JP2005093731A - 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 異方化度が大きく、同時に角形比も大きく、高い最大エネルギー積を有する異方性の交換スプリング磁石を提供する。
【解決手段】 R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz
(Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示される異方性磁石であり、その断面を顕微鏡観察すると、互いに隣接するR2Fe14B相の結晶粒1とα−Fe相の結晶粒2の粒界に、R−Cu相の結晶粒3が結晶粒1と結晶粒2のそれぞれの粒界面1a,2aに沿う状態で介在しており、結晶粒1の最長観察粒径aが300nm以下、結晶粒2の最長観察粒径bが10〜50nmであり、かつ、結晶粒3が介在する少なくとも1箇所の間隔が37nm以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz
(Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示される異方性磁石であり、その断面を顕微鏡観察すると、互いに隣接するR2Fe14B相の結晶粒1とα−Fe相の結晶粒2の粒界に、R−Cu相の結晶粒3が結晶粒1と結晶粒2のそれぞれの粒界面1a,2aに沿う状態で介在しており、結晶粒1の最長観察粒径aが300nm以下、結晶粒2の最長観察粒径bが10〜50nmであり、かつ、結晶粒3が介在する少なくとも1箇所の間隔が37nm以下である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高磁束密度など、優れた磁気特性を有する異方性磁石、とりわけ、磁化曲線における角形性が優れていて、最大エネルギー積が大きい異方性磁石とその製造方法、およびそれを用いたモータに関する。
なお、以後の説明においては、所定形状に成形された着磁前の成形体についても磁石という。
なお、以後の説明においては、所定形状に成形された着磁前の成形体についても磁石という。
高い最大エネルギー積を有するNd−Fe−B系焼結磁石は、例えば携帯電話のバイブレーションモータやマイクロスピーカ、コンピュータの記憶装置に組み込まれている。また、電気自動車やハイブリッド車の駆動モータ、発電機にも使用されている。
そして、昨今、これら機器の高性能化と小型化が追求されていることに対応して、Nd−Fe−B系磁石に関しても、高性能化、とりわけ高磁束密度化の要求が強まっている。
そして、昨今、これら機器の高性能化と小型化が追求されていることに対応して、Nd−Fe−B系磁石に関しても、高性能化、とりわけ高磁束密度化の要求が強まっている。
一方、Nd−Fe−B系材料を用いた交換スプリング磁石の開発研究が進められている。
この交換スプリング磁石の材料設計思想は、いずれもnmオーダの微細な結晶粒である高保磁力の硬磁性相(Nd2Fe14B相)と高飽和磁化の軟磁性相(α−Fe相)を全体の組織内に共存させ、両相の特性を交換相互作用を介して同時に発現させ、もって高エネルギー積を達成するというものである。
この交換スプリング磁石の材料設計思想は、いずれもnmオーダの微細な結晶粒である高保磁力の硬磁性相(Nd2Fe14B相)と高飽和磁化の軟磁性相(α−Fe相)を全体の組織内に共存させ、両相の特性を交換相互作用を介して同時に発現させ、もって高エネルギー積を達成するというものである。
その場合、この交換スプリング磁石は、各磁性相の磁化容易軸が一方向に配向してそれぞれのN極、S極が一方向に揃っている異方性磁石であることが要求される。その理由は、異方性磁石であれば、磁気特性は向上し、また外部磁界の影響を受けたときの誤動作が抑制されるからである。
更に、この交換スプリング磁石は、磁化曲線における角形比が大きく、高エネルギー積を実現していることが要求される。
更に、この交換スプリング磁石は、磁化曲線における角形比が大きく、高エネルギー積を実現していることが要求される。
このような要求特性を満たすために、Nd−Fe−B系材料を用いた各種の異方性交換スプリング磁石が提案されているが、例えば次のような異方性交換スプリング磁石が提案されている(特許文献1を参照)。
この磁石は、Nd7Fe82Co5Cu3B3の組成を有する合金の溶湯を超急冷法で薄膜片にしたのちそれを粉砕し、得られた粉末を冷間プレスして予備成形体にし、更にその予備成形体を熱間プレスして高密度化したのち熱間据え込み加工して製造されている。
この磁石は、Nd7Fe82Co5Cu3B3の組成を有する合金の溶湯を超急冷法で薄膜片にしたのちそれを粉砕し、得られた粉末を冷間プレスして予備成形体にし、更にその予備成形体を熱間プレスして高密度化したのち熱間据え込み加工して製造されている。
この磁石は、Nd2Fe14B相、α−Fe相、およびNd−Cu相の3相混合物であり、Nd2Fe14B相が主相になっている。これら3相のうち、Nd−Cu相は他の相の粒界に介在する粒界相になっていて、上記した据え込み加工時に各相の間の流動性を向上させて、磁石の異方化度を高める働きをするとされている。
そして、得られた磁石の飽和磁化(Is)、残留磁束密度(Br)、固有保磁力(iHc
)、および最大エネルギー積((BH)max)は、磁化容易軸方向において、それぞれ、1.68T(16.8kG)、1.59T(15.9kG)、1.54×106A/m(19.3kOe)、469kJ/m3(58.9MGOe)であり、磁化容易軸と直角する方向において、それぞれ、0.58T(5.8kG)、0.33T(3.3kG)、549kA/m(6.9kOe)、9.6kJ/m3(1.2MGOe)になっている。
そして、得られた磁石の飽和磁化(Is)、残留磁束密度(Br)、固有保磁力(iHc
)、および最大エネルギー積((BH)max)は、磁化容易軸方向において、それぞれ、1.68T(16.8kG)、1.59T(15.9kG)、1.54×106A/m(19.3kOe)、469kJ/m3(58.9MGOe)であり、磁化容易軸と直角する方向において、それぞれ、0.58T(5.8kG)、0.33T(3.3kG)、549kA/m(6.9kOe)、9.6kJ/m3(1.2MGOe)になっている。
すなわち、この磁石の場合、非常に大きな異方化度を有しており、また磁化容易軸方向の最大エネルギー積も高い値を示している。
特開2002−57015号公報(実施例1)
ところで、異方性交換スプリング磁石の場合、それを構成する硬磁性相と軟磁性相のそれぞれの結晶粒径は、磁気特性を規定する重大なパラメータである。
しかしながら、前記した特許文献1においても、Nd2Fe14B相、α−Fe相、およびNd−Cu相の結晶粒径の検討や、更には結晶粒径と磁気特性との相関関係についての検討は行われていない。
しかしながら、前記した特許文献1においても、Nd2Fe14B相、α−Fe相、およびNd−Cu相の結晶粒径の検討や、更には結晶粒径と磁気特性との相関関係についての検討は行われていない。
本発明は、上記した問題を明確に、そのことによって、優れた磁気特性、とりわけ、異方化度が高く、高い最大エネルギー積を示す高性能な異方性交換スプリング磁石とその製造方法の提供を目的とする。
また、本発明は上記した異方性磁石を用いることにより、より一層の高性能化と小型化が可能なモータの提供を目的とする。
また、本発明は上記した異方性磁石を用いることにより、より一層の高性能化と小型化が可能なモータの提供を目的とする。
上記した目的を達成するための研究として、本発明者らは、Nd2Fe14B相、α−Fe相、およびNd−Cu相の3相を含む異方性交換スプリング磁石における各相の結晶粒の集合状態を電子顕微鏡で観察して各相の結晶粒径を測定し、その結晶粒径と磁気特性との関係を調査した。
その結果、結晶粒径、とりわけNd−Cu層の後述する結晶粒の大きさは、磁気特性、とりわけ磁化容易軸方向における最大エネルギー積の大小を規定しているとの知見を得た。そして、この知見は、Ndを例えばPrのような他の希土類元素に代替した場合も適合することを見出した。
その結果、結晶粒径、とりわけNd−Cu層の後述する結晶粒の大きさは、磁気特性、とりわけ磁化容易軸方向における最大エネルギー積の大小を規定しているとの知見を得た。そして、この知見は、Ndを例えばPrのような他の希土類元素に代替した場合も適合することを見出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて更に研究を重ねることにより、本発明の異方性磁石とその製造方法を開発するに至った。
すなわち、本発明の異方性磁石は、R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz …(1)
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示されることを特徴とする。
すなわち、本発明の異方性磁石は、R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz …(1)
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示されることを特徴とする。
とくに、この異方性磁石は、顕微鏡観察した断面において、
互いに隣接する前記R2Fe14B相の結晶粒(1)と前記α−Fe相の結晶粒(2)の粒界に、前記R−Cu相の結晶粒(3)が前記結晶粒(1)と前記結晶粒(2)のそれぞれの粒界面に沿う状態で介在しており、
前記結晶粒(1)の最長観察粒径が300nm以下、前記結晶粒(2)の最長観察粒径が10〜50nmであり、かつ、前記結晶粒(3)が介在する少なくとも1箇所の間隔が37nm以下であることを好適とする。
互いに隣接する前記R2Fe14B相の結晶粒(1)と前記α−Fe相の結晶粒(2)の粒界に、前記R−Cu相の結晶粒(3)が前記結晶粒(1)と前記結晶粒(2)のそれぞれの粒界面に沿う状態で介在しており、
前記結晶粒(1)の最長観察粒径が300nm以下、前記結晶粒(2)の最長観察粒径が10〜50nmであり、かつ、前記結晶粒(3)が介在する少なくとも1箇所の間隔が37nm以下であることを好適とする。
また、本発明においては、R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示される粉末、またはその粉末のバルク体を、700〜1100℃の温度域で塑性加工する工程を備えていることを特徴とする異方性磁石の製造方法が提供される。
RxFe100-x-y-zByCuz
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示される粉末、またはその粉末のバルク体を、700〜1100℃の温度域で塑性加工する工程を備えていることを特徴とする異方性磁石の製造方法が提供される。
更に、本発明においては、上記した異方性磁石が、ロータまたはステータに永久磁石として取り付けられていることを特徴とするモータが提供される。
本発明の異方性磁石は、硬磁性相と軟磁性相の粒界に適正量のR−Cu相が晶出しているので、異方化度が高く、かつ磁化曲線の角形性に優れた高い最大エネルギー積を示す磁石になっていて、形状が小型であっても高性能磁石として動作する。
また、磁石の製造工程においては、700〜1100℃の温度域で行う塑性加工の工程を必須の工程として含んでいるので、磁性相の相互流動性が保障されて磁性相は特定方向に配向することができ、そのことにより、各磁性相の磁化容易軸が揃い、大きな異方化度が実現される。
また、磁石の製造工程においては、700〜1100℃の温度域で行う塑性加工の工程を必須の工程として含んでいるので、磁性相の相互流動性が保障されて磁性相は特定方向に配向することができ、そのことにより、各磁性相の磁化容易軸が揃い、大きな異方化度が実現される。
更に、磁気特性が優れているこの異方性磁石を用いた本発明のモータは、形状が小型であっても小電力で高いトルクを得ることができるので、各種の小型機器の駆動用モータとして有用である。
本発明の磁石は、(1)式で示した組成の材料から成る。そして、微細な硬磁性相と軟磁性相が組織内に共存している異方性交換スプリング磁石である。
具体的には、硬磁性相であるR2Fe14B相と軟磁性相であるα−Fe相と非磁性相であるR−Cu相の少なくとも3相が共存し、これら3相のうち、R2Fe14B相は磁石に高保磁力を付与する結晶相として、またα−Fe相は磁石に高飽和磁化を付与する結晶相としてそれぞれ機能する。
具体的には、硬磁性相であるR2Fe14B相と軟磁性相であるα−Fe相と非磁性相であるR−Cu相の少なくとも3相が共存し、これら3相のうち、R2Fe14B相は磁石に高保磁力を付与する結晶相として、またα−Fe相は磁石に高飽和磁化を付与する結晶相としてそれぞれ機能する。
なお、これらの硬磁性相、軟磁性相、および非磁性相は、いずれも、X線回折法によって同定することができる。また、その存在量はX線回折時の回析強度から定量することができる。
そして、本発明の磁石は、上記した硬磁性相と軟磁性相におけるそれぞれの磁化容易軸が特定の方向に揃っている焼結磁石またはボンド磁石であって、例えばトロイダル形、円板形、角棒、板状の直方体、丸棒、瓦形などの形状をしており、かつ、上記した磁化容易軸に沿って着磁しているものは勿論のこと、着磁前のものも含まれる。
そして、本発明の磁石は、上記した硬磁性相と軟磁性相におけるそれぞれの磁化容易軸が特定の方向に揃っている焼結磁石またはボンド磁石であって、例えばトロイダル形、円板形、角棒、板状の直方体、丸棒、瓦形などの形状をしており、かつ、上記した磁化容易軸に沿って着磁しているものは勿論のこと、着磁前のものも含まれる。
(1)式の組成において、R成分は希土類元素であって、その一部はNd成分、B成分と一緒になって硬磁性相を形成し、残余の部分は配合されるCu成分と結合して非磁性のR−Cu相を形成する。
R成分としては、例えばNd,Pr,Gd,Tb,Dy,Ce,Pm,Sm,Eu,Ho,Er,Tm,Yb,Luの1種または2種以上を用いることができる。
R成分としては、例えばNd,Pr,Gd,Tb,Dy,Ce,Pm,Sm,Eu,Ho,Er,Tm,Yb,Luの1種または2種以上を用いることができる。
ここで、本発明の磁石を無作為に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察したときの結果例を模式図として図1に示す。
図1は、大中小の粒が集合した事例を示しているが、一番大きい粒1が主相である硬磁性相(R2Fe14B相)の結晶粒であり、中位の大きさの粒2が軟磁性相(α−Fe相)の結晶粒であり、上記結晶粒の間を埋めるようにして集合を形成している小さい粒3が非磁性相(R−Cu相)である。
図1は、大中小の粒が集合した事例を示しているが、一番大きい粒1が主相である硬磁性相(R2Fe14B相)の結晶粒であり、中位の大きさの粒2が軟磁性相(α−Fe相)の結晶粒であり、上記結晶粒の間を埋めるようにして集合を形成している小さい粒3が非磁性相(R−Cu相)である。
なお、以後の説明では、粒1を結晶粒(1)、粒2を結晶粒(2)、粒3を結晶粒(3)という。
これら結晶粒の集合状態において特徴的なことは、結晶粒(3)が結晶粒(1)と結晶粒(2)の粒界に晶出しており、しかも、これらの集合体が結晶粒(1)の粒界面1aと結晶粒(2)の粒界面2aに沿って介在していて、全体として、結晶粒(1)と結晶粒(2)を膜状に被包していることである。勿論、結晶粒(1)と結晶粒(2)が、直接、接触している場合もある。
これら結晶粒の集合状態において特徴的なことは、結晶粒(3)が結晶粒(1)と結晶粒(2)の粒界に晶出しており、しかも、これらの集合体が結晶粒(1)の粒界面1aと結晶粒(2)の粒界面2aに沿って介在していて、全体として、結晶粒(1)と結晶粒(2)を膜状に被包していることである。勿論、結晶粒(1)と結晶粒(2)が、直接、接触している場合もある。
ここで、結晶粒(3)を構成するR−Cu相は、融点が560〜960℃程度であるため、磁石の製造時に、後述する高温下における塑性加工の工程で溶融または軟化・流動化して結晶粒(1)と結晶粒(2)の粒界面に膜状に介在することにより、両結晶粒に対する潤滑作用を発揮する。そのため、熱間の塑性加工時に、結晶粒(1)と結晶粒(2)は相互に流動しやすくなり、印加される加圧力の作用でそれぞれの磁化容易軸方向が一方向に揃う。そして同時に、このR−Cu相も加熱されてその結晶粒が成長する。
このようなことから、得られた磁石にあっては、図1で示したように、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間にR−Cu相の結晶粒(3)の集合体がいわば膜状に介在することになる。
本発明の磁石においては、結晶粒(1)の最長観察粒径が300nm以下、結晶粒(2)の最長観察粒径が10〜50nmになっていることを好適とする。なお、最長観察粒径に関しては後述する。
本発明の磁石においては、結晶粒(1)の最長観察粒径が300nm以下、結晶粒(2)の最長観察粒径が10〜50nmになっていることを好適とする。なお、最長観察粒径に関しては後述する。
結晶粒(1)の最長観察粒径が300nmより大きくなると、単磁区ではなくなり、固有保持力の低下を招くというような問題が発生するからである。しかし、結晶粒(1)の最長観察粒径が小さくなりすぎると、このR2Fe14B相は、磁気特性的には等方性を示しはじめるので、通常、10〜300nmに規制することが好ましい。
また、結晶粒(2)の最長観察粒径が10nmより小さい場合は、このα−Fe相は非磁性となってしまい、また50nmより大きい場合は、R2Fe14B相(結晶粒(1))との間での交換相互作用が劣化してしまい交換スプリング磁石としての機能低下が起こる。良好な交換相互作用の発現のためには、結晶粒(2)の最長観察粒径を10〜20nmにすることが好ましい。
また、結晶粒(2)の最長観察粒径が10nmより小さい場合は、このα−Fe相は非磁性となってしまい、また50nmより大きい場合は、R2Fe14B相(結晶粒(1))との間での交換相互作用が劣化してしまい交換スプリング磁石としての機能低下が起こる。良好な交換相互作用の発現のためには、結晶粒(2)の最長観察粒径を10〜20nmにすることが好ましい。
なお、上記した最長観察粒径とは、次のようにして測定された値のことをいう。
すなわち、磁石断面の任意箇所を顕微鏡観察したときに、任意の大きさの視野内で観察された個々の結晶粒(1)、結晶粒(2)の形状において、対向する端面間で直線距離にして最も長い箇所の長さのことをいう。例えば図1の場合、粒1では図示したaが最長観察粒径であり、粒2では図示したbが最長観察粒径になる。
すなわち、磁石断面の任意箇所を顕微鏡観察したときに、任意の大きさの視野内で観察された個々の結晶粒(1)、結晶粒(2)の形状において、対向する端面間で直線距離にして最も長い箇所の長さのことをいう。例えば図1の場合、粒1では図示したaが最長観察粒径であり、粒2では図示したbが最長観察粒径になる。
本発明の磁石においては、互いに隣接する結晶粒(1)と結晶粒(2)が直接接触している場合、または結晶粒(1)の粒界面1aと結晶粒(2)の粒界面2aの間に結晶粒(3)が介在している場合が含まれている。前者の場合は、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間に結晶粒(3)が介在していないので粒界面1aと粒界面2aの間隔はゼロである。
しかし、後者の場合は両粒界面がある間隔をもって観察されることになる。そして、その場合に観察された間隔は、そこが、晶出している結晶粒(3)の集合体によって占有されている箇所であることを意味している。
しかし、後者の場合は両粒界面がある間隔をもって観察されることになる。そして、その場合に観察された間隔は、そこが、晶出している結晶粒(3)の集合体によって占有されている箇所であることを意味している。
本発明の磁石では、互いに隣接する結晶粒(1)と結晶粒(2)間における上記した箇所、それは各結晶粒の粒界面に無数に存在するのであるが、そのうちの1箇所であっても、その間隔は37nm以下になっていることが好ましい。
この間隔が37nmより大きい場合は、非磁性相である結晶粒(3)によって結晶粒(1)と結晶粒(2)が離隔しすぎていて、交換相互作用が劣化し、また組織全体における非磁性相の割合が多くなっていて磁気特性の低下がもたらされる。
この間隔が37nmより大きい場合は、非磁性相である結晶粒(3)によって結晶粒(1)と結晶粒(2)が離隔しすぎていて、交換相互作用が劣化し、また組織全体における非磁性相の割合が多くなっていて磁気特性の低下がもたらされる。
なお、結晶粒(1)、結晶粒(2)の最長観察粒径は、磁石原料である後述の磁性粉末の製造時に適用する超急冷法の操業条件や材料組成の適宜な選択によって制御することができ、また結晶粒(3)の晶出量すなわち前記した間隔の広狭は、材料を調製するときのCu成分の添加量によって調整することができる。
(1)式における指数x,y,zは、いずれも、組成におけるR,B,Cuそれぞれの元素の原子%数を表しており、その値は(1)式で示したように設定される。
(1)式における指数x,y,zは、いずれも、組成におけるR,B,Cuそれぞれの元素の原子%数を表しており、その値は(1)式で示したように設定される。
x,y,zのいずれもが(1)式で設定した値よりも小さい場合には、磁石の組織において、硬磁性相であるR2Fe14B相の占有割合が少なくなりすぎて高保磁力が得られなくなる。また、x,y,zのいずれもが、(1)式で設定した値よりも大きい場合には、R2Fe14B相の占有割合が多くなり、軟磁性相であり高飽和磁化を付与するα−Fe相の割合が少なくなりすぎて、実質的に交換スプリング磁石として機能しなくなる。
とくに、zが0.5(原子%)より小さい場合は、上記した問題と並んで、R−Cu相の晶出量が少なくなりすぎて、前記した潤滑作用が充分に発揮されないので、磁石の異方化度を充分に高めることができず、また、zが5原子%より大きい場合は、R分の量にもよるが、例えばR成分は多量のR−Cu相の晶出に消費されて、R2Fe14B相の生成量が減少し、磁気特性の低下という問題が発生してくる。
また、(1)式の組成において、Feの一部をCoで置換した磁石は、キュリー点が高くなり、高温特性が向上して好適である。
その場合、Coの置換量は、Feの30原子%以下に設定することが好ましい。置換量が30原子%より多くなると、磁石の磁束密度は低下し、にもかかわらず材料コストが割高になるからである。
その場合、Coの置換量は、Feの30原子%以下に設定することが好ましい。置換量が30原子%より多くなると、磁石の磁束密度は低下し、にもかかわらず材料コストが割高になるからである。
また、(1)式の組成において、R成分としてNdを選択し、かつNdの一部を、Pr,Ce,Dy,Tbの1種または2種以上の希土類元素で置換することが好ましい。具体的には、Pr,Ceで置換すると、性能は落とさずに材料コストの低減が可能であり、またDy,Tbで置換すると、磁石の保磁力を高めることができる。
その場合、これら希土類元素の置換量は、Ndの50原子%以下に設定することが好ましい。置換量が50原子%より多くなると、磁石の磁束密度の低下を招くからである。
その場合、これら希土類元素の置換量は、Ndの50原子%以下に設定することが好ましい。置換量が50原子%より多くなると、磁石の磁束密度の低下を招くからである。
また、(1)式の組成において、Feの一部を、Nb,V,Ti,Cr,Mo,Ta,W,Zr,Hfの1種または2種以上の元素で置換した磁石は、高温下における結晶粒の粗大化が抑制されて、結晶粒の微細化と異方性化が促進されるため、磁束密度や保磁力が高くなる。
これらの置換元素のうち、Nb,V,Ti,Ta,Zr,Hfは磁気特性を向上させるので好適であり、更にNb,V,Zrはより一層の磁気特性の向上効果をもたらすので好適である。
これらの置換元素のうち、Nb,V,Ti,Ta,Zr,Hfは磁気特性を向上させるので好適であり、更にNb,V,Zrはより一層の磁気特性の向上効果をもたらすので好適である。
これらの置換元素の置換量は、Feの1原子%以下に設定することが好ましい。置換量が1原子%より多くなると、磁石の磁束密度が低下するからである。
上記したような材料を用いることにより、本発明の磁石では、飽和磁化を1.55T以上で、かつ固有保磁力を3.2×105〜2.4×106A/mにすることができる。
次に、本発明の異方性磁石の製造方法について説明する。
上記したような材料を用いることにより、本発明の磁石では、飽和磁化を1.55T以上で、かつ固有保磁力を3.2×105〜2.4×106A/mにすることができる。
次に、本発明の異方性磁石の製造方法について説明する。
まず、(1)式で示した組成の磁性粉末、またはそれを集合して軽く圧縮することにより塊状物にしたバルク体を製造する。
なお、上記した磁性粉末は、超急冷法を適用して製造される。
具体的には、(1)式で示した組成の合金を例えばAr雰囲気中で高周波溶解して溶湯とし、その溶湯を所定口径のノズルから例えば所定の周速度で回転するロールの周面に噴射する。溶湯は急冷され、かつリボン状の薄膜片となって飛散する。
なお、上記した磁性粉末は、超急冷法を適用して製造される。
具体的には、(1)式で示した組成の合金を例えばAr雰囲気中で高周波溶解して溶湯とし、その溶湯を所定口径のノズルから例えば所定の周速度で回転するロールの周面に噴射する。溶湯は急冷され、かつリボン状の薄膜片となって飛散する。
この過程で得られた薄膜片は、nmオーダの極微細な結晶粒のランダムな集合体からなり、全体としては非晶質構造で、かつ磁気的には等方性になっている。そして、その組織には、微細な硬磁性相(R2Fe14B相)と軟磁性相(α−Fe相)とこれら両相の間に介在するR−Cu相が形成されている。
本発明方法においては、上記した磁性粉末またはそのバルク体に対して、700〜1100℃の温度域において塑性加工を施す工程を必須の工程として含むことを最大の特徴とする。塑性加工としては、例えば据え込み加工または押出加工を適用することができる。
本発明方法においては、上記した磁性粉末またはそのバルク体に対して、700〜1100℃の温度域において塑性加工を施す工程を必須の工程として含むことを最大の特徴とする。塑性加工としては、例えば据え込み加工または押出加工を適用することができる。
この熱間塑性加工によって次のような作用効果が得られる。
すなわち、上記した温度域で加熱されることにより、各磁性相の粒界に介在するR−Cu相の溶融または流動化が進み、各磁性相の粒界では潤滑作用が惹起される。同時に、非晶質状態にあった各磁性相では極微細な結晶の粒成長が進行する。
このようにして、粒界での流動性が増大した状態にある各磁性相に対し、一方向からの圧力が印加されるので、各磁性相は特定の方向に配向され、ここに、各磁性相の微細結晶における磁化容易軸が特定方向に揃えられる。その結果、磁気異方性化した磁性粉末が得られる。
すなわち、上記した温度域で加熱されることにより、各磁性相の粒界に介在するR−Cu相の溶融または流動化が進み、各磁性相の粒界では潤滑作用が惹起される。同時に、非晶質状態にあった各磁性相では極微細な結晶の粒成長が進行する。
このようにして、粒界での流動性が増大した状態にある各磁性相に対し、一方向からの圧力が印加されるので、各磁性相は特定の方向に配向され、ここに、各磁性相の微細結晶における磁化容易軸が特定方向に揃えられる。その結果、磁気異方性化した磁性粉末が得られる。
この工程における温度が700℃より低い場合は、R−Cu相の潤滑作用が充分に発揮されないので、異方化度は充分に高くならない。また温度を1100℃より高くすると、塑性変形に先立って各磁性相の微細結晶の粒成長が進行してしまうので塑性加工の効果は減殺されて、高い異方化度が実現されず、そして保磁力も低下してしまう。
また、このときの加工率は85%以上に設定することが好ましい。加工率が85%より小さい塑性加工を行っても、磁性粉末やそのバルク体の塑性変形量が小さく、そのため高い異方化度が得られないからである。
また、このときの加工率は85%以上に設定することが好ましい。加工率が85%より小さい塑性加工を行っても、磁性粉末やそのバルク体の塑性変形量が小さく、そのため高い異方化度が得られないからである。
本発明の製造方法は上記した熱間塑性加工を必須の工程として含んでいるが、この工程の前段に、冷間プレスの工程と熱間プレスの工程をこの順序で配置することが好ましい。
具体的には、まず、超急冷法で調製した磁性粉末を、型内に充填したのち常温下でプレス成形して、所定形状のグリーン成形体にする。
ついで、このグリーン成形体を型内にセットしたのち熱間プレスして高密度な成形体にする。適用する温度は、通常、600〜800℃程度とし、またプレス作業は各元素の例えば高温酸化を防止するために例えばAr雰囲気中で行われる。
具体的には、まず、超急冷法で調製した磁性粉末を、型内に充填したのち常温下でプレス成形して、所定形状のグリーン成形体にする。
ついで、このグリーン成形体を型内にセットしたのち熱間プレスして高密度な成形体にする。適用する温度は、通常、600〜800℃程度とし、またプレス作業は各元素の例えば高温酸化を防止するために例えばAr雰囲気中で行われる。
そして、この熱間プレス後の成形体を、前記した塑性加工の工程に移送することにより、目的とする異方性磁石を製造することができる。
このように、塑性加工の工程の前段に冷間プレス工程−熱間プレス工程を配置することにより、目的とする形状の異方性磁石を高い寸法精度で製造することができる。
また、本発明では、上記した熱間塑性加工の工程の後段に、次のような工程を配置することもできる。
このように、塑性加工の工程の前段に冷間プレス工程−熱間プレス工程を配置することにより、目的とする形状の異方性磁石を高い寸法精度で製造することができる。
また、本発明では、上記した熱間塑性加工の工程の後段に、次のような工程を配置することもできる。
すなわち、塑性加工の工程で異方性化された磁性粉末やバルク体を一旦粉砕する。そして、得られた粉砕粉を篩い分けして所定の粒度に整粒する。
ついで、その磁性粉末と例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のようなバインダ樹脂を所定の割合で混合して混合物にする。
このとき、磁性粉末の割合が多すぎると、混合物の流動性が低下して後述する成形作業が円滑に進められず、また逆にバインダ樹脂の割合が多すぎると、混合物の成形性は高まるとはいえ、得られた成形体の磁気特性が低下する。このようなことから、本発明においては、磁性粉末とバインダ樹脂の混合割合は目標とする磁気特性との関係で適宜に選択するが、概ね、磁性粉末100重量部に対し、バインダ樹脂1〜5重量部にすることが好ましい。
ついで、その磁性粉末と例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のようなバインダ樹脂を所定の割合で混合して混合物にする。
このとき、磁性粉末の割合が多すぎると、混合物の流動性が低下して後述する成形作業が円滑に進められず、また逆にバインダ樹脂の割合が多すぎると、混合物の成形性は高まるとはいえ、得られた成形体の磁気特性が低下する。このようなことから、本発明においては、磁性粉末とバインダ樹脂の混合割合は目標とする磁気特性との関係で適宜に選択するが、概ね、磁性粉末100重量部に対し、バインダ樹脂1〜5重量部にすることが好ましい。
そして、この混合物を、磁場中で射出成形または圧縮成形して所望する寸法形状に成形する。この過程で、磁性粉末はその長軸方向を揃えた状態で成形体の中に配向する。
ついで、成形体の脱磁を行ったのち、磁性粉末の磁化容易軸に沿って再度着磁する。このようにして、本発明では異方性のボンド磁石が製造される。
このような工程を配置することにより、本発明においては、例えば薄肉サイズ、複雑な形状、または形状が小型である異方性磁石を高い生産性の下で製造することが可能である。
ついで、成形体の脱磁を行ったのち、磁性粉末の磁化容易軸に沿って再度着磁する。このようにして、本発明では異方性のボンド磁石が製造される。
このような工程を配置することにより、本発明においては、例えば薄肉サイズ、複雑な形状、または形状が小型である異方性磁石を高い生産性の下で製造することが可能である。
本発明のモータは、上記した異方性磁石をロータまたはステータに取り付ける永久磁石として用いたものである。
本発明の異方性磁石が、既に説明したように、高い最大エネルギー積を有し、異方化度が高く、また飽和磁化、固有保磁力も大きいという優れた磁気特性を備えているので、本発明のモータは、従来のモータに比べて小型であっても高いトルクを小電力で発揮することができる。
本発明の異方性磁石が、既に説明したように、高い最大エネルギー積を有し、異方化度が高く、また飽和磁化、固有保磁力も大きいという優れた磁気特性を備えているので、本発明のモータは、従来のモータに比べて小型であっても高いトルクを小電力で発揮することができる。
このようなことから、本発明のモータは、例えば電気自動車やハイブリッド車、磁気センサ、回転センサ、加速度センサ、トルクセンサ、OA機器、オーディオ機器、ビデオ機器、各種のデジタル機器、携帯用コンピュータやその端末機などに組み込まれる駆動用モータとして使用することができる。
石英管内で、表1で示した各種組成の合金を、Ar雰囲気下において高周波溶解した。それぞれの溶湯を、口径0.5mmの石英管ノズルから周速度24m/秒で回転する片ロールの周面に噴射してリボン状の薄膜片を製造した。
薄膜片を粉砕機で粉砕したのち篩い分けして粒径300μm以下の粉末を用意した。
ついで、得られた粉末を金型に充填したのち常温下で圧縮して、外径20mm、高さ50mmの円柱体を成形した。そして、この円柱体を熱間プレス用の金型の中にセットし、Ar雰囲気下において、温度800℃で圧縮成形し、外径20mm、高さ30mmの高密度な円柱体にした。
薄膜片を粉砕機で粉砕したのち篩い分けして粒径300μm以下の粉末を用意した。
ついで、得られた粉末を金型に充填したのち常温下で圧縮して、外径20mm、高さ50mmの円柱体を成形した。そして、この円柱体を熱間プレス用の金型の中にセットし、Ar雰囲気下において、温度800℃で圧縮成形し、外径20mm、高さ30mmの高密度な円柱体にした。
この円柱体を、据え込み加工装置にセットし、Ar雰囲気下において、温度850℃で円柱体の軸方向における据え込み加工を行い、外径52mm、高さ(厚み)4.5mmの円板形状の磁石にした。
なお、このときの加工率は85%である。
この磁石の場合、図2で示したように、内部の粉末11は、いずれも、据え込み方向に圧縮されて扁平となっているので、その磁化容易軸12は粉末の厚み方向に沿っている。そのため、磁石全体の磁化容易軸13に沿った方向の両端面にN極、S極が形成され、強い磁力を保持することができる。
なお、このときの加工率は85%である。
この磁石の場合、図2で示したように、内部の粉末11は、いずれも、据え込み方向に圧縮されて扁平となっているので、その磁化容易軸12は粉末の厚み方向に沿っている。そのため、磁石全体の磁化容易軸13に沿った方向の両端面にN極、S極が形成され、強い磁力を保持することができる。
それぞれの磁石の磁気特性を測定し、その結果を表1,表2に示した。
なお、各磁石の組織をX線回折法で測定したところ、いずれも、R2Fe14B相(RはPrまたはNd)、α−Fe相、R−Cu相が同定された。そして、そのR−Cu相の組成も表1に示した。
なお、表1,表2における飽和磁化とは、外部磁界を1.6MA/m印加したときの磁化の値である。
なお、各磁石の組織をX線回折法で測定したところ、いずれも、R2Fe14B相(RはPrまたはNd)、α−Fe相、R−Cu相が同定された。そして、そのR−Cu相の組成も表1に示した。
なお、表1,表2における飽和磁化とは、外部磁界を1.6MA/m印加したときの磁化の値である。
また、それぞれの磁石を無作為に切断し、その断面を電子顕微鏡で観察した。
そして、視野内で個々の結晶粒(1)、結晶粒(2)の最長観察粒径を測定した。測定数は5個であり、その平均値を求めた。また、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔についても同様にして測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に併記した。
そして、視野内で個々の結晶粒(1)、結晶粒(2)の最長観察粒径を測定した。測定数は5個であり、その平均値を求めた。また、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔についても同様にして測定し、その平均値を求めた。その結果を表1に併記した。
次に、実施例3の合金調製時に添加するCu成分の量を変化させて、Nd−Cu相の晶出量を変化させて、実施例3と同様にして異方性磁石を製造した。
それらの磁石につき、実施例3と同様にして結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔を測定し、また磁化容易軸方向における最大エネルギー積を測定した。その結果を、間隔との関係として図3に示した。
それらの磁石につき、実施例3と同様にして結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔を測定し、また磁化容易軸方向における最大エネルギー積を測定した。その結果を、間隔との関係として図3に示した。
表1から明らかなように、本発明の磁石は、いずれも、異方化度が高く、最大エネルギー積も高く、高性能の異方性磁石になっている。
また、図3から明らかなように、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔が37nmを超えると、最大エネルギー積が急激に低下していく。
また、図3から明らかなように、結晶粒(1)と結晶粒(2)の間隔が37nmを超えると、最大エネルギー積が急激に低下していく。
本発明の異方性磁石は、異方化度が大きく、また磁化曲線における角形性が優れていて、高い最大エネルギー積を有している。
したがって、この異方性磁石を組み付けたモータは、従来のモータに比べて小型であっても小電力で高いトルクを得ることができるので、例えば電気自動車やハイブリッド車などの駆動モータとして好適である。
したがって、この異方性磁石を組み付けたモータは、従来のモータに比べて小型であっても小電力で高いトルクを得ることができるので、例えば電気自動車やハイブリッド車などの駆動モータとして好適である。
1 結晶粒(1)
1a 結晶粒(1)の粒界面
2 結晶粒(2)
2a 結晶粒(2)の粒界面
3 結晶粒(3)
11 磁性粉末
12 磁性粉末1の磁化容易軸
13 磁石全体の磁化容易軸
1a 結晶粒(1)の粒界面
2 結晶粒(2)
2a 結晶粒(2)の粒界面
3 結晶粒(3)
11 磁性粉末
12 磁性粉末1の磁化容易軸
13 磁石全体の磁化容易軸
Claims (12)
- R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示されることを特徴とする異方性磁石。 - 顕微鏡観察した断面において、
互いに隣接する前記R2Fe14B相の結晶粒(1)と前記α−Fe相の結晶粒(2)の粒界に、前記R−Cu相の結晶粒(3)が前記結晶粒(1)と前記結晶粒(2)のそれぞれの粒界面に沿う状態で介在しており、
前記結晶粒(1)の最長観察粒径が300nm以下、前記結晶粒(2)の最長観察粒径が10〜50nmであり、かつ、前記結晶粒(3)が介在する少なくとも1箇所の間隔が37nm以下である請求項1の異方性磁石。 - 前記組成式において、Feの30原子%以下がCoで置換されている請求項1または2の異方性磁石。
- 前記組成式において、Feの1原子%以下が、Nb,V,Ti,Cr,Mo,Ta,W,ZrおよびHfの群から選ばれる少なくとも1種の元素で置換されている請求項1〜3のいずれかの異方性磁石。
- 前記組成式において、RがNdであり、かつNdの50原子%以下が、Pr,Ce,DyおよびTbの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素で置換されている請求項1〜4のいずれかの異方性磁石。
- 前記R2Fe14B相、前記α−Fe相、および前記R−Cu相の少なくとも3相を含む磁性粉末と樹脂バインダとの混合物の成形体である請求項1〜5のいずれかの異方性磁石。
- 前記磁石または前記成形体における磁性粉末の部分の飽和磁化が、1.55T以上であり、かつ、固有保磁力が3.2×105〜2.4×106A/mである請求項1〜6の異方性磁石。
- R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
RxFe100-x-y-zByCuz
(ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示される粉末、またはその粉末のバルク体を、700〜1100℃の温度域で塑性加工する工程を備えていることを特徴とする異方性磁石の製造方法。 - 前記塑性加工が、据え込み加工または押出加工である請求項8の異方性磁石の製造方法。
- 前記塑性加工の工程の前段に、冷間プレスの工程と熱間プレスの工程をこの順序で配置する請求項8または9の異方性磁石の製造方法。
- 前記塑性加工の工程の後段に、得られた加工物を粉砕し、その粉砕粉とバインダ樹脂を混合し、得られた混合物を磁場中で射出成形または圧縮成形する工程を配置する請求項8〜10のいずれかの異方性磁石の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかの異方性磁石が、ロータまたはステータに永久磁石として取り付けられていることを特徴とするモータ。
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-
2003
- 2003-09-17 JP JP2003325159A patent/JP2005093731A/ja active Pending
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