JP2005097017A - ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法、ナノ複合樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機ガラス等の代替に好適な複合樹脂組成物を得る目的で、透明樹脂に配合するのに適したナトリウムを含まないシリカ微粒子を、ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)を出発原料として好適に製造するための方法を開発することが本発明の課題である。
【解決手段】本発明により、アルカリ型コロイダルシリカを噴霧乾燥法等の手段により乾燥して粉末とした後にクロル基を有するシリコン系処理剤により表面改質することより成る、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法が提供された。本発明の方法によれば、ナノ複合樹脂組成物に配合する無機成分としてのナトリウム非含有シリカ組成物を、短時間で安価に、かつ安全に製造することが可能である。更に本発明により、そのナトリウム非含有シリカ組成物と樹脂モノマーとを原料として、ナノ複合樹脂組成物を製造する方法が提供された。本発明の方法により製造されたナノ複合樹脂組成物は高い透明性と弾性率を有し、かつ線膨張係数が低いという特長を有するために、ウィンドウを始めとする車両用の内外装部品などの用途に適している。
【選択図】なし
【解決手段】本発明により、アルカリ型コロイダルシリカを噴霧乾燥法等の手段により乾燥して粉末とした後にクロル基を有するシリコン系処理剤により表面改質することより成る、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法が提供された。本発明の方法によれば、ナノ複合樹脂組成物に配合する無機成分としてのナトリウム非含有シリカ組成物を、短時間で安価に、かつ安全に製造することが可能である。更に本発明により、そのナトリウム非含有シリカ組成物と樹脂モノマーとを原料として、ナノ複合樹脂組成物を製造する方法が提供された。本発明の方法により製造されたナノ複合樹脂組成物は高い透明性と弾性率を有し、かつ線膨張係数が低いという特長を有するために、ウィンドウを始めとする車両用の内外装部品などの用途に適している。
【選択図】なし
Description
本発明は、無機ガラス等の代替に好適な樹脂組成物の製造方法とその技法で得られる樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の製造方法においては、ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解により得られる水性型シリカを乾燥して粉末と成し、ついで当該シリカ粉末にクロル基を有するシリコン系処理剤を接触させて、残留しているナトリウム(Na)成分を塩化ナトリウム(NaCl)として系外に除去して、ナトリウム非含有の表面改質シリカ組成物粉末と成す。しかるのち、当該表面改質シリカ組成物粉末を樹脂モノマーあるいは樹脂モノマーと有機溶媒より成る溶液に配合し、そのあと樹脂モノマーを重合させてポリマー化することを技術の要点とし、樹脂の透明性を悪化させることなく、部材の剛性向上ならびに熱膨張係数低減に寄与するシリカ組成物を配合した、ナノ複合樹脂組成物の合理的な新規製造方法に関するものである。
透明材料部材において、樹脂材料は無機材料に比べ軽量でかつ成形の自由度が大きいという利点はあるが、一方で弾性率が小さいため剛性が低い、熱膨張係数が大きい、また硬度が低いため表面が傷つき易いという難点がある。このため、透明樹脂材料は、従来、自動車において例えばヘッドランプやサンルーフなど比較的低剛性でかつ表面処理のしやすい小物部品には採用されているものの、自動車外装のかなりの面積を占める窓ガラスについては所定の機能を満足するものがまだなく本格的な採用までには至っていない。
近年、このような透明樹脂部材の欠点を克服するために、無機系微粒子材料を透明樹脂に配合する有機・無機ナノコンポジット材の研究開発が活発となり、各種の手法が提案されてきた。例えば、特開平11−343349号公報には、樹脂製ウィンドウの強度または剛性及び透明性を確保することを目的として、無機のシリカ微粒子を透明な非結晶の有機物(透明樹脂)に分散・混合した透明樹脂組成物からなる樹脂製ウィンドウが開示されている。本公報における実施例12件での無機系微粒子材料はいずれも官能基としてシラノール基(Si-OH)をもつシリカであり、四塩化ケイ素(SiCl4)の高温加水分解で製造される乾式製法粉の「アエロジルシリカRX200(日本アエロジル(株))」、そしてケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解で製造される湿式製法の水性型コロイダルシリカ「スノーテックスC(日産化学工業(株))および有機溶媒型オルガノゾルシリカ「スノーテックスMEK-ST(日産化学工業(株))」を配合した有機・無機ナノコンポジット材が例示されている。
しかしながら、上記公報で開示される透明樹脂組成物は、表面硬度・剛性等の性能向上効果は認められるものの、配合する上記乾式製法シリカおよび湿式製法シリカともそれぞれ性能面ならびに使用環境面での解決すべき問題があるため、まだ窓ガラス等透明部材への適用までには至っていない。より詳細に述べると、アエロジルシリカRX200で例示している乾式製法シリカは、焼結開始温度の800℃を超える1000℃近傍の温度で製造されるため、可視光線の波長(380〜770nm)以上の粒径のシリカが混在し、その形成コンポジット材には曇りがあり、透明性が無欠とは言えない。
また、嵩密度が低く綿雪のような状態の材料のため、輸送・保管および材料配合の取り扱い性が良くない等の問題がある。一方スノーテックスCおよびスノーテックスMEK-STで例示している湿式製法シリカの粒径は10〜50nmでありコンポジット材用として理想的な状態にあるが、溶媒型のため物流費が高くかつ在庫管理に多くの場所を要するという共通の難点に加え、前者は水性型のため懸濁重合にしか適用できない、後者はメチルエチルケトンを溶媒とするオルガノゾルのため価格が高い等の問題がある。なお、スノーテックスMEK-STはスノーテックスC等の水性型コロイダルシリカの溶媒置換で製造されるもので、その一技法が特開平11−43319号公報に開示されている。
これらの問題点に鑑み、本発明者等は特願2003−013241号において、水を媒体とするコロイド状のシリカの無機系微粒子を乾燥して粉末と成し、ついで当該乾燥粉末を樹脂モノマーあるいは樹脂モノマーと有機溶媒より成る溶液に配合し、しかるのち樹脂モノマーを重合させてポリマー化して複合材とする技法を提案した。本技法により前掲の価格・保管・物流等の問題点は大幅に改善され、かつ透明性を保持しながら部材の熱膨張係数低減と弾性率向上が図れるポリマーコンポジット材創出の途が開かれた。
ところで、ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)を出発原料とするシリカは加水分解により、ナトリウムイオン(Na+)性アルカリコロイダルシリカ(以下アルカリ型コロイダルシリカと称する)となる。このアルカリ型コロイダルシリカを乾燥粉末としてポリマーコンポジット材の無機成分として配合するのが最も安価で合理的であるが、コンポジット材にナトリウムが残留するのは色調と物性から望ましくない。このために先に出願した特願2003−013241号においては、対象とするシリカをこのナトリウムイオン(Na+)性アルカリコロイダルシリカからイオン交換法等によりナトリウム成分を除去した水性型のコロイダルシリカ(以下酸性型コロイダルシリカと称する)に特定した。ここで、イオン交換によるナトリウム成分の除却は確実で合理的な手段であるが、半面工業化に当っては、除却装置ならびに処理ラインの新設が必要となるため新たなコスト面での負荷が生じる。この理由からケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)を出発原料とするシリカの粉末化に当っては、もう一段の合理的な手法が要望されていた。そこで本発明の課題は、ポリマーコンポジット材の無機成分として配合するのに適しているナトリウム含まないシリカ微粒子を製造するための、簡便かつ安全な方法を提供することである。
本発明者等はこの問題点に鑑み鋭意検討した結果、ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解により得られるアルカリ型コロイダルシリカを噴霧乾燥法等の手段により乾燥して粉末とし、ついで当該ナトリウム含有シリカ粉末にクロル基を有するシリコン系処理剤を接触させることにより、シリカ表面の改質が起こるのと同時に、シリカ中の残留ナトリウム成分はクロル基と塩を形成し、塩化ナトリウム(NaCl)の形で系外に除去できることを見出し本発明に至った。よって本発明は、ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解で得られるコロイド状シリカを乾燥して粉末と成し、ついで当該粉末を、クロル基を有するシリコン系処理剤で表面改質することを特徴とする、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法、および当該方法により製造されたナトリウム非含有シリカ組成物である。
また、本手法により得られるナトリウム非含有の表面改質シリカ組成物粉末を樹脂モノマーあるいは樹脂モノマーと有機溶媒より成る溶液に加えると、そのシリカは樹脂モノマーのもつ官能基との間に相互作用が起こり、平均一次粒子径が5〜100nmの大きさで溶液に溶解する。本技法で無機成分としてのシリカ微粒子の製造を行えば、合成時以外は一切有機溶媒を使う必要がないため、短時間でしかも安価に造ることができる。更に、この後形成されるコンポジット材は、シリカが一次粒径の5〜100nmで母材に分散するため、非常に透明性の高い複合材料となる。加えて、粉末化により物流と在庫管理が簡素化されるという効用がある。よって本発明は、上記の製造方法で得られたナトリウム非含有シリカ組成物を、樹脂モノマーあるいは樹脂モノマーと有機溶媒より成る溶液に配合し、当該樹脂モノマーを重合させてポリマー化して複合材とすることを特徴とする、ナノ複合樹脂組成物の製造方法、および当該方法により製造されたナノ複合樹脂組成物である。
本発明により、アルカリ型コロイダルシリカを噴霧乾燥法等の手段により乾燥して粉末とした後にクロル基を有するシリコン系処理剤により表面改質することより成る、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法が提供された。本発明の方法によれば、ナノ複合樹脂組成物に配合する無機成分としてのナトリウム非含有シリカ組成物を、短時間で安価に、かつ安全に製造することが可能である。更に本発明により、そのナトリウム非含有シリカ組成物と樹脂モノマーとを原料として、ナノ複合樹脂組成物を製造する方法が提供された。本発明の方法により製造されたナノ複合樹脂組成物は高い透明性と弾性率を有し、かつ線膨張係数が低いという特長を有するために、ウィンドウを始めとする車両用の内外装部品などの用途に適している。
上記において述べた様に、本発明はケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解で得られるコロイド状シリカを乾燥して粉末と成し、ついで当該粉末を、クロル基を有するシリコン系処理剤で表面改質することを特徴とする、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法を提供するものである。本願明細書において、残留ナトリウム成分が除去されることによりナトリウム成分を実質的に含まないシリカ組成物を、ナトリウム非含有シリカ組成物と称する。
ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解によりアルカリ型コロイダルシリカが得られるが、その乾燥方法は常温自然乾燥法や加熱強制乾焼法そして凍結乾燥法(フリーズドライ法)に大別される。上記のいずれの方法も適用することができるが、本発明に係わるアルカリ型コロイダルシリカの生産性と含水率を考慮すると加熱強制乾燥法で行うのが望ましい。このような手段で得られる粉末シリカは多量のナトリウム成分を含むアルカリ性のシリカ組成物である。そこで、当該粉末にクロル基を有するシリコン系処理剤を接触させることにより、シリカ表面の改質を行うと同時に、シリカ中の残留ナトリウム成分を塩化ナトリウム(NaCl)の形で系外に除去する。このシリカ表面の改質方法は気相法と液相法に大別される。前者はシリコン系処理剤を加熱等により気化させて粉末シリカに接触させて改質する方法であり、後者は炭化水素系の有機溶媒に粉末シリカを浮遊させ、ついでシリコン系処理剤を投入して液相中で粉末シリカに接触させて改質する方法であり、本発明においては双方の手段で行うことができる。
本発明に係わる表面改質のためのクロル基を有するシリコン系処理剤の例を挙げれば以下の様である。なお下記に列挙したシリコン系改質剤は単なる例示であって、本発明の目的で使用可能なシリコン系処理剤はこれらの化合物に限定されるものではない。その他の化合物も、シリカ表面の改質と残留ナトリウム成分の除去機能を有するものであれば本発明の目的において効果的に使用することが可能である。
すなわち、本発明に係わるクロル基を有するシリコン系処理剤の例としては、n−ブチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−へプチルトリクロロシラン、n−へキサデシルトリクロロシラン、n−へキシルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、ジ−n−ブチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジーn−へキシルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、ドコシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、n−へプチルメチルジクロロシラン、n−へキシルメチルジクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、n一オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、ジメチルジメトキシクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ペンジルトリクロロシラン、ビス[2−(クロロジメチルシリル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス(クロロジメチルシリルプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチルジメチルシロキベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、P−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、P−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、クロロメチルジメチルフェニルシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリクロロシラン、(p−クロロメチフェニルトリn−プロポキシシラン、クロロフェニルメチルジクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、P−クロロフェニルトリメチルシラン、クロロプロピルジフェニルメチルシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、2−(4−クロロスルフオニルフェニル)エチルトリクロロシラン、3−シアノプロピルフェニルジクロロシラン、ジベンジロキシジクロロシラン、1,3−ジクロロー1,3−ジフェニルー1,3−ジメチルジシロキサン、ジクロロフェニルトリクロロシラン、1,3−ジクロロテトラフェニルジシロキサン、ジメシチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジ(p−トリル)ジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、P−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン、2−メチルー2−フェニルエチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、m−フェノキシフェニルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、フェニルビス(ジメチルアミノ)クロロシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシランなどを挙げることができる。
本発明に係わるアルカリ型コロイダルシリカの乾燥時の加熱温度は、その範囲に限定されるものではないが、好ましくは800℃以下である。品温が800℃を超えるとシリカ粒子間に表面融着が起って粒子径が粗大化し、その配合コンポジット材の透明性および物性が悪くなるためである。また、乾燥粉末シリカの含水率は20wt(重量)%以下とする。この含水率を超えると樹脂モノマーとの相溶性が悪化して層分離を起こし、シリカの母材での分散が不均一になり、同様にコンポジット材の透明性および物性が悪くなる。安全率を勘案すると含水率を10wt(重量)%以下にするのがより望ましい。
本発明に係わる加熱強制乾燥法として、一般的な重油・電気加熱炉のほかに赤外線加熱法や真空乾燥法そして噴霧乾燥法(スプレードライ法)がある。これらはいずれも現実的な乾燥手段として用いることができるが、この中でも噴霧乾燥法が本発明に最も相応しい。すなわち、当該手段で生成する乾燥シリカ粉末は微細でかつ品温を800℃未満として乾燥できるため粒子間の焼結が無く、従って5〜100nmの一次粒子径で粉末化できる。また噴霧乾燥法は乾燥が早いため安価に大量に生産できるという利点もある。
本発明に係るシリカの平均一次粒子径は、好ましくは380nm以下であり、更に好ましくは5〜100nmである。また本発明に係るシリカの形状は、好ましくは球状あるいは鎖状である。しかし、本発明に係るシリカの平均一次粒子径及び形状は、必ずしもそれに限定されるものではない。可視光線の波長(380nm)である平均一次粒子径とすることにより、可視光の透過を妨げることがなく、ゆえに母材樹脂中に微細に分散することによって、透明性を保ちながら透明樹脂部材の弾性率向上と熱膨張率の低減を達成することができる。なお380nm以下の平均一次粒子径であるならば十分に本発明の目的を達成することができるが、シリカの平均一次粒子径を更に小さくすることにより、更に透明性に優れた有機無機ナノコンポジット部材とすることができるため、平均一次粒子径が小さいシリカを使用することは本発明において好ましい態様である。
本発明に係わるナトリウム非含有シリカ組成物は母材の透明樹脂に可視光線の波長以下で分散するために形成される有機・無機ナノコンポジット材は透明性の高い材料となる。よって本発明は、上記の製造方法で得られたナトリウム非含有シリカ組成物を、樹脂モノマーより成る溶液に配合し、樹脂モノマーを重合させてポリマー化して複合材とすることを特徴とする、ナノ複合樹脂組成物の製造方法も提供するものである。この製造過程において、樹脂モノマーは重合によってポリマー化して母材樹脂となるが、シリカ微粒子との相互作用による微細分散の観点から、その母材樹脂はO(酸素)あるいはN(窒素)そしてF(フッ素)等の電気陰性度の大きい原子を含む官能基を持つことが望ましい。
例えば酸素系官能基を含む樹脂としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアレート等を挙げることができる。また窒素系官能基を含む樹脂としては、ポリアミド、ポリアミドイミド等を挙げることができる。またフッ素を含む樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン等の各種フッ素樹脂が挙げられる。しかし本発明に係わる樹脂は上記の範囲に限定されるものではなく、必要に応じて他の樹脂もまた使用することが可能である。
なお、シリカに含まれるシラノール基と母材樹脂を構成するモノマーに含まれる官能基との相互作用や、無機ガラスの代替として高い透明性が要求される用途に適した透明樹脂材料を提供することが本発明において求められている点を勘案すると、アクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
なお本発明のナトリウム非含有シリカ組成物を配合して、ナノ複合樹脂組成物を調製するにあたり、有機溶媒を使用する。原則的には、重合時の粘度調整等で必要に応じて有機溶媒を用いることができる。しかし、有機溶媒には配合シリカを溶液中に微細に分散させてより透明性の高いコンポジット材を形成させる機能もあることを考えると、該有機溶媒は重合時に重合溶媒として加えるのが望ましい。有機溶媒の使用態様をより詳しく述べると次の様である。
本発明の対象とするシリカはシラノール基を有するもので、状況によってはシラノール基の間で水素結合により所定数量のシリカが会合して、可視光線の波長(380〜770nm)を超える粒子を形成するケースがある。この状態で形成されるコンポジット材は曇りのある材料となり、透明性が十分とは言えない。
有機溶媒には、前記各種の樹脂モノマーとの共存下において、これらシリカのシラノール基同志の会合を遮断する機能がある。よってシリカが可視光線の波長以下の本来の一次粒径での分散するため、透明性の高いコンポジット材を得られるために、有機溶媒を使用することは本発明において望ましい態様である。これらの有機溶媒としては例えばアセトン、アニリン、キシレン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プチル、トルエン、メチルエチルケトン、へキサンなどの脂肪族系や芳香族系そしてメタノールなどのアルコール類が挙げられ、樹脂モノマーの種類に準じて適宜選択する。
更に自動車窓ガラスなど屋外での使用頻度の高い部材を製造することを意図する場合には、透明性に加え、耐候性においても優れた性質を有するアクリル樹脂を採用することが好ましい。これらアクリル系樹脂モノマーは官能性モノマーと非官能性モノマーに大別される。なお、前者の具体例として、カルボキシル基を有するものとしてはアクリル酸およびメタクリル酸、ヒドロキシル基を有するものとしてはメタクリル酸ヒドロキシルエチルおよびメタクリル酸ヒドロキシプロピル、アマイド基を有するものとしてはアクリルアマイドおよびメタアクリルアマイド、グリシジル基を有するものとしてはアクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルそしてメタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸第三ブチルアミノエチル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一方後者の具体例として、硬質モノマーに分類されるメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸正ブチルおよびメタクリル酸イソブチルを、そして軟質モノマーに分類されるメタクリル酸正へキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸正ブチル、アクリル酸イソブチルおよびアクリル酸−2−エチルへキシル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独であるいは複合で母材樹脂として使用することが可能であるが、本発明においては、メタクリル酸メチルを基本骨格とする単独重合アクリル樹脂あるいは共重合アクリル樹脂を母材樹脂とするのが最も好ましい。
ところで、本発明に係わるナトリウム非含有シリカ組成物は、前掲アクリル樹脂のみならず、樹脂製ウィンドウ用として好ましいもう一方の透明樹脂材料であるポリカーボネート樹脂にも適用することができる。ポリカーボネート樹脂はビスフェノールAを出発原料として、ホスゲン法あるいはエステル交換法により重合して高分子化することにより製造されるので、前掲アクリル樹脂に比べ弾性率はやや低いものの伸びが大きく、衝撃に強いという特長がある。特に自動車用ウィンドウについては走行中の振動に加え、石はね等の衝撃に遭遇することが多いため、当該部材用の透明樹脂材料としてはポリカーボネート樹脂がより望ましいが、弾性率が低いという難点がある。
前述の特開平11−343349号公報は、実施例9で、このポリカーボネート樹脂の難点を克服すべく高弾性率化の改善手法としてポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し、ついでシリカ微粒子を配合する技法を提案している。その結果曲げ弾性率はシリカ無配合材料(参考例2)に比べ35%ほど上昇し3.2GPaとなっているが、自動車用ウィンドウで要求される曲げ弾性率の3.5GPa以上には及ばない。加えてもう一方で要求される線膨張係数も4.5×10-5/℃であり、具備すべき目標値の4.5×10-5/℃以下にギリギリに到達している。その原因として、シリカ微粒子のポリカーボネート母材樹脂への分散性と両者間の相互作用が十分に発揮されていないことが考えられる。
なお、屋外使用が常用とされる自動車ウィンドウへの適用に当り、部材の線膨張係数を配慮する理由は次のようである。即ち夏場の日射の強い時期には、自動車用ウィンドウは80℃を超える温度まで上がり膨張する。この時例えばフロントウィンドウやリアウィンドウでは周辺が剛直な鋼鉄製の車体に接着剤を介して固定されているため、水平方向への膨張が抑制され、厚み方向に膨らんで変形する。この厚み方向への変形、所謂部材のゆがみ現象はウィンドウ温度が常温になっても解消されず、従って永久変形として残るおそれがある。
この現象を解析したところ、本発明に係わるナノコンポジット材の線膨張係数が4.5×10-5/℃を超えると発生することを掴み、自動車ウィンドウ用材料の線膨張係数は4.5×10-5/℃以下、更に望ましくは4×10-5/℃以下であることが判明し、今次新た創出したナトリウム非含有シリカ組成物を配合したところ、目標とする物性のコンポジット材が得られた。
また、本発明のコンポジット材を製造する際のシリカの配合量は、樹脂100質量部に対して1〜100質量部、更に好ましくは3〜40質量部である。しかしシリカの配合量はその範囲内に限定されるものではない。シリカの配合量が増すにつれて母材樹脂との水素結合等の相互作用の割合が増し、それにつれてコンポジット材の強度は増加し、かつ熱膨張率も低下するが、半面樹脂100質量部に対する配合量が100質量部を超えるとこれらの特性向上は認められない。逆にコンポジット材の透明性は低下し、また比重が高くなって部材の重量が増えるというマイナス面が目立ってくる。従ってシリカの樹脂100質量部に対する配合量は100質量部を限度とするのが望ましい。一方下限量については、樹脂100質量部に対する配合量が3質量部以上あれば、線膨張係数の低減効果は低いものの、コンポジット材の強度が向上しその効果が認められる。
また上記において述べた方法で製造されたナトリウム非含有シリカ組成物、およびナノ複合樹脂組成物もまた、本発明の範囲内である。本発明に係る方法で製造されたナノ複合樹脂組成物は、弾性率が高くかつ線膨張係数が低くしかも透明性が高いという特性を持っており、これらの機能が要求される部材に好適である。よって本発明に係わるナノ複合樹脂組成物は、自動車や家電そして住宅に用いられる透明部材・備品に適しており、特に軽量化と成形の自由度が要求される無機ガラス代替用途でその効果を発揮する。
自動車を代表的用途例として記述すると次のようである。図1はセダン系自動車の外観図である。透明材料は着色材料を含めると内外装部品で多用されている。内装材では計器盤の透明カバーが代表例として挙げられるが、この部品は既に樹脂化されている。外装材ではウィンドウやヘッドランプ、サンルーフそしてコンビネーションランプカバー類がある。これら透明部材のうち前二者は強度と耐久性から現在も無機ガラスが材料の主流となっている。この中のウィンドウは風雨を防ぐための部品であり、図1のように車両の前面と後面そして側面のドアに設置されている。使用面積は3〜4m2、重量は30〜35kgであるために、従来軽量化の期待の大きい部品である。
このように車両の軽量化とデザインの自由度の拡大からウィンドウの樹脂化の要望が高く、これまで様々の角度より開発研究がなされ、その手法が提案・開示されているが、前述のように安全性と機能面で解決すべき課題があるためまだ本格的な採用までには至っていない。また、近年ワンボックス型のRV車の普及が目覚しくウィンドウの占める割合が増大してきており、軽量化と乗員の視認性と快適性向上から、ウィンドウの樹脂化に対する要求は益々強くなってきている。本発明に係わるナノ複合樹脂組成物により成形される透明樹脂製ガラスはこれら自動車用ウィンドウに要求される機能を備えており、車両の軽量化と快適性向上に貢献できるものである。加えて、車両用途において軽量化を達成すれば、同時に省燃費とCO2の排出低減に繋がり、地球環境の保全にも寄与することになる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各種評価は以下の方法により、特記しない場合には、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
(ナノ複合樹脂組成物の評価装置と合否規格)
製造されたナノ複合樹脂組成物の物性を下記の装置で測定し、合否の評価を行った。
(1)全光線透過率は、村上色彩研究所製へイズメータ「HM-65」で計測し、75%以上を合格とした。
(2)曲げ弾性率は、島津製作所(株)製オートグラフ「DSC-10T」で計測し、3.5GPa以上を合格とした。
(3)線膨張係数は、セイコー電子工業(株)製熱機械測定装置「TMA120C」で計測し、4.5×10-5/℃以下を合格とした。
製造されたナノ複合樹脂組成物の物性を下記の装置で測定し、合否の評価を行った。
(1)全光線透過率は、村上色彩研究所製へイズメータ「HM-65」で計測し、75%以上を合格とした。
(2)曲げ弾性率は、島津製作所(株)製オートグラフ「DSC-10T」で計測し、3.5GPa以上を合格とした。
(3)線膨張係数は、セイコー電子工業(株)製熱機械測定装置「TMA120C」で計測し、4.5×10-5/℃以下を合格とした。
(実施例1〜8:アクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物)
ステップI
ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解により製造したアルカリ型コロイダルシリカ( 日産化学工業(株)製 商品名:スノーテックスST-30、濃度30〜31%、pH9.5〜10.5)10リットルを、ガスバーナ温度を300℃として、噴霧乾燥機((株)セイシン企業製商品名:フラッシュジェットドライヤー)で乾燥処理をして、約3kgの含水率が2.7%の薄灰色シリカ粉末を得た。更に当該シリカ粉末を熱風式の乾燥炉に入れ、150℃×3時間の条件下で追加乾燥して含水率を0.05%とした。
ステップI
ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解により製造したアルカリ型コロイダルシリカ( 日産化学工業(株)製 商品名:スノーテックスST-30、濃度30〜31%、pH9.5〜10.5)10リットルを、ガスバーナ温度を300℃として、噴霧乾燥機((株)セイシン企業製商品名:フラッシュジェットドライヤー)で乾燥処理をして、約3kgの含水率が2.7%の薄灰色シリカ粉末を得た。更に当該シリカ粉末を熱風式の乾燥炉に入れ、150℃×3時間の条件下で追加乾燥して含水率を0.05%とした。
次に当該シリカ粉末を600gのシクロへキサンを満たした三ロフラスコ中に入れ、更にこの溶液にシリコン系表面処理剤としてのジメチルジクロロシラン((CH3)2SiCl2)を0.5g、触媒としてピリジン0.3mlを投入し、液温を80℃として、6時間還流処理をした。反応終了後シクロへキサンで洗浄・乾燥し、本発明に係わるナトリウム非含有シリカ組成物(以下シリカNと略称する)を得た。得られた粉末は純白であった。シリカ中のナトリウム成分が除去されたためと考えられる。
ステップII
フラスコに有機溶媒としてトルエン250部、樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)100部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)25部そしてステップIで作製したシリカNをそれぞれ3、5、10、20、40、60、80、100部の8水準加え、攪拌子で攪拌し、ついでフラスコ内の空気を窒素等の不活性ガスで置換して系内を密封し、この溶液を80℃の温度下で24時間処理してMMAを重合させた。反応終了後、へキサンを滴下して沈殿させ、本発明に係わる8種のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物を得た。
フラスコに有機溶媒としてトルエン250部、樹脂モノマーとしてメタクリル酸メチル(MMA)100部、反応開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)25部そしてステップIで作製したシリカNをそれぞれ3、5、10、20、40、60、80、100部の8水準加え、攪拌子で攪拌し、ついでフラスコ内の空気を窒素等の不活性ガスで置換して系内を密封し、この溶液を80℃の温度下で24時間処理してMMAを重合させた。反応終了後、へキサンを滴下して沈殿させ、本発明に係わる8種のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物を得た。
ステップIII
得られた8種のナノ複合樹脂組成物を乾燥して粒となし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて全光線透過率、シリカの分散状態、曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表1の結果が得られた。配合量3部から100部の配合範囲にある本実施例では透明性を損なうことなくコンポジット材の物性を改善できる。ただし、シリカの配合量が増えるにつれてコンポジット材の比重が増し、ひいては部材の重量を増やすことが考えられる。この観点から評価すると樹脂100質量部に対する本発明に係わるシリカNの配合量は3〜40質量部の範囲とするのが望ましい。
得られた8種のナノ複合樹脂組成物を乾燥して粒となし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて全光線透過率、シリカの分散状態、曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表1の結果が得られた。配合量3部から100部の配合範囲にある本実施例では透明性を損なうことなくコンポジット材の物性を改善できる。ただし、シリカの配合量が増えるにつれてコンポジット材の比重が増し、ひいては部材の重量を増やすことが考えられる。この観点から評価すると樹脂100質量部に対する本発明に係わるシリカNの配合量は3〜40質量部の範囲とするのが望ましい。
(比較例1)
市販の粒状ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)を押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて、全光線透過率曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表1の結果が得られた。高い透明性を有するものの弾性率ならびに線膨張係数が目標値に達せず、総合評価はNG(不合格)であった。
市販の粒状ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン(株)製アクリペットVH)を押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて、全光線透過率曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表1の結果が得られた。高い透明性を有するものの弾性率ならびに線膨張係数が目標値に達せず、総合評価はNG(不合格)であった。
(実施例9〜16:ポリカーボネート/シリカ系ナノ複合樹脂組成物)
ステップI
上記の実施例1〜8におけるステップIと同一の方法・条件で処理をして本発明に係わるナトリウムナトリウム非含有シリカ組成物の「シリカN」を得た。
ステップI
上記の実施例1〜8におけるステップIと同一の方法・条件で処理をして本発明に係わるナトリウムナトリウム非含有シリカ組成物の「シリカN」を得た。
ステップII
300部の塩化メチレンと0.5部のピリジン(塩化水素捕捉剤)とから成るフラスコに100部のビスフェノールAで溶解した。次に、ステップIで作製したシリカNをそれぞれ3、5、10、20、40、60、80、100部の8水準加えて攪拌子で攪拌し、ついでホスゲンを吹込んで重合させた。反応終了後、溶媒の塩化メチレンを除去して乾燥させ、8種のポリカーボネート/シリカ系ナノ複合樹脂組成物を得た。
300部の塩化メチレンと0.5部のピリジン(塩化水素捕捉剤)とから成るフラスコに100部のビスフェノールAで溶解した。次に、ステップIで作製したシリカNをそれぞれ3、5、10、20、40、60、80、100部の8水準加えて攪拌子で攪拌し、ついでホスゲンを吹込んで重合させた。反応終了後、溶媒の塩化メチレンを除去して乾燥させ、8種のポリカーボネート/シリカ系ナノ複合樹脂組成物を得た。
ステップIII
得られた8種のナノ複合樹脂組成物を乾燥して粒となし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて全光線透過率、シリカの分散状態、曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表2の結果が得られた。傾向は前実施例のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物と同様で、配合量3部から100部の配合範囲では透明性を損なうことなくコンポジット材の物性を改善できる。ただし、シリカの配合量が増えるにつれてコンポジット材の比重が増し、ひいては部材の重量を増やすことが考えられる。この観点から評価すると樹脂100質量部に対する本発明に係わるシリカNの配合量は3〜40質量部の範囲とするのが望ましい。
得られた8種のナノ複合樹脂組成物を乾燥して粒となし、これを押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて全光線透過率、シリカの分散状態、曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表2の結果が得られた。傾向は前実施例のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物と同様で、配合量3部から100部の配合範囲では透明性を損なうことなくコンポジット材の物性を改善できる。ただし、シリカの配合量が増えるにつれてコンポジット材の比重が増し、ひいては部材の重量を増やすことが考えられる。この観点から評価すると樹脂100質量部に対する本発明に係わるシリカNの配合量は3〜40質量部の範囲とするのが望ましい。
(比較例2)
市販の粒状ポリカーボネート樹脂(日本ジーイープラスチック(株)レキサン132)を押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて、全光線透過率曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表2の結果が得られた。前実施例のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物と同様で高い透明性を有するものの弾性率ならびに線膨張係数が目標値に達せず、総合評価はNG(不合格)であった。
市販の粒状ポリカーボネート樹脂(日本ジーイープラスチック(株)レキサン132)を押出法により厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートついて、全光線透過率曲げ弾性率そして線膨張係数を計測したところ表2の結果が得られた。前実施例のアクリル/シリカ系ナノ複合樹脂組成物と同様で高い透明性を有するものの弾性率ならびに線膨張係数が目標値に達せず、総合評価はNG(不合格)であった。
ナトリウムを含まないシリカ微粒子は無機成分としてコンポジット材に配合した際に色調と物性に望ましくない影響を及ぼすことがないために有利であるが、本発明の方法は、かかる非含有シリカ組成物を製造するための優れた方法を提供するものである。本発明の非含有シリカ組成物を配合したナノ複合樹脂組成物を成形することにより、ガラスに替わる透明樹脂を製造することができるが、かかる透明樹脂は自動車用ウィンドウとして利用するのに適した物性を有するために、ウィンドウの樹脂化の要望に応えるものである。また本発明のナノ複合樹脂組成物によって車両の軽量化を達成すれば、同時に省燃費とCO2の排出低減に繋がり、地球環境の保全にも寄与することになる。
1 フロントウィンドウ
2 サイドウィンドウ
3 リアウィンドウ
2 サイドウィンドウ
3 リアウィンドウ
Claims (15)
- ケイ酸ソーダ((SiO2)n・Na2O)の加水分解で得られるコロイド状シリカを乾燥して粉末と成し、ついで当該粉末をクロル基を有するシリコン系処理剤で表面改質することを特徴とする、ナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 前記粉末シリカは800℃以下の温度下で乾燥処理して造られたもので、かつその含水率が20(重量)wt%以下であることを特徴とする、請求項1記載のナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 上記乾燥処理を加熱強制乾燥法で行うことを特徴とする、請求項2記載のナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 上記乾燥処理を噴霧乾燥法で行うことを特徴とする、請求項2記載のナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 前記シリカは球状あるいは鎖状であり、かつその平均一次粒子径が380nm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一つの請求項記載のナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 前記平均一次粒子径が5〜100nmであることを特徴とする、請求項5記載のナトリウム非含有シリカ組成物の製造方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一つの請求項記載の製造方法で得られたナトリウム非含有シリカ組成物を、樹脂モノマーまたは樹脂モノマーと有機溶媒より成る溶液に配合し、当該樹脂モノマーを重合化により樹脂となすことによって複合材を製造することを特徴とする、ナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 上記樹脂は、酸素系官能基を含む樹脂、窒素系官能基を含む樹脂およびフッ素を含む樹脂から成る群から選択されたことを特徴とする、請求項7記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記樹脂はアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂であることを特徴とする、請求項7記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記アクリル樹脂はメタクリル酸メチルを基本骨格とする単独重合アクリル樹脂あるいは共重合アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項9記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAをホスゲン法あるいはエステル交換法により重合して高分子化することにより得られたものであることを特徴とする、請求項9記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記シリカの配合量は前記樹脂100質量部に対して1〜100質量部であることを特徴とする、請求項7ないし請求項11のいずれか一つの請求項記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 前記シリカの配合量は前記樹脂100質量部に対して3〜40質量部であることを特徴とする、請求項7ないし請求項11のいずれか一つの請求項記載のナノ複合樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一つの請求項記載の製造方法で得られるナトリウム非含有シリカ組成物。
- 請求項7ないし請求項13のいずれか一つの請求項記載の製造方法で得られるナノ複合樹脂組成物。
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