JP2005134717A - 熱現像感光材料を用いた画像形成方法 - Google Patents

熱現像感光材料を用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】現像ムラがなく、安定した色調の画像を与える熱現像感光材料を用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面上に、少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、1)熱現像装置が、プレートと熱現像感光材料を押し当てて回転するローラーを有し、加熱源となるヒーターがプレートと加熱手段を有し、2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にある: 式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱現像感光材料を用いた画像形成方法に関するものである。特に現像ムラがなく、安定した色調の画像を与える熱現像感光材料を用いた画像形成方法に関するものである。
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用および写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要であるうえ、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
一方、有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書およびB.シェリー(Shely) による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウオールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp) 編集、第2頁、1996年)に記載されている。特に、熱現像感光材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像感光材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示され、そして熱現像感光材料による医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメージャーFM−DPLが発売された。
一方、上述の熱現像感光材料を撮影用感光材料に応用する試みが提案されている。ここで言う撮影用感光材料とは、レーザー光などで走査露光により画像情報を書き込むものではなく、画像を面露光により記録するものである。従来、湿式現像感光材料分野では、一般に用いられ、特に、直接あるいは間接X線フィルム、マンモグラフフィルムなど医療用画像熱現像感光材料として広く用いられている。このような分野への熱現像感光材料の利用については、例えば、青色の蛍光増感紙を利用した両面塗布型X線用熱現像感光材料(例えば、特許文献1参照。)、ヨウ臭化銀の平板粒子を用いた熱現像感光材料(例えば、特許文献2参照。)、あるいは(100)主平面を有する塩化銀含有率の高い平板粒子を支持体の両面に塗設した医療用感光材料が特許文献に開示されている(例えば、特許文献3参照。)。また、両面塗布熱現像感光材料は、その他の特許文献にも開示されている(例えば、特許文献4〜7参照。)。しかしながら、これらの公知例では、0.1μm以下の微粒子ハロゲン化銀を用いるとヘイズの悪化を伴わないが低感度であり、撮影用には実用に耐えないものであり、一方、大サイズのハロゲン化銀粒子を用いた場合は残存するハロゲン化銀によるヘイズの悪化、およびプリントアウトの悪化による画像品質の劣化の問題があった。
従来、例えばCTやMRI等の医療用測定機によって測定された画像から可視像のプリントを作成するレ−ザ−イメージャーと称される画像形成装置は、PETフィルム等の支持体の片面に画像形成層を形成してなる熱現像感光材料を用いて、画像データに応じて変調した光ビームで露光した後、この熱現像感光材料を、内蔵した熱現像部により加熱現像して画像を作製していた。
図8に従来の熱現像装置を備えた画像形成装置を示す(特許文献8参照。)。
画像形成装置1は、基本的に、熱現像感光材料Aの搬送方向順に、感光材料供給部3と、画像露光部5と、熱現像部7とを有して構成される。感光材料供給部3は、マガジン9から感光材料Aを一枚取り出して、感光材料Aを搬送方向下流に供給する。画像露光部5は、光ビーム走査露光によって感光材料Aを像様に露光する部位で、露光ユニット11と副走査搬送手段13とを有して構成される。
画像露光部5において潜像を記録された感光材料Aは、搬送ローラ対15及び17等によって上方に搬送されて、熱現像部7に搬送される。熱現像部7は、加熱手段として加熱ドラム19を用いて感光材料Aを加熱することにより、熱現像を行って潜像を可視像とする部位で、無端ベルト21、剥離爪23、無端ベルト21を支持する支持ローラ25a〜25dを有して構成される。
熱現像部7に搬入された感光材料Aは、加熱ドラム19と無端ベルト21との間に搬入され、加熱ドラム19の回転によって、加熱ドラム19と無端ベルト21とに挟持される。そして、加熱ドラム19に密着した状態で搬送され、加熱ドラム19の熱によって熱現像されて、露光によって記録された潜像が可視像となる。この場合、感光材料Aは加熱ドラム19によって片面側からのみ加熱される。熱現像された感光材料Aは、先端が剥離爪23の近傍に到達すると、剥離爪23が加熱ドラム19に当接して、加熱ドラム19と感光材料Aとの間に侵入し、加熱ドラム19から剥離されて排出トレイ27へと排出される。
特許第3229344号公報 特開昭59−142539号公報 特開平10−282602号公報 特開2000−227642号公報 特開2001−22027号公報 特開2001−109101号公報 特開2002−90941号公報 特開平11−218894号公報
熱現像感光材料は、このような大きな特徴を有しているが、均一な現像を行うことは予想以上に難しい問題があった。従来の湿式現像の場合は、現像液に感光材料全体を浸漬するので現像液が比較的均一に浸透し、均一な現像を行うことができるが、熱現像の場合、加熱手段の熱の均一性の確保の困難性、熱伝導が感光材料と加熱手段の相互ディメンジョンの変動や、異物の介在、および環境の温度変化など多くの要因によって影響を受けて変動する。とはいえ、従来の片面型熱現像感光材料の加熱は、基本的には片面の加熱のみを均一に行えれば十分であった。
支持体の両面に画像形成層を有する熱現像感光材料の場合は、両面の画像形成層を均一に加熱する必要があり、従来の片面型熱現像感光材料とはまた異なる特有の問題が判明した。一方の面の画像形成層を加熱して現像している間に支持体を経由して熱伝導された熱量により、他方の面の画像形成層が熱現像温度より低い温度で暖められる予熱効果を受けることが判明した。この予熱効果により、熱現像感光材料によっては、現像進行が速められたり、感度が変動したり、画像色調が変動したりする影響を受けることも判明した。
本発明者らは、このような予熱効果の影響を回避し、両面型熱現像感光材料を均一に良好な画質の画像を生成し得る画像形成方法の開発を課題とした。
本発明者らは、このような予熱効果の影響を回避し、両面型熱現像感光材料を均一に良好な画質の画像を生成し得る画像形成方法の開発に取り組んだ。その結果、下記の<1>に記載の加熱手段と熱現像感光材料のより、解決し得ることを見出し本発明に到達した。より好ましい条件として<2>を見出した。もう一つの解決手段として<3>の画像形成方法とより好ましい<4>の発明に到達した。もう一つの解決手段として<5>の画像形成方法とより好ましい<6>の発明に到達した。さらにもう一つの解決手段として<7>の画像形成方法とより好ましい<8>の発明に到達した。これらの解決手段のさらにより好ましい態様として<9>および<10>の発明に到達した。
<1> 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
1)前記加熱手段が、プレートと該プレートに前記熱現像感光材料を押し当てて回転するローラーを有し、該プレートおよび該ローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していて、
2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
(式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
<2> 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法。
式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
<3> 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
1)前記加熱手段が、円筒状のドラムと該ドラムの周表面に前記熱現像感光材料を押し当てるて回転する押さえローラーとを有し、該ドラムおよび該押さえローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していて、
2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
(式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
<4> 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする<3>に記載の画像形成方法。
式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
<5> 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
1)前記加熱手段が、前記熱現像感光材料の第一の面を加熱する第一加熱手段と他方の面を加熱する第二加熱手段とを前記熱現像感光材料の搬送路の交互に挟んで背離して配置して有し、
2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
(式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
<6> 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする<5>に記載の画像形成方法。
式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
<7> 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
1)前記加熱手段が、加熱源となるヒータの内蔵された担体、および該担体を包囲して設けられた無端ベルトを有し、かつ、該無端ベルトを前記担体に押圧しながら回転することで該無端ベルトを従動回転させる押さえローラとを備えていて、
2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
(式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
<8> 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする<7>に記載の画像形成方法。
式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
<9> 前記熱現像感光材料の搬送路に沿って前記加熱手段が複数組配設されていることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の画像形成方法。
<10> 前記複数組の加熱手段が搬送路にそって千鳥状に配置されていることを特徴とする<9>に記載の画像形成方法。
<11> 前記感光性ハロゲン化銀の平均球相当直径が、0.3μm以上5.0μm以下である平板状粒子であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の画像形成方法。
<12> 前記感光性ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、アスペクト比2以上100以下であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれかに記載の画像形成方法。
<13> 感光性ハロゲン化銀粒子に由来する可視光吸収を熱現像後に実質的に低下させる化合物を含有することを特徴とする<1>〜<12>のいずれかに記載の画像形成方法。
<14> 前記感光性ハロゲン化銀粒子に由来する可視光吸収を熱現像後に実質的に低下させる化合物として、ヨウ化銀錯形成剤を含有することを特徴とする<13>に記載の画像形成方法。
<15> 感光性ハロゲン化銀粒子への吸着基と還元基を有する化合物およびその前駆体の少なくも一種を含有することを特徴とする<1>〜<14>のいずれかに記載の画像形成方法。
<16> 1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子以上の電子を放出しうる化合物を含有することを特徴とする<1>〜<15>のいずれかに記載の画像形成方法。
<17> 前記画像形成層を支持体の両面に有することを特徴とする<1>〜<16>のいずれかに記載の画像形成方法。
本発明により、現像ムラがなく、安定した色調の画像を与える熱現像感光材料を用いた画像形成方法が提供される。
以下に本発明を詳細に説明する。
(熱現像感光材料)
本発明における熱現像感光材料は、後述の熱現像装置で熱現像したときに次の特性値を示すとき、本願の目的である現像ムラ、および連続処理時の色調の不安定さが改良されることが見出された。
1)下記の一般式で表した時、Aの値が5以下である事である。好ましくは3以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。
(a* 121t−a* 117t2 + (b* 121t−b* 117t2 < A
[式中、a* 121t、b* 121tは現像温度121℃でt秒間現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは現像温度117℃でt秒間現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。]
好ましくは、本発明で規定した、a* 121t、b* 121t、a* 117t、b* 117tの値は、何れも負の値である。a*の値が正になると、画像が赤黒色となり好ましくなく、b*の値が正になると、画像が黄黒色となり好ましくない。そのため、a* 121t、b* 121t、a* 117t、b* 117tの値が、何れも負の値である事が好ましい。更にa* 121tは−2以下である事が好ましく、更に好ましくは−2以下−6以上である。
本発明における熱現像感光材料の画像色調は、多くの要因により複雑に変動する。これらの要因を組み合わせ、その複合により所望の範囲に収めることが出来る。
主な要因としては、下記が挙げられる。
(1)還元剤の種類や量を変化させる事で、熱現像感光材料の画像色調を変化させる事が出来る。
(2)有機酸銀の種類や量、さらには有機酸の銀置換率を変化させる事で、熱現像感光材料の画像色調を変化させる事が出来る。
(3)バインダーの種類や量を変化させる事で、熱現像感光材料の画像色調を変化させる事が出来る。
(4)画像形成層の膜pHやpAgを変化させる事で、熱現像感光材料の画像色調を変化させる事が出来る。
(有機銀塩の説明)
1)組成
本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめる銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。このような非感光性の有機銀塩については、特開平10−62899号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号等に記載されている。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸銀、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、エルカ酸銀およびこれらの混合物などを含む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは85モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上100モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。更に、エルカ酸銀含有率が2モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.1モル%以下の脂肪酸銀を用いることが好ましい。
2)形状
本発明に用いることができる有機銀塩の形状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん片状いずれでもよい。
有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。
3)調製
本発明に用いられる有機酸銀の製造及びその分散法は、公知の方法等を適用することができる。例えば上記の特開平10−62899号、欧州特許公開第0803763A1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11−349591号、特開2000−7683号、同2000−72711号、同2001−163889号、同2001−163890号、同2001−163827号、同2001−33907号、同2001−188313号、同2001−83652号、同2002−6442、同2002−49117号、同2002−31870号、同2002−107868号等を参考にすることができる。
なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことがより好ましい。本発明では、分散される水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1モルに対し1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1モル%以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の添加を行わないものである。
本発明において有機銀塩水分散液と感光性銀塩水分散液を混合して感光材料を製造することが可能であるが、有機銀塩と感光性銀塩の混合比率は目的に応じて選べるが、有機銀塩に対する感光性銀塩の割合は1モル%〜30モル%の範囲が好ましく、更に2モル%〜20モル%、特に3モル%〜15モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
4)添加量
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1g/m2〜5.0g/m2が好ましく、より好ましくは0.3g/m2〜3.0g/m2、さらに好ましくは0.5g/m2〜2.0g/m2である。特に、画像保存性を向上させるためには、全塗布銀量が1.8g/m2以下、より好ましくは1.6g/m2以下であることが好ましい。本発明の好ましい還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十分な画像濃度を得ることが可能である。
(還元剤の説明)
本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤である熱現像剤を含むことが好ましい。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元剤の例は、特開平11−65021号の段落番号0043〜0045や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第34行〜第18ページ第12行に記載されている。
本発明において、還元剤としてはフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がより好ましい。
一般式(R)
Figure 2005134717
(一般式(R)において、R11およびR11’は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基を表す。Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。X1およびX1’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。)
一般式(R)について詳細に説明する。
1)R11およびR11
11およびR11’は各々独立に置換または無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は特に限定されることはないが、好ましくは、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル基、カルバモイル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子等があげられる。
2)R12およびR12’、X1およびX1
12およびR12’は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な置換基であり、X1およびX1’も各々独立に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。それぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルアミノ基があげられる。
3)L
Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアルキル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基などがあげられる。 アルキル基の置換基の例はR11の置換基と同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などがあげられる。
4)好ましい置換基
11およびR11’として好ましくは炭素数3〜15の2級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプロピル基などがあげられる。R11およびR11’としてより好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
12およびR12’として好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基である。
1およびX1’は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子である。
Lは好ましくは−CHR13−基である。
13として好ましくは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として特に好ましいのは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
13が水素原子である場合、R12およびR12’は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エチル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
13が炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基である場合、R12およびR12’はメチル基が好ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が更に好ましい。
11、R11’、R12およびR12’がいずれもメチル基である場合には、R13は2級のアルキル基であることが好ましい。この場合R13の2級アルキル基としてはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。
上記還元剤はR11、R11’、R12、R12’およびR13の組み合わせにより、熱現像性、現像銀色調などが異なる。2種以上の還元剤を組み合わせることでこれらを調整することができるため、目的によっては2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
以下に本発明の一般式(R)で表される化合物をはじめとする本発明の還元剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005134717
Figure 2005134717
上記以外の本発明の好ましい還元剤の例は特開2001−188314号、同2001−209145号、同2001−350235号、同2002−156727号に記載された化合物である。
本発明において還元剤の添加量は0.1g/m2〜3.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.2g/m2〜1.5g/m2で、さらに好ましくは0.3g/m2〜1.0g/m2である。画像形成層を有する面の銀1モルに対しては5モル%〜50モル%含まれることが好ましく、より好ましくは8モル%〜30モル%であり、10モル%〜20モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤は画像形成層に含有させることが好ましい。
還元剤は溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、還元剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1μm〜2μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分散して用いるのが好ましい。
(現像促進剤の説明)
本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開2000−267222号明細書や特開2000−330234号明細書等に記載の一般式(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合物、特開平2001−92075記載の一般式(II)で表されるヒンダードフェノール系の化合物、特開平10−62895号明細書や特開平11−15116号明細書等に記載の一般式(I)、特開2002−156727号の一般式(D)や特願2001−074278号明細書に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系の化合物、特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ましくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散物として添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加するか、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳化分散物として添加することが好ましい。
本発明においては上記現像促進剤の中でも、特開2002−156727号明細書に記載の一般式(D)で表されるヒドラジン系の化合物および特開2001−264929号明細書に記載されている一般式(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化合物がより好ましい。
本発明の特に好ましい現像促進剤は下記一般式(A−1)および(A−2)で表される化合物である。
一般式(A−1)
Q1−NHNH−Q2
(式中、Q1は炭素原子で−NHNH−Q2と結合する芳香族基、またはヘテロ環基を表し、Q2はカルバモイル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基、またはスルファモイル基を表す。)
一般式(A−1)において、Q1で表される芳香族基またはヘテロ環基としては5〜7員の不飽和環が好ましい。好ましい例としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4−トリアジン環、1,3,5−トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環などが好ましく、さらにこれらの環が互いに縮合した縮合環も好ましい。
これらの環は置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、およびアシルオキシ基を挙げることができる。
Q2で表されるカルバモイル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のカルバモイル基であり、例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−sec−ブチルカルバモイル、N−オクチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイル、N−オクタデシルカルバモイル、N−{3−(2,4−tert−ペンチルフェノキシ)プロピル}カルバモイル、N−(2−ヘキシルデシル)カルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−(4−ドデシルオキシフェニル)カルバモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)カルバモイル、N−ナフチルカルバモイル、N−3−ピリジルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイルが挙げられる。
Q2で表されるアシル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアシル基であり、例えば、ホルミル、アセチル、2−メチルプロパノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシルオキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイルが挙げられる。Q2で表されるアルコキシカルボニル基は、好ましくは炭素数2〜50、より好ましくは炭素数6〜40のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
Q2で表されるアリールオキシカルボニル基は、好ましくは炭素数7〜50、より好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、4−オクチルオキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフェノキシカルボニル、4−ドデシルオキシフェノキシカルボニルが挙げられる。Q2で表されるスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、オクチルスルホニル、2−ヘキサデシルスルホニル、3−ドデシルオキシプロピルスルホニル、2−オクチルオキシ−5−tert−オクチルフェニルスルホニル、4−ドデシルオキシフェニルスルホニルが挙げられる。
Q2で表されるスルファモイル基は、好ましくは炭素数0〜50、より好ましくは炭素数6〜40のスルファモイル基で、例えば、無置換スルファモイル、N−エチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル、N−デシルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N−{3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル}スルファモイル、N−(2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルフェニル)スルファモイル、N−(2−テトラデシルオキシフェニル)スルファモイルが挙げられる。Q2で表される基は、さらに、置換可能な位置に前記のQ1で表される5〜7員の不飽和環の置換基の例として挙げた基を有していてもよく、2個以上の置換基を有する場合には、それ等の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、式(A−1)で表される化合物の好ましい範囲について述べる。Q1としては5〜6員の不飽和環が好ましく、ベンゼン環、ピリミジン環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、およびこれらの環がベンゼン環もしくは不飽和ヘテロ環と縮合した環が更に好ましい。また、Q2はカルバモイル基が好ましく、特に窒素原子上に水素原子を有するカルバモイル基が好ましい。
一般式(A−2)
Figure 2005134717
一般式(A−2)においてR1はアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基を表す。R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、炭酸エステル基を表す。R3、R4はそれぞれ一般式(A−1)の置換基例で挙げたベンゼン環に置換可能な基を表す。R3とR4は互いに連結して縮合環を形成してもよい。
1は好ましくは炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−オクチル基、シクロヘキシル基など)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基、4−シアノフェニルウレイド基など)、カルバモイル基(n−ブチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、2−クロロフェニルカルバモイル基、2,4−ジクロロフェニルカルバモイル基など)でアシルアミノ基(ウレイド基、ウレタン基を含む)がより好ましい。
2は好ましくはハロゲン原子(より好ましくは塩素原子、臭素原子)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフトキシ基など)である。
3は好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基であり、ハロゲン原子がもっとも好ましい。R4は水素原子、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基またはアシルアミノ基がより好ましい。これらの好ましい置換基の例はR1と同様である。R4がアシルアミノ基である場合R4はR3と連結してカルボスチリル環を形成することも好ましい。
一般式(A−2)においてR3とR4が互いに連結して縮合環を形成する場合、縮合環としてはナフタレン環が特に好ましい。ナフタレン環には一般式(A−1)で挙げた置換基例と同じ置換基が結合していてもよい。一般式(A−2)がナフトール系の化合物であるとき、R1はカルバモイル基であることが好ましい。その中でもベンゾイル基であることが特に好ましい。R2はアルコキシ基、アリールオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体例を挙げる。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005134717
(水素結合性化合物の説明)
本発明における還元剤が芳香族性の水酸基(−OH)またはアミノ基(−NHR、Rは水素原子またはアルキル基)を有する場合、特に前述のビスフェノール類の場合には、これらの基と水素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化合物を併用することが好ましい。
水酸基またはアミノ基と水素結合を形成する基としては、ホスホリル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、アミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(RaはH以外の置換基)のようにブロックされている。)を有する化合物である。
本発明で、特に好ましい水素結合性の化合物は下記一般式(D)で表される化合物である。
一般式(D)
Figure 2005134717
一般式(D)においてR21ないしR23は各々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これらの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
21ないしR23が置換基を有する場合の置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基などがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基またはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェニル基などがあげられる。
21ないしR23のアルキル基としては具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェノキシプロピル基などがあげられる。
アリール基としてはフェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としてはフェノキシ基、クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
21ないしR23としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基であることがより好ましい。また、安価に入手する事ができるという点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好ましい。
以下に本発明における一般式(D)の化合物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005134717
Figure 2005134717
水素結合性化合物の具体例は上述の他に欧州特許1096310号明細書、特開2002−156727号、特願2001−124796号に記載のものがあげられる。
本発明の一般式(D)の化合物は、還元剤と同様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することができるが、固体分散物として使用することが好ましい。本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基、アミノ基を有する化合物と水素結合性の錯体を形成しており、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物との組み合わせによっては錯体として結晶状態で単離することができる。
このようにして単離した結晶粉体を固体分散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の一般式(D)の化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サンドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好ましく用いることができる。
本発明の一般式(D)の化合物は還元剤に対して、1〜200モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さらに好ましくは20〜100モル%の範囲である。
(感光性ハロゲン化銀)
1)ハロゲン組成
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、いかなるハロゲン組成であっても良いが、好ましくは、ヨウ化銀含有率が40モル%以上、100モル%以下と高い組成のものである。残りは特に制限はなく、塩化銀、臭化銀またはチオシアン酸銀や燐酸銀などの有機銀塩から選ぶことができるが、特に臭化銀、塩化銀であることが好ましい。この様なヨウ化銀含有率が高い組成のハロゲン化銀を用いることによって、現像処理後の画像保存性、特に光照射によるカブリの増加が著しく小さい好ましい熱現像感光材料が設計できる。
さらに、ヨウ化銀含有率が80モル%以上100モル%以下であると好ましく、特に90モル%以上100モル%以下であることが処理後の光照射に対する画像保存性の観点では極めて好ましい。
粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子も好ましく用いることができる。構造として好ましいものは2〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。コア部のヨウ化銀含有率が高いコア高ヨウ化銀構造、またはシェル部のヨウ化銀含有率が高いシェル高ヨウ化銀構造も好ましく用いることができる。また、粒子の表面にエピタキシャル部分とした塩化銀や臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
2)平均粒子サイズ
本発明に用いることの出来るハロゲン化銀の平均粒子サイズは、2つの好ましい領域がある。
1つの領域は、従来の臭化銀や低ヨウド含量のヨウ臭化銀に比べて十分に小さい領域である。好ましいハロゲン化銀の平均粒子サイズは5nm以上70nm以下であり、さらに5nm以上55nm以下であることが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、電子顕微鏡により観察した投影面積と同面積の円像に換算したときの直径の平均をいう。
もう一つの好ましい領域は、平均球相当直径が0.3μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは0.35μm以上3.0μm以下である。ここでいう平均球相当直径とは、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積と厚みから粒子体積を求め、同体積の球に換算したときの直径の平均をいう。
3)塗布量
この様なハロゲン化銀粒子の塗布量は、後述する非感光性有機銀塩の銀1モルに対して0.5モル%以上15モル%以下、好ましくは0.5モル%以上12モル%以下、10モル%以下であることがさらに好ましい。1モル%以上9モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは1モル%以上7モル%以下である。
4)粒子形成方法
感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており、例えば、リサーチディスクロージャー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載されている方法を用いることができるが、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と混合する方法を用いる。また、特開平11−119374号公報の段落番号0217〜0224に記載されている方法、特開平11−352627号、特願2000−42336号記載の方法も好ましい。
5)粒子形状
本発明におけるハロゲン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、十二面体、十四面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に平板状粒子、十二面体、十四面体が好ましい。ここでいう十二面体粒子とは、(001)、{1(−1)0}、{101}面を有する粒子で、十四面体粒子とは、(001)、{100}、{101}面を有する粒子である。ここで{100}は、(100)面と等価な面指数を持つ結晶面群を表す。
本発明における沃化銀は任意のβ相およびγ相含有率を取ることができる。上記のβ相とは六方晶系のウルツァイト構造を有する高沃化銀構造を指し、γ相とは立方晶系のジンクブレンド構造を有する高沃化銀構造を指す。
ここでいう平均γ相比率とは、C.R.Berry(ベリー)により提案された手法を用いて決定されるものである。この手法は、粉末X線回折法での沃化銀β相(100)、(101)、(002)とγ相(111)によるピーク比を元にして決定するもので、詳細については例えば、Physical Review,Volume161,Number3,Page848−851,1967年を参考にすることができる。
沃化銀の平板粒子の形成方法に関しては、特開昭59−119350、特開昭59−119344に記載の方法が好ましく用いられる。12面体、14面体、8面体に関しては、特願2002−081020、同2002−87955、同2002−91756を参考にして調製することができる。
平板状ハロゲン化銀の平均球相当直径は0.3μm以上8.0μm以下であり、さらに0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。ここでいう球相当直径とは、ハロゲン化銀1粒子の体積と同じ体積の球の直径を意味する。測定方法としては、電子顕微鏡により観察した個々の投影面積と厚みから粒子体積を求め、その体積と同じ体積の球に換算することにより求めることができる。
平板状ハロゲン化銀の平均厚みは0.3μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。
平板状粒子としては、アスペクト比が2以上100以下が好ましく、より好ましくは5以上50以下である。
本発明におけるヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン化銀は複雑な形態を取り得るが、好ましい形態は例えば、R.L.JENKINS etal. J of Phot. Sci. Vol.28 (1980)のp164−Fig1に示されているような接合粒子が挙げられる。同Fig.1に示されているような平板状粒子も好ましく用いられる。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法により求めることができる。
6)重金属
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属または金属錯体を含有することができる。周期律表の第8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加法については特開平7−225449号、特開平11−65021号段落番号0018〜0024、特開平11−119374号段落番号0227〜0240に記載されている。
本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯体としては、[Fe(CN)64-、[Fe(CN)63-、[Ru(CN)64-、[Os(CN)64-、[Co(CN)63-、[Rh(CN)63-、[Ir (CN)63-、[Cr(CN)63-、[Re(CN)63-などが挙げられる。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。
六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラ(n−ブチル)アンモニウムイオン)を用いることが好ましい。
六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和しうる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することができる。
六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下である。
六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セレン増感およびテルル増感のカルコゲン増感や金増感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工程前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加することが好ましい。
尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加した後から開始してもよく、98質量%添加した後から開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特に好ましい。
これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほとんどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。この六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩であるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可能となった。
さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)64-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法については特開平11−84574号段落番号0046〜0050、特開平11−65021号段落番号0025〜0031、特開平11−119374号段落番号0242〜0250に記載されている。
7)ゼラチン
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量は、10,000〜100,000の低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。また、フタル化処理したゼラチンを用いることも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形成時に使用することが好ましい。
8)化学増感
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、未化学増感でもよいが、カルコゲン増感法、金増感法、還元増感法の少なくとも1つの方法で化学増感されるのが好ましい。カルコゲン増感法としては、硫黄増感法、セレン増感法およびテルル増感法が挙げられる。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。
具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、NーエチルーN´ー(4ーメチルー2ーチアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5ーベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4ーオキソーオキサゾリジンー2ーチオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43ー13489号、同44ー15748号、特開平4ー25832号、同4ー109340号、同4ー271341号、同5ー40324号、同5ー11385号、特願平4ー202415号、同4ー330495号、同4ー333030号、同5ー4203号、同5ー4204号、同5ー106977号、同5ー236538号、同5ー241642号、同5ー286916号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,Nージメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニルートリメチルセレノ尿素、アセチルートリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,Nージエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルートリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリーp−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46ー4553号、同52ー34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4ー224595号、同4ー271341号、同4ー333043号、同5ー303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチルージイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシージフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーN−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニルーNーメチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニルーNーベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N´ージメチルエチレンテルロ尿素、N,N´ージフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好ましく、特に特開平11−65021号段落番号0030に記載の文献に記載の化合物、特開平5−313284号中の一般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好ましい。
特に本発明におけるカルコゲン増感においてはセレン増感とテルル増感が好ましく、特にテルル増感が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌、307巻、307105号に記載されている金増感剤を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレニドなどでありこれらにくわえて、米国特許第2642361号、同5049484号、同5049485号、同5169751号、同5252455号、ベルギー特許第691857などに記載の金化合物も用いることが出来る。またP.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号に記載されている金以外の、白金、パラジュウム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事も出来る。
金増感は単独で用いることもできるが、前記のカルコゲン増感と組み合わせて用いることが好ましい。具体的には金硫黄増感、金セレン増感、金テルル増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金セレンテルル増感、金硫黄セレンテルル増感である。
本発明においては、ハロゲン化銀溶剤の存在下で化学増感を行うことができる。具体的には、チオシアン酸塩(例えば、チオシアン酸カリウム)、チオエーテル化合物(例えば、米国特許第3021215号、同3271157号、特公昭58−30571号、特開昭60−136736号に記載の化合物、特に、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール)、四置換チオ尿素化合物(例えば、特公昭59−11892号、米国特許第4221863号等に記載の化合物、特に、テトラメチルチオ尿素)、さらに特公昭60−11341号に記載のチオン化合物、特公昭63−29727号、米国特許第4782013号等に記載のセレノエーテル化合物、特開平2−118566号に記載のテルロエーテル化合物、亜硫酸塩が挙げられる。特に、これらの中で、チオシアン酸塩、チオエーテル化合物、四置換チオ尿素化合物とチオン化合物が好ましく、この中でもさらにチオシアン酸塩が好ましい。使用量としては、ハロゲン化銀1モル当たり10-5モル〜10-3モル程度を用いることが出来る。
本発明においては、化学増感は粒子形成後で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感後、(4)塗布直前等があり得る。
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-7〜10-2モル程度を用いる。
同様に、本発明で用いられる金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-2モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-3モルである。この乳剤を化学増感する環境条件としてはいかなる条件でも選択可能ではあるが、pAgとしては8以下、好ましくは7.0以下より6.5以下、とくに6.0以下、およびpAgが1.5以上、好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上の条件であり、pHとしては3〜10、好ましくは4〜9、温度としては20〜95℃、好ましくは25〜80℃程度である。
本発明においてカルコゲン増感や金増感に加えて、さらに還元増感も併用することができる。とくにカルコゲン増感と併用するのが好ましい。
還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好ましく、その他に塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることが好ましい。還元増感剤の添加は、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程でもよい。また、乳剤のpHを8以上またはpAgを4以下に保持して熟成することにより還元増感することも好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することも好ましい。
還元増感剤の添加量としては、同様に種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-7モル〜10-1モル、より好ましくは10-6モル〜5×10-2モルである。
本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チオスルフォン酸化合物を添加してもよい。
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、金増感、カルコゲン増感、の少なくとも1つの方法で化学増感されていることが高感度の熱現像感光材料を設計する点から好ましい。
9)1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物
本発明における熱現像感光材料は、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物を含有することが好ましい。該化合物は、単独、あるいは前記の種々の化学増感剤と併用して用いられ、ハロゲン化銀の感度増加をもたらすことができる。
本発明における感光材料に含有される1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物とは以下のタイプ1、2から選ばれる化合物である。
(タイプ1)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
(タイプ2)
1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を経た後に、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物。
まずタイプ1の化合物について説明する。
タイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子を放出し得る化合物としては、特開平9−211769号(具体例:28〜32頁の表E及び表Fに記載の化合物PMT−1〜S−37)、特開平9−211774号、特開平11−95355号(具体例:化合物INV1〜36)、特表2001−500996号(具体例:化合物1〜74、80〜87、92〜122)、米国特許5,747,235号、米国特許5,747,236号、欧州特許786692A1号(具体例:化合物INV1〜35)、欧州特許893732A1号、米国特許6,054,260号、米国特許5,994,051号などの特許に記載の「1光子2電子増感剤」又は「脱プロトン化電子供与増感剤」と称される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
またタイプ1の化合物で、1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合開裂反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(1)(特開平2003−114487号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(2)(特開平2003−114487号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(3)(特開平2003−114488号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(4)(特開平2003−114488号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(5)(特開平2003−114488号に記載の一般式(3)と同義)、一般式(6)(特開平2003−75950号に記載の一般式(1)と同義)、一般式(7)(特開平2003−75950号に記載の一般式(2)と同義)、一般式(8)(特願平2003−25886号に記載の一般式(1)と同義)、又は化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物のうち一般式(9)(特願平2003−33446号に記載の一般式(3)と同義)で表される化合物が挙げられる。またこれらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2005134717
式中RED1、RED2は還元性基を表す。R1は炭素原子(C)とRED1とともに5員若しくは6員の芳香族環(芳香族複素環を含む)のテトラヒドロ体、若しくはオクタヒドロ体に相当する環状構造を形成しうる非金属原子団を表す。R2は水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。L1は脱離基をあらわす。EDは電子供与性基をあらわす。Z1は窒素原子とベンゼン環の2つの炭素原子とともに6員環を形成しうる原子団を表す。X1は置換基を表し、m1は0〜3の整数を表す。Z2は、−CR1112−、−NR13−、又は−O−を表す。R11、R12はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表す。R13は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。X1はアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。L2はカルボキシ基若しくはその塩又は水素原子を表す。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
次にタイプ2の化合物について説明する。
タイプ2の化合物で1電子酸化されて生成する1電子酸化体が、引き続く結合形成反応を伴って、さらに1電子若しくはそれ以上の電子を放出し得る化合物としては、一般式(10)(特開平2003−140287号に記載の一般式(1)と同義)、化学反応式(1)(特願平2003−33446号に記載の化学反応式(1)と同義)で表される反応を起こしうる化合物であって一般式(11)(特願平2003−33446号に記載の一般式(2)と同義)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物の好ましい範囲は、引用されている特許明細書に記載の好ましい範囲と同じである。
Figure 2005134717
式中、Xは1電子酸化される還元性基をあらわす。YはXが1電子酸化されて生成する1電子酸化体と反応して、新たな結合を形成しうる炭素−炭素2重結合部位、炭素−炭素3重結合部位、芳香族基部位、又はベンゾ縮環の非芳香族ヘテロ環部位を含む反応性基を表す。L2はXとYを連結する連結基を表す。R2は水素原子又は置換基を表す。同一分子内に複数のR2が存在する場合にはこれらは同じであっても異なっていても良い。X2はC=Cとともに5員のヘテロ環を形成する基を表す。Y2はC=Cとともに5員又は6員のアリール基又はヘテロ環基を形成する基を表す。Mはラジカル、ラジカルカチオン、又はカチオンを表す。
タイプ1、2の化合物のうち好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を有する化合物」であるか、又は「分子内に、分光増感色素の部分構造を有する化合物」である。ハロゲン化銀への吸着性基とは特開平2003−156823号明細書の16頁右1行目〜17頁右12行目に記載の基が代表的なものである。分光増感色素の部分構造とは同明細書の17頁右34行目〜18頁左6行目に記載の構造である。
タイプ1、2の化合物として、より好ましくは「分子内にハロゲン化銀への吸着性基を少なくとも1つ有する化合物」である。さらに好ましくは「同じ分子内にハロゲン化銀への吸着性基を2つ以上有する化合物」である。吸着性基が単一分子内に2個以上存在する場合には、それらの吸着性基は同一であっても異なっても良い。
吸着性基として好ましくは、メルカプト置換含窒素ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズオキサゾール基、2−メルカプトベンズチアゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えば、ベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)である。特に好ましくは、5−メルカプトテトラゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及びベンゾトリアゾール基であり、最も好ましいのは、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、及び5−メルカプトテトラゾール基である。
吸着性基として、分子内に2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する場合もまた特に好ましい。ここにメルカプト基(−SH)は、互変異性化できる場合にはチオン基となっていてもよい。2つ以上のメルカプト基を部分構造として有する吸着性基(ジメルカプト置換含窒素ヘテロ環基など)の好ましい例としては、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基が挙げられる。
また窒素又はリンの4級塩構造も吸着性基として好ましく用いられる。窒素の4級塩構造としては具体的にはアンモニオ基(トリアルキルアンモニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)アンモニオ基など)又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。リンの4級塩構造としては、フォスフォニオ基(トリアルキルフォスフォニオ基、ジアルキルアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、アルキルジアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基、トリアリール(又はヘテロアリール)フォスフォニオ基など)が挙げられる。より好ましくは窒素の4級塩構造が用いられ、さらに好ましくは4級化された窒素原子を含む5員環あるいは6員環の含窒素芳香族ヘテロ環基が用いられる。特に好ましくはピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基が用いられる。これら4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基は任意の置換基を有していてもよい。
4級塩の対アニオンの例としては、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、過塩素酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、BF4 -、PF6 -、Ph4-等が挙げられる。分子内にカルボキシレート基等に負電荷を有する基が存在する場合には、それとともに分子内塩を形成していても良い。分子内にない対アニオンとしては、塩素イオン、ブロモイオン又はメタンスルホネートイオンが特に好ましい。
吸着性基として窒素又はリンの4級塩構造有するタイプ1、2で表される化合物の好ましい構造は一般式(X)で表される。
一般式(X) (P−Q1−)i−R(−Q2−S)j
一般式(X)においてP、Rは、各々独立して増感色素の部分構造ではない窒素又はリンの4級塩構造を表す。Q1、Q2は、各々独立して連結基を表し、具体的には単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN−、−C(=O)−、−SO2−、−SO−、−P(=O)−の各基の単独、又はこれらの基の組み合わせからなる基を表す。ここにRNは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。Sはタイプ(1)又は(2)で表される化合物から原子を一つ取り除いた残基である。iとjは1以上の整数であり、i+jが2〜6になる範囲から選ばれるものである。好ましくはiが1〜3、jが1〜2の場合であり、より好ましくはiが1又は2、jが1の場合であり、特に好ましくはiが1、jが1の場合である。一般式(X)で表される化合物はその総炭素数が10〜100の範囲のものが好ましい。より好ましくは10〜70、さらに好ましくは11〜60であり、特に好ましくは12〜50である。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤調製時、熱現像感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば感光性ハロゲン化銀粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することもできる。添加位置として好ましくは、感光性ハロゲン化銀粒子形成終了時から脱塩工程の前、化学増感時(化学増感開始直前から終了直後)、塗布前であり、より好ましくは化学増感時から非感光性有機銀塩と混合される前までである。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高く又は低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高く又は低くして溶解し、これを添加しても良い。
本発明におけるタイプ1、タイプ2の化合物は感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層中に使用するのが好ましいが、感光性ハロゲン化銀と非感光性有機銀塩を含有する画像形成層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。これらの化合物の添加時期は、増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-1モル、更に好ましくは1×10-8〜5×10-2モルの割合でハロゲン化銀乳剤層(画像形成層)に含有する。
10)吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物
本発明においては、分子内にハロゲン化銀への吸着基と還元基を有する吸着性レドックス化合物を含有させることが好ましい。本吸着性レドックス化合物は下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
式(I) A−(W)n−B
式(I)中、Aはハロゲン化銀に吸着可能な基(以後、吸着基と呼ぶ)を表し、Wは2価の連結基を表し、nは0又は1を表し、Bは還元基を表す。
式(I)中、Aで表される吸着基とはハロゲン化銀に直接吸着する基、又はハロゲン化銀への吸着を促進する基であり、具体的には、メルカプト基(又はその塩)、チオン基(−C(=S)−)、窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基、スルフィド基、ジスルフィド基、カチオン性基、又はエチニル基等が挙げられる。
吸着基としてメルカプト基(又はその塩)とは、メルカプト基(又はその塩)そのものを意味すると同時に、より好ましくは、少なくとも1つのメルカプト基(又はその塩)の置換したヘテロ環基又はアリール基又はアルキル基を表す。ここにヘテロ環基とは、少なくとも5員〜7員の、単環若しくは縮合環の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環基、例えばイミダゾール環基、チアゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、トリアゾール環基、チアジアゾール環基、オキサジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリミジン環基、トリアジン環基等が挙げられる。また4級化された窒素原子を含むヘテロ環基でもよく、この場合、置換したメルカプト基が解離してメソイオンとなっていても良い。メルカプト基が塩を形成するとき、対イオンとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などのカチオン(Li+、Na+、K+、Mg2+、Ag+、Zn2+等)、アンモニウムイオン、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。
吸着基としてのメルカプト基はさらにまた、互変異性化してチオン基となっていても良い。
吸着基としてチオン基とは、鎖状若しくは環状のチオアミド基、チオウレイド基、チオウレタン基、又はジチオカルバミン酸エステル基も含まれる。
吸着基として窒素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含むヘテロ環基とは、イミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基、又は配位結合で銀イオンに配位し得る、"−S−"基又は"−Se−"基又は"−Te−"基又は"=N−"基をヘテロ環の部分構造として有するヘテロ環基で、前者の例としてはベンゾトリアゾール基、トリアゾール基、インダゾール基、ピラゾール基、テトラゾール基、ベンゾイミダゾール基、イミダゾール基、プリン基などが、後者の例としてはチオフェン基、チアゾール基、オキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基、トリアジン基、セレノアゾール基、ベンゾセレノアゾール基、テルルアゾール基、ベンゾテルルアゾール基などが挙げられる。
吸着基としてスルフィド基又はジスルフィド基とは、−S−、又は−S−S−の部分構造を有する基すべてが挙げられる。
吸着基としてカチオン性基とは、4級化された窒素原子を含む基を意味し、具体的にはアンモニオ基又は4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基を含む基である。4級化された窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基とは、例えばピリジニオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基、イミダゾリオ基などが挙げられる。
吸着基としてエチニル基とは、−C≡CH基を意味し、該水素原子は置換されていてもよい。
上記の吸着基は任意の置換基を有していてもよい。
さらに吸着基の具体例としては、さらに特開平11−95355号の明細書p4〜p7に記載されているものが挙げられる。
式(I)中、Aで表される吸着基として好ましいものは、メルカプト置換ヘテロ環基(例えば2−メルカプトチアジアゾール基、2−メルカプト−5−アミノチアジアゾール基、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール基、5−メルカプトテトラゾール基、2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール基、2−メルカプトベンズイミダゾール基、1,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート基、2,4−ジメルカプトピリミジン基、2,4−ジメルカプトトリアジン基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基、2,5−ジメルカプト−1,3−チアゾール基など)、又はイミノ銀(>NAg)を形成しうる−NH−基をヘテロ環の部分構造として有する含窒素ヘテロ環基(例えばベンゾトリアゾール基、ベンズイミダゾール基、インダゾール基など)であり、さらに好ましい吸着基は2−メルカプトベンズイミダゾール基、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール基である。
式(I)中、Wは2価の連結基を表す。該連結基は写真性に悪影響を与えないものであればどのようなものでも構わない。例えば炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から構成される2価の連結基が利用できる。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等)、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン基、ナフチレン基等)、−CO−、−SO2−、−O−、−S−、−NR1−、これらの連結基の組み合わせ等があげられる。ここでR1は水素原子、アルキル基、ヘテロ環基、アリール基を表わす。
Wで表される連結基は任意の置換基を有していてもよい。
式(I)中、Bで表される還元基とは銀イオンを還元可能な基を表し、例えばホルミル基、アミノ基、アセチレン基やプロパルギル基などの3重結合基、メルカプト基、ヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシウレタン類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類(レダクトン誘導体を含む)、アニリン類、フェノール類(クロマン−6−オール類、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−オール類、アミノフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びハイドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ベンゼントリオール類、ビスフェノール類のようなポリフェノール類を含む)、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類等から水素原子を1つ除去した残基が挙げられる。もちろん、これらは任意の置換基を有していても良い。
式(I)中、Bで表される還元基はその酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150−208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282−344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5 ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton−Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明におけるBで表される還元基は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0〜約0.7Vの範囲である。
式(I)中、Bで表される還元基は好ましくはヒドロキシルアミン類、ヒドロキサム酸類、ヒドロキシウレア類、ヒドロキシセミカルバジド類、レダクトン類、フェノール類、アシルヒドラジン類、カルバモイルヒドラジン類、3−ピラゾリドン類から水素原子を1つ除去した残基である。
本発明における式(I)の化合物は、その中にカプラー等の不動性写真用添加剤において常用されているバラスト基又はポリマー鎖が組み込まれているものでもよい。またポリマーとしては、例えば特開平1−100530号に記載のものが挙げられる。
本発明における式(I)の化合物はビス体、トリス体であっても良い。本発明における式(I)の化合物の分子量は好ましくは100〜10000の間であり、より好ましくは120〜1000の間であり、特に好ましくは150〜500の間である。
以下に本発明における式(I)の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005134717
さらに欧州特許1308776A2号明細書P73〜P87に記載の具体的化合物1〜30、1''−1〜1''−77も本発明における吸着基と還元性基を有する化合物の好ましい例として挙げられる。
これらの化合物は公知の方法にならって容易に合成することができる。本発明における式(I)の化合物は、一種類の化合物を単独で用いてもよいが、同時に2種以上の化合物を用いることも好ましい。2種類以上の化合物を用いる場合、それらは同一層に添加しても、別層に添加してもよく、またそれぞれ添加方法が異なっていてもよい。
本発明における式(I)の化合物は、ハロゲン化銀乳剤層に添加されることが好ましく、乳剤調製時に添加することがより好ましい。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げることができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。また画像形成層に使用するのが好ましいが、画像形成層とともに隣接する保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。
好ましい添加量は、上述した添加法や添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6モル以上1モル以下、好ましくは1×10-5モル以上5×10-1モル以下、さらに好ましくは1×10-4モル以上1×10-1モル以下である。
本発明における式(I)の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解して添加することができる。この際、酸又は塩基によってpHを適当に調整してもよく、また界面活性剤を共存させてもよい。さらに乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできる。また、固体分散物として添加することもできる。
11)増感色素
本発明に適用できる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。本発明における熱現像感光材料は特に600nm以上900nm以下、または300nm以上500nm以下に分光感度ピークを持つように分光増感されていることが好ましい。増感色素及び添加法については、特開平11−65021号の段落番号0103〜0109、特開平10−186572号一般式(II)で表される化合物、特開平11−119374号の一般式(I) で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,510,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜第20ページ第35行、特願2000−86865号、特願2000−102560号、特願2000−205399号等に記載されている。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
本発明における増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。
本発明は分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5−341432号、同11−109547号、同10−111543号等に記載の化合物が挙げられる。
12)ハロゲン化銀の併用
本発明に用いられる熱現像感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用いることで階調を調節することができる。これらに関する技術としては特開昭57−119341号、同53−106125号、同47−3929号、同48−55730号、同46−5187号、同50−73627号、同57−150841号などが挙げられる。感度差としてはそれぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好ましい。
13)ハロゲン化銀と有機銀塩の混合
本発明における感光性ハロゲン化銀の粒子は、非感光性有機銀塩の存在しないところで形成され、化学増感されることが特に好ましい。有機銀塩に対してハロゲン化剤を添加することによってハロゲン化銀を形成する方法では十分な感度が達成できない場合があるからである。
ハロゲン化銀と有機銀塩を混合する方法としては、別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があげられる。いずれの方法でも本発明における効果を好ましく得ることができる。
14)ハロゲン化銀の塗布液への混合
本発明におけるハロゲン化銀の画像形成層塗布液中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
(感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像後に実施的に減少させる化合物)
本発明においては、感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像前に対して熱現像後に実施的に減少させる化合物を含有するのが好ましい。
感光性ハロゲン化銀に由来する可視光吸収を熱現像後に実施的に減少させる化合物としては、ヨウ化銀錯形成剤を用いるのが特に好ましい。
<ヨウ化銀錯形成剤>
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、化合物中の窒素原子または硫黄原子の少なくとも一つが配位原子(電子供与体:ルイス塩基)として銀イオンに電子供与するルイス酸塩基反応に寄与することが可能である。錯体の安定性は、逐次安定度定数または全安定度定数で定義されるが、銀イオン、ヨウ化物イオン、および該銀錯形成剤の3者の組合せに依存する。一般的な指針として、分子内キレート環形成によるキレート効果や、配位子の酸塩基解離定数の増大などの手段によって、大きな安定度定数を得ることが可能である。
感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルは、透過法あるいは反射法により測定することができる。熱現像感光材料に添加された他の化合物に由来する吸収が感光性ハロゲン化銀の吸収と重なる場合には、差スペクトルあるいは溶媒による他の化合物の除去などの手段を単独で用いるか組み合わせることにより、感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルを観察できる。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤としては、少なくとも一つの窒素原子を含有する5〜7員の複素環化合物が好ましい。置換基としてメルカプト基、スルフィド基、チオン基を有さない化合物であるとき、該含窒素5−7員複素環は飽和であっても不飽和であってもよく、その他の置換基を有していてもよい。また、複素環上の置換基は、互いに結合して環を形成していてもよい。
好ましい5−7員複素環化合物の例としては、ピロール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾイミダゾール、1H−イミダゾール、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドリン、イソインドリンなどを挙げることができる。更に好ましくはピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾイミダゾール、1H−イミダゾール、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、1,8−ナフチリジン、1,10−フェナントロリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。特に好ましくはピリジン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、1,8−ナフチリジンまたは1,10−フェナントロリンなどを挙げることができる。
これらの環は置換基を有していてもよく、該置換基としては写真性に対して悪影響を及ぼさないものであれば、どのような置換基でも良い。好ましい例として、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
これら複素環には他の環が更に縮合していても良い。また、置換基がアニオン基(例えば、−CO2 -、−SO3 -、−S-など)の場合、本発明の含窒素複素環は陽イオン(例えば、ピリジニウム、1,2,4−トリアゾリウムなど)となって分子内塩を形成していても良い。
複素環化合物がピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、ナフチリジンまたはフェナントロリン誘導体であるとき、該化合物の酸解離平衡における含窒素複素環部分の共役酸のテトラヒドロフラン/水(3/2)混合溶液中25℃での酸解離定数(pKa)は3ないし8であることが更に好ましい。より好ましくは、pKaが4ないし7である。
このような複素環化合物としては、ピリジン、ピリダジンまたはフタラジン誘導体であることが好ましく、ピリジンまたはフタラジン誘導体であることが特に好ましい。
これらの複素環化合物が置換基としてメルカプト基、スルフィド基、チオン基を有する場合、ピリジン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール、チアジアゾールまたはオキサジアゾール誘導体であることが好ましく、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアゾール誘導体であることが特に好ましい。
例えば、該ヨウ化銀錯形成剤として、下記一般式(1)もしくは一般式(2)で表される化合物を利用することが出来る。
Figure 2005134717
一般式(1)において、R11およびR12は水素原子または置換基を表す。一般式(2)において、R21およびR22は水素原子または置換基を表す。ただし、R11とR12とがともに水素原子であること、R21とR22とがともに水素原子であることはない。ここでいう置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。
また、下記一般式(3)で表される化合物も好ましく利用出来る。
Figure 2005134717
一般式(3)において、R31−R35は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。 R31−R35で表される置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。一般式(3)で表される化合物が置換基を有する場合、好ましい置換位置は、R32−R34である。R31−R35は互いに結合して、飽和または不飽和の環を形成していてもよい。好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基等である。
一般式(3)で表される化合物は、ピリジン環部分の共役酸のテトラヒドロフラン/水(3/2)混合溶液中での25℃での酸解離定数(pKa)が3ないし8であることが好ましく、4ないし7であることが特に好ましい。
さらに一般式(4)で表される化合物も好ましい。
Figure 2005134717
一般式(4)において、R41−R44は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R41−R44は互いに結合して、飽和または不飽和の環を形成していてもよい。R41−R44で表される置換基としては前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。好ましい基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基ならびにベンゾ縮環によるフタラジン環の形成が挙げられる。一般式(4)で表される化合物の窒素原子の隣接炭素にヒドロキシル基が置換した場合には、ピリダジノンとの間に平衡が存在する。
一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(5)で表されるフタラジン環を形成していることが更に好ましく、このフタラジン環は更に、少なくとも一つの置換基を有していていることが特に好ましい。一般式(5)におけるR51−R56の例としては、前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。更に好ましい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。
Figure 2005134717
また、下記一般式(6)で表される化合物も好ましい形態である。
Figure 2005134717
一般式(6)において、R61−R63は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R62で表される置換基の例としては、前述の含窒素5−7員複素環型のヨウ化銀錯形成剤の置換基として説明したものが挙げられる。
好ましく用いられる化合物として下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005134717
一般式(7)において、R71−R72は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Lは2価の連結基を表す。nは0または1を表す。R71−R72で表される置換基としては、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基ならびにこれらを含有する複合置換基などが例として挙げられる。Lで表される2価の連結基は、好ましくは1ないし6原子分、さらに好ましくは1ないし3原子分の長さの連結基であり、更に置換基を有していてもよい。
好ましく用いられる化合物のさらに一つは一般式(8)で表される化合物である。
Figure 2005134717
一般式(8)において、R81−R84は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R81−R84で表される置換基としては、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基などが例として挙げられる。
上記ヨウ化銀錯形成剤の中で更に好ましいものは、一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)で表される化合物であり、一般式(3)、(5)で表される化合物が特に好ましい。
以下に、本発明におけるヨウ化銀錯形成剤の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005134717
Figure 2005134717
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、従来知られている色調剤の機能を果たす場合は、色調剤と共通の化合物であることもできる。本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、色調剤とともに併用して用いることができる。また、2種以上のヨウ化銀錯形成剤を併用しても良い。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、固体状態で膜中に存在させるなど、感光性ハロゲン化銀とは分離した状態で膜中に存在せしめることが好ましい。隣接層に添加することも好ましい。本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、熱現像温度に加熱された時に融解するように化合物の融点を適切な範囲に調整することが好ましい。
本発明において、熱現像後の感光性ハロゲン化銀の紫外可視吸収スペクトルの吸収強度が熱現像前と比較して80%以下となることが好ましく、40%以下となることが更に好ましく、10%以下となることが特に好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、溶液形態、乳化分散形態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。
よく知られている乳化分散法としては、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法が挙げられる。
また、固体微粒子分散法としては、本発明におけるヨウ化銀錯形成剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成する方法が挙げられる。尚、その際に保護コロイド(例えば、ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソプロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのアニオン性界面活性剤)を用いてもよい。上記ミル類では分散媒体としてジルコニア等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズから溶出するZr等が分散物中に混入することがある。分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲である。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下であれば実用上差し支えない。
水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は固体分散物として使用することが好ましい。
本発明におけるヨウ化銀錯形成剤は、感光性ハロゲン化銀に対して、1モル%〜5000モル%の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%〜1000モル%の範囲で、更に好ましくは50モル%〜300モル%の範囲である。
(バインダーの説明)
本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマーを使用してもよく、好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリマー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポリ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロース類、セルロースアセテート類、セルロースアセテートブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメタクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタクリル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、スチレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。
本発明では、有機銀塩を含有する層に併用できるバインダーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である(以下、高Tgバインダーということあり)ことが好ましく、10℃〜70℃であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書においてTgは下記の式で計算した。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用した。
バインダーは必要に応じて2種以上を併用しても良い。また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する場合には、その重量平均Tgが上記の範囲にはいることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布、乾燥して被膜を形成させることが好ましい。
本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成される場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポリマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以下になるように調製されたものであり、このような調製法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理する方法が挙げられる。
ここでいう前記ポリマーが可溶または分散可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下の水混和性の有機溶媒を混合したものである。水混和性の有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げることができる。
なお、ポリマーが熱力学的に溶解しておらず、いわゆる分散状態で存在している系の場合にも、ここでは水系溶媒という言葉を使用する。
また「25℃60%RHにおける平衡含水率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/W0]×100(質量%)
含水率の定義と測定法については、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。
本発明のバインダーポリマーの25℃60%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質量%以下が望ましい。
本発明においては水系溶媒に分散可能なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテックスやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分散しているものなどいずれでもよいが、ラテックス分散した粒子がより好ましい。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、好ましくは5〜1000nmの範囲で、より好ましくは10〜500nmの範囲、さらに好ましくは50〜200nmの範囲である。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。単分散の粒径分布を持つものを2種以上混合して使用することも塗布液の物性を制御する上で好ましい使用法である。
本発明において水系溶媒に分散可能なポリマーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポリ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができる。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよいし、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでもよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。これらポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜200000がよい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く好ましくない。また、架橋性のポリマーラ ッテクスは特に好ましく使用される。
<ラテックスの具体例>
好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のものを挙げることができる。以下では原料モノマーを用いて表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を表す。
P−1;−MMA(70)−EA(27)−MAA(3)−のラテックス(分子量37000、Tg61℃)
P−2;−MMA(70)−2EHA(20)−St(5)−AA(5)−のラテックス(分子量40000、Tg59℃)
P−3;−St(50)−Bu(47)−MAA(3)−のラテックス(架橋性、Tg−17℃)
P−4;−St(68)−Bu(29)−AA(3)−のラテックス(架橋性、Tg17℃)
P−5;−St(71)−Bu(26)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg24℃)
P−6;−St(70)−Bu(27)−IA(3)−のラテックス(架橋性)
P−7;−St(75)−Bu(24)−AA(1)−のラテックス(架橋性、Tg29℃)
P−8;−St(60)−Bu(35)−DVB(3)−MAA(2)−のラテックス(架橋性)
P−9;−St(70)−Bu(25)−DVB(2)−AA(3)−のラテックス(架橋性)
P−10;−VC(50)−MMA(20)−EA(20)−AN(5)−AA(5)−のラテックス(分子量80000)
P−11;−VDC(85)−MMA(5)−EA(5)−MAA(5)−のラテックス(分子量67000)
P−12;−Et(90)−MAA(10)−のラテックス(分子量12000)
P−13;−St(70)−2EHA(27)−AA(3)のラテックス(分子量130000、Tg43℃)
P−14;−MMA(63)−EA(35)− AA(2)のラテックス(分子量33000、Tg47℃)
P−15;−St(70.5)−Bu(26.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg23℃)
P−16;−St(69.5)−Bu(27.5)−AA(3)−のラテックス(架橋性,Tg20.5℃)
上記構造の略号は以下のモノマーを表す。MMA;メチルメタクリレート,EA ;エチルアクリレート、MAA;メタクリル酸,2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート,St;スチレン,Bu;ブタジエン,AA;アクリル酸,DVB;ジビニルベンゼン,VC;塩化ビニル,AN;アクリロニトリル,VDC;塩化ビニリデン,Et;エチレン,IA;イタコン酸。
以上に記載したポリマーラテックスは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。アクリル系ポリマーの例としては、セビアンA−4635,4718,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以 上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例としては、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。
これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。
<好ましいラテックス>
本発明に用いられるポリマーラテックスとしては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテックスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との重量比は40:60〜95:5であることが好ましい。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%であることが好ましい。また、本発明のポリマーラッテクスはアクリル酸またはメタクリル酸をスチレンとブタジエンの和に対して1〜6質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜5質量%含有する。本発明のポリマーラテックスはアクリル酸を含有することが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と同様である。
本発明に用いることが好ましいスチレン−ブタジエン酸共重合体のラテックスとしては、前記のP−3〜P−8,15、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C、Nipol Lx416等が挙げられる。
本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好ましくは20質量%以下が好ましい。
本発明の有機銀塩含有層(即ち、画像形成層)は、ポリマーラテックスを用いて形成されたものが好ましい。有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バインダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、より好ましくは1/3〜5/1の範囲、さらに好ましくは1/1〜3/1の範囲である。
また、このような有機銀塩含有層は、通常、感光性銀塩である感光性ハロゲン化銀が含有された感光性層(乳剤層)でもあり、このような場合の、全バインダー/ハロゲン化銀の重量比は400〜5、より好ましくは200〜10の範囲である。
本発明の画像形成層の全バインダー量は好ましくは0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2、さらに好ましくは2g/m2〜10g/m2の範囲である。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
<好ましい塗布液の溶媒>
本発明において感光材料の有機銀塩含有層塗布液の溶媒(ここでは簡単のため、溶媒と分散媒をあわせて溶媒と表す。)は、水を30質量%以上含む水系溶媒が好ましい。水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなど任意の水混和性有機溶媒を用いてよい。塗布液の溶媒の水含有率は50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が好ましい。好ましい溶媒組成の例を挙げると、水の他、水/メチルアルコール=90/10、水/メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチルアルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/10/5などがある(数値は質量%)。
(かぶり防止剤の説明)
本発明に用いることのできるカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は特開平10−62899号の段落番号0070、欧州特許公開第0803764A1号の第20頁第57行〜第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9−281637号、同9−329864号記載の化合物、米国特許6,083,681号、同6,083,681号、欧州特許1048975号に記載の化合物が挙げられる。また、本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、これらについては、特開平11−65021号の段落番号0111〜0112に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特に特開2000−284399号の式(P)で表される有機ハロゲン化合物、特開平10−339934号の一般式(II)で表される有機ポリハロゲン化合物、特開2001−31644号および特開2001−33911号に記載の有機ポリハロゲン化合物が好ましい。
1)有機ポリハロゲン化合物
以下、本発明で好ましい有機ポリハロゲン化合物について具体的に説明する。本発明の好ましいポリハロゲン化合物は下記一般式(H)で表される化合物である。
一般式(H)
Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X
一般式(H)において、Qはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表す。
一般式(H)においてQは好ましくはアリール基またはヘテロ環基である。
一般式(H)において、Qがヘテロ環基である場合、窒素原子を1ないし2含有する含窒素ヘテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−キノリル基が特に好ましい。
一般式(H)において、Qがアリール基である場合、Qは好ましくはハメットの置換基定数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216 等を参考にすることができる。このような電子求引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル基等があげられる。σp値としては好ましくは0.2〜2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範囲である。電子求引性基として特に好ましいのは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホスホリル基で、なかでもカルバモイル基が最も好ましい。
Xは、好ましくは電子求引性基であり、より好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、より好ましくは−C(=O)−、−SO2−であり、特に好ましくは−SO2−である。nは、0または1を表し、好ましくは1である。
以下に本発明の一般式(H)の化合物の具体例を示す。
Figure 2005134717
Figure 2005134717
上記以外の本発明の好ましいポリハロゲン化合物としては特開2001−31644号、同2001−56526号、同2001−209145号に記載の化合物が挙げられる。
本発明の一般式(H)で表される化合物は画像形成層の非感光性銀塩1モルあたり、10-4モル〜1モルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは10-3モル〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10-2モル〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。
本発明において、カブリ防止剤を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、有機ポリハロゲン化合物についても固体微粒子分散物で添加することが好ましい。
2)その他のかぶり防止剤
その他のカブリ防止剤としては特開平11−65021号段落番号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸類、特開2000−206642号のサリチル酸誘導体、特開2000−221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャー化合物、特開平11−352624号の請求項9に係るトリアジン化合物、特開平6−11791号の一般式(III)で表される化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン等が挙げられる。
本発明における熱現像感光材料はカブリ防止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリウム塩としては、特開昭59−193447号記載の一般式(XI)で表される化合物、特公昭55−12581号記載の化合物、特開昭60−153039号記載の一般式(II)で表される化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明においてアゾリウム塩の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特開平10−62899号の段落番号0067〜0069、特開平10−186572号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例として段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号の第20ページ第36〜56行に記載されている。その中でも特開平9−297367号、特開平9−304875号、特開2001−100358号、特願2001−104213号、特願2001−104214等に記載されているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。
2)色調剤
本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、色調剤については、特開平10−62899号の段落番号0054〜0055、欧州特許公開第0803764A1号の第21ページ第23〜48行、特開2000−356317号や特開2000−187298号に記載されており、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)との組合せ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチルフラタジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジンおよび2,3−ジヒドロフタラジン);フタラジン類とフタル酸類との組合せが好ましく、特にフタラジン類とフタル酸類の組合せが好ましい。そのなかでも特に好ましい組み合わせは6−イソプロピルフタラジンとフタル酸または4メチルフタル酸との組み合わせである。
3)可塑剤、潤滑剤
本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤滑剤については特開平11−65021号段落番号0117に記載されている。滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
4)染料、顔料
本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができる。これらについてはWO98/36322号、特開平10−268465号、同11−338098号等に詳細に記載されている。
5)超硬調化剤
印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調化剤やその添加方法及び添加量については、特開平11−65021号公報段落番号0118、特開平11−223898号公報段落番号0136〜0193、特願平11−87297号明細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65021号公報段落番号0102、特開平11−223898号公報段落番号0194〜0195に記載されている。
蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下で含有させることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、オルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1mg/m2〜500mg/m2が好ましく、0.5mg/m2〜100mg/m2がより好ましい。
(塗布液の調製および塗布)
本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下である。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが好ましい。
(層構成および構成成分)
本発明の画像形成層は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層で構成する場合は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含む。二層以上で構成する場合は、第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)中に有機銀塩および感光性ハロゲン化銀を含み、第2画像形成層または両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681号に記載されているように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に加えて非感光性層を有することができる。非感光性層は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層に分類できる。
また、光学フィルターとして作用する層を設けることができるが、(a)または(b)の層として設けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)の層として感光材料に設けられる。
1)表面保護層
本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。
表面保護層については、特開平11−65021号段落番号0119〜0120、特開2000−171936号に記載されている。
本発明の表面保護層のバインダーとしてはゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンとしてはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用することができる。PVAとしては、特開2000−171936号の段落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−203(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく挙げられる。保護層(1層当たり)のポリビニルアルコール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜4.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
表面保護層(1層当たり)の全バインダー(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3g/m2〜5.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜2.0g/m2がより好ましい。
2)アンチハレーション層
本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーション層を感光性層に対して光源から遠い側に設けることができる。
アンチハレーション層については特開平11−65021号段落番号0123〜0124、特開平11−223898号、同9−230531号、同10−36695号、同10−104779号、同11−231457号、同11−352625号、同11−352626号等に記載されている。
アンチハレーション層には、露光波長に吸収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよく、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好ましい。
可視域に吸収を有する染料を用いてハレーション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加してアンチハレーション層として機能させることが好ましい。これらの技術については特開平11−231457号等に記載されている。
消色染料の添加量は、染料の用途により決定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学濃度は、0.15〜2であることが好ましく0.2〜1であることがより好ましい。このような光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.001g/m2〜1g/m2程度である。
なお、このように染料を消色すると、熱現像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができる。二種類以上の消色染料を、熱消色型熱現像感光材料や熱現像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以上の塩基プレカーサーを併用してもよい。
このような消色染料と塩基プレカーサーを用いる熱消色においては、特開平11−352626号に記載のような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)、2−ナフチルベンゾエート等を併用することが熱消色性等の点で好ましい。
3)バック層
本発明に適用することのできるバック層については特開平11−65021号段落番号0128〜0130に記載されている。
本発明においては、銀色調、画像の経時変化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有する着色剤を添加することができる。このような着色剤は、特開昭62−210458号、同63−104046号、同63−103235号、同63−208846号、同63−306436号、同63−314535号、特開平01−61745号、特開平2001−100363などに記載されている。
このような着色剤は、通常、0.1mg/m2〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。
また、ベース色調を調整するために580〜680nmに吸収ピークを有する染料を使用することが好ましい。この目的の染料としては短波長側の吸収強度が小さい特開平4−359967、同4−359968記載のアゾメチン系の油溶性染料、特願2002−96797号記載のフタロシアニン系の水溶性染料が好ましい。この目的の染料はいずれの層に添加してもよいが、乳剤面側の非感光層またはバック面側に添加することがより好ましい。
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる片面感光材料であることが好ましい。
4)マット剤
本発明において、搬送性改良のためにマット剤を添加することが好ましく、マット剤については、特開平11−65021号段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤は感光材料1m2当たりの塗布量で示した場合、好ましくは1mg/m2〜400mg/m2、より好ましくは5mg/m2〜300mg/m2である。
本発明においてマット剤の形状は定型、不定形のいずれでもよいが好ましくは定型で、球形が好ましく用いられる。平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1.0μm〜8.0μm、さらに好ましくは2.0μm〜6.0μmの範囲である。また、サイズ分布の変動係数としては50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは、30%以下である。ここで変動係数とは(粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100で表される値である。また、変動係数が小さいマット剤で平均粒径の比が3より大きいものを2種併用することも好ましい。
また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上1500秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好ましく、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好ましくは500秒以下40秒以上である。
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
5)ポリマーラテックス
特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。このようなポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エチルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(16.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%)/ブチルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げられる。さらに、表面保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書のポリマーラテックスの組み合わせ、特開2000−267226号明細書の段落番号0021〜0025に記載の技術、特願平11−6872号明細書の段落番号0027〜0028に記載の技術、特開2000−19678号明細書の段落番号0023〜0041に記載の技術を適用してもよい。表面保護層のポリマーラテックスの比率は全バインダーの10質量%以上90質量%以下が好ましく、特に20質量%以上80質量%以下が好ましい。
6)膜面pH
本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。なお、膜面pHの測定方法は、特開2000−284399号明細書の段落番号0123に記載されている。
7)硬膜剤
本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著「THE THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITION」(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうばん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニルスルホンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6−208193号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号などのエポキシ化合物類、特開昭62−89048号などのビニルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。
硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前から直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。具体的な混合方法としては添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳「液体混合技術」(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用する方法がある。
8)界面活性剤
本発明に適用できる界面活性剤については特開平11−65021号段落番号0132、溶剤については同号段落番号0133、支持体については同号段落番号0134、帯電防止又は導電層については同号段落番号0135、カラー画像を得る方法については同号段落番号0136に、滑り剤については特開平11−84573号段落番号0061〜0064や特願平11−106881号段落番号0049〜0062記載されている。
本発明においてはフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ素系界面活性剤の具体例は特開平10−197985号、特開2000−19680号、特開2000−214554号等に記載された化合物があげられる。また、特開平9−281636号記載の高分子フッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像感光材料においては特開2002−82411号、特願2001−242357号および特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001−242357号および特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好ましい。
本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好ましい。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得られる。
フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳剤面、バック面それぞれに0.1mg/m2〜100mg/m2の範囲で、より好ましくは0.3mg/m2〜30mg/m2の範囲、さらに好ましくは1mg/m2〜10mg/m2の範囲である。特に特願2001−264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、0.01〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1〜5mg/m2の範囲がより好ましい。
9)帯電防止剤
本発明においては金属酸化物あるいは導電性ポリマーを含む導電層を有することが好ましい。帯電防止層は下塗り層、バック層表面保護層などと兼ねてもよく、また別途設けてもよい。帯電防止層の導電性材料は金属酸化物中に酸素欠陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZnO、TiO2、SnO2が好ましく、ZnOに対してはAl、Inの添加、SnO2に対してはSb、Nb、P、ハロゲン元素等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加が好ましい。特にSbを添加したSnO2が好ましい。異種原子の添加量は0.01〜30モル%の範囲が好ましく、0.1から10モル%の範囲がより好ましい。金属酸化物の形状は球状、針状、板状いずれでもよいが、導電性付与の効果の点で長軸/単軸比が2.0以上、好ましくは3.0〜50の針状粒子がよい。金属酸化物の使用量は好ましくは1mg/m2〜1000mg/m2の範囲で、より好ましくは10mg/m2〜500mg/m2の範囲、さらに好ましくは20mg/m2〜200mg/m2の範囲である。本発明の帯電防止層は乳剤面側、バック面側のいずれに設置してもよいが、支持体とバック層との間に設置することが好ましい。本発明の帯電防止層の具体例は特開平11−65021号段落番号0135、特開昭56−143430号、同56−143431号、同58−62646号、同56−120519号、特開平11−84573号の段落番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11−223898号の段落番号0078〜0084に記載されている。
10)支持体
透明支持体は二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持体は青色染料(例えば、特開平8−240877号実施例記載の染料−1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。支持体には、特開平11−84574号の水溶性ポリエステル、同10−186565号のスチレンブタジエン共重合体、特開2000−39684号や特願平11−106881号段落番号0063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術を適用することが好ましい。支持体に乳剤層もしくはバック層を塗布するときの、支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。
11)その他の添加剤
熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよい。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322号、EP803764A1号、特開平10−186567号、同10−18568号等を参考にすることができる。
12)塗布方式
本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布されても良い。具体的には、エクストルージョンコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーティング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類のホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーティング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert M. Schweizer著「LIQUID FILM COATING」(CHAPMAN & HALL社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージョンコーティング、またはスライドコーティング好ましく用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用いられる。スライドコーティングに使用されるスライドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1にある。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆することができる。本発明において特に好ましい塗布方法は特開2001−194748号、同2002−153808号、同2002−153803号、同2002−182333号に記載された方法である。
本発明における有機銀塩含有層塗布液は、いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。この技術については特開平11−52509号を参考にすることができる。本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上100,000 mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは500mPa・s以上20,000mPa・s以下である。また、剪断速度1000S-1においては1mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは5mPa・s以上80mPa・s以下である。
本発明の塗布液を調合する場合において2種の液を混合する際は公知のインライン混合機、インプラント混合機が好ましく用いられる。本発明の好ましいインライン混合機は特開2002−85948号に、インプラント混合機は特開2002−90940号に記載されている。
本発明における塗布液は塗布面状を良好に保つため脱泡処理をすることが好ましい。本発明の好ましい脱泡処理方法については特開2002−66431号に記載された方法である。
本発明の塗布液を塗布する際には支持体の耐電による塵、ほこり等の付着を防止するために除電を行うことが好ましい。本発明において好ましい除電方法の例は特開2002−143747に記載されている。
本発明においては非セット性の画像形成層塗布液を乾燥するため乾燥風、乾燥温度を精密にコントロールすることが重要である。本発明の好ましい乾燥方法は特開2001−194749号、同2002−139814号に詳しく記載されている。
本発明の熱現像感光材料は成膜性を向上させるために塗布、乾燥直後に加熱処理をすることが好ましい。加熱処理の温度は膜面温度で60℃〜100℃の範囲が好ましく、加熱時間は1秒〜60秒の範囲が好ましい。より好ましい範囲は膜面温度が70〜90℃、加熱時間が2〜10秒の範囲である。本発明の好ましい加熱処理の方法は特開2002−107872号に記載されている。
また、本発明の熱現像感光材料を安定して連続製造するためには特開2002−156728号、同2002−182333号に記載の製造方法が好ましく用いられる。
熱現像感光材料は、モノシート型(受像材料のような他のシートを使用せずに、熱現像感光材料上に画像を形成できる型)であることが好ましい。
13)包装材料
本発明の感光材料は生保存時の写真性能の変動を押えるため、もしくはカール、巻癖などを改良するために、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料で包装することが好ましい。酸素透過率は25℃で50ml/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは10ml/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1.0ml/atm・m2・day以下である。水分透過率は10g/atm・m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは5g/atm・m2・day以下、さらに好ましくは1g/atm・m2・day以下である。
該酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具体例としては、たとえば特開平8−254793号。特開2000−206653号明細書に記載されている包装材料である。
14)その他の利用できる技術
本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術としては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特開昭56−62648号、同58−62644号、特開平9−43766、同9−281637、同9−297367号、同9−304869号、同9−311405号、同9−329865号、同10−10669号、同10−62899号、同10−69023号、同10−186568号、同10−90823号、同10−171063号、同10−186565号、同10−186567号、同10−186569号〜同10−186572号、同10−197974号、同10−197982号、同10−197983号、同10−197985号〜同10−197987号、同10−207001号、同10−207004号、同10−221807号、同10−282601号、同10−288823号、同10−288824号、同10−307365号、同10−312038号、同10−339934号、同11−7100号、同11−15105号、同11−24200号、同11−24201号、同11−30832号、同11−84574号、同11−65021号、同11−109547号、同11−125880号、同11−129629号、同11−133536号〜同11−133539号、同11−133542号、同11−133543号、同11−223898号、同11−352627号、同11−305377号、同11−305378号、同11−305384号、同11−305380号、同11−316435号、同11−327076号、同11−338096号、同11−338098号、同11−338099号、同11−343420号、特開2000−187298号、同2000−10229号、同2000−47345号、同2000−206642号、同2000−98530号、同2000−98531号、同2000−112059号、同2000−112060号、同2000−112104号、同2000−112064号、同2000−171936号も挙げられる。
(画像形成方法)
1)露光
赤〜赤外発光のHe−Neレーザー、赤色半導体レーザー、あるいは青〜緑発光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半導体レーザーである。好ましくは、赤色〜赤外半導体レーザーであり、レーザー光のピーク波長は、600nm〜900nm、好ましくは620nm〜850nmである。一方、近年、特に、SHG(Second Harmonic Generator)素子と半導体レーザーを一体化したモジュールや青色半導体レーザーが開発されてきて、短波長領域のレーザー出力装置がクローズアップされてきた。青色半導体レーザーは、高精細の画像記録が可能であること、記録密度の増大、かつ長寿命で安定した出力が得られることから、今後需要が拡大していくことが期待されている。青色レーザー光のピーク波長は、300nm〜500nm、特に400nm〜500nmが好ましい。
レーザー光は、高周波重畳などの方法によって縦マルチに発振していることも好ましく用いられる。
2)熱現像
本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80℃〜250℃であり、好ましくは100℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。現像時間としては、通常1秒〜60秒で行われるが、本願の画像形成方法では15秒以下の迅速現像が好ましく、より好ましくは7秒〜15秒である。
熱現像の方式としてはドラム型ヒーター、プレート型ヒーターのいずれを使用してもよいが、プレート型ヒーター方式がより好ましい。プレート型ヒーター方式による熱現像方式とは特開平11−133572号に記載の方法が好ましく、潜像を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、前記加熱手段がプレートヒーターからなり、かつ前記プレートヒーターの一方の面に沿って複数個の押えローラが対向配設され、前記押えローラと前記プレートヒーターとの間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うことを特徴とする熱現像装置である。プレートヒーターを2〜6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、119℃、121℃、120℃になるように制御する例が挙げられる。このような方法は特開昭54−30032号にも記載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支持体形状の変化を抑えることもできる。
熱現像機の小型化および熱現像時間の短縮のためには、より安定なヒーター制御ができることが好ましく、また、1枚のシート感材を先頭部から露光開始し、後端部まで露光が終わらないうちに熱現像を開始することが望ましい。本発明に好ましい迅速処理ができるイメージャーは例えば特願2001−088832号および同−091114号に記載されている。このイメージャーを使用すれば例えば、107℃−121℃−121℃に制御された3段のプレート型ヒーターで14秒で熱現像処理ができ、1枚目の出力時間は約60秒に短縮することができる。このような迅速現像処理では、前述の種々の問題があり、本発明の熱現像感光材料を組み合わせて使用することが特に好ましい。
3)熱現像装置
以下、本発明に係る熱現像方法及び熱現像装置の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を表す構成図、図2は本発明に係る熱現像感光材料の断面図、図3は第1加熱手段及び第2加熱手段によって交互に加熱される熱現像感光材料表裏面の温度と時間との相関を表した説明図、図4は制御手段のブロック図である。
本実施形態による熱現像装置100は、熱現像感光材料Aを加熱し、画像形成層に記録された潜像を顕像化する。熱現像装置100に用いられる熱現像感光材料Aは、図2に示す支持体31の一方の面である第1面33aと、他方の面である第2面33bとの双方に、画像形成層35、35が設けられる。
熱現像装置100では、例えば熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとの双方に、図示しない蛍光増感紙が配置される直接撮影用としての熱現像感光材料Aが使用可能となる。蛍光増感紙はX線が当たると励起して蛍光を発するものである。第1面33aと第2面33 bとに設けられたそれぞれの画像形成層35、35は、蛍光増感紙からの蛍光によって、少ないX線量で感光する。なお、この熱現像感光材料Aについては後に詳述する。
画像形成層35に潜像の形成された熱現像感光材料Aは、通常、一枚ずつカセッテ37に収容されており、このカセッテ37ごと熱現像装置100に供給される。熱現像装置100に供給されたカセッテ37は、開閉蓋39が開かれ、吸盤41等を用いた取出手段によって、収容された熱現像感光材料Aが取り出される。
なお、熱現像装置100は、潜像の形成された複数枚の熱現像感光材料Aをまとめて収容する図示しないマガジンが装着される構造であってもよい。この場合は、潜像の形成されたそれぞれの熱現像感光材料Aは、暗室等によりカセッテ37から取出されてマガジンに積層して収容される。マガジンに積層収納された熱現像感光材料Aは、1枚ずつ吸盤41によって取出される。また、吸盤41に代えて、ピックアップローラとしてもよい。
このようにして取出された熱現像感光材料Aは、搬送ローラ対43、搬送ガイド45を経て搬送方向の下流に位置する熱現像部47へ移送される。なお、搬送ローラ対43と熱現像部47との間には、取り出した熱現像感光材料Aを、搬送方向と直交する方向に位置合わせして、下流の熱現像部47における熱現像感光材料Aの位置合わせをする幅寄せ部を設けても良い。
熱現像部47には、熱現像感光材料Aの第1面33aを加熱する第1加熱手段49aと、熱現像感光材料Aの第2面33bを加熱する第2加熱手段49bとが、熱現像感光材料Aの搬送路Cを挟んで交互に配設されている。本実施形態において、第1加熱手段49a、第2加熱手段49bは、プレート51と、このプレート51に熱現像感光材料Aを押し当てて回転する押さえローラ53とから構成される。加熱源となるヒータは、プレート51又は押さえローラ53の少なくともいずれか一方に内蔵されていればよい。
本実施形態では、加熱源となるヒータがプレート51に内蔵されている。従って、第1加熱手段49aでは熱現像感光材料Aの第1面33aに対面してプレート51が配設され、第2加熱手段49bでは熱現像感光材料Aの第2面33bに対面してプレート51が配設されている。これにより、熱現像感光材料Aの第1面33aと、第2面33bとが交互に加熱されるようになっている。なお、本明細書でいう交互加熱とは、最初に第1面33aを加熱した後、次に第2面33bを加熱して、加熱を終了する場合、即ち、表裏を一回ずつのみ順次に加熱する場合も含むものとする。
プレート51は、円弧状の湾曲形状を有し、内面側に押さえローラ53が配置される。熱現像感光材料Aは、プレート51と押さえローラ53との間隙で形成される搬送路Cに搬入され、押さえローラ53によってプレート51に押さえ付けられつつ、プレート51と摺接した状態で搬送され、プレート51の熱によって熱現像される。
プレート51の熱源には特に限定はなく、ニクロム線等の発熱体を用いたものや、ハロゲンランプ等の光源を用いたもの、熱風による加熱を行うもの等、公知の加熱手段を用いたものでよい。
押さえローラ53としては、金属ローラ、耐熱性樹脂ローラ、耐熱性ゴムローラ等が利用可能であり、プレート51の全域に渡って、複数配置されるのが好ましい。
この熱現像部47では、第1加熱手段49aにおいて、熱現像感光材料Aの第2面33bが押さえローラ53に押圧されて、第1面33aがプレート51に押し当てられた後、熱現像感光材料Aが第2加熱手段49bへ移送されると、次は第1面33aが押さえローラ53に押圧されて、第2面33bがプレート51に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2 面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止され、且つ両面が均一に加熱可能となる。また、この構成では、押さえローラ53のみが回転するので、可動部品を少なくし、構造の簡素化が可能となる。
ところで、熱現像部47は、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとから印加される画像形成層35に対する現像反応温度以上の各総加熱量が、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように設定されている。
また、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの双方が熱現像感光材料Aのガラス転移温度以上に設定され、且つ熱現像感光材料Aの搬送方向上流側の加熱手段(第2加熱手段49a)が搬送方向下流側の加熱手段(第1加熱手段49b)より低温に設定されている。
上記の総加熱量は、現像反応温度以上の温度と該現像反応温度に達した後の経過時間との積分値として定めることができる。即ち、図3に示すグラフにおいて、第1面33aの総加熱量は、現像反応温度Tを表す線分T0と、第1面33aの温度変化を表す曲線K1
とに挟まれる面積S1として得られる。また、第2面33bの総加熱量は、現像反応温度
Tを表す線分T0と、第2面33bの温度変化を表す曲線K2とに挟まれる面積S2として得られる。このように、第1面33a、第2面33bのそれぞれに印加される総加熱量(S1、S2)が温度及び時間の積分値で定められることで、総加熱量が第1加熱手段49a及び第2加熱手段49bにおける温度と時間との具体的なパラメータで制御可能となり、熱現像感光材料Aの両面における総加熱量の均等化が容易となる。
なお、総加熱量は、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの加熱温度、及び第1加熱手段49a、第2加熱手段49bと熱現像感光材料Aとの接触長さL1、L2をパラメータとし、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように設定されてもよい。これによっても、総加熱量が温度と、接触長さL1、L2との具体的なパラメータで制御可能となり、熱現像感光材料Aの両面における総加熱量の均等化が容易となる。
また、熱現像感光材料Aは、上記の構成により、加熱対象面が第1面33aであるときにガラス転移温度以上となり、加熱対象面が第1面33aから第2面33bに移行した際もガラス転移温度以上となっており、熱現像感光材料Aが軟化状態に維持される。これにより、熱現像感光材料Aの押さえローラ53による押さえ付け等による皺の発生が防止される。また、第1加熱手段49aの加熱温度が、第1加熱手段49bの加熱温度より低く設定されることで、加熱初期の第1面33aへの加熱が急激な温度上昇となることを防止できる。これにより、熱現像感光材料Aの急激な熱膨張による皺の発生も防止される。
また、熱現像部47では、第1加熱手段49aと第2加熱手段49bとの隙間δが100mm以下に設定されている。従って、第1加熱手段49aによって第1面33aの加熱された熱現像感光材料Aが、第2面33bの加熱のために第2加熱手段49bへ移送される際、その隙間δが100mm以下となることで、第1加熱手段49aによって加熱された熱現像感光材料Aの温度低下が極力防止される。これにより、熱現像感光材料Aは、加熱対象である面が表裏入れ替わっても図3に示すように所定温度以上に保持され、現像反応が遅れることなく連続的に促進される。
そして、熱現像部47で現像の完了した熱現像感光材料Aは、図1に示す搬送方向下流に配設された徐冷部61に供給される。徐冷部61は、複数の冷却ローラ対63からなり、加熱現像された熱現像感光材料Aを徐々に冷却する機能を有する。そして、徐冷部61で徐冷された熱現像感光材料Aは、排出ローラ対65及び67によって搬送方向下流に移送され、トレイ69 に排出される。
また、熱現像装置100は、第1加熱手段49a、第2加熱手段49b、熱現像感光材料Aの搬送速度を制御するための制御部71を備える。制御部71は、図4に示すように、第1温度設定部73を介して第1加熱手段49aを制御し、第2温度設定部75を介して第2加熱手段49bを制御する。また、搬送速度設定部77を介して搬送モータ等の搬送駆動部79を制御する。制御部71は、第1面33aと第2面33bとに加えられる総加熱量が上記した所定の範囲となるように、温度と、搬送速度をパラメータとして制御を行う。
従って、この熱現像装置100によれば、最初に熱現像感光材料Aが第1面33aから加熱され、その後、第2面33bが加熱されて、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が抑止されながら、両面が熱現像される。しかも、第1面33aへの総加熱量に対して第2面33bへの総加熱量が所定の範囲で設定されているので、熱現像感光材料Aの両面に加わる総加熱量が略均等となる。これにより、熱現像感光材料Aは、皺、色調ずれ、濃度変動を発生させることなく、両面均一に熱現像される。
また、この熱現像装置100を用いた熱現像方法は、熱現像感光材料Aの第1面33aと、第2面33bとを交互に加熱し、第1面33aと第2面33bとから印加される画像形成層35に対する現像反応温度以上の各総加熱量を、第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量を100±30の範囲とするので、熱現像感光材料Aの両面が均等に加熱されて均一な現像がなされる。これに加え、第1面33aと第2面33bとが交互に加熱されても、急激な温度上昇が防止されて両面が均一に加熱可能となる。これにより、両面に画像形成層35を有する熱現像感光材料Aの場合であっても、皺の発生が防止されるとともに、色調ずれ、濃度変動が防止され、両面均一な熱現像が可能となる。従って、熱現像感光材料Aの表裏を何ら意識することなく、熱現像装置への搬入と現像とを実施することができる。
次に、本発明に係る熱現像装置の他の実施形態を説明する。
なお、以下の各実施形態では、熱現像装置の要部(熱現像部)のみを示す。また、いずれの熱現像部も、第1加熱手段と第2加熱手段とによって、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱され、且つ第1面33aへの総加熱量を100としたときに、第2面33bへの総加熱量が100±30の範囲となるように構成されている。
図5はドラムと押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した第2の実施形態の構成図である。
この熱現像装置200は、第1加熱手段81a、第2加熱手段81bのそれぞれが、回転駆動される円筒状のドラム83と、このドラム83の周表面に熱現像感光材料Aを押し当てて回転する複数の押さえローラ85とを有して構成される。加熱源となるヒータは、ドラム83又は押さえローラ85のいずれか一方に内蔵される。本実施形態では、ドラム83に熱源となるヒータが内蔵されている。
第1加熱手段81aと第2加熱手段81bとは接近して配設され、第1加熱手段81aのドラム83と、第2加熱手段81bのドラム83とは、逆回転駆動される。従って、第1加熱手段81aと第2加熱手段81bとは、S字状の搬送路Cを形成している。この実施形態による熱現像装置200においても、熱現像感光材料Aは第1加熱手段81aによって第1面33aが加熱された後、第2加熱手段81bによって第2面33bが加熱される。
第1加熱手段81aに移送された熱現像感光材料Aは、ドラム83と押さえローラ85とによって挟持搬送されて、第1面33aがドラム83に密着した状態で搬送され、ドラム83の発熱によって熱現像されて、露光された潜像が可視像となる。次いで、第1面33aの 加熱された熱現像感光材料Aは、第2加熱手段81bへ移送され、同様に、ドラム83と押さえローラ85とによって挟持搬送されて、第2面33bがドラム83に密着した状態で搬送され、ドラム83の発熱によって熱現像される。
この熱現像装置200によれば、第1加熱手段81aにおいて、熱現像感光材料Aの第1面33aがドラム83に押し当てられた後、第2加熱手段81bで第2面33bがドラム83に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止され、且つ両面が均一に加熱可能となる。また、この構成では、熱現像感光材料Aの移送に同期してドラム83及び押さえローラ85が回転されるので、加熱手段と熱現像感光材料Aとに擦れが生じない。
次に、本発明に係る熱現像装置の第3の実施形態を説明する。
図6は支持体、無端ベルト及び押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。
この熱現像装置300は、第1加熱手段91a、第2加熱手段91bのそれぞれが、加熱源となるヒータHの内蔵されたパイプ状の支持体93と、この支持体93を包囲して設けられた無端ベルト95と、この無端ベルト95を支持体93に押圧しながら回転することで無端ベルト95を従動回転させる押さえローラ97とからなる。無端ベルト95は、アルミニウム、樹脂等の十分な熱伝導度を有する材料で形成される他、ラバーヒータ等からなるものであってもよい。なお、第1加熱手段91aと第2加熱手段91bは、熱現像感光材料Aの表裏両面が均等に加熱されるように各加熱手段の加熱量が調整されていれば、第1加熱手段91aと第2加熱手段91bの配置個数は同数でなくてもよい。
この熱現像装置300によれば、例えば、図中左側の第1加熱手段91aにおいて、熱現像感光材料Aの第2面33bが押さえローラ97に押圧されて、第1面33aが無端ベルト95を介して支持体93に押し当てられた後、熱現像感光材料Aが第2加熱手段91bへ移送されると、次は第1面33aが押さえローラ97に押圧されて、第2面33bが無端ベルト95を介して支持体93に押し当てられ、熱現像感光材料Aの第1面33aと第2面33bとが交互に加熱される。これにより、熱現像感光材料Aの両面が均一に加熱可能となり、複数の加熱手段によって段階的に加熱することで、急激な温度上昇も防止される。また、この構成では、支持体93を包囲して設けられた無端ベルト95が熱現像感光材料Aの移送に同期して移動され、加熱手段と熱現像感光材料Aとに擦れが生じないため、画像形成層に損傷が生じることがない。
次に、本発明に係る熱現像装置の第4の実施形態を説明する。
図7は複数組の第1加熱手段と第2加熱手段とを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。
この熱現像装置400は、熱現像感光材料Aの搬送路Cに沿ってヒートローラ101からなる第1加熱手段101aと、同様のヒートローラ101からなる第2加熱手段101bとが複数組配設されている。ヒートローラ101は、円筒状の加熱体103と、この加熱体103を内側から加熱するハロゲンヒータ等の加熱源105とを有して構成される。
特に、本実施形態では、第1加熱手段101aと第2加熱手段101bとが、熱現像感光材料Aの搬送路Cを挟んで千鳥状に配置されている。
従って、熱現像装置400によれば、1組目の第1加熱手段101a、第2加熱手段101bによって熱現像感光材料Aの第1面33a、第2面33bが交互に加熱された後、熱現像感光材料Aが2組目の第1加熱手段101a、第2加熱手段101bに移送されると、再び第1面33a、第2面33bが交互に加熱され、これらの交互加熱が加熱手段の配設組数だけ繰り返される。これにより、熱現像感光材料Aの急激な温度上昇が防止されて緩やかな昇温が可 能となり、且つ両面が均一に加熱可能となる。
また、この熱現像装置400は、搬送路Cに沿って複数組配設される第1加熱手段101aと第2加熱手段101bとが千鳥状に配置されているので、搬送路Cの一方側に配設される複数の第1加熱手段101aと、搬送路Cの他方側に配設される複数の第2加熱手段101bとが、隣接する加熱手段との間の隙間に交互に入り込み、各加熱手段に接触角度を持たせた配置としている。従って、搬送路Cは波形状に形成される。これにより、熱現像感光材料Aと加熱手段との接触面積が増大し、熱現像感光材料Aへの熱伝達の効率が高められるようになる。
(本発明の用途)
本発明の画像形成方法は、銀画像による黒白画像を形成し、医療診断用の熱現像感光材料として使用することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(PET支持体の作成)
1−1.製膜
テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出して急冷し、未延伸フィルムを作成した。
これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得た。
1−2.表面コロナ放電処理
ピラー社製ソリッドステートコロナ放電処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kv・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.6mmであった。
1−3.下塗り
1)下塗層塗布液の作成
高松油脂(株)製ペスレジンA−520(30質量%溶液) 46.8g
東洋紡績(株)製バイロナールWD−1200 10.4g
ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル
(平均エチレンオキシド数=8.5) 1質量%溶液 11.0g
綜研化学(株)製MP−1000(PMMAポリマー微粒子、平均粒径0.4μm)
0.91g
蒸留水 931ml
2)下塗り
上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面に、上記コロナ放電処理を施した後上記下塗り塗布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分間乾燥して下塗り支持体を作製した。
2.画像形成層、中間層、および表面保護層
2−1.塗布用材料の準備
1)ハロゲン化銀乳剤
(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)
蒸留水1421mlに1質量%ヨウ化カリウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5モル/L硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液160mlを添加した溶液を、ステンレス製反応壷中で撹拌しながら75℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加え218mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム36.6gを蒸留水にて366mlに希釈した溶液Bを、溶液Aは一定流量で16分かけて全量添加し、溶液BはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加えて508.2mlに希釈した溶液Cとヨウ化カリウム63.9gを蒸留水にて639mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で80分かけて全量添加し、溶液DはpAgを10.2に維持しながらコントロールダブルジェット法で添加した。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イリジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液Dを添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加した。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作成した。
ハロゲン化銀乳剤Aは、純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径0.93μm、平均投影面積直径の変動係数17.7%、平均厚み0.057μm、平均アスペクト比16.3の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.42μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の90%以上がγ相で存在していた。
(ハロゲン化銀乳剤Bの調製)
ハロゲン化銀乳剤Aで調製した平板状粒子AgI乳剤1モルを反応容器に入れた。pAgは38℃で測定して10.2であった。次いで、ダブルジェット添加により、0.5モル/リットルのKBr溶液及び0.5モル/リットルのAgNO3溶液を10ml/分で10分間にわたって添加し、実質的に5モル%臭化銀をAgIホスト乳剤上にエピタキシャル状に沈殿させた。操作中、pAgは10.2に維持した。
さらに、0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8に調製し、撹拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこなった。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてpH5.9に調整し、pAg11.0のハロゲン化銀分散物を作製した。
上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38℃に維持して、0.34質量%の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に60℃に昇温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液で銀1モル当たり2.0×10-5モル加えて91分間熟成した。その後、N,N’−ジヒドロキシ−N’’、N’’−ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3mlを加え、さらに4分後に、5−メチル−2−メルカプトベンゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×10-3モル、1−フェニル−2−ヘプチル−5−メルカプト−1,3,4−トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを水溶液で銀1モルに対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤Bを作成した。
(ハロゲン化銀乳剤Cの調製)
ハロゲン化銀乳剤Aと同様にして2,2’−(エチレンジチオ)ジエタノールの5質量%メタノ−ル溶液の添加量、粒子形成時の温度、溶液Aの添加時間を適宜変更してハロゲン化銀乳剤Cを調整した。ハロゲン化銀乳剤Cは純ヨウ化銀乳剤であり、平均投影面積直径1.369μm、平均投影面積直径の変動係数19.7%、平均厚み0.130μm、平均アスペクト比11.1の平板状粒子が全投影面積の80%以上を占めていた。球相当直径は0.71μmであった。X線粉末回折分析による解析の結果、ヨウ化銀の90%以上がγ相で存在していた。
(ハロゲン化銀乳剤Dの調製)
ハロゲン化銀乳剤Cを用いたこと以外は、ハロゲン化銀乳剤Bとまったく同様にして、臭化銀エピタキシャル5モル%を含有するハロゲン化銀乳剤Dを調整した。
<塗布液用混合乳剤の調製>
ハロゲン化銀乳剤Bとハロゲン化銀乳剤Dを銀モル比として3:2になる量を溶解し、ベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した。さらに1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子もしくはそれ以上の電子を放出し得る化合物化合物1と2と3をそれぞれハロゲン化銀の銀1モル当たり2×10-3モルになる量を添加した。
また吸着基と還元基を有する化合物1と2をそれぞれハロゲン化銀1モルあたり8×10-3モルになる量を添加した。
さらに塗布液用混合乳剤1リットルあたりハロゲン化銀の含有量が銀として15.6gとなるように加水した。
2)脂肪酸銀分散物の調製
<再結晶ベヘン酸の調製>
ヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor C22−85R)100kgを、1200kgのイソプロピルアルコールにまぜ、50℃で溶解し、10μmのフィルターで濾過した後、30℃まで、冷却し、再結晶を行った。再結晶をする際の、冷却スピードは、3℃/時間にコントロールした。得られた結晶を遠心濾過し、100kgのイソプルピルアルコールでかけ洗いを実施した後、乾燥を行った。得られた結晶をエステル化してGC−FID測定をしたところ、ベヘン酸含有率は96モル%、それ以外にリグノセリン酸が2モル%、アラキジン酸が2モル%、エルカ酸0.001モル%含まれていた。
<脂肪酸銀分散物−Aの調製>
再結晶ベヘン酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液Bを得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分かけて添加した。このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調製した。
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。
得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μm、平均アスペクト比2.1、球相当径の変動係数11%の結晶であった(a、b、cは本文の規定)。
乾燥固形分260kg相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217)19.3kgおよび水を添加し、全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業製:PM−10型)で予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に設定した。
<脂肪酸銀分散物−B〜Fの調製>
脂肪酸銀分散物−Aの調製において、再結晶ベヘン酸の代わりに表1に示す脂肪酸組成の脂肪酸を用いて同様に脂肪酸銀分散物−B〜Fを調製した。
Figure 2005134717
3)還元剤分散物の調製
<還元剤−1分散物の調製>
還元剤−1(2,2'−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール))10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP−203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤−1分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<還元剤−2分散物の調製>
還元剤−2(6,6'−ジ−t−ブチル−4,4'−ジメチル−2,2'−ブチリデンジフェノール)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP−203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加熱処理し、還元剤−2分散物を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.50μm、最大粒子径1.6μm以下であった。得られた還元剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
4)水素結合性化合物分散物の調製
<水素結合性化合物−1分散物の調製>
水素結合性化合物−1(トリ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィンオキシド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバール<P−203)の10質量%水溶液16kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。この分散液を40℃で1時間加熱した後、引き続いてさらに80℃で1時間加温し、水素結合性化合物−1分散物を得た。こうして得た水素結合性化合物分散物に含まれる水素結合性化合物粒子はメジアン径0.45μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた水素結合性化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
5)現像促進剤分散物、色調調整剤分散物の調製
<現像促進剤−1分散物の調製>
現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP−203)の10質量%水溶液20kgに、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分散物を得た。こうして得た現像促進剤分散物に含まれる現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物についても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、それぞれ20質量%、15質量%の分散液を得た。
6)ポリハロゲン化合物分散物の調製
<有機ポリハロゲン化合物−1分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−1(トリブロモメタンスルホニルベンゼン)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP−203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物−1分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
<有機ポリハロゲン化合物−2分散物の調製>
有機ポリハロゲン化合物−2(N−ブチル−3−トリブロモメタンスルホニルベンゾアミド)10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の10質量%水溶液20kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になるように調製した。この分散液を40℃で5時間加温し、有機ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。こうして得たポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
7)ヨウ化銀錯形成剤の調製
8kgのクラレ(株)製変性ポリビニルアルコールMP−203を水174.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.15kgと6−イソプロピルフタラジンの70質量%水溶液14.28kgを添加し、ヨウ化銀錯形成剤の5質量%溶液を調製した。
8)メルカプト化合物の調製
<メルカプト化合物−1水溶液の調製>
メルカプト化合物−1(1−(3−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩)7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液とした。
<メルカプト化合物−2水溶液の調製>
メルカプト化合物−2(1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール)20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液とした。
9)SBRラテックス液の調製
SBRラテックスは以下により調整した。
ガスモノマー反応装置(耐圧硝子工業(株)製TAS−2J型)の重合釜に、蒸留水287g、界面活性剤(パイオニンA−43−S(竹本油脂(株)製):固形分48.5質量%)7.73g、1mol/リットルNaOH14.06ml、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム塩0.15g、スチレン255g、アクリル酸11.25g、tert−ドデシルメルカプタン3.0gを入れ、反応容器を密閉し撹拌速度200rpmで撹拌した。真空ポンプで脱気し窒素ガス置換を数回繰返した後に、1,3−ブタジエン108.75gを圧入して内温60℃まで昇温した。ここに過硫酸アンモニウム1.875gを水50mlに溶解した液を添加し、そのまま5時間撹拌した。さらに90℃に昇温して3時間撹拌し、反応終了後内温が室温になるまで下げた後、1mol/リットルのNaOHとNH4OHを用いてNa+イオン:NH4 +イオン=1:5.3(モル比)になるように添加処理し、pH8.4に調整した。その後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納し、SBRラテックスを774.7g得た。イオンクロマトグラフィーによりハロゲンイオンを測定したところ、塩化物イオン濃度3ppmであった。高速液体クロマトグラフィーによりキレート剤の濃度を測定した結果、145ppmであった。
上記ラテックスは平均粒径90nm、Tg=17℃、固形分濃度44質量%、25℃60%RHにおける平衡含水率0.6質量%、イオン伝導度4.80mS/cm(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30Sを使用し、ラテックス原液(44質量%)を25℃にて測定)、pH8.4であった。
2−2.塗布液の調製
1)画像形成層塗布液A〜Fの調製
上記で得た脂肪酸銀分散物A〜Fのいずれかを0.592モル、水276mlに顔料−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−1分散物、有機ポリハロゲン化合物−2分散物、フタラジン化合物−1溶液、SBRラテックス(Tg=17℃)液、還元剤−1分散物、還元剤−2分散物、水素結合性化合物−1分散物、現像促進剤−1分散物、現像促進剤−2分散物、色調調整剤−1分散物、メルカプト化合物−1水溶液、メルカプト化合物−2水溶液を順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混合乳剤Aを添加して良く混合した画像形成層塗布液をそのままコーティングダイへ送液し、塗布した。
上記画像形成層塗布液の粘度は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ローター、60rpm)で25[mPa・s]であった。
レオメトリックスファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ242、65、48、26、20[mPa・s]であった。
塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.52mgであった。
2)中間層塗布液の調製
ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)製)1000g、顔料−1分散物272g、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量10000gになるように水を加え、pHが7.5になるようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で58[mPa・s]であった。
3)表面保護層第1層塗布液の調製
イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス19.0質量%液112g、フタル酸の15質量%メタノール溶液を30ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23ml、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを18.6ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)で20[mPa・s]であった。
4)表面保護層第2層塗布液の調製
イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%液102g、フッ素系界面活性剤(F−1)の2質量%溶液を5.4ml、フッ素系界面活性剤(F−2)の2質量%水溶液を5.4ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド社製)の5質量%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径8μm、体積加重平均の分布20%)38g、4−メチルフタル酸1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19[mPa・s]であった。
2−3.熱現像感光材料−1〜6の作製
支持体の両面に画像形成層、中間層、表面保護層第1層、表面保護層第2層の順番でスライドビード塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料を作成した。このとき、画像形成層と中間層は31℃に、表面保護層第1層は36℃に、表面保護層第2層は37℃に温度調整した。画像形成層の塗布銀量は、脂肪酸銀とハロゲン化銀の合計で片面当たり0.821g/m2であった。これを支持体の両面に塗布した。
画像形成層の片面当たりの各化合物の塗布量(g/m2)は以下の通りであり、厚みは10μmであった。脂肪酸銀の塗布量は、0.00625モル/m2であった。
脂肪酸銀
ポリハロゲン化合物−1 0.028
ポリハロゲン化合物−2 0.094
ヨウ化銀錯形成剤 0.46
SBRラテックス 5.20
還元剤−1 0.33
還元剤−2 0.13
水素結合性化合物−1 0.15
現像促進剤−1 0.005
現像促進剤−2 0.035
色調調整剤−1 0.002
メルカプト化合物−1 0.001
メルカプト化合物−2 0.003
ハロゲン化銀(Agとして) 0.146
塗布乾燥条件は以下のとおりである。
支持体は塗布前にイオン風にて除電し、塗布はスピード160m/minで行った。塗布乾燥条件は各試料に対して以下の範囲で調整し、もっとも安定した面状が得られる条件に設定した。
コーティングダイ先端と支持体との間隙を0.10〜0.30mm。
減圧室の圧力を大気圧に対して196〜882Pa低く設定。
引き続くチリングゾーンにて、乾球温度10〜20℃の風にて塗布液を冷却。
無接触型搬送して、つるまき式無接触型乾燥装置にて、乾球温度23〜45℃、湿球温度15〜21℃の乾燥風で乾燥。
乾燥後、25℃で湿度40〜60%RHで調湿。
引き続き、膜面を70〜90℃になるように加熱し、加熱後、膜面を25℃で冷却した。
作製された熱現像感光材料のマット度はベック平滑度で感光性層面側が550秒、バック面が130秒であった。また、感光層面側の膜面のpHを測定したところ6.0であった。
以下に本発明の実施例で用いた化合物の化学構造を示す。
Figure 2005134717
Figure 2005134717
Figure 2005134717
Figure 2005134717
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4.写真性能の評価
1)準備
得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%RHの環境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管した後、以下の評価を行った。
2)包装材料
PET10μm/PE12μm/アルミ箔9μm/Ny15μm/カーボン3質量%を含むポリエチレン50μm:
酸素透過率:0.02ml/atm・m2・25℃・day、
水分透過率:0.10g/atm・m2・25℃・day。
3)感光材料の露光・現像
富士フイルム(株)社製のXレイレギュラースクリーンHI−SCREEN B3(蛍光体としてCaWO4を使用。発光ピーク波長425m)を2枚使用して、その間に試料を挟み、像形成用組立体を作成した。この組立体に、0.05秒のX線露光を与え、X線センシトメトリーを行った。使用したX線装置は、東芝(株)製の商品名DRX−3724HDであり、タングステンターゲットを用いた。三相にパルス発生器で80kVpの電圧をかけ、人体とほぼ等価な吸収を持つ水7cmのフィルタを通したX線を光源とした。距離法にてX線露光量を変化させ、logE=0.15の幅でステップ露光を行なった。
露光後に、本発明に係る熱現像装置による熱現像処理条件で熱現像処理した。各熱現像装置(図1、図5、図6、図7、図8)の加熱手段の温度設定を117℃と121℃にしてt秒現像した。本発明の感材を用いた現像時間tは表2の様にして行った。
Figure 2005134717
4)評価方法と結果
4−1.色調
(評価方法)
得られた画像について、Macbeth社製Gretag MacbethのSpectrolinoを用い、濃度1.2での色調の測定を行った。測定光源はF5、測定面積は3mmφで実施し、CIELa*b*で表3に表した。また、これらのデータに基づいて式(1)〜式(4)の左辺に対応する下記の数値を計算した結果を表3に示した。
A値 :(a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2
Figure 2005134717
4−2.現像ムラ、および連続処理したときの色調の安定性の評価と結果
(現像ムラ)
熱現像感光材料−1〜6を、H切サイズで3枚、熱現機1,5,6,7,8を用いて、それぞれの熱現像機で濃度1.2になるように均一露光し、121℃で表2記載のt秒で熱現像し、10000Luxのシャーカウステンに並べて観察し、官能評価を行った。官能評価は、次のランクで表した。
◎:3枚の間に全く色調の差が認められない
○:3枚の間に僅かに色調差は認められるが画像読映上全く支障ない。
△:3枚の間に色調差が認められ、読映に支障が感じられる。
×:3枚の間に色調差が認められ、読映できない。
(連続処理ムラ)
熱現像感光材料−1〜6を熱現機1,5,6,7,8を用いて、それぞれの熱現像機で半切サイズで10枚連続処理し、画像濃度1.2になるように均一露光し、121℃で表1記載のt秒で熱現像し、10000Luxのシャーカウステンに出力1枚目、5枚目、10枚目を並べて観察し、官能評価を行った。官能評価は、次のランクで表した。
◎:3枚の間に全く色調の差が認められない
○:3枚の間に僅かに色調差は認められるが画像読映上全く支障ない。
△:3枚の間に色調差が認められ、読映に支障が感じられる。
×:3枚の間に色調差が認められ、読映できない。
(評価結果)
評価結果を下記の表4に示した。
Figure 2005134717
以上より、色調評価でA値が規定の数値以内である熱現像感光材料を用いると、熱現像ムラ、および連続処理時の安定性が極めて良好であった。
本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を表す構成図である。 感光性熱現像記録材料の断面図である。 第1加熱手段及び第2加熱手段によって交互に加熱される記録材料表裏面の温度と時間との相関を表した説明図である。 制御手段のブロック図である。 ドラムと押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 支持体、無端ベルト及び押さえローラとを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 複数組の第1加熱手段と第2加熱手段とを有する熱現像装置の要部を表した構成図である。 従来の熱現像装置を備えた画像形成装置の構成図である。
符号の説明
31 支持体
33a 第1面
33b 第2面
35 画像形成層
49a、81a、91a、101a 第1加熱手段
49b、81b、91b、101b 第2加熱手段
51 プレート
53 押さえローラ
83 ドラム
85 押さえローラ
95 無端ベルト
97 押さえローラ
100、200、300、400 熱現像装置
A 記録材料(感光性熱現像記録材料)
C 搬送路
H ヒータ
T 現像反応温度
δ 隙間

Claims (17)

  1. 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
    1)前記加熱手段が、プレートと該プレートに前記熱現像感光材料を押し当てて回転するローラーを有し、該プレートおよび該ローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していて、
    2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
    式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
    (式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
  2. 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
  3. 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
    1)前記加熱手段が、円筒状のドラムと該ドラムの周表面に前記熱現像感光材料を押し当てるて回転する押さえローラーとを有し、該ドラムおよび該押さえローラーの少なくとも一方に加熱源となるヒーターを内蔵していて、
    2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
    式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
    (式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
  4. 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
    式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
  5. 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
    1)前記加熱手段が、前記熱現像感光材料の第一の面を加熱する第一加熱手段と他方の面を加熱する第二加熱手段とを前記熱現像感光材料の搬送路の交互に挟んで背離して配置して有し、
    2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
    式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
    (式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
  6. 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
    式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
  7. 支持体の両面に少なくとも感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、及びバインダーを含有する画像形成層を有する熱現像感光材料を加熱手段を有する熱現像装置で熱現像することにより画像を形成する画像形成方法であって、
    1)前記加熱手段が、加熱源となるヒータの内蔵された担体、および該担体を包囲して設けられた無端ベルトを有し、かつ、該無端ベルトを前記担体に押圧しながら回転することで該無端ベルトを従動回転させる押さえローラとを備えていて、
    2)得られる画像の色調が下記式(1)で表される関係にあることを特徴とする画像形成方法:
    式(1) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 5
    (式中、a* 121t、b* 121tは、現像温度121℃でt秒間熱現像した際得られるCIELa**の値で、a* 117tとb* 117tは、現像温度117℃でt秒間熱現像した際得られるCIELABの値であり、それぞれ、黒化濃度1.2における値である。t秒は、Dmaxが得られる十分な露光を実施した熱現像感光材料を121℃で現像した際、最高濃度に到達する時間(秒)である。)。
  8. 前記画像の色調が下記式(2)で表される関係にあることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
    式(2) (a* 121t−a* 117t2+(b* 121t−b* 117t2 < 3
  9. 前記熱現像感光材料の搬送路に沿って前記加熱手段が複数組配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記複数組の加熱手段が搬送路にそって千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記感光性ハロゲン化銀の平均球相当直径が、0.3μm以上5.0μm以下である平板状粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記感光性ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、アスペクト比2以上100以下であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 感光性ハロゲン化銀粒子に由来する可視光吸収を熱現像後に実質的に低下させる化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 前記感光性ハロゲン化銀粒子に由来する可視光吸収を熱現像後に実質的に低下させる化合物として、ヨウ化銀錯形成剤を含有することを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
  15. 感光性ハロゲン化銀粒子への吸着基と還元基を有する化合物およびその前駆体の少なくも一種を含有することを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. 1電子酸化されて生成する1電子酸化体が1電子以上の電子を放出しうる化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載の画像形成方法。
  17. 前記画像形成層を支持体の両面に有することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれかに記載の画像形成方法。
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