JP2005096728A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スプールの軸方向に沿ったテンションリデューサの大型化を抑制し、全体的に薄型のテンションリデューサを有するウエビング巻取装置を得る。
【解決手段】 本ウエビング巻取装置10では、ウエビングベルト22を巻き取るための第1付勢力を生む渦巻きばね36に対して、スプール20の回転半径方向外方側に、第1付勢力に抗する第2付勢力を生む渦巻きばね54を配置した。これにより、渦巻きばね36と渦巻きばね54とをスプール20の軸方向に沿って並べて配置した構成に比べて、テンションリデューサ30を薄型化できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両乗員の身体を拘束するウエビングベルトを巻き取って収納するウエビング巻取装置に係り、特に、ウエビングベルトを巻き取る方向への付勢力を加減する所謂テンションリデューサを備えたウエビング巻取装置に関する。
車両の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するシートベルト装置は、座席の側方で車体に固定されたウエビング巻取装置を備えている。ウエビング巻取装置は、例えば、軸方向が略車両前後方向に沿ったスプールを備えており、このスプールにウエビングベルトの長手方向基端側が係止されている。スプールはその外周部にウエビングベルトを層状に巻き取った状態で収容している。
また、ウエビング巻取装置には、例えば、ウエビングベルトを巻き取る巻取方向へスプールを付勢する渦巻きばねが設けられている。渦巻きばねは、例えば、その渦巻き方向内側端にスプールが係止されており、外側端が渦巻きばねを収容するためのケースの内壁等に係止されている。スプールに巻き取られたウエビングベルトを引っ張ってスプールを巻取方向とは反対の引出方向に回転させると、渦巻きばねの内側端が外側端に対して引出方向に回転し、これにより、渦巻きばねに巻取方向の付勢力(以下、渦巻きばねの巻取方向の付勢力を便宜上、「巻取付勢力」と称する)が生じる。
このようにして生じた渦巻きばねの巻取付勢力により、ウエビングベルトを巻き取って収容すると共に、乗員の身体にウエビングベルトを装着した状態では、付勢部材の付勢力でウエビングベルトの弛み等を除去している。この種のウエビング巻取装置では、渦巻きばねの巻取付勢力に抗してウエビングベルトの長手方向中間部に設けられたタングプレートを引っ張ることでスプールに巻き取られたウエビングベルトを引き出し、この状態でタングプレートをウエビング巻取装置とは反対側の座席側方に設けられたバックル装置に保持させることでウエビングベルトを装着できる構造となっている。
一方、このような渦巻きばねは、内側端が外側端に対して回転するほど巻取付勢力が増大する。このように過度に巻取付勢力が大きくなった状態で乗員がウエビングベルトを装着すると乗員は過度な圧迫感を感じる。そこで、ウエビング巻取装置に所謂テンションリデューサを設け、所定の状態では実質的に巻取付勢力を軽減することで上記の不具合を軽減又は解消している。
テンションリデューサには様々な機構が提案されているが、その一例が下記特許文献1に開示されている。
以下、この特許文献1に開示されているテンションリデューサに関して簡単に説明する。
特許文献1に開示されているテンションリデューサは、主ゼンマイばね(渦巻きばね)を備えている。主ゼンマイばねの渦巻き方向外側端は、主ゼンマイばね等を収容するケース部材に係止されており、巻取装置(ウエビング巻取装置)のハウジングにケース部材が固定されることで、間接的に主ゼンマイばねの渦巻き方向外側端がハウジングに係止されることになる。
主ゼンマイばねの渦巻き方向内側端は巻軸の外周部に係止されている。巻軸はシートベルト(ウエビングベルト)の基端が係止された巻取軸(スプール)に同軸的且つ一体的に連結されており、シートベルトが引き出されて巻取軸及び巻軸が引き出し方向に回転すると、主ゼンマイばねの内側端が引出方向に回転し、これにより、主ゼンマイばねに巻取方向の付勢力が生じる。
巻取軸及び巻軸の軸方向に沿った主ゼンマイばねの側方には、ラチェットホイールが巻軸に回転自在に軸支されている。ラチェットホイールの内側には副ゼンマイばねが配置されている。副ゼンマイばねの渦巻き方向外側端はラチェットホイールの内周部に係止されており、内側端は更に副ゼンマイばねの内側に配置されたリングに係止されている。
リングには捩じりコイルスプリングにより構成されたばねクラッチの一端が係止されている。ばねクラッチの内側には巻軸が貫通配置されており、ばねクラッチの他端は巻軸に係止されている。
一方、ラチェットホイールの側方には、ソレノイドのプランジャに取り付けられたラチェット爪が配置されており、ソレノイドが作動してラチェット爪がラチェットホイールに係合すると、ラチェットホイールの回転が規制される。
巻取軸及び巻軸が引出方向に回転すると、主ゼンマイばねの内側端が引出方向に回転し、これにより、巻取方向への付勢力(巻取付勢力)が主ゼンマイばねに生じる。また、このように巻取軸及び巻軸が引出方向に回転すると、ばねクラッチが引出方向に回転する。
これにより、リングが引出方向に回転して、ひいては、副ゼンマイばねの内側端が引出方向に回転するが、ラチェットホイールの回転が規制されていない状態では、副ゼンマイばねの内側端の回転に伴い外側端がラチェットホイールを伴って引出方向に回転する。したがって、この状態では、副ゼンマイばねに格別な付勢力が生じない。
乗員がウエビングベルトを引き出して身体にウエビングベルトを掛け回してタングプレートをバックル装置に装着すると、ソレノイドが作動してラチェット爪がラチェットホイールに係合し、ラチェットホイールが回転規制状態になる。
この状態で、主ゼンマイばねが付勢力で巻取軸を巻取方向に回転させることでウエビングベルトの緩みが解消される。さらに、この状態では、ラチェットホイールの回転が規制されているため、巻取方向に巻軸が回転すると、副ゼンマイばねの内側端が外側端に対して巻取方向に回転する。これにより、副ゼンマイばねには引出方向の付勢力が生じる。主ゼンマイばねにて生じた巻取方向の付勢力の一部が副ゼンマイばねにて生じた引出方向の付勢力により相殺されることで、実質的に主ゼンマイばねの巻取方向への付勢力が減少する。これにより、主ゼンマイばねの付勢力に起因してウエビングベルトを装着した際に乗員が感じる圧迫感が軽減又は解消される。
特開2001-260814公報
ところで、上記特許文献1に開示されたテンションリデューサは、巻取軸及び巻軸の軸方向に沿った主ゼンマイばねの側方に副ゼンマイばねを配置した構造である。このため、テンションリデューサは、巻取軸及び巻軸の軸方向に大型化してしまうと言う問題がある。
本発明は、上記事実を考慮して、スプールの軸方向に沿ったテンションリデューサの大型化を抑制し、全体的に薄型のテンションリデューサを有するウエビング巻取装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端部が係止され、自らの軸周りの一方である巻取方向に回転することで前記ウエビングベルトを長手方向基端側から巻き取ると共に、前記ウエビングベルトに対して長手方向先端側へ引張力が付与されることで、巻き取った前記ウエビングベルトを引き出しつつ前記巻取方向とは反対の引出方向に回転するスプールと、両端のうちの何れか一端である第1係止端が前記スプールを支持するフレームに直接又は間接的に固定されて、前記第1係止端とは反対側の第1連結端が前記スプールの軸方向一端に直接又は間接的に連結され、前記第1係止端に対して前記第1連結端を前記引出方向に変位させることで前記スプールを前記巻取方向に付勢可能な第1付勢手段と、前記スプールの回転半径方向に沿って前記第1付勢手段の内側又は外側に配置されると共に、両端の何れか一端である第2連結端が前記スプールの軸方向一端へ直接又は間接的に連結可能で、当該連結状態で且つ前記第2連結端とは反対側の第2係止端に対して前記第2連結端が前記巻取方向及び前記引出方向の何れか一方に変位した状態では、何れか他方への付勢力を前記スプールに付与可能な第2付勢手段と、前記第2付勢手段の前記第2係止端に対して直接又は間接的に係合可能に設けられ、前記第2係止端に対する係合状態で前記巻取方向及び前記引出方向の少なくとも何れか一方の前記第2係止端の変位を規制する規制手段と、を備えている。
請求項1に記載の本発明に係るウエビング巻取装置では、フレームに直接又は間接的に支持されたスプールに、長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端部が係止されており、スプールをその軸周り方向の一方である巻取方向に回転させると、ウエビングベルトがその基端側からスプールに巻き取られて収納される。
また、このような収納状態等で、ウエビングベルトが先端側から引っ張られると、この張力によってスプールが巻取方向とは反対の引出方向にスプールが回転しつつウエビングベルトのスプールに巻き取られている部分が引き出される。このようにして引き出されたウエビングベルトが、例えば、車両の座席に着座した乗員の身体に掛け回されて、ウエビングベルトの一部に設けられたタングプレート等がバックル装置に係合保持されることで乗員の身体がウエビングベルトにより拘束される。
また、スプールの軸方向一端には、第1付勢手段の何れか一端である第1連結端が直接又は間接的に連結されている。したがって、基本的には、ウエビングベルトを引き出すことでスプールが引出方向に回転すると第1付勢手段の第1連結端がスプールに伴われて引出方向に回転(変位)する。
これに対して、第1連結端とは反対側の第1付勢手段の端部である第1係止端は、直接又は間接的にフレームに固定される。このため、上記のように第1連結端が引出方向に回転しても、第1係止端は変位しない。これにより、第1付勢手段には、第1連結端側を巻取方向に回転させる付勢力(以下、この第1付勢手段に生じる付勢力を、便宜上、「第1付勢力」と称する)が生じる。
基本的には、この第1付勢力が第1連結端を介してスプールに付与されることで、スプールが巻取方向に付勢され、上記のバックル装置等による係合保持状態が解除されて、この巻取付勢力に抗する外力が解除されると、スプールが巻取方向に回転させられて、ウエビングベルトが基端側からスプールに巻き取られて収納される。
一方で、本発明に係るウエビング巻取装置では、第1付勢手段とは別に第2付勢手段が設けられる。第2付勢手段は、両端のうちの何れか一端である第2連結端がスプールの軸方向一端へ直接又は間接的に連結可能である。したがって、スプールと第2連結端との連結状態でスプールが引出方向又は巻取方向に回転すると、基本的に、第2連結端もスプールの回転に連動して回転する。
この状態で、第2連結端とは反対側の第2付勢手段の第2係止端に規制手段が係合していると、規制手段によって巻取方向及び引出方向の少なくとも何れか一方への第2係止端の変位が規制される。したがって、この状態でのスプールの回転方向に連動した第2係止端の変位方向が規制手段の変位規制方向と合致していれば、スプールの回転に連動して第2付勢手段の第2連結端は回転するものの、第2係止端は回転しないため、第2付勢手段に第2連結端側をその回転方向とは反対方向に回転させようとする付勢力(以下、この第2付勢手段に生じる付勢力を、便宜上、「第2付勢力」と称する)が生じる。
上記のように、第2付勢力が作用している状態では、第2連結端がスプールに直接又は間接的に連結されており、したがって、第2付勢力はスプールに付与される。
このため、例えば、この第2付勢力の付勢方向が引出方向であれば、巻取方向の付勢力である第1付勢力は第2付勢力に相殺される。これにより、スプールに付与された巻取方向への付勢力が弱まる。このように、付勢力が弱まることでスプールの回転力、すなわち、巻取力が弱まり、ひいてはウエビングベルトに付与される基端側への張力が弱まる。したがって、この状態で乗員の身体にウエビングベルトが装着されていれば、ウエビングベルトを装着した際にウエビングベルトから乗員に付与される圧迫感が軽減される。
また、スプールにウエビングベルトを巻き取らせる際には、第2付勢力を消滅させるか、第2連結端からスプールへの第2付勢力の伝達を遮断すれば、第2付勢力による相殺が行なわれない第1付勢力によってスプールを巻取方向に回転させることができる。これにより、充分な巻取力でスプールにウエビングベルトを巻き取らせることができる。
一方、例えば、この第2付勢力の付勢方向が巻取方向であれば、第1付勢力に第2付勢力が加えられることで巻取方向への付勢力が増加する。したがって、このようにの付勢方向と同方向であれば、第1付勢力に第2付勢力が付加されスプールに付与される巻取方向への付勢力が強まり、充分な巻取力でスプールにウエビングベルトを巻き取らせることができる。
また、スプールとの間に、引出方向へのスプールの回転力を第2連結端に伝えることを許容しつつも第2連結端の巻取方向への回転を制限する制限手段を規制手段とは別に設けて、ウエビングベルトの引き出しに伴い第2付勢手段の第2付勢力を増加させるが、この第2付勢力がスプールに伝わることを制限すれば、第1付勢力のみスプールに作用することになり、第2付勢力が付加された第1付勢力でスプールを付勢した状態でウエビングベルトを装着した場合に比べて上記の圧迫感が軽減される。
このように、2種類の付勢手段(第1付勢手段及び第2付勢手段)により、結果的にスプールに付与する付勢力を増減することが可能である。しかも、本発明に係るウエビング巻取装置では、スプールの回転半径方向に沿って第1付勢手段の内側か外側に第2付勢手段が配置される。したがって、スプールの回転半径方向に沿って第1付勢手段及び第2付勢手段を見た場合、少なくとも第2付勢手段(又は第1付勢手段)の一部が、第1付勢手段(又は第2付勢手段)に重なり合う。
このため、第1付勢手段と第2付勢手段とをスプールの軸方向に並べて配置した場合に比べて、スプールの軸方向に沿った寸法を短くできる。これにより、このような第1付勢手段、第2付勢手段、及び規制手段等を含めて構成される所謂「テンションリデューサ」の厚さ方向をスプールの軸方向とした場合のテンションリデューサの薄型化が可能になる。
なお、ウエビング巻取装置のテンションリデューサには、上記のように、第1付勢手段及び第2付勢手段の双方の付勢力によってスプールにウエビングベルトを巻き取らせ、ウエビングベルトの装着状態にあっては、第1付勢手段及び第2付勢手段の何れか一方の付勢力のみをスプールに付与する構造と、第1付勢手段の付勢力によってスプールにウエビングベルトを巻き取らせ、ウエビングベルトの装着状態にあっては、第1付勢手段の付勢力を第2付勢手段の付勢力で相殺してスプールに付与する付勢力を減ずる構造と、がある。本発明に係るウエビング巻取装置は、これらの構造の何れかに限定されるものではなく、何れの構造を採用しても構わない。
また、本発明に係るウエビング巻取装置は、スプールの回転半径方向に沿った第1付勢手段の内側又は外側に第2付勢手段を配置する構成である。この点に関して更に具体的に説明すると、第1付勢手段の内側に第2付勢手段を配置する構造であってもよいし、これとは逆に、第2付勢手段の内側に第1付勢手段を配置する構造(すなわち、第1付勢手段を基準にみれば、第1付勢手段の外側に第2付勢手段を配置する構造)であってもよい。また、スプールの回転半径方向に沿って、第1付勢手段と第2付勢手段とを並べて配置する構造(すなわち、第1付勢手段を基準にみれば、これも第1付勢手段の外側に第2付勢手段を配置する構造)であってもよい。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、前記第2係止端の変位が前記規制手段により常時規制された前記第2付勢手段の前記第2連結端が連結されると共に、前記スプールの軸方向に対して平行な軸周りに回転自在に設けられた回転体と、前記スプール及び前記回転体の少なくとも何れか一方に対して接離移動可能に設けられ、前記何れか一方に接近することで前記何れか一方に係合し、前記スプールに前記回転体を機械的に連結して前記スプールの回転を前記回転体に伝え、前記何れか一方から離間する前記何れか一方への係合が解除されるクラッチ手段と、を含めて構成される回転伝達手段を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の本発明に係るウエビング巻取装置では、第2付勢手段の第2連結端に回転伝達手段を構成する回転体が連結される。回転体はスプールの軸方向に対して平行な軸周りに回転自在とされているため、回転体が回転すると第2連結端が回転体と共に回転する。
本発明に係るウエビング巻取装置では、第2付勢手段の第2係止端は規制手段によって常時回転が規制される(換言すれば、第2係止端は基本的に保持されている)ため、回転体が回転すると第2連結端が第2係止端に対して回転体の回転方向に回転する。これにより、第2付勢手段には回転体の回転方向とは反対方向の付勢力が生じる。
一方、回転体と共に回転伝達手段を構成するクラッチ手段は、スプール及び回転体の少なくとも何れか一方に対して接離移動可能とされ、この何れか一方にクラッチ手段が接近すると、スプールに回転体が機械的に連結される。このようにスプールに回転体が連結されると、スプールと回転体との間で回転力の伝達が行なわれる。したがって、スプールが回転すれば、この回転がクラッチ手段及び回転体を介して第2付勢手段の第2連結端に伝えられて第2連結端が回転し、第2連結端の回転に伴い生じた第2付勢手段の付勢力がスプールに伝えられる。
ところで、クラッチ手段はスプール及び回転体の少なくとも何れか一方から離間することで、この少なくとも何れか一方との係合が解除される。この状態では、第2付勢手段の付勢力がスプールに伝わらないのみならず、スプールの回転力を、クラッチ手段及び回転体に伝える際に生じる抵抗等のその他の外力がスプールに伝わることがない。
このようなその他の外力は、ウエビングベルトを引き出す際の抵抗になるが、その他の外力がスプールに伝わらないことで、ウエビングベルトを引き出す際の抵抗を不用意に増加することを防止又は効果的に軽減でき、円滑にウエビングベルトを引き出すことができる。
請求項3に記載の本発明に係るウエビング巻取装置は、請求項1に記載の本発明において、前記第2付勢手段の前記第2係止端に対する前記規制手段の係合状態で、前記第1付勢手段の前記第1連結端に前記規制手段が直接又は間接的に係合し、前記第1係止端に対する前記第1連結端の前記巻取方向への変位を規制する、ことを特徴としている。
請求項3に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、第2付勢手段の第2係止端が規制手段に係合して第2係止端の回転を規制した状態では、規制手段が第1付勢手段の第1連結端に直接又は間接的に係合する。この第1連結端への規制手段の係合状態では、第1係止端に対する第1連結端の巻取方向への回転(変位)が規制される。
上述したように、第1付勢手段は、第1連結端が第1係止端に対して引出方向に回転することで巻取方向の第1付勢力が生じる。しかしながら、仮に、第1付勢力が生じていても、規制手段によって第1連結端の回転(変位)が規制されることで、スプールに第1付勢力が付与されることがない。
したがって、この状態で、第2係止端に対して第2連結端を巻取方向に付勢する第2付勢力が第2付勢手段に生じ、この第2付勢力が直接又は間接的に付与されているならば、スプールがウエビングベルトを巻き取ろうとするための回転力は第2付勢力にのみ基づく回転力になる。このため、第1付勢力及び第2付勢力の合力がスプールに付与されている場合に比べて、ウエビングベルトを装着した乗員が感じる圧迫感を効果的に軽減できる。
請求項4に記載のウエビング巻取装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記第2係止端に一端が直接又は間接的に連結されて、前記第2連結端に付与された回転力により前記第2付勢手段に連動して回転可能であると共に、前記規制手段が直接又は間接的に係合可能で前記規制手段の係合状態では、前記第2付勢手段から付与された前記巻取方向及び前記引出方向の何れか一方の回転力に連動した回転が規制される弾性部材を備える、ことを特徴としている。
請求項4に記載の本発明に係るウエビング巻取装置によれば、第2付勢手段の第2連結端に巻取方向及び引出方向の何れか一方の回転力が付与されると、第2付勢手段の第2係止端に直接又は間接的に連結された弾性部材に前記何れか一方の回転力が伝えられ、これにより、弾性体が変位しようとする。
一方、この状態で、規制手段が弾性体に対して直接又は間接的に係合すると、規制手段により前記何れか一方への回転が規制される。したがって、この状態では、第2付勢手段の第2係止端は、弾性部材を介して規制手段からの規制を受け、前記何れか一方への回転が規制される。
ここで、上記のように、本発明に係るウエビング巻取装置では、規制手段による規制状態で規制手段と第2付勢手段との間に弾性部材が介在した状態となる。このため、例えば、規制手段の規制状態で、突発的に大きな回転力がスプールから第1付勢手段を介して第2付勢手段に付与されても、弾性部材の弾性変形分だけ第2付勢手段は第2係止端を伴って回転し、この弾性部材の弾性変形で回転力を吸収することで、弾性部材に係合した規制手段に対する回転力の伝達を軽減できる。これにより、急激な回転力の発生に起因する規制手段等の様々な部材の破損等を防止できる。
以上説明したように、本発明に係るウエビング巻取装置では、スプールの軸方向に沿ったテンションリデューサの大型化を抑制し、テンションリデューサを全体的に薄型とすることができる。
<第1の実施の形態の構成>
(ウエビング巻取装置10の全体構成の概略)
図2には、本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成の概略が正面断面図によって示されている。
この図に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は一対の脚板14、16を備えている。これらの脚板14、16は、各々の厚さ方向に互いに対向した状態で平行に配置されている。これらの脚板14、16の幅方向一方の端部は、背板18により連結されており、特に図示はしないが、平面視でフレーム12は図2の紙面手前側に開口した略凹形状となっている。
また、本ウエビング巻取装置10はスプール20を備えている。スプール20は脚板14、16の対向方向に沿って軸方向の略円筒形状に形成されており、その外周部には長尺帯状に形成されたウエビングベルト22が長手方向基端側から層状に巻き取られて収納されている。ウエビングベルト22は、スプール20がその軸周り方向一方である巻取方向に回転すると、基端側から順次スプール20に巻き取られる。
さらに、スプール20にウエビングベルト22が巻き取られた状態で、ウエビングベルト22をその先端側へ引っ張ると、スプール20に巻き取られているウエビングベルト22が引き出されつつ、スプール20が巻取方向とは反対の引出方向に回転する構造となっている。
スプール20の内側には、図示しないトーションシャフトが収納されている。トーションシャフトはスプール20に対して略同軸的に配置されており、例えば、その軸方向脚板16側の端部にてスプール20に一体的に連結されている。トーションシャフトの軸方向脚板14側は、スプール20に対してその軸周りに相対回転可能とされており、更に、トーションシャフトの軸方向脚板14側の端部にはアダプタ24が同軸的且つ一体的に連結されている。
このアダプタ24は、脚板14の外側(脚板14を介して脚板16とは反対側)に設けられた図示しないロック機構やプリテンショナ等の構成部品に連結され、更に、ロック機構等のケースを介して脚板14に支持されている。
(テンションリデューサ30の構成)
一方、脚板16の外側(脚板16を介して脚板14とは反対側)にはテンションリデューサ30が設けられている。図1及び図2に示されるように、テンションリデューサ30はケース32を備えている。ケース32は概ね脚板16側へ向けて開口した箱状に形成されており、その内側には、ばね収容部34が形成されている。
ばね収容部34には、第1付勢手段としての渦巻きばね36が収容されている。第渦巻きばね36は、その渦巻き方向の軸方向がスプール20の軸方向と同方向とされており、第1係止端としての渦巻き方向外側端36Aは、ケース32の内壁に形成された図示しない係止部に一体的に連結されて係止されている。これに対して、第1連結端としての渦巻きばね36の渦巻き方向内側端36Bは軸部38の外周部に一体的に連結されている。
渦巻きばね36は、その内側端36Bが外側端36Aに対して引出方向に回転することで巻き締められるように渦巻き方向が設定されており、内側端36Bが外側端36Aに対して引出方向に回転して巻き締められることで、内側端36Bを巻取方向に付勢する付勢力が増加する構造となっている。
また、渦巻きばね36と脚板16との間には、ギヤ40が設けられている。ギヤ40は外歯の平歯車により構成されており、その軸方向一端(脚板16側の端部)は、スプール20に同軸的且つ一体的に連結されており、スプール20が巻取方向や引出方向に回転するとギヤ40がスプール20の回転方向へ一体的に回転する構造なっている。これに対して、ギヤ40の軸方向他端(渦巻きばね36側の端部)には、上記の軸部38が同軸的且つ一体的に形成されている。
したがって、スプール20が引出方向に回転すると、ギヤ40、ひいては軸部38が引出方向に回転して渦巻きばね36を巻き締める。また、この軸部38の軸方向一端(脚板16とは反対側の端部)はケース32に回転自在に軸支されている。
一方、ギヤ40の回転半径方向下方には、ギヤ42が設けられている。ギヤ42はギヤ40よりも大径で歯数が多い外歯の平歯車により構成されており、その軸方向一端(脚板16側の端部)は、脚板16に回転自在に軸支された状態でギヤ40に噛み合っている。さらに、ギヤ42の回転半径方向下方にはギヤ44が設けられている。
ギヤ44はギヤ42よりも小径で歯数が少ない外歯の平歯車により構成されており、その軸方向一端(脚板16側の端部)は、脚板16に回転自在に軸支された状態でギヤ42に噛み合っている。ギヤ44の軸方向他端には軸部46が同軸的且つ一体的に形成されている。
軸部46は、ケース32のばね収容部34の下方に形成されたラチェット収容部48の内壁(底壁)に回転自在に軸支されている。また、ラチェット収容部48にはラチェット50が収容されている。ラチェット50は、軸方向脚板16側の端部が開口した浅底の略有底円筒形状(又は、盆状)に形成されており、その外周部には複数のラチェット歯が形成されている。
ラチェット50の底壁中央には円孔52が形成されている。円孔52には上記の軸部46が貫通しており、ラチェット50は軸部46に対して回転自在に軸支されている。また、ラチェット50の内側には第2付勢手段としての渦巻きばね54が収容されている。渦巻きばね54は渦巻き方向が上記の渦巻きばね36の渦巻き方向と同方向とされており、第2係合端としての渦巻き方向外側端54Aは、ラチェット50の内壁に形成された図示しない係止部に係止されている。
これに対して、第2連結端としての渦巻きばね54の渦巻き方向内側端54Bは、渦巻きばね54の内側に配置されたクラッチスリーブ56の外周部に一体的に連結されている。クラッチスリーブ56は内径寸法が軸部46よりも大きな略円筒形状に形成されており、その内側を軸部46が貫通している。軸部46の回転半径方向外側で且つクラッチスリーブ56の内側には、クラッチスプリング58が配置されている。
クラッチスプリング58は、捩じりコイルスプリングによって構成されており、その形状を円筒形状とみなした場合、格別な外力が作用していない自然状態での内径寸法は軸部46の外径寸法よりも大きく、その内側を軸部46が貫通している。クラッチスプリング58の一端はクラッチスリーブ56に一体的に連結されており、他端は軸部46に一体的に連結されている。
クラッチスプリング58は他端が一端に対して巻取方向に回転した際に巻き締められて縮径し、他端が一端に対して所定量回転するとクラッチスプリング58が軸部46の外周部に密着する構成となっている。
一方、ケース32のラチェット収容部48の下方には、ソレノイド収容部60が形成されており、その内側には規制手段を構成するソレノイド本体62が収容されている。ソレノイド本体62は略箱形状の形成されており、その一側壁に形成された孔部にはプランジャ64が貫通している。
ソレノイド本体62の内部には通電することで周囲に所定の磁界を形成するソレノイドと、リターンスプリングが収容されている。リターンスプリングはプランジャ64をソレノイド本体62の内部に引き込む方向へ付勢している。これに対して、ソレノイドが通電されることで形成される磁界はリターンスプリングの付勢力に抗してプランジャ64をソレノイド本体62の外方へ突出させる。
ソレノイド本体62の側方には、係合爪66が設けられている。係合爪66には略逆「へ」字形状に屈曲した各棒状に形成されている。また、係合爪66の長手方向中間部にはスプール20の軸方向に対して平行な軸部68が形成されている。軸部68はソレノイド収容部60の内壁や底壁等に回転自在に軸支されており、係合爪66は軸部68周りに回動することで、先端が上記のラチェット50の外周部に対して接離移動する。
また、係合爪66には、板状のリンクプレート70が形成されている。リンクプレート70には、上記のプランジャ64が係合しており、プランジャ64がソレノイド本体62から突出することでリンクプレート70が回動すると、係合爪66の先端がラチェット50の外周部に形成されたラチェット歯に係合するまでラチェット50に接近移動し、また、この状態からプランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれることでリンクプレート70が回動すると、係合爪66の先端がラチェット50の外周部から離間し、ラチェット歯との係合が解除される構造となっている。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本実施の形態に係るウエビング巻取装置10では、上記のようにスプール20の外周部にウエビングベルト22が基端側から巻き取られて収納される。このウエビングベルト22の収納状態から、例えば、車両の座席に着座した乗員が、ウエビングベルト22をその先端側へ引っ張ると、ウエビングベルト22に付与された先端側への引っ張り力によりスプール20が引出方向に回転し、これにより、スプール20に巻き取られているウエビングベルト22が引き出される。
このスプール20の引出方向への回転により、軸部38が引出方向に回転すると渦巻きばね36は内側端36Bが外側端36Aに対して引出方向に回転する。これにより、渦巻きばね36には内側端36Bを巻取方向へ付勢する付勢力(以下、この付勢力を便宜上、「第1付勢力」と称する)が生じる。しかも、この第1付勢力は、外側端36Aに対する内側端36Bの引出方向への回転量の増加に従い増大し、したがって、ウエビングベルト22を引き出す際には、この増大する第1付勢力に抗する引っ張り力をウエビングベルト22に付与することになる。
一方、このように、軸部38が引出方向に回転すると、ギヤ40が引出方向に回転する。ギヤ40の回転はギヤ42を介してギヤ44に伝えられ、これにより、ギヤ44が引出方向に回転する。ギヤ44が引出方向に回転することで、軸部68が引出方向に回転し、更に、クラッチスプリング58の他端を引出方向に回転させる。クラッチスプリング58の一端はクラッチスリーブ56に連結されているため、他端が引出方向に回転させられることでクラッチスプリング58は、クラッチスリーブ56を伴って全体的に引出方向に回転する。
クラッチスプリング58と共に引出方向に回転させられるクラッチスリーブ56は、クラッチスリーブ56に連結されている渦巻きばね54の内側端54Bを引出方向に回転させる。渦巻きばね54の外側端54Aはラチェット50に連結されているため、内側端54Bが引出方向に回転することで外側端54Aがラチェット50を引出方向に回転させる。
この状態では、ラチェット50の回転を規制する外力がラチェット50に作用していないため、ラチェット50が渦巻きばね54に追従して引出方向に回転する。したがって、基本的にこの状態で渦巻きばね54の付勢力が増大することはない。
このように、この状態では、基本的に渦巻きばね54の付勢力がウエビングベルト22の引き出しに影響を及ぼすことはなく、渦巻きばね36の第1付勢力だけがウエビングベルト22の引き出しに応じて増大する。
さらに、このように引き出されて乗員の身体に掛け回されたウエビングベルト22は、その一部に設けられているタングプレートがウエビング巻取装置10の設置位置とは反対側の座席の側方に設けられたバックル装置に装着される。バックル装置にタングプレートが装着されて、乗員によるウエビングベルト22の引っ張りが解除されると、渦巻きばね36が巻取方向への第1付勢力によってスプール20を巻取方向に回転させ、スプール20にウエビングベルト22を巻き取らせる。これにより、ウエビングベルト22が乗員の身体にフィットし、乗員の身体がウエビングベルト22により拘束される。
ここで、本ウエビング巻取装置10では、上記のように、バックル装置にタングプレートが装着されたことをバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドが通電される。これにより、ソレノイドの周囲に磁界が形成されると、プランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれる。
プランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれると、係合爪66が軸部68周りに回動し、その先端がラチェット50の歯に係合する。この状態で、渦巻きばね36の付勢力によってスプール20が巻取方向に回転させられて軸部38が巻取方向に回転させらると、巻取方向への軸部38の回転が、ギヤ40、42を介してギヤ44に伝わり、軸部68を巻取方向に回転させる。
軸部68が巻取方向の回転は、クラッチスプリング58及びクラッチスリーブ56を介して渦巻きばね54の内側端54Bに伝えられ、内側端54Bを巻取方向に回転させる。この状態では、上記のように係合爪66がラチェット50の歯に係合しているため、ラチェット50の巻取方向への回転は規制されている。
したがって、この状態では、ラチェット50に一体的に連結されている渦巻きばね54の外側端54Aが内側端54Bに追従して巻取方向に回転することはできず、渦巻きばね54は自身のばね力で内側端54Bが巻取方向に回転することを規制する。
このため、クラッチスリーブ56の回転が規制され、ギヤ44の回転力を受けたクラッチスプリング58の他端が一端に対して巻取方向に回転する。これにより、軸部68がクラッチスリーブ56に対して巻取方向に所定量回転することで、クラッチスプリング58が巻き締められ、クラッチスプリング58が軸部68に密着すると、クラッチスプリング58の一端に対する他端の巻取方向への回転ができなくなる。
この状態で更に軸部68が巻取方向に回転すると、クラッチスリーブ56が巻取方向に回転して、渦巻きばね54自身のばね力に抗して渦巻きばね54の内側端54Bを外側端54Aに対して巻取方向に回転させる。これにより、渦巻きばね54に内側端54Bを引出方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を便宜上、「第2付勢力」と称する)が生じ、更に、外側端54Aに対する内側端54Bの巻取方向の変位量の増加に応じて第2付勢力が増加する。
上記のように、第2付勢力は渦巻きばね54の内側端54Bを引出方向に付勢するため、間接的にはスプール20を引出方向に付勢する力となり、スプール20を巻取方向に付勢する付勢力である渦巻きばね36の第1付勢力に抗する。したがって、第1付勢力は第2付勢力の大きさだけ打ち消され、これにより、ウエビングベルト22を巻き取る力が軽減される。
スプール20にウエビングベルト22を巻き取らせる第1付勢力は、乗員の身体をウエビングベルト22によって座席の背凭れ等に押し付けて拘束する拘束力となり、この力が過剰であると、乗員は圧迫感を抱くことになる。しかしながら、上記のように、第2付勢力が第1付勢力を打ち消して、実質的にウエビングベルト22を巻き取る力を弱めることで、ウエビングベルト22による拘束力を弱めることができ、乗員が圧迫感を抱くことを防止又は効果的に軽減できる。
一方、降車時等、乗員がタングプレートをバックル装置から外したことをバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドに対する通電が解除される。ソレノイドに対する通電が解除されることで、プランジャ64をソレノイド本体62内に引き込む力が解消されるため、リターンスプリングの付勢力でプランジャ64がソレノイド本体62から突出する。
プランジャ64がソレノイド本体62から突出することで、係合爪66が軸部68周りに回動し、その先端がラチェット50の外周部から離間する。これにより、係合爪66とラチェット50の歯との係合が解除されると、第2付勢力に抗して渦巻きばね54の外側端54Aの変位を規制する力が解消されるため、それまで巻き締められた渦巻きばね54の第2付勢力が外側端54Aを巻取方向に回転させる。
これにより、渦巻きばね54が緩むと第2付勢力が減少し、これまで第2付勢力にその一部が打ち消されていた減少していた渦巻きばね36の第1付勢力が元の大きさに戻る。このため、この状態で、乗員がタングプレート、ひいてはウエビングベルト22の保持を解除すれば、渦巻きばね36の第1付勢力によってスプール20が巻取方向に回転させられ、ウエビングベルト22が基端側からスプール20に巻き取られて収納される。
また、巻取方向にスプール20が回転することで、この回転がギヤ40、42を介してギヤ44に伝わり、軸部68が巻取方向に回転しても、クラッチスプリング58、クラッチスリーブ56、及び渦巻きばね54を介してラチェット50が引出方向に回転させられるだけであり、渦巻きばね54の付勢力が格別増減することがない。
このように、本ウエビング巻取装置10では、乗員がウエビングベルト22を装着した際に渦巻きばね36の第1付勢力の一部を、渦巻きばね54の第2付勢力で打ち消して、乗員に圧迫感を抱かせることを防止又は効果的に軽減できる。
また、ウエビングベルト22をスプール20に巻き取らせて収納する際には、渦巻きばね54の第2付勢力を解除して、第2付勢力により打ち消されることがない比較的大きな第1付勢力で早急にウエビングベルト22を巻き取って収納することができる。
ところで、本ウエビング巻取装置10では、上記のように、渦巻きばね36の内側端36Bが連結された軸部38と、渦巻きばね54の内側端54Bが連結された軸部68とが、ギヤ40、42、44を介して連結されており、しかも、渦巻きばね54の配置位置が渦巻きばね36に対してスプール20の回転半径方向に沿った外側(下方)とされている。渦巻きばね36と渦巻きばね54とをスプール20の軸方向に沿って並んで配置すると、必然的に、スプール20の軸方向に沿った全体的な寸法が、少なくとも渦巻きばね36の幅寸法と渦巻きばね54の幅寸法との和だけ必要となる。
これに対して、本ウエビング巻取装置10では、上記のように、渦巻きばね36の外側に渦巻きばね54を配置したことで、スプール20の回転半径方向に沿って見ると、渦巻きばね36と渦巻きばね54とが重なり合うため、スプール20の軸方向に沿った全体的な寸法を小さくできる。すなわち、スプール20の軸方向をテンションリデューサ30の厚さ寸法とした場合、本ウエビング巻取装置10では、テンションリデューサ30を薄型化できる。
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するうえで、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその説明を省略する。
また、以下の各実施の形態は、基本的に前記第1の実施の形態におけるテンションリデューサ30の変形例であるため、テンションリデューサ30に対応する構造以外の部位に関してもその説明を省略する。
図3には本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置90を構成するテンションリデューサ92の構成が分解斜視図により示されており、図4にはテンションリデューサ92の構成の概略が図1に対応する正面断面図によって示されている。
これらの図に示されるように、本ウエビング巻取装置90のテンションリデューサ92はケース94を備えている。ケース94は脚板16側へ向けて開口した略箱状に形成され、その内側にはギヤ収容部96が形成されている。
ギヤ収容部96の内側には軸受部98が形成されている。軸受部98はスプール20の軸方向に沿って軸方向とされた略円筒形状とされており、脚板16を貫通したスプール20の一端が嵌挿されて回転自在に軸支されている。また、ギヤ収容部96の内側にはギヤ100が配置されている。
ギヤ100は、ケース94の底部側(すなわち、脚板16とは反対側)へ向けて開口した浅底の有底形状に形成されており、その外周部には外歯の平歯が形成されている。また、ギヤ100の底部には円孔102が形成されギヤ100に対して同軸的に形成されている。
円孔102にはスプール20の一端が嵌挿されており、スプール20の一端とギヤ100とが同軸的且つ一体的に連結されている。なお、図3に示されるように、本実施の形態では、円孔102にスプール20を嵌め込む構成であるが、例えば、円孔102に代わり多角形状や楕円等の非円形の孔部を形成するとギヤ100の底部に同軸的に形成すると共に、スプール20の一端の断面形状を孔部の形状と同じにして、スプール20に対するギヤ100の相対回転を規制する構成としてもよい。
さらに、ギヤ100の内側はばね収容部104とされており、このばね収容部104の内側には第1付勢手段としての渦巻きばね106が収容されている。渦巻きばね106は、第1係止端としての渦巻き方向内側端106Aが軸受部98に一体的に連結されている。これに対して、第1連結端としての渦巻きばね106の渦巻き方向外側端106Bは、ギヤ収容部96の内壁に形成された図示しない係止部に一体的に係止されている。
渦巻きばね106は、前記第1の実施の形態における渦巻きばね36とは異なり、外側端106Bが内側端106Aに対して引出方向に回転することで巻き締められ、外側端106Bを巻取方向に付勢する付勢力が増加する構成となっている。
一方、ケース94の内側で、ギヤ100の回転半径方向に沿ったギヤ収容部96の側方(下方)にはギヤ収容部108が形成されている。ギヤ収容部108の内側にはギヤ110がギヤ100に噛み合った状態で収容されている。
ギヤ110もまたギヤ100と同様にケース94の底部側(すなわち、脚板16とは反対側)へ向けて開口した浅底の有底形状に形成されている。但し、ギヤ110は全体的にギヤ100よりも小径とされ、外周部に形成されている外歯の平歯の数もギヤ100より少ない。
また、ギヤ110の内側はばね収容部112とされている。ばね収容部112の底部には円孔114がギヤ110に対して同軸的に形成されている。さらに、ばね収容部112の底部にはボス116が形成されている。ボス116は円筒形状に形成されており、その内径寸法は円孔114の内径寸法に略等しく、しかも、円孔114に対して同軸的に形成されている。
これらのボス116及び円孔114に対応してギヤ収容部108の底部からはシャフト118が突出形成されている。シャフト118は、ボス116及び円孔114を貫通して脚板16に形成された円孔117に嵌挿されており、ギヤ110はシャフト118に回転自在に軸支されている。
さらに、ギヤ110とギヤ収容部108の底部との間にはラチェット120が配置されている。ラチェット120はシャフト118の軸方向に沿って厚さ方向の板状に形成されている。また、ラチェット120には、その厚さ方向に貫通した孔部122が形成されており、この孔部122にシャフト118が貫通することでシャフト118周りにラチェット120が回転自在に軸支されている。
さらに、ラチェット120の外周部には、シャフト118の軸周りに複数のラチェット歯が形成されている。また、ケース94の内側でギヤ110の回転半径方向に沿ったギヤ収容部108の側方(下方)には、ソレノイド収容部60が形成されており、ソレノイド本体62、プランジャ64、及び係合爪66が収容されている。
但し、本実施の形態では、ソレノイド本体62、プランジャ64、及び係合爪66の配置位置や向きが、脚板16の幅方向に前記第1の実施の形態とは反対とされている。これに対応して、本実施の形態では、ラチェット120のラチェット歯の向きが、前記第1の実施の形態におけるラチェット50のラチェット歯の向きとは反対とされており、係合爪66の先端がラチェット120のラチェット歯に係合した状態では、引出方向へラチェット120の回転は可能であるが、巻取方向へのラチェット120の回転は係合爪66により規制される構成となっている。
さらに、ラチェット120の脚板16側の端面には、円筒形状の筒部124がラチェット120に対して同軸的且つ一体的に形成されている。筒部124の軸方向寸法及び外径寸法は、ギヤ110に形成されたばね収容部112の深さ寸法(軸方向寸法)及び内径寸法よりも短く、ギヤ110及びラチェット120がシャフト118に軸支された状態で、筒部124はばね収容部112の内側に入り込む。
また、筒部124の内側には、第2付勢手段としての渦巻きばね126が配置されている。渦巻きばね126の第2係止端としての渦巻き方向内側端126Aは、ボス116の外周部に形成された図示しない係止部に一体的に係止されて、ボス116、ひいてはギヤ110に一体的に連結されている。これに対して、第2連結端としての渦巻きばね126の渦巻き方向外側端126Bは筒部124の内周部に形成された図示しない係止部に係止されて、筒部124、ひいてはラチェット120に一体的に連結されている。
渦巻きばね126は、外側端126Bが内側端126Aに対して引出方向に回転することで巻き締められ、外側端126Bを巻取方向に付勢する付勢力が増加する構成となっている。
<第2の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置90のテンションリデューサ92では、スプール20に巻き取られたウエビングベルト22を座席に着座した乗員が引き出すことでスプール20が引出方向に回転すると、ギヤ100が引出方向に回転する。ギヤ100が引出方向に回転することで、渦巻きばね106の外側端106Bが内側端106Aに対して引出方向に回転し、これにより、渦巻きばね106に外側端106Bを巻取方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を、便宜上、「第1付勢力」と称する)が生じ、しかも、外側端106Bの引出方向への回転量の増加に応じて第1付勢力が増加する。
一方、ギヤ100が引出方向に回転すると、ギヤ100に噛み合うギヤ110がギヤ100とは反対の巻取方向に回転する。ギヤ110が巻取方向に回転することで、ボス116に一体的に連結された渦巻きばね126の内側端126Aが巻取方向に回転する。
内側端126Aは外側端126Bを介して筒部124、ひいてはラチェット120を巻取方向に回転させようとする。この状態では、ラチェット120の回転を規制する外力が作用していないことから、内側端126Aが巻取方向に回転することで、外側端126B、筒部124、ひいてはラチェット120が内側端126Aに追従して巻取方向に回転する。
次いで、前記第1の実施の形態でも説明したように、タングプレートがバックル装置に装着されたことをバックル装置に設けられたバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドが通電されて、プランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれる。これにより、係合爪66の先端がラチェット120のラチェット歯に係合する。
タングプレートをバックル装置に装着した後に、乗員がウエビングベルト22に対する引っ張りを解除すると、渦巻きばね106がその付勢力で外側端106Bを巻取方向に回転させ、ひいてはギヤ100を介してスプール20を巻取方向に回転させる。ギヤ100が巻取方向に回転すると、ギヤ100に噛み合うギヤ110が引出方向に回転する。
ギヤ110が引出方向に回転することで、当然、渦巻きばね126の内側端126Aが引出方向に回転する。ここで、この状態では、係合爪66がラチェット120のラチェット歯に係合しているため、ラチェット120は引出方向に回転できず、したがって、渦巻きばね126の外側端126Bは引出方向に回転できない。
これにより、渦巻きばね126の内側端126Aは外側端126Bに対して引出方向に回転し、内側端126Aを巻取方向に回転させようとする付勢力(以下、この付勢力を、便宜上、「第2付勢力」と称する)が生じる。この第2付勢力は、外側端126B、ひいてはギヤ110を巻取方向に回転させる方向に作用するため、ギヤ100更にはスプール20に対してはこれらを引出方向に回転させる方向に作用する。すなわち、スプール20を巻取方向に回転することで生じた第2付勢力は、スプール20を巻取方向に付勢する第1付勢力を打ち消すように作用する。
このように、本実施の形態でも、乗員がウエビングベルト22を装着した状態で、渦巻きばね106の付勢力に抗する渦巻きばね126の第2付勢力をスプール20に作用させることで、ウエビングベルト22による拘束力を弱めることができ、乗員が圧迫感を抱くことを防止又は効果的に軽減できる。
また、前記第1の実施の形態と同様に、降車時等、乗員がタングプレートをバックル装置から外したことをバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドに対する通電が解除され、これにより、ラチェット120のラチェット歯に対する係合爪66の係合が解除される。
このように、ラチェット歯に対する係合爪66の係合が解除されることで、ラチェット120は回転自在となり、渦巻きばね126の付勢力で引出方向にラチェット120が回転する。これにより、渦巻きばね126が緩み、第1付勢力に抗する第2付勢力が減少することで、渦巻きばね106の第1付勢力で早急にウエビングベルト22をスプール20に巻き取らせることができる。
一方、本ウエビング巻取装置90のテンションリデューサ92では、渦巻きばね106に対してスプール20の回転半径方向外方(下方)に渦巻きばね126が配置されている。したがって、スプール20の回転半径方向に沿った渦巻きばね126の下方から渦巻きばね106、126を見ると、渦巻きばね106、126が互いに重なり合う。
このため、スプール20の軸方向に沿って渦巻きばね106、126を並べて配置した場合に比べて、スプール20の軸方向に沿ったテンションリデューサ92の全体的な寸法を小さくできる(すなわち、この方向をテンションリデューサ92の厚さ方向とした場合には、テンションリデューサ92を薄型化できる)。
しかも、渦巻きばね106はギヤ100に形成されたばね収容部104に収容されるため、ギヤ100及び渦巻きばね106をスプール20の回転半径方向に沿って見ると互いに重なり合う。また、渦巻きばね126はばね収容部112の内側に入り込んだ筒部124の内側に収容され、間接的に渦巻きばね126がばね収容部112に収容されるため、ギヤ100及び渦巻きばね106をスプール20の回転半径方向に沿って見ると互いに重なり合う。
このため、スプール20の軸方向に沿ってギヤ100の側方に渦巻きばね106を配置したり、スプール20の軸方向に沿ってギヤ110の側方に渦巻きばね126を配置する構成に比べてスプール20の軸方向に沿ったテンションリデューサ92の全体的な寸法を小さくできる。したがって、本ウエビング巻取装置90では、テンションリデューサ92をより一層薄型化できる。
さらに、前記第1に実施の形態では、ギヤ40、42、44を用いていたのに対し、本実施の形態ではギヤ100、110とギヤの数が少ない。このため、コストを軽減できると共に、全体をコンパクトにすることができ、テンションリデューサ92全体を小型化できる。
<第3の実施の形態の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図5には本実施の形態に係るウエビング巻取装置140を構成するテンションリデューサ142の構成が分解斜視図により示されており、図6にはテンションリデューサ142の構成が正面断面図によって示されている。さらに、図7にはテンションリデューサ142の構成が側面断面図により示されている。
これらの図に示されるように、本ウエビング巻取装置140のテンションリデューサ142はケース144を備えている。ケース144は脚板16(図5、図7、図8では図示省略)側へ向けて開口した略箱状に形成され、その内側にはばね収容部146が形成されている。
ばね収容部146はスプール20の軸方向に沿って見た場合、その形状が略円形とされている。ばね収容部146の内底部の略中央には、軸受突起148が形成されており、ばね収容部146内に入り込んだスプール20の軸方向一端は軸受突起148に回転自在に軸支されている。
また、ばね収容部146内には、第1付勢手段としての渦巻きばね150が収容されている。渦巻きばね150は、第1係止端としての渦巻き方向外側端150Bがばね収容部146の内周壁に係止されて固定されている。これに対して、第1連結端としての渦巻きばね150の渦巻き方向内側端150Aは、ばね収容部146内に入り込んだスプール20に係止されて固定されている。
渦巻きばね150は、内側端150Aが外側端150Bに対して引出方向に回転することで巻き締められる構造となっており、巻き締められることで外側端150Bに対して内側端150Aを巻取方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を便宜上「第1付勢力」と称する)。
また、図5に示されるように、ばね収容部146の渦巻きばね150よりもその開口端側には略円板状のプレート152がスプール20に対して同軸的に配置されており、更に、このプレート152を介して渦巻きばね150とは反対側には、ギヤ154がスプール20に対して同軸的に配置されている。ギヤ154はスプール20に一体的に連結されており、スプール20が回転するとギヤ154が一体的的に回転する構造となっている。
一方、上述したばね収容部146の下側では、ケース144にばね収容部156が形成されている。ばね収容部156はスプール20の軸方向に沿って見た場合、その形状が略円形とされており、その内側には、本実施の形態での規制手段としての固定スリーブ158が、ばね収容部156に対して略同軸的に配置されている。固定スリーブ158はケース144(ばね収容部156)の開口方向へ向けて開口した有底の円筒形状とされており、少なくともスプール20の軸方向と平行な軸周りに対してはケース144に対して相対回転不能にケース144に連結されている。
固定スリーブ158の開口端側側方には、クラッチプレート160の本体162が配置されている。本体162は略円板状に形成されており、固定スリーブ158に対して同軸的に配置されている。本体162の固定スリーブ158側の端面からは、円柱形状又は円筒形状のクラッチシャフト164が同軸的に形成されている。クラッチシャフト164の先端側は、固定スリーブ158の底壁に形成された円孔166を貫通して、ばね収容部156の内底に形成された軸受突起168に回転自在に軸支されている。
また、固定スリーブ158の内側には第2付勢手段としてのコイルスプリング170が設けられており、クラッチシャフト164がコイルスプリング170の内側を貫通している。コイルスプリング170の両端のうち、ばね収容部156の内底側の端部170Aは第2係止端として固定スリーブ158に一体的に連結されている。これに対して、端部170Aとは反対側のコイルスプリング170の端部170Bは、第2連結端としてクラッチシャフト164又は本体162に一体的に連結されている。
コイルスプリング170は、端部170Aに対して端部170Bが巻取方向に回転することで巻き締まり、巻き締まることで端部170Aに対して端部170Bを引出方向に付勢する付勢力(第2付勢力)が増加する構造となっている。
また、本体162のクラッチシャフト164とは反対側の端面には、円柱形状又は円筒形状の軸部172が本体162に対して同軸的に形成されており、ケース144の開口端を閉止する蓋体174に形成された軸受部176に回転自在に軸支されている。さらに、本体162の軸部172が形成された側の端面には、軸部172の外径寸法よりも充分に大径で且つ軸方向寸法が比較的短な円筒形状の干渉部178が、本体162に対して同軸的且つ一体的に形成されている。
この干渉部178の先端部の側方には、外周部にギヤ154の外歯と同数の平歯が形成された回転体として回転伝達手段を構成するギヤ180が配置されている。ギヤ180には外周部に対して同軸的なラチェット孔182が形成されている。ラチェット孔182には、内歯のラチェット歯184が周方向に複数形成されている。
これらのラチェット歯184の巻取方向側の端部は概ね巻取方向を向いた規制面とされている。これに対し、ラチェット歯184の引出方向側の端部は引出方向に対してギヤ180の回転半径方向内方側へ傾斜した誘導面とされている。これらのラチェット歯184の歯先を結ぶ仮想円(すなわち、歯先円)の直径寸法は、上記の軸部172の外径寸法よりも極僅かに大きい程度とされ、ラチェット孔182の内側に軸部172が同軸的に入り込んだ状態では、ラチェット歯184の歯先と、軸部172の外周部との間には、殆ど隙間が形成されない構造となっている。
さらに、干渉部178と軸部172との間には、クラッチスプリング186が設けられている。クラッチスプリング186は略C字形状に形成されており、その一端は本体162又は干渉部178に係止されて一体的に連結されている。これに対して、クラッチスプリング186の他端側はその半径方向内側へ屈曲されると共に、更にその先端側はギヤ180側へ屈曲されてラチェット孔182に形成された隣接するラチェット歯184の間に入り込んでいる。
また、クラッチスプリング186の他端側に対応して軸部172の外周部には溝部188が形成されており、クラッチスプリング186の他端側が軸部172の半径方向内方側へ弾性変形することで、隣接するラチェット歯184の間から抜け出て溝部188の内側へ入り込めるようになっている。クラッチスプリング186は、一端に対して他端が巻取方向に回転することで巻き締まる構成となっており、したがって、クラッチスプリング186の他端が巻取方向に回転すると、クラッチプレート160を巻取方向へ回転させようとする。
一方、ギヤ154、180の回転半径方向側方には、ソレノイド本体62が配置されている。ソレノイド本体62は、プランジャ64の突出方向が上方である点に関して前記第1及び第2の実施の形態におけるソレノイド本体62と異なるが、それ以外の基本的な構成は前記第1及び第2の実施の形態におけるソレノイド本体62と同じ構成である。
但し、前記第1及び第2の実施の形態とは異なり、プランジャ64の先端には係合爪66ではなく、リンク部材190が係合している。リンク部材190に対応してケース32には軸方向がスプール20の軸方向と平行なシャフト192が形成されており、リンク部材190はシャフト192に回転可能に軸支されている。
リンク部材190は、プランジャ64がソレノイド本体62から上方へ突出することで、その先端がギヤ154の外周部に対して接近する方向へ回動する構成となっている。このリンク部材190の先端には、クラッチ手段として回転伝達手段を構成する外歯のギヤ194がギヤ154、180と平行な軸周りに回転自在に軸支されている。ギヤ194は常時ギヤ180に噛み合っていると共に、リンク部材190の先端がシャフト192周りにギヤ154の外周部に接近することで、ギヤ180との噛合状態を維持したままギヤ154に噛み合う構成となっている。
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置140のテンションリデューサ142では、スプール20に巻き取られたウエビングベルト22を座席に着座した乗員が引き出すことでスプール20が引出方向に回転すると、渦巻きばね150の内側端150Aが外側端150Bに対して引出方向に回転し、これにより、渦巻きばね150に内側端150Aを巻取方向に付勢する第1付勢力が生じる。
一方、スプール20が引出方向に回転すると、スプール20と一体のギヤ154が引出方向に回転する。但し、この状態で、ギヤ194がギヤ154に噛み合っていなければ、ギヤ180にギヤ154の回転力が伝達されることがなく、単純にギヤ154だけがスプール20と共に回転するだけである。
次いで、前記第1の実施の形態でも説明したように、タングプレートがバックル装置に装着されたことをバックル装置に設けられたバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドが通電されて、プランジャ64がソレノイド本体62外に突出すると、リンク部材190が回動してギヤ194がギヤ154に噛み合い、これにより、図8に示されるように、ギヤ154がギヤ194を介してギヤ180に機械的に連結される。
タングプレートをバックル装置に装着した後に、乗員がウエビングベルト22に対する引っ張りを解除すると、渦巻きばね150がその付勢力で内側端150Aを巻取方向に回転させてスプール20を巻取方向に回転させる。さらに、スプール20が巻取方向に回転するとスプール20と一体のギヤ154が巻取方向に回転する。ギヤ154の回転はギヤ194を介してギヤ180に伝えられ、これにより、ギヤ180が巻取方向に回転する。
ギヤ180が巻取方向に回転すると、ラチェット歯184の巻取方向側の端部である規制面がクラッチスプリング186の他端に干渉する。ラチェット歯184の規制面は概ね巻取方向を向いている面であるため、巻取方向に回転するラチェット歯184は、クラッチスプリング186の他端を巻取方向に押圧して回転させる。
クラッチスプリング186は、他端が巻取方向に回転することで一端をこれに追従させようとする。しかしながら、クラッチスプリング186の一端は、クラッチプレート160を介してコイルスプリング170の他端に連結されている。このため、クラッチスプリング186の一端はコイルスプリング170の付勢力に抗して巻取方向に回転することができない。
したがって、ギヤ180の巻取方向の回転に伴いクラッチスプリング186の他端は一端に対して巻取方向に回転し、これにより、クラッチスプリング186が巻き締まる。クラッチスプリング186が巻き締まって軸部172に密着すると、クラッチスプリング186が軸部172と略一体になり、この状態でクラッチスプリング186の他端が巻取方向に回転すれば、軸部172、ひいてはクラッチプレート160が巻取方向に回転する。
クラッチプレート160が巻取方向に回転することで、クラッチシャフト164に連結されたコイルスプリング170の端部170Bが巻取方向に回転する。コイルスプリング170の端部170Aは固定スリーブ158に一体的に連結されているため、端部170Bが巻取方向に回転することでコイルスプリング170が巻き締まり、これにより、端部170Bを引出方向に付勢する第2付勢力が生じ、しかも、端部170Bの回転量に応じて第2付勢力が増加する。
この第2付勢力は、クラッチプレート160を引出方向に付勢し、更に、クラッチスプリング186の一端を引出方向に付勢する。引出方向への第2付勢力を受けたクラッチスプリング186は、その他端でラチェット歯184の規制面を引出方向に押圧する。これにより、ラチェット歯、すなわち、ギヤ180が引出方向に付勢される。ギヤ180が受けた引出方向への付勢力は、ギヤ194を介してギヤ154、すなわち、スプール20に伝わる。
ここで、上記のように、スプール20には渦巻きばね150からの第1付勢力によって巻取方向に付勢されているが、この第1付勢力によりスプール20が巻取方向に回転することで、この第1付勢力とは反対の第2付勢力に基づく付勢力がギヤ154を介してスプール20に伝わり、第1付勢力を相殺する。これにより、基本的に本実施の形態でも前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、ギヤ194がギヤ154に噛み合わなければギヤ154の回転力がギヤ194やギヤ180に伝えられることがなく、スプール20が回転してもギヤ180やギヤ194が回転することはない。したがって、バックル装置からタングプレートを取り外してウエビングベルト22をスプール20に巻き取らせて収納する際には、ギヤ180やギヤ194が回転する際に生じる摺動抵抗等の外力がスプール20に作用することがない。このため、ウエビングベルト22を早急且つ円滑にスプール20に巻き取らせることができる。
一方、ギヤ194がギヤ154に噛み合った状態で、不用意にスプール20が引出方向に回転した場合には、ギヤ180が引出方向に回転する。この場合、ラチェット歯184の引出方向側の端部である誘導面がクラッチスプリング186の他端に干渉する。
ここで、ラチェット歯184の誘導面は、引出方向に対してギヤ180の回転半径方向内方側へ傾斜しているため、クラッチスプリング186の他端に干渉することで、クラッチスプリング186の他端をギヤ180の回転半径方向内方側へ弾性変形させる。クラッチスプリング186の他端はギヤ180の回転半径方向内方側へ弾性変形させられることで隣接するラチェット歯184の間から抜け出て溝部188に入り込む。
この状態で更にギヤ180が引出方向に回転すると、クラッチスプリング186の他端は自らの弾性に基づく復元力で新たに溝部188に対向した隣接するラチェット歯184の間に入り込む。このように、引出方向にギヤ180が回転すると、クラッチスプリング186は隣接するラチェット歯184の間と溝部188の内部とをあたかも往復するが如く移動し、クラッチスプリング186の他端自体が引出方向に回転することがない。このため、クラッチプレート160やコイルスプリング170に引出方向の回転力が伝えられることで生じる不具合等の発生を防止できる。
<第4の実施の形態の構成>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図9には本実施の形態に係るウエビング巻取装置210を構成するテンションリデューサ212の構成が分解斜視図により示されており、図10にはテンションリデューサ212の構成が正面断面図によって示されている。
これらの図に示されるように、本ウエビング巻取装置210のテンションリデューサ212はケース214を備えている。ケース214は脚板16側へ向けて開口した略箱状に形成され、その内側にはギヤ収容部216が形成されている。ギヤ収容部216の内側には軸受部217が形成されており、脚板16を貫通したスプール20の一端が回転自在に軸支されている。ギヤ収容部216の内側にはラチェット218が配置されている。ラチェット218の略中心には透孔220が形成されている。透孔220にはスプール20の一端側が貫通しており、ラチェット218はスプール20に回転自在に軸支されている。
ラチェット218の回転半径方向側方(下方)には、上述したソレノイド本体62及び係合爪66が配置されており、係合爪66がラチェット218の外周部に形成されたラチェット歯に係合した状態では、ラチェット218の巻取方向への回転が規制される構成となっている。また、ラチェット218の軸方向脚板16側の端面からは円筒形状の筒体222が透孔220に対して同軸的に形成されている。筒体222の外側には第1付勢手段としての渦巻きばね224が配置されている。
渦巻きばね224は、第1連結端としての渦巻き方向内側端224Aが第1係止端としての渦巻き方向外側端224Bに対して引出方向に回転することで巻き締まり、内側端224Aを巻取方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を便宜上「第1付勢力」と称する)が生じると共に、外側端224Bに対する内側端224Aの引出方向への回転量の増加に伴い第1付勢力が増加する構造となっている。
この渦巻きばね224の外側端224Bはケース214に形成された図示しない係止部に連結されてケース214に固定されている。これに対して、渦巻きばね224の内側端224Aは筒体222の外周部に形成された図示しない係止部に連結されて筒体222に一体とされている。
一方、筒体222の内側で且つスプール20の外側、すなわち、渦巻きばね224の内側には第2付勢手段としての渦巻きばね226が設けられている。
渦巻きばね226は、第2係止端としての渦巻き方向内側端226Aが第2連結端としての渦巻き方向外側端226Bに対して引出方向に回転することで巻き締まり、内側端226Aを巻取方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を便宜上「第2付勢力」と称する)が生じると共に、外側端226Bに対する内側端226Aの引出方向への回転量の増加に伴い第2付勢力が増加する構造となっている。
但し、この渦巻きばね226のばね係数は上記の渦巻きばね224のばね係数よりも小さい。この渦巻きばね226の外側端226Bは筒体222の内周部に形成された図示しない係止部に連結されて筒体222に固定されている。これに対して、渦巻きばね226の内側端226Aはスプール20の外周部に一体的に連結されている。すなわち、本実施の形態では、第1付勢手段としての渦巻きばね224は、筒体222及び第2付勢手段としての渦巻きばね226を介してスプール20に連結されている。
<第4の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置210のテンションリデューサ212では、スプール20に巻き取られたウエビングベルト22を座席に着座した乗員が引き出すことでスプール20が引出方向に回転すると、先ず、渦巻きばね226の内側端226Aが引出方向に回転する。
渦巻きばね226の内側端226Aが引出方向に回転することで、外側端226Bが追従して引出方向に回転しようとする。しかしながら、外側端226Bは筒体222を介して渦巻きばね226よりもばね係数が大きい渦巻きばね224の内側端224Aに連結されている。このため、外側端226Bは渦巻きばね224の弾性力により引出方向に回転することができない。したがって、スプール20が引出方向に回転することで、先ず、渦巻きばね226が巻き締まり、第2付勢力が増加する。
さらに、渦巻きばね226が一定量巻き締まると外側端226Bが追従して引出方向に回転する。この回転は筒体222を介して渦巻きばね224の内側端224Aに伝えられ、内側端224Aを引出方向に回転させる。
渦巻きばね224の外側端224Bはケース214に固定されているため、内側端に追従して引出方向に回転することができない。このため、内側端224Aが引出方向に回転することで渦巻きばね224が巻き締まり第1付勢力が増加する。したがって、本実施の形態では、ウエビングベルト22を引き出すにあたっては、第1付勢力と第2付勢力との合力がスプール20に作用する。
次いで、前記第1の実施の形態でも説明したように、タングプレートがバックル装置に装着されたことをバックル装置に設けられたバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドが通電されて、プランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれる。これにより、係合爪66の先端がラチェット218のラチェット歯に係合し、ラチェット218の巻取方向への回転が規制される。
この状態では、巻取方向への筒体222の回転が規制されるため、巻取方向に関しては渦巻きばね224の内側端224Aが固定されることになる。したがって、これまでに渦巻きばね224が巻き締められていても、第1付勢力が筒体222及び渦巻きばね226を介してスプール20に伝えられることがない。このため、スプール20には渦巻きばね226の第2付勢力のみが作用する。
ここで、ラチェット218に係合爪66が係合していない状態では、スプール20に第1付勢力と第2付勢力との合力が作用していたことを考えると、第2付勢力のみが作用する状態では、スプール20に付与される巻取方向への付勢力が軽減されることになる。これにより、乗員がウエビングベルト22を装着した状態でウエビングベルト22による拘束力を弱めることができ、乗員が圧迫感を抱くことを防止又は効果的に軽減できる。
一方、本ウエビング巻取装置210のテンションリデューサ212では、渦巻きばね226は筒体222の内側に配置されている。筒体222は渦巻きばね224の内側に配置されていることを考えると、渦巻きばね226は渦巻きばね224の内側に配置されることになる。
したがって、スプール20の回転半径方向に沿った渦巻きばね224の下方から渦巻きばね224、226を見ると、渦巻きばね224、226が互いに重なり合う。このため、スプール20の軸方向に沿って渦巻きばね224、226を並べて配置した場合に比べて、スプール20の軸方向に沿ったテンションリデューサ212の全体的な寸法を小さくできる(すなわち、この方向をテンションリデューサ212の厚さ方向とした場合には、テンションリデューサ212を薄型化できる)。
しかも、渦巻きばね226が結果的に渦巻きばね224の内側に配置されることで、ソレノイド収容部60とは別にケース214には渦巻きばね224及びラチェット218を収容するスペース(すなわち、ギヤ収容部216)を形成できればよく、ケース214の構造を小型化並びに簡素化できる。
<第5の実施の形態の構成>
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図10には本実施の形態に係るウエビング巻取装置250を構成するテンションリデューサ252の構成が分解斜視図により示されており、図11にはテンションリデューサ252の構成の概略が図1に対応する正面断面図によって示されている。
これらの図に示されるように、本ウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252は、基本的に前記第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置90のテンションリデューサ92と同じであるが、テンションリデューサ92が脚板16を介して脚板14とは反対側(すなわち、脚板16の外側)に設けられているのに対して、テンションリデューサ252は、脚板14を介して脚板16とは反対側(すなわち、脚板14の外側)に設けられる。すなわち、正面視(図2図示状態)で、テンションリデューサ252はテンションリデューサ92とはフレーム12の反対側に設けられる。したがって、ケース94は脚板14側へ向けて開口した略箱状に形成されている。
また、本ウエビング巻取装置250はアダプタ254を備えている。アダプタ254はスプール20に対して同軸的に設けられており、その一端にてスプール20に一体的に連結されている。アダプタ254はケース94の開口端を閉止する蓋体256に形成された透孔258を貫通してケース94のギヤ収容部96内に入り込み、軸受部98に回転自在に軸支されている。
すなわち、前記第2の実施の形態では、スプール20がケース94内に入り込み、軸受部98に軸支された構成であったが、本実施の形態では、スプール20はアダプタ254を介して軸受部98に軸支される構成となっており、ギヤ100はアダプタ254に回転自在に軸支され、渦巻きばね106の内側端106Aはアダプタ254に一体的に連結されている(換言すれば、内側端106Aはアダプタ254を介して間接的にスプール20に連結されている)。
一方、本ウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252は、アダプタ260を備えている。アダプタ260は円盤部262を備えている。円盤部262はシャフト118に対して同軸的に設けられていると共に、シャフト118が貫通する円孔264が形成されている。円盤部262の軸方向一端がわ(ケース94の底部側)には係止片266が一体的に形成されている。係止片266には円孔264に対して同軸的に連通した孔部268が形成されており、孔部268を貫通したシャフト118が円孔264を貫通することで、シャフト118にアダプタ260が回転自在に軸支される構造となっている。
係止片266には係止溝270が形成されている。前記第2の実施の形態では、第2連結端としての渦巻きばね126の内側端126Aがギヤ110のボス116に係止された構成であったが、本実施の形態では、第2係止端(前記第2の実施の形態とは反対である)としての渦巻きばね126の内側端126Aが係止溝270に入り込んでおり、係止片266(すなわち、アダプタ260)に渦巻きばね126の内側端126Aが係止され、第2連結端としての渦巻きばね126の外側端126Bがギヤ110の内周部に係止された構成となっている。
また、本実施のウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252は、ラチェット120を備えておらず、代わりにラチェット盤272を備えている。ラチェット盤272は円盤部274を備えている。円盤部274はシャフト118に対して同軸的に設けられていると共に、シャフト118が貫通する円孔276が形成されており、シャフト118が円孔276を貫通することでラチェット盤272がシャフト118に回転自在に軸支される構成となっている。
円盤部274の軸方向一端側(ケース94の底部とは反対側)にはラチェット部278が円盤部274に対して同軸的に形成されている。ラチェット部278の外周部には前記第2の実施の形態におけるラチェット120と同様の外歯のラチェット歯280が形成されており、係合爪66の先端部がラチェット部278の外周部に接近することで係合爪66がラチェット歯280に係合可能とされている。
また、ラチェット部278にはラチェット孔282がラチェット部278に対して同軸的に形成されており、ラチェット孔282の内周部には内歯のラチェット歯284が形成されている。ラチェット歯284の向きはラチェット歯280の歯の向きとは反対とされている。
さらに、ラチェット孔282の内側には、弾性部材としてのクッションスプリング286が配置されている。クッションスプリング286は板厚方向が概ねラチェット部278の半径方向となり、長手方向がラチェット部278の周方向となるように適宜に湾曲された板ばねで、その長手方向一端は、上述した係止片266に形成された係止溝288に入り込み、係止片266に係止されている。
これに対して、クッションスプリング286の長手方向他端側は、その幅方向を軸方向とする軸周りに屈曲されている。この屈曲部分よりもクッションスプリング286の長手方向他端側の部分は当接部290とされており、ラチェット歯284の斜面292に対しては先端部が摺接しつつラチェット歯284を越えることができるが、斜面292とは反対側の壁面294に対して、厚さ方向一方の面が当接し、壁面294からラチェット歯284を越えることができない構造となっている。
<第5の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本ウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252では、スプール20に巻き取られたウエビングベルト22を座席に着座した乗員が引き出すことでスプール20が引出方向に回転すると、ギヤ100が引出方向に回転する。ギヤ100が引出方向に回転することで、渦巻きばね106の外側端106Bが内側端106Aに対して引出方向に回転し、これにより、渦巻きばね106に外側端106Bを巻取方向に付勢する付勢力(以下、この付勢力を、便宜上、「第1付勢力」と称する)が生じ、しかも、外側端106Bの引出方向への回転量の増加に応じて第1付勢力が増加する。
一方、ギヤ100が引出方向に回転すると、ギヤ100に噛み合うギヤ110がギヤ100とは反対の巻取方向に回転する。ギヤ110が巻取方向に回転することで、ギヤ110の内周部に一体的に連結された渦巻きばね126の外側端126Bが巻取方向に回転する。
外側端126Bは内側端126Aを介してアダプタ260に連結されており、更には、クッションスプリング286に連結されている。クッションスプリング286を巻取方向に回転させようとする。この状態でクッションスプリング286に回転力が付与されると、クッションスプリング286の当接部290の端部がラチェット歯284の斜面292上を摺接しつつラチェット歯284を乗り越える。
したがって、基本的にはクッションスプリング286がラチェット部278に巻取方向への回転力を付与することはなく、ラチェット盤272を回転させることがない。なお、厳密にはラチェット歯284とクッションスプリング286との間に摩擦が生じるため、この摩擦によってラチェット盤272に巻取方向への回転力が伝えられ、ラチェット盤272が巻取方向に回転することは充分にありうるが、このように、摩擦によってラチェット盤272が巻取方向に回転しても構わない。
次いで、前記第1の実施の形態でも説明したように、タングプレートがバックル装置に装着されたことをバックル装置に設けられたバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドが通電されて、プランジャ64がソレノイド本体62内に引き込まれる。これにより、係合爪66の先端がラチェット盤272のラチェット歯280に係合する。
タングプレートをバックル装置に装着した後に、乗員がウエビングベルト22に対する引っ張りを解除すると、渦巻きばね106がその付勢力で外側端106Bを巻取方向に回転させ、ひいてはギヤ100を介してスプール20を巻取方向に回転させる。ギヤ100が巻取方向に回転すると、ギヤ100に噛み合うギヤ110が引出方向に回転する。
ギヤ110が引出方向に回転することで、当然、渦巻きばね126の外側端126Bが引出方向に回転しようとし、ひいては、クッションスプリング286の他端が引出方向に回転しようとする。クッションスプリング286は引出方向へ回転しようとすることで、当接部290の厚さ方向一方の面がラチェット歯284の壁面294に当接して、壁面294を引出方向に押圧して回転させようとする。
しかしながら、この状態では、係合爪66の先端がラチェット盤272のラチェット歯280に係合しており、ラチェット部278の引出方向への回転が規制されている。このため、クッションスプリング286の他端部が壁面294を押圧しても、ラチェット盤272が引出方向に回転することがない。
このように、ラチェット盤272の引出方向への回転が規制されることで、基本的にはクッションスプリング286の引出方向への回転が規制され、ひいては、引出方向への渦巻きばね126の内側端126Aの回転が規制される。このように、引出方向への内側端126Aの回転が規制された状態で、外側端126Bに引出方向への回転力が付与されることで、外側端126Bが内側端126Aに対して相対的に引出方向に回転して、渦巻きばね126が巻き締められる。これにより、渦巻きばね126には外側端126Bを巻き取り方向に回転させようとする付勢力(以下、この付勢力を、便宜上、「第2付勢力」と称する)が生じる。
この第2付勢力は、外側端126B、ひいてはギヤ110を巻取方向に回転させる方向に作用するため、ギヤ100更にはスプール20に対してはこれらを引出方向に回転させる方向に作用する。すなわち、スプール20を巻取方向に回転することで生じた第2付勢力は、スプール20を巻取方向に付勢する第1付勢力を打ち消すように作用する。
このように、本実施の形態では、乗員がウエビングベルト22を装着した状態で、渦巻きばね106の第1付勢力に抗する渦巻きばね126の第2付勢力をスプール20に作用させることで、ウエビングベルト22による拘束力を弱めることができ、乗員が圧迫感を抱くことを防止又は効果的に軽減できる。
また、降車時等、乗員がタングプレートをバックル装置から外したことをバックルスイッチが検出すると、ソレノイド本体62内のソレノイドに対する通電が解除され、これにより、ラチェット盤272のラチェット歯280に対する係合爪66の係合が解除される。
このように、ラチェット歯280に対する係合爪66の係合が解除されることで、ラチェット盤272は回転自在となり、渦巻きばね126の第2付勢力に基づくクッションスプリング286の他端からの押圧力で引出方向にラチェット歯284が押圧され、ラチェット盤272が引出方向に回転する。これにより、渦巻きばね126が緩み、第1付勢力に抗する第2付勢力が減少することで、渦巻きばね106の第1付勢力で早急にウエビングベルト22をスプール20に巻き取らせることができる。
ところで、上記の渦巻きばね126の巻締状態では、第2付勢力がクッションスプリング286の一端に作用しており、この状態ではクッションスプリング286の他端の変位が規制されているため、第2付勢力によりクッションスプリング286が弾性変形する。ここで、上記のように、ラチェット歯280に対する係合爪66の係合が解除されてラチェット盤272が回転自在となった状態では、第2付勢手段が直接作用せず、先ずは、クッションスプリング286の弾性変形分が作用し、その後に第2付勢手段がクッションスプリング286を介してラチェット盤272に作用することになる。
このため、比較的大きい第2付勢力が急激にラチェット歯284等に作用することを防止でき、ラチェット盤272の損傷等を効果的に防止又は抑制できる。
なお、本実施の形態に係るウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252は、上記のように基本的には前記第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置90のテンションリデューサ92と同じであるため、基本的には前記第2の実施の形態で説明した作用と同等の作用を本実施の形態に係るウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252でも奏し、前記第2の実施の形態で説明した効果と同等の効果を本実施の形態に係るウエビング巻取装置250のテンションリデューサ252でも得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す図2に対応した正面断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す図2に対応した正面断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す側面図である。 クラッチ手段の連結状態を示す図7に対応した側面図である。 本発明の第4の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第5の実施の形態に係るウエビング巻取装置の要部であるテンションリデューサの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第5の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成の概略を示す正面断面図である。
符号の説明
10 ウエビング巻取装置
12 フレーム
20 スプール
22 ウエビングベルト
36 渦巻きばね(第1付勢手段)
36A 外側端(第1係止端)
36B 内側端(第1連結端)
54 渦巻きばね(第2付勢手段)
54A 外側端(第2係止端)
54B 内側端(第2連結端)
62 ソレノイド本体(規制手段)
90 ウエビング巻取装置
106 渦巻きばね(第1付勢手段)
106A 内側端(第1係止端)
106B 外側端(第1連結端)
126 渦巻きばね(第2付勢手段)
126A 内側端(第2係止端)
126B 外側端(第2連結端)
140 ウエビング巻取装置
150 渦巻きばね(第1付勢手段)
150A 内側端(第1連結端)
150B 外側端(第1係止端)
158 固定スリーブ(規制手段)
170 コイルスプリング(第2付勢手段)
170A 端部(第2係止端)
170B 端部(第2連結端)
180 ギヤ(回転体、回転伝達手段)
194 ギヤ(クラッチ手段、回転伝達手段)
210 ウエビング巻取装置
224 渦巻きばね(第1付勢手段)
224A 内側端(第1連結端)
224B 外側端(第1係止端)
226 渦巻きばね(第2付勢手段)
226A 内側端(第2係止端)
226B 外側端(第2連結端)
250 ウエビング巻取装置
286 クッションスプリング(弾性部材)

Claims (4)

  1. 長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端部が係止され、自らの軸周りの一方である巻取方向に回転することで前記ウエビングベルトを長手方向基端側から巻き取ると共に、前記ウエビングベルトに対して長手方向先端側へ引張力が付与されることで、巻き取った前記ウエビングベルトを引き出しつつ前記巻取方向とは反対の引出方向に回転するスプールと、
    両端のうちの何れか一端である第1係止端が前記スプールを支持するフレームに直接又は間接的に固定されて、前記第1係止端とは反対側の第1連結端が前記スプールの軸方向一端に直接又は間接的に連結され、前記第1係止端に対して前記第1連結端を前記引出方向に変位させることで前記スプールを前記巻取方向に付勢可能な第1付勢手段と、
    前記スプールの回転半径方向に沿って前記第1付勢手段の内側又は外側に配置されると共に、両端の何れか一端である第2連結端が前記スプールの軸方向一端へ直接又は間接的に連結可能で、当該連結状態で且つ前記第2連結端とは反対側の第2係止端に対して前記第2連結端が前記巻取方向及び前記引出方向の何れか一方に変位した状態では、何れか他方への付勢力を前記スプールに付与可能な第2付勢手段と、
    前記第2付勢手段の前記第2係止端に対して直接又は間接的に係合可能に設けられ、前記第2係止端に対する係合状態で前記巻取方向及び前記引出方向の少なくとも何れか一方の前記第2係止端の変位を規制する規制手段と、
    を備えるウエビング巻取装置。
  2. 前記第2係止端の変位が前記規制手段により常時規制された前記第2付勢手段の前記第2連結端が連結されると共に、前記スプールの軸方向に対して平行な軸周りに回転自在に設けられた回転体と、
    前記スプール及び前記回転体の少なくとも何れか一方に対して接離移動可能に設けられ、前記何れか一方に接近することで前記何れか一方に係合し、前記スプールに前記回転体を機械的に連結して前記スプールの回転を前記回転体に伝え、前記何れか一方から離間する前記何れか一方への係合が解除されるクラッチ手段と、
    を含めて構成される回転伝達手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
  3. 前記第2付勢手段の前記第2係止端に対する前記規制手段の係合状態で、前記第1付勢手段の前記第1連結端に前記規制手段が直接又は間接的に係合し、前記第1係止端に対する前記第1連結端の前記巻取方向への変位を規制する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
  4. 前記第2係止端に一端が直接又は間接的に連結されて、前記第2連結端に付与された回転力により前記第2付勢手段に連動して回転可能であると共に、前記規制手段が直接又は間接的に係合可能で前記規制手段の係合状態では、前記第2付勢手段から付与された前記巻取方向及び前記引出方向の何れか一方の回転力に連動した回転が規制される弾性部材を備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のウエビング巻取装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101507682B1 (ko) 2014-02-13 2015-03-31 광주보건대학산학협력단 응급구조장비용 안전끈 회수장치
CN111845621A (zh) * 2020-07-20 2020-10-30 重庆广播电视大学重庆工商职业学院 一种能减弱系用压迫感的安全带

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