り出されていた4枚目の熱現像記録材料71Dを加熱域に
移動させると同時に、一時貯留部118に待機していた3枚目の熱現像記録材料71Cを
搬送手段77の始端に戻す。
更に、4枚目の熱現像記録材料71Dの表面の熱現像が終了したら、(h)に示すよう
に、その4枚目の熱現像記録材料71Dを一時貯留部118に移すと共に、搬送手段77
の始端に戻されていた3枚目の熱現像記録材料71Cを加熱域に移して、3枚目の熱現像
記録材料71Cの裏面の熱現像を開始すると同時に、次の新しい熱現像記録材料71Eを
第5のカセッテ73Eから繰り出す。
以上のように、常時、3枚の熱現像記録材料が取り扱われるように動作タイミングを調
整して、各熱現像記録材料の両面に対して、熱現像を実施する。
なお、各熱現像記録材料は、表面の熱現像処理後に、反転処理して裏面の熱現像処理を
行っているが、裏面を熱現像する際には、搬送手段77による搬送速度を表面の熱現像時
よりも高速化するか、或いは、加熱手段79による加熱量を表面の熱現像時よりも下げて
、表面の熱現像処理時の残存熱の影響による過剰加熱を防止する。
以上に説明した第1の実施の形態の熱現像装置200では、熱現像記録材料71はその
表面に対して熱現像処理を実施した後に、反転して、裏面への熱現像処理を実施するもの
で、熱現像記録材料71の両面に対して加熱不足等の無い適正な現像を実現することがで
きる。
しかも、装置としては、片面にのみ記録層を有した熱現像記録材料の現像処理を前提と
した従来の熱現像装置に、反転処理機構110と搬送ルート切り替え手段120とを追加
するだけの小規模な改造で済み、電力消費の大きな加熱手段の追加装備を必要とせず、装
置の大型化や、電源容量のアップによる製造コストの上昇を抑えることができる。
即ち、装置としては、従来の装置をわずかに改良するだけで済み、ベースフィルムの両
面に記録層を形成した熱現像記録材料の熱現像を、安価に実現することができる。
勿論、本実施の形態の熱現像装置は、片面にのみ記録層を有した熱現像記録材料の現像
についても、この片面の記録層の熱現像処理後、反転処理機構110を通過させず直接冷
却部81に排出するように熱現像処理を設定することで、従前通り行うことができる。
また、以上の熱現像装置200では、反転処理機構110において熱現像記録材料71
を反転処理する際の所要時間を、反転処理機構110内での待機時間も含めて適宜に調整
すれば、反転処理機構110において熱現像記録材料71を反転処理している間に、同時
に別の熱現像記録材料71が搬送手段77側を流れて熱現像処理されるという効率的な熱
現像方法が実現でき、反転処理機構110の動作中は熱現像処理が中断するという無駄が
発生せず、両面に記録層を有した熱現像記録材料71に対する熱現像処理の処理効率を向
上させることができる。
また、上記の熱現像装置200では、搬送手段77が速度可変に構成されているため、
表面の熱現像処理を済ませた熱現像記録材料71の裏面に対して熱現像処理する際には、
搬送手段77による搬送速度を表面の熱現像時よりも高速化するという熱現像方法が実現
できる。
これによって、処理の高速化を図ると同時に、一方の面の熱現像処理時の残存熱の影響
による過剰加熱を防止して、両面に記録層を有した熱現像記録材料71に対する高品位の
熱現像を確保することが可能になる。
図3は、本発明に係る熱現像装置の第2の実施の形態の縦断面図を示している。
この第2の実施の形態の熱現像装置211は、第1の実施の形態で示した反転処理機構
110に、熱現像記録材料71の温度降下を防止するための保温部150を追加したもの
である。
保温部150を追加した構成以外は、第1の実施の形態と同様の構成であるので、同様
の構成については、同番号を付して説明を省略する。
本実施の形態の場合、保温部150は、断熱部材が反転処理機構110の一時貯留部1
18に装備されていて、表面の熱現像によって昇温した熱現像記録材料71が一時貯留部
118に送り込まれたとき、その熱現像記録材料71の温度降下を防止するように、加熱
・保温を行う。
なお、本実施の形態では、保温部150は断熱部材を配設する構成としたが、断熱部材
に代えてプレートヒータ等の加熱部材が配設される構成とすることもできる。ただし、こ
のような加熱部材は、一時貯留部118に送り込まれてきた熱現像記録材料71を昇温さ
せるものではなく、あくまでも保温を目的として温度降下を防止するためのものである。
このように構成された熱現像装置211では、反転処理機構110によって待機中の熱
現像記録材料71は、反転処理機構110に装備した保温部150による加熱によって温
度降下を防止して、再度、他方の面の熱現像処理を開始するまで、熱現像記録材料71自
体の温度を安定維持することができる。
従って、一方の面(例えば、表面)の熱現像処理を済ませた熱現像記録材料71を、反
転処理機構110によって反転させて、残る他方の面(例えば、裏面)の熱現像処理する
際、加熱手段79による加熱量は、表面の熱現像処理時よりも軽減できると同時に、急激
な加熱温度の付与を避けてシート状の熱現像記録材料71にシワ等が生じることを防止で
きる。
更に、裏面の熱現像を開始する際の熱現像記録材料71の温度にバラツキをなくすこと
ができるため、濃度ムラ等の不都合の発生原因となる加熱ムラの発生を抑えて、濃度が高
い高品位の画像記録を実現することができる。
図4は、本発明に係る熱現像装置の第3の実施の形態の縦断面図を示している。
この第3の実施の形態の熱現像装置221は、第1の実施の形態で示した反転処理機構
110の材料回収ライン111を、カセッテ73の前端開口部まで延長して、カセッテ7
3を反転処理機構110の一時貯留部118として利用可能にしたものである。
このようにすると、反転処理する際の熱現像記録材料71の一時貯留部として、既存の
カセッテ73が有用に活用されるため、一時貯留部として専用のトレイ等を追加装備する
必要が無くなる。更に、カセッテ73に一時待機させた熱現像記録材料71は、繰り出し
機構75によって搬送手段77側に繰り出すことができるため、材料戻しライン113や
搬送ルート切り替え手段119が不要になり、その分、構成部品の追加を抑えて、装置の
単純化や、製造コストの削減を図ることができる。
なお、本実施の形態のように、カセッテ73を反転処理時の一時貯留部として利用する
構成の場合は、熱現像処理中にカセッテ73の交換等が行われることのないように、カセ
ッテ73の筐体83からの抜き差しを規制するロック機構を、カセッテ73及び筐体83
に装備しておくことが望ましい。
図5は、本発明に係る熱現像装置の第4の実施の形態の縦断面図を示している。
この第4の実施の形態の熱現像装置231は、加熱手段79を内蔵した搬送手段77を
逆転可能に構成し、更に、反転処理機構110は第1〜第3の実施形態のようなスイッチ
バック式の搬送ラインではなく、搬送手段77の終端に送られた熱現像記録材料71をU
字状の搬送ライン160によって反転して再び搬送手段77の終端に戻す構成としている
反転処理機構110によって搬送手段77の終端に戻した熱現像記録材料71は、搬送
手段77の逆転によって搬送手段77の始端側に戻して、熱現像処理を繰返すことで、熱
現像記録材料71の両面への熱現像が行われる。
両面の熱現像を済ませた熱現像記録材料71は、搬送手段77の始端側でカセッテ73
の下側に装備した排出トレイ85に排出される。
このような反転処理形態でも、熱現像記録材料71の両面に対する熱現像が可能である
が、搬送手段77による熱現像記録材料71の逆送が必要なことから、処理効率を高める
ことが難しい。
なお、以上の各実施の形態では、加熱手段79としては、ハロゲンランプを採用して、
押さえローラ77cに内蔵させた。しかし、加熱域における加熱手段79は、上記の実施
の形態に限るものではなく、例えば、図6(A)に示すような円弧状の搬送経路に沿って
配置した複数個のプレートヒータ38a,38b,38c等を利用することもできる。
また、図6(B)に示した加熱ドラム方式にすれば、加熱手段79は、複数個に分散配
列した押さえローラ77cのそれぞれに内蔵せず、回転するドラム中央部分に内蔵すれば
良く、構造を簡単化することができる。
さらに、熱現像記録材料71を搬送する搬送手段77も、図6(c)に示すように、熱
現像記録材料71を挟む一対の無端ベルト78a,78bを走行させるようなベルト式搬
送構造にしてもよい。このようなベルト式の搬送構造にすれば、熱現像記録材料71の表
面での擦れの発生を抑えて、熱現像記録材料71の記録面の擦れによる汚損を低減させる
ことが可能になる。
以上の各実施の形態では、両面感光フィルムを使用した熱現像処理について述べたが、
本発明は、このような両面感光撮影方法の場合に限らず、両面に記録層を形成した熱現像
記録材料を用いて高濃度で、且つ、濃度ムラの無い鮮明な画像記録を得るための熱現像処
理に適用することもできる。
ここで、本発明に使用する熱現像記録装置に用いる熱現像感光材料について詳細に説明する。用いる撮影用感光材料は、レーザー光などで走査露光により画像情報を書き込むものではなく、画像を面露光により記録するものである。
従来、湿式現像感光材料分野では、一般に用いられ、医療用途では直接あるいは間接X線フィルム、マンモグラフフィルムなど、印刷用各種製版フィルム、工業用記録フィルム、あるいは一般カメラによる撮影用フィルムなどが知られている。例えば、青色の蛍光増感紙を利用した両面塗布型X線用熱現像感光材料(例えば、特許第3229344号公報参照。)、ヨウ臭化銀の平板粒子を用いた熱現像感光材料(例えば、特開昭59-142539号公報参照。)、あるいは(100)主平面を有する塩化銀含有率の高い平板粒子を支持体の両面に塗設した医療用感光材料も特許文献に開示されている(例えば、特開平10-282606号公報参照。)。また、両面塗布熱現像感光材料は、その他の特許文献にも開示されている(例えば、特開2000-227642号公報、特開2001-22027号公報、特開2001-109101号公報、特開2002-90941号公報参照。)。しかしながら、これらの公知例では、0.1μm以下の微粒子ハロゲン化銀を用いるとヘイズの悪化を伴わないが低感度であり、撮影用には実用に耐えないものであり、一方、0.3μm以上のハロゲン化銀粒子を用いた場合は残存するハロゲン化銀によるヘイズの悪化、およびプリントアウトの悪化による画像品質の劣化が激しく、実用に耐えるものではなかった。
ハロゲン化銀粒子として、ヨウ化銀の平板粒子を用いた感光材料は湿式現像分野では知られているが(例えば、特開昭59-119344号公報、特開昭59-119350号公報参照。)、熱現像感光材料ではその応用は例がない。その理由は上述のように低感度であり、有効な増感手段がなく、また熱現像ではさらに技術的バリアーが高くなることが原因であった。
このような撮影用感光材料に用いるためには、熱現像感光材料として更に高い感度が要求され、また得られる画像のヘイズなどの画質も更に一段と高いレベルを要求される。
上記の要求を満足する熱現像感光材料として、次に示すものが有用である。
1.熱現像感光材料
本実施形態の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有している。また、好ましくは画像形成層の上に表面保護層、あるいはその反対面にバック層やバック保護層などを有してもよい。
これらの各層の構成、およびその好ましい成分について詳しく説明する。
(感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像後に実施的に減少させる化合物)
本実施形態においては、感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像前に対して熱現像後に実施的に減少させる化合物を含有するのが好ましい。
本実施形態においては、感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像後に実施的に減少させる化合物として、ヨウ化銀錯形成剤を用いるのが特に好ましい。
(ヨウ化銀錯形成剤の説明)
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤は、化合物中の窒素原子または硫黄原子の少なくとも一つが配位原子(電子供与体:ルイス塩基)として銀イオンに電子供与するルイス酸塩基反応に寄与することが可能である。錯体の安定性は、逐次安定度定数または全安定度定数で定義されるが、銀イオン、ヨウドイオン、および該銀錯形成剤の3者の組合せに依存する。一般的な指針として、分子内キレート環形成によるキレート効果や、配位子の酸塩基解離定数の増大などの手段によって、大きな安定度定数を得ることが可能である。
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤の作用機構は明確に解明されたわけではないが、ヨウドイオンおよび銀イオンを含む少なくとも3元の成分よりなる安定な錯体を形成することによりヨウ化銀を可溶化するものと推定される。本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤は臭化銀や塩化銀を可溶化する能力は乏しいが、ヨウ化銀に対して特異的に作用する。
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤によって画像保存性が改良される機構の詳細は明らかではないが、感光性ハロゲン化銀の少なくとも一部と本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤とが熱現像時に反応することにより錯体を形成し、感光性が低下または消失することによるものであって、特に、光照射下での画像保存性が大きく改良されるものと考えられる。また同時に、ハロゲン化銀による膜の濁りも減少する結果、クリアな高画質の画像が得られることも大きな特徴である。膜の濁りは、分光吸収スペクトルの紫外可視吸収の減少で確認することができる。
本実施形態において、感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルは、透過法あるいは反射法により測定することができる。熱現像感光材料に添加された他の化合物に由来する吸収が感光性ハロゲン化銀の吸収と重なる場合には、差スペクトルあるいは溶媒による他の化合物の除去などの手段を単独で用いるか組み合わせることにより、感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルを観察できる。
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤が従来の銀イオン錯形成剤と明確に異なるのは、ヨウドイオンが安定な錯体を形成する上に必須であることである。従来の銀イオン錯形成剤は、臭化銀、塩化銀、あるいはベヘン酸銀などの有機銀塩など銀イオンを含む塩に対して溶解作用するのに対して、本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤は、ヨウ化銀が存在しないと作用しないところに大きな特徴がある。
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤の具体的な化合物については特願2002−367661号、特願2002−367662号、特願2002−367663号において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許出願明細書に記載した具体的化合物例もまた、本実施形態の化合物の具体例として挙げることができる。
本実施形態において、画像保存性、特に、光照射下での画像保存性が大きく改良されるためには、熱現像後の感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルの吸収強度が熱現像前と比較して80%以下であることが好ましく、40%以下であることが更に好ましく、20%以下であることが特に好ましい。最も好ましくは10%以下である。
本実施形態におけるヨウ化銀錯形成剤は、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
(感光性ハロゲン化銀の説明)
1)ハロゲン組成
本実施形態に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ヨウ化銀含有率が40モル%以上、100モル%以下と高い組成のものであることが重要である。残りは特に制限はなく、塩化銀、臭化銀などのハロゲン化銀、またはチオシアン酸銀や燐酸銀などの有機銀塩から選ぶことができるが、特に臭化銀、塩化銀であることが好ましい。この様なヨウ化銀含有率が高い組成のハロゲン化銀を用いることによって、現像処理後の画像保存性、特に光照射によるカブリの増加が著しく小さい好ましい熱現像感光材料が設計できる。
さらに、ヨウ化銀含有率が70モル%以上100モル%以下であると好ましく、より好ましくは80モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下であることが処理後の光照射に対する画像保存性の観点では極めて好ましい。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構
造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる
。コア部のヨウ化銀含有率が高いコア高ヨウ化銀構造、またはシェル部のヨウ化銀含有率が高いシェル高ヨウ化銀構造も好ましく用いることができる。また、粒子の表面にエピタキシャル部分とした塩化銀や臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
本実施形態のヨウ化銀は、任意のβ相およびγ相含有率を取ることができる。β相とは六方晶系のウルツアイト構造を有する高ヨウ化銀構造を指し、γ相とは立方晶系のジンクブレンド構造を有する高ヨウ化銀構造を指す。ここでいうγ相含有率とは、C.R.Berry(
ベリー)により提案された手法を用いて決定されるものである。この手法は、粉末X線回折法でのヨウ化銀β相(100)、(101)、(002)とγ相(111)によるピーク比を元にして決定するもので、詳細については例えば、Physical Review, Volume 161,
No.3, p.848-851(1967)を参考にすることができる。
2)粒子サイズ
本実施形態に用いる高ヨウ化銀のハロゲン化銀については、高感度を達成するのに必要な十分大きい粒子サイズを選ぶことができる。本実施形態においては、好ましいハロゲン化銀の平均球相当直径は0.3μm以上5.0μm以下であり、さらに0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。ここでいう球相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同じ体積の球に換算することにより求めることができる。
3)塗布量
一般に、熱現像後もハロゲン化銀がそのまま残存する熱現像感光材料の場合は、ハロゲン化銀の塗布量を増やすと膜の透明度が低下し画質上好ましくないため、感度を高くしたい要求にもかかわらず、低く制限されていた。しかしながら、本実施形態の場合には、熱
現像処理によって、ハロゲン化銀による膜のヘイズを減少させることができるので、より多くのハロゲン化銀を塗布することができる。本発明においては、非感光性有機銀塩の銀1モルに対して0.5モル%以上100モル%以下、好ましくは5モル%以上50モル%以下であることがさらに好ましい。
4)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている
方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11-119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11-352627号、特開2000-347335号記載の方法も好ましい。
ヨウ化銀の平板粒子の形成方法に関しては、前述の特開昭59−119350号、同59‐119344号に記載の方法が好ましく用いられる。
5)粒子形状
本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状としては平板状粒子が好ましい。詳細には、側面の構造により、平板状8面体粒子、平板状14面体粒子、平板状20面体粒子を挙げることができる。好ましくは、平板状8面体粒子、平板状14面体粒子である。ここで言う平板状8面体とは、{0001}、{1(−1)00}面を有する粒子または{0001}、{1(−2)10}、{(−1)2(−1)0}面を有する粒子であり、平板状14面体粒子とは{0001}、{1(−1)00}、{1(−1)01}を有する粒子または{0001}、{1(−2)10}、{(−1)2(−1)0}、{1(−2)11}、{(−1)2(−1)1}面を有する粒子または{0001}、{1(−1)00}、{1(−1)0(−1)}を有する粒子または{0001}、{1(−2)10}、{(−1)2(−1)0}、{1(−2)1(−1)}、{(−1)2(−1)(−1)}面を有する粒子であり、平板状20面体粒子とは{0001}、{1(−1)00}、{1(−1)01}、{1(−1)0(−1)}を有する粒子または{0001}、{1(−2)10}、{(−1)2(−1)0}、{1(−2)11}、{(−1)2(−1)1}、{1(−2)1(−1)}、{(−1)2(−1)(−1)}面を有する粒子である。ここで、{0001}等の表記は、(0001)面と等価な面指数を持つ結晶面群を表す。また上記以外の形状の平板状粒子も好ましく用いられる。
ヨウ化銀の12面体、14面体、8面体に関しては、特願2002‐081020号、特開2003-287835号、同2003‐287836号を参考にして調製することができる。
平板状粒子としては、本発明においては、好ましいハロゲン化銀の投影面積相当直径は0.4μm以上8.0μm以下であり、さらに0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。ここでいう投影面積相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の投影面積と同じ面積の円の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積から粒子面積を求め、その面積と同じ面積の円に換算することにより求めることができる。
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀の粒子厚みは0.3μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。アスペクト比は、好ましくは2以上100以下、より好ましくは5以上50以下である。
本実施形態のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀は複雑な形態を取り得るが、好ましい形態は例えば、R.L.JENKINS etal. J of Phot. Sci. Vol.28 (1980)のp164-Fig1に示されているような接合粒子が挙げられる。同Fig.1に示されているような平板上粒子も
好ましく用いられる。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高
いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%
以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
6)重金属
本実施形態の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第3族〜第14族の金属または金属錯体を含有することができる。好ましくは周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7-225449号、特開平11-65021号段落番号0018〜0024、特開平11-119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本実施形態においては、六シアノ金属錯体を含有するハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ru(CN)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(CN)6]3-、[Ir (CN)6]3-、[Cr(CN)6]3-、[Re(CN)6]3-などが挙げられる。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-8モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-7モル以上1×10-3モル以下である。
さらに本実施形態に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)6]4-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11-84574
号段落番号0046〜0050、特開平11-65021号段落番号0025〜0031、特開平11-119374号段落
番号0242〜0250に記載されている。
7)ゼラチン
本実施形態に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用する
ことが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
8)化学増感
本実施形態に用いられる感光性ハロゲン化銀は、未化学増感でもよいが、カルコゲン増感法、金増感法、還元増感法の少なくとも1つの方法で化学増感されるのが好ましい。カルコゲン増感法としては、硫黄増感法、セレン増感法およびテルル増感法が挙げられる。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。
具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N´−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルロ−ダニン、5−ベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン(1,2,3,5,6−ペンタチエパン))、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109340号、同4−271341号、同5−40324号、同5−11385号、特願平4−202415号、同4−330495号、同4−333030号、同5−4203号、同5−4204号、同5−106977号、同5−236538号、同5−241642号、同5−286916号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,N−ジエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46−4553号、同52−34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーNーメチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニルーNーベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N´−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N´−ジフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好ましく、特に特開平11-65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5-313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
特に本実施形態のカルコゲン増感においてはセレン増感とテルル増感が好ましく、特にテルル増感が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physiqu
e Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号に記載されている金増感剤を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオ−リチオシアネート、硫化金、金セレニドなどでありこれらにくわえて、米国特許第2642361号、同5049484号、同5049485号、同5169751号、同5252455号、ベルギー特許第691857などに記載の金化合物も用いることが出来る。またP.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号に記載されている金以外の、白金、パラジュウム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事も出来る。
金増感は単独で用いることもできるが、前記のカルコゲン増感と組み合わせて用いることが好ましい。具体的には金硫黄増感、金セレン増感、金テルル増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金セレンテルル増感、金硫黄セレンテルル増感である。
本実施形態においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本実施形態で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-7〜10-2モル程度を用いる。
同様に、本実施形態で用いられる金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-2モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-3モルである。この乳剤を化学増感する環境条件としてはいかなる条件でも選択可能ではあるが、pAgとしては8以下、好ましくは7.0以下より6.5以下、とくに6.0以下、およびpAgが1.5以上、好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上の条件であり、pHとしては3〜10、好ましくは4〜9、温度としては20〜95℃、好ましくは25〜80℃程度である。
本実施形態においてカルコゲン増感や金増感に加えて、さらに還元増感も併用することができる。とくにカルコゲン増感と併用するのが好ましい。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でもよい。また、乳剤のpHを8以上またはpAgを4以下に保持して熟成することにより還元増感することも好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
還元増感剤の添加量としては、同様に種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
本実施形態で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される
方法により、チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
本実施形態における感光性ハロゲン化銀粒子は、金増感、カルコゲン増感、の少なくとも1つの方法で化学増感されていることが高感度の熱現像感光材料を設計する点から好ましい。
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し
得る化合物
本実施形態における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本実施形態の熱現像感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1〜5から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに2電子以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらにもう1電子を放出し得る化合物で、かつ同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物。
(タイプ3)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成過程を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ4)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く分子内の環開裂反応を経た後に、さらに1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ5)
X−Yで表される化合物においてXは還元性基を、Yは脱離基を表し、Xで表される還元性基が1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続くX−Y結合の開裂反応を伴ってYを脱離してXラジカルを生成し、そこからさらにもう1電子を放出し得る化合物。
上記タイプ1およびタイプ3〜5の化合物のうち好ましいものは、「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、または「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」である。タイプ1〜4の化合物はより好ましくは「2つ以上のメルカプト基で置換された含窒素ヘテロ環基を吸着性基として有する化合物」である。
本実施形態のタイプ1〜4の化合物は、それぞれ特開2003−114487号、特開2003−114486号、特開2003−140287号、特開2003−75950号、特開2003−114488号、特願2003−25886号、特願2003−33446号において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許公開明細書に記載した具体的化合物例もまた、本実施形態のタイプ1〜4の化合物の具体例として挙げることができる。また本実施形態のタイプ1〜4の化合物の合成例も、これら特許に記載したものと同じである。
本実施形態のタイプ5の化合物の具体例としては、さらに特開平9−211769号(
28〜32頁の表Eおよび表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−21
1774号、特開平11−95355号(化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」または「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物の例が、そのまま挙げられる。
本実施形態のタイプ1〜5の化合物は感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本実施形態のタイプ1〜5の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
本実施形態のタイプ1〜5の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する乳剤層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本実施形態の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-1モル、更に好ましくは1×10-8〜5×10-2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本実施形態においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
式(I) A−(W)n−B
[式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2
価の連結基を表し、nは0または1を表し、Bは還元基を表す。]
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、またはハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(またはその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、またはエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(またはその塩)とは、メルカプト基(またはその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(またはその塩)の置換したヘテロ環基またはアリール基またはアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環もしくは縮合環の、芳香族または非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状もしくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、またはジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子およびテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、または配位結合で銀イオンに配位し得る、"−S−"基または"−Se−"基または"−Te−"基または"=N−"基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基またはジスルフィド基とは、"−S−"または"−S−S−"の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基または4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、またはイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここ
でR1は水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロ
キシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン-6-オール類、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、およびハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150-208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282-344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5 ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton-Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本実施形態のBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0〜約0.7Vの範囲である。
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
以下にBで表される還元基の具体例を例示するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。ここで*印は式(I)において、AまたはWと結合する位置を示す。
Figure 2005099721
本実施形態の式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基またはポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本実施形態の式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本実施形態の式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
本実施形態の分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物は、特願2002−328531、特願2002−379884において、詳細に説明した化合物と同じものである。これら特許出願明細書に記載した分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックスの具体的化合物例もまた、本実施形態の化合物の具体例として挙げることができる。
本実施形態の化合物は公知の方法にならって容易に合成することが出来る。
本実施形態の式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本実施形態の式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また乳剤層に使用するのが好ましいが、乳剤層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6〜1モル、好ましくは1×10-5〜5×10-1モルさらに好ましくは1×10-4〜1×10-1モルである。
本実施形態の式(I)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸または塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
11)増感色素
本実施形態に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。本実施形態の熱現像感光材料は特に600nm以上900nm以下、または300nm以上500nm以下に分光感度ピークを持つように分光増感されていることが好ましい。増感色素及び添加法については、特開平11-65021号の段落番号0103〜0109、特開平10-186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11-119374号の一般式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特願2000-86865号、特願2000-102560号、特願2000-205399号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
本実施形態における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
本実施形態は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本実施形態に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5-341432号、同11-109547号、同10-111543号等に記載の化合物が挙げられる。
12)ハロゲン化銀の併用
本実施形態に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57-119341号、同53-106125号、同47-3929号、同48-55730号、同46-5187号、同50-73627号、同57-150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
13)ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
本実施形態の感光性ハロゲン化銀の粒子は、非感光性有機銀塩の存在しないところで形成され、化学増感されることが特に好ましい。有機銀塩に対してハロゲン化剤を添加することによってハロゲン化銀を形成する方法では十分な感度が達成できない場合があるからである。
ハロゲン化銀と有機銀塩を混合する方法としては、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があげられる。いずれの方法でも本実施形態の効果を好ましく得ることができる。
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本実施形態のハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本実施形態の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(有機銀塩の説明)
本実施形態に用いる非感光性有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10-62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などを含む。本実施形態においては、これら有機銀塩の中でも、ベヘン酸銀含有率50モル%以上100モル%以下の有機酸銀を用いることが好ましい。特にベヘン酸銀含有率は75モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
本実施形態に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状でもよい。
本実施形態においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき
、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下、特に好ましくは1以上2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下
、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下であることを指す。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差から求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
本実施形態に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10-62899号、欧州特許公開第0803763A1号、欧州特許公
開第0962812A1号、特開平11-349591号、特開2000-7683号、同2000-72711号、特開2001-163827号、特開2001-163889〜90号、同11-203413号、特願2001-188313号、同2001-83652号、同2002-6442号、同2002-31870号、同2001-107868号等を参考にすることができる。
本実施形態において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能である。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
本実施形態の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。特に好ましく1.2〜2.5g/m2である。
(造核剤)
本発明の熱現像感光材料は、造核剤を含むのが好ましい。
本発明に係る造核剤とは、初期現像の結果、現像生成物との反応で新たに現像を誘発し得る化合物を生成し得る化合物をいう。従来、印刷製版用途に適した超硬調感光材料に造核剤を用いることは知られていた。超硬調感光材料は、平均階調が10以上であり、一般撮影用感光材料としては不適であり、特に高い診断能が要求される医療用途には不適であった。また、超硬調感光材料は、粒状が荒く、鮮鋭度に欠けるため、医療診断用途には全く適性がなかった。本発明に係る造核剤は、従来の超硬調感光材料における造核剤とは効果において全く異なる。本発明に係る造核剤は、階調を硬くするものではない。本発明に係る造核剤は、非感光性有機銀塩に対して感光性ハロゲン化銀粒子数を極めて少なくしても十分に現像を起こさせることができる化合物である。その機構は、明確ではないが、本発明に係る造核剤を用いて熱現像を行うと、最大濃度部で感光性ハロゲン化銀粒子数よりも現像銀粒子数が多いことが明らかになり、本発明に係る造核剤は、ハロゲン化銀粒子が存在しない箇所に新たな現像点(現像核)を形成する作用を有していると推定される。
本発明に使用される造核剤は、特願2004−136053号に詳細に説明した化合物と同じものである。この特許公開明細書に記載した具体的化合物例もまた、本実施形態の造核剤の具体例として挙げることができる。
上記造核剤の中で好ましい具体的化合物を下記に挙げるが、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2005099721
上記造核剤の添加方法は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかな
る方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でαメチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体微粒子分散法としては、造核剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、造核剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
本発明の造核剤は、画像形成層または画像形成層に隣接する層に添加できるが、画像形成層に添加するのが好ましい。造核剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。造核剤は1種類のみを添加しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の熱現像感光材料においては、感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層は2層以上あってもよく、2層以上ある場合は、造核剤をいずれの画像形成層に含んでも良い。好ましくは、造核剤を含む画像形成層と造核剤を含まない画像形成層の少なくとも2層の画像形成層を有することが好ましい。
(還元剤)
1)伝染現像性還元剤
本発明における熱現像感光材料は、伝染現像性還元剤を含有するのが好ましい。伝染現像性還元剤としては、伝染現像の機能を有するものであればいかなる還元剤でも良い。
本発明に用いることの出来る好ましい伝染現像性還元剤は、下記の一般式(R1)で表される化合物である。
一般式(R1)
Figure 2005099721
前記一般式(R1)において、R11及びR11’は、各々独立に、炭素数3〜20の2級または3級アルキル基を表す。R12及びR12’は、各々独立に水素原子、または窒素、酸素、リン、硫黄原子を介して連結する基を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
本発明に使用される伝染現像性還元剤は、特願2004−136052号に詳細に説明した化合物と同じものである。この特許公開明細書に記載した具体的化合物例もまた、本実施形態の造核剤の具体例として挙げることができる。
以下に、本発明の一般式(R1)で表される還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005099721
Figure 2005099721
Figure 2005099721
Figure 2005099721
前記一般式(R1)で表される還元剤の添加量は、0.01g/m〜5.0g/m
であることが好ましく、0.1g/m〜3.0g/mであることがより好ましい。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては、5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、10モル%〜40モル%で含まれることがより好ましい。
前記一般式(R1)で表される還元剤は、画像形成層に含有させることが好ましい。
特に、前記一般式(R1)で表される還元剤は、感度の低いハロゲン化銀乳剤を含有する画像形成層に含有させることが好ましい。
2)還元剤
本発明では、一般式(R1)で表される還元剤とともに、他の還元剤を併用しても良い。併用し得る還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元できる任意の物質(好ましくは有機物)でよい。該還元剤の例は、特開平11―65021号、段落番号0043〜0045や、欧州特許0803764号、p.7、34行〜p.18、12行に記載されている。
本実施形態に用いられる好ましい還元剤は、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤、あるいはビスフェノール系還元剤である。特に次の一般式(R)で表される化合物が好ましい。
一般式(R)
Figure 2005099721
一般式(R)においては、R11およびR11'は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基
を表す。R12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を
表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能
な基を表す。
各置換基について詳細に説明する。
1)R11およびR11'
11およびR11'は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があげられる。
2)R12およびR12'、X1およびX1'
12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。
1およびX1'は、各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それ
ぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。
13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。
アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
4)好ましい置換基
11およびR11'として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であ
り、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11'としてより好ましくは炭素数4
〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12'として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
1およびX1'は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましく
は水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
13が水素原子である場合、R12およびR12'は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12'はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピ
ル基が更に好ましい。
11、R11'およびR12、R12'とがいずれもメチル基である場合、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合、R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤は、R11、R11'およびR12およびR12'、およびR13の組合せにより、種々の熱現像性能が異なる。2種以上の還元剤を種々の混合比率で併用することによってこれらの熱現像性能を調整することができるので、目的によっては還元剤を2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本実施形態の一般式(R)で表される化合物の具体例を示すが、本実施形態の化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 2005099721
Figure 2005099721
Figure 2005099721
特に(R−1)〜(R−20)に示すような化合物であることが好ましい。
本実施形態において還元剤の添加量は0.01〜5.0g/m2であることが好ましく
、0.1〜3.0g/m2であることがより好ましく、画像形成層を有する面の銀1モル
に対しては5〜50%モル含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。
本実施形態の還元剤は、有機銀塩、および感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層、およびその隣接層に添加することができるが、画像形成層に含有させることがより好ましい。
本実施形態の還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。好ましくは、サンドミルを使った分散方法である。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることができる。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(現像促進剤の説明)
本実施形態の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000-267222号や特開2000-
330234号等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開2001-92075号記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10-62895号や特開平11-15116号等に記載の一般式(I)、特願2001-074278号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特願2000-76240号に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本実施形態においては上記現像促進剤の中でも、特願2001-074278号に記載の一般式(
1)で表されるヒドラジン系の化合物および特願2000-76240号に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が特に好ましい。
以下、本実施形態の現像促進剤の好ましい具体例を挙げるが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005099721
(水素結合性化合物の説明)
本実施形態では、還元剤の芳香族性の水酸基(−OH)、あるいはアミノ基を有する場合はアミノ基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水素結合を形成しうる基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本実施形態で、特に好ましい水素結合性化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
Figure 2005099721
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本実施形態の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキ
ル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本実施形態における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005099721
Figure 2005099721
水素結合性化合物の具体例は上述の他に特願2000-192191号、同2000-194811号に記載のものがあげられる。
本実施形態の水素結合性化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができる。本実施形態の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基を有する化合物と水素結合による錯体を形成しており、還元剤と本実施形態の一般式(A)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本実施形態の水素結合性化合物を粉体で
混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本実施形態の水素結合性化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは30〜100モル%の範囲である。
(バインダーの説明)
本実施形態の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本実施形態では、有機銀塩を含有する層のバインダーのガラス転移温度は10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃〜70℃であることがより好ましく、23℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算される。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラスの転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーとなるポリマーは単独種で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲に入ることが好ましい。
本実施形態においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。
最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高
分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本実施形態のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本実施形態のバインダーは水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本実施形態において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは乳剤層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(架橋性、Tg-17℃)
P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(架橋性)
P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(架橋性)
P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(架橋性)
P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテックス(分子量80000)
P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分子量67000)
P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000)
P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P-15;-St(70.5)-Bu(26.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P-16;-St(69.5)-Bu(27.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
P-17;-St(61.3)-イソプレン(35.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg17℃)
P-18;-St(67)-イソプレン(28)-Bu(2)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg27℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルア
クリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2-エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン
、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;ア
クリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA-4635,4718,4601(以上ダイセル
化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)な
ど、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本実施形態に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体もしくはスチレン−イソプレン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
また、本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。
本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は前記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
本実施形態に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−9,15、市販品であるLACSTAR-3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては前記のP−17,18が挙げられる。
本実施形態の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。
これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本実施形態の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスをバインダーに用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、更には1/5〜4/1の範囲が好ましい。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲が好ましい。
本実施形態の画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1
〜15g/m2の範囲が好ましい。本実施形態の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗
布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
本実施形態において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。溶媒の水含有率は50質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは70質量%以上が良い。
好ましい溶媒組成の具体例を挙げると、水100の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤の説明)
本実施形態はカブリ防止剤として下記一般式(H)で表される化合物を含有するのが好ましい。
一般式(H) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子吸引性基を表す。
Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子吸引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207-1216 等を参考にすることができる。
このような電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。
σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。
電子吸引性基として好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールカルボニル基、およびアリールスルホニル基であり、特に好ましくはカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基であり、カルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子吸引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。
ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2 −を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2 −であり、特に好ましくは−SO2 −である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
以下に本実施形態の一般式(H)の化合物の具体例を示すが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005099721
Figure 2005099721
本実施形態の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モル当たり、10-4〜0.8モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3〜0.1モルの範囲で、さらに好ましくは5×10-3〜0.05モルの範囲で使用することが好ましい。
特に、本実施形態のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀を用いた場合、十分なかぶり防止効果を得るためにはこの一般式(H)の化合物の添加量は重要であり、5×10-3〜0.03モルの範囲で使用することが最も好ましい。
本実施形態において、一般式(H)で表される化合物を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられる。
一般式(H)で表される化合物の融点は200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは170℃以下がよい。
本実施形態に用いられるその他の有機ポリハロゲン化物として、特開平11-65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特願平11-87297号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10-339934号の一般式(II)で表さ
れる有機ポリハロゲン化合物、特願平11-205330号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好
ましい。
(その他のかぶり防止剤)
その他のカブリ防止剤としては特開平11-65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000-206642号のサリチル酸誘導体、特開2000-221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11-352624号の請求項9に
係るトリアジン化合物、特開平6-11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本実施形態に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体特開平10-62899号の段落番号0070、欧州特許0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載
の特許のもの、特開平9-281637号、同9-329864号記載の化合物が挙げられる。
本実施形態における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59-193447号記載の一般式(XI)で表される化合
物、特公昭55-12581号記載の化合物、特開昭60-153039号記載の一般式(II)で表される
化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。
アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本実施形態においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本実施形態には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特開平10-186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行、特願平11-273670号等に記載されている。中でもメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本実施形態の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許0803764A1号のp.21,23行〜48行、特開2000−356317号や特願2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロー1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)の組み合わせ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフタラジン、6−クロロフタラジン、5.7−ジメトキシフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジン)が好ましく、特に、ヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀との組み合わせにおいては、フタラジン類とフタル酸類の組み合わせが好ましい。
好ましいフタラジン類の添加量としては、有機銀塩1モル当たり0.01モル〜0.3モルであり、さらに好ましくは0.02〜0.2モル、特に好ましくは0.02〜0.1モルである。この添加量は、本実施形態のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀乳剤で課題である現像促進にとって重要な要因であり、適正な添加量の選択によって十分な現像性と低いかぶりの両立が可能となる。
3)可塑剤、潤滑剤
本実施形態の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11-65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11-84573号段落番号0061〜0064や特願平11-106881号段落番号0049〜0062記載されている。
4)染料、顔料
本実施形態の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10-268465号、同11-338098号等に詳細に記載されている。
5)超硬調化剤
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、特開平11-65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特願平11−87297号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化
合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本実施形態の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布
量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2
が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
(塗布液の調製および塗布)
本実施形態の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
2.層構成、その他の構成成分
本実施形態の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本実施形態における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保護層については、特開平11-65021号段落番号0119〜0120、特願2000-171936号に記載されてい
る。
本実施形態の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
PVAとしては、特開2000-171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、
完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては
0.3〜4.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜5.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好ましい。
2)アンチハレーション層
本実施形態の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して露光光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層については特開平11-65021号段落番号0123〜0124、特開平11-223898号、同9-230531号、同10-36695号、同10-104779号、同11-231457号、同11-352625号、同11-352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11-231457号等に記載されている。
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001〜1g/m2程度である。
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11-352626
号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
3)バック層
本実施形態に適用することのできるバック層については特開平11-65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本実施形態においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62-210458号、同63-104046号、同63-103235号、同63-208846号、同63-306436号、同63-314535号、特開平01-61745号、特願平11-276751号などに記載されている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
4)マット剤
本実施形態において、搬送性改良のためにマット剤を表面保護層、およびバック層に添加することが好ましい。マット剤については、特開平11-65021号段落番号0126〜0127に記載されている。
マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/
2、より好ましくは5〜300mg/m2である。
また、乳剤面のマット度は、画像部に小さな白抜けが生じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本実施形態においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本実施形態において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能
する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
本実施形態の表面保護層やバック層にポリマーラテックスを添加することができる。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%) /ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
ポリマーラテックスは、表面保護層、あるいはバック層の全バインダー(水溶性ポリマーおよびラテックスポリマーを含む)の10質量%〜90質量%用いるのが好ましく、特に20質量%〜80質量%が好ましい。
6)膜面pH
本実施形態の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。
膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特願平11-87297号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本実施形態の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。
硬膜剤の例としてはT.H.James著"THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION"(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6-208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本実施形態の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳"液体混合技術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本実施形態に適用できる界面活性剤については特開平11-65021号段落番号0132に記載されている。
本実施形態ではフッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の好ましい具体例は特開平10-197985号、特開2000-19680号、特開2000-214554号等に記載されている化合物が挙げられる。また、特開平9-281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本実施形態においては、特願2000-206560号記載のフッ素系界面
活性剤の使用が特に好ましい。
9)帯電防止剤
また、本実施形態では、公知の種々の金属酸化物あるいは導電性ポリマーなどを含む帯電防止層を有しても良い。帯電防止層は前述の下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねても良く、また別途設けてもよい。帯電防止層については、特開平11-65021号段落番号0135、特開昭56-143430号、同56-143431号、同58-62646号、同56-120519号、特開平11-84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11-223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
紫外発光スクリーンと組合せて用いられる熱現感光材料の支持体としては、PENを好ましく用いることができる。ただしこれに限定されるものではない。PENとしてはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。本実施形態にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、その繰返し構造単位が実質的にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位から構成されるものであればよく、共重合されないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのみならず繰返し構造単位の数の10%以下、好ましくは5%以下が他の成分で変性されたような共重合体、及び他のポリマーとの混合物、組成物を含むものである。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートはナフタリン−2,6−ジカルボン酸、またはその機能的誘導体、およびエチレングリコールまたはその機能的誘導体とを触媒の存在下で適当な反応条件の下に結合せしめることによって合成されるが、本実施形態にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートには、このポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種又は2種以上の第三成分(変性剤)を添加し共重合または混合ポリエステルとしたものであってもよい。適当な第三成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、コハク酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、またはその低級アルキルエステル、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、またはその低級アルキルエステル、あるいはプロピレングリコール、トリメチレングリコールの如き2価アルコール類等の化合物があげられる。ポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはその変性重合体は、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの
1官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。
医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8-240877号実施例記載の染料-1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。
具体的な支持体の例は、特開平11-65021同号段落番号0134に記載されている。
支持体には、特開平11-84574号の水溶性ポリエステル、同10-186565号のスチレンブタ
ジエン共重合体、特開2000-39684号や特願平11-106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニ
リデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。特開平11-65021号段落番号0133の記載の溶剤を添加しても良い。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10-186567号、同10-18568号等を参考にすること
ができる。
12)塗布方式
本実施形態における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294
号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が
用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著"LIQUID FILM COATING"(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。
スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1に ある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆
することができる。
本実施形態における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11-52509号を参考にすることができる。
本実施形態における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mP
a・s以上20,000mPa・s以下である。
また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好まく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
13)包装材料
本実施形態の熱現像感光材料は、使用される前の保存時に写真性能の変質を防ぐため、あるいはロール状態の製品形態の場合にはカールしたり巻き癖が付くのを防ぐために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で密閉包装するのが好ましい。酸素透過率は、25℃で50ml/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ま
しくは10ml/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1.0ml/at
m/m2・day以下である。水分透過率は、10g/atm/m2・day以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは5g/atm/m2・day以下であり、さらに好ましく
は1g/atm/m2・day以下である。酸素透過率および/または水分透過率の低い
包装材料の具体例としては、例えば特開平8-254793号、特開2000-206653号に記載されて
いるものを利用することができる。
14)その他の利用できる技術
本実施形態の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56-62648号、同58-62644号、特開平9-43766、同9-281637、同9-297367号、同9-304869号、同9-311405号、同9-329865号、同10-10669号、同10-62899号、同10-69023号、同10-186568号、同10-90823号、同10-171063号、同10-186565号、同10-186567号、同10-186569号〜同10-186572号、同10-197974号、同10-197982号、同10-197983号、同10-197985号〜同10-197987号、同10-207001号、同10-207004号、同10-221807号、同10-282601号、同10-288823号、同10-288824号、同10-307365号、同10-312038号、同10-339934号、同11-7100号、同11-15105号、同11-24200号、同11-24201号、同11-30832号、同11-84574号、同11-65021号、同11-109547号、同11-125880号、同11-129629号、同11-133536号〜同11-133539号、同11-133542号、同11-133543号、同11-223898号、同11-352627号、同11-305377号、同11-305378号、同11-305384号、同11-305380号、同11-316435号、同11-327076号、同11-338096号、同11-338098号、同11-338099号、同11-343420号、特開2000-187298号、同2001-200414号、同2001-234635号、同2002-20699号、同2001-275471号、同2001-275461号、同2000-313204号、同2001-292844号、同2000-324888号、同2001-293864号、同2001-348546号も挙げられる。
15)カラー画像形成
多色カラー熱現像感光材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。
多色カラー熱現像感光材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記
載されているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
3.画像形成方法
3−1.露光
本実施形態の熱現像感光材料は、支持体の片面にのみ画像形成層を有する「片面型」であっても、両面に画像形成層を有する両面型であっても良い。
(両面型熱現像感光材料)
本実施形態の熱現像感光材料は、X線増感スクリーンを用いてX線画像を記録する画像形成方法に好ましく用いることができる。
3.画像形成方法
3−1.露光
本実施形態の熱現像感光材料は、支持体の片面にのみ画像形成層を有する「片面型」であっても、両面に画像形成層を有する両面型であっても良い。
(両面型熱現像感光材料)
本実施形態の熱現像感光材料は、X線増感スクリーンを用いてX線画像を記録する画像形成方法に好ましく用いることができる。
該画像形成方法は、X線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値幅が15±5nmである単色光で露光し、熱現像処理した後、露光面とは逆側の画像形成層を除去して得られる画像の濃度が最低濃度に0.5を加えた濃度となるのに必要な露光量が、1×10−6ワット・秒/m以上1×10−3ワット・秒/m以下、好ましくは6×10−6ワット・秒/m以上6×10−4ワット・秒/m以下である熱現像感光材料を用いることが好ましい。
これらの熱現像感光材料を用いて画像形成する工程は以下の工程よりなる。
(a)該熱現像感光材料を1対のX線増感スクリーンの間に設置することにより像形成用組立体を得る工程、
(b)該組立体とX線源との間に被検体を配置する工程、
(c)該被検体にエネルギーレベルが25kVp〜125kVpの範囲にあるX線を照射する工程、
(d)該熱現像感光材料を該組立体から取り出す工程、
(e)取り出した該熱現像感光材料を90℃〜180℃の範囲の温度で加熱する工程。
本実施形態における組立体において使用する熱現像感光材料は、X線によって階段露光し、熱現像して得られる画像が、光学濃度(D)及び露光量(logE)の座標軸単位長の等しい直交座標上の特性曲線において、最小濃度(Dmin )+濃度0.1の点と最小濃度(Dmin )+濃度0.5の点とで作る平均ガンマ(γ)が0.5〜0.9であり、そして最小濃度(Dmin )+濃度1.2の点と最小濃度(Dmin )+濃度1.6の点とで作る平均ガンマ(γ)が3.2〜4.0である特性曲線を有するように調製されていることが好ましい。本実施形態のX線撮影系において、このような特性曲線を有する熱現像感光材料を用いると、脚部が非常に延びていて、かつ中濃度部ではガンマの高いといった優れた写真特性のX線画像が得られる。この写真特性により、X線透過量の少ない縦隔部、心陰影等の低濃度域の描写性が良好になり、かつX線透過量の多い肺野部の画像においても視覚し易い濃度となり、またコントラストも良好になるとの利点がある。
上記のような好ましい特性曲線を有する熱現像感光材料は、たとえば、両側の画像形成層のそれぞれを、互いに異なった感度を持つ二層以上のハロゲン化銀乳剤層から構成するような方法で容易に製造することができる。特に、上層には高感度の乳剤を用い、下層には低感度で硬調な写真特性を有する乳剤を用いて、画像形成層を形成することが好ましい。このような二層からなる画像形成層を用いる場合における各層間のハロゲン化銀乳剤の感度差は1.5倍以上20倍以下、好ましくは2倍以上15倍以下である。なお、それぞれの層の形成に用いられる乳剤の量の比率は、用いられる乳剤の感度差およびカバリングパワーにより異なる。一般には、感度差が大きい程、高感度側の乳剤の使用比率を下げる。たとえば、感度差が2倍であるときの好ましい各乳剤の使用比率は、カバリングパワーがほぼ等しい場合には、銀量換算で、高感度乳剤対低感度乳剤として1:20以上1:50以下の範囲の値となるように調整される。
クロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平2−68539号公報、第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行 目に記載の染料もしくは染料と媒染剤を用いることができる。
次に、本実施形態の蛍光増感紙(放射線増感スクリーン)について説明する。放射線増感スクリーンは、基本構造として、支持体と、その片面に形成された蛍光体層とからなる。蛍光体層は、蛍光体が結合剤(バインダ)中に分散されてなる層である。なお、この蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
本実施形態において、好ましい蛍光体としては、以下に示すものが挙げられる。タングステン酸塩系蛍光体(CaWO4、MgWO4、CaWO4:Pb等)、テルビウム賦活希
土類酸硫化物系蛍光体〔Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)O2S:Tb,Tm等〕、テルビウム賦活希土類燐酸
塩系蛍光体(YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tb等)、テルビウム賦活
希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、GdOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm等)、硫酸バリウム系蛍光体〔BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系
蛍光体〔(Ba2PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体〔BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFBr:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl・KCl:Eu2+等〕、沃化物系蛍光体(
CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体〔ZnS:Ag(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Al等〕、燐酸ハフニウム系蛍光体(HfP27:Cu等)、YTaO4 及びそれに発光中心として各種付活剤を加えたもの。但し本実施形態に用いられる蛍光体はこれらに限定されるものではなく、放射線の照射によって可視又は近紫外領域の発光を示す蛍光体であれば使用できる。
本発明でより好ましく用いられるX線用蛍光増感スクリーンは、発光光の50%以上が波長350nm以上420nm以下であるものである。特に、その蛍光体が、2価のEu賦活蛍光体であることが好ましく、さらに好ましくは2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体である。発光波長領域は、好ましくは360nm〜420nm、より好ましくは370nm〜420nmである。また、より好ましくは、同領域に70%以上さらに好ましくは85%以上の発光を有する蛍光スクリーンである。
この発光光の割合は、以下の方法によって計算される。すなわち横軸に発光波長を真数で等間隔にとり、発光フォトン数を縦軸にとって発光スペクトルを測定する。このチャート上の350nm以上420nm以下の面積を全発光スペクトルの面積で割った値を350nm以上420nm以下の波長に発光する割合と定義する。このような波長に発光を有することによって本発明の熱現像感光材料との組み合わせで高感度が達成できる。
このような波長域に蛍光体のほとんどの発光光が存在するためには発光光の半値幅は狭い方が好ましい。好ましい半値幅は1nm以上70nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。
このような発光が得られれば使用する蛍光体には特に制限はないが、本発明の目的である高感度化のためには2価のEuを発光中心とするEu賦活蛍光体であることが好ましい。
このような蛍光体の具体例を以下にあげるが本発明はこれに限定されるものではない。
BaFCl:Eu、BaFBr:Eu、BaFI:Euおよびこれらのハロゲン組成を変更したもの、BaSO4:Eu、SrFBr:Eu、SrFCl:Eu、SrFI:Eu、(Sr,Ba)Al2Si28:Eu、SrB47F:Eu、SrMgP27:Eu、Sr3(PO42:Eu、Sr227:Euなどがある。
より好ましい蛍光体としてはMX1X2:Euの一般式で表される2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体である。ここでMはBaを主成分とするがMg、Ca,Sr等のその他の化合物を少量好ましく含有することが可能である。X1、X2はハロゲン原子であり、F、Cl、Br、Iの中から任意に選択することが可能である。ここでX1はフッ素であることが好ましい。X2はCl、Br、Iの中から選択することが可能であり、これらのいくつかのハロゲン組成を混在させることも好ましく用いることができる。さらに好ましくはX=Brである。Euはユーロピウムである。発光中心であるEuはBaに対して10-7以上0.1以下の割合で含まれることが好ましい。より好ましくは10-4以上0.05以下である。少量のその他の化合物を混入させることも好ましく行われる。もっとも好ましい蛍光体としては、BaFCl:Eu、BaFBr:Eu、BaFBr1-XIX:Euが挙げられる。
<蛍光増感スクリーン>
蛍光増感スクリーンは、好ましくは支持体、支持体上の下塗り層、蛍光体層、表面保護層より構成される。
蛍光体層は、前記蛍光体の粒子と結合剤樹脂を含有する有機溶剤溶液に分散させて分散液を調製した後、その分散液を支持体(支持体上に光反射層等の下塗層が設けられている場合にはその下塗層)の上に直接塗布、乾燥することにより形成することができる。あるいは、別に用意した仮支持体上にこの分散液を塗布、乾燥して蛍光体シートを形成した後、蛍光体シートを仮支持体から剥がし取って、接着剤を用いてい支持体上に付設してもよい。
蛍光体粒子の粒径に特に制限はなく、通常は約1μm〜15μmの範囲であり、好ましくは約2μm〜10μmの範囲である。蛍光体層中における蛍光体粒子の体積充填率は高い方が好ましく、通常は60〜85%の範囲にあり、好ましくは65〜80%の範囲であり、特に好ましくは68〜75%の範囲である。(蛍光体層における蛍光体粒子の比率は通常は80重量%以上であり、好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。)蛍光体層の形成に用いる結合剤樹脂、有機溶剤及び任意に用いることのできる各種添加剤については、公知の各種の文献に記載されている。蛍光体層の厚みは、目標とする感度に応じて任意に設定することができるが、好ましくはフロント側スクリーンについては70μm〜150μmの範囲であり、バック側スクリーンについては80μm〜400μmの範囲である。なお、蛍光体層のX線吸収率は蛍光体粒子の塗布量によって決定される。
なお、蛍光体層は一層でもよいが、あるいは二層以上から構成してもよい。好ましくは、一層乃至三層であり、より好ましくは一層もしくは二層である。例えば、粒径分布の比較的狭い、粒径の異なる蛍光体粒子からなる層を積層してもよいし、その場合には支持体に近い層ほど粒径が小さくなるようにしてもよい。特に表面保護層側に大粒径の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5μm〜2.0μmで、大粒径のものは10μm〜30μmの範囲が好ましい。また、粒径の異なる蛍光体粒子を混合して蛍光体層を形成してもよいし、あるいは特公昭55−33560号の第3頁左欄3行目〜第4頁左欄39行目に記載されているように、蛍光体粒子の粒径分布が傾斜している構造の蛍光体層であってもよい。通常、蛍光体の粒径分布の変動係数は30〜50%の範囲にあるが、その変動係数が30%以下の単分散の蛍光体粒子も好ましく用いることができる。
蛍光体層を、発光波長に対して染色することによって好ましい鮮鋭度を出すこころみの行われている。ただしできるだけ染色が少ない層設計が好ましく用いられる。蛍光体層の吸収長は好ましくは100μm以上、より好ましくは1000μm以上である。
散乱長は0.1μm以上100μm以下に設計されることが好ましい。より好ましくは1μm以上100μm以下である。散乱長・吸収長は後述するクベルカ・ムンク(Kubelka−Munk)の理論に基づく計算式により算出することができる。
支持体としては、公知の放射線増感スクリーンに用いる各種の支持体の中から目的に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、二酸化チタン等の白色顔料を含むポリマーフィルムもしくはカーボンブラック等の黒色顔料を含むポリマーフィルムが好ましく用いられる。支持体の表面(蛍光体層が設けられる側の表面)には、光反射材料を含有する光反射層などの下塗層を設けてもよい。特開2001−124898号に記載のような
光反射層も好ましく用いられる。特に同特許実施例1に記載の酸化イットリウムによる光反射層、同特許実施例4に記載の光反射層は好ましく用いられる。好ましい光反射層としては特開23001−124898号公報の3項右側15行目〜同4項右側23行目までの記載を参考にすることができる。
蛍光体層の表面には表面保護層を設けるのが好ましい。蛍光体の主発光波長において測定される光散乱長が5μm〜80μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10μm〜70μmの範囲であり、特に好ましくは10μm〜60μmの範囲である。ここで、光散乱長は、光が一回散乱するまでに直進する平均距離を表し、散乱長が短いほど光散乱性が高いことを意味する。また、光が吸収されるまでの平均自由距離を表す光吸収長は任意であるが、スクリーン感度の観点からは表面保護層の吸収はない方が減感が少ないため好ましい。散乱不足を補う意味で、極僅かな吸収性を持たせることもできる。吸収長は、好ましくは800μm以上であり、特に好ましくは1200μm以上である。光散乱長および光吸収長は、下記の方法によって測定した測定値を用いてクベルカ・ムンク(Kubelka−Munk)の理論に基づく計算式により算出することができる。
まず、測定対象の表面保護層と同一の組成を有し、互いに層厚が相違する三枚以上のフィルム試料を作製する。次に、各々のフィルム試料の厚み(μm)と拡散透過率(%)とを測定する。拡散透過率は、通常の分光光度計に積分球を付設した装置により測定することができる。本発明における測定では、自記分光光度計((株)日立製作所製、U−3210型)に150φ積分球(150−0901)を付設して用いる。測定波長は、表面保護層を付設する対象の蛍光体層の蛍光体の主発光のピーク波長と一致させる必要がある。次いで、フィルムの厚み(μm)と拡散透過率(%)の測定値とを、クベルカ・ムンクの理論式より導出される下記の式(A)に導入する。式(A)は、例えば「蛍光体ハンドブック」(蛍光体同学会編集、(株)オーム社、1987年刊行)403頁の式5・1・12〜5・1・15から拡散透過率T(%)の境界条件の下に簡単に導くことができる。
Figure 2005099721
ただし、Tは拡散透過率(%)、dはフィルム厚み(μm)であり、αおよびβはそれぞれ下記の式で定義される。
Figure 2005099721
三枚以上のフィルムについて測定したT(拡散透過率:%)及びd(フィルム厚み:μm)をそれぞれ上記の式(A)に導入し、式(A)を満足するKおよびSを算出する。散乱長(μm)は1/Sにより定義され、そして吸収長(μm)は1/Kにより定義される
表面保護層は、また、光散乱性粒子が樹脂材料中に分散含有された構成であることが好ましい。光散乱性粒子の光屈折率は通常は1.6以上であり、好ましくは1.9以上である。また、光散乱性粒子の粒子径は通常は0.1μm〜1.0μmの範囲にある。このような光散乱性粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ニオブ、硫酸バリウム、炭酸鉛、酸化ケイ素、ポリメチルメタクリレート、スチレン、およびメラミンの微粒子を挙げることができる。
表面保護層を形成するのに用いる樹脂材料については、特段の制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、アラミド、フッ素樹脂、ポリエステル等を好ましく用いることができる。表面保護層は、上記の光散乱性粒子を樹脂材料(結合剤樹脂)を含有する有機溶剤溶液に分散させて分散液を調製した後、その分散液を蛍光体層上に(あるいは任意の補助層を介して)直接に塗布、乾燥することにより形成することができる。あるいは別途形成した保護層用シートを接着剤を用いて蛍光体層上に付設してもよい。表面保護層の厚みは、通常は2μm〜12μmの範囲にあり、好ましくは3.5μm〜10μmの範囲である。
さらに、放射線増感スクリーンの好ましい製造方法およびそれに用いる材料については、例えば特開平9−21899号公報の第6頁左欄47行目〜第8頁左欄5行目、特開平6−347598号公報の第2頁右欄17行目〜第3頁左欄33行目、および同公報第3頁左欄42行目〜第4頁左欄22行目に詳しい記載があり、それらを参照することができる。
本実施形態で用いる蛍光増感紙は、傾斜粒径構造で蛍光体を充填することが好ましい。特に表面保護層側に大粒径の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5〜2.0μmで、大粒径のものは10〜30μmの範囲が好ましい。
(片面型熱現像感光材料)
本実施形態における片面型熱現像感光材料は、特に乳房撮影用X線感光材料として用いるのが好ましい。
本目的に用いられる片面型熱現像感光材料は、得られる画像のコントラストを適切な範囲に設計することが重要である。
乳房撮影用X線感光材料としての好ましい構成要件に関しては、特開平5−45807号、特開平10−62881号、特開平10−54900号、特開平11−109564号記載を参考にすることができる。
(紫外蛍光スクリーンとの組合せ)
本実施形態の熱現像感光材料を用いた画像形成方法としては、好ましくは400nm以下に主ピークを持つ蛍光体との組み合わせで画像形成する方法を用いることができる。さらに好ましくは380nm以下に主ピークを持つ蛍光体と組み合わせて画像形成する方法が良い。両面感材、片面感材のいずれでも組立て体として用いることができる。400nm以下に主発光ピークであるスクリーンは特開平6−11804号、WO93/01521号に記載のスクリーンなどが使われるがこれに限られるものではない。紫外線のクロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平8−76307号公報に記載の技術を用いることができる。紫外線吸収染料としては、特願2000−320809号に記載の染料は特に好ましい。
3−2.熱現像
本実施形態の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。
現像時間としては1〜60秒が好ましく、5〜30秒がさらに好ましく、5〜20秒が特に好ましい。
熱現像の方式としては本発明に係る熱現像装置による方式以外にも、プレートヒーター方式であってもよい。プレートヒーター方式による熱現像方式とは特開平11-133572号に
記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒータからなり、かつ前記プレートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒータを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。
このような方法は特開昭54-30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を押さえることもできる。
3−3.システム
本発明に係る熱現像装置以外にも、露光部および熱現像部を備えた医療用レーザーイメージャーとして富士メディカルドライイメージャー−FM−DPLを挙げることができる。該システムは、Fuji Medical Review No.8,page39〜55に記載されており、それらの技術を利用することができる。また、DICOM規格に適合したネットワークシステムとして富士メディカル(株)が提案した「AD network」の中のレーザーイメージャー用の熱現像感光材料としても適用することができる。
4.本実施形態の用途
本実施形態の高ヨウ化銀写真乳剤を用いた熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
以下、上記の熱現像感光材料を実施例によって具体的に説明するが、本熱現像感光材料はこれらに限定されるものではない。
1.PET支持体の作成、および下塗り
1−1.製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66 (フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥した。青色染料(1,4−ビス(2,6−ジエチルアニリノアントラキンノン)で青色着色し、その後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作成した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
1−2.表面コロナ処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
1−3.下塗り支持体の作製
(1)下塗層塗布液の作成
処方(1)(感光層側下塗り層用)
SnO/SbO(9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物) 84g
高松油脂(株)製ペスレジンA-520(30質量%溶液) 46.8g
東洋紡績(株)製バイロナールMD-1200 10.4g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 1質量%溶液 11.0g
綜研化学(株)製 MP-1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 847ml
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、上記下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウエット塗
布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180 ℃で5分間乾燥し、これを両面に施して、下塗り支持体を作製した。
2.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
蒸留水1421mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2'‐(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら75℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で16分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて508.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
ハロゲン化銀乳剤Aは、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.93μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.057μm、平均アスペクト比16.3の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.42μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の30%以上がγ相で存在していた。
《ハロゲン化銀乳剤Bの調製》
ハロゲン化銀乳剤Aで調製した平板状粒子AgI乳剤1モルを反応容器に入れた。pAgは38℃で測定して10.2であった。次いで、ダブルジェット添加により、0.5モル/リットルのKBr溶液及び0.5モル/リットルのAgNO3溶液を10ml/分で
20分間にわたって添加し、実質的に10モル%臭化銀をAgIホスト乳剤上にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは10.2に維持した。さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤Bを作成した。
《ハロゲン化銀乳剤Cの調製》
蒸留水1421mlに10質量%ヨウ化カリウム溶液8mlを加え、さらにフタル化ゼラチン4.6g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら75℃に液温を保ち、硝酸銀22.7gに蒸留水を加え223mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で15分22秒かけて全量添加し、溶液BはpAgを9.96に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を0.8ml添加した。さらに、硝酸銀53.1gに蒸留水を加えて520.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを9.96に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10−4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10−4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
得られたホスト粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径1.36μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.113μm、平均アスペクト比12.0の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.68μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
<ハロゲン化銀乳剤Dの調製>
上記のAgIホスト粒子の1モルを反応容器に入れた。pAgは40℃で測定して9.1であった。次いで、ダブルジェット添加により、1リットル中に0.088モルのKBrと0.038モルのNaClを含有するハロゲン溶液及び0.125モル/リットルのAgNO3溶液を28.7ml/分で31分間にわたって添加し、全銀量の10モル%になる量の塩臭化銀をAgIホスト乳剤上の6点のコーナー部位にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは7.13に維持した。
さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
エピタキシャル部の平均ハロゲン組成は、ハロゲン化銀粒子エピタキシャル部の超薄切片を作製し、フィールドエミッション型の分析電子顕微鏡により求めたところ、ブロム80モル%、クロル17モル%、ヨウド3モル%であった。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に60℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N'−ジヒドロキシ−N",N"−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、エピタキシャル接合を有するハロゲン化銀乳剤Dを作製した。
≪塗布液用混合乳剤の調製≫
ハロゲン化銀乳剤Bとハロゲン化銀乳剤Dを銀モル比として5:1になる量を溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。
さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。
また吸着基と還元基を有する化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり8
×10−3モルになる量を添加した。
さらに塗布液用混合乳剤1リットルあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100Kgを、1200Kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100Kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96%、それ以外にリグノセリン酸が2%、アラキジン酸が2%、エルカ酸0.001%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88Kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
乾燥固形分260Kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3Kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cmに調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
《還元剤−1分散物の調製》
還元剤―1(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物分散物の調製
《水素結合性化合物−1分散物の調製》
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物―1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤分散物、色調調整剤分散物の調製
《現像促進剤−1分散物の調製》
現像促進剤−1を10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgに、水10Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
6)ポリハロゲン化合物分散物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10Kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4Kgと、水14Kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナ
トリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物―1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20Kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物―2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
7)ヨウ化銀錯形成剤の調製
8kgの変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、ヨウ化銀錯形成剤化合物の5質量%溶液を調製した。
8)メルカプト化合物の調製
(メルカプト化合物の調製)
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物―1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物―2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
9−1)SBRラテックス液の調製
SBRラテックス(TP−1)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのLiOHを用いてpH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスTP−1を774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
9−2)イソプレンラテックス液の調製
イソプレンラテックス(TP−2)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/リットルのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mlに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mlに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのLiOHを用いてpH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−1を1248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
10)造核剤分散物の調製
造核剤として化合物No.SH−7を10gに、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217)2.5gおよび水87.5gを添加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5mmのジルコニアビーズ240gをスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)で10時間分散し、造核剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量%が0.1μm〜1.0μmで、平均粒径は0.5μmであった。
1−3−2.塗布液の調整
1)乳剤層(感光性層)塗布液−1の調製
上記で得た脂肪酸銀分散物1000g、水276mlに、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、SBRラテックス(TP−1)液、イソプレンラテックス(TP−2)液、還元剤−1分散物、造核剤分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、ヨウ化銀錯形成剤を添加した後、塗布直前にハロゲン化銀の塗布液用混合乳剤を銀量で脂肪酸銀1モル当たり0.22モル添加し、よく混合して、そのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記乳剤層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
レオメトリックスファーイースト(株)製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ242、65、48、26、20[mPa・s]であった。
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.52mgであった。
2)乳剤面中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)乳剤面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)乳剤面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
1−4.熱現像感光材料−1の作製
支持体の両面に、下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料1〜7を作製した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
片面あたりの塗布銀量は、脂肪酸銀とハロゲン化銀の合計で0.861g/mであり、両面をあわせて画像形成層合計で1.72g/mであった。
画像形成層における各化合物の片面あたりの総塗布量(g/m)は以下の通りである。
脂肪酸銀(銀として) 0.686
ポリハロゲン化合物−1 0.028
ポリハロゲン化合物−2 0.094
ヨウ化銀錯形成剤 0.46
SBRラテックス 5.20
SBRラテックス(TP−1) 2.09
イソプレンラテックス(TP−2) 3.13
還元剤−1 0.46
造核剤 0.036
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.005
現像促進剤−2 0.035
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.175
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
・支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
・コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mm。
・減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定。
・引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却。
・無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥。
・乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿。
・引き続き、膜面を70〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で250秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 2005099721
Figure 2005099721
Figure 2005099721
Figure 2005099721
(写真性能の評価)
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%の環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
(包装材料)
PET 10μ/PE 12μ/アルミ箔9μ/Ny 15μ/カーボン3%を含むポリエチレン50μ酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、水分透過
率:0.10g/atm・m2・25℃・day
このように準備した両面塗布感光材料を、以下の様に評価した。
下記の蛍光増感スクリーンAを2枚使用して、その間に試料を挟み、像形成用組立体を作製した。この組立体に、0.05秒のX線露光を与え、X線センシトメトリーを行った。使用したX線装置は、東芝(株)製の商品名DRX−3724HDであり、タングステンターゲットを用いた。三相にパルス生器で80kVpの電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィルタを通したX線を光源とした。距離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステップ露光を行なった。露光後に、本発明に係る熱現像装置による熱現像処理条件で熱現像処理した。得られた画像の評価を濃度計により行った。
<蛍光増感スクリーンAの作製>
(1)下塗り層の作製
特開2001−124898号公報の実施例4と同様にして、250μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)上にアルミナ粉体よりなる乾燥後の膜厚が50μmの光反射層を形成した。
(2)蛍光体シートの製造
BaFBr:Eu蛍光体(平均粒径3.5μm)250g、ポリウレタン系バインダー樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:パンデックスT5265M)8g、エポキシ系バインダー樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名:エピコート1001)2g、およびイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートHX)0.5gをメチルエチルケトンに加え、プロペラミキサで分散して、粘度が25PS(25℃)の蛍光体層形成用塗布液を調製した。この塗布液を仮支持体(予めシリコーン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレートシート)の表面に塗布し、乾燥して蛍光体層を形成した。この蛍光体層を仮支持体から剥がし取って蛍光体シートを得た。
(3)光反射層上への蛍光体シートの付設
前記の工程1)で製造した光反射層付き支持体の光反射層の表面に、上記の蛍光体シートを重ね、カレンダロールにて、圧力400kgw/cm、温度80℃の条件で加圧し、光反射層上に蛍光体層を設けた。得られた蛍光体層の厚みは125μmであり、蛍光体層中の蛍光体粒子の体積充填率は68%であった。
(4)表面保護層の形成
厚み6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の片面にポリエステル系の接着剤を塗布し、ラミネート法で蛍光体層上に表面保護層を設けた。このようにして、支持体、光反射層、蛍光体層および表面保護層からなる蛍光増感スクリーンAを得た。
(5)発光特性
40kVpのX線で測定した増感スクリーンAの発光スペクトルを図7に示した。蛍光増感スクリーンAは、390nmにピークをもつ半値幅の狭い発光を示した。
一方、富士写真フイルム(株)社製の湿式現像方式のレギュラー感材RX−Uを富士フイルム(株)社製のXレイレギュラースクリーンHI-SCREEN B3(蛍光体としてCaWO4を使用。発光ピーク波長425m)を2枚使用して、同じ条件で露光し、富士写真フイルム株)社製の自動現像処理機CEPROS−M2、処理液CE−D1で45秒処理した。
これらの本実施形態の熱現像感光材料で得られた画像と湿式現像方式で得られた画像の写真性を比較した結果、同等の良好な性能であった。
以上説明したように、本発明によれば、CT用のフィルムを装置内で露光してそのフィルムを同一装置内で熱現像する本来の熱現像装置の使用の他に、レントゲンフィルムのような表裏で現像する必要な両面感光フィルムの熱現像も上記熱現像装置を用いて現像することが可能になるので、コストがかからず、また広い設置場所を必要としなくなり、フィルムローダーや生フィルムの装填技術などの熟練者も不要となる。
本発明に係る熱現像装置の第1の実施の形態の縦断面図である。 図1の熱現像装置で実施する熱現像方法による処理手順の説明図である。 本発明に係る熱現像装置の第2の実施の形態の縦断面図である。 本発明に係る熱現像装置の第3の実施の形態の縦断面図である。 本発明に係る熱現像装置の第4の実施の形態の縦断面図である。 本発明に係る熱現像装置の縦断面図で、(A)は円弧状の搬送経路に沿って配置した複数個のプレートヒータを備えた構造、(B)は加熱ドラム方式の構造、(C)は熱現像記録材料を挟む一対の無端ベルトを備えたベルト式搬送構造を示す図である。 増感スクリーンの発光スペクトルを示すグラフである。 従来の熱現像記録装置の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
71 熱現像記録材料
73 カセッテ(記録紙収容ケース)
77 搬送手段
77a 導入ガイド部
77b 円筒状ローラガイド
77c 押さえローラ
79 加熱手段
81 冷却部
83 装置筐体
85 排出トレイ
110 反転処理機構
111 材料回収ライン
113 材料戻しライン
114 送りローラ対
115 送りローラ対
116 送りローラ対
118 一時貯留部
119 搬送ルート切り替え手段
120 搬送ルート切り替え手段
130 排出側搬送ルート
200,211,221,231 熱現像装置

Claims (7)

  1. シート状の熱現像記録材料を搬送手段によって搬送しつつ、前記熱現像記録材料を片面側から加熱手段によって熱現像する熱現像装置であって、
    前記加熱手段による加熱域より排出された前記熱現像記録材料を反転させ前記加熱域に
    戻す反転処理機構と、
    前記加熱手段による加熱域より排出された前記熱現像記録材料の進路を前記反転処理機
    構側又は排出側搬送ルートに選択切り替えする搬送ルート切り替え手段とを備えたことを
    特徴とする熱現像装置。
  2. 前記反転処理機構に、前記熱現像記録材料の温度降下を防止するための保温部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
  3. 反転させる前記熱現像記録材料を一時的に待機させる一時貯留部として、熱現像処理前の前記熱現像記録材料が収容される記録紙収容ケースを利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像装置。
  4. 前記搬送手段を、速度可変にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱現像装置。
  5. 上記の熱現像装置を用いて、両面に記録層を有したシート状の熱現像記録材料を熱現像する熱現像方法であって、
    一方の面に対して前記加熱手段による熱現像処理を済ませた熱現像記録材料を前記反転
    処理機構により反転させて前記加熱手段による加熱域に戻し、前記搬送手段及び前記加熱
    手段の稼働によって当該熱現像記録材料の他方の面に対しても熱現像処理を実施した後に
    排出することで、前記熱現像記録材料の両面の記録層を熱現像することを特徴とする熱現
    像方法。
  6. 前記反転処理機構による反転処理と、前記搬送手段及び前記加熱手段による別の熱現像記録材料に対する熱現像処理とが同時並行して実施されるように、前記反転処理機構における所要時間を設定したことを特徴とする請求項5に記載の熱現像方法。
  7. 一方の面の熱現像処理を済ませた前記熱現像記録材料の他方の面の熱現像処理に対し、前記搬送手段による搬送速度を一方の面の熱現像時よりも高速化するか、或いは、前記加熱手段による加熱量を一方の面の熱現像時よりも下げて熱現像を実施することを特徴とする請求項5又は6に記載の熱現像方法。
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