JP2005096307A - インク劣化検出装置、インク劣化検出方法、インク劣化検出プログラムおよび印刷制御装置 - Google Patents

インク劣化検出装置、インク劣化検出方法、インク劣化検出プログラムおよび印刷制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 劣化したインクにおいてはインク量を調整しても同じ色で出力されるように調整することができず、無駄な調整をしてしまっていた。
【解決手段】 印刷装置で利用するインクの劣化を検出するにあたり、上記インクの色毎に所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷し、印刷されたパッチの色彩値を測色し、上記ターゲット色の色彩値と当該測色した色彩値とを比較し、当該比較の結果から両者に所定の基準以上の差が生じているインクを劣化したインクであると判定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インク劣化検出装置、インク劣化検出方法、インク劣化検出プログラムおよび印刷制御装置に関する。
カラー印刷装置では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)やライトシアン(lc)、ライトマゼンタ(lm)等のインクを利用し、各インクの組み合わせによって多数の色を表現する。これらの色は一般に各色毎に階調表現した画像データによって特定され、ある階調値によって指定される各色のインク使用量が一定になるように印刷装置の製造段階で調整を行うのが一般的である。すなわち、印刷装置を製造するにあたり総ての機体で誤差をなくすようにするのは通常不可能であるので、標準機における発色特性に合わせて各機体の誤差を予め補償している。
一方、印刷装置を使用し続けると、印刷を実行するための機構に誤差が生じるなどの経年変化が生じる。そこで、この経年変化によって出力色に変化が生じないようにするため、キャリブレーションを実施可能にした印刷装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特開平11−179971号公報
上述した従来の技術において、劣化したインクではキャリブレーションが実施できないという課題があった。すなわち、キャリブレーションにおいては、キャリブレーション対象の印刷装置と標準機とで同じ階調値に基づいて印刷したときに同じ色で出力されるようにインク量を調整するが、劣化したインクにおいてはインク量を調整しても同じ色で出力されるように調整することができない。特に、劣化によって劣化していないインクと比較して色相が変化するようなインクでは、キャリブレーションによって標準機の発色に合わせることは全く不可能であった。
また、上記特許文献1においては、色調整(キャリブレーション)を行ってトーンカーブを作成し、作成したトーンカーブの誤差が許容範囲外である場合に消耗品の劣化を検出している。しかし、この特許文献1では劣化を検出するために一旦キャリブレーションを行わなくてはならない。一般に、キャリブレーションは繁雑な作業であり、標準機の発色に合わせられないような劣化したインクでキャリブレーションを行うのは非常に無駄である。さらに、キャリブレーションを実施すれば、劣化したインクの発色をできるだけ標準機の発色に近づける設定となるが、インクを交換して劣化していないインクを使用する場合、この設定では標準機の発色に合わない。従って、再度キャリブレーションを実施しなければならない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、無駄なキャリブレーションの実施を防止するためにインクの劣化を検出することが可能なインク劣化検出装置、インク劣化検出方法、インク劣化検出プログラムおよび印刷制御装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、印刷装置での印刷結果を測色し、実際の印刷物の測色結果とターゲット色とのずれを判定し、基準以上の差が生じている場合にインクが劣化していると判定する。すなわち、所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷した場合、インクの劣化や印刷装置における経年変化がなければ、当該パッチが所定のターゲット色と同色になるはずである。しかし、インクの劣化やインク吐出機構における吐出誤差などの経年変化があればターゲット色と異なる色になる。尚、ここでいう経年変化はインクの劣化は含まない。
本発明は、上記経年変化の有無にかかわらず、インクが劣化しているときにはターゲット色に対して基準以上の差が生じることに着目しており、差を判定するために、上記印刷したパッチを測色し、予め決められた基準のターゲット色と比較する。この結果、基準以上の差が生じているときには、そのパッチを印刷したインクが劣化していると判定することができる。尚、上記パッチの印刷はインクの色毎、すなわち各インク単色で実施されるので、各インク色毎にその劣化を検出することができる。
ここで、上記画像データはターゲット色でパッチを出力させるためのデータである。すなわち、印刷装置において所定の画像データで特定される色は共通であり、印刷装置の出荷前の調整がなされた印刷装置においては、機体毎にほとんど差がなくターゲット色を出力することができる。しかし、上述のようにインクの劣化や経年変化があると同じ画像データでパッチを出力してもその色は異なってくる。従って、本明細書においてターゲット色とは特定の色を指しているが、上記画像データで印刷したときに、実際に印刷されたパッチの色がターゲット色であるとは限らない。
ターゲット色としては、上記パッチの測色値を評価できるような基準を与えることができればよい。例えば、所定の標準印刷装置においてターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷し、このパッチを測色して得られる色をターゲット色として採用することが可能である。むろん、他にも種々の構成を採用可能であり、インクの色毎に予め特定の色彩値を決定しておき、その色彩値を基準のターゲット色としてもよい。
尚、基準のターゲット色についてはその色彩値を取得することができればよく、予め、例えば印刷装置の製造者がその色彩値を示すデータを作成し、印刷装置に添付する記録媒体に記録するなどして提供可能である。データの提供態様はこのような態様に限られないが、色彩値比較手段はこのようなデータを取得して色彩値を取得すればよい。
また、測色手段においては、パッチの色彩値を取得することができればよく、測色機やスキャナなど種々の機器を採用可能である。本発明は印刷装置で利用するインクの劣化を検出するものであるので、印刷装置に対してこの測色手段を搭載するように構成しても良いが、測色機やスキャナ等を印刷装置と別に所有している利用者が当該測色機やスキャナを本発明にかかる測色手段として利用することによって本発明を実施できるように構成しても良い。
パッチを印刷するに際しては印刷装置が通常備える機能を利用して印刷を実行すればよい。例えば、各色インクを単独で使用し、インクの使用量を階調値で指定した画像データによって印刷を実行するように構成し、この画像データに基づいて通常の画像と同じようにハーフトーン処理等を実施し、インクジェットプリンタであれば各画素毎のインク記録の有無を特定したデータを生成してヘッド等の印刷機構を駆動すればよい。レーザープリンタであれば各画素のレーザー強度を特定したデータを生成してレーザー照射のための機構等を駆動すればよい。むろん、他のプリンタであっても同様である。
印刷するパッチとしては、測色した色彩値とターゲット色の色彩値とを比較可能にするパッチであればよく、種々の構成を採用可能である。例えば、異なるインク量を指定した複数の階調値でターゲット色を特定した画像データで複数のターゲット色のパッチを印刷するように構成してもよい。かかる構成によれば、複数色についてターゲット色の色彩値と測色した色彩値と比較することが可能になり、上述の比較の結果、基準以上の差が生じているか否かを判定しやすくなる。
すなわち、あるターゲット色については基準以上の差が生じていないが他のターゲット色については基準以上の差が生じているというような状況において、基準以上の差は生じていないと誤判定することを防止することができる。この結果、インクの劣化をより確実に検出することが可能になる。複数のターゲット色を採用するに際しては、異なるインク量であって、なるべくインク量の可変域の全域に渡る色であることが好ましい。インク量の可変域の全域に渡って異なるインク量を指定した階調値を採用すれば、そのインク色におけるグラデーションのようになり、高明度から低明度まで基準以上の差が生じているか否かを確実に検証することが可能になる。
さらに、色彩値を比較する際の好適な構成例として、標準印刷装置とインク劣化検出対象の印刷装置とで印刷したパッチの色彩値を所定の関数に近似させる構成を採用可能である。すなわち、各パッチの色彩値は、上述の画像データに基づいて印刷されたパッチの測色値であるので、この画像データを構成する階調値と各色彩値とを対応づけることが可能であり、色彩値を階調値を変数とした関数で表現することが可能である。
そこで、複数のターゲット色の色彩値および測色した色彩値を所定の色空間内にプロットすれば、その色空間内で階調値を変数にしてフィッティング等の近似を行うことで色空間内における色彩値を任意の関数に近似させることができる。この近似によって、標準印刷装置で印刷したパッチの色彩値に近似させた関数とインク劣化検出対象の印刷装置で印刷したパッチの色彩値に近似させた関数とが算出される。尚、標準印刷装置で印刷したパッチの色彩値は予め印刷装置の提供者が用意しておくのが好ましい。従って、この関数を示すデータは、印刷装置に添付する記録媒体に記録するなどして提供するのが好ましく、インク劣化の検出に際して実際に関数を算出するのではなく、予め決められた関数を示すデータを取得するのが好ましい。
これらの関数によれば、任意の階調値に対応した色彩値を取得することができるので、両関数から共通の階調値に相当する色彩値を取得し、比較すれば、標準印刷装置およびインク劣化検出対象の印刷装置とで印刷したパッチの色彩値を比較することが可能になる。従って、容易に全階調値について所定の基準以上の差が生じるか否かを検証することが可能になる。むろん、全階調値でパッチを印刷し、測色する構成を採用しても良い。但し、かかる構成によれば、測色パッチ数が多くなり、作業が繁雑になる。しかし、上述のように関数への近似を採用すれば、全階調値より少ない階調値に関する測色のみで任意の階調値に関する比較が可能になる。
ここで、所定の色空間としては、色空間内で色彩値の差異を評価することが可能であればよく、種々の色空間を採用可能であるが、色彩値を客観的に評価するためには機器非依存色空間であることが好ましい。また、色彩値の差を評価するという意味では、空間内の距離で色の差を評価することが可能な均等色空間を採用するのが好ましい。より具体的には、L***色空間やL***色空間、XYZ色空間等を採用可能である。これらの色空間を採用すれば、色差によって色彩値の差を評価することが可能になる。
また、このように3次元色空間を採用することが必須というわけではなく、1次元色空間、2次元色空間、必要に応じて4次元以上の色空間を採用しても良い。1次元色空間や2次元色空間としては、例えば、上記3次元色空間を構成する色成分の一部、例えば、色相,明度,彩度のいずれかまたは組み合わせを抽出し、色空間とする構成を採用可能である。例えば、階調値を変数にして色相,明度,彩度や色成分値のそれぞれについて関数でフィッティングを行えば、任意の階調値における色相差,明度差,彩度差,色成分値の差を評価し、比較することができる。さらに、この場合に、得られた色相差,明度差,彩度差から色差を算出して評価する構成も採用可能である。
さらに、所定の関数としても種々の関数を採用可能であり、各色空間中で直線をや曲線を構成する関数を考え、関数を特定するパラメータを各色彩値から算出してもよいし、隣り合う色彩値同士を直線で結ぶように関数を規定しても良い。また、隣り合う色彩値のみから関数を算出するのではなく、複数の色彩値を利用して関数をフィッティングした場合、得られた関数は複数の色彩値の変化を反映した関数であって個々の色彩値における測色誤差を排除した関数であると考えることもできる。従って、測色誤差に影響されずに色彩値の比較を行うことが可能である。
さらに、上述のようにインクが劣化している場合には、キャリブレーションを行っても無駄であるし、あえてキャリブレーションを実施した場合にはインクを交換したときに再度キャリブレーションを実施しなければならない。そこで、無駄なキャリブレーションを実施させないように、上記劣化検出手段にて劣化したインクを検出したときに、所定の標準色と印刷装置での出力色とのずれを補償するためのキャリブレーションが実施不可能であることを所定の出力装置に出力する構成を採用しても良い。かかる構成によれば、利用者が無駄な作業を実施することを確実に防止することができる。
ところで、上述したインク劣化検出装置は、単独で実施される場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で他の方法とともに実施されることもあるなど、発明の思想としては各種の態様を含むものであって、適宜、変更可能である。また、上述したパッチの測色結果とターゲット色とを比較してインクの劣化を検出する手法は、所定の手順に従って処理を進めていくうえで、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然である。したがって、本発明は方法としても適用可能であり、請求項8にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。本発明を実施しようとする際に、コンピュータにて所定のプログラムを実行させる場合もある。本発明は、そのプログラムとしても適用可能であり、請求項9にかかる発明においても、基本的には同様の作用となる。
むろん、請求項2〜請求項7に記載された構成を上記方法やプログラムに対応させることも可能であることは言うまでもない。また、いかなる記憶媒体もプログラムを提供するために使用可能である。例えば、磁気記録媒体や光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現される場合においても本発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込む形態のものも含まれる。さらに、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地なく同等である。また、請求項10にかかる発明のように、画像データに基づいて印刷を実行する印刷制御装置の付属機能として提供することも可能である。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷制御装置の構成:
(1−1)キャリブレーション処理:
(1−2)インク劣化の検出:
(2)他の実施形態:
(1)印刷制御装置の構成:
図1は本発明にかかる印刷制御装置となるコンピュータの概略構成を示すブロック図である。コンピュータ10は演算処理の中枢をなす図示しないCPUや記憶媒体としてのROMやRAM等を備えており、HDD15等の周辺機器を利用しながら所定のプログラムを実行することができる。コンピュータ10にはシリアル通信用I/O19aを介してキーボード31やマウス32等の操作用入力機器が接続されており、図示しないビデオボードを介して表示用のディスプレイ18も接続されている。さらに、プリンタ40とはUSB用I/O19bを介して接続されている。
また、当該USB用I/O19bを介して測色機50が接続されている。本実施形態におけるプリンタ40は複数色のインクを充填するインクカートリッジを色毎に着脱可能な機構を備えており、この機構にCMYKlclmの各インクのカートリッジを搭載する。プリンタ40においては、これらのインク色を組み合わせて多数の色を形成可能であり、これにより印刷媒体上にカラー画像を形成する。本実施形態におけるプリンタ40はインクジェット方式のプリンタであるが、インクジェット方式の他にもレーザー方式等、種々のプリンタに対して本発明を適用可能である。
さらに、CMYKlclmの6色の有色インクを使用する構成が必須ではなく、CMYKの4色やCMYKlclmDY(ダークイエロー)の7色を使用する構成であってもよい。むろん、他の色、例えばR(レッド)やV(バイオレット)をlclmインクの代わりに使用してもよいし、Kインクについて濃淡インクを使用してもよい。測色機50においては、分光反射率が既知の光源で印刷物を照射し、反射光を検出することにより印刷物の分光反射率を検出し、その色彩値、例えばL***値やXYZ値を出力可能である。本実施形態においては、プリンタ40で印刷したパッチのL***を測色する。
本コンピュータ10の構成は簡略化して説明しているが、パーソナルコンピュータとして一般的な構成を有するものを採用することができる。むろん、本発明が適用されるコンピュータはパーソナルコンピュータに限定されるものではない。この実施形態はいわゆるデスクトップ型コンピュータであるが、ノート型であるとか、モバイル対応のものであっても良い。また、コンピュータ10とプリンタ40の接続インタフェースも上述のものに限る必要はなくパラレルインタフェースやSCSI接続,無線接続など種々の接続態様を採用可能であるし、今後開発されるいかなる接続態様であっても同様である。
さらに、本実施形態においてはコンピュータ10によって印刷制御装置を構成しているが、プリンタ40に搭載するプログラム実行環境によって本発明にかかる印刷制御処理を実施可能に構成し、プリンタ40に対して直接的に接続されるデジタルカメラから画像データを取得して印刷制御処理を行ってもよい。むろん、同様の構成においてデジタルカメラにて印刷制御処理を実施してもよいし、他にも分散処理によって本発明にかかる印刷制御処理を実施するなど種々の構成を採用可能である。画像を取り込むスキャナと画像を印刷するプリンタとが一体となったいわゆる複合機において本発明にかかる印刷制御処理を行ってもよい。
本実施形態にかかるコンピュータ10では、プリンタドライバ(PRTDRV)21と入力機器ドライバ(DRV)22とディスプレイドライバ(DRV)23とがOS20に組み込まれている。ディスプレイDRV23はディスプレイ18における印刷対象画像やプリンタのプロパティ画面等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV22はシリアル通信用I/O19aを介して入力される上記キーボード31やマウス32からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
PRTDRV21では図示しないアプリケーションプログラムから印刷指示が行われた画像や後述するパッチの画像について所定の処理を行って印刷を実行可能である。PRTDRV21は、印刷を実行するために画像データ取得モジュール21aと色変換モジュール21bとハーフトーン処理モジュール21cと印刷データ生成モジュール21dとを備えている。上述の印刷指示がなされると上記PRTDRV21が駆動され、PRTDRV21はディスプレイDRV23にデータを送出して、印刷媒体や画質,印刷速度などの印刷条件を示す情報やキャリブレーション動作を実行するための指示を入力させる図示しないUIを表示する。
上記キーボード31やマウス32等を操作して利用者が当該UIにて印刷に必要な情報を入力し、また、キャリブレーションの実行指示を行うと、上記PRTDRV21の各モジュールが起動され、各モジュールによって上記画像データの各画素データに対する処理が実施され、印刷データが生成される。生成された印刷データはUSB用I/O19bを介してプリンタ40に出力され、プリンタ40は当該印刷データに基づいて印刷を実行する。
より具体的には、上記画像データ取得モジュール21aは上記アプリケーションプログラムで印刷指示がなされた画像や後述するパッチの画像を示す画像データを取得する。このとき、画像データの画素数に過不足があれば印刷に必要な画素を確保するため適宜解像度変換処理を行う。この画像データはRGB(レッド,グリーン,ブルー)の各色成分を階調表現して各画素の色を規定したドットマトリクス状のデータであり、本実施形態では各色256階調であり、sRGB規格に従った表色系を採用した画像データである。
本実施形態においてはこの画像データを例にして説明するが、YCbCr表色系を採用したJPEG画像データやCMYK表色系を採用した画像データ等、種々のデータを採用可能である。むろん、Exif2.2規格(Exifは社団法人電子情報技術産業協会の登録商標)に準拠したデータ、Print Image Matching(PIM:PIMはセイコーエプソン株式会社の登録商標)に対応したデータ等について本発明を適用することもできる。
色変換モジュール21bは各画素の色を示す表色系を変換するモジュールであり、HDD15に記録されたLUT(色変換テーブル)15bを適宜参照して画像データのsRGB表色系をプリンタ40が搭載するインク(CMYKlclm)を成分とするCMYKlclm表色系に変換する。LUT15bはsRGB表色系とCMYKlclm表色系とのそれぞれによって色を表現するとともに両者を対応づけ、複数の色についてこの対応関係を記述したテーブルである。従って、sRGB表色系で表現した任意の色に関し、その周りの色であってLUT15bに規定されたsRGBの色を参照すれば補間演算によって当該任意の色に対応したCMYKlclm表色系の色を算出することができ、色変換を実施することができる。
また、当該CMYKlclm表色系のデータはCMYKlclmの各色について256階調で階調表現した画像データであり、各階調値が各画素、各色のインク量に対応している。例えば、単位面積当たりのインク記録率0〜100%が階調値0〜255に対して線形に対応するように階調値を規定するなど、予め階調値が意味するインク量を決めておき、ハーフトーン処理モジュール21cにて各階調値に対応したインク量になるように階調数の変換を行う。
尚、上述のようにCMYKlclmの各階調値が意味するインク量が決められているとしても、プリンタ40の機体毎の製造誤差等により、常に階調値に対応したインク量を正確に出力できるとは限らない。そこで、本実施形態にかかるプリンタ40はこの類の誤差を補償する仕組みを備えている。すなわち、HDD15には各色毎の階調値を補正するトーンカーブデータ15cが記録されており、色変換モジュール21bは当該トーンカーブデータ15cを参照して上記LUT15bによる変換後のCMYKlclm階調値を補正する。
本実施形態において、プリンタ40の出荷前にはプリンタ40の製造者によって所定の標準プリンタの出力色に合わせるためのトーンカーブデータ15cが作成され、HDD15に記録される。プリンタ40の利用者は自らこのトーンカーブデータ15cを作成するためのキャリブレーションを実施することも可能である。このキャリブレーション処理の詳細は後述する。
色変換モジュール21bによって色変換がなされてCMYKlclmデータが得られると、ハーフトーン処理モジュール21cは、CMYKlclm表色系で表現された各画素の階調値を各画素におけるインクの吐出/非吐出を特定したハーフトーン画像データに変換する。すなわち、プリンタ40における各画素についてインク滴の吐出/非吐出を決定する。むろん、インク滴の吐出/非吐出のみならず、吐出インクの量を段階的に制御可能に構成し、吐出インク滴の大きさを決定しても良い。
さらに、印刷データ生成モジュール21dはかかるハーフトーン画像データを受け取って、プリンタ40で使用される順番に並べ替え、一回の主走査にて使用されるデータを単位にして逐次プリンタ40に出力する。すなわち、プリンタ40においてはインク吐出デバイスとして吐出ノズル列が搭載されており、当該ノズル列では副走査方向に複数の吐出ノズルが並設されるため、副走査方向に数ドット分離れたデータが同時に使用される。
そこで、主走査方向に並ぶデータのうち同時に使用されるべきものがプリンタ40にて同時にバッファリングされるように順番に並べ替える。そして、印刷データ生成モジュール21dは並べ替え処理後のデータに画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、上記USB用I/O19bを介してプリンタ40に出力する。プリンタ40にて画像を形成するために必要なすべてのデータが転送されると、プリンタ40にて印刷媒体上に画像が形成される。
(1−1)キャリブレーション処理:
次に、上述のキャリブレーション処理について詳説する。上記PRTDRV21は、キャリブレーションモジュール21eを備えており、上記プリンタのプロパティ画面からキャリブレーションの実行指示を行うことによって当該キャリブレーションモジュール21eを起動することができる。キャリブレーションモジュール21eは、インク劣化検出部21e1とトーンカーブ作成部21e2を備えている。トーンカーブ作成部21e2はトーンカーブデータ15cを作成する処理を司っており、上記キャリブレーションの実行指示に応じてパッチ画像データ15aに基づく印刷を実行させる。
本実施形態において、パッチ画像データ15aはキャリブレーション処理および後述するインクの劣化を検出する処理を実施するためのパッチを示す画像データであり、各インク色毎に全階調域に渡って値を一定幅で変化させて取得した階調値で構成される画像データである。本実施形態における例では、あるインク色の階調値を”7,14,,,,252”と7毎に変化させるとともにこのインク色以外の階調値を”0”とし、各階調値で所定の面積のパッチを印刷するようにしている。
また、このパッチ画像データ15aでは、CMYKlclmの各色について上述のように階調値を変化させてパッチを印刷するための画像データとしており、画像データ取得モジュール21aと色変換モジュール21bとハーフトーン処理モジュール21cと印刷データ生成モジュール21dとが上述の処理を実行することにより、図2に示すような複数のパッチを印刷する。同図においては、大きな矩形で印刷媒体を示しており、その上辺に階調値,左辺にインク色を示している。階調値が大きくなるとインク量が多くなるので、同図に示すパッチでは、左側のパッチが明るく、右に行くにつれ暗くなる。
本実施形態においては、上述のようにプリンタ40の出荷前にプリンタ40の製造者によって所定の標準プリンタの出力色に合わせるようトーンカーブデータ15cが作成されている。従って、プリンタ40における経年変化やインクの劣化が生じていなければ、上記パッチの色は上記標準プリンタの出力色と一致するはずである。すなわち、このパッチ画像データ15aは、上記請求項におけるターゲット色を出力するための画像データに相当する。
一方、経年変化によってインクの吐出機構における吐出誤差などが生じていると、上記パッチの色は上記標準プリンタの出力色と一致しない。そこで、両者を一致させるのがキャリブレーション処理であり、この処理のために上記パッチを測色機50にて測色する。トーンカーブ作成部21e2は、USB用I/O19bを介してこの測色結果を示す測色データを取得し、上記パッチ画像データ15aに基づいて上記標準プリンタで出力した出力色と略同色の出力を得られるようにトーンカーブデータ15cを更新する。
このために、予めパッチ画像データ15aに基づいて上記標準プリンタで出力したパッチの測色結果がターゲット色彩値データ15dとして作成されており、HDD15に記録されている。トーンカーブ作成部21e2は、当該ターゲット色彩値データ15dと上記USB用I/O19bを介して取得した測色データに基づいて、補間演算を行ってトーンカーブを作成する。
図3は、このトーンカーブを作成する際の処理を説明するための説明図である。同図において横軸はL***色空間におけるa*値であり、縦軸はb*値である。すなわち、3次元色空間であるL***色空間におけるL***値をa**平面に投影して示している。
また、同図においては一例としてCインクの色彩値をプロットした状態を示している。図中の白丸はターゲット色彩値データ15dの投影値であり、原点Oに近い白丸から線分に沿って順に階調値”7,14,,,,252”に対応した色彩値である。上記図2のように印刷したパッチの測色値を図3のグラフ上にプロットすると、白丸で示す色彩値の近くに配置される。後述するインクの劣化が検出されないとき(キャリブレーションを実施して無駄にならないとき)には、白丸の近傍に存在する印刷パッチの測色値を使って白丸の色彩値を補間する。
図3の拡大図Aは、キャリブレーション処理を実施する際に上記図2のように印刷したパッチを測色した結果を×印でプロットした様子を示している。同図において、白丸はパッチ画像データ15aにより標準プリンタで印刷を行った結果の測色値であり、×印はパッチ画像データ15aによりプリンタ40で印刷を行った結果の測色値であり、利用者が測色機50で測色した結果である。同拡大図に示すように元のパッチ画像データ15aは共通であっても両色彩値がずれていることがある。
そこで、プリンタ40において白丸と略同一の色彩値で印刷を実施可能な階調値を周囲の×印の位置から補間で求めれば、プリンタ40において標準プリンタにおけるターゲット色と略同一色で出力を行う階調値を算出することができる。この補間は、標準プリンタにおいて階調値”7,14,,,,252”で出力される出力色をプリンタ40で出力するための階調値を算出していることになり、算出された階調値を出力値、上記階調値”7,14,,,,252”を入力値とすれば、プリンタ40におけるトーンカーブが作成される。
図4は、このトーンカーブの一例を示す図である。同図においては横軸を入力階調値、縦軸を出力階調値として示しており、グラフ上の破線は入力値を変換しない場合の入出力特性を示している。また、実線で示す曲線は、作成されたトーンカーブの入出力特性の例を示している。すなわち、図4に示す例では、色変換モジュール21bの変換後の階調値が”35”であるときに階調値”44”に補正する。この階調値”44”はプリンタ40において標準プリンタの階調値”35”と略同一の色を出力する階調値である。
以上のようなトーンカーブを使えば、キャリブレーションを実施することができる。すなわち、色変換モジュール21bによる変換後の階調値を入力値とし、トーンカーブを参照して階調値を補正し、補正後の画像データをハーフトーン処理モジュール21cに入力することにより、標準プリンタと同様の出力色が得られるようになる。尚、上記キャリブレーションでは、離散的な階調値”7,14,,,,252”について補間を行って出力値を算出していたが、むろん、これらの間の出力値は補間演算等によって算出することができる。この補間演算は、色変換モジュール21bによる変換時に補間しても良いし、予め補間しておいても良い。
また、上記図3においては、簡単のためにa**平面上で説明したが、実際は3次元のL***色空間中で処理を行う。むろん、特定の色成分値について色を合わせることに着目すれば、3次元の色空間ではなく1次元あるいは2次元の色空間中で補間演算を行っても良い。例えば、明度を合わせることに着目すれば、プリンタ40において標準プリンタと略同明度になるような階調値を補間演算で算出すればよいし、色相や彩度に着目すれば、a**平面で色相や彩度が略同一になるように補間演算を行えばよい。
(1−2)インク劣化の検出:
以上のようなキャリブレーション処理によれば、インクが劣化している場合を除き、経年変化等による誤差等を補償して、プリンタ40における出力色を標準プリンタにおける出力色に近づけることができる。しかし、インクが劣化していると、どのようにキャリブレーション処理を行っても、経年変化等による誤差等を補償することができなくなる。図3には上述の色彩値に加え、劣化したインクで上記複数のパッチを印刷した場合の測色値を黒丸でプロットしている。
同図に示す例では、インクの劣化(酸化や色剤の沈降等)によって出力特性が変化し、全階調値に渡ってターゲット色に対して一定方向に向けて色相がずれている。このように、一定方向へ向けた色相のずれが生じ、このずれが許容範囲を超えると上述のように補間を行ってトーンカーブデータ15cを作成することは不可能になる。すなわち、補間演算では、図3に示す黒丸を結ぶ線分上の色彩値を算出するので、この線分上にない色彩値は補間演算で算出することができない。
むろん、黒丸を結ぶ線分が白丸を結ぶ線分に対して非常に近い場合には、近似値として白丸と略同色を出力する階調値を算出することも可能である。しかし、色相のずれが許容範囲を超えると、キャリブレーションで出力色を補正することは不可能である。そこで、本実施形態においては、上述のキャリブレーションを実施する前に、インクの劣化が生じているか否かを判定し、インクが劣化しているときにはその旨を通知して、キャリブレーションを実施させないようにしている。
本実施形態においては、色相のずれが許容範囲を超えているか否かを判別するため、同じ階調値で印刷されるパッチのL***値同士を逐次比較し、色差ΔEが所定の最大値を超えるか否かを判定する。図5は、この判定処理を詳細に示しつつ、一連のキャリブレーション処理を示したフローチャートである。このフローに示すようにステップS135のキャリブレーションの前にインクが劣化しているか否かを検出する処理を行っている。まず、ステップS100では、上記パッチ画像データ15aに対して画像データ取得モジュール21aと色変換モジュール21bとハーフトーン処理モジュール21cと印刷データ生成モジュール21dとによる処理を行って、図2に示す複数のパッチを印刷する。
ステップS105では、上記測色機50によって当該複数のパッチを測色し、上記インク劣化検出部21e1が測色結果を示す測色データを取得する。尚、この測色データは図示しないメモリに記録され、インクの劣化が検出されなかった場合には、トーンカーブ作成部21e2が当該測色データを参照する。ステップS110では、上記取得した測色データに基づいてL***の各色成分値を高次関数にフィッティングさせる。このとき、各色成分毎に階調値を変数とした関数を規定する。
図6〜図8は、それぞれ、L*値、a*値、b*値についてフィッティングする様子を説明する説明図である。これらの図において、横軸は階調値、縦軸はそれぞれL*値、a*値、b*値である。上記ステップS105での測色により、階調値”7,14,,,,252”に対応するL*値、a*値、b*値が判明している。
図6〜図8においては、Cインクについてこれら判明しているL*値、a*値、b*値を黒丸でプロットして示している。このように、階調値に対して複数のL*値、a*値、b*値が得られているとき、階調値を変数とした高次関数を想定すれば、各L***値から関数の係数を算出することができる。従って、階調値を変数としてL***値を記述する関数を決定することができる。
むろん、ここでは階調値に対する各L***値を記述することができればよく、関数の次数や関数形は特に限定されない。また、各L*値、a*値、b*値を別個に記述する関数を算出するのではなく、L***色空間内で階調値を変数とした所定の関数を規定しても良い。尚、上記図6〜図8に示した黒丸の値は、測色誤差等が含まれ得るが、以上のように関数を算出することにより、階調値全域に渡って滑らかに変化するようにL*値、a*値、b*値を決定することができ、測色誤差等による影響を排除することができる。
以上のように関数を決定すると、各階調値に対応する各L***を算出することができるので、ステップS115において上記インク劣化検出部21e1はターゲット色彩値データ15dを取得する。ターゲット色彩値データ15dは、階調値”7,14,,,,252”に対応した色彩値を示すデータであるので、階調値”7,14,,,,252”について基準となるターゲット色の各L*値、a*値、b*値を把握することができる。
そこで、階調値”7,14,,,,252”の中から階調値を一つ抽出し、上記算出した関数に代入して上記測色したパッチのL*値、a*値、b*値を算出する。また、上記ターゲット色彩値データ15dに基づいて上記抽出した階調値に対応するターゲット色のL*値、a*値、b*値を取得する。そして、これらの値から各階調値に対応した色彩値の色差を算出するとともに比較し、ステップS120において色差が所定の値α以上であるか否かを判別する。
このαは上記許容範囲を示す色差であり、例えば、インクジェットプリンタにおいて”2”〜”3”程度の値とすれば、無駄なキャリブレーションを防止することができる。すなわち、この程度の色差があれば、経年変化の有無にかかわらず、インクが劣化しているとして、キャリブレーションを実施させないようにする。ステップS120において、色差が所定の値α以上であると判別されないときには、ステップS125にて上記階調値”7,14,,,,252”の総てについてステップS120の判別を行ったか否かを判別する。
ステップS125にて上記階調値”7,14,,,,252”の総てについてステップS120の判別を行ったと判別されないときには、未判別の階調値について上記ステップS115以降の処理を繰り返す。ステップS125にて上記階調値”7,14,,,,252”の総てについてステップS120の判別を行ったと判別されたときには、ステップS130にて、プリンタ40で使用する全インク色についてステップS115以降の処理が終了したか否かを判別する。ステップS130にて、プリンタ40で使用する全インク色についてステップS115以降の処理が終了したと判別されないときには、判別対象となるインク色を変更してステップS115以降の処理を繰り返す。
ステップS130にて、プリンタ40で使用する全インク色についてステップS115以降の処理が終了したと判別されたときには、劣化しているインクが存在しないので、ステップS135においてトーンカーブ作成部21e2が処理を行い、キャリブレーションを実施する。一方、上記ステップS120において、色差が所定の値α以上であると判別されたときには、インクの劣化により、キャリブレーションを実施しても標準プリンタの出力色に合わせることができない。
そこで、ステップS140において上記ディスプレイDRV23に所定の制御データを出力してディスプレイ18上にインクの劣化を示す表示を行わせ、利用者にインクの劣化を通知する。また、本実施形態においては、インクの劣化によってキャリブレーションが不可能である旨の表示も行わせ、キャリブレーションができないことを通知する。そして、キャリブレーション処理を終了する。この場合、利用者は無駄なキャリブレーションを実施せずに済み、無駄な処理をすることなくインクを交換するなどの対策を行うことができる。
すなわち、インクの劣化を通知しないでキャリブレーションを実施するのであれば、キャリブレーションを実施し、キャリブレーション後に印刷を行って初めて標準プリンタの出力色と合わないことが判明する。このキャリブレーションは全く無駄であるが、本発明によれば、インクの劣化を通知するので、このような無駄な作業を防止することなく上記インクの交換等、対策を行うことができる。尚、上述の実施形態においては、256階調の全階調値の中から一部の階調値について色差を比較することにしていたが、むろん、全階調値について判定しても良い。この場合、ターゲット色彩値データ15dとして全階調値のデータを予め用意しておくか、予め用意された色彩値から、上記関数のフィッティング等を利用して全階調値に対応するターゲット色彩値データを算出する。
(2)他の実施形態:
以上の実施形態においては、インクの劣化を検出するために複数のパッチの測色値が基準のターゲット色に対して所定の基準以上の差を有するか否かを判別してインクの劣化を検出していたが、むろん他の構成を採用することも可能である。例えば、パッチの測色結果と基準のターゲット色とを比較するに際して色差を算出するのではなく、色相差や明度差,彩度差を算出する構成を採用しても良い。特に上記図3に示したようにインクの劣化によって全階調値に渡ってターゲット色に対して一定方向に向けて色相がずれる場合には、色相差を算出してインクの劣化を検出することが可能である。
また、上記実施形態におけるキャリブレーションは標準プリンタにおいて単色で出力した出力色に合わせるように単色レベルで階調値を補正して調整していたが、本発明の適用対象はこのようなキャリブレーションに限定されるわけではない。例えば、複数の色の組み合わせを考慮することにより、色のバランスを調整するようなキャリブレーションに対して本発明を適用することも可能である。すなわち、グレーを印刷するためのパッチおよび当該グレーを印刷するための階調値からわずかに階調値を変動させたパッチを印刷し、最もグレーに近く見える色から各インク量のバランスを調整するような構成に対して本発明を適用することも可能である。
この場合も、経年変化等による誤差が少量であればキャリブレーションを実施可能であるが、インクの劣化によってずれが許容範囲を超えた場合にはキャリブレーションを実施することができず、作業が無駄になる。例えば、図5に示すインクのように劣化によって色相のずれが許容範囲を超えると、他の色のインクと組み合わせたとしても、ずれ方向と反対側で表現可能な色が少なくなる。すなわち、プリンタ40で表現可能な色域が標準プリンタより狭くなる。
このような色域の変化が許容範囲を超えてしまうと、もはやキャリブレーションをしても標準プリンタの出力色に合わせることは不可能であるし、キャリブレーションを試みても、色域圧縮の際に大きな圧縮を受ける部位と受けない部位との差が大きくなるなどして、色がよけいに破綻するなどの不都合が生じる。そこで、このようなキャリブレーションを行う前に本発明にかかるインク劣化の検出を行い、劣化を検出したときにキャリブレーションを実施させないように構成すれば、無駄な作業を実施させないように構成することが可能である。
さらに、キャリブレーションの手法も色変換後の階調値を補正するトーンカーブに限定されるわけではなく、種々の構成を採用可能である。例えば、インクの使用量を一律に増減するように補正する構成を採用すれば、非常に簡易な構成でキャリブレーションを実施することが可能である。
さらに、ターゲット色と比較するためのパッチとしても上述のものに限られない。例えば、インクの劣化によって最も色差が大きくなる階調値を予め判別しておき、その階調値、あるいはその階調値の周囲数点でプリンタ40と標準プリンタの出力色を比較するように構成しても良い。かかる構成によれば、少ない測色数でインクの劣化を効果的に検出することが可能である。
印刷制御装置の概略構成を示すブロック図である。 印刷されるパッチの説明図である。 色彩値をa**平面に投影した投影図である。 トーンカーブの一例を示す図である。 キャリブレーション処理のフローチャートである。 *値をフィッティングする様子を示した説明図である。 *値をフィッティングする様子を示した説明図である。 *値をフィッティングする様子を示した説明図である。
符号の説明
10…コンピュータ、15…HDD、15a…パッチ画像データ、15b…LUT、15c…トーンカーブデータ、15d…ターゲット色彩値データ、18…ディスプレイ、21…PRTDRV、21a…画像データ取得モジュール、21b…色変換モジュール、21c…ハーフトーン処理モジュール、21d…印刷データ生成モジュール、21e…キャリブレーションモジュール、21e1…インク劣化検出部、21e2…トーンカーブ作成部、40…プリンタ、50…測色機

Claims (10)

  1. 印刷装置で利用するインクの劣化を検出するインク劣化検出装置であって、
    上記インクの色毎に所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷させるパッチ印刷手段と、
    印刷されたパッチの色彩値を測色する測色手段と、
    上記ターゲット色の色彩値と当該測色した色彩値とを比較する色彩値比較手段と、
    当該比較の結果から両者に所定の基準以上の差が生じているインクを劣化したインクであると判定する劣化検出手段とを具備することを特徴とするインク劣化検出装置。
  2. 上記画像データは、異なるインク量を指定した複数の階調値で各パッチのターゲット色を特定したデータであることを特徴とする上記請求項1に記載のインク劣化検出装置。
  3. 上記ターゲット色の色彩値は、ターゲット色を出力するための画像データによって所定の標準印刷装置で印刷した複数のパッチを測色して得られる色彩値であることを特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに記載のインク劣化検出装置。
  4. 上記色彩値比較手段は、上記標準印刷装置とインク劣化検出対象のインクを搭載した印刷装置とで上記ターゲット色を出力するための画像データによって印刷した複数のパッチを測色した色彩値のそれぞれを所定の色空間内で所定の関数に近似させ、共通の階調値に相当する色彩値をこの関数から算出して比較することを特徴とする上記請求項3に記載のインク劣化検出装置。
  5. 上記色彩値比較手段は、上記色彩値から色差を算出し、上記劣化検出手段は当該色差が所定の色差以上であるときに劣化したインクであると判定することを特徴とする上記請求項4に記載のインク劣化検出装置。
  6. 上記色彩値比較手段は、各色彩値の色相差,明度差,彩度差,,色成分値の差,色差のいずれかまたは組み合わせを比較することを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインク劣化検出装置。
  7. 上記劣化検出手段にて劣化したインクを検出したときに、所定の標準色と印刷装置での出力色とのずれを補償するためのキャリブレーションが実施不可能であることを所定の出力装置に出力する実施不可出力手段を具備することを特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載のインク劣化検出装置。
  8. 印刷装置で利用するインクの劣化を検出するインク劣化検出方法であって、
    上記インクの色毎に所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷させるパッチ印刷工程と、
    印刷されたパッチの色彩値を測色する測色工程と、
    上記ターゲット色の色彩値と当該測色した色彩値とを比較する色彩値比較工程と、
    当該比較の結果から両者に所定の基準以上の差が生じているインクを劣化したインクであると判定する劣化検出工程とを具備することを特徴とするインク劣化検出方法。
  9. 印刷装置で利用するインクの劣化を検出するインク劣化検出プログラムであって、
    上記インクの色毎に所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷させるパッチ印刷機能と、
    印刷されたパッチの色彩値を測色機によって測色した測色データを取得する測色データ取得機能と、
    所定の記録媒体に記録された上記ターゲット色の色彩値を示すターゲット色彩値データと上記測色した色彩値を示す測色データとに基づいて両者の色彩値を比較する色彩値比較機能と、
    当該比較の結果から両者に所定の基準以上の差が生じているインクを劣化したインクであると判定する劣化検出機能とをコンピュータに実現させることを特徴とするインク劣化検出プログラム。
  10. 印刷対象の画像を示す画像データを取得してその印刷を制御するとともに当該印刷装置において利用されるインクの劣化を検出する印刷制御装置であって、
    上記インクの色毎に所定のターゲット色を出力するための画像データによってパッチを印刷させるパッチ印刷手段と、
    印刷されたパッチの色彩値をを測色機によって測色した測色データを取得する測色データ取得手段と、
    上記ターゲット色の色彩値を示すターゲット色彩値データを記録する記録媒体と、
    上記ターゲット色彩値データが示すターゲット色の色彩値と上記測色データが示す色彩値とを比較する色彩値比較手段と、
    当該比較の結果から両者に所定の基準以上の差が生じているインクを劣化したインクであると判定する劣化検出手段と、
    当該インクの劣化を検出したときに所定の出力装置にインクが劣化した旨を出力するインク劣化出力手段とを具備することを特徴とする印刷制御装置。

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