JP4401244B2 - 熱現像感光材料および画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は熱現像感光材料および画像形成方法に関し、特に高感度で好ましい階調を有する高画質の熱現像感光材料および画像形成方法に関するものである。
近年、医療分野や印刷製版分野において環境保全、省スペースの観点から写真現像処理のドライ化が強く望まれている。これらの分野では、デジタル化が進展し、画像情報をコンピューターに取り込み、保存、そして必要な場合には加工し、通信によって必要な場所で、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより感光材料に出力し、現像して画像をその場で作製するシステムが急速に広がってきている。感光材料としては、高い照度のレーザー露光で記録することができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することがが必要とされている。このようなデジタル・イメージング記録材料としては、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像のように診断能力を決定する画質(鮮鋭度、粒状性、階調、色調)の点、記録スピード(感度)の点で、不満足であり、従来の湿式現像の医療用銀塩フィルムを代替できるレベルに到達していない。
有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、既に知られている。このシステムにおいては、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した画像形成層を有している。
熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。その結果、露光領域に黒色の銀画像が形成される。熱現像感光材料は、多くの文献に開示され、また、実用的には医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DPLが発売された。
この様な有機銀塩を利用した画像形成システムは、定着工程がないため熱現像後もハロゲン化銀が膜中に残存するので、本質的に2つの大きな問題を抱えていた。
その一つは、現像処理後の画像保存性、特に光が当たったときのプリントアウトの悪化であった。このプリントアウトを改良する手段としてヨウ化銀を利用する方法が知られている。臭化銀あるいは、ヨウド含有率が5モル%以下のヨウ臭化銀に比べて極めてプリントアウトをしにくい特性を有していて、抜本的にこの問題を解決しうる可能性を有する。しかしながら、これまで知られているヨウ化銀粒子は極めて感度が低く、現実のシステムに利用しうる感度には遥かに及んでいない。また、感度を向上させるために、光電子と正孔の再結合を防止する手段を施すとプリントアウトに優れる特性が失われてしまう問題を内在していた。
ヨウ化銀写真乳剤の感度を増加させる手段としては、学術文献において、亜硝酸ナトリウム、ピロガロール、ハイドロキノンなどのハロゲン受容体や硝酸銀水溶液への浸漬や、pAg7.5で硫黄増感することなどにより、増感することが知られていた。しかし、これらのハロゲン受容体の増感効果は、本発明が対象とする熱現像感光材料においてはその効果は非常に小さく極めて不十分であった。
もう一つの問題は、残存するハロゲン化銀による光散乱のため、膜が白濁し半透明〜不透明となってしまい、画質を悪化させることであった。この問題を解決するため、感光性ハロゲン化銀を微粒子(実用されている領域では、0.15μm〜0.08μm)にして、添加量をできる限り減らして、ハロゲン化銀による白濁を少なくする手段が現実的な手段として採用された。しかしながら、この妥協策は、感度をさらに低下せしめ、白濁も完全には解決されず、乳濁が残り膜にヘイズを与えたままであった。
湿式現像処理方式の場合、現像処理後にハロゲン化銀溶剤を含む定着液で処理することにより、残存するハロゲン化銀を除去している。ハロゲン化銀溶剤としては、銀イオンと錯体を形成し得る種々の無機および有機化合物が知られている。
ドライ熱現像処理においても同様の定着手段を組み込む試みが、過去において試されている。例えば、銀イオンと錯体を形成し得る化合物を膜中に内蔵して、熱現像によりハロゲン化銀を可溶化すること(通常、定着と呼ばれる)が提案されているが、臭化銀あるいは塩臭化銀に関するものであり、また、定着のために後加熱する必要があり、加熱条件も155℃〜160℃と高い温度を必要とし、定着しにくい系であった。また、銀イオンと錯体を形成し得る化合物を含有す別のシート(定着シート)を用意し、熱現像感光材料を熱現像し画像を形成した後、定着シートと重ね合わせて加熱して残存するハロゲン化銀を溶解し取り除くことも提案されているが、2シートをであるため、処理工程が複雑化し、工程の動作安定性確保が困難になること、処理後に定着シートを廃棄する必要があり廃材を発生させることが実用的観点から障害となる。
また、上記以外に熱現像における定着方法として、マイクロカプセルの中にハロゲン化銀の定着剤を内包しておき、熱現像で定着剤を放出して作用させる方法が提案されているが、定着剤を効果的に放出させる設計が難しい。熱現像後に定着液を用いて定着する方法も提案されているが、湿式処理を必要とする点で完全乾式処理にふさわしくない。
以上のように、従来、知られている膜の濁りの改良方法はいずれも弊害が大きく、実用に際しては困難性が大きかった。
一方、上述の熱現像感光材料を撮影用感光材料に応用する試みが提案されている。ここで言う撮影用感光材料とは、レーザー光などで走査露光により画像情報を書き込むものではなく、画像を面露光により記録するものである。従来、湿式現像感光材料分野では、一般に用いられ、医療用途では直接あるいは間接X線フィルム、マンモグラフフィルムなど、印刷用各種製版フィルム、工業用記録フィルム、あるいは一般カメラによる撮影用フィルムなどが知られている。例えば、青色の蛍光増感紙を利用した両面塗布型X線用熱現像感光材料、ヨウ臭化銀の平板粒子を用いた熱現像感光材料(例えば、特許文献1参照。)、あるいは(100)主平面を有する塩化銀含有率の高い平板粒子を支持体の両面に塗設した医療用感光材料も特許文献に開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、両面塗布熱現像感光材料は、その他の特許文献にも開示されている。しかしながら、これらの公知例では、0.1μm以下の微粒子ハロゲン化銀を用いるとヘイズの悪化を伴わないが低感度であり、撮影用には実用に耐えないものであり、一方、0.5μm以上のハロゲン化銀粒子を用いた場合は残存するハロゲン化銀によるヘイズの悪化、およびプリントアウトの悪化による画像品質の劣化が激しく、実用に耐えるものではなかった。
従って、低感度の問題が基本的課題として大きな障害であったために、実用に当たって、それ以外にどのような課題が存在するのか殆ど明らかにはなっていなかった。
ハロゲン化銀粒子として、ヨウ化銀の平板粒子を用いた感光材料は湿式現像分野では知られているが、熱現像感光材料ではその応用は例がない。その理由は上述のように低感度であり、有効な増感手段がなく、また熱現像ではさらに技術的バリアーが高くなることが原因であった。
特開昭59−142539号公報 特開平10−282606号公報
本発明の目的は、高感度で高画質の熱現像感光材料および画像形成方法、特に好ましい階調の画像を与える改良された熱現像感光材料および画像形成方法を提供することである。
本発明の上記課題は、下記の手段によって達成された。
<1> 支持体の少なくとも一方面上に、少なくとも、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを有し、X線増感スクリーンを用いてX線露光される熱現像感光材料であって、
(1)前記感光性ハロゲン化銀は、ヨウ化銀含有率が40モル%以上であって、平均アスペクト比2以上100以下、かつ平均球相当直径が0.3μm以上10μm以下の平板状粒子であり、
(2)前記X線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値幅が15±5nmである単色光で露光し、熱現像処理して得られる画像の濃度が最低濃度に0.5を加えた濃度となるのに必要な露光量が、1×10-6ワット・秒/m2以上1×10-3ワット・秒/m2以下であり、
(3)前記熱現像感光材料の熱現像後のヘイズ度が熱現像前の80%未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
<2> 前記X線増感スクリーンが、発光光の50%以上が波長350nm以上420nm以下である蛍光体を含んだ蛍光増感スクリーンである<1>に記載の熱現像感光材料。
<3> 前記蛍光体が、2価のEu賦活蛍光体であることを特徴とする<2>に記載の熱現像感光材料。
<4> 前記蛍光体が、2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体であることを特徴とする<2>または<3>に記載の熱現像感光材料。
<5> 前記熱現像後のヘイズ度が熱現像前の75%未満であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<6> 前記感光性ハロゲン化銀の塗布銀量が、片面あたり0.04g/m2以上0.4g/m2以下であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<7> 造核剤を含有し、特性曲線の平均階調が1.8以上4.3以下であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<8> 前記造核剤がヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、4級オニウム化合物、およびオレフィン化合物よりなる群より選ばれる化合物であることを特徴とする<7>に記載の熱現像感光材料。
<9> 前記熱現像感光材料のNH4 +含有量が片面あたり1mmol/m2以下であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
<10> 前記熱現像感光材料の全層のNH4 +含有量が片面あたり0.3mmol/m2以下であることを特徴とする<9>に記載の熱現像感光材料。
11> 前記感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が80モル%以上であることを特徴とする<〜<10>のいずれかに記載の熱現像感光材料。
12> 前記感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が90モル%以上であることを特徴とする<11>に記載の熱現像感光材料。
13> <1>〜<12>のいずれかに記載の熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、熱現像温度で熱現像する直前に、40℃以上105℃以下の温度で0.1秒以上90秒以下の時間加熱することを特徴とする画像形成方法。
14> 前記直前の加熱温度が60℃以上100℃以下である<13>に記載の画像形成方法。
15> 前記熱現像の加熱手段が、プレートと該プレートに前記熱現像感光材料を押し当てて回転するローラーを有し、該プレートおよび該ローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していることを特徴とする<13>または<14>に記載の画像形成方法。
16> 前記熱現像の加熱手段が、円筒状のドラムと該ドラムの周表面に前記熱現像感光材料を押し当てて回転する押さえローラーとを有し、該ドラムおよび該押さえローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していることを特徴とする<13>または<14>に記載の画像形成方法。
17> 前記熱現像の加熱手段が、前記熱現像感光材料の第一の面を加熱する第一加熱手段と他方の面を加熱する第二加熱手段とを前記熱現像感光材料の搬送路の交互に挟んで背離して配置していることを特徴とする<13>または<14>に記載の画像形成方法。
18> 前記熱現像の記加熱手段が、加熱源となるヒータの内蔵された担体、および該担体を包囲して設けられた無端ベルトを有し、かつ、該無端ベルトを前記担体に押圧しながら回転することで該無端ベルトを従動回転させる押さえローラとを備えていることを特徴とする<13>または<14>に記載の画像形成方法。
19> 前記熱現像感光材料の搬送路に沿って前記加熱手段が複数組配設されていることを特徴とする<13>〜<18>のいずれかに記載の画像形成方法。
20> 前記複数組の加熱手段が搬送路にそって千鳥状に配置されていることを特徴とする<19>に記載の画像形成方法。
本発明により、熱現像感光材料および画像形成方法が提供され、特に高感度で好ましい階調を有する高画質の熱現像感光材料および画像形成方法が提供される。
以下に本発明を詳細に説明する。
1.熱現像感光材料
本発明の熱現像感光材料は、X線増感スクリーンを用いてX線露光される。
本発明において、熱現像感光材料の写真特性は写真特性曲線で表される。写真特性曲線とは、露光エネルギーである露光量の常用対数(logE)を横軸にとり、光学濃度、すなわち散乱光写真濃度(D)を横軸にとって両者の関係を表したD−logE曲線のことをいう。本発明においては、前記X線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値幅が15±5nmである単色光で露光される。
本発明における感度は、熱現像処理して得られる画像の濃度が最低濃度に0.5を加えた濃度となるのに必要な露光量を言う。感度を測定する画像は、支持体の露光面側に形成された画像であって、本発明における熱現像感光材料が、両面型である場合は、露光面とは反対面の画像形成層を除去して測定される。
本発明における感度は、1×10-6ワット・秒/m2以上1×10-3ワット・秒/m2以下であり、好ましくは6×10-6ワット・秒/m2以上6×10-4ワット・秒/m2以下であり、より好ましくは1×10-5ワット・秒/m2以上4×10-4ワット・秒/m2以下である。
本発明における平均階調とは、特性曲線上のかぶり濃度+光学濃度0.25の点とかぶり濃度+光学濃度2.0を結ぶ直線の傾き(この直線と横軸のなす角をθとするときのtanθ)のことである。本発明における平均階調は、1.8以上4.3が好ましい。より好ましくは、2.0以上4.0以下である。
本発明の熱現像感光材料の熱現像後のヘイズ度が熱現像前の80%未満に減少することを特徴とする。好ましくは熱現像後のヘイズ度が熱現像前の75%未満であり、より好ましくは70%未満である。
本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有している。画像形成層は片面にのみ有してもよく、両面に有しても良い。また、画像形成層の上に中間層、表面保護層、あるいはその反対面にバック層やバック保護層などを有してもよい。
本発明の熱現像感光材料は、造核剤を含有しても良い。
本発明の熱現像感光材料は、片面当たりのアンモニウムイオン(本願ではNH4 +と略記する場合もある)含有量が1mmol/m2以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3mmol/m2以下である。
本発明の熱現像感光材料では、アンモニアなどの揮発性の塩基は揮発しやすく、塗布する工程や熱現像時だけでなく、保存中にも揮発するため、膜内に存在することは好ましくない。膜中のNH4 +量の定量は、東ソー社製8000タイプイオンクロマト測定装置(電気電導度法)及び分離カラムとして、東ソー社製TSKgel IC−Cation、ガードカラムとして、TSK guard column IC−Cを用いて測定した。溶離液には、2mM硝酸水溶液を用い、1.2mL/minの流量で行った。また、カラム恒温槽温度は40℃で行った。
感光材料からのNH4 +の抽出は、抽出液として、酢酸:イオン交換水=1:148混合溶液を用い、上記抽出液5mLに感光材料1cm×3.5cmの大きさの感光材料を2時間浸して行い、抽出後、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を測定した。
これらの各層の構成、およびその好ましい成分について詳しく説明する。
(感光性ハロゲン化銀)
本発明における感光性ハロゲン化銀は、ヨウ化銀含有率が40モル%以上であって、平均アスペクト比2以上100以下、かつ平均球相当直径が0.3μm以上10μm以下の平板状粒子である。
感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率は、好ましくは80モル%であり、より好ましくは90モル%である。
1)ハロゲン組成
本発明におけるヨウ化銀含有率は、40モル%以上でありましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。
残りのハロゲン種は特に制限はなく、塩化銀、臭化銀などのハロゲン化銀、またはチオシアン酸銀や燐酸銀などの有機銀塩から選ぶことができる。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。コア部のヨウ化銀含有率が高いコア高ヨウ化銀構造、またはシェル部のヨウ化銀含有率が高いシェル高ヨウ化銀構造も好ましく用いることができる。また、粒子の表面にエピタキシャル部分とした塩化銀や臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
本発明の高ヨウ化銀含有率のハロゲン化銀は、任意のβ相およびγ相含有率を取ることができる。β相とは六方晶系のウルツアイト構造を有する高ヨウ化銀構造を指し、γ相とは立方晶系のジンクブレンド構造を有する高ヨウ化銀構造を指す。ここでいうγ相含有率とは、C.R.Berry(ベリー)により提案された手法を用いて決定されるものである。この手法は、粉末X線回折法でのヨウ化銀β相(100)、(101)、(002)とγ相(111)によるピーク比を元にして決定するもので、詳細については例えば、Physical ReVIew,vol.161,No.3,p.848−851(1967)を参考にすることができる。
2)粒子サイズ
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀は、高感度を達成するのに必要な十分大きい粒子サイズを選ぶことができる。本発明における平板状ハロゲン化銀の平均球相当直径は、0.3μm以上10.0μm以下であり、好ましくは、0.35μm以上7.0μm以下、より好ましくは、0.4μm以上5.0μm以下である。ここでいう平均球相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同じ体積の球に換算することにより求めることができる。
3)塗布量
本発明においてはハロゲン化銀の塗布量は、片面あたり0.04g/m以上0.4g/m以下が好ましく、より好ましくは0.1g/m以上0.3g/m以下である。
一般に、熱現像後もハロゲン化銀がそのまま残存する熱現像感光材料の場合は、ハロゲン化銀の塗布量を増やすと膜の透明度が低下し画質上好ましくないため、感度を高くしたい要求にもかかわらず、低く制限されていた。しかしながら、本発明の場合には、熱現像処理によって、ハロゲン化銀による膜のヘイズを減少させることができるので、より多くのハロゲン化銀を塗布することができる。
本発明においては、非感光性有機銀塩の銀1モルに対して0.5モル%以上100モル%以下、好ましくは5モル%以上50モル%以下であることがさらに好ましい。
4)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627号、特開2000−347335号記載の方法も好ましい。
ヨウ化銀の平板粒子の形成方法に関しては、前述の特開昭59−119350号、同59−119344号に記載の方法が好ましく用いられる。
5)粒子形状
本発明における平板の形状は、当分野で良く知られたアスペクト比で表すことが出来る。本発明における平板状ハロゲン化銀のアスペクト比は2以上100以下であり、好ましくは、5以上80以下、より好ましくは8以上50以下である。
本発明における平板状ハロゲン化銀の粒子厚みは0.3μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。
本発明のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀は複雑な形態を取り得るが、好ましい形態は例えば、R.L.JENKINS etal.J.Phot.Sci.vol.28(1980)のp.164、Fig1に示されているような接合粒子が挙げられる。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,vol.29、p.165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
6)重金属
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第3族〜第14族の金属または金属錯体を含有することができる。好ましくは、第8族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは鉄、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir(CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
7)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、分子量は、500〜60,000の低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。
8)化学増感
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、未化学増感でもよいが、カルコゲン増感法、金増感法、還元増感法の少なくとも1つの方法で化学増感されるのが好ましい。カルコゲン増感法としては、硫黄増感法、セレン増感法およびテルル増感法が挙げられる。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、NーエチルーN’ー(4ーメチルー2ーチアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5ーベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4ーオキソーオキサゾリジンー2ーチオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン(1,2,3,5,6−ペンタチエパン))、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43ー13489号、同44ー15748号、特開平4ー25832号、同4ー109340号、同4ー271341号、同5ー40324号、同5ー11385号、特開平6ー51415号、同6ー175258号、同6ー180478号、同6ー208186号、同6ー208184号、同6ー317867号、同7ー92599号、同7ー98483号、同7ー140579号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,Nージメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニルートリメチルセレノ尿素、アセチルートリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,Nージエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルートリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリーp−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46ー4553号、同52ー34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4ー224595号、同4ー271341号、同4ー333043号、同5ー303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチルージイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシージフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーN−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーNーメチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニルーNーベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’ージメチルエチレンテルロ尿素、N,N’ージフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好ましく、特に特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
特に本発明のカルコゲン増感においてはセレン増感とテルル増感が好ましく、特にテルル増感が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号に記載されている金増感剤を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレニドなどでありこれらにくわえて、米国特許第2642361号、同5049484号、同5049485号、同5169751号、同5252455号、ベルギー特許第691857などに記載の金化合物も用いることが出来る。またP.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号に記載されている金以外の、白金、パラジュウム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事も出来る。
金増感は単独で用いることもできるが、前記のカルコゲン増感と組み合わせて用いることが好ましい。具体的には金硫黄増感、金セレン増感、金テルル増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金セレンテルル増感、金硫黄セレンテルル増感である。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-7〜10-2モル程度を用いる。
同様に、本発明で用いられる金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-2モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-3モルである。この乳剤を化学増感する環境条件としてはいかなる条件でも選択可能ではあるが、pAgとしては8以下、好ましくは7.0以下より6.5以下、とくに6.0以下、およびpAgが1.5以上、好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上の条件であり、pHとしては3〜10、好ましくは4〜9、温度としては20〜95℃、好ましくは25℃〜80℃程度である。
本発明においてカルコゲン増感や金増感に加えて、さらに還元増感も併用することができる。とくにカルコゲン増感と併用するのが好ましい。
還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でもよい。また、乳剤のpHを8以上またはpAgを4以下に保持して熟成することにより還元増感することも好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
還元増感剤の添加量としては、同様に種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、金増感、カルコゲン増感の少なくとも1つの方法で化学増感されていることが高感度の熱現像感光材料を設計する点から好ましい。
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明におけるハロゲン化銀乳剤は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明の感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特願2003−25886号に記載の一般式(1)と同義)、又は化学反応式(1)(特願2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特願2003−33446号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 0004401244
一般式(1)及び(2)中、RED1、RED2は、各々独立に還元性基を表す。R1は、炭素原子(C)とRED1とともに5員若しくは6員の芳香族環(芳香族ヘテロ環を含む)のテトラヒドロ体、若しくはヘキサヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2、R3、R4は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Lv1、Lv2は、各々独立に脱離基を表す。EDは、電子供与性基を表す。
Figure 0004401244
一般式(3)、(4)及び(5)中、Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。R5、R6、R7、R9、R10、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R20は水素原子又は置換基を表すが、R20がアリール基以外の基を表すとき、R16、R17は互いに結合して芳香族環又は芳香族ヘテロ環を形成する。R8、R12はベンゼン環に置換可能な置換基を表し、m1は0〜3の整数を表し、m2は0〜4の整数を表す。Lv3、Lv4、Lv5は脱離基を表す。
Figure 0004401244
一般式(6)及び(7)中、RED3、RED4は、各々独立に還元性基を表す。R21〜R30は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Z2は、−CR111112−、−NR113−、又はO−を表す。R111、R112は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R113は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
Figure 0004401244
一般式(8)中、RED5は還元性基であり、アリールアミノ基又はヘテロ環アミノ基を表す。R31は、水素原子又は置換基を表す。Xは、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Lv6は脱離基であり、カルボキシ基若しくはその塩、又は水素原子を表す。
Figure 0004401244
一般式(9)で表される化合物は脱炭酸を伴う2電子酸化が起こった後に、さらに酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は水素原子又は置換基を表す。Z3はC=Cとともに5員又は6員のヘテロ環を形成する基を表す。Z4はC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。一般式(9)中、32、R33、Z3は化学反応式(1)中のものと同義である。Z5はC−Cとともに5員又は6員の環状脂肪族炭化水素基又はヘテロ環基を形成する基を表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特願2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特願2003−33446号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 0004401244
一般式(10)中、RED6は1電子酸化される還元性基をあらわす。YはRED6が1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。QはRED6とYを連結する連結基を表す。
Figure 0004401244
一般式(11)で表される化合物は、酸化される事で化学反応式(1)で表される結合形成反応を起こす化合物である。化学反応式(1)中、R32、R33は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。Z3は、C=Cとともに5員又は6員のヘテロ環を形成する基を表す。Z4は、C=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Z5は、C−Cとともに5員又は6員の環状脂肪族炭化水素基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mは、ラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。一般式(11)中、R32、R33、Z3、Z4は、化学反応式(1)中のものと同義である。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素又はリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、ホスホニオ基(トリアルキルホスホニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)ホスホニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)ホスホニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)ホスホニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素又はリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
Figure 0004401244
一般式(X)においてP、Rはそれぞれ独立して増感色素の部分構造ではない窒素又はリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2は、各々独立に連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sは、タイプ(1)又は(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1又は2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
以下にタイプ1、タイプ2で表される化合物の具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
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Figure 0004401244
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Figure 0004401244
本発明における1及びタイプ2の化合物は乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。添加位置として好ましくは、粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時、塗布前である。
本発明におけるタイプ1及びタイプ2の化合物は水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明における1及びタイプ2の化合物は乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9モル以上5×10-2モル以下、更に好ましくは1×10-8モル以上2×10-3モル以下の割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
式(I) A−(W)n−B
式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、−S−基、−Se−基、−Te−基、又は=N−基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としては、ベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでR1は水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0〜約0.7Vの範囲である。
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
本発明における式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明における式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(I)の化合物の分子量は好ましくは100以上10000以下の間であり、より好ましくは120以上1000以下の間であり、特に好ましくは150以上500以下の間である。
以下に本発明における式(I)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
さらに欧州特許1308776A2号明細書P73〜P87に記載の具体的化合物1〜30、1”−1〜1”−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本発明における式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。またハロゲン化銀乳剤層に使用するのが好ましいが、ハロゲン化銀乳剤層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6モル以上1モル以下、好ましくは1×10-5モル以上5×10-1モル以下、さらに好ましくは1×10-4モル以上1×10-1モル以下である。
本発明における式(I)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
(感光性ハロゲン化銀に由来するヘイズを熱現像後に実施的に減少させる化合物)
本発明においては、感光性ハロゲン化銀に由来するヘイズを熱現像前に対して熱現像後に実施的に減少させる化合物を含有するのが好ましい。
本発明においては、感光性ハロゲン化銀に由来するヘイズを熱現像後に実施的に減少させる化合物として、ヨウ化銀錯形成剤を用いるのが特に好ましい。
<ヨウ化銀錯形成剤>
該ヨウ化銀錯形成剤は、化合物中の窒素原子又は硫黄原子の少なくとも一つが配位原子(電子供与体:ルイス塩基)として銀イオンに電子供与するルイス酸塩基反応に寄与することが可能である。錯体の安定性は、逐次安定度定数又は全安定度定数で定義されるが、銀イオン、ヨウ化物イオン、及び該銀錯形成剤の3者の組合せに依存する。一般的な指針として、分子内キレート環形成によるキレート効果や、配位子の酸塩基解離定数の増大などの手段によって、大きな安定度定数を得ることが可能である。
感光性ハロゲン化銀のヘイズは、市販の濁度あるいはヘイズ測定装置により測定することができる。熱現像感光材料に添加された他の化合物に由来する吸収が感光性ハロゲン化銀の吸収と重なる場合には、差スペクトルあるいは溶媒による他の化合物の除去などの手段を単独で用いるか組み合わせることにより、感光性ハロゲン化銀のヘイズを観察できる。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤としては、少なくとも一つの窒素原子を含有する5〜7員の複素環化合物が好ましい。置換基としてメルカプト基、スルフィド基、チオン基を有さない化合物であるとき、該含窒素5−7員複素環は飽和であっても不飽和であってもよく、その他の置換基を有していてもよい。また、複素環上の置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましい5−7員複素環化合物の例としては、ピロール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾイミダゾール、1H−イミダゾール、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドリン、イソインドリンなどを挙げることができる。更に好ましくはピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾイミダゾール、1H−イミダゾール、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン、1,10−フェナントロリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。特に好ましくはピリジン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、1,8−ナフチリジン又は1,10−フェナントロリンなどを挙げることができる。
これらの環は置換基を有していてもよく、該置換基としては写真性に対して悪影響を及ぼさないものであれば、どのような置換基でも良い。好ましい例として、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキル若しくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
これら複素環には他の環が更に縮合していても良い。また、置換基がアニオン基(例えば、−CO2 -、−SO3 -、−S-など)の場合、含窒素複素環は陽イオン(例えば、ピリジニウム、1,2,4−トリアゾリウムなど)となって分子内塩を形成していても良い。
複素環化合物がピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、ナフチリジン又はフェナントロリン誘導体であるとき、該化合物の酸解離平衡における含窒素複素環部分の共役酸のテトラヒドロフラン/水(3/2)混合溶液中25℃での酸解離定数(pKa)は3ないし8であることが更に好ましい。より好ましくは、pKaが4ないし7である。
このような複素環化合物としては、ピリジン、ピリダジン又はフタラジン誘導体であることが好ましく、ピリジン又はフタラジン誘導体であることが特に好ましい。
これらの複素環化合物が置換基としてメルカプト基、スルフィド基、チオン基を有する場合、ピリジン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、チアジアゾール又はオキサジアゾール誘導体であることが好ましく、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール誘導体であることが特に好ましい。
例えば、該ヨウ化銀錯形成剤として、下記一般式(1)若しくは一般式(2)で表される化合物を利用することができる。
Figure 0004401244
一般式(1)において、R11及びR12は水素原子又は置換基を表す。一般式(2)において、R21及びR22は水素原子又は置換基を表す。ただし、R11とR12とがともに水素原子であること、R21とR22とがともに水素原子であることはない。ここでいう置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。
また、下記一般式(3)で表される化合物も好ましく利用できる。
一般式(3)
Figure 0004401244
一般式(3)において、R31−R35は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R31−R35で表される置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。一般式(3)で表される化合物が置換基を有する場合、好ましい置換位置は、R32−R34である。R31−R35は互いに結合して、飽和又は不飽和の環を形成していてもよい。好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、(アルコキシ若しくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基等である。
一般式(3)で表される化合物は、ピリジン環部分の共役酸のテトラヒドロフラン/水(3/2)混合溶液中での25℃での酸解離定数(pKa)が3ないし8であることが好ましく、4ないし7であることが特に好ましい。
さらに一般式(4)で表される化合物も好ましい。
一般式(4)
Figure 0004401244
一般式(4)において、R41−R44は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R41−R44は互いに結合して、飽和又は不飽和の環を形成していてもよい。R41−R44で表される置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。好ましい基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基並びにベンゾ縮環によるフタラジン環の形成が挙げられる。一般式(4)で表される化合物の窒素原子の隣接炭素にヒドロキシル基が置換した場合には、ピリダジノンとの間に平衡が存在する。
一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(5)で表されるフタラジン環を形成していることが更に好ましく、このフタラジン環は更に、少なくとも一つの置換基を有していていることが特に好ましい。一般式(5)におけるR51−R56の例としては、前述の含窒素5員−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。更に好ましい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。
Figure 0004401244
また、下記一般式(6)で表される化合物も好ましい形態である。
Figure 0004401244
一般式(6)において、R61−R63は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R62で表される置換基の例としては、前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。
好ましく用いられる化合物として下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004401244
一般式(7)において、R71−R72は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Lは2価の連結基を表す。nは0又は1を表す。R71−R72で表される置換基としては、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基並びにこれらを含有する複合置換基などが例として挙げられる。Lで表される2価の連結基は、好ましくは1ないし6原子分、さらに好ましくは1ないし3原子分の長さの連結基であり、更に置換基を有していてもよい。
好ましく用いられる化合物のさらに一つは一般式(8)で表される化合物である。
Figure 0004401244
一般式(8)において、R81−R84は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R81−R84で表される置換基としては、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基などが例として挙げられる。
上記ヨウ化銀錯形成剤の中で更に好ましいものは、一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)で表される化合物であり、一般式(3)、(5)で表される化合物が特に好ましい。
以下に、本発明におけるヨウ化銀錯形成剤の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、従来知られている色調剤の機能を果たす場合は、色調剤と共通の化合物であることもできる。本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、色調剤とともに併用して用いることができる。また、2種以上のヨウ化銀錯形成剤を併用しても良い。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、固体状態で膜中に存在させるなど、感光性ハロゲン化銀とは分離した状態で膜中に存在せしめることが好ましい。隣接層に添加することも好ましい。本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、熱現像温度に加熱された時に融解するように化合物の融点を適切な範囲に調製することが好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、本発明におけるヨウ化銀錯形成剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。
尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm以上1000ppm以下の範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は固体分散物として使用することが好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、感光性ハロゲン化銀に対して、1モル%以上5000モル%以下の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以上1000モル%以下の範囲で、更に好ましくは50モル%以上300モル%以下の範囲である。
(有機銀塩)
本発明に用いる非感光性有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。有機銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、これらの混合物などを含む。本発明においては、これら有機銀塩の中でも、ベヘン酸銀含有率50モル%以上100モル%以下の有機酸銀を用いることが好ましい。特にベヘン酸銀含有率は75モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状でもよい。
本発明においてはりん片状の有機銀塩が好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀塩とは、次のようにして定義する。有機銀塩を電子顕微鏡で観察し、有機銀塩粒子の形状を直方体と近似し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。
x=b/a
このようにして200個程度の粒子についてxを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ましくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは15≧x(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)<1.5である。
りん片状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることができる。aの平均は0.01μm以上0.3μm以下が好ましく0.1μm以上0.23μm以下がより好ましい。c/bの平均は好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1以上3以下、特に好ましくは1以上2以下である。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下であることを指す。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差から求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1号、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、特開2001−163827号、特開2001−163889〜90号、同11−203413号、特開2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442号、同2002−31870号、特願2000−214155号、特開2002−6442号等を参考にすることができる。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能である。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
本発明における有機銀塩は、所望の量で使用できるが、銀量として0.1g/m2以上5g/m2以下が好ましく、さらに好ましくは1g/m2以上3g/m2以下である。特に好ましく1.2g/m2以上2.5g/m2以下である。
(造核剤)
本発明の熱現像感光材料は、造核剤を含むのが好ましい。
本発明に係る造核剤とは、初期現像の結果、現像生成物との反応で新たに現像を誘発し得る化合物を生成し得る化合物をいう。従来、印刷製版用途に適した超硬調感光材料に造核剤を用いることは知られていた。超硬調感光材料は、平均階調が10以上であり、一般撮影用感光材料としては不適であり、特に高い診断能が要求される医療用途には不適であった。また、超硬調感光材料は、粒状が荒く、鮮鋭度に欠けるため、医療診断用途には全く適性がなかった。本発明に係る造核剤は、従来の超硬調感光材料における造核剤とは効果において全く異なる。本発明に係る造核剤は、階調を硬くするものではない。本発明に係る造核剤は、非感光性有機銀塩に対して感光性ハロゲン化銀粒子数を極めて少なくしても十分に現像を起こさせることができる化合物である。その機構は、明確ではないが、本発明に係る造核剤を用いて熱現像を行うと、最大濃度部で感光性ハロゲン化銀粒子数よりも現像銀粒子数が多いことが明らかになり、本発明に係る造核剤は、ハロゲン化銀粒子が存在しない箇所に新たな現像点(現像核)を形成する作用を有していると推定される。
造核剤としては、下記一般式〔V〕で表されるヒドラジン誘導体化合物、下記一般式(VI)で表せるビニル化合物、および下記一般式(P)で表される4級オニウム化合物が好ましい。特に、ビニル化合物の中でも、式(A)、式(B)、および一般式(C)で表される環状オレフィン化合物が好ましい。
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一般式〔V〕において、式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、複素環基または−G0−D0基を、B0はブロッキング基を表し、A1、A2はともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基、スルホニル基またはオキザリル基を表す。ここで、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基または−P(O)(G11)−基を表し、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。好ましいD0としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
一般式(V)において、A0で表される脂肪族基は、好ましくは炭素数1〜30のものであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、これらは更に適当な置換基(例えば、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。
一般式(V)において、A0で表される芳香族基は、単環または縮合環のアリール基が好ましく、例えばベンゼン環またはナフタレン環が挙げられ、A0で表される複素環基としては、単環または縮合環で窒素、硫黄、酸素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール環、テトラヒドロフラン環、モルホリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チオフェン環、フラン環が挙げられる。A0の芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基を有していてもよい。A0として、特に好ましいものはアリール基及び−G0−D0基である。
また、一般式(V)において、A0は耐拡散基またはハロゲン化銀吸着基を、少なくとも一つ含むことが好ましい。耐拡散基としては、カプラー等の不動性写真用添加剤にて常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては、写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基等が挙げられ、置換基部分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。
一般式(V)において、ハロゲン化銀吸着促進基としては、チオ尿素、チオウレタン基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基或いは特開昭64−90439号に記載の吸着基等が挙げられる。
一般式(V)において、B0はブロッキング基を表し、好ましくは−G0−D0基であり、G0は−CO−基、−COCO−基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−基、−SO2−基または−P(O)(G11)−基を表す。好ましいG0としては−CO−基、−COCO−基が挙げられ、G1は単なる結合手、−O−基、−S−基または−N(D1)−基を表し、D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場合、それらは同じであっても異なってもよい。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましいD0としては水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。A1、A2はともに水素原子、または一方が水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、トルエンスルホニル基等)、またはオキザリル基(エトキザリル基等)を表す。
一般式(V)で表される化合物の具体例としては、特開平2002−131864号の化学式番号12〜化学式番号18のH−1〜H−35の化合物、化学式番号20〜化学式番号26のH−1−1〜H−4−5の化合物が上げられるが、これらに限定されるものではない。
これら本発明の一般式(V)で表される化合物は、公知の方法により容易に合成することができる。例えば、米国特許第5,464,738号、同5,496,695号を参考にして合成することができる。
その他に好ましく用いることのできるヒドラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−29、米国特許第5,464,738号カラム9〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラジン誘導体は公知の方法で合成することができる。
一般式(VI)について説明する。一般式(VI)において、XとRはシスの形で表示してあるが、XとRがトランスの形も一般式(VI)に含まれる。この事は具体的化合物の構造表示においても同様である。
一般式(VI)において、Xは電子求引性基を表し、Wは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アシル基、チオアシル基、オキサリル基、オキシオキサリル基、チオオキサリル基、オキサモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルファモイル基、オキシスルフィニル基、チオスルフィニル基、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基、N−スルホニルイミノ基、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基を表す。
Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルケニルチオ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニルチオ基、アミノカルボニルチオ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、銀塩等)、アミノ基、アルキルアミノ基、環状アミノ基(例えば、ピロリジノ基)、アシルアミノ基、オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環基(5〜6員の含窒素ヘテロ環、例えばベンツトリアゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等)、ウレイド基、スルホンアミド基を表す。XとW、XとRは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。XとWが形成する環としては、例えばピラゾロン、ピラゾリジノン、シクロペンタンジオン、β−ケトラクトン、β−ケトラクタム等が挙げられる。
一般式(VI)について更に説明すると、Xの表す電子求引性基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
Wとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル等が、アルケニル基としてはビニル、ハロゲン置換ビニル、シアノビニル等が、アルキニル基としてはアセチレニル、シアノアセチレニル等が、アリール基としてはニトロフェニル、シアノフェニル、ペンタフルオロフェニル等が、ヘテロ環基としてはピリジル、ピリミジル、トリアジニル、スクシンイミド、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリル等が挙げられる。Wとしてはσp値が正の電子求引性基が好ましく、更にはその値が0.30以上のものが好ましい。
上記Rの置換基の内、好ましくはヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはヒドロキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩、ヘテロ環基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシル基、ヒドロキシル基またはメルカプト基の有機または無機の塩が挙げられる。
また上記X及びWの置換基の内、置換基中にチオエーテル結合を有するものが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物の具体例としては、特開平2002−131864号の化学式番号27〜化学式番号50の1−1〜92−7が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式(P)において、Qは窒素原子または燐原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々水素原子または置換基を表し、X-はアニオンを表す。尚、R1〜R4は互いに連結して環を形成してもよい。
1〜R4で表される置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基等が挙げられる。
1〜R4が互いに連結して形成しうる環としては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環等が挙げられる。
1〜R4で表される基はヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有してもよい。R1、R2、R3及びR4としては、水素原子及びアルキル基が好ましい。
-が表すアニオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニオンが挙げられる。
一般式(P)の構造として、特開平2002−131864号の段落番号0153〜段落番号0163に記載されている構造がさらに好ましい。
一般式(P)の具体的な化合物は、特開平2002−131864号の化学式番号53〜化学式番号62のP−1〜P−52、T−1〜T−18が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記4級オニウム化合物は公知の方法を参照して合成でき、例えば上記テトラゾリウム化合物はChemical ReVIews、vol.55、p.335〜483に記載の方法を参考にできる。
次に式(A)および(B)で表される化合物について詳しく説明する。式(A)においてZ1は、−Y1−C(=CH−X1)−C(=O)−と共に5員〜7員の環構造を形成しうる非金属原子団を表す。Z1は好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、および水素原子から選ばれる原子団で、これらの中から選ばれる数個の原子が、互いに単結合ないしは2重結合によって連結されて、−Y1−C(=CH−X1)−C(=O)−と共に5員〜7員の環構造を形成する。Z1は置換基を有していてもよく、またZ1自体が、芳香族もしくは非芳香族の炭素環、或いは芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環の一部であってもよく、この場合、Z1が−Y1−C(=CH−X1)−C(=O)−と共に形成する5員〜7員の環構造は、縮環構造を形成することになる。
式(B)においてZ2は、−Y2−C(=CH−X2)−C(Y3)=N−と共に5員〜7員の環構造を形成しうる非金属原子団を表す。Z2は好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、および水素原子から選ばれる原子団で、これらの中から選ばれる数個の原子が、互いに単結合ないしは2重結合によって連結されて、−Y2−C(=CH−X2)−C(Y3)=N−と共に5員〜7員の環構造を形成する。Z2は置換基を有していてもよく、またZ2自体が、芳香族もしくは非芳香族の炭素環、或いは芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環の一部であってもよく、この場合、Z2が−Y2−C(=CH−X2)−C(Y3)=N−と共に形成する5員〜7員の環構造は、縮環構造を形成することになる。
1およびZ2が置換基を有する場合、その置換基の例としては、以下に挙げたものの中から選ばれる。即ち、代表的な置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
次にY3について説明する。式(B)においてY3は水素原子または置換基を表すが、Y3が置換基を表すとき、その置換基としては、具体的に以下の基が挙げられる。即ち、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、(アルキル、アリール、もしくはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(アルキル、アリール、もしくはヘテロ環)チオ基等である。これら置換基は任意の置換基で置換されていてもよく、具体的にはZ1またはZ2が有していてもよい置換基の例が挙げられる。
式(A)および式(B)において、X1およびX2は、各々ヒドロキシ基(もしくはその塩)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、セチルオキシ基、t−ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p−t−ペンチルフェノキシ基、p−t−オクチルフェノキシ基等)、ヘテロ環オキシ基(例えばベンゾトリアゾリル−5−オキシ基、ピリジニル−3−オキシ基等)、メルカプト基(もしくはその塩)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ドデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、p−ドデシルフェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基(例えば1−フェニルテトラゾイル−5−チオ基、2−メチル−1−フェニルトリアゾリル−5−チオ基、メルカプトチアジアゾリルチオ基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(例えばメチルアミノ基、プロピルアミノ基、オクチルアミノ基、ジメチルアミノ基等)、アリールアミノ基(例えばアニリノ基、ナフチルアミノ基、o−メトキシアニリノ基等)、ヘテロ環アミノ基(例えばピリジルアミノ基、ベンゾトリアゾール−5−イルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ドデシルスルホンアミド基等)、またはヘテロ環基を表す。
ここでヘテロ環基とは、芳香族または非芳香族の、飽和もしくは不飽和の、単環もしくは縮合環の、置換もしくは無置換のヘテロ環基で、例えば、N−メチルヒダントイル基、N−フェニルヒダントイル基、スクシンイミド基、フタルイミド基、N,N’−ジメチルウラゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、インダゾリル基、モルホリノ基、4,4−ジメチル−2,5−ジオキソ−オキサゾリル基等が挙げられる。
また、ここで塩とはアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)の塩、銀塩、あるいはまた4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウム塩、ジメチルセチルベンジルアンモニウム塩等)、4級ホスホニウム塩等を表す。式(A)および式(B)において、Y1およびY2は−C(=O)−または−SO2−を表す。
式(A)および式(B)で表される化合物の好ましい範囲については、特開平11−231459号の段落番号0027〜段落番号0043に記載されている。式(A)および式(B)の具体的化合物例は、特開平11−231459号の表1〜表8の1〜110の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に本発明の一般式(C)で表される化合物について詳しく説明する。一般式(C)において、X1は酸素原子、硫黄原子、窒素原子を表す。X1が窒素原子の場合にはX1とZ1の結合は単結合でも2重結合であってもよく、単結合の場合には窒素原子は水素原子あるいは任意の置換基を有していてもよい。この置換基としては例えばアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基等が挙げられる。
1は−C(=O)−、−C(=S)−、−SO−、−SO2−、−C(=NR3)−、−(R4)C=N−で表される基を表す。Z1はX1,Y1を含む5〜7員環を形成しうる非金属原子団を表す。その環を形成する原子団は2〜4個の金属原子以外の原子からなる原子団で、これらの原子は単結合あるいは2重結合で結合されていてもよく、これらは水素原子あるいは任意の置換基(例えばアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アミノ基、アルケニル基)を有していてもよい。Z1がX1、Y1を含む5〜7員環を形成するとき、その環は飽和または不飽和のヘテロ環であり、単環であっても縮合環を有していてもよい。この場合の縮合環は、Y1がC(=NR3)、(R4)C=Nで表される基であるとき、R3またはR4がZ1の有する置換基と結合して形成されるものであってもよい。
一般式(C)においてR1,R2,R3,R4は、それぞれ水素原子または置換基を表す。ただしR1とR2が互いに結合して環状構造を形成することはない。
1,R2が1価の置換基を表す時、1価の置換基としては、以下の基が挙げられる。
例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環(ヘテロ環)基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チオカルバモイル基、水酸基(ヒドロキシ基)またはその塩、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、N−置換の含窒素ヘテロ環基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレイド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基またはその塩、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシルスルファモイル基、スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げられる。これら置換基は、これら1価の置換基でさらに置換されていてもよい。
次にR3、R4が置換基を表す時、置換基としてはハロゲン原子を除いてR1、R2が有していてもよい置換基と同じものが挙げられる。R3、R4はさらにZ1と連結して縮合した環を形成していてもよい。
次に一般式(C)で表される化合物のうち、好ましいものについて説明する。一般式(C)においてZ1は好ましくはX1、Y1とともに5〜7員環を形成し、2〜4個の炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれる原子からなる原子団であり、Z1がX1、Y1とともに形成するヘテロ環は好ましくは総炭素数3〜40の、より好ましくは3〜25の、最も好ましくは3〜20のヘテロ環であり、Z1は好ましくは少なくとも1つの炭素原子を含む。
一般式(C)においてY1として好ましくは−C(=O)−,−C(=S)−,−SO2−,−(R4)C=N−であり、特に好ましくは−C(=O)−,−C(=S)−,−SO2−であり、最も好ましくは−C(=O)−である。
一般式(C)においてR1、R2が1価の置換基を表す場合には、R1、R2で表される1価の置換基として好ましくは、総炭素数0〜25の以下の基、すなわちアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、イミド基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩、または電子求引性の置換基である。ここに電子求引性の置換基とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置換基のことであり、具体的には、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基、イミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(またはその塩)、飽和もしくは不飽和のヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ基、またはこれら電子求引性基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの基は任意の置換基を有していてもよい。
一般式(C)においてR1、R2が1価の置換基を表す場合には、さらに好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ウレイド基、イミド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩等である。一般式(C)においてR1、R2は特に好ましくは、水素原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩等である。一般式(C)において最も好ましくはR1とR2のどちらか一方が水素原子で他方がアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基あるいはその塩、メルカプト基あるいはその塩である。
一般式(C)においてR3が置換基を表す場合には、好ましくは総炭素数1〜25のアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アルケニル基、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホスルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基等が挙げられる。特に好ましくはアルキル基、アリール基である。
一般式(C)においてR4が置換基を表す場合には、好ましくは総炭素数1〜25のアルキル基(アラルキル基、シクロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アリール基、複素環基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホスルファモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基等が用いられる。特に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基等が挙げられる。Y1がC(R4)=Nを表すとき、X1、Y1の置換した炭素原子と結合するのはY1中の炭素原子である。
一般式(C)の具体的な化合物は、特開平11−133546号記載の化学式番号6〜化学式番号18のA−1〜A−230で表されるが、これらの化合物に限定されない。
上記造核剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。
上記造核剤の添加方法は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でαメチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体微粒子分散法としては、造核剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、造核剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
上記造核剤の中で、現像時間が20秒以下という迅速現像で処理される感光材料では、一般式(V)、(P)で表される化合物を使うことが好ましく、特に好ましくは一般式(V)で表される化合物が好ましい。
低カブリが求められる感光材料では一般式(VI)で表される化合物を使うことが好ましく、より好ましくは、(A)、(B)、(C)で表される化合物であり、特に好ましくは、一般式(A),(B)で表される化合物である。また、種々の環境条件(温度、湿度)で使われた場合に環境条件に対する写真性能の変化が少ない感光材料には一般式(C)で表される化合物を使うことが好ましい。
上記造核剤の中で好ましい具体的化合物を下記に挙げるが、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0004401244
本発明の造核剤は、画像形成層または画像形成層に隣接する層に添加できるが、画像形成層に添加するのが好ましい。造核剤の添加量は有機銀塩1モルに対し10-5〜1モル、好ましくは10-4〜5×10-1モルの範囲である。造核剤は1種類のみを添加しても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の熱現像感光材料においては、感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層は2層以上あってもよく、2層以上ある場合は、造核剤をいずれの画像形成層に含んでも良い。好ましくは、造核剤を含む画像形成層と造核剤を含まない画像形成層の少なくとも2層の画像形成層を有することが好ましい。
(還元剤)
1)伝染現像性還元剤
本発明における熱現像感光材料は、伝染現像性還元剤を含有するのが好ましい。伝染現像性還元剤としては、伝染現像の機能を有するものであればいかなる還元剤でも良い。
本発明に用いることの出来る好ましい伝染現像性還元剤は、下記の一般式(R1)で表される化合物である。
一般式(R1)
Figure 0004401244
前記一般式(R1)において、R11及びR11'は、各々独立に、炭素数3〜20の2級または3級アルキル基を表す。R12及びR12'は、各々独立に水素原子、または窒素、酸素、リン、硫黄原子を介して連結する基を表す。R13は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
前記一般式(R1)について詳細に説明する。前記R11及びR11'としては、炭素数3〜12の2級または3級アルキル基が好ましい。具体的には、イソプロピル、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1,−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1−ジメチルデシル基、1−メチルシクロヘキシル基、tert−オクチル基、1−メチルシクロプロピル基等が好ましく、tert−ブチル基、tert−アミル基、tert−オクチル基、1−メチルシクロヘキシル基がより好ましく、tert−ブチル基が最も好ましい。
前記R12及びR12'がアリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ環基、ヘテロ環チオ基である場合、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、ベンゼン環、ヘテロ環に置換可能な基なら何でもよいが、アルキル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基、スルホキシド基、ウレイド基、又はウレタン基等が挙げられる。前記R12及びR12'がアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アシルアミノ機、ウレイド基、ウレタン基である場合には、これらの基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニル基、カルボニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルアミノ基等が挙げられる。前記R12及びR12'としては、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アニリノ基がより好ましく、さらに水素原子、メトキシ基、又はベンジルオキシ基が最も好ましい。
前記R13としては、水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。前記R13として特に好ましいのは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基である。
以下に、本発明の一般式(R1)で表される還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
前記一般式(R1)で表される還元剤の添加量は、0.01g/m2〜5.0g/m2であることが好ましく、0.1g/m2〜3.0g/m2であることがより好ましい。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては、5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、10モル%〜40モル%で含まれることがより好ましい。
前記一般式(R1)で表される還元剤は、画像形成層に含有させることが好ましい。
特に、前記一般式(R1)で表される還元剤は、感度の低いハロゲン化銀乳剤を含有する画像形成層に含有させることが好ましい。
2)還元剤
本発明では、一般式(R1)で表される還元剤とともに、他の還元剤を併用しても良い。併用し得る還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元できる任意の物質(好ましくは有機物)が可能である。該還元剤の例は、特開平11―65021号、段落番号0043〜0045や、欧州特許0803764号、p.7、34行〜p.18、12行に記載されている。
本発明で併用し得る好ましい還元剤は、フェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤、あるいはビスフェノール系還元剤であり、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
Figure 0004401244
(一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)
一般式(R)について詳細に説明する。
以下でアルキル基と称するとき、特に明記していない場合はシクロアルキル基もこれに含まれる。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり。アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等があげられる。
2)R12およびR12’、X1およびX1
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基などがあげられる。アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数1〜15の1級、2級または3級のアルキル基であり、具体的にはメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数1〜4のアルキル基で、その中でもメチル基、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、メチル基、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、該アルキル基としては鎖状のアルキル基の他、環状のアルキル基も好ましく用いられる。また、これらのアルキル基の中にC=C結合を有しているものも好ましく用いることができる。アルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、シクロヘキシル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基の場合、R13は炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等)が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でR12、R12’がメチル基以外のアルキル基の場合、R13は水素原子が好ましい。
11、R11’が3級のアルキル基でない場合、R13は水素原子または2級のアルキル基であることが好ましく、2級のアルキル基であることが特に好ましい。R13の2級アルキル基として好ましい基はイソプロピル基、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基である。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調製することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号、EP1278101A2号に記載された化合物である。
これらの還元剤は、好ましくは高感度のハロゲン化銀乳剤を含有する画像形成層に含有させるのが好ましい。
複数の還元剤を併用する場合は、併用する比率はモル数で1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5である。
3)還元剤の添加方法
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルセバケートあるいはトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやオレオイル−N−メチルタウリン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤を添加して機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。このとき、油滴の粘度や屈折率の調整の目的でαメチルスチレンオリゴマーやポリ(t−ブチルアクリルアミド)等のポリマーを添加することも好ましい。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作製する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(フタル酸、およびその誘導体)
本発明においてはヨウ化銀錯形成剤とともに、フタル酸、およびその誘導体より選ばれる化合物を含有するのが好ましい。本発明に用いられるフタル酸、およびその誘導体としては、下記の一般式(PH)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004401244
式中、Tはハロゲン原子(フッ素、臭素、ヨウド)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基を表し、kは0〜4の整数を表す。kが2以上の時、複数のkは互いに同一であっても異なっても良い。kは0〜2が好ましく、0,1がより好ましい。
一般式(PH)の化合物は、酸のままで用いても良いし、あるいは塗布液への添加の容易性、pHの調整の点から適当な塩にして用いても良い。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩などを用いることができる。好ましいのは、アルカリ金属塩(Li,Na,Kなど)、アンモニウム塩である。
以下に、本発明に用いられるフタル酸、およびその誘導体の具体例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0004401244
本発明においては、フタル酸、およびその誘導体は塗布される銀1モル当たり、1.0×10-4モル〜1モル、好ましくは1.0×10-3モル〜0.5モル、より好ましくは2.0×10-3モル〜0.2モルである。
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号や特開2000−330234号等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開2001−92075号記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号や特開平11−15116号等に記載の一般式(I)、特開2002−278017号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1モル%〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5モル%〜10モル%の範囲で、より好ましくは1モル%〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−278017号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
(水素結合性化合物の説明)
本発明では、還元剤の芳香族性の水酸基(−OH)、あるいはアミノ基を有する場合はアミノ基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水素結合を形成しうる基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
Figure 0004401244
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
水素結合性化合物の具体例は上述の他に特開2001−281793号、同2002−14438号に記載のものがあげられる。
本発明の水素結合性化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができる。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基を有する化合物と水素結合による錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(A)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の水素結合性化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の水素結合性化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは30〜100モル%の範囲である。
(バインダーの説明)
本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーであってもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本発明では、有機銀塩を含有する層のバインダーのガラス転移温度は10℃以上80℃以下であることが好ましく、20℃〜70℃であることがより好ましく、23℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算される。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラスの転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーとなるポリマーは単独種で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その質量平均Tgが上記の範囲に入ることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。
最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。
水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの質量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの質量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明のバインダーは水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散粒子の平均粒径は1nm〜50000nm、より好ましくは5nm〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
P−17;−St(61.3)−イソプレン(35.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg17℃)
P−18;−St(67)−イソプレン(28)−Bu(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg27℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸、2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレン、IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体もしくはスチレン−イソプレン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との質量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60質量%〜99質量%であることが好ましい。
また、本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸又はメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1質量%〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜5質量%含有する。
本発明におけるポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。好ましいモノマー含量の範囲は前記と同様である。また、スチレン−イソプレン共重合体における共重合体比などはスチレン−ブタジエン共重合体の場合と同じである。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−9,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。また、スチレン−イソプレン共重合体の例としては前記のP−17,18が挙げられる。
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。
これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスをバインダーに用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の質量比が1/10〜10/1、更には1/5〜4/1の範囲が好ましい。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(画像形成層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の質量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲が好ましい。
本発明の画像形成層の全バインダー量は0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
本発明において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。溶媒の水含有率は50質量%以上がより好ましく、さらに好ましくは70質量%以上が良い。
好ましい溶媒組成の具体例を挙げると、水100の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤の説明)
1)有機ポリハロゲン化合物
本発明はカブリ防止剤として下記一般式(H)で表される化合物を含有するのが好ましい。
一般式(H) Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216 等を参考にすることができる。
このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。
σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。
電子求引性基として好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールカルボニル基、およびアリールスルホニル基であり、特に好ましくはカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基であり、カルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。
ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−であり、特に好ましくは−SO2−である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モル当たり、10-4モル〜0.8モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3モル〜0.1モルの範囲で、さらに好ましくは5×10-3モル〜0.05モルの範囲で使用することが好ましい。
特に、本発明のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀を用いた場合、十分なかぶり防止効果を得るためにはこの一般式(H)の化合物の添加量は重要であり、5×10-3モル〜0.03モルの範囲で使用することが最も好ましい。
本発明において、一般式(H)で表される化合物を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられる。
一般式(H)で表される化合物の融点は200℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは170℃以下がよい。
本発明に用いられるその他の有機ポリハロゲン化物として、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のカブリ防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。
アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。
本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行、特開2001−100358号等に記載されている。中でもメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許0803764A1号のp.21,23行〜48行、特開2000−356317号や特願2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロー1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)の組み合わせ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフタラジン、6−クロロフタラジン、5.7−ジメトキシフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジン)が好ましく、特に、ヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀との組み合わせにおいては、フタラジン類とフタル酸類の組み合わせが好ましい。
好ましいフタラジン類の添加量としては、有機銀塩1モル当たり0.01モル〜0.3モルであり、さらに好ましくは0.02〜0.2モル、特に好ましくは0.02〜0.1モルである。この添加量は、本発明のヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀乳剤で課題である現像促進にとって重要な要因であり、適正な添加量の選択によって十分な現像性と低いかぶりの両立が可能となる。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
4)染料、顔料
本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
5)造核促進剤
本発明の造核剤とともに造核促進剤を用いることが出来る。造核促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
造核促進剤としては、五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
2.層構成、その他の構成成分
本発明の熱現像感光材料は、支持体の片面にのみ画像形成層を有する「片面型」であっても、両面に画像形成層を有する「両面型」であっても良い。
(両面型熱現像感光材料)
本発明の熱現像感光材料は、X線増感スクリーンを用いてX線画像を記録する画像形成方法に好ましく用いることができる。
該画像形成方法は、X線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値幅が15±5nmである単色光で露光し、熱現像処理した後、露光面とは逆側の画像形成層を除去して得られる画像の濃度が最低濃度に0.5を加えた濃度となるのに必要な露光量が、1×10-6ワット・秒/m2以上1×10-3ワット・秒/m2以下、好ましくは6×10-6ワット・秒/m2以上6×10-4ワット・秒/m2以下である熱現像感光材料を用いることが好ましい。
これらの熱現像感光材料を用いて画像形成する工程は以下の工程よりなる。
(a)該熱現像感光材料を1対のX線増感スクリーンの間に設置することにより像形成用組立体を得る工程、
(b)該組立体とX線源との間に被検体を配置する工程、
(c)該被検体にエネルギーレベルが25kVp〜125kVpの範囲にあるX線を照射する工程、
(d)該熱現像感光材料を該組立体から取り出す工程、
(e)取り出した該熱現像感光材料を90℃〜180℃の範囲の温度で加熱する工程。
本発明における組立体において使用する熱現像感光材料は、X線によって階段露光し、熱現像して得られる画像が、光学濃度(D)及び露光量(logE)の座標軸単位長の等しい直交座標上の特性曲線において、最小濃度(Dmin)+濃度0.1の点と最小濃度(Dmin)+濃度0.5の点とで作る平均ガンマ(γ)が0.5〜0.9であり、そして最小濃度(Dmin)+濃度1.2の点と最小濃度(Dmin)+濃度1.6の点とで作る平均ガンマ(γ)が3.2〜4.0である特性曲線を有するように調製されていることが好ましい。本発明のX線撮影系において、このような特性曲線を有する熱現像感光材料を用いると、脚部が非常に延びていて、かつ中濃度部ではガンマの高いといった優れた写真特性のX線画像が得られる。この写真特性により、X線透過量の少ない縦隔部、心陰影等の低濃度域の描写性が良好になり、かつX線透過量の多い肺野部の画像においても視覚し易い濃度となり、またコントラストも良好になるとの利点がある。
上記のような好ましい特性曲線を有する熱現像感光材料は、たとえば、両側の画像形成層のそれぞれを、互いに異なった感度を持つ二層以上のハロゲン化銀乳剤層から構成するような方法で容易に製造することができる。特に、上層には高感度の乳剤を用い、下層には低感度で硬調な写真特性を有する乳剤を用いて、画像形成層を形成することが好ましい。このような二層からなる画像形成層を用いる場合における各層間のハロゲン化銀乳剤の感度差は1.5倍以上20倍以下、好ましくは2倍以上15倍以下である。なお、それぞれの層の形成に用いられる乳剤の量の比率は、用いられる乳剤の感度差およびカバリングパワーにより異なる。一般には、感度差が大きい程、高感度側の乳剤の使用比率を下げる。たとえば、感度差が2倍であるときの好ましい各乳剤の使用比率は、カバリングパワーがほぼ等しい場合には、銀量換算で、高感度乳剤対低感度乳剤として1:20以上1:50以下の範囲の値となるように調整される。
本発明の熱現像感光材料の製造に利用される乳剤増感法や各種添加剤、構成材料等に関しては特に制限はなく、たとえば、特開平2−68539号公報、特開平2−103037号公報、および特開平2−115837号公報に記載の各種の技術を利用することができる。
クロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平2−68539号公報、第13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目に記載の染料もしくは染料と媒染剤を用いることができる。
次に、本発明の蛍光増感紙(放射線増感スクリーン)について説明する。放射線増感スクリーンは、基本構造として、支持体と、その片面に形成された蛍光体層とからなる。蛍光体層は、蛍光体が結合剤(バインダ)中に分散されてなる層である。なお、この蛍光体層の支持体とは反対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
本発明において、好ましい蛍光体としては、以下に示すものが挙げられる。
タングステン酸塩系蛍光体(CaWO4、MgWO4、CaWO4:Pb等)、テルビウム賦活希土類酸硫化物系蛍光体〔Y22S:Tb、Gd22S:Tb、La22S:Tb、(Y,Gd)22S:Tb、(Y,Gd)O2S:Tb,Tm等〕、テルビウム賦活希土類燐酸塩系蛍光体(YPO4:Tb、GdPO4:Tb、LaPO4:Tb等)、テルビウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tb、LaOBr:Tb,Tm、LaOCl:Tb、LaOCl:Tb,Tm、LaOBr:Tb、GdOBr:Tb、GdOCl:Tb等)、ツリウム賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体(LaOBr:Tm、LaOCl:Tm等)、硫酸バリウム系蛍光体〔BaSO4:Pb、BaSO4:Eu2+、(Ba,Sr)SO4:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属燐酸塩系蛍光体〔(Ba2PO42:Eu2+、(Ba2PO42:Eu2+等〕、2価のユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体〔BaFCl:Eu2+、BaFBr:Eu2+、BaFCl:Eu2+,Tb、BaFBr:Eu2+,Tb、BaF2・BaCl・KCl:Eu2+、(Ba,Mg)F2・BaCl・KCl:Eu2+等〕、沃化物系蛍光体(CsI:Na、CsI:Tl、NaI、KI:Tl等)、硫化物系蛍光体〔ZnS:Ag(Zn,Cd)S:Ag、(Zn,Cd)S:Cu、(Zn,Cd)S:Cu,Al等〕、燐酸ハフニウム系蛍光体(HfP27:Cu等)、YTaO4及びそれに発光中心として各種付活剤を加えたもの。但し本発明に用いられる蛍光体はこれらに限定されるものではなく、放射線の照射によって可視又は近紫外領域の発光を示す蛍光体であれば使用できる。
本発明で用いる蛍光増感紙は、傾斜粒径構造で蛍光体を充填することが好ましい。特に表面保護層側に大粒径の蛍光体粒子を塗布し、支持体側に小粒径の蛍光体粒子を塗布することが好ましく、小粒径のものは0.5〜2.0μmで、大粒径のものは10〜30μmの範囲が好ましい。
(片面型熱現像感光材料)
本発明における片面型熱現像感光材料は、特に乳房撮影用X線感光材料として用いるのが好ましい。本目的に用いられる片面型熱現像感光材料は、得られる画像のコントラストを適切な範囲に設計することが重要である。
本発明における熱現像感光材料の特性曲線を求める方法について説明する。乳房撮影においては、通常低圧X線を発するMoターゲット管で露光するが、実質的にGd22S:Tbからなる蛍光体を用いた増感スクリーンを用いる場合に限り、タングステン・ターゲット管から生じたX線を線源にして距離法によりX線露光量を変化させる方法で特性曲線を求めても実質的に変わらない。
具体的に本発明の測定には、三相の電力供給で50KVpで運転されるタングステン・ターゲット管から生じたX線を、厚み3mmのアルミニウム板を透過させたものを用いた。市販のUM−Fineスクリーンと測定する感材を密着させ、富士写真フィルム(株)製ECMAカセッテに装填した。X線管球から順番に、カセッテ天板、フィルム、スクリーンとなるように配置してX線照射を行った。距離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステップ露光した。
露光後のフィルムは、定められた条件で熱現像される。その後濃度を測定し、照射線露光量の対数を横軸にし、縦軸に光学濃度をとり特性曲線を得る。コントラストは、カブリ+0.25とカブリ+2.0の濃度点を結ぶ直線の傾き(横軸とのなす角をθとして、tanθ)から求められる。乳房撮影用熱現像感光材料のコントラストは、好ましくは3.0〜5.0である。
次に、感光材料の感度の測定法について説明する。光源としては、用いられるX線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長の単色光が用いられる。このような必要な単色光を得る方法としては干渉フィルターを組合せたフィルター系を用いる方法が利用できる。この方法によれば、干渉フィルターの組合せにも依存するが、通常、必要な露光量を持ち、かつ半値幅が15±5nmの単色光を容易に得ることができる。
予め更正された照度計にて正しく照度が測定されているこの単色光を光源として、ニュートラルフィルターのステップウェッジを通して1秒間、1m離れた感光材料を露光する。熱現像処理後、濃度を測定し、カブリ+濃度0.5が得られる露光量を求めることで感光材料の感度がもとまり、ルクス秒で現すことができる。
本発明における乳房撮影用熱現像感光材料の感度は、1×10-6ワット・秒/m2以上1×10-3ワット・秒/m2以下、好ましくは6×10-6ワット・秒/m2以上6×10-4ワット・秒/m2以下である。
以下に本発明で用いられる乳房撮影用増感スクリーンに関して、詳しく説明する。本発明の目的である乳房撮影用写真組体のX線増感スクリーンは、胸部診断用などと比べて高解像度を必要とされる。よって一般に市販されている乳房撮影用のX線増感スクリーンはその蛍光体層を着色することによってその解像度を上げている。しかしながらこのような着色はX線入射面に対し奥の蛍光体により吸収されたX線による発光光を有効に取り出すことができない。本発明のX線増感スクリーンは実質的に蛍光体層を着色することなく、さらに十分にX線を吸収できるだけの蛍光体を塗布したうえで、必要な高鮮鋭度を得るスクリーンを提供することが必要である。
このようなスクリーンの目標を達成するためにはその蛍光体の粒子サイズが一定サイズ以下であることが好ましい。蛍光体のサイズの測定法方はコールターカウンター法、電子顕微鏡による観察などにより測定することができる。その蛍光体サイズの球相当直径平均は1μm以上5μm以下であることが好ましい。より好ましくは1μm以上4μm以下である。従来のような蛍光体層を染色する乳房撮影用スクリーンにおいてはこれは重要ではないが、本発明においては重要である。
またこのようなスクリーンにおいて鮮鋭度を上げるためには蛍光体層のバインダーと蛍光体の質量比において、よりバインダーが少ない方が好ましい。バインダー/蛍光体の質量比は1/50以上1/20以下であることが好ましく、さらには1/50以上1/25以下であることが好ましい。
バインダーとしては特開平6−75097号公報の第4頁右欄45行目から同5頁左欄10行目に記載の公知の物を使用することが出来るが、軟化温度または融点が30℃〜150℃の熱可塑性エストラマーを単独、あるいは他のバインダーポリマーと共に用いることが好ましい。特に本発明のように鮮鋭度をあげるためにバインダーの少ないスクリーンでは、そのスクリーンの耐久性は悪化するので、これに耐えうるバインダーを選択することは重要である。この解決策としては、十分に柔軟性のあるバインダーを選択することが好ましい。また蛍光体層内に可塑剤等を添加することも好ましく用いられる。熱可塑性エラストマーの例としては、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレンーブタジエンゴム、シリコンゴムなどを挙げることができる。これらのうち、特にポリウレタンが好ましい。また蛍光体層の下塗りのバインダーの選択も重要である。アクリル系バインダーが好ましく用いられる。
またスクリーンは耐傷性・耐汚染性の許す範囲で、その表面保護層が薄いことも好ましい。その表面保護層の厚みは2μm以上7μm以下であることが好ましい。
表面保護層の素材はPET(特に延伸タイプ)、PEN、ナイロン等のフィルムを張り合わせることが出来る。またフッ素系樹脂を溶剤に溶かして塗布することによって表面保護膜を形成することも汚れ防止の観点から好ましく用いられる。好ましいフッ素樹脂の態様については、特開平6−75097号公報の第6頁左欄4行目から同右欄43行目に詳しい。またこの様に溶剤塗布型で表面保護層を形成できる樹脂としては、フッ素樹脂の他にポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
また蛍光体の充填率が十分に高いことも、高感度でかつ高鮮鋭度のスクリーンを得るためには重要である。具体的には蛍光体の体積充填率が60%以上80%以下であることが好ましい。さらに好ましくは65%以上80%以下である。ここで本発明のような微粒子の蛍光体で体積充填率を高く保つためには特開平6−75097号公報の第4頁右欄29行目から同第6頁左欄1行目に記載の蛍光体層を圧縮処理する工程が好ましく用いられる。
また、本発明に使用される蛍光体は実質的にGd22S:Tbであることが好ましい。ここで、実質的にとは、蛍光体の主成分がGd22S:Tbであるという意味であり、その性能を向上させるための数%程度の添加物や、表面を修飾するためのシリカ等は好ましく用いることができる。またGdに代わりに数十%程度以内の割合でY、La、Luを混用することも可能である。
一般に蛍光体はその密度が重いことがX線を有効に吸収するため好ましい。乳房撮影用に用いられる線源において好ましいX線吸収能をしめすこの様な蛍光体としては、Gd22S:Tbの他に、YTaO4及びそれに発光中心として各種付活剤を加えたもの、CaWO4、BaFBr:Eu等が挙げられる。
(紫外蛍光スクリーンとの組合せ)
本発明の熱現像感光材料を用いた画像形成方法としては、好ましくは400nm以下に主ピークを持つ蛍光体との組み合わせで画像形成する方法を用いることができる。さらに好ましくは380nm以下に主ピークを持つ蛍光体と組み合わせて画像形成する方法が良い。両面感材、片面感材のいずれでも組立て体として用いることができる。400nm以下に主発光ピークであるスクリーンは特開平6−11804号、WO93/01521号に記載のスクリーンなどが使われるがこれに限られるものではない。紫外線のクロスオーバーカット(両面感光材料)とアンチハレーション(片面感光材料)の技術としては、特開平8−76307号公報に記載の技術を用いることができる。紫外線吸収染料としては、特開2001−144030号に記載の染料は特に好ましい。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2001−348546号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。
PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。
保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜4.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜5.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して露光光源から遠い側に設けることができる。アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m2〜1g/m2程度である。
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300nm〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開2001−100363号などに記載されている。このような着色剤は、通常、0.1g/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を表面保護層、およびバック層に添加することが好ましい。マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。
マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m2〜400mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜300mg/m2である。
また、乳剤面のマット度は、画像部に小さな白抜けが生じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
本発明の表面保護層やバック層にポリマーラテックスを添加することができる。
このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。
ポリマーラテックスは、表面保護層、あるいはバック層の全バインダー(水溶性ポリマーおよびラテックスポリマーを含む)の10質量%〜90質量%用いるのが好ましく、特に20質量%〜80質量%が好ましい。
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。
膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開平2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。
硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co.,Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132に記載されている。
本発明ではフッ素系界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の好ましい具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載されている化合物が挙げられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明においては、特願2000−206560号記載のフッ素系界面活性剤の使用が特に好ましい。
9)帯電防止剤
また、本発明では、公知の種々の金属酸化物あるいは導電性ポリマーなどを含む帯電防止層を有しても良い。帯電防止層は前述の下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねても良く、また別途設けてもよい。帯電防止層については、特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載の技術を適用することができる。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130℃〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
紫外発光スクリーンと組合せて用いられる熱現感光材料の支持体としては、PENを好ましく用いることができる。ただしこれに限定されるものではない。PENとしてはポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。本発明にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、その繰返し構造単位が実質的にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位から構成されるものであればよく、共重合されないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのみならず繰返し構造単位の数の10%以下、好ましくは5%以下が他の成分で変性されたような共重合体、及び他のポリマーとの混合物、組成物を含むものである。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートはナフタリン−2,6−ジカルボン酸、またはその機能的誘導体、およびエチレングリコールまたはその機能的誘導体とを触媒の存在下で適当な反応条件の下に結合せしめることによって合成されるが、本発明にいうポリエチレン−2,6−ナフタレートには、このポリエチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種又は2種以上の第三成分(変性剤)を添加し共重合または混合ポリエステルとしたものであってもよい。適当な第三成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、コハク酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、またはその低級アルキルエステル、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、またはその低級アルキルエステル、あるいはプロピレングリコール、トリメチレングリコールの如き2価アルコール類等の化合物があげられる。ポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはその変性重合体は、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。」
医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。
具体的な支持体の例は、特開平11−65021同号段落番号0134に記載されている。
支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。特開平11−65021号段落番号0133の記載の溶剤を添加しても良い。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを 含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F.Kistler、Petert M.Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)、399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。
スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。
また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好まく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
13)包装材料
本発明の熱現像感光材料は、使用される前の保存時に写真性能の変質を防ぐため、あるいはロール状態の製品形態の場合にはカールしたり巻き癖が付くのを防ぐために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で密閉包装するのが好ましい。酸素透過率は、25℃で50ml/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1.0ml/atm/m2・day以下である。水分透過率は、10g/atm/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm/m2・day以下であり、さらに好ましくは1g/atm/m2・day以下である。酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、例えば特開平8−254793号、特開2000−206653号に記載されているものを利用することができる。
14)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特願2000−187298号、特開2001−200414号、同2001−234635号、同2002−20699号、同2001−275471号、同2001−275461号、同2000−313204号、同2001−292844号、同2000−324888号、同2001−293864号、同2001−348546号も挙げられる。
3.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、熱現像感光材料を露光後、加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、熱現像温度で熱現像する直前に、40℃以上105℃以下の温度で0.1秒以上90秒以下の時間加熱すること(本願ではプレヒートと略称することもある。)を特徴とする。好ましくは、プレヒートの温度は60℃以上100℃以下であり、時間は好ましくは1秒〜40秒である。
3−1.熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては105℃を超える温度であり、さらに好ましくは110℃〜130℃である。
現像時間としては1秒〜60秒が好ましく、3秒〜40秒がさらに好ましく、5秒〜30秒が特に好ましい。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1℃〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特開2002−289804号および同2002−287668号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。このような迅速現像処理では、前述の種々の問題があり、本発明の熱現像感光材料を組み合わせて使用することが特に好ましい。
3−2.熱現像装置
以下、本発明に係る熱現像方法及び熱現像装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を表す構成図、図2は本発明に係る熱現像感光材料の断面図、図3は第1加熱手段及び第2加熱手段によって交互に加熱される熱現像感光材料表裏面の温度と時間との相関を表した説明図、図4は制御手段のブロック図である。
本実施形態による熱現像装置100は、熱現像感光材料Aを加熱し、画像形成層に記録された潜像を顕像化する。熱現像装置100に用いられる熱現像感光材料Aは、図2に示す支持体31の一方の面である第1面33aと、他方の面である第2面33bとの双方に、画像形成層35、35が設けられる。
熱現像装置100では、例えば熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとの双方に、図示しない蛍光増感紙が配置される直接撮影用としての熱現像感光材料Aが使用可能となる。蛍光増感紙はX線が当たると励起して蛍光を発するものである。第1面33aと第2面33 bとに設けられたそれぞれの画像形成層35、35は、蛍光増感紙からの蛍光によって、少ないX線量で感光する。
画像形成層35に潜像の形成された熱現像感光材料Aは、通常、一枚ずつカセッテ37に収容されており、このカセッテ37ごと熱現像装置100に供給される。熱現像装置100に供給されたカセッテ37は、開閉蓋39が開かれ、吸盤41等を用いた取出手段によって、収容された熱現像感光材料Aが取り出される。
なお、熱現像装置100は、潜像の形成された複数枚の熱現像感光材料Aをまとめて収容する図示しないマガジンが装着される構造であってもよい。この場合は、潜像の形成されたそれぞれの熱現像感光材料Aは、暗室等によりカセッテ37から取出されてマガジンに積層して収容される。マガジンに積層収納された熱現像感光材料Aは、1枚ずつ吸盤41によって取出される。また、吸盤41に代えて、ピックアップローラとしてもよい。
このようにして取出された熱現像感光材料Aは、搬送ローラ対43によってプレヒート部および熱現像部へと搬送される。プレヒート部44を経た後、熱現像感光材料Aは搬送ガイド45で案内されて熱現像部47へ移送される。なお、搬送ローラ対43と熱現像部47との間には、取り出した熱現像感光材料Aを、搬送方向と直交する方向に位置合わせして、下流の熱現像部47における熱現像感光材料Aの位置合わせをする幅寄せ部を設けても良い。
熱現像部47には、熱現像感光材料Aの第1面33aを加熱する第1加熱手段49aと、熱現像感光材料Aの第2面33bを加熱する第2加熱手段49bとが、熱現像感光材料Aの搬送路Cを挟んで交互に配設されている。本実施形態において、第1加熱手段49a、第2加熱手段49bは、プレート51と、このプレート51に熱現像感光材料Aを押し当てて回転する押さえローラ53とから構成される。加熱源となるヒータは、プレート51又は押さえローラ53の少なくともいずれか一方に内蔵されていればよい。
本実施形態では、加熱源となるヒータがプレート51に内蔵されている。従って、第1加熱手段49aでは熱現像感光材料Aの第1面33aに対面してプレート51が配設され、第2加熱手段49bでは熱現像感光材料Aの第2面33bに対面してプレート51が配設されている。これにより、熱現像感光材料Aの第1面33aと、第2面33bとが交互に加熱されるようになっている。なお、本明細書でいう交互加熱とは、最初に第1面33aを加熱した後、次に第2面33bを加熱して、加熱を終了する場合、即ち、表裏を一回ずつのみ順次に加熱する場合も含むものとする。
プレート51は、円弧状の湾曲形状を有し、内面側に押さえローラ53が配置される。熱現像感光材料Aは、プレート51と押さえローラ53との間隙で形成される搬送路Cに搬入され、押さえローラ53によってプレート51に押さえ付けられつつ、プレート51と摺接した状態で搬送され、プレート51の熱によって熱現像される。
プレート51の熱源には特に限定はなく、ニクロム線等の発熱体を用いたものや、ハロゲンランプ等の光源を用いたもの、熱風による加熱を行うもの等、公知の加熱手段を用いたものでよい。
押さえローラ53としては、金属ローラ、耐熱性樹脂ローラ、耐熱性ゴムローラ等が利用可能であり、プレート51の全域に渡って、複数配置されるのが好ましい。
この熱現像部47では、第1加熱手段49aにおいて、熱現像感光材料Aの第2面33bが押さえローラ53に押圧されて、第1面33aがプレート51に押し当てられた後、熱現像感光材料Aが第2加熱手段49bへ移送されると、次は第1面33aが押さえローラ53に押圧されて、第2面33bがプレート51に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2 面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止され、且つ両面が均一に加熱可能となる。また、この構成では、押さえローラ53のみが回転するので、可動部品を少なくし、構造の簡素化が可能となる。
ところで、熱現像部47は、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとから印加される画像形成層35に対する現像反応温度以上の各総加熱量が、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように設定されている。
また、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの双方が熱現像感光材料Aのガラス転移温度以上に設定され、且つ熱現像感光材料Aの搬送方向上流側の加熱手段(第2加熱手段49a)が搬送方向下流側の加熱手段(第1加熱手段49b)より低温に設定されている。
上記の総加熱量は、現像反応温度以上の温度と該現像反応温度に達した後の経過時間との積分値として定めることができる。即ち、図3に示すグラフにおいて、第1面33aの総加熱量は、現像反応温度Tを表す線分T0と、第1面33aの温度変化を表す曲線K1
とに挟まれる面積S1として得られる。また、第2面33bの総加熱量は、現像反応温度
Tを表す線分T0と、第2面33bの温度変化を表す曲線K2とに挟まれる面積S2として得られる。このように、第1面33a、第2面33bのそれぞれに印加される総加熱量(S1、S2)が温度及び時間の積分値で定められることで、総加熱量が第1加熱手段49a及び第2加熱手段49bにおける温度と時間との具体的なパラメータで制御可能となり、熱現像感光材料Aの両面における総加熱量の均等化が容易となる。
なお、総加熱量は、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの加熱温度、及び第1加熱手段49a、第2加熱手段49bと熱現像感光材料Aとの接触長さL1、L2をパラメータとし、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように設定されてもよい。これによっても、総加熱量が温度と、接触長さL1、L2との具体的なパラメータで制御可能となり、熱現像感光材料Aの両面における総加熱量の均等化が容易となる。
また、熱現像感光材料Aは、上記の構成により、加熱対象面が第1面33aであるときにガラス転移温度以上となり、加熱対象面が第1面33aから第2面33bに移行した際もガラス転移温度以上となっており、熱現像感光材料Aが軟化状態に維持される。これにより、熱現像感光材料Aの押さえローラ53による押さえ付け等による皺の発生が防止される。また、第1加熱手段49aの加熱温度が、第1加熱手段49bの加熱温度より低く設定されることで、加熱初期の第1面33aへの加熱が急激な温度上昇となることを防止できる。これにより、熱現像感光材料Aの急激な熱膨張による皺の発生も防止される。
また、熱現像部47では、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの隙間δが100mm以下に設定されている。従って、第1加熱手段49aによって第1面33aの加熱された熱現像感光材料Aが、第2面33bの加熱のために第2加熱手段49bへ移送される際、その隙間δが100mm以下となることで、第1加熱手段49aによって加熱された熱現像感光材料Aの温度低下が極力防止される。これにより、熱現像感光材料Aは、加熱対象である面が表裏入れ替わっても図3に示すように所定温度以上に保持され、現像反応が遅れることなく連続的に促進される。
そして、熱現像部47で現像の完了した熱現像感光材料Aは、図1に示す搬送方向下流に配設された徐冷部61に供給される。徐冷部61は、複数の冷却ローラ対63からなり、加熱現像された熱現像感光材料Aを徐々に冷却する機能を有する。そして、徐冷部61で徐冷された熱現像感光材料Aは、排出ローラ対65及び67によって搬送方向下流に移送され、トレイ69 に排出される。
また、熱現像装置100は、第1加熱手段49a、第2加熱手段49b、熱現像感光材料Aの搬送速度を制御するための制御部71を備える。制御部71は、図4に示すように、第1温度設定部73を介して第1加熱手段49aを制御し、第2温度設定部75を介して第2加熱手段49bを制御する。また、搬送速度設定部77を介して搬送モータ等の搬送駆動部79を制御する。制御部71は、第1面33aと第2面33bとに加えられる総加熱量が上記した所定の範囲となるように、温度と、搬送速度をパラメータとして制御を行う。
従って、この熱現像装置100によれば、最初に熱現像感光材料Aが第1面33aから加熱され、その後、第2面33bが加熱されて、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が抑止されながら、両面が熱現像される。しかも、第1面33aへの総加熱量に対して第2面33bへの総加熱量が所定の範囲で設定されているので、熱現像感光材料Aの両面に加わる総加熱量が略均等となる。これにより、熱現像感光材料Aは、皺、色調ずれ、濃度変動を発生させることなく、両面均一に熱現像される。
また、この熱現像装置100を用いた熱現像方法は、熱現像感光材料Aの第1面33aと、第2面33bとを交互に加熱し、第1面33aと第2面33bとから印加される画像形成層35に対する現像反応温度以上の各総加熱量を、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量を100±30の範囲とするので、熱現像感光材料Aの両面が均等に加熱されて均一な現像がなされる。これに加え、第1面33aと第2面33bとが交互に加熱されても、急激な温度上昇が防止されて両面が均一に加熱可能となる。これにより、両面に画像形成層35を有する熱現像感光材料Aの場合であっても、皺の発生が防止されるとともに、色調ずれ、濃度変動が防止され、両面均一な熱現像が可能となる。従って、熱現像感光材料Aの表裏を何ら意識することなく、熱現像装置への搬入と現像とを実施することができる。
次に、本発明に係る熱現像装置の他の実施形態を説明する。
なお、以下の各実施形態では、熱現像装置の要部(熱現像部)のみを示す。また、いずれの熱現像部も、第1加熱手段と第2加熱手段とによって、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱され、且つ第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように構成されている。
図5はドラムと押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した第2の実施形態の構成図である。
この熱現像装置200は、第1加熱手段81a、第2加熱手段81bのそれぞれが、回転駆動される円筒状のドラム83と、このドラム83の周表面に熱現像感光材料Aを押し当てて回転する複数の押さえローラ85とを有して構成される。加熱源となるヒータは、ドラム83又は押さえローラ85のいずれか一方に内蔵される。本実施形態では、ドラム83に熱源となるヒータが内蔵されている。
第1加熱手段81aと第2加熱手段81bとは接近して配設され、第1加熱手段81aのドラム83と、第2加熱手段81bのドラム83とは、逆回転駆動される。従って、第1加熱手段81aと第2加熱手段81bとは、S字状の搬送路Cを形成している。この実施形態による熱現像装置200においても、熱現像感光材料Aは第1加熱手段81aによって第1面33aが加熱された後、第2加熱手段81bによって第2面33bが加熱される。
第1加熱手段81aに移送された熱現像感光材料Aは、ドラム83と押さえローラ85とによって挟持搬送されて、第1面33aがドラム83に密着した状態で搬送され、ドラム83の発熱によって熱現像されて、露光された潜像が可視像となる。次いで、第1面33aの 加熱された熱現像感光材料Aは、第2加熱手段81bへ移送され、同様に、ドラム83と押さえローラ85とによって挟持搬送されて、第2面33bがドラム83に密着した状態で搬送され、ドラム83の発熱によって熱現像される。
この熱現像装置200によれば、第1加熱手段81aにおいて、熱現像感光材料Aの第1面33aがドラム83に押し当てられた後、第2加熱手段81bで第2面33bがドラム83に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止され、且つ両面が均一に加熱可能となる。また、この構成では、熱現像感光材料Aの移送に同期してドラム83及び押さえローラ85が回転されるので、加熱手段と熱現像感光材料Aとに擦れが生じない。
次に、本発明に係る熱現像装置の第3の実施形態を説明する。
図6は支持体、無端ベルト及び押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。
この熱現像装置300は、第1加熱手段91a、第2加熱手段91bのそれぞれが、加熱源となるヒータHの内蔵されたパイプ状の支持体93と、この支持体93を包囲して設けられた無端ベルト95と、この無端ベルト95を支持体93に押圧しながら回転することで無端ベルト95を従動回転させる押さえローラ97とからなる。無端ベルト95は、アルミニウム、樹脂等の十分な熱伝導度を有する材料で形成される他、ラバーヒータ等からなるものであってもよい。なお、第1加熱手段91aと第2加熱手段91bは、熱現像感光材料Aの表裏両面が均等に加熱されるように各加熱手段の加熱量が調製されていれば、第1加熱手段91aと第2加熱手段91bの配置個数は同数でなくてもよい。
この熱現像装置300によれば、例えば、図中左側の第1加熱手段91aにおいて、熱現像感光材料Aの第2面33bが押さえローラ97に押圧されて、第1面33aが無端ベルト95を介して支持体93に押し当てられた後、熱現像感光材料Aが第2加熱手段91bへ移送されると、次は第1面33aが押さえローラ97に押圧されて、第2面33bが無端ベルト95を介して支持体93に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの両面が均一に加熱可能となり、複数の加熱手段によって段階的に加熱することで、急激な温度上昇も防止される。また、この構成では、支持体93を包囲して設けられた無端ベルト95が熱現像感光材料Aの移送に同期して移動され、加熱手段と熱現像感光材料Aとに擦れが生じないため、画像形成層に損傷が生じることがない。
次に、本発明に係る熱現像装置の第4の実施形態を説明する。
図7は複数組の第1加熱手段と第2加熱手段とを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。
この熱現像装置400は、熱現像感光材料Aの搬送路Cに沿ってヒートローラ101からなる第1加熱手段101aと、同様のヒートローラ101からなる第2加熱手段101bとが複数組配設されている。ヒートローラ101は、円筒状の加熱体103と、この加熱体103を内側から加熱するハロゲンヒータ等の加熱源105とを有して構成される。
特に、本実施形態では、第1加熱手段101aと第2加熱手段101bとが、熱現像感光材料Aの搬送路Cを挟んで千鳥状に配置されている。
従って、熱現像装置400によれば、1組目の第1加熱手段101a、第2加熱手段101bによって熱現像感光材料Aの第1面33a、第2面33bが交互に加熱された後、熱現像感光材料Aが2組目の第1加熱手段101a、第2加熱手段101bに移送されると、再び第1面33a、第2面33bが交互に加熱され、これらの交互加熱が加熱手段の配設組数だけ繰り返される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止されて緩やかな昇温が可 能となり、且つ両面が均一に加熱可能となる。
また、この熱現像装置400は、搬送路Cに沿って複数組配設される第1加熱手段101aと第2加熱手段101bとが千鳥状に配置されているので、搬送路Cの一方側に配設される複数の第1加熱手段101aと、搬送路Cの他方側に配設される複数の第2加熱手段101bとが、隣接する加熱手段との間の隙間に交互に入り込み、各加熱手段に接触角度を持たせた配置としている。従って、搬送路Cは波形状に形成される。これにより、熱現像感光材料Aと加熱手段との接触面積が増大し、熱現像感光材料Aへの熱伝達の効率が高められるようになる。
4.本発明の用途
本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料として使用されることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
1.PET支持体の作製、および下塗り
1−1.製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥した。青色染料(1,4−ビス(2,6−ジエチルアニリノアントラキンノン))で青色着色し、その後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作製した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
1−2.表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
1−3.下塗り
(1)下塗層塗布液の作製
SnO2/SbO(9/1質量比、平均粒径0.5μm、17質量%分散物)
84g
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 46.8g
東洋紡績(株)製バイロナールWD−1200 10.4g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 1質量%溶液 11.0g
綜研化学(株)製MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g
蒸留水 847ml
(2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、上記下塗り塗布液をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
2.画像形成層、中間層、表面保護層
2−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤の調製
(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
<ハロゲン化銀乳剤1Aの調製(0.68μm平板状AgIホスト粒子)>
蒸留水1421mlに10質量%ヨウ化カリウム溶液8mlを加え、さらにフタル化ゼラチン4.6g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら75℃に液温を保ち、硝酸銀22.7gに蒸留水を加え223mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で15分22秒かけて全量添加し、溶液BはpAgを9.96に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を0.8ml添加した。さらに、硝酸銀53.1gに蒸留水を加えて520.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを9.96に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
得られたホスト粒子は、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径1.36μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.113μm、平均アスペクト比12.0の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.68μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
<ハロゲン化銀乳剤2Aの調製(0.68μmエピタキシャル粒子)>
上記のAgIホスト粒子の1モルを反応容器に入れた。pAgは40℃で測定して9.1であった。次いで、ダブルジェット添加により、1リットル中に0.088モルのKBrと0.038モルのNaClを含有するハロゲン溶液及び0.125モル/リットルのAgNO3溶液を28.7ml/分で31分間にわたって添加し、全銀量の10モル%になる量の塩臭化銀をAgIホスト乳剤上の6点のコーナー部位にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは7.13に維持した。
さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
エピタキシャル部の平均ハロゲン組成は、ハロゲン化銀粒子エピタキシャル部の超薄切片を作製し、フィールドエミッション型の分析電子顕微鏡により求めたところ、ブロム80モル%、クロル17モル%、ヨウド3モル%であった。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に60℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N”,N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、エピタキシャル接合を有するハロゲン化銀乳剤2Aを作製した。
(ハロゲン化銀乳剤B〜Cの調製)
<ホストハロゲン化銀乳剤1B〜1Cの調製>
ハロゲン化銀乳剤1Aと同様にして、但し、ハロゲン溶液BおよびDのヨウ化カリウムをヨウ化カリウムと臭化カリウムの混合物に変更して、その他は同様にして、それぞれヨウ化銀含有率が90モル%、80モル%のハロゲン化銀乳剤1B,1Cを調製した。結晶調製時の温度とハロゲンおよび硝酸銀の添加速度を調整して、粒子形状がハロゲン化銀1Aと大きくは異ならないようにした。得られた粒子の形状を表1に示した。
<エピタキシャル接合を有する粒子の調製>
ハロゲン化銀乳剤2Aとまったく同様にして、ホスト粒子としてハロゲン化銀乳剤1B、1Cを用いて、塩臭化銀エピタキシャル10モル%を含有するハロゲン化銀乳剤2B,2Cを調製した。
(ハロゲン化銀乳剤Dの調製)
<ホスト粒子1Dの調製>
ハロゲン化銀乳剤1Aと同様にして、但し、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液の添加量、粒子形成時の温度、溶液Aの添加時間を適宜変更して、平均投影面積直径0.93μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.057μm、平均アスペクト比16.3の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.42μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
<エピタキシャル接合を有する粒子の調製>
ハロゲン化銀乳剤2Aとまったく同様にして、ホスト粒子としてハロゲン化銀乳剤1Dを用いて、塩臭化銀エピタキシャル10モル%を含有するハロゲン化銀乳剤2Dを調製した。
(ハロゲン化銀乳剤Eの調製)
<ホスト粒子1Eの調製>
ハロゲン化銀乳剤1Aと同様にして、但し、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液の添加量、粒子形成時の温度、溶液Aの添加時間を適宜変更して、平均投影面積直径0.443μm、平均投影面積直径の変動係数19.1%、平均厚み0.053μm、平均アスペクト比8.37の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.25μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
<エピタキシャル接合を有する粒子の調製>
ハロゲン化銀乳剤2Aとまったく同様にして、ホスト粒子としてハロゲン化銀乳剤1Eを用いて、臭化銀エピタキシャル10モル%を含有するハロゲン化銀乳剤2Eを調製した。
(ハロゲン化銀乳剤Fの調製)
<ホスト粒子1Fの調製>
ハロゲン化銀乳剤1Aと同様にして、但し、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液の添加量、粒子形成時の温度、溶液Aの添加時間を適宜変更して、平均投影面積直径0.246μm、平均投影面積直径の変動係数19.2%、平均厚み0.045μm、平均アスペクト比5.47の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.16μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の15%以上がγ相で存在していた。
<エピタキシャル接合を有する粒子の調製>
ハロゲン化銀乳剤2Aとまったく同様にして、ホスト粒子としてハロゲン化銀乳剤1Fを用いて、塩臭化銀エピタキシャル10モル%を含有するハロゲン化銀乳剤2Fを調製した。
(ハロゲン化銀乳剤Gの調製)
<ハロゲン化銀乳剤Gの調製(0.04μmのAgI微粒子)>
蒸留水1420mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪拌しながら、42℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え195.6mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム21.8gを蒸留水にて容量218mlに希釈した溶液Bを一定流量で9分間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。
さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム60gを蒸留水にて容量600mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で120分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しながらコントロールドダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/l濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、47℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルフォン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Bをメタノール溶液で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。
N、N’−ジヒドロキシ−N”、N”−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル及び1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1、3、4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤Gを作製した。
調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均球相当径0.040μm、球相当径の変動係数18%の純ヨウ化銀粒子であった。また(001)、{100}、{101}面を有する14面体粒子であり、X線粉末回折分析を用いて測定するとそのγ相の比率は30%であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求めた。
表1に調製したホスト粒子の形状をまとめる。
Figure 0004401244
<塗布液用乳剤の調製>
ハロゲン化銀乳剤2A〜2F、Gの各乳剤をそれぞれ溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。また吸着基と還元基を有する化合物1と2をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり8×10-3モルになる量を添加した。
さらに塗布液用混合乳剤1リットルあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物の調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった。(a,b,cは本文の規定)
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
3)還元剤分散物の調製
<還元剤―1分散物の調製>
還元剤−1(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物分散物の調製
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤分散物、色調調整剤分散物の調製
<現像促進剤−1分散物の調製>
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物>
現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
6)ポリハロゲン化合物分散物の調製
《有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
《有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製》
有機ポリハロゲン化合物―2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
7)ヨウ化銀錯形成剤の調製
8kgの変性ポリビニルアルコールMP203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、ヨウ化銀錯形成剤化合物の5質量%溶液を調製した。
8)メルカプト化合物の調製
《メルカプト化合物−1水溶液の調製》
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
《メルカプト化合物−2水溶液の調製》
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
9−1)SBRラテックス液の調製
SBRラテックス(TP−1)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのLiOHを用いてpH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスTP−1を774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
9−2)イソプレンラテックス液の調製
イソプレンラテックス(TP−2)は以下により調製した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に蒸留水1500g添加し、90℃で3時間加熱し、重合釜のステンレス表面やステンレス製撹拌装置の部材に不動態皮膜を形成させる。この処理を行った重合釜に、窒素ガスを1時間バブリングした蒸留水582.28g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製))9.49g、1mol/リットルのNaOHを19.56g、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.20g、スチレン314.99g、イソプレン190.87g、アクリル酸10.43g、tert−ドデシルメルカプタン2.09gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度225rpmで撹拌し、内温65℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム2.61gを水40mlに溶解した液を添加し、そのまま6時間撹拌した。この時点でのは重合転化率は固形分測定から90%であった。ここで、アクリル酸5.22gを水46.98gに溶解した液を添加し、続いて水10gを添加し、過硫酸アンモニウム1.30gを水50.7mlに溶解した液をさらに添加した。添加後、90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのLiOHを用いてpH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、イソプレンラテックスTP−1を1248g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、142ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径113nm、Tg=15℃、固形分濃度41.3質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.4質量%、イオン伝導度5.23mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し25℃にて測定)であった。
10)造核剤分散物の調製
造核剤として化合物No.SH−7を10gに、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−217)2.5gおよび水87.5gを添加してよく攪拌し、スラリーとして3時間放置した。その後、0.5mmのジルコニアビーズ240gをスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)で10時間分散し、造核剤の固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80質量%が0.1μm〜1.0μmで、平均粒径は0.5μmであった。
2−2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液の調製
脂肪酸銀分散物1000g、水276mlに、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、SBRラテックス(Tg:17℃)液、SBRラテックス(TP−1)液、イソプレンラテックス(TP−2)液、還元剤−1分散物、造核剤分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、ヨウ化銀錯形成剤を添加した後、塗布直前に塗布液用ハロゲン化銀乳剤を脂肪酸銀1モル当たり0.22モル添加し、よく混合して、そのままコーティングダイへ送液した。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合質量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径0.7μm、体積加重平均の分布30%)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.6μm、体積加重平均の分布60%)21g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
2−3.熱現像感光材料の作製
支持体の両面に、下塗り面から画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料1〜7を作製した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。
片面あたりの塗布銀量は、脂肪酸銀とハロゲン化銀の合計で0.861g/m2であり、両面をあわせて画像形成層合計で1.72g/m2であった。
画像形成層における各化合物の片面あたりの総塗布量(g/m2)は以下の通りである。
脂肪酸銀(銀として) 0.686
ポリハロゲン化合物−1 0.028
ポリハロゲン化合物−2 0.094
ヨウ化銀錯形成剤 0.46
SBRラテックス 5.20
SBRラテックス(TP−1) 2.09
イソプレンラテックス(TP−2) 3.13
還元剤−1 0.46
造核剤 0.036
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.005
現像促進剤−2 0.035
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.175
さらに塗布試料1〜3において、ヨウ化銀錯形成剤を0.092g/mと減量したこと以外は同様にして塗布試料8〜10も同様に作製した。
アンモニウムイオンの定量
本文記載の方法により定量したところ、アンモニウムイオンの含有量は塗布試料片面あたり0.1mmol/mであった。
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。
塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10mm〜0.30mm。
減圧室の圧力を大気圧に対して196Pa〜882Pa低く設定。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10℃〜20℃の風にて塗布液を冷却。
無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23℃〜45℃、湿球温度15℃〜21℃の乾燥風で乾燥。
乾燥後、25℃で湿度40%RH〜60%RHで調湿。
引き続き、膜面を70℃〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃まで冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で250秒であった。また、膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
Figure 0004401244
3.性能の評価
3−1.準備
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
<包装材料>
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μm;
酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、
水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
3−2.露光
下記の蛍光増感スクリーンAを2枚使用して、その間に試料を挟み、像形成用組立体を作製した。この組立体に、0.05秒のX線露光を与え、X線センシトメトリーを行った。使用したX線装置は、東芝(株)製の商品名DRX−3724HDであり、タングステンターゲットを用いた。三相にパルス生器で80kVpの電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィルタを通したX線を光源とした。距離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステップ露光を行なった。
<蛍光増感スクリーンAの作製>
(1)下塗り層の作製
特開2001−124898号公報の実施例4と同様にして、250μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)上にアルミナ粉体よりなる乾燥後の膜厚が50μmの光反射層を形成した。
(2)蛍光体シートの製造
BaFBr:Eu蛍光体(平均粒径3.5μm)250g、ポリウレタン系バインダー樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:パンデックスT5265M)8g、エポキシ系バインダー樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名:エピコート1001)2g、およびイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:コロネートHX)0.5gをメチルエチルケトンに加え、プロペラミキサで分散して、粘度が25PS(25℃)の蛍光体層形成用塗布液を調製した。この塗布液を仮支持体(予めシリコーン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレートシート)の表面に塗布し、乾燥して蛍光体層を形成した。この蛍光体層を仮支持体から剥がし取って蛍光体シートを得た。
(3)光反射層上への蛍光体シートの付設
前記の工程1)で製造した光反射層付き支持体の光反射層の表面に、上記の蛍光体シートを重ね、カレンダロールにて、圧力400kgw/cm2、温度80℃の条件で加圧し、光反射層上に蛍光体層を設けた。得られた蛍光体層の厚みは125μmであり、蛍光体層中の蛍光体粒子の体積充填率は68%であった。
(4)表面保護層の形成
厚み6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の片面にポリエステル系の接着剤を塗布し、ラミネート法で蛍光体層上に表面保護層を設けた。このようにして、支持体、光反射層、蛍光体層および表面保護層からなる蛍光増感スクリーンAを得た。
(5)発光特性
40kVpのX線で測定した増感スクリーンAの発光スペクトルを図8に示した。蛍光増感スクリーンAは、390nmにピークをもつ半値幅の狭い発光を示した。
3−3.熱現像
露光後に、図1に示す熱現像装置を用いて、下記の熱現像処理条件で熱現像処理した。
Figure 0004401244
3−4.評価条件
1)膜のヘイズ度の測定
ヘイズ度とは感光材料に入射した光線が拡散する度合いを表し、拡散透過光量と全透過光量の比率を百分率で示す。ヘイズの測定は、NIPPON DENSHOKU(株)製のヘイズ測定装置MODEL1001DPを用いた。
各未露光試料について、熱現像処理前と熱現像後の膜のヘイズ度を測定し、熱現像処理前のヘイズ度に対する熱現像後のヘイズ度の比率を算出した。
2)感度の測定
上記蛍光増感スクリーンAの主発光ピークである390nmにおける感度の測定を下記のように行った。
色温度が2856K゜のタングステン光源を照射光源として、半値幅10nm、中心透過波長390nmのコーニング社製干渉フィルター、赤外カットフィルターおよびニートラルなステップウエッジを通して、1/10秒間、試料601を露光した。露光後に感光材料を、上記同様に熱現像処理を行った。露光面と逆側の画像形成層を剥離したのち、濃度を測定し、特性曲線を作製した。その特性曲線から最低濃度(Dmin)に0.5加えた濃度となるに必要な露光量を算出した。なお、露光量を算出するに当り、タングステン光源より発光し、フィルターを透過させた光の光量をEG&G社製ラジオフォトメーターDR−2550(更正済みのもの)により測定した。
3)その他の写真特性
かぶり:未露光部の濃度で表した。
平均階調:特性曲線上で、かぶり濃度+光学濃度0.25の点とかぶり濃度+光学濃度2.0を結ぶ直線の傾き(この直線と横軸のなす角をθとするときのtanθ)である。
画像識別性:胸部ファントームをX線露光で、肺野部が適性濃度(D=1.8)になるように露光時間を調節して撮影した。胸部ファントーム画像の縦隔部の描写性および肺野部における模擬血管の識別性を目視評価し、◎、○、△、×で評価した。また、銀色調について画像全体を目視評価し、○、△、×で評価した。
4)画像保存性
画像保存性(プリントアウト)の評価:
試料2−1〜2−26を熱現像して得られた画像サンプルを、40℃、相対湿度50%の環境下で、6000ルクスの蛍光灯下に5日間曝光した後、未露光の部分の光学濃度を測定した。このときの光学濃度をDmin2とし、蛍光灯下に曝す前のDmin1との差(△Dmin)を算出した。
△Dmin = Dmin2 − Dmin1
4.評価結果
得られた結果を表3に示した。
本発明の感光材料は、高感度で、かつ画像識別性に優れ診断に適したヘイズ、階調、色調を有する高画質の画像を与えた。
Figure 0004401244
実施例2
実施例1の熱現像感光材料の試料1と5の作製において、SBRラテックス(TP−1)イソプレンラテックス(TP−2)の調製時において、反応終了後、内温が室温になるまで下げた後、1mol/LのLiOHをとともに、1mol/LのNH4OHも使用してpH8.4に調整した。このとき表4、表5に示すようなアンモニウムイオンの塗布量になるようにNH4OHとLiOHの使用量比を調節した。
さらに、フレッシュの性能がそれぞれ試料1と5とにほぼ合うように造核剤分散物の量を調節した。
上記のこと以外は実施例1と同様にして、熱現像感光材料11〜18を作製した。
実施例1と同様にして評価し、さらに以下の評価を行った。
(試料の高湿保存安定性の評価)
本発明の試料の保存安定性を調べるために下記の強制試験(エージングテスト)を行った。
上記のように各試料を35℃80RH%で7日間保存した後、25℃60RH%に戻し、露光と熱現像を行い、写真性能を調べた。また下記式で感度の相対値の対数をΔlogEで示した。
△logE=−log(エージング後の感度/エージング前の感度)
得られた写真性能を表4、表5に示した。本発明の試料は、高感度でかつ画像識別性に優れ診断に適したヘイズ、階調を有する高画質の画像を与え、さらに高湿環境の保管後の増感、増かぶり、階調の変化が少なく、保存安定性にも非常に優れることがわかった。
Figure 0004401244
Figure 0004401244
実施例3
実施例2の熱現像感光材料1、5を使用して、熱現像装置のプレヒートの条件を表6に示すように変化させ、25℃60%RHの常温常湿度にコントロールしたこと以外は、実施例1と同様にして評価した。
さらに以下の評価を行った。
・現像ムラ
各試料を上記条件で半切サイズを10枚ずつ、画像濃度1.2になるようにX線露光し、得られた画像を視覚的に官能評価を行った。評価結果は、次のランクで表した。
◎:画面内に全くムラが認められない
○:画面内にムラが認められるが、画像読映上全く支障ないレベル。
△:画面内にムラが認められ、読映に支障が感じられる。
×:画面内にムラが認められ、読映できない。
・高湿環境での写真性
各試料を25℃80%RHの環境下で3時間調湿した。さらに熱現像装置を25℃80%RHの環境化に設置して現像処理をおこなった。それ以外は実施例1と同様に評価した。また下記式で感度の相対値の対数をΔlogEで示した。
△logE=−log(高湿環境の感度/常温常湿環境の感度)
<評価結果>
得られた写真性能を表6に示した。特に本発明の熱現像感光材料と本発明の画像形成方法の組み合わせは、高感度でかつ画像識別性に優れ診断に適した階調を有する高画質の画像を与え、さらに現像ムラが少なく、高湿環境での処理における写真性の変動や現像ムラが小さいことがわかった。
Figure 0004401244
本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を表す構成図である。 熱現像感光材料の断面図である。 第1加熱手段及び第2加熱手段によって交互に加熱される熱現像感光材料表裏面の温度と時間との相関を表した説明図である。 制御手段のブロック図である。 ドラムと押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 支持体、無端ベルト及び押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 複数組の第1加熱手段と第2加熱手段とを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 蛍光増感スクリーンAの発光スペクトルである。
符号の説明
31 支持体
33a 第1面
33b 第2面
35 画像形成層
44 プレヒート手段
49a、81a、91a、101a 第1加熱手段
49b、81b、91b、101b 第2加熱手段
51 プレート
53 押さえローラ
83 ドラム
85 押さえローラ
95 無端ベルト
97 押さえローラ
100、200、300、400 熱現像装置
A 記録材料(感光性熱現像記録材料)
C 搬送路
H ヒータ
T 現像反応温度
δ 隙間

Claims (20)

  1. 支持体の少なくとも一方面上に、少なくとも、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを有し、X線増感スクリーンを用いてX線露光される熱現像感光材料であって、
    (1)前記感光性ハロゲン化銀は、ヨウ化銀含有率が40モル%以上であって、平均アスペクト比2以上100以下、かつ平均球相当直径が0.3μm以上10μm以下の平板状粒子であり、
    (2)前記X線増感スクリーンの主発光ピーク波長と同一の波長を有し、かつ半値幅が15±5nmである単色光で露光し、熱現像処理して得られる画像の濃度が最低濃度に0.5を加えた濃度となるのに必要な露光量が、1×10-6ワット・秒/m2以上1×10-3ワット・秒/m2以下であり、
    (3)前記熱現像感光材料の熱現像後のヘイズ度が熱現像前の80%未満であることを特徴とする熱現像感光材料。
  2. 前記X線増感スクリーンが、発光光の50%以上が波長350nm以上420nm以下である蛍光体を含んだ蛍光増感スクリーンである請求項1に記載の熱現像感光材料。
  3. 前記蛍光体が、2価のEu賦活蛍光体であることを特徴とする請求項2に記載の熱現像感光材料。
  4. 前記蛍光体が、2価のEu賦活バリウムハライド系蛍光体であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の熱現像感光材料。
  5. 前記熱現像後のヘイズ度が熱現像前の75%未満であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  6. 前記感光性ハロゲン化銀の塗布銀量が、片面あたり0.04g/m2以上0.4g/m2以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  7. 造核剤を含有し、特性曲線の平均階調が1.8以上4.3以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  8. 前記造核剤がヒドラジン誘導体化合物、ビニル化合物、4級オニウム化合物、およびオレフィン化合物よりなる群より選ばれる化合物であることを特徴とする請求項7に記載の熱現像感光材料。
  9. 前記熱現像感光材料のNH4 +含有量が片面あたり1mmol/m2以下であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  10. 前記熱現像感光材料の全層のNH4 +含有量が片面あたり0.3mmol/m2以下であることを特徴とする請求項9に記載の熱現像感光材料。
  11. 前記感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が80モル%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の熱現像感光材料。
  12. 前記感光性ハロゲン化銀のヨウ化銀含有率が90モル%以上であることを特徴とする請求項11に記載の熱現像感光材料。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、熱現像温度で熱現像する直前に、40℃以上105℃以下の温度で0.1秒以上90秒以下の時間加熱することを特徴とする画像形成方法。
  14. 前記直前の加熱温度が60℃以上100℃以下である請求項13に記載の画像形成方法。
  15. 前記熱現像の加熱手段が、プレートと該プレートに前記熱現像感光材料を押し当てて回転するローラーを有し、該プレートおよび該ローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の画像形成方法。
  16. 前記熱現像の加熱手段が、円筒状のドラムと該ドラムの周表面に前記熱現像感光材料を押し当てて回転する押さえローラーとを有し、該ドラムおよび該押さえローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の画像形成方法。
  17. 前記熱現像の加熱手段が、前記熱現像感光材料の第一の面を加熱する第一加熱手段と他方の面を加熱する第二加熱手段とを前記熱現像感光材料の搬送路の交互に挟んで背離して配置していることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の画像形成方法。
  18. 前記熱現像の記加熱手段が、加熱源となるヒータの内蔵された担体、および該担体を包囲して設けられた無端ベルトを有し、かつ、該無端ベルトを前記担体に押圧しながら回転することで該無端ベルトを従動回転させる押さえローラとを備えていることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の画像形成方法。
  19. 前記熱現像感光材料の搬送路に沿って前記加熱手段が複数組配設されていることを特徴とする請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  20. 前記複数組の加熱手段が搬送路にそって千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項19に記載の画像形成方法。
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