JP2005097652A - 傾斜組織超硬合金およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面近傍の硬さ,耐摩耗性と靱性,耐欠損性とを同時に向上させることにより、実用性能の大幅改善と用途拡大を達成できる傾斜組織超硬合金およびその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】傾斜組織超硬合金の出発原料にチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの酸化物からなる分散相形成粉末を添加し、COガス雰囲気中で加熱保持して均一組織化した後、真空に変更することによって表面近傍の酸化物分散相を分解・炭化させて傾斜組織化する。

Description

本発明は、刃先交換型チップ,ドリル,エンドミルなどの切削工具、ダイ,パンチ,スリッタ−などの耐摩耗工具、カッタ−ビットなどの土木建設工具に代表される各種工具に使用される超硬合金およびこれらに硬質膜を被覆した被覆超硬合金の基材として最適な傾斜組織超硬合金とその製造方法に関するものである。
WC−Co系,WC−(W,Ti,Ta)C−Co系に代表される超硬合金は、炭化物硬質相の粒度,結合相の量,他炭化物(TiC,TaC,VC,Cr32など)の添加量などを調整することにより、切削工具,耐摩耗工具および部品などの各用途で必要となる硬さ,強度,靱性や耐摩耗性,耐欠損性,耐チッピング性などの合金特性,実用性能を得ている。
しかし、硬さと靱性は相反する合金特性であり、両方を同時に改善することは非常に困難である。その改善策として、V,Cr,Zrなどの酸化物を添加して微細な炭化物にする方法やMg,Al,希土類元素など比較的安定な酸化物を添加して分散強化する方法が提案されている。一方、超硬合金の表面と内部とで結合相量,添加炭化物量やWC粒度を変化させ、表面近傍を高硬度,高耐摩耗性あるいは高強度,高靱性とした傾斜組成あるいは組織とする方法も数多く提案されている。傾斜化する方法は、工具刃先となる表面近傍の強化に着目しており、合理的かつ効果的な方法と言える。
酸化物を添加する方法としては、周期律表4a,5a,6a族金属の酸化物などを酸素含有量が0.1〜2.0重量%となる様に添加配合し、真空または非酸化性雰囲気中で加熱焼結する板状晶WC含有超硬合金の製法がある(例えば、特許文献1参照。)。この製法は、焼結過程で添加酸化物が還元・炭化されて炭化物を生じることを前提としており、生成した炭化物によるWC板状化の促進と微細分散による硬さと靱性の向上を狙ったものではあるが、添加酸化物が残留していないために効果が少ないという問題がある。
安定な酸化物による分散強化方法としては、CoまたはCoとNiからなるバインダー相と共に、平均粒子径が8〜30μmの球状で均一粗大なWCを96〜88wt%含有した岩石採掘用超硬合金であって、任意に最大2%までのCe,Yなどの希土類元素を添加した高温及び熱力学的特性を改良した超硬合金がある(例えば、特許文献2参照。)。また、鉄属金属を主成分とする結合相を5〜30体積%と、0.01体積%以上のMg,Al,希土類元素などの酸化物を結晶内に分散させたWCとからなる酸化物により粒内分散強化されたWC含有超硬合金がある(例えば、特許文献3参照。)。これらの超硬合金は、焼結温度でも安定な希土類酸化物などが微細に分散しているために硬さあるいは靱性が向上するものの、その改善効果が少ないという問題がある。
一方、傾斜化による改善方法として、合金の内部よりも結合相量の少ない表面領域を形成させた超硬合金がある(例えば、特許文献4、5参照。)。これらの超硬合金は表面領域の結合相量が減少して高硬度となるものの靱性の低下を伴うため硬さと靱性の同時向上が不十分であり、また合金内部の硬さや靱性は改善されないという問題がある。
また、表面から0.2〜10mm内部までの表面領域において、Cr,Mo,V,Ta,Al,Zr,Nb,Hf,W,Si,B,P,Cの中の少なくとも1種の拡散元素が表面から内部に向かって漸次減少し、かつ結合相量あるいは硬質相粒径が表面から内部に向かって漸次増加している超硬合金がある(例えば、特許文献6参照。)。また、超硬合金またはサーメットでなる焼結合金において、Ti,Zr,Hf,Ta,Nb,V,Cr,Mo,希土類元素の炭化物,窒化物,酸化物およびこれらの相互固溶体から選ばれた1種からなる改質物質(金属元素としての含有量が1質量%以下)が表面から0.2mm内部までに最大含有量位置を有し、この位置から内部に向かって改質物質が漸減している改質焼結合金がある(例えば、特許文献7参照。)。
これらの超硬合金の表面近傍は、結合相量の減少と硬質相の微粒化、あるいは改質物質の分散によって高硬度,高耐摩耗性になると共に、拡散元素や改質物質の固溶による結合相の強靱化効果によって高靱性,高耐欠損性,高耐塑性変形性になるものではあるが、表面領域に存在する拡散元素の種類によって、実用上の用途が限定されるという問題がある。また、合金内部の硬さや靱性は改善されない。
特開平11−36022号公報 特開平10−121182号公報 特開平11−124650号公報 特開平2−209448号公報 特開平2−209449号公報 特開平4−128330号公報 特開2000―336451号公報
本発明は上述のような問題点を解決したもので、具体的には、超硬合金の混合粉末中にチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物を添加し、雰囲気を制御して焼結することにより、これらの酸化物を主成分とする分散相が超硬合金の内部から表面に向かって漸次減少する傾斜組織材とすることによって、表面近傍も含めた超硬合金全体が顕著に高硬度,高靱性となり、結果として実用性能の大幅改善と用途拡大を達成できる傾斜組織超硬合金およびその製造方法の提供を目的とするものである。
本発明者は、従来の超硬合金の硬さと靱性を同時に向上させることについて検討していた所、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物を微細に分散させると硬さと靱性が同時に向上すること、この分散相粒子を表面近傍では少なく内部では多く残留させた傾斜組織材にすると硬さと靱性が著しく向上するという知見を得て本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の傾斜組織超硬合金は、鉄族金属を主成分とする結合相:3〜30体積%と、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物を主成分とする分散相:0.2〜10体積%と、残りが周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種の硬質相とからなる超硬合金において、表面より深さ方向に1mm以上の内部に含まれる分散相量をVi(体積%)と表し、表面から深さ方向に0.1mmまでの表面層に含まれる分散相量をVs(体積%)と表したとき、Viに対するVsの割合を示す比(Vs/Vi)が0.5以下であることを特徴とする。
本発明の傾斜組織超硬合金に含有される分散相は、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物を主成分とし、具体的には、Ti23,TiO,ZrO2,ZrO,HfO2,VO2,V23,VO,Cr23およびTiZrO4,CrVO4,Cr2Ti27などの複合酸化物も挙げることができる。これらの分散相は、結合相と硬質相との界面に微細な粒子となって分散し硬さと靱性を同時に改善している。超硬合金全体に対する分散相の含有量は、0.2体積%未満では分散相による強化および傾斜組織化が不十分なために、硬さ,靱性の向上効果が少なく、逆に10体積%を超えて多くなると、分散相が粗大化して凝集し、硬さや強度の低下が著しいために、0.2〜10体積%と定めた。
ここで、分散相は、後述する立方晶化合物とは一般的に結晶構造が異なり、独立した粒子として存在するものである。また、例えばTi(C,O),Zr(C,N,O),V(C,O)などの様に、酸素と置換して炭素や窒素を分散相全体に対して30原子%以下固溶してもよい。分散相と立方晶化合物との区別は、X線回折法以外に、酸化物を主成分とする分散相が透光性を有することから光学顕微鏡によって容易にできる。
本発明の傾斜組織超硬合金は、表面近傍に内部よりも分散相が少ない表面領域を形成している。分散相の分布は、分散相の種類と焼結雰囲気の制御によって様々に変化できるが、少なくとも所定位置の間で分散相含有量に差がないと硬さと靱性を同時に向上させる効果は少ない。すなわち、傾斜組織超硬合金の表面から深さ方向に0.1mmまでの表面層に含まれる分散相量Vs(体積%)と、表面から深さ方向に1mm以上内部に含まれる分散相量Vi(体積%)との比(Vs/Vi)が0.5以下である。(Vs/Vi)が0.5を超えて大きくなると分散相量の傾斜化が不十分であるために硬さと靱性の同時向上効果が少ない。好ましい(Vs/Vi)は0.2以下であり、Vsが実質的に0であっても良い。尚、表面層における分散相の減少または消滅は、添加した酸化物が昇温あるいは焼結保持時の真空処理によって合金中の炭素と反応して分解し、炭化物を形成するためと考えられる。
本発明の傾斜組織超硬合金において分散相がチタン,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物であるとき、Vsが0.2体積%以下であると分散相の傾斜組織化が十分となり表面近傍で硬さと靱性を同時に向上させるため好ましい。一方、分散相がジルコニウムおよび/またはハフニウムの酸化物である場合には、表面から深さ方向に0.01mmまでの最表面層に含まれる分散相量Vs2(体積%)が0.2体積%以下であると好ましい。酸化物の種類によって分散相の減少する領域の厚みが異なる理由は、酸化物からの炭化物生成の難易度による
なお、傾斜組織化にすることによって表面近傍の硬さが向上する理由は、消失した酸化物が炭化物に変わり結合相中のタングステン固溶量が増加するためである。靱性が向上する理由は、炭化物生成に伴う体積と熱膨張率の減少により圧縮応力が発生するためである。
本発明の傾斜組織超硬合金における結合相は、鉄族金属であるCo,Ni,Feの少なくとも1種を主成分とするもので、具体的には、鉄族金属に20重量%以下のW,Cr,Moなどを固溶したCo−W,Co−Cr−W,Ni−W−Cr,Fe−Ni−Moなどの合金を挙げることができる。結合相の含有量は、3体積%未満では焼結不足となって硬さ,強度,靱性とも低下し、逆に30体積%を超えて多くなると、硬さや耐摩耗性が顕著に低下するため、結合相量を3〜30体積%と定めた。
本発明の傾斜組織超硬合金における硬質相は、周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種からなる。その中でも硬質相が炭化タングステン、または、炭化タングステンと周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種以上からなる立方晶化合物であると耐摩耗性と耐欠損性に優れるため好ましい。硬質相の一部は立方晶化合物に属さないCr73,Mo2Cなどであっても良い。炭化タングステンとして具体的にはWCを挙げることができ、立方晶化合物として具体的には、VC,TaC,NbC,TiN,HfN,(W,Ti)C,(W.Ti.Ta)C,(W,Ti,Ta)(C,N),(Ti,W,Mo)(C,N)などを挙げることができる。また、添加した酸化物の一部が硬質相に固溶し酸素を10原子%以下含有している場合もある。ここで立方晶化合物が窒素を含有すると真空中焼結により表面に立方晶化合物を含まず結合相が富化した厚さ0.01〜0.02mmの結合相富化組織を形成するので、本発明の酸化物による傾斜組織化と併用しても良い。
本発明の傾斜組織超硬合金は、従来から行われている粉末冶金法を応用して作製できるが、次のような方法を用いると好ましい。酸化物の分散相を添加した混合粉末をCOガス雰囲気で昇温することによって酸化物の分解を抑制し、一旦は均一組織とした後、高真空にして焼結することによって表面から分散相粒子を分解・炭化させると本発明の傾斜組織超硬合金が得られる。
すなわち、本発明の傾斜組織超硬合金の製造方法は、鉄族金属からなる結合相形成粉末と、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物でなる分散相形成粉末と、周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種でなる立方晶化合物粉末とからなる硬質相形成粉末とを粉砕混合して混合粉末を得る第1工程、混合粉末を所定の形状に成形して粉末成形体を得る第2工程、粉末成形体をCOガス雰囲気中で加熱・昇温する第3工程、昇温により粉末成形体が緻密化する温度以上でCOガス雰囲気を真空に変更し、1250〜1550℃に加熱・保持して焼結する第4工程とからなる方法である。
本発明方法の第1工程で用いる分散相形成粉末として、具体的には、TiO2,ZrO2,HfO2,V25,Cr23などであり、昇温過程で還元されて低級酸化物を生じる場合や反応して複合酸化物を形成する場合もある。また、予め複合酸化物を合成して添加しても良い。また、還元・炭化され易いTiO2,V25,Cr23では、予めZrO2,HfO2と混合して加熱処理することによって、TiZrO4,TiHfO4,V2ZrO7などの複合酸化物や固溶体を合成して添加しても良い。
本発明方法の第3工程は、従来の真空あるいは非酸化性雰囲気中での焼結と異なり、少なくとも昇温途中から焼結までの所定温度範囲においてはCOガス雰囲気とし、添加した酸化物分散相の分解を防止して一旦は均一組織の超硬合金とする工程である。COガス雰囲気中での保持は、添加酸化物の分解・還元の開始温度から粉末成形体が緻密化する温度(1150〜1300℃)までが重要である。
ここで、COガス雰囲気とするには、COガスの導入以外に、CO2ガス,空気などの導入(1000℃以上ではCOを生成)や焼結過程で発生するCO(自己雰囲気)を利用しても良い。また、COガスの分圧は、添加する酸化物の種類によって調整するが、TiO2,V25,Cr23など分解し易い酸化物では、焼結保持の後半までを高め(100Pa以上)に設定する必要がある。焼結温度は、鉄族金属が液相として存在する温度範囲であり、1250℃未満では焼結不足となって硬さ,強度などが低下し、逆に1550℃を超えて大きくなる分散相の分解・飛散や硬質相の異常粒成長が起こる。
本発明方法の第4工程は、第3工程で得られた均一組織の超硬合金を傾斜組織化する工程である。すなわち、粉末成形体の緻密化終了から焼結保持の後半までの温度範囲において、COガスを排気して真空雰囲気に変更することによって、表面近傍の酸化物分散相を分解させ、炭化物を形成させるものである。添加酸化物の種類により、真空に変更する温度とその保持時間を変えることによって、表面近傍での分散相の含有量とその勾配を調整できる。
本発明の傾斜組織超硬合金の用途としては、刃先交換型チップ,ドリル,エンドミルなどの切削工具、ダイ,パンチ,スリッタ−などの耐摩耗工具、カッタ−ビットなどの土木建設工具に代表される各種工具に使用される超硬合金およびこれらに硬質膜を被覆した被覆超硬合金の基材を挙げることができる。
本発明の傾斜組織超硬合金は、添加された酸化物の分散相が焼結時に表面近傍で分解することによって傾斜組織化を促進する作用をし、表面近傍における分散相の貧化と炭化物の形成が表面近傍に硬さと靱性を同時に付与する作用をし、超硬合金の内部に残存した分散相が靱性を強化する作用をし、表面近傍と内部との適切な傾斜組織化が合金全体として合金特性および実用性能を向上させる作用をしているものである。
本発明の傾斜組織超硬合金は、従来の傾斜組織超硬合金に比べて、表面近傍の硬さと破壊靱性が顕著に高く、切削工具に使用した場合には、耐摩耗性と耐欠損性の両方が向上するという効果がある。
市販の平均粒径が0.5μmのWC(WC/Fと略記),2.1μmのWC(WC/Mと略記),3.5μmのWC(WC/Cと略記),0.02μmのカ−ボンブラック(Cと略記),1.0μmのCo,1.7μmのNi,1.5μmのFe,0.02〜0.5μmのTiO2,ZrO2,HfO2,V25,Cr23および2.3μmのCr32,1.0μmのTaC,1.1μmの(W,Ti,Ta)C(重量比でWC/TiC/TaC=50/20/30),1.2μmのTiN,2.1μmのZrCの各粉末を用いて、表1に示す配合組成に秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボ−ルと共に挿入し、48時間の混合粉砕後、乾燥して混合粉末を得た。ここで配合炭素量は、添加酸化物による焼結時の脱炭反応を考慮し、焼結後に中炭素合金(遊離炭素あるいはCo33C,Ni24C,Fe33Cなどを析出しない健全相領域範囲の中央)となるように、Cの添加により調整した。そして、これらの粉末を金型に充填し、196MPaの圧力でもって18×18×7.5mmの圧粉成形体を作製し、アルミナとカーボン繊維からなるシート上に設置した後、焼結炉に挿入して加熱焼結し、本発明品1〜13および比較品1〜10の超硬合金を得た。適用した昇温,焼結,冷却の各工程における雰囲気条件の詳細を表2に一括して示し、その雰囲気の条件番号を焼結保持での温度,時間と共に表1に併記した。
Figure 2005097652
注)*焼結時の雰囲気が前半と後半で異なった場合には、それぞれの時間を示した(例えば20(前半)+20(後半)と表示)。
Figure 2005097652
注)*雰囲気は昇温時の所定温度まで5Pa、冷却時では1Paの真空である。また800℃以上での昇温速度を15℃/minとした。
こうして得られた各超硬合金の試片(14.5×14.5×6mm)の中央を切断し、断面を1000#のダイヤモンド砥石で湿式研削加工した後、1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工して断面組織観察用の試料を作製した。まず、光学顕微鏡で断面全体の組織を観察した後、電子顕微鏡を用いて各試料の表面(焼結肌)から内部に向かっての組織写真を順次撮り、画像処理装置を使用してWC相,結合相,分散相および立方晶化合物,炭化クロム(Cr73)の含有量(体積%)および平均粒子径(結合相を除く)を求めた。表面から深さ方向に1mm以上の内部に含まれる各相の含有量(体積%)を表3に示す。なお1mm以上の内部に含まれる分散相の含有量(体積%)をViと表記した。表面から深さ方向に0.1mmまでの表面層に含まれる分散相の含有量Vs(体積%)と(Vs/Vi)を表4に示す。表5には表面から深さ方向に1mm以上の内部に含まれる各相の平均粒子径を示す。
Figure 2005097652
注)*分散相の組成について、例えばTi酸化物のときTiOXと表現した。
Figure 2005097652
注)*分散相の組成について、例えばTi酸化物のときTiOXと表現した。**Vs/Viが0/0の場合は−で表す。
Figure 2005097652
表3、4の結果から、所定の酸化物を添加し、雰囲気と真空を組み合わせて焼結した本発明品は、分散相の含有量が表面近傍で顕著に減少した傾斜組織超硬合金となっていることが分かる。
次に、得られた各超硬合金の別試片の2個について、一方は側面(14.5×6mm)を1000#のダイヤモンド砥石を用いて表面(焼結肌)から0.03mmの深さまで湿式研削加工し、他方は400#と1000#のダイヤモンド砥石を用いて表面から1.2mmの深さまで湿式研削加工した。そして、両方の試料面について1μmのダイヤモンドペ−ストでラップ加工した後、ビッカース圧子を用いた荷重:294Nでの硬さ及び破壊靱性値K1C(IM法)をそれぞれ測定した。これらの結果を表6に示す。
Figure 2005097652
これらの結果によれば、酸化物を添加して雰囲気制御焼結した本発明品は、ほぼ同一組成の混合粉末を従来方法で焼結した比較品に比べると、表面層と内部とで硬さと靱性が異なる傾斜材となっており、いずれも表面層での硬さと靱性の同時向上が著しい。
実施例1で得た、本発明品2,11および比較品2,3,10の混合粉末を用いて、ISO規格でSNMG120408のブレーカ付きチップ用金型でもって、それぞれ実施例1と同様の条件でプレス成形,焼結を行ってチップ素材を得た。そして、上下のボス面を270#のダイヤモンド砥石で研削加工(但し、刃先とブレーカ面は焼結肌)した後、320#の炭化けい素砥粒を含有したナイロン製ブラシで刃先部を研磨して半径0.1mmのホーニングを施しことにより、本発明品14,15および比較品11,12,13の切削用チップを得た。
これらの切削用チップを用いて以下に示す3種の切削試験を実施した。これらの結果を表7にまとめて示す。
試験(A);被削材:FC250,切削形態:乾式の外周連続旋削切削,切削速度:150m/min,切込み:2.0mm,送り:0.3mm/rev,切削時間:30min,評価基準:逃げ面の平均摩耗量VB(mm)
試験(B);被削材:S48Cの4本溝入り,切削形態:湿式の外周断続旋削,切削速度:100m/min,切込み:2.0mm,送り:0.3mm/revから0.1mm/rev刻みでアップ(各送りでの衝撃回数は3000回),評価基準:欠損あるいはチッピングを生じた最大送り量(3個の平均値)
試験(C);被削材:SCM440,切削形態:湿式の外周連続旋削,切削速度:150m/min,切込み:2.0mm,送り:0.3mm/rev,切削時間:20min,評価基準:逃げ面の平均摩耗量VB(mm)
Figure 2005097652
表7の試験結果によれば、合金内部に酸化物が分散し、表面層で分散相が減少した本発明品14,15は、酸化物が表面近傍まで均一に分布した比較品11および酸化物の分散相を含有しない比較品12,13に比べ、摩耗量が少なくて欠損し難いことが分かる。

Claims (4)

  1. 鉄族金属を主成分とする結合相:3〜30体積%と、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物を主成分とする分散相:0.2〜10体積%と、残りが周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種の硬質相とからなる超硬合金において、表面より深さ方向に1mm以上の内部に含まれる分散相量をVi(体積%)と表し、表面から深さ方向に0.1mmまでの表面層に含まれる分散相量をVs(体積%)と表したとき、Viに対するVsの割合を示す比(Vs/Vi)が0.5以下である傾斜組織超硬合金。
  2. 分散相は、チタン,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物であり、Vsが0.2体積%以下である請求項1に記載の傾斜組織超硬合金。
  3. 分散相は、ジルコニウムおよび/またはハフニウムの酸化物であり、傾斜組織超硬合金の表面から深さ方向に0.01mmまでの最表面層に含まれる分散相量Vs2(体積%)が0.2体積%以下である請求項1に記載の傾斜組織超硬合金。
  4. 鉄族金属からなる結合相形成粉末と、チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,クロムの中の少なくとも1種の酸化物でなる分散相形成粉末と、周期律表4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種でなる立方晶化合物粉末とからなる硬質相形成粉末とを粉砕混合して混合粉末を得る第1工程、混合粉末を所定の形状に成形して粉末成形体を得る第2工程、粉末成形体をCOガス雰囲気中で加熱・昇温する第3工程、昇温により粉末成形体が緻密化する温度以上でCOガス雰囲気を真空に変更し、1250〜1550℃に加熱・保持して焼結する第4工程とからなる傾斜組織超硬合金の製造方法。
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