以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態における空気調節装置について説明する。図1は、第1の発明の実施の形態の1つにおける空気調節装置の外観を示す図である。図1(A)は正面図であり、図1(B)は平面図である。図1を参照して、空気調節装置100は、本体110の前面に前面パネル101を有する。前面パネル101は、空気を取入れるために本体110の前方に所定の間隔を設けて取付けられている。また、前面パネル101は、その中央部分に外部から本体110の内部に空気を取入れるための開口部を有する。
前面パネル101の開口部後方には、中央パネル102が本体110に取りつけられている。このため、前面パネル101および中央パネル102により視界が遮られるため、前方から本体内部を視認することはできない。前面パネル101の上方には、表示部103が設けられている。なお、この表示部103の一部は、中央パネル102の上方部分も含む。
本体110の上面には上面パネル104が設けられる。上面パネル104は、電源スイッチ106を有する。また、上面パネル104は、その中央部分に清浄した空気を排出するための排出口105を有する。
空気調節装置100は、前面パネル101の後方で、本体110の内部に温度センサ151と、湿度センサ152と、ホコリセンサ153と、ニオイセンサ154とを備える。
図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図中の矢印は、空気の流れを示す。図2を参照して、空気調節装置100は、本体110の内部に温度センサ151と、湿度センサ152と、ホコリセンサ153と、ニオイセンサ154とを備える。前面パネル101は、本体110と空気を取入れるための隙間をあけて本体110に取りつけられる。この隙間が空気取入口である。また、前面パネル101の中央部分の開口部後方に、中央パネル102が本体110に取りつけられる。この開口部もまた室内の空気を本体110内部に取入れるための空気取入口である。
また、上面パネル104の下方で、本体110の内部にイオン発生装置10を備える。さらに、図示はしないが、空気取入口と排出口105との間に空気を清浄するための空気清浄フィルタと、空気を流動させるためのファンモータおよびファンを備えている。
空気調節装置100は、内臓のファンモータを駆動することによりファンを回転させ、空気の流れを発生させる。この空気の流れは、空気取入口から排出口105に向かう方向である。これにより、空気取入口から本体110内部に空気が侵入し、温度センサ151、湿度センサ152、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154に運ばれる。さらに、脱臭フィルタを通過して排出口105に向かい、排出口105から室内に送り出される。脱臭フィルタから排出口105に向かう間に、イオン発生装置10が設けられているので、イオン発生装置10近傍を空気が流れる際に、その空気がイオン化される。したがって、排出口105から吹出される空気には、イオンが含まれることになる。
本実施の形態における空気調節装置100は、温度センサ151、湿度センサ152、ホコリセンサ153、ニオイセンサ154が空気取入口の近傍に配置されるため、室内の温度および湿度、ホコリの量およびニオイの量とを、正確に検出することができる。
なお、温度センサ151、湿度センサ152、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の取付け位置は、これに限定されることなく、空気調節装置100で空気を取入れる口付近に設置されるのであれば、その位置は限定されない。
図3は、第1の実施の形態における空気調節装置の表示部を示す図である。図3を参照して、表示部103は、空気調節装置100を遠隔操作するためのリモートコントローラからの赤外線を受光するための受光部111と、空気調節装置100が備える脱臭フィルタの洗浄が必要な時期をユーザに報知するための脱臭フィルタ洗浄ランプ112と、空気調節装置100の運転モードが予測浄化モードにあるか否かを示すための予測浄化中ランプ113と、室内の空気の汚れ度を示すクリーンサインランプ114と、イオン発生装置10の駆動モードを示すクラスタイオンランプ115と、空気調節装置100の運転モードを示すための自動ランプ116、お急ぎランプ117および花粉ランプ118と、運転モードが手動モードにある場合のファンモータの駆動状態を示す3つの手動状態ランプ119と、切タイマの設定時間を示す切タイマ時間ランプ120とを含む。
脱臭フィルタ洗浄ランプ112は、空気調節装置100の稼働時間の積算値が、予め定められた脱臭フィルタ洗浄時間を超えているときに点灯し、そうでないときは消灯する。これにより、空気調節装置100が備える脱臭フィルタを洗浄するタイミングを、ユーザに知らせることができる。
空気調節装置100の運転モードには、自動モード、お急ぎモード、花粉モード、手動モードがある。自動運転モードとは、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力により定まる汚れ度に応じてファンモータの風量およびイオン発生装置10のイオン発生量を自動的に制御する運転モードである。空気調節装置100がこの自動運転モードにある場合には、自動ランプ116が点灯する。お急ぎモードとは、ファンモータおよびイオン発生装置10が最大の出力で駆動されるモードをいう。空気調節装置100がお急ぎモードにあるときは、お急ぎランプ117が点灯する。花粉モードとは、ファンモータおよびイオン発生装置が花粉を除去するのに適した出力で駆動されるモードである。花粉を除去するのに適したファンモータおよびイオン発生装置10の出力は、予め定められて記憶されている。空気調節装置100がこの花粉モードにある場合には、花粉ランプ118が点灯する。手動モードは、ファンモータおよびイオン発生装置10がユーザにより指定された出力で駆動されるモードをいう。空気調節装置100が、手動モードにある場合には、ファンモータの駆動状態は、ユーザにより指定された出力に応じて静音、標準、急速の3つの手動状態ランプ119のいずれかが点灯する。イオン発生装置10については、ユーザにより指定された出力に応じてクラスタイオンランプ115が後述する色で点灯する。
切タイマ時間ランプ120は、ユーザにより指定されたタイマの時間を表示するためのランプであり、3つの切タイマ時間ランプ120のいずれかが点灯する。
クリーンサインランプ114は、室内の空気の汚れ度を示す。汚れ度は、本実施の形態においては3レベル設定されており、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力により定まる。クリーンサインランプ114は、この汚れ度に応じてそれぞれ緑、橙、赤の3色を表示する。クリーンサインランプ114は、最も汚れていない汚れ度「0」に対して緑色で点灯し、中程度の汚れを示す汚れ度「1」に対して橙で点灯し、最も汚れがひどい汚れ度「2」に対して赤色で点灯する。
クラスタイオンランプ115は、イオン発生装置10の駆動モードを示すためのランプである。イオン発生装置10の駆動モードには、イオンコントロールモードと、クリーンモードとがある。イオンコントロールモードとは、イオン発生装置10から負イオンを正イオンよりも多く発生させるモード、または、負イオンのみを発生させるモードをいう。クリーンモードとは、イオン発生装置10からほぼ同程度の量の正負イオンを発生させるモードをいう。クラスタイオンランプ115は、イオン発生装置10がイオンコントロールモードにあるときは緑色で点灯し、クリーンモードにあるときは青色で点灯する。イオン発生装置10が駆動していない場合には、クラスタイオンランプ115は消灯する。
また、空気調節装置100の運転モードには予測浄化モードがある。予測浄化モードは、室内の温度と湿度が所定の状態にあるときの運転モードをいう。所定の状態とは、温度が25℃以上でかつ湿度が70%以上の第1の状態、または、温度が18℃以下でかつ湿度が40%以下の第2の状態をいう。予測浄化中ランプ113は、空気調節装置100が予測浄化モードにあるか否か、換言すれば、室内の空気の状態が所定の状態にあるか否かを表示するためのランプである。予測浄化中ランプ113は、空気調節装置100が予測浄化モードにあるときは点灯し、そうでないときは消灯する。
空気調節装置100が、予測浄化モードにあるときは、イオン発生装置10は、クリーンモードで駆動されるが、予測浄化モードにないときと比較して正負イオンの発生量が多くなる。予測浄化モードにないときは、通常状態である。すなわち、イオン発生装置10は、予測浄化モードにあるときは、通常状態よりも多くの量のイオンを発生するように駆動制御される。これについては、後で詳しく説明する。
図4は、第1の実施の形態における空気調節装置100の運転モードと表示部103の表示内容との関係を示す図である。図4を参照して、予測浄化中ランプが消灯している場合には、クリーンサインランプ114は、汚れ度に応じて、緑色、橙色、赤色のいずれかの表示となる。空気調節装置100の電源スイッチ106がオンにされてから、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力が安定するまでに所定の時間を要する。この電源が投入されてからホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力が安定するまでの間は、汚れ度が定まらない。したがって、この間は、クリーンサインランプ114は、緑色、橙色、赤色それぞれの色で1秒間順に点灯する。したがって、ユーザは、このクリーンサインランプ114が、色を変えて点灯していることを見れば、未だ汚れ度が検出されていないことを知ることができる。
汚れ度が「0」の場合には、イオン発生装置10はイオンコントロールモードで駆動されるる。したがってこの場合には、クラスタイオンランプ115は、緑色に点灯する。また、汚れ度が「1」または「2」の場合には、イオン発生装置10はクリーンモードで駆動される。この場合には、クラスタイオンランプ115は青色で点灯する。また、汚れ度が算出されるまでの所定の時間においては、イオン発生装置はクリーンモードで駆動され、その間クラスタイオンランプ115は青色で点灯する。
予測浄化中ランプ113が点灯している場合には、クリーンサインランプ114は、予測浄化中ランプ113が消灯している場合と同様に、汚れ度に応じて点灯する。一方、イオン発生装置10は予測浄化モードにある場合には、クリーンモードで駆動される。また、このクリーンモードにおいては、イオン発生装置が発生する正負イオンは、予測浄化モードにない場合に発生する正負イオンよりも多くの量の正負イオンを発生するように駆動される。この場合であっても、クラスタイオンランプ115は青色で点灯する。したがって、クラスタイオンランプ115が青色で点灯し、かつ、予測浄化中ランプ113が点灯している場合には、イオン発生装置10の運転モードはクリーンモードであり、かつそのクリーンモードにおいて、イオン発生装置10は予測浄化モードにない場合に比較して正負イオンを多く発生することになる。
図5は、第1の実施の形態における空気調節装置100のリモートコントローラ130の平面図である。リモートコントローラ130は、空気調節装置100の電源のオンオフを切換えるための電源スイッチ106Aと、脱臭フィルタを洗浄した後に運転積算時間をリセットするためのフィルタリセットボタン129と、空気調節装置100の運転モードを自動モードに指定するための自動ボタン116Aと、手動モードに切換えファンモータの風量を指定するための風量ボタン119Aと、花粉モードに設定するための花粉ボタン118Aと、切タイマ時間を設定するための切タイマボタン122Aと、毎日モードに設定するための毎日モードボタン121と、お休み自動モードに設定するためのお休み自動ボタン122と、お急ぎモードに設定するためのお急ぎボタン123と、表示部103の表示のオンオフを切換えるための表示切換スイッチ124と、イオン発生装置10の駆動モードを手動で設定するための設定ボタン125〜128とを備える。
リモートコントローラ130は、押下されたスイッチに応じた赤外光の信号を出力する。空気調節装置100でその赤外光の信号が受光部111で受光されると、受光した赤外光の信号に応じて駆動する。
なお、第1の実施の形態においては、赤外光を利用したリモートコントローラ130を例に説明するが、リモートコントローラ130と空気調節装置100との間の通信は、赤外光を用いるものに限られず、たとえば、電磁波、音波などを用いることができ、無線により通信を行なうことができるものであれば、赤外光に限られるものではない。
自動ボタン116Aが押下されると、空気調節装置100は、運転モードを自動モードに設定して駆動する。風量ボタン119Aが押下されると、空気調節装置100は、風量ボタン119Aが押下される毎にファンモータの回転数を、静音、標準、急速の順に風量を変更する。花粉ボタン118Aが押下されると、空気調節装置100は、運転モードを花粉モードに設定して運転する。切タイマボタン122Aが押下されるごとに、切タイマ時間が1、4、8時間の順に切タイマ時間が設定される。
毎日モードボタン121が押下されると、空気調節装置100は、運転モードを毎日モードにして運転する。お休み自動ボタン122が押下されると、空気調節装置100は、ファンモータの回転数を静音モードにして回転する。
お急ぎボタン123が押下されると、空気調節装置100は、運転モードをお急ぎモードにして運転する。
設定ボタン125〜128のいずれかが押下されると、イオン発生装置10の駆動モードが切換えられる。設定ボタン126が押下されると、イオン発生装置10に印加される電圧が停止され、イオン発生装置10の駆動が停止される。空気調節装置100では、クラスタイオンランプ115を消灯する。設定ボタン125が押下されると、イオン発生装置10がクリーンモードで駆動される。空気調節装置100では、クラスタイオンランプ115を青色に点灯する。
設定ボタン127が押下されると、空気調節装置100では、イオン発生装置10をイオンコントロールモードで駆動し、クラスタイオンランプ115を緑色で点灯する。
設定ボタン128が押下されると、空気調節装置100は、イオン発生装置10を自動モードで駆動する。この自動モードは、温度センサ151、湿度センサ152、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力に基づき定められる。この自動モードにおけるイオン発生装置10の駆動状態の制御については後で詳しく説明する。
図6は、第1の実施の形態における空気調節装置100の回路ブロック図である。図6を参照して、イオン発生装置10は、イオン発生装置10の全体を制御するための制御部150と、制御部150にそれぞれ接続され、温度を検出するための温度センサ151と、湿度を検出するための湿度センサ152と、埃を検出するためのホコリセンサ153と、臭いを検出するためのニオイセンサ154と、温度を設定するための温度設定手段155と、湿度を設定するための湿度設定手段156と、イオン発生装置10に電圧を印加するための電圧駆動回路20とを含む。また、イオン発生装置10は、電圧駆動回路20に接続されている。
上述したように、空気調節装置100は、運転モードに予測浄化モードがあった。この予測浄化モードは、室内の温度と湿度が所定の状態にあるときに設定される運転モードであった。温度設定手段155および湿度設定手段156は、この所定の状態を判断するためのしきい値を設定するための手段である。この温度設定手段155および湿度設定手段156は、本体110の内部に設けられたボタンスイッチ、あるいはスライドスイッチであり、温度と湿度とを設定するものである。また、リモートコントローラ130に温度設定手段155および湿度設定手段156を設けるようにし、設定された温度と湿度とをリモートコントローラ130から空気調節装置100に送信するようにしてもよい。
図7は、第1の実施の形態におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。図7(A)は、イオン発生装置10の概略の構成を示す平面図であり、図7(B)は、イオン発生装置10の側面図である。イオン発生装置10は、誘電体11と、放電電極12aと、誘導電極12bと、コーティング層13とを備える。放電電極12aと誘導電極12bとに電圧が印加されると、放電電極12aと誘導電極12bとの間で生じる放電により、正負両イオンまたは負イオンを発生させる。
誘電体11は、上部誘電体11aと下部誘電体11bとを張り合わせた平板状で構成されている。放電電極12aは、上部誘電体11aの表面に上部誘電体11aと一体的に形成されている。誘導電極12bは、上部誘電体11aと下部誘電体11bとの間に形成され、放電電極12aと対向して配置される。放電電極12aと誘導電極12bとの間の絶縁抵抗は、均一であることが望ましく、放電電極12aと誘導電極12bとは平行であることが望ましい。
イオン発生装置10において、放電電極12aと誘導電極12bとを上部誘電体11aの表裏面に対向して配置することにより、放電電極12aと誘導電極12bとの間の距離を一定とすることができる。このため、放電電極12aと誘導電極12bとの間の放電状態が安定し、正負両イオンまたは負イオンを好適に発生することが可能となる。
放電電極接点12eは、放電電極12aと同一形成面に設けられた接続端子12cを介して、放電電極12aと導通する接点である。導通可能なリード線の一端を放電電極接点12eに接続し、他端を電圧印加回路20と接続することにより、放電電極12aと電圧印加回路20とを導通させることができる。誘導電極接点12fは、誘導電極12bと同一形成面に設けられた接続端子12dを介して、誘導電極12bと導通する接点である。銅線からなるリード線の一端を誘導電極接点12fに接続し、他端を電圧印加回路20と接続することにより、誘導電極12bと電圧印加回路20とを導通させることができる。
図8は、第1の実施の形態における電圧印加回路20の回路図である。図8を参照して、電圧印加回路20は、交流電源201と、スイッチングトランス202と、切換リレー203と、抵抗204と、ダイオード205a〜205dと、コンデンサ206と、サイダック(登録商標)207とを含む。サイダック(登録商標)207は、シリコン制御整流素子SCR(Silicon Control Rectifier)の一種であり、新電元工業株式会社の製品である。
交流電源201の一端は、ダイオード205aのアノードとダイオード205cのカソードに各々接続されており、他端は切換リレー203の共通端子203aに接続されている。ダイオード205aのカソードは、抵抗204の一端とダイオード205dのカソードに各々接続されている。抵抗204の他端は、トランス202の1次コイルL1の一端とコンデンサ206の一端にそれぞれ接続されている。1次コイルL1の他端は、サイダック(登録商標)207のアノードに接続されている。コンデンサ206の他端とサイダック(登録商標)207のカソードは互いに接続されており、その接続ノードは、切換リレー203の一選択端子203bと、ダイオード205b、205cの各アノードとにそれぞれ接続されている。ダイオード205bのカソードとダイオード205dのアノードは互いに接続されており、その接続ノードは切換リレー203の他選択端子203cに接続されている。トランス202の2次コイルL2の一端は、イオン発生装置10の放電電極接点12eに接続されている。2次コイルL2の他端は、リレー208の共通端子208aに接続されている。リレー208の一方の選択端子203cはダイオード209のアノードに接続されており、ダイオード209のカソードは誘電電極接点12fに接続されている。イオン発生装置10の誘電電極接点12fは、リレー208の他方の選択端子208bと、ダイオード209のアノードとに接続されている。
このように構成してなる電圧印加回路20は、空気調節装置100が予測浄化モードでなく、かつ、イオン発生装置10の駆動モードがクリーンモードにあるとき、切換リレー203は選択端子203bが選択され、切換リレー208は選択端子208bが選択される。
このとき、交流電源201の出力電圧は、ダイオード205aで半波整流された後、抵抗204で電圧降下され、コンデンサ206に印加される。コンデンサ206の充電が進んで両端電圧が所定しきい値に達すると、サイダック(登録商標)207がオン状態となり、コンデンサ206の充電電圧が放電される。したがって、トランス202の1次コイルL1に電流が流れて2次コイルL2にエネルギが伝達され、イオン発生装置10にパルス電圧が印加される。その直後、サイダック(登録商標)207はオフ状態となり、再びコンデンサ206の充電が開始される。
上記の充放電を繰返すことによって、イオン発生装置10の放電電極12aと誘導電極12bとの間には、図9(A)の交流インパルス電圧(たとえばpp(Peak-to-Peak)値:3.5[kV]、放電回数:120[回/秒])が印加される。このとき、イオン発生装置10の近傍ではコロナ放電が生じて周辺の空気がイオン化され、正電圧印加時はプラスイオンであるH+(H2O)mが発生し、負電圧印加時はマイナスイオンであるO2 -(H2O)n(m、nは0または任意の自然数)が発生する。より具体的に説明すると、イオン発生装置10の放電電極12aと誘導電極12bとの間に交流電圧を印加することにより、空気中の酸素ないしは水分が電離によりエネルギを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは0または任意の自然数)とO2 -(H2O)n(nは0または任意の自然数)を主体としたイオンを生成する。これらH+(H2O)mおよびO2 -(H2O)nは、ファン等により空間に放出され、浮遊細菌の表面に付着し、化学反応して活性種であるH2O2または・OHを生成する。H2O2または・OHは、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで不活化することができる。ここで、・OHは活性種の一種であり、ラジカルのOHを示している。
正負のイオンは浮遊最近の細胞表面で式(1)〜式(3)に示すように化学反応して、活性種である過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)を生成する。ここで、式(1)〜式(3)において、m、m′、n、n′は0または任意の自然数である。
これにより、活性種の分解作用によって浮遊細菌が破棄される。したがって、効率的に空気中の浮遊細菌を不活化、除去することができる。
H3O+(H2O)m+O2 -(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n+1)H2O ・・・(1)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m'+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n'→2・OH+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(2)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m'+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n'→H2O2+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(3)
以上のメカニズムにより、上記正負イオンの放出により、浮遊細菌等の不活化効果を得ることができる。
また、上記式(1)〜式(3)は、空気中の有害物質表面でも同様の作用を生じさせることができるため、活性種である過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)が、有害物質を酸化もしくは分解してホルムアルデヒドやアンモニアなどの化学物質を二酸化炭素、水、窒素などの無害な物質に変換することにより、実質的に無害化することが可能である。
したがって、送風ファンを駆動することにより、イオン発生装置10によって発生させた正イオンと負イオンを本体外に送り出すことができる。そして、これらの正イオンと負イオンの作用により空気中のカビや菌を不活化し、その増殖を抑制することができる。
その他、正イオンと負イオンには、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、などのウイルス類も不活化する働きがあり、これらウイルスの混入による汚染が防止できる。また正イオンと負イオンには、臭いのもととなる分子を分解する働きがあることも確かめられており、空間の脱臭にも利用できる。
また、図示しないファンからイオン発生装置10に向けて風を送り、約25cm離れたところのイオンカウンタに到着したプラスイオンおよびマイナスイオンの量をそれぞれ計測した結果、イオンカウンタでは、プラスイオンとマイナスイオンが約30(万個/cc)ずつ計測された。
一方、空気調節装置100が予測浄化モードにある場合には、イオン発生装置10の駆動モードは必ずクリーンモードとなる。このとき、切換リレー203は選択端子203cが選択され、切換リレー208は選択端子208bが選択される。
これにより、交流電源201の出力電圧は、ダイオード205a〜205dからなるダイオードブリッジで全波整流された後、抵抗204で電圧降下され、コンデンサ206に印加される。したがって、イオン発生装置10の放電電極12aと誘導電極12bとの間には、図9(B)に示すように、予測浄化モードにない時よりも放電頻度の高い交流インパルス電圧(たとえばpp値:3.5[kV]、放電回数:240[回/秒])が印加される。
このとき、前述の条件でイオン量を計測した結果、イオンカウンタでは、プラスイオンとマイナスイオンが約50万個/ccずつ計測された。すなわち、予測浄化モードにない時と比べて約1.7倍のイオン量が計測された。
なお、切換リレー203に代えて、ダイオード205bのカソードとダイオード205dのアノードとの接続ノードを交流電源201の他端に接続するとともに、ダイオード205cまたはダイオード205dのアノードまたはカソードに開閉スイッチを直列接続し、該開閉スイッチを駆動モードに応じて制御する構成としても、上記と同様の動作を実現することが可能である。
さらに、イオン発生装置10がイオンコントロールモードにある場合には、切換リレー203は選択端子203bが選択され、切換リレー208は選択端子208cが選択される。
これにより、ダイオード209により半波整流されることにより、イオン発生装置10には、図9(A)に示した電圧印加パルスのうち、負電圧のパルスのみが印加されることになる。その結果、イオン発生装置10の近傍ではコロナ放電が生じて周辺の空気がイオン化されるが、負電圧のみが印加されるため、マイナスイオンであるO2 -(H2O)nが発生する。
<電圧印加回路の第1の変形例>
図10は、電圧印加回路の変形例の回路図を示す図である。図10を参照して、図8に示した電圧印加回路20と異なるところは、交流電源201とスイッチングトランス202の1次コイルL1との間の回路が異なる。その他の回路は同一であるのでここでは説明を繰返さない。交流電源201の一端は、抵抗214の一端と接続されており、抵抗214の他端はダイオード215のアノードと接続されている。交流電源201の他端は、サイダック(登録商標)207のカソードと、コンデンサ106aの一端と、スイッチ213の一端に接続されている。ダイオード215のカソードは、コンデンサ206a,206b、および1次コイルL1の一端と接続されている。コンデンサ206bの他端は、スイッチ213の他端と接続されている。
このように構成してなる変形された電圧印加回路20aは、空気調節装置100が予測浄化モードでない場合は、リレー213が閉じる。交流電源201の出力電圧は、ダイオード215で半波整流された後、コンデンサ206aおよび206bに印加される。コンデンサ206aおよび206bの充電が進んで両端電圧が所定しきい値に達すると、サイダック(登録商標)207がオン状態となり、コンデンサ206aおよび206bの充電電圧が放電される。したがって、トランス202の1次コイルL1に電流が流れて2次コイルL2にエネルギが伝達され、イオン発生装置10にパルス電圧が印加される。その直後、サイダック(登録商標)207はオフ状態となり、再びコンデンサ206aおよび206bの充電が開始される。
一方、空気調節装置100が予測浄化モードにある場合は、リレー213が開く。交流電源201の出力電圧は、ダイオード215で半波整流された後、コンデンサ206aのみに印加される。コンデンサ206aの充電が進んで両端電圧が所定しきい値に達すると、サイダック(登録商標)207がオン状態となり、コンデンサ206a充電電圧が放電される。したがって、トランス202の1次コイルL1に電流が流れて2次コイルL2にエネルギが伝達され、イオン発生装置10にパルス電圧が印加される。その直後、サイダック(登録商標)207はオフ状態となり、再びコンデンサ206aの充電が開始される。
スイッチ213が開いている場合には、閉じている場合に比べてサイダック(登録商標)207に印加される電圧が早くしきい値に達する。このため、スイッチ213が開いた場合の方が、閉じた場合に比べて、イオン発生装置10に印加する電圧パルスの放電頻度が高くなる。イオン発生装置10に印加されるパルスの放電頻度が高いほど、発生するイオン量が多くなるため、スイッチ213を切換えるだけで、イオン発生装置10から発生するイオンの量を切換えることができる。
図11は、変形された電圧印加回路20aから出力される電圧波形を示す図である。図11(A)は、スイッチ213が閉じた場合における波形を示し、ダイオード215で半波整流された電圧波形と、イオン発生装置10に印加される電圧パルス波形を示している。図11(B)は、スイッチ213が開いた場合における半波整流された電圧波形とイオン発生装置10に印加される電圧パルスの波形を示している。
なお、上述した電圧印加回路20では、スイッチ203を切換えることにより、半波整流と全波整流とを切換えるようにした。変形された電圧印加回路20aにおいては、半波整流のみを用いるものを説明したが、全波整流と半波整流との切換を組合せるようにしてもよい。この場合には、イオン発生装置10に放電頻度の低い電圧パルスを印加する場合には、半波整流された電圧とスイッチ213を閉じた状態にすればよく、放電頻度の高い電圧パルスを印加する場合には、全波整流を用いてスイッチ213を開いた状態にすればよい。
<イオン発生装置および電圧印加回路の第2の変形例>
図12は、第1の実施の形態におけるイオン発生装置の変形例を示す図である。図12を参照して、変形例におけるイオン発生装置10Aは、上述したイオン発生装置10と異なるところは、放電電極21aと誘導電極21bとからなる第1放電部21と、放電電極22aと誘導電極22bとを有する第2放電部22とを有することである。すなわち、変形されたイオン発生装置10Aでは、2つの放電部21,22を有する点が異なる。
変形されたイオン発生装置10Aは、下部誘電体11bの表面に誘導電極21bおよび22bとが形成される。また、上部誘電体11aの表面に放電電極21aと放電電極22aとが形成される。上部誘電体11aの表面は、コーティング層13で覆われている。また、上部誘電体11aは、下部誘電体11bの誘導電極21b,22bが形成された面に積層される。また、第1放電部21の放電電極21aと誘導電極21bとは対向する位置に配置され、第2放電部の放電電極22aと誘導電極22bとは対向する位置に配置される。
第1放電部において、放電電極21aの接続端子21eは、放電電極接点21eと接続される。放電電極接点21eは、リード線で電圧印加回路20Bと接続される。また、誘導電極21bの接続端子21dは、誘導電極接点21fと接続されており、誘導電極接点21fは電圧印加回路20Bとリード線で接続されている。
同様にして、第2放電部22においては、放電電極22aの接続端子22cは、放電電極接点22eと接続されており、放電電極接点22eは、電圧印加回路20Bとリード線で接続されている。誘導電極22bの接続端子22dは、誘導電極接点22fと接続されており、誘導電極接点22fは電圧印加回路20Bとリード線で接続されている。
図13は、変形されたイオン発生装置10Aに接続される電圧印加回路20Bの回路図である。図13を参照して、電圧印加回路20Bは、交流電源201とトランス222と、切換リレー233と、抵抗224,225と、ダイオード226〜230と、コンデンサ231a,231bと、サイダック(登録商標)232とを含む。
交流電源201の一端は、抵抗224を介して、ダイオード226のアノードに接続されている。ダイオード226のカソードは、トランス222の1次側を構成する第1コイル222aの一端と、ダイオード227のアノードと、サイダック(登録商標)232のアノードにそれぞれ接続されている。第1コイル222aの他端とダイオード227のカソードは互いに接続されており、その接続ノードはコンデンサ231aおよび231bそれぞれの一端に接続されている。サイダック(登録商標)232のカソードと、コンデンサ231aの他端と、スイッチ233の一端233aとは互いに接続されており、その接続ノードは交流電源201の他端に接続されている。スイッチ233の他端233bは、コンデンサ231bの他端と接続されている。
トランス222の2次側を構成する第2コイル222bの一端は、第1放電部21の放電電極接点21eに接続されており、第2コイル222bの他端は、第1放電部21の誘導電極接点21fと、ダイオード229のカソードと、ダイオード230のアノードにそれぞれ接続されている。ダイオード229のアノードは、切換リレー223の一方の選択端子223aに接続されており、ダイオード230のカソードは、切換リレー223の他方の選択端子223bに接続されている。トランス222の2次側を構成する第3コイル222cの一端は、第2放電部22の放電電極接点22eに接続されており、第3コイル222cの他端は、第2放電部22の誘導電極接点22fと、ダイオード228のアノードにそれぞれ接続されている。切換リレー223の共通端子223cとダイオード228のカソードが互いに接続されており、その接続ノードは、抵抗225を介して、交流電源201の他端に接続されている。
このように構成してなる電圧印加回路20Bにおいて、空気調節装置100が予測浄化モードでなく、かつ、イオン発生装置10の駆動モードがクリーンモードにあるとき、スイッチ233は閉じられ、切換リレー223は選択端子223aが選択される。この場合、第1放電部21の放電電極21aと誘導電極21bとの間には、正の直流インパルス電圧が印加され、第2放電部22の放電電極22aと誘導電極接点22bとの間には、負の直流インパルス電圧が印加される。このような電圧を印加することによって、第1放電部21と第2放電部22との近傍では、コロナ放電が生じ、周辺の空気がイオン化される。このとき、正の直流インパルスが印加された第1放電部21の近傍では、プラスイオンであるH+(H2O)mが発生し、負の直流インパルスが印加された第2放電部22の近傍では、マイナスイオンであるO2 -(H2O)n(m,nは0または任意の自然数)が発生する。
このように、切換リレー223で選択端子223aを選択すれば、第1放電部21からプラスイオンを、第2放電部22からマイナスイオンを、ほぼ同等量発生させることができる。したがって、正負イオンを空気中の浮遊細菌等に付着させ、その際に生成される活性種の過酸化水素(H2O2)および/または水酸基ラジカル(・OH)の分解作用をもって、浮遊細菌を除去することが可能となる。
一方、空気調節装置100が予測浄化モードにある場合には、スイッチ233は開かれ、切換リレー223は選択端子223aが選択される。この場合、コンデンサ231aにのみ蓄電されるため、サイダック(登録商標)232に印加される電圧が所定のしきい値に達するまでの時間が早くなる。このため、第1放電部21に印加される正の直流インパルス電圧と、第2放電部22に印加される負の直流インパルス電圧の放電頻度が上昇する。このため、第1放電部21ではより多くの正イオンが生成され、第2放電部22ではより多くの負イオンが生成される。
空気調節装置100が予測浄化モードでなく、かつ、イオン発生装置10の駆動モードがイオンコントロールモードにあるとき、スイッチ233は閉じられ、切換リレー223は選択端子223bが選択される。
この場合、第1放電部21および第2放電部22には、いずれも負の直流インパルス電圧が印加されることになる。このような負の直流インパルス電圧が印加されると、第1放電部21および第2放電部22の近傍では、いずれもマイナスイオンであるO2 -(H2O)n(nは0または任意の自然数)が発生する。
このように、切換リレー223で選択端子223bを選択すれば、第1放電部21および第2放電部22の双方から、マイナスイオンのみを発生させることができる。したがって、イオンバランスを調整してマイナスイオンが多価である状態を作り出し、リラクゼーション効果を高めることが可能となる。
次に、汚れ度について説明する。図14は、第1の実施の形態における空気調節装置100で用いられる汚れ度評価テーブルの一例を示す図である。この汚れ度評価テーブルは、空気調節装置100の制御部150が有する読出専用メモリ(ROM)に予め記憶されているものである。
図14を参照して、汚れ度評価テーブルは、ニオイセンサ出力レベル、ホコリセンサ出力レベル、両センサ加算値および汚れ度を対応付けて記憶するテーブルである。本実施の形態においては、ニオイセンサ154の出力レベルを0〜3とし、ホコリセンサ153の出力レベルを0〜3としている。それぞれ4段階でニオイの量およびホコリの量を出力する。ニオイセンサ出力レベルは、値が大きいほど空気中のニオイを発生する物質量が多いことを示し、ホコリセンサ出力レベルは、値が大きいほど空気中のホコリの量が多いことを示す値である。加算値は、ニオイセンサ出力レベルとホコリセンサ出力レベルとの和である。加算値は、0〜6の間の値である。
ニオイセンサ出力レベルとホコリセンサ出力レベルとに汚れ度が対応付けられている。加算値が同じ値であっても、汚れ度が異なる場合がある。たとえば、ニオイセンサ出力レベルが1で、ホコリセンサ出力レベルが2の場合に加算値は3となり、汚れ度は1が対応付けられている。一方、ニオイセンサ出力レベルが3でホコリセンサ出力レベルが0のときは、加算値は3となるにもかかわらず、汚れ度は2が対応付けられている。これは、ニオイセンサ出力レベルが最もニオイを発生する物質量が多いことを示す3となっているため、この場合は、汚れ度を1とするのではなく、2とするように対応付けている。
図では、クリーンサインランプの表示色を汚れ度に対応して示している。すなわち、汚れ度が0の場合には、クリーンサインランプ114は緑色で点灯し、汚れ度が1の場合には、クリーンサインランプ114は橙色で点灯し、汚れ度が2の場合にはクリーンサインランプ114は赤色で点灯する。なお、図中未検出モードとあるのは、ニオイセンサ154とホコリセンサ153の出力レベルが安定するまで間のモードである。この間、汚れ度が決定されないために未検出モードとしている。この場合、クリーンサインランプ114は、緑色、橙色、赤色の順に点灯した後、赤色、橙色、緑色の順に点灯する。この色を変化させる点灯表示を繰返す。このように、クリーンサインランプ114が色を変化させて点灯することにより、汚れ度が未だ評価されていないことをユーザに報知することができる。
なお、ここでは、汚れ度を0、1、2の3つのレベルとしたが、汚れ度はこれに限定されることなく、これより多い汚れ度を設定してもよく、またこれより少ない2つのレベルとしてもよい。また、本実施の形態においては、ニオイセンサ154とホコリセンサ153との2つのセンサの出力値に基づき汚れ度を検出するようにしたが、いずれか一方のセンサ出力を用いて汚れ度を検出するようにしてもよい。
図15は、第1の実施の形態における空気調節装置100で実行される運転モード決定処理の流れを示すフローチャートである。運転モード決定処理は、空気調節装置100の制御部150で実行される処理である。図15を参照して、運転モード決定処理では、ホコリセンサ153およびニオイセンサ154の出力レベルに基づき上述した汚れ度評価テーブルを用いて汚れ度が検出される(ステップS01)。そして、検出された汚れ度に基づいて、室内の空気が汚れているか否かが判断される(ステップS02)。汚れていると判断された場合にはステップS03に進み、そうでない場合にはステップS08に進む。ステップS02において、汚れていると判断する場合には、ステップS01で検出された汚れ度が1以上の場合に汚れていると判断する。
次のステップS03では、温度センサ151および湿度センサ152の出力値が取得される。そして、ステップS04において、取得された温度センサの出力値が25℃以上であり、かつ、湿度センサの出力値が70%以上であるか否かが判断される。温度センサの出力値および湿度センサの出力値が上記条件を満たしている場合にはステップS06に進み、そうでない場合にはステップS05に進む。ステップS04における判断は、室内の空気の状態が、カビが発生しやすい状態にあるか否かを判定するものである。したがって、温度のしきい値25℃および湿度のしきい値70%は、これに限定されることなく、これらに近い値であればよい。
ステップS05では、ステップS03で取得された温度センサの出力値が18℃以下であり、かつ、湿度センサの出力値が40%以下であるか否かが判断される。温度センサの出力値および湿度センサの出力値が上述の条件を満たす場合にはステップS06に進み、そうでない場合にはステップS07に進む。ステップS05における判定は、室内の空気がインフルエンザウイルスが繁殖しやすい状態にあるか否かを判定するものである。したがって、温度のしきい値18℃および湿度のしきい値40%はこれに限定されることなく、これに近い値であればよい。
ステップS06では、空気調節装置100の運転モードが、予測浄化モードかつクリーンモードに設定される。これにより、イオン発生装置10からは、多くの量の正負イオンが発生されることになる。この場合、表示部103においては、予測浄化中ランプ113が点灯し、クラスタイオンランプ115が青色で点灯する。
一方、ステップS07では、予測浄化モードには設定されず、クリーンモードに設定される。これにより、イオン発生装置10からは、ステップS06で設定された運転モードで発生されるよりも少ない通常の量の正負イオンが発生される。表示部103の表示は、予測浄化中ランプ113が消灯し、クラスタイオンランプ115が青色で点灯する。
一方、ステップS02において、室内の空気が汚れていないと判断された場合には、ステップS08に進む。ステップS08では、温度センサ151と湿度センサ152の出力値が取得される。このステップは、ステップS03で行なわれる処理と同様の処理である。
ステップS09は、ステップS04と同じ処理であり、ステップS08で取得された温度センサ151および湿度センサ152の出力値を用いて、温度が25℃以上かつ湿度が70%以上であるか否かが判断される。温度および湿度が条件を満たす場合にはステップS11に進み、そうでない場合にはステップS10に進む。
ステップS10は、上述したステップS05と同じ処理である。温度が18℃以下かつ湿度が40%以下の条件を満たす場合にはステップS11へ進み、そうでない場合にはステップS12へ進む。
ステップS11では、空気調節装置100の運転モードが、予測浄化モードかつクリーンモードに設定される。この運転モードは、ステップS06で設定される運転モードと同じである。この場合には、室内の空気が、カビが発生しやすい状態またはインフルエンザウイルスが発生しやすい状態のいずれかにある場合である。このような場合には、イオン発生装置10から正負イオンを発生させ、かつ、その発生させる正負イオンの量を通常の量よりも多くする。
一方ステップS12では、空気調節装置100の運転モードがイオンコントロールモードに設定される。ステップS12に進む場合には、室内の空気が汚れておらず、かつ、室内の空気の状態が、カビが発生しやすい状態でもなく、インフルエンザウイルスが繁殖しやすい状態でもない。この場合には、室内の空気中にカビやインフルエンザウイルスが存在する確率が低いため、イオン発生装置10では正負イオンを発生するのではなく、負イオンを正イオンよりも多く発生させる。表示部103の表示は、予測浄化中ランプ113が消灯し、クラスタイオンランプ115が緑色で点灯する。
制御部150では、ステップS06、S07、S11、S12において、それぞれの運転モードに従って、電圧駆動回路20を制御する。電圧駆動回路20は、制御部150により制御されて、運転モードに従って定まる駆動電圧をイオン発生装置10に印加する。
イオン発生装置10は、放電頻度の高い電圧パルスが印加されると、発生するイオンの量が多い。また、印加する電圧パルスのデューティ比を変化させることによっても、イオン発生装置10から発生する正負イオンの量を制御することもできる。イオン発生装置10は、印加される電圧パルスの周期を一定にした条件では、デューティが50%の場合よりも100%の場合の方が発生するイオンの量が多い。電圧駆動回路20は、デューティを変化させることにより、イオン発生装置10から発生される正負イオンの量を制御することができる。
図16は、第1の実施の形態における空気調節装置100の運転モードとファンモータ出力およびイオン発生装置10に印加される電圧との関係を示す図である。ここでは、イオン発生装置10に印加される電圧は、デューティを変化させる場合を例に示している。図16を参照して、運転モードが予測浄化モードにある場合を●印で示し、予測浄化モードにない場合を×印で示している。また、クリーンモードとイオンコントロールモードとをイオンモードの欄に記載している。すなわち、本実施の形態における空気調節装置100においては、運転モードには、予測浄化モードにない場合のクリーンモードと、予測浄化モードにある場合のクリーンモードと、予測浄化モードにない場合のイオンコントロールモードとの3つのモードがある。
予測浄化モードにある場合には、室内の空気がカビが発生しやすい第1の状態とインフルエンザウイルスが繁殖しやすい第2の状態との場合である。クリーンモードとイオンコントロールモードとの違いは、クリーンモードの場合にはイオン発生装置10から発生するイオンは、正負イオンであり、イオンコントロールモードの場合にイオン発生装置10から発生するイオンは負イオンが正イオンよりも多くなる。また、クリーンモードにある場合であっても、予測浄化モードにある場合には正負イオンの発生量が予測浄化モードにない場合よりも多く発生する。
本実施の形態におけるイオン発生装置10で発生するイオンの量は、空気中に占める正負イオンの割合を言い、ファンモータ出力と関係する。ここでは、ファンモータ出力を風量で示し、その風量を風量1から風量6の6レベルに分類している。風量1よりも風量6の方が風速が速い。
また、印加する電圧デューティが大きくなると、発生する放電音も大きくなるため、ファンモータの出力が小さく、風切り音が小さい場合には、イオン発生装置から発生する放電音も小さい方が好ましく、ファンモータの出力に応じて、印加される電圧デューティを変えることで、製品全体として静かな運転を実現することが可能となる。
風速が遅い場合には、イオン発生装置10上を通過する空気の量が少なくなる。このため、イオン発生装置10が実際に空気をイオン化する量が少なくても、イオン濃度は高くなる。このため、風量6でデューティ50%におけるイオン濃度よりも、風量1でデューティ20%におけるイオン濃度の方が高くなる。したがって、予測浄化モードにある場合の風量1およびデューティ20%におけるイオン濃度の方が、予測浄化モードになく、かつ、クリーンモードにある場合の風量6およびデューティ50%におけるイオン濃度よりも大きくなる。したがって、予測浄化モードにおけるイオン発生量は、予測浄化モードにない場合のそれよりも大きくなる。
また、風速が遅い場合には、風切り音も小さく、全体の運転音を小さくするためには、イオン発生装置が発生する放電音も小さい方が好ましく、電圧デューティは小さい方がよい。逆に風速が速い場合には、風切り音も大きくなるので、イオン発生装置が発生する放電音が大きくとも、全体の運転音に与える影響は小さく気にならない。従って、風量5または6でデューティ100%とすることで、製品全体の運転音に大きな影響を与えることなく、静音性も実現した上で、所望のイオン濃度をも実現することになる。
なお、図16では、クラスタイオンランプ115の表示態様もそれぞれのモードに合せて示している。すなわち、予測浄化モードにない場合のクリーンモードにおいては、クラスタイオンランプ115は青色で点灯する。また、予測浄化モードであり、かつ、クリーンモードにある場合には、クラスタイオンランプ115が5秒周期でゆっくり青色の点滅を繰返す。クラスタイオンランプ115が青色で点滅することにより、予測浄化モードの運転が行なわれていることを表示することができる。
予測浄化モードになく、イオンコントロールモードにある場合には、クラスタイオランプ115は、緑色で点灯する。
以上説明したように本実施の形態における空気調節装置100においては、室内の空気の状態が、カビが発生しやすい状態(ステップS04またはステップS09でYES)の場合、または、インフルエンザウイルスが発生しやすい状態(ステップS05またはステップS10でYES)の場合には、通常の発生量よりも多い正負イオンを発生させる。このため、カビやインフルエンザウイルス等の細菌が繁殖しやすい状態では、正負イオンを多く発生させてカビやインフルエンザウイルス等の細菌を殺菌する効果を高めることができる。
また、本実施の形態における空気調節装置100は、室内の空気がカビが発生しやすい状態にない場合(ステップS04でNO)であり、かつ、インフルエンザウイルスが繁殖しにくい状態(ステップS05でNO)にある場合には、イオン発生装置10から通常量の正負イオンを発生させる。このため、空気中の室内に浮遊細菌が繁殖しやすい状態になっていない場合であっても、浮遊細菌を殺菌することができる。このため、室内の浮遊細菌をさらに殺菌することができる。また、イオン発生装置10に印加される電圧は、放電頻度の低い電圧パルスまたはデューティの小さいパルスが印加されるため、消費電力が少なくなるとともに放電音も小さくなる。
さらに、イオン発生装置10は、室内が汚れていなく(ステップS02でNO)、かつ、カビが繁殖しない状態(ステップS09でNO)あり、かつ、インフルエンザウイルスが繁殖しない状態(ステップS10でNO)にある場合には、正イオンよりも負イオンを多く発生するイオンコントロールモードに設定される。このため、室内の負イオンの濃度が向上するため、人をリフレッシュさせる効果がある。このため、室内の空気が汚れておらず、浮遊細菌が繁殖しにくい環境にある場合には、人に快適な環境を作り出すことが可能となる。
また、本実施の形態における空気調節装置100を、室内の空気が汚れているときには(ステップS02でYES)、運転モードがクリーンモードに設定される(ステップS06またはステップS07)。このため、イオン発生装置10からは正負イオンが発生される。室内の空気が汚れている場合には浮遊細菌が含まれる可能性が高い。このため、正負イオンを発生させることにより、空中に含まれる浮遊細菌を効率的に殺菌することができる。
さらに、室内が汚れており(ステップS02でYES)、かつ、カビが発生しやすい状態(ステップS04でYES)または、インフルエンザウイルスが発生しやすい状態(ステップS05でYES)にあるときは、発生する正負イオンの量を増加させる。このため、室内の状態がカビが発生しやすい状態またはインフルエンザウイルスが繁殖しやすい状態にあるときに、正負イオンの量を増加させるために、効率的に浮遊細菌を殺菌することができる。また、所定の状態にあるときのみ放電頻度の高いまたはデューティの大きい電圧パルスがイオン発生装置10に印加されるため、常に放電頻度の高いまたはデューティの大きい電圧パルスを印加しておく必要はなく、イオン発生装置10の消費電力を少なくすることができる。さらに、イオン発生装置10は、放電頻度の高いの電圧パルスが印加されると、放電頻度の低い電圧パルスが印加される場合に比べて発生する音が大きくなる。このため、所定の状態にあるときのみ放電頻度の高い電圧パルスを印加するようにしたので、騒音が出るのをできるだけ防止することができる。
イオン発生装置10は、放電頻度の高い電圧パルスまたはデューティの大きい電圧パルスが印加されると、放電頻度の高い電圧パルスまたはデューティの大きな電圧パルスが印加される場合に比べて劣化速度が速い。このため、イオン発生装置10には、放電頻度の高い電圧パルスまたはデューティの大きな電圧パルスが常に印加されることがないので、イオン発生装置10を長期間使用することが可能となる。
本実施の形態においては、イオン発生装置10を備えた空気調節装置100について説明したが、イオン発生装置10を、除湿機能を備えた除湿器に適用するようにしてもよい。除湿器は、室内の湿度が高くなると除湿して、室内の湿度を所定の湿度に維持する。このため、カビが発生しやすい状態またはインフルエンザウイルスが発生しにくい湿度に維持するように室内の湿度を調整すれば、除湿器による空気の除湿とイオン発生装置10により発生される正負イオンとの相乗効果により、室内の空気をカビが発生しにくい状態、または、インフルエンザウイルスが発生しにくい状態とすることができる。たとえ室内の状態が、カビが発生しやすい状態となったとしても、除湿器による除湿で湿度を低くすることによる繁殖の防止と、イオン発生装置10から発生する正負イオンとでカビを効率的に殺菌することができる。
また、除湿器に代えて、加湿機能を有する加湿器とするようにしてもよい。加湿器は、除湿器とは逆に、室内の湿度を高めるものである。このため、室内の湿度が下がりインフルエンザウイルスが発生しやすい状態となったとしても、加湿器により加湿されるためインフルエンザウイルスが繁殖しにくい環境とすることによる繁殖の防止と、イオン発生装置10から発生する正負イオンとでインフルエンザウイルスを効率的に殺菌することができる。
さらに、イオン発生装置10を、室内の空気を冷やしたり、暖めたりする冷暖房機能を有する空気調和器等に適用するようにしてもよい。空気調和器は、室内の空気を暖めたり冷やしたりすることにより、カビが発生しにくい温度にしたり、インフルエンザウイルスが繁殖しにくい温度に室内の温度を調整することが可能である。このため、室内の状態がカビやウイルスが繁殖しやすい状態となったとしても、冷暖房機能により温度を調整することによりカビやインフルエンザウイルスが繁殖しにくい環境とすることによる繁殖の防止と、イオン発生装置10から発生する正負イオンとでカビやインフルエンザウイルスを効率的に殺菌することができる。
さらに、除湿器、加湿器、暖房装置、冷房装置を組合せた空気調和器にイオン発生装置10を適用するようにしてもよい。
本実施の形態においては、所定の状態を、温度と湿度とで定まる室内の空気の状態とし、カビ菌が繁殖しやすい温度と湿度とで定まる第1の状態と、ウイルスが繁殖しやすい温度と湿度とで定まる第2の状態とを含むとして説明した。また、第1の状態を、温度が25℃以上で湿度が70%以上の状態とし、第2の状態を、温度が18℃以下で湿度が40%以下の状態とした。しかしながら、第1の状態と第2の状態は、これに限定されることなく、第1の状態は、カビ菌が繁殖しやすい温度と湿度とで定まる状態であればよく、第2の状態は、ウイルス、たとえばインフルエンザウイルスが繁殖しやすい温度と湿度とで定まる状態であればよい。
図17は、所定の状態の一例を示す図である。図を参照して、縦軸に温度を、横軸に湿度をとり、温度と湿度とで定まる領域を示している。第1の状態は、温度が13℃以上で湿度が70%以上の領域を含む。第2の状態は、温度が13℃以下で湿度が0%以上100%以下の領域と、温度が13℃以上24℃以下で湿度が0%以上40%以下の領域と、温度が24℃以上34℃以下で湿度が0%以上25%以下の領域とを含む。
したがって、第1の状態は、温度が25℃(第1の温度)以上で湿度が70%(第1の湿度)以上の領域を含む。また第2の状態は、温度が18℃(第2の温度)以下で湿度が40%(第2の湿度)以下の領域を含む。第2の温度は第1の温度よりも低く、第2の湿度は第1の湿度よりも低い。
図17に示す所定の状態を用いる場合に、図15に示した運転モード決定処理においては、ステップS04またはステップS09においては、温度と湿度とで定まる室内の空気の状態が第1の状態にあるか否かを判定し、第1の状態にある場合に真と判定し、そうでない場合に偽と判定する。また、ステップS05またはステップS10においては、温度と湿度とで定まる室内の空気の状態が第2の状態にあるか否かを判定し、第2の状態にある場合に真と判定し、そうでない場合に偽と判定する。
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態における空気調節装置100では、図15に示した運転モード決定処理が実行されると、予測浄化モードとするか否かが自動的に決定された。第2の実施の形態における空気調節装置100Aにおいては、運転モードを予測浄化モードとするか否かを、ユーザが選択できるようにしたものである。このため、第2の実施の形態における空気調節装置100Aは、運転モードを予測浄化モードに切換えるための予測浄化モード運転スイッチを備えている。さらに、室内の空気の状態が予測浄化モードでの運転に適した状態であることをユーザに告知する機能を有している。以下、第1の実施の形態における空気調節装置100と異なる点を説明する。
図18は、第2の実施の形態における空気調節装置100Aの外観を示す図である。第2の空気調節装置100Aは、中央パネル102上部に告知ランプ301を備え、上面パネル104に予測浄化モード運転スイッチ303を備えている。
告知ランプ301は、室内の空気の状態が、上述した第1の状態または第2の状態となった場合に点灯または点滅するランプである。これにより、室内の空気の状態が、第1の状態または第2の状態にあることをユーザに知らせることができる。なお、告知ランプ301は、たとえば、液晶表示装置、陰極線管(CRT)、エレクトロルミネッセンス等の表示装置、または、スピーカ、ブザー等の音出力装置であってもよい。さらに表示装置と音出力装置とを組合せるようにしてもよい。表示装置を用いる場合には、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にあることを表示するためのメッセージとして、「カビが繁殖しやすい状態です」、「ウイルスが繁殖しやすい状態です」を表示したり、予測浄化モード運転スイッチの操作を促すためのメッセージとして、たとえば「予測浄化モード運転スイッチを押してください」等を表示するようにしても良い。音発生装置を用いる場合には、上述したメッセージを音声出力させたり、警告音(メロディーを含む)を出力するようにしてもよい。さらに、告知ランプ301は、空気調節装置100A自体に設けることに加えて、または、それとは別に、リモートコントローラ130に設けるようにしてもよい。
予測浄化モード運転スイッチ303は、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にある場合に、ユーザによる操作を受付るための入力スイッチである。ユーザの操作が受付けられると、空気調節装置100Aは、予測浄化モードでの運転を開始する。なお、予測浄化モード運転スイッチ303は、空気調節装置100A自体に設けることに加えて、または、それとは別に、リモートコントローラ130に設けるようにしてもよい。
図19は、第2の実施の形態における空気調節装置100Aで実行される運転モード決定処理の流れを示すフローチャートである。運転モード決定処理は、空気調節装置100Aの制御部150で実行される処理である。図19に示す運転モード決定処理は、図15で示した第1の実施の形態における空気調節装置100で実行される運転モード決定処理と異なるところは、ステップS05とステップS06との間に、新たなステップS05AおよびステップS05Bを追加した点と、ステップS10ステップS11との間に新たなステップS10AおよびステップS10Bを追加した点である。ステップS01〜ステップS05までの処理、ステップS08〜ステップS10までの処理は、図15で説明したのと同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
ステップS04またはステップS05でYESと判定された場合には、ステップS05Aに進む。すなわち、ステップS05Aに進むのは、温度と湿度とで定まる室内の空気の状態が第1または第2の状態にある場合である。
ステップS05Aでは、告知ランプ301を点灯または点滅する。これにより、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にあることがユーザに知らされる。
次のステップS05Bでは、予測浄化モード運転スイッチ303が、ユーザによる操作されたか否かを判定する。ユーザによる操作が検出されると、ステップS06に進み、そうでない場合はステップS07に進む。
一方、ステップS09またはステップS10でYESと判定された場合には、ステップS10Aに進む。すなわち、ステップS10Aに進むのは、温度と湿度とで定まる室内の空気の状態が第1または第2の状態にある場合である。
ステップS10Aの処理は、ステップS05Aの処理と同様であり、告知ランプ301を点灯または点滅する。これにより、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にあることがユーザに知らされる。
次のステップS10Bは、ステップS05Bの処理と同様であり、予測浄化モード運転スイッチ303が、ユーザによる操作されたか否かを判定する。ユーザによる操作が検出されると、ステップS11に進み、そうでない場合はステップS12に進む。
このように、第2の実施の形態における空気調節装置においては、告知ランプ301を点灯または点滅することにより、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にあることを、ユーザに告知する。そして、予測浄化モード運転スイッチ303によるユーザの指示を待って、運転モードを予測浄化モードかつクリーンモードに設定する。運転モードが予測浄化モードの場合には、イオン発生装置10からは、通常状態より多くの量の正負イオンが発生されることになる。また、表示部103においては、予測浄化中ランプ113が点灯し、クラスタイオンランプ115が青色で点灯する。
上述したように第2の実施の形態における空気調節装置100Aでは、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にある場合に、ユーザの指示を待って、運転モードを予測浄化モードかつクリーンモードに設定するようにした。空気調節装置100Aの運転モードが、予測浄化モードかつクリーンモードの場合には、他の運転モードに比べてイオン発生装置10の消費電力が多く、発生する音が大きく、劣化速度が速い。このため、ユーザが所望する場合に、空気調節装置100Aの運転モードを予測浄化モードに設定するようにしたので、ユーザは、消費電力の節約し、消音運転にし、イオン発生装置10のライフサイクルを長期化させるか、カビ菌またはウイルスの繁殖を防止するかを選択することができる。
なお、第1または第2の実施の形態における空気調節装置100,100Aでは、運転モードが予測浄化モードかつクリーンモードにある場合、すなわち、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にある場合(第2の実施の形態における空気調節装置100Aにあっては、さらにユーザの指示があった場合)に、他の運転モードに比べてイオン発生装置10のイオン発生量を多くした。これに代えて、運転モードが予測浄化モードかつクリーンモードにある場合にイオン発生装置10を駆動してイオンを発生させ、他の運転モード(通常の場合)にある場合にはイオン発生装置10を駆動せずにイオンを発生させないように制御してもよい。この場合には、室内の空気の状態が第1の状態または第2の状態にある場合(第2の実施の形態における空気調節装置100Aにあっては、さらにユーザの指示があった場合)にだけイオンが発生するので、浮遊細菌を効率的に殺菌することができる。また、室内の空気の状態が浮遊細菌の繁殖しやすい場合にだけイオン発生装置10を駆動すればよいので、イオン発生装置10の駆動制御が容易となるとともに、消費電力を節約し、消音運転にし、イオン発生装置10のライフサイクルを長期化させることができる。
次に以上説明した実施形態における変形例や特徴点等を以下に列挙する。
(1) 室内の浮遊細菌を効率的に殺菌するため、カビ菌やインフルエンザウイルスが繁殖するのを防止するため、消費電力を少なくするため、室内の浮遊細菌を殺菌するとともに人に快適な環境を作り出すため、または、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能な空気調節装置を提供するために、イオン発生装置は、イオン発生手段と、温度を検出する温度検出手段と、湿度を検出する湿度検出手段とを備え、温度検出手段により検出された温度検出結果と、湿度検出手段により検出された湿度検出結果とに基き、イオン発生手段の制御を行なう。
このイオン発生装置は、温度検出結果と湿度検出結果とに基き、イオン発生手段が制御される。このため、温度および湿度に応じてイオンを発生するので、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(2) 温度検出結果および/または湿度検出結果を告知する状態告知手段と、イオン発生手段の制御を開始する指示を受付ける指示受付手段とをさらに備え、イオン発生手段は、指示受付手段による指示受付に応じて、制御を開始することを特徴とする。
イオン発生手段は、指示受付手段による指示受付に応じて、制御を開始するので、ユーザが所望する場合に、イオン発生手段を制御させることができる。
(3) イオン発生手段の制御は、イオン発生量を制御する。
温度および湿度に応じた量のイオンを発生するので、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(4) イオン発生装置は、イオンを発生するイオン発生手段と、室内の温度と湿度とを検出する温湿度検出手段と、温湿度検出手段により検出された室内の状態が所定の状態にあるときに、イオン発生手段を制御して通常状態より多くイオンを発生させる制御手段とを備える。
室内の状態が所定の状態にあるときに、イオン発生手段から通常状態より多くのイオンが発生される。イオンは、空気中に浮遊する細菌を殺菌する効果を有する。所定の状態が浮遊細菌が繁殖しやすい状態とすれば、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
また、所定の状態にないときは、イオン発生手段に通常状態における量のイオンを発生させる。このため、通常状態であっても、浮遊細菌を殺菌することができるので、浮遊細菌を殺菌することができる。また、イオン発生手段に供給される電力は、発生するイオンの量が多いほど増加する。このため、通常状態の場合には、少ない消費電力でイオンを発生させるため、消費電力を極力少なくすることができる。その結果、消費電力を少なくしたイオン発生装置を提供することができる。
(5) イオン発生手段は、正イオンと負イオンとを発生することを特徴とする。
(6) カビが発生しやすい第1の状態を含む。
カビが発生しやすい第1の状態にあるときに、通常状態より多くイオンが発生される。イオンは、空気中の浮遊細菌を殺菌する効果を有する。このため、カビ菌が繁殖しやすい第1の状態において、カビ菌が繁殖するのを防止することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(7) 所定の状態は、温度検出手段により検出された温度が25℃以上、湿度検出手段により検出された湿度が70%以上であることを特徴とする。
(8) 所定の状態は、ウイルスが繁殖しやすい第2の状態を含む。
ウイルスが繁殖しやすい第2の状態にあるときに、通常状態より多くイオンが発生される。このため、ウイルスが繁殖しやすい第2の状態において、ウイルスが繁殖するのを防止することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(9) 室内の汚れを検出するための汚れ検出手段をさらに備え、制御手段は、温湿度検出手段により検出された室内の状態が所定の状態になく、かつ、汚れ検出手段により所定の汚れ度が検出されていないときは、イオン発生手段に正イオンよりも負イオンを多く発生させる。
室内の状態が所定の状態になく、かつ、所定の汚れ度が検出されていないときは、正イオンよりも負イオンが多く発生される。空気中に正イオンよりも負イオンが多く含まれると、人をリフレッシュさせる効果がある。このため、室内がたとえば浮遊細菌が繁殖しやすい環境になく、かつ、汚れていないときは、人に快適な環境を作り出すことが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(10) 汚れ検出手段は、ホコリセンサを含む。
(11) 汚れ検出手段は、ニオイセンサを含む。
(12) イオン発生装置は、イオンを発生するイオン発生手段と、室内の汚れを検出するための汚れ検出手段と、室内の温度と湿度とを検出する温湿度検出手段とを備え、汚れ検出手段、温湿度検出手段により検出された室内の状態が所定の状態にあるときは、イオン発生手段より発生するイオン量を制御することを特徴とする。
汚れ検出手段、温湿度検出手段により検出された室内の状態が所定の状態にあるときは、イオン発生手段より発生するイオン量を制御する。空気が汚れている場合には、浮遊細菌が含まれている可能性が高い。たとえば、室内の空気が汚れており、浮遊細菌が繁殖しやすい環境にあるときに、イオンの発生量を増加させれば、浮遊細菌が繁殖するのを効率的に防止することができる。
(13) 所定の状態は、第1温度以上かつ第1湿度以上の第1の状態と、第1温度よりも低い第2温度以下かつ第1湿度よりも低い第2湿度以下の第2の状態とを含む。
この発明に従えば、室内が第1温度以上かつ第1湿度以上の第1の状態または第2温度以下かつ第2湿度以下の第2の状態にあるときに、発生する正負イオンの量が増加する。正負イオンは、空気中の浮遊細菌を殺菌する効果を有する。このため、たとえば第1の状態をカビ菌が繁殖しやすい環境、第2の状態をインフルエンザウイルスが繁殖しやすい環境となるようにすれば、カビ菌やインフルエンザウイルスが繁殖するのを防止することが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(14) 制御手段は、汚れ検出手段により検出された汚れ度が所定の値になく、かつ、温湿度検出手段により検出された室内の状態が所定の状態にないときは、イオン発生手段に正イオンよりも負イオンを多く発生させる。
汚れ度が所定の値になく、かつ、室内の状態が所定の状態にないときは、正イオンよりも負イオンが多く発生される。空気中に正イオンよりも負イオンが多く含まれると、人をリフレッシュさせる効果がある。このため、室内に浮遊細菌が少なく、繁殖しやすい環境にない場合には、人に快適な環境を作り出すことができる。
(15) 空気調節装置は、室内の汚れ度を低減するための清浄手段をさらに備える。
この発明に従えば、室内の汚れが低減されるので、浮遊細菌の繁殖しにくい環境を作り出すことができる。このため、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能な空気調節装置を提供することができる。
(16) 空気調節装置は、室内の湿度を調節するための除加湿手段をさらに備える。
室内の湿度が調節されるので、浮遊細菌の繁殖しにくい環境を作り出すことができる。このため、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能な空気調節装置を提供することができる。
(17) 空気調節装置は、室内の温度を調節するための冷暖房手段をさらに備える。
この発明に従えば、室内の温度が調整されるので、浮遊細菌の繁殖しにくい環境を作り出すことができる。このため、浮遊細菌を効率的に殺菌することが可能な空気調節装置を提供することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10A イオン発生装置、20,20a,20b 電圧印加回路、100,100A 空気調節装置、103 表示部、105 排出口、130 リモートコントローラ、150 制御部、151 温度センサ、152 湿度センサ、153 ホコリセンサ、154 ニオイセンサ、155 温度設定手段、156 湿度設定手段、301 告知ランプ、303 予測浄化モード運転スイッチ。