JP2005095846A - 触媒燃焼用の有孔性金属箔帯、およびそれを有する燃焼装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 10,000Kcal/h以上の工業用の大型燃焼機器に適用可能な、低価格で高耐熱性、高耐久性の金属材料を提供する。
【解決手段】 金属基材10にFe−Cr−Al−Laの合金を用い、この基材を箔帯化し、ラス目加工後、エキスパンド加工を施し、ラス網とし、その後、約850℃の熱処理を施し、耐熱性を付加し、白金族触媒を担持した有孔性金属箔帯15を提供する。900℃以下の低コストの熱処理で十分な厚みのアルミナ層12を備えた金属材料となり、安定燃焼の可能な高効率の触媒燃焼バーナーを提供できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、燃焼機器、熱交換機器、ガス石油給湯機器、熱処理炉、あるいはそれに用いられる燃焼用チムニーおよび燃焼バーナーなどの燃焼装置に関するものである。さらに、本発明は、それらの燃焼装置における触媒燃焼用の有孔性金属箔帯に関するものである。
昭和40〜50年代には、日本では、石油ストーブが低価格燃焼機器として、全盛を謳歌し、約300〜500万台生産され、この燃焼部には、耐熱劣化の少ない熱処理が施されたフェライト系ステンレスが用いられていた。その熱処理は、フェライト系ステンレスの基材を700〜850℃で4時間熱処理し、表面に酸化クロムの耐蝕被服層を形成するものである。
その当時は、排ガス規制もなく、住宅も木造住宅が主流で、住宅の自然換気回数は10〜18回/hと大きく、特に、意識的に換気する必要もなかつた。しかしながら、昭和48、51年にオイル危機が世界的なエネルギー問題となり、この機会に省エネ、環境問題が世界的な課題となり、省エネの観点から住宅構造の気密化が高まり、その結果として、自然換気回数が減り室内の環境問題がクローズアップされるようになった。同時に、排ガスによる環境汚染も問題になり、室外の環境問題がクローズアップされるようになった。このような時代背景に応えるため室内燃焼機器は、石油温風器、FF型石油温風器(強制吸排気型)へと変遷していった。
また、日本国内では、昭和45年頃から水俣病、阿賀野川病、神通川問題、四日市喘息傷害等が社会問題化され、昭和53年から世界に先駆け、自動車の排ガス規制が実施され、アルミナの造粒触媒、セラミックハニカム触媒が全盛を迎える。触媒の軽量化、低コスト化、触媒の活性化開始までの時間の短縮化、舗装道路の完全でない発展途上国での排ガス対応等の課題を解決するために、金属触媒担体の開発実用化が望まれており、その一例として、特開昭56−96726号公報には、Cr:15〜25%、Al:3〜6%、イットリューム(Y):0.3〜1%を含むフェライト系ステンレスを930℃で8時間以上熱処理することにより、表面に好ましい酸化物が形成されることが記載されている。
その後、さらに、省エネ、環境、健康、クリーン、コードレス化の要求に応えるために室内燃焼機器の排ガス対策として各種の触媒燃焼機器が開発され、その一部は実用化されている。触媒燃焼用の触媒には、アルミニウム含有フェライト系ステンレス金属触媒担体が使用され、特表平11−508816号公報においては、無孔性の金属箔帯を担体に用いる代わりに、金属細線を網状に構成し、その細線上に多孔質セラミックスを溶射形成する方法を採用し、SV値(空間速度値)やLV値(線速度値)を相対的に大きくしている。しかしながら、この方法は、フェライト系ステンレスを細線に加工するコストが高いこと、細線上にセラミック溶射を形成するコストが高いこと、さらには溶射形成したセラミックスが比較的寿命が短いという欠点がある。
特開昭56−96726号公報 特表平11−508816号公報
このように、初期の燃焼部に用いられた金属性材料は、触媒担体でなく、単なる耐熱性金属であり、基材にアルミニウムは添加されておらず、パンチングメタル箔帯が採用されることがあっても、それを単に熱処理し、表面に酸化クロム層を形成するだけのものであった。このような金属材料は、石油ストーブ用チムニー部材として1500時間程度の耐久性を有し、また、熱量として、800〜2000Kcal/h程度の燃焼機器に応用可能なものである。しかしながら、本発明においては、10,000〜20,000Kcal/hの大型燃焼機器に使用可能で、また、工業用の触媒バーナーとして十分な耐久性、例えば、100,000時間以上の耐久性を有する金属性材料を提供することを目的としている。
特許文献1では、自動車用金属触媒担体として、微量のイットリュームを添加したフェライト系ステンレスをロール状に捲廻後、930℃で、8時間以上熱処理し、十分な厚みのウィスカー状のγーAlのアルミナ層を形成し、このアルミナ層に白金族系の触媒を担持している。この特許文献1に開示されている技術では、基材が高価である他に、基材が無孔性で、耐久時間は10,000時間以下に過ぎない。また、発熱量としては、3000Kcal/h以下の燃焼機器に適用可能なものである。さらに、SV値は、10,000−1以下で、本発明が目的とする工業用の触媒バーナーとしての用途には適していない。
コードレス熱機器用触媒燃焼バーナーや厨芥処理の用途に開発された金属触媒担体も、対応可能な発熱量は、300Kcal/h以下であり、耐久時間も10,000時間以下で、基材は無孔性である。また、SV値も、1,000−1以下であり、本発明が目的とする工業用の触媒バーナーなどの大熱量用の用途には適していない。
特許文献2には、フェライト系ステンレスを細線加工し、網状にネット加工し、この表面に多孔質セラミックを溶射形成する技術が開示されている。しかしながら、フェライト系ステンレスの細線加工は、高価で、多孔質セラミックのプラズマ溶射形成は、更に、高価であり、工業的な用途には向いていない。また、金属の膨張係数とセラミックスの膨張係数が2桁異なるため、長期使用中にセラミックス層が剥離脱落し、長期信頼性を得ることが不可能である。
また、従来、触媒燃焼には、セラミックハニカムが多用されていたが、5,000Kcal/h以上の工業的用途では、ハニカム担体自体の重量が大きくなる。さらに、700℃以上の高温で使用すると、金属外装とセラミックハニカムバーナーとの膨張係数の差からクリアランス制御が難しく、信頼性の観点から工業用用途にセラミックスバーナーは、課題が大きい。また、セラミックハニカム自体の重量が大きく、熱容量が増加するために、燃焼開始から燃焼安定までの時間がかかる。したがって、その間、液化燃料が触媒担体の未加熱により、凝縮し、白煙となり、未燃ガスを発生したり、臭気の原因となり、触媒燃焼の本来のメリットを見出せなくなる。このため、セラミックス担体を大型の工業用に使用することは難しい。
このため、本発明においては、3,000Kcal/h以上の発熱量を有する工業用触媒燃焼バーナーなどに適応可能な触媒燃焼用の金属材料として、セラミック担体ではなく、少なくともアルミニウム(Al)を3〜7%含有するFe−Cr−Al基合金で、多数の貫通孔を有する有孔性金属箔帯を提供する。そして、本発明の有孔性金属箔帯を用いて触媒燃焼を行う燃焼部を有する燃焼装置を提供する。本発明の燃焼装置は、暖房用、瞬間湯沸かし用、給湯用または熱処理炉用など多目的に応用可能なものであるが、低価格で高耐熱性、高寿命(100,000時間以上の耐久性)を有する金属材料が得られるので、特に、10,000〜20,000Kcal/hの工業用の大型燃焼機器に適している。
すなわち、本発明においては、3〜7%のアルミニウムを含有するFe−Cr基合金製で、多数の貫通孔を有する触媒燃焼用の有孔性金属箔帯を提供する。この有孔性金属箔帯は、さらに、0.02〜0.07%のランタン(La)を含有していることが望ましく、0.03〜0.05%のランタンを含有していることがさらに望ましい。発明者らの実験によると、0.02〜0.07%のランタン(La)を含有した合金を熱処理することにより、850℃以下の低温でアルミナ層を形成することが可能となり、さらに、低温で熱処理できることにより、触媒の担体に適した多孔質のγアルミナと考えられる酸化層を形成できることが分かった。また、ランタンの含有量が0.02%程度であると、熱処理時間が延びて量産化に問題があると考えられ、ランタンの含有量は0.03%以上であることが望ましい。ランタンの含有量が0.09%あるいはそれ以上であると、合金化に問題が生じ、さらに、酸化物の層も多孔質でないαアルミナが増加するようであり、好ましくない。また、高価なランタンの含有量が増加することはコストの点でも好ましくない。
以下に説明する種々の実験はランタンの含有量が0.07%の合金を行っており、ランタンの含有量が0.03〜0.07%の合金においては、600〜850℃の熱処理で、表面に十分なAlの被覆層を形成することが可能となり、低価格で高耐熱性、高耐久性の有孔性金属箔帯を提供できることが分かった。さらに、この熱処理された有孔性金属箔帯は、経年変化により、基材の表面に、下から順番にCrの被覆層と、Alの被覆層が形成され、さらに、高耐熱性、高耐久性の有孔性金属箔帯となる。したがって、この範囲でランタンの含有量を低減することはコストメリットがあり、また、基材の合金化を容易とし、基材の強度を確保する点でも好ましい。本願の発明者らの実験によると、ランタンの含有量が0.05%以下であっても0.03%以上であれば、熱処理により形成されるアルミナ層の状態は変わらない。したがって、ランタンの含有量は、0.03〜0.05%の範囲であることが望ましい。
本発明の有孔性金属箔帯において、Alの被覆層の表面に白金族触媒を担持することにより触媒燃焼効率をさらに向上でき、触媒バーナーにさらに適した金属材料を提供できる。白金族触媒は、PtおよびPdの少なくともいずれかを含んでいることが望ましい。
さらに、本発明の有孔性金属箔帯は、ラス金網状であることが望ましい。多数の貫通孔を有する箔帯をラス目加工し、その後、エキスパンドすることにより、ラス金網状に加工し、これを触媒担体に用いることができる。なお、ラス金網とは、ラス網あるいはメタルラスとも称されるものであり、金属板あるいは金属箔に切れ目(ラス目)を入れ、引き伸ばして(エキスパンドして)網目状に加工したものである。織金網と異なり、荒いメッシュでも目開きがずれて変化したりすることはなく、形状が安定した金網が得られる。
また、本発明の有孔性金属箔帯は、膜厚は40〜200μmであることが望ましい。また、有孔性金属箔帯の開孔率は30〜80%であることが望ましい。
本発明により、金属基材にFe−Cr−Al−Laの合金を用い、この基材を箔帯化し、ラス目加工後、エキスパンド加工を施し、ラス網とし、その後、約850℃の熱処理を施し、耐熱性を付加し、白金族触媒を担持し、着火後短時間に安定燃焼の可能な高効率な触媒燃焼バーナーを得ることができる。従来においては、金属基材を930〜950℃で少なくとも4時間、望ましくは8時間以上、熱処理していたが、本発明では、0.03〜0.07%のLaを含有するFe−Cr−Al−Laを金属基材として採用することにより、熱処理温度を850℃に下げることができ、さらに熱処理時間を4時間に短縮することができる。900℃以上の熱処理炉は、発熱体、断熱材が極めて高く、高温炉の築炉費が極めて高価になるのに対し、本発明により、熱処理炉の低温化を図ることにより、炉の低コスト化、熱処理コストの低コスト化が可能となる。さらに、約100℃の低温熱処理により、金属基材の寸法安定性や耐熱劣化が著しく改善できる。
このように、本発明では、基材として、Fe−Cr−Al−La系の低コスト箔帯を使用する。さらに、空間流速(SV値)、線流速(LV値)を大にし、機器を小型化するために有孔性箔帯にパンチングメタルではなく、ラス金網加工箔帯を用いることにより、量産性の向上と低コスト化が図れる。さらに、アルミニウムの添加量を3〜7%とし、ランタンの添加量を0.03〜0.07%とすることにより、熱処理温度の低温化、熱処理時間の短時間化を図り、かつ、箔帯の箔帯化を容易にし、ラス金網加工のラス目の切り込みと切り込み後の延伸加工(エキスパンド加工)を容易にでき、低コスト化が図れる。すなわち、本発明により、フェライト系ステンレスのアルミナ形成温度の低温化、時間短縮化が実現され、さらに、ラス金網加工性が改善される。
したがって、本発明による有孔性金属箔帯は、軽量で薄型の耐熱性および耐久性の高い金属材料であり、本発明による有孔性金属箔帯を使用した触媒燃焼部を有する燃焼装置においては、着火時から安定燃焼に至るまでの燃焼導入時間の短縮化、着火時の未燃焼白煙防止を実現できる。また、本発明による有孔性金属箔帯により、線流速、空間流速を著しく改善させることが可能であり、触媒燃焼バーナーの金属担体として好適である。
以下に、本発明に係わる触媒燃焼器の実施形態を説明する。図1に、本発明の耐熱性基材(Fe−Cr−Al−La)を箔帯化し、貫通孔を有する箔帯に加工する基本工程を示す。先ず、ステップ1で、本発明で用いる基材の組成を調合し、ステップ2でそれらを溶融し、ステップ3で圧延を繰り返し、ステップ4で所定の厚みに圧延して箔帯にする。その後、ステップ5で、箔帯にラス目を入れ、ステップ6でエキスパンドし、延伸させ、編み目状(ラス金網)に加工する。さらに、ステップ7において、約850℃で、4時間、熱処理を施し、金網の表面に耐熱性のアルミナ層を形成させる。さらに、ステップ8で、アルミナ(Al)層の表面に白金族触媒、例えば、例えばPtおよびPdの少なくともいずれかを担持させる。これにより、本発明に係る有孔性金属箔帯15が生成される。そして、ステップ9で、触媒バーナーとして適した形状に加工したり、組み立てることにより、大容量の触媒バーナーを形成することができる。
図2に、本発明の耐熱基材(Fe−Cr−Al−La)をステップ7で熱処理する前後の構造断面図を示す。図2(a)は、Fe−Cr−Al−La基材10であり、熱処理直後は図2(b)に断面で示すように、基材10の表面にAlの表面被覆層12が形成された有孔性金属箔帯15が生成される。さらに、この有孔性金属箔帯15は、経年変化することにより、基材10の表面に図2(c)に示すように、のようにCr−Alの2層構造が形成される。したがって、本発明の有孔性金属箔帯15においては、基材10がCrの第1の被覆層11と、Alの第2の被覆層12に覆われることになり、高耐熱性と、高耐久性を示す金属材料となる。
本発明に係る実験結果を図3ないし図9を参照しながら詳細に述べる。
図3の実験No1〜8は、基材10の厚みを35〜250μmに変化させ、他の条件は一定にして有孔性金属箔帯15を生成し、その特性を検討した結果を示すものである。本発明の有孔性金属箔帯15として適当な基材の厚みを決定する実験であり、図3に示すように、基材厚が35μm以下では、箔帯の腰が無く、また、箔帯化の圧延コストが高く、機械的強度も期待できない。一方、基材厚が250μm以上になると、耐熱および耐久性には特別なメリットは得られず、厚みが増加することによりラス目加工する際の切断性が劣化するだけとなる。したがって、基材の厚み(箔帯の膜厚)としては、40〜200μmが好ましい。
図4の実験No9〜15は、ステップ7の熱処理温度を600〜900℃の間で変化させ、他の条件は一定にして有孔性金属箔帯15を生成し、その特性を検討した結果を示すものである。熱処理時間は、4時間にし一定させている。600℃では、熱処理が稍々不足で、アルミナ層の形成状態が好ましくはないが、実用上は、問題なく使用できた。一方、900℃以上では、熱処理条件が過剰に観え、アルミナ層が形成状態は良好ではあるが、それ以下の温度で形成されたアルミナ層より劣ることがあっても勝ることはないと判断される。したがって、900℃以上の焼成は高コストであることを考慮すると、触媒燃焼バーナーの長寿命の観点などを考慮しても熱処理が過剰であると判断される。このため、ステップ7における最適の熱処理温度は、600〜850℃の範囲である。
図5の実験No16〜20は、開孔率を50〜85%の間で変化させ、他の条件は一定にして有孔性金属箔帯15を生成し、その特性を検討した結果を示すものである。開孔率が50%以下は、LV値が大きくなり、燃焼音が大となり、立ち上がりが遅くなるので好ましくない。また、開孔率が85%以上では、機械的強度、バーナーの高温耐久性、ラス金網の加工歩留まり視点からも好ましくない。従って、本発明では、50〜80%の開孔率が好ましい。
図6の実験No21〜25は、基材10のアルミニウムの含有量を2〜8%の間で変化させ、他の条件は一定にして有孔性金属箔帯15を生成し、その特性を検討した結果を示すものである。アルミニウムの添加量が2%では、ステップ7の熱処理により形成されるAl層12の形成量が不足である。また、アルミニウムの添加量が8%以上では、Al層12の形成量が多く、稍々過剰気味である。したがって、本発明におけるアルミニウムの基材10に対する最適な添加量は、3〜7%の範囲である。
図7の実験No26〜31は、基材10のランタンの含有量を0〜0.09%の間で変化させ、他の条件は一定にして有孔性金属箔帯15を生成し、その特性を検討した結果を示すものである。ランタンの役割は、基材10から熱形成されるアルミナ層12の形成安定剤、そのアルミナ層12の表面に担持させる白金族触媒の高温使用時の熱凝集防止および熱蒸散防止剤、さらに、高温使用時の高温耐蝕防止剤である。ランタンの添加量が0では、基材10の表面に形成されるアルミナ層12が均一でなく、また、0.09%では、逆に、合金化が困難で、基材10が脆弱となるし、また、コスト高となる。したがって、本発明におけるランタンの基材10に対する添加量は、0.02〜0.07%の範囲が適当であり、多孔質のアルミナ層が形成できる。電子顕微鏡写真によると、この範囲の合金に形成されたアルミナ層はひげ状のウィスカーを多量に含んでおり、多孔質のγアルミナ層が形成されていると考えられ、触媒の担体としては最適な酸化物層である。
しかしながら、ランタンの含有量が0.02%であるとアルミナ層の成長速度が遅く、量産化には問題があると考えられる。さらに、熱処理時間が延びることは、αアルミナ層へ転移する可能性も高くなり、本願の目的とする触媒燃焼用の材料としては適していないものになる可能性が高い。他の実験結果より分かるように、ランタンが0.07%程度含んでいる合金には低温で良好な性質のアルミナ層を形成できる。本図に示した実験によると、ランタンの含有量が0.03%および0.05%の合金を用いても、ランタンの含有量が0.07%の合金と同様に良好なアルミナ層を形成できることがわかる。上述したように、ランタンはそれ自体高価であり、含有量は少ないことが望ましく、また、基材の合金化という点でも少ないことが望ましい。したがって、本願の実験結果を元にすると、ランタンの含有量が0.03〜0.05%の範囲が工業生産的に適しており、その範囲であっても熱処理により製造されるアルミナ層は、触媒燃焼用材料として適したものである。
図8の実験No32〜34は、既存の代表的な基材を使用してステップ7の熱処理を行い、その特性を検討した結果を示すものである。
実験No32では、JIS−FCH基材を用いている。JIS−FCH基材は、主に、ニクロム線と比較されるFe−Cr−Alで構成される電熱線基材である。コスト的には、有利で、アルミナ形成も、比較的容易に形成されるが、反面、触媒担持が不均一で、触媒燃焼が安定せず、また、触媒バーナー寿命の観点から課題を有する。このLaを含まない基材に、十分なアルミナ層を形成するためには、950℃で、4時間以上の熱処理が必要である。したがって、本発明の有孔性金属箔帯より、種々の観点から総合的に不利である。
実験No33ではJIS−430基材を用いている。JIS−430基材は、主に、フェライト系ステンレスで、Fe−Crで構成される低価格耐熱性ステンレス基材である。大量生産され、コスト的には有利であるが、アルミナ形成がなく、石油ストーブ用チムニー基材としては、重要であったが、アルミナの形成がないため触媒担持ができない。無理に担持すると高温腐食が促進し、触媒バーナー基材としては種々の課題を有し、実用的でない。また、耐熱性の熱処理は、通常930℃で、4時間必要であるが、アルミナ層が形成できないことは上述した通りである。
実験No34では、JIS−310基材を用いている。JIS−310基材は、SUS−304ステンレスが、18(Cr)−8(Ni)に対して、25(Cr)−20(Ni)の高級耐熱性オーステナイト系ステンレス基材である。大量生産され、高温耐熱強度を有し、コスト的には有利であるが、基材表面に高温でのアルミナ形成がなく、高温での表面腐食が激しく、触媒担持が困難で、また、箔体化が極めて難しく、触媒バーナーに不適な材料である。
図9の実験No41〜44は、本発明の有孔性金属箔帯15と、図8に示した既存の代表的な基材を使用して触媒バーナーを形成し、その燃焼試験結果を示すものである。本発明の有孔性金属箔帯15としては、図3の実験No5により生成された有孔性金属箔帯15を採用している。
燃焼試験に用いた触媒バーナーは、触媒燃焼部の直径が300mmφ、開口率が80%であり、白金族触媒として、Pt:Pd=4:1を有孔性金属箔帯15のアルミナ層12の表面に触媒担持させ、発熱量が10,000Kcal/hの条件で、触媒燃焼試験を行った。
20℃の室温で、着火後、30秒の間に、未燃焼ガスが再液化し、白煙を出す程度を初期白煙状態として表現している。本発明に係る実験No41の例では、着火後、数秒間しか白煙が出ず、灯油臭も出ず、白煙状態は、ほとんど気にならない。これに対し、実験No42〜44においては、着火後、20〜30秒程度は白煙が出力され、臭気も大きい。
発熱量は、10,000Kcal/hに設定し、触媒燃焼を行うことを目標とした。本発明にかかる実験No41では、所定の発熱量で触媒燃焼を順調に継続し、1000時間経過した後であっても特に問題は発生しなかった。しかしながら、従来の基材を使用した実験No42では、初期のみ燃焼状態は比較的良いが、触媒の寿命の観点で、触媒の熱劣化が大きく、発熱量を低下して燃焼を継続せざるを得なかった。したがって、10,000Kcal/hの工業用触媒バーナーとしての実用化は困難である。
さらに、従来の基材を用いた実験No43およびNo44では、基材表面のアルミナの形成が無いため触媒の担持が充分でなく、触媒燃焼を継続することさえできず、バーナー基材として、不適当である。
以上に示した実験結果より、本発明の有孔性金属箔帯の実用上の効果として、触媒バーナー用耐熱性材料として用いた場合、従来の耐熱基材が通常930〜950℃で、4時間の熱処理により形成されていたのに対し、本発明では、850℃で、4時間で均一なアルミナ耐熱性被覆層が形成でき、かつ、その表面に白金族の触媒燃焼用触媒の分散担持が容易で、かつ、その触媒寿命が長いことが判明した。したがって、触媒バーナーの長期信頼性の観点から、本発明に係る有孔性金属箔帯は極めて重要である。
さらに詳しく説明すると、本発明に係る有孔性金属箔帯においては、従来例のSUS−430、SUS−310の耐熱性ステンレスよりも低温度の耐熱性のアルミナの形成が可能であり、箔帯化が容易で、従来例ではパンチング箔帯を用いていたが、本発明では、ラス金網状が使用可能なため、基材のコストの低減化が可能であるとともに、熱処理温度の低下による寸歩精度の改善と低温化による低コスト化が可能になるなど経済的効果は極めて大である。
さらに、従来例のJIS−FCH基材は、Fe−Cr−Al系で、基材の構成成分的には、本発明の基材と類似であるが、FCH基材は、電熱線用の発熱体基材として、生産されているため、触媒担持を意図していない。このため表面アルミナの状態が異なり、触媒担持は、困難である。また、熱処理温度が高温である。基材的に線引きは可能であるが、箔帯化は、困難である。
したがって、本発明に係る有孔性金属箔帯は、箔帯化が容易で、かつ、ラス目加工とそのエキスパンドによるラス網化への加工も容易で、量産性、基材の低コスト化にも優れている。また、10,000Kcal/hの大型の触媒燃焼バーナーにも最適である。
図10に、有孔性金属箔帯10を有する触媒燃焼バーナー20を搭載した給湯器1の概要を示してある。この給湯器1は、ハウジング2の内部に、通水70を加温する熱交換器3と、その下方に位置する触媒燃焼バーナー(触媒バーナー)20とを備えている。触媒燃焼バーナー20は、ラス金網状の有孔性金属帯10にPt等の触媒が担持された触媒ユニット21を備えており、触媒ユニット21により燃料と空気の混合気体が触媒燃焼され、その熱により熱交換機3の水70が加熱される。したがって、触媒燃焼を利用した安全でクリーンな熱効率の高い給湯器1となる。
本発明は、給湯器に限らず、暖房機、瞬間湯沸かし器、熱処理炉、脱臭、自動車排ガス処理、燃料電池など多種多様な燃焼装置に適用でき、本発明の工業的な価値が非常に大きなものである。
本発明の有孔性金属箔帯を製造する過程を示す図である。 本発明の有孔性金属箔帯の断面構造を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯の基材の厚みを変えた実験結果を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯の熱処理温度を変えた実験結果を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯の開口率を変えた実験結果を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯のAl含有率を変えた実験結果を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯のLa含有率を変えた実験結果を示す図である。 従来の基材を用いた実験結果を示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯を用いた触媒バーナーの燃焼試験の結果を従来の基材を用いた例と比較して示す図である。 本発明に係る有孔性金属箔帯を用いた触媒バーナーを搭載した給湯装置の一部を模式的に示す図である。
符号の説明
1 給湯器
10 箔帯基材
11 Cr表面被覆層
12 Al表面被覆層
15 有孔性金属箔帯
20 触媒燃焼バーナー、21 触媒ユニット

Claims (14)

  1. 3〜7%のアルミニウムを含有するFe−Cr基合金製で、多数の貫通孔を有する触媒燃焼用の有孔性金属箔帯。
  2. 請求項1において、さらに、0.02〜0.07%のランタンを含有している有孔性金属箔帯。
  3. 請求項1において、さらに、0.03〜0.05%のランタンを含有している有孔性金属箔帯。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、ラス金網状である、有孔性金属箔帯。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、膜厚が40〜200μmである、有孔性金属箔帯。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、開孔率が30〜80%である、有孔性金属箔帯。
  7. 請求項2において、600〜850℃で熱処理され、表面にAlの被覆層が形成されている、有孔性金属箔帯。
  8. 請求項2または3において、熱処理され、表面に下から順番にCrの被覆層と、Alの被覆層が形成されている、有孔性金属箔帯。
  9. 請求項7または8において、前記Alの被覆層の表面に白金族触媒が担持されている、有孔性金属箔帯。
  10. 請求項9において、前記白金族触媒は、PtおよびPdの少なくともいずれかを含んでいる、有孔性金属箔帯。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の有孔性金属箔帯を用いて触媒燃焼を行う燃焼部を有する燃焼装置。
  12. 請求項11において、当該燃焼装置は、暖房用、瞬間湯沸かし用、給湯用または熱処理炉用である燃焼装置。
  13. 3〜7%のアルミニウムと、0.02〜0.07%のランタンを含有するFe−Cr基合金により多数の貫通孔を有する有孔性金属箔帯を形成する工程と、
    前記有孔性金属箔帯を、600〜850℃で熱処理して、表面にAlの被覆層を形成する工程とを有する、触媒燃焼用の有孔性金属箔帯の製造方法。
  14. 請求項13において、前記有孔性金属箔帯を形成する工程において、
    前記Fe−Cr基合金は、0.03〜0.05%のランタンを含有していることを特徴とする、触媒燃焼用の有孔性金属箔帯の製造方法。
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