JP2005097787A - セールクロス - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性、強度、伸張後の回復性等に優れ、ヨットセール用途などに好適に使用することが可能なセールクロスを提供すること。
【解決手段】ポリエステルフィラメント糸から構成されるリップストップ構造の織物に、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂とが、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）で示される重量比率が２〜４０となるように付着されてなるセールクロスであって、該ポリウレタン樹脂の１００％モジュラスが１０〜４０ＭＰａの範囲にあり、且つセールクロスが特定の伸張弾性回復率と引裂強度を有する。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルフィラメント糸から構成されるリップストップ構造の織物に、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂とが、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）で示される重量比率が２〜４０となるように付着されてなるセールクロスであって、該ポリウレタン樹脂の１００％モジュラスが１０〜４０ＭＰａの範囲にあり、且つセールクロスが特定の伸張弾性回復率と引裂強度を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、セールクロスに関するものであり、さらに詳しくは、シリコーン樹脂とウレタン樹脂とが付着されてなり、メインセールやスピネーカー等の用途に好適に使用することが可能なセールクロスに関するものである。
近年、余暇の増大に伴いスポーツを趣味とする傾向が増大している。その内容も多種多様化し、最近ではマリンスポーツが盛んとなってきていて、公営のマリーナの建設も各地ですすみ、ヨットセーリングやヨットレースを楽しむ人口が増加している。
ところで、ヨットは主たる動力をセールで風を受けることにより得ており、そのため、ヨットには、メインセール、ジブセール或いは追い風の際に用いるスピネーカー等のセールクロスが多く使われている。
従来、これらのセールクロス用途には、軽量性、強さ、外観が優れていることから主としてナイロン繊維が用いられてきており、軽量化、耐磨耗性向上のためにナイロン繊維を鞘とした芯鞘型複合糸を使用することも提案されている。
これらのセールクロスは、風を受けその力を推進力として利用する物である以上、強度が高いことが必須であり、さらに、長期間紫外線に暴露されるため、高度の耐光性も要求されていた。
しかしながら、ナイロン繊維は一般的に耐候性、寸法安定性に劣るという欠点を有しているため、これらの特性に優れたポリエステル繊維の活用が検討され始めているが、レース用ヨットのセールクロスなどにおいては、ポリエステル繊維のみでは空気遮断性が不十分である上、織物の伸度が高く、伸張後の回復が遅いために操縦性が低下するという欠点があるので、織物に樹脂を多量に付着させる方法が検討されている（例えば、特公平８−２３０９７号公報、特開平８−１１３８７５号公報など）。
但し、ポリエステル織物に樹脂を付着させた場合、織物の引裂強度が低下してまうという問題があり、その解決方法が切望されてきた。
特公平８−２３０９７号公報
特開平８−１１３８７５号公報
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解決し、耐候性、強度、伸張後の回復性等に優れ、ヨットセール用途などに好適に使用することが可能なセールクロスを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル繊維から構成されるリップストップ構造の織物に、シリコーン樹脂とそのモジュラスが特定の範囲に制御されたポリウレタン樹脂を付着させるとき、所望のセールクロスが得られることを究明し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、ポリエステルフィラメント糸から構成されるリップストップ構造の織物に、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂とが、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）で示される重量比率が２〜４０となるように付着されてなるセールクロスであって、該ポリウレタン樹脂の１００％モジュラスが１０〜４０ＭＰａの範囲にあり、且つセールクロスが下記（１）〜（４）の全てを同時に満足することを特徴とするセールクロスが提供される。
（１）幅５ｃｍ当り、５ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が８％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が７０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が９０％以上である。
（２）幅５ｃｍ当り、１０ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が１５％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が５０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が８０％以上である。
（３）シングルタング法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも２．０ｋｇ以上である。
（４）ペンジュラム法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも５００ｇ以上である。
（１）幅５ｃｍ当り、５ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が８％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が７０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が９０％以上である。
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（３）シングルタング法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも２．０ｋｇ以上である。
（４）ペンジュラム法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも５００ｇ以上である。
本発明によれば、耐候性、強度、伸張後の回復性等に優れ、ヨットセール用途などに好適に使用することが可能なセールクロスを提供することができる。
本発明で使用するポリエステルフィラメント糸としては、テレフタル酸、又はナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、１，３−プロパンジオール又は、テトラメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルからなるフィラメント糸が好ましく用いられ、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート或いはポリエチレンナフタレートフィラメントなどが例示される。
該ポリエステルフィラメント糸の総繊度は１５〜３００ｄｔｅｘであることが好ましく、２０〜１４０ｄｔｅｘであることがさらに好ましい。該総繊度が１５ｄｔｅｘ未満の場合、織物としての強度が劣りセールクロスとしての性能が発揮できないことがある。一方、該総繊度が３００ｄｔｅｘを超える場合には、織物が重くなってしまうことがある。
本発明においては、上記ポリエステルフィラメント糸はリップストップ構造の織物に製織されていることが必要であり、その目付けは２０〜１１０ｇ／ｍ２の範囲にあることが好ましい。該織物がリップストップ構造でない場合は、バイアス方向に伸びてしまう上、引裂強度が低下するので、操作性に優れたセールクロスを得ることができなくなる。また、該織物の目付けが１１０ｇ／ｍ２より大きい場合は、クロスが重くなってしまい操作性が悪くなってしまうことがある。一方、該織物の目付けが２０ｇ／ｍ２未満の場合は、織物の強度が低くなりセールクロスの機能を果たさなくなる場合がある。
次いで、本発明においては、上記織物に、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂が付着されていることが必要である。ここで、ポリウレタン樹脂としては、分子骨格として、主鎖、側鎖にエーテル基、ポリカーボネート基、エステル基などの分子骨格を含み、その１００％モジュラスが、１０〜４０ＭＰａの範囲にあるものを使用することが必要である。該モジュラスが１０ＭＰａ未満の場合、織物の斜め方向の伸度が高くなってしまう。また該モジュラスが４０ＭＰａを越える場合、織物が剛直となってしまう。１００％モジュラスの値は、１５〜２５ＭＰａの範囲にあるものがさらに好ましい。
また、上記シリコーン樹脂としては、従来公知のものが任意に使用できる。ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂は水系の樹脂でも非水系の樹脂でも良い。
上記ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂の織物への付与割合は、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）で示される重量比率が２〜４０であることが肝要である。この重量比率が２未満の場合、織物の経糸、緯糸が相互にすべり合い、織物組織のが崩れてしまう。また経糸緯糸のスリップ現象で、バイアス方向の伸度が高く、回復しにくくなる。特に織密度の低い織物でスリップは顕著になる。一方、該重量比率が４０を越える場合は、引裂強度が低下してしまう。
ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂の織物への付与方法は特に限定されないが、含浸法またはコーティング法が採用される。また含浸法、コーティング法の両方を行っても良い。
またポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂は該織物に対し、同時に付与してもよく、別々に付与してもよい。
かくして得られたセールクロスは、下記（１）〜（４）の全てを同時に満足することが必要である。
（１）幅５ｃｍ当り、５ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が８％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が７０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が９０％以上である。
（２）幅５ｃｍ当り、１０ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が１５％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が５０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が８０％以上である。
（３）シングルタング法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも２．０ｋｇ以上である。
（４）ペンジュラム法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも５００ｇ以上である。
（１）幅５ｃｍ当り、５ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が８％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が７０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が９０％以上である。
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（３）シングルタング法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも２．０ｋｇ以上である。
（４）ペンジュラム法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも５００ｇ以上である。
ここで、上記（１）、（２）が満足されない場合はヨットの操作性が悪くなるという欠点が生じる。また、上記（３）、（４）が満足されない場合は、セールクロスの機能を持たないという欠点が生じる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例における各物性は下記の方法により測定した。
（１）引裂強度
シングルタング法、ペンジュラム法ともＪＩＳ Ｌ１０９６に準拠して測定した。
（１）引裂強度
シングルタング法、ペンジュラム法ともＪＩＳ Ｌ１０９６に準拠して測定した。
［実施例１］
経糸及び緯糸に総繊度３３ｄｔｅｘのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、経密度：１１０本／２．５４ｃｍ、緯密：９０本／２．５４ｃｍのリップストップ構造を持つ織物を製織した。該織物を常法により、精練・リラックス処理した後、サーキュラー染色機を用いて１３０℃の温度で染色処理を行い、乾燥処理した。
経糸及び緯糸に総繊度３３ｄｔｅｘのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、経密度：１１０本／２．５４ｃｍ、緯密：９０本／２．５４ｃｍのリップストップ構造を持つ織物を製織した。該織物を常法により、精練・リラックス処理した後、サーキュラー染色機を用いて１３０℃の温度で染色処理を行い、乾燥処理した。
次いで、下記処方の樹脂加工液を含浸法により織物に付着させた後、熱処理と乾燥を行った。
（樹脂液の処方）
ＭＥＫ ６０重量部
Ｕ１３５（ポリウレタン樹脂、セイコー化成（株）製） １００重量部
ＳＴ９０（シリコーン樹脂） ４０重量部
架橋剤 （コロネートＨＬ１０） ３重量部
得られたセールクロスの物性を表１に示す。
（樹脂液の処方）
ＭＥＫ ６０重量部
Ｕ１３５（ポリウレタン樹脂、セイコー化成（株）製） １００重量部
ＳＴ９０（シリコーン樹脂） ４０重量部
架橋剤 （コロネートＨＬ１０） ３重量部
得られたセールクロスの物性を表１に示す。
［実施例２〜４、比較例１〜４］
実施例１において、使用するポリウレタン樹脂の１００％モジュラスの値、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）の重量比率を表１に示す如く変更した以外は実施例１と同様に実施した。
得られたセールクロスの物性を表１に示す。
実施例１において、使用するポリウレタン樹脂の１００％モジュラスの値、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）の重量比率を表１に示す如く変更した以外は実施例１と同様に実施した。
得られたセールクロスの物性を表１に示す。
本発明によれば、耐候性、強度、伸張後の回復性等に優れセールクロスが提供されるので、ヨットセール用途などに好適に使用することができる。
Claims (1)
- ポリエステルフィラメント糸から構成されるリップストップ構造の織物に、シリコーン樹脂とポリウレタン樹脂とが、（ポリウレタン樹脂／シリコーン樹脂）で示される重量比率が２〜４０となるように付着されてなるセールクロスであって、該ポリウレタン樹脂の１００％モジュラスが１０〜４０ＭＰａの範囲にあり、且つセールクロスが下記（１）〜（４）の全てを同時に満足することを特徴とするセールクロス。
（１）幅５ｃｍ当り、５ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が８％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が７０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が９０％以上である。
（２）幅５ｃｍ当り、１０ポンドの荷重をかけた時の、織物のバイアス方向における伸度が１５％以下であり、荷重を開放した直後の伸張弾性回復率が５０％以上で、５分経過後の伸張弾性回復率が８０％以上である。
（３）シングルタング法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも２．０ｋｇ以上である。
（４）ペンジュラム法により測定した、織物の経緯方向における引裂強度がいずれも５００ｇ以上である。
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