JP2005093730A - 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ - Google Patents

異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ Download PDF

Info

Publication number
JP2005093730A
JP2005093730A JP2003325158A JP2003325158A JP2005093730A JP 2005093730 A JP2005093730 A JP 2005093730A JP 2003325158 A JP2003325158 A JP 2003325158A JP 2003325158 A JP2003325158 A JP 2003325158A JP 2005093730 A JP2005093730 A JP 2005093730A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
magnet
anisotropic magnet
magnetic
anisotropic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003325158A
Other languages
English (en)
Inventor
Hayato Hashino
早人 橋野
Hiroyuki Takabayashi
宏之 高林
Yasuhiko Iriyama
恭彦 入山
Nobuo Kawashita
宜郎 川下
Tetsuro Tayu
哲朗 田湯
Hideaki Ono
秀昭 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd, Nissan Motor Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2003325158A priority Critical patent/JP2005093730A/ja
Publication of JP2005093730A publication Critical patent/JP2005093730A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)

Abstract

【課題】 異方化度が大きく、同時に角形比も大きく、高い最大エネルギー積を有する異方性の交換スプリング磁石を提供する。
【解決手段】 R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
xFe100-x-y-zyCuz
(Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示され、また、前記R−Cu相の組成式が、次式:
wCu100-w
(ただし、wは、5≦w≦60を満たす数である)
で示される異方性磁石。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高磁束密度など、優れた磁気特性を有する異方性磁石、とりわけ、磁化曲線における角形性が優れていて、最大エネルギー積が大きい異方性磁石とその製造方法、およびそれを用いたモータに関する。
なお、以後の説明においては、所定形状に成形された着磁前の成形体についても磁石という。
高い最大エネルギー積を有するNd−Fe−B系焼結磁石は、例えば携帯電話のバイブレーションモータやマイクロスピーカ、コンピュータの記憶装置に組み込まれている。また、電気自動車やハイブリッド車の駆動モータ、発電機にも使用されている。
そして、昨今、これら機器の高性能化と小型化が追求されていることに対応して、Nd−Fe−B系磁石に関しても、高性能化、とりわけ高磁束密度化の要求が強まっている。
一方、Nd−Fe−B系材料を用いた交換スプリング磁石の開発研究が進められている。
この交換スプリング磁石の材料設計思想は、いずれもnmオーダの微細な結晶粒である高保磁力の硬磁性相(Nd2Fe14B相)と高飽和磁化の軟磁性相(α−Fe相)を全体の組織内に共存させ、両相の特性を交換相互作用を介して同時に発現させ、もって高エネルギー積を達成するというものである。
その場合、この交換スプリング磁石は、各磁性相の磁化容易軸が一方向に配向してそれぞれのN極、S極が一方向に揃っている異方性磁石であることが要求される。その理由は、異方性磁石であれば、磁気特性は向上し、また外部磁界の影響を受けたときの誤動作が抑制されるからである。
更に、この交換スプリング磁石は、磁化曲線における角形比が大きく、高エネルギー積を実現していることが要求される。
このような要求特性を満たすために、Nd−Fe−B系材料を用いた各種の異方性交換スプリング磁石が提案されているが、例えば次のような異方性交換スプリング磁石が提案されている(特許文献1を参照)。
この磁石は、Nd7Fe82Co5Cu33の組成を有する合金の溶湯を超急冷法で薄膜片にしたのちそれを粉砕し、得られた粉末を冷間プレスして予備成形体にし、更にその予備成形体を熱間プレスして高密度化したのち熱間据え込み加工して製造されている。
この磁石は、Nd2Fe14B相、α−Fe相、およびNd−Cu相の3相混合物であり、Nd2Fe14B相が主相になっている。これら3相のうち、Nd−Cu相は他の相の粒界に介在する粒界相になっていて、上記した据え込み加工時に各相の間の流動性の向上に寄与して、磁石の異方化度を高める働きをするとされている。
そして、得られた磁石の飽和磁化(Is)、残留磁束密度(Br)、固有保磁力(iHc
)、および最大エネルギー積((BH)max)は、磁化容易軸方向において、それぞれ、1.68T(16.8kG)、1.59T(15.9kG)、1.54×106A/m(19.3kOe)、469kJ/m3(58.9MGOe)であり、磁化容易軸と直角する方向において、それぞれ、0.58T(5.8kG)、0.33T(3.3kG)、549kA/m(6.9kOe)、9.55kJ/m3(1.2MGOe)になっている。
すなわち、この磁石の場合、非常に大きな異方化度を有しており、また磁化容易軸方向の最大エネルギー積も高い値を示している。
特開2002−57015号公報(実施例1)
上記した特許文献1の磁石において、各磁性相の結晶粒界に粒界相として介在しているNd−Cu相に関しては、その組成は明確になっていない。そして、どのような組成が異方化度の向上にとって好適であるのかも不明確である。
また、Nd−Cu相に代表されるR−Cu相(Rは希土類元素を表す)は非磁性相であるため、明らかに、その晶出量と磁気特性との間に相間があるはずであるが、その点に関しても明確になっているわけではない。
本発明は、上記した問題を明確にし、粒界相として活用するNd−Cu相のようなR−Cu相の好適な組成を規定し、したがって材料調製時におけるCu量を規定することにより、優れた磁気特性、とりわけ、異方化度が高く、高い最大エネルギー積を示す異方性交換スプリング磁石とその製造方法の提供を目的とする。
また、本発明は上記異方性磁石を用いることにより、より一層の高性能化と小型化が可能なモータの提供を目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明においては、R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
xFe100-x-y-zyCuz …(1)
(Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示され、R−Cu相は、その組成式が、次式:
wCu100-w …(2)
(ただし、wは5≦w≦60を満たす数である)で示されることを特徴とする異方性磁石が提案される。
更に好ましくは、R−Cu相が、wが14≦w≦50を満たす組成のR−Cu相の場合である。
また、本発明においては、R2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
xFe100-x-y-zyCuz
(Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
で示され、また、前記R−Cu相の組成式が、次式:
wCu100-w
(ただし、wは、5≦w≦60を満たす数である)
で示される粉末、またはその粉末のバルク体を、700〜1100℃の温度域で塑性加工する工程を含むことを特徴とする異方性磁石の製造方法が提供される。
更に、本発明においては、上記した異方性磁石が、ロータまたはステータに永久磁石として取り付けられていることを特徴とするモータが提供される。
本発明の異方性磁石は、組成が規定されたR−Cu相の働きによって、異方化度が高く、かつ磁化曲線の角形性に優れた高い最大エネルギー積を示す磁石になっていて、形状が小型であっても高性能磁石として動作する。
また、磁石の製造工程においては、700〜1100℃の温度域で行う塑性加工の工程を必須の工程として含んでいるので、磁性相の相互流動性が保障されて磁性相は特定方向に配向することができ、そのことにより、大きな異方化度が実現され、各磁性相の磁化容易軸が揃うことになる。
更に、磁気特性が優れているこの異方性磁石を用いた本発明のモータは、形状が小型であっても小電力で高いトルクを得ることができるので、各種の小型機器の駆動用モータとして有用である。
本発明の磁石は、(1)式で示した組成の材料から成る。そして、微細な硬磁性相と軟磁性相が組織内に共存している異方性交換スプリング磁石である。
具体的には、硬磁性相であるR2Fe14B相と軟磁性相であるα−Fe相と非磁性相であるR−Cu相の少なくとも3相が共存し、これら3相のうち、R2Fe14B相は磁石に高保磁力を付与する結晶相として、またα−Fe相は磁石に高飽和磁化を付与する結晶相としてそれぞれ機能する。そして、これら磁性相の結晶粒界に、(2)式で示した組成のR−Cu相が介在している。
なお、これらの硬磁性相、軟磁性相、および非磁性相は、いずれも、X線回折法によって同定することができる。また、その存在量はX線回折時の回析強度から定量することができる。
そして、本発明の磁石は、上記した硬磁性相と軟磁性相におけるそれぞれの磁化容易軸が特定の方向に揃っている焼結磁石またはボンド磁石であって、例えばトロイダル形、円板形、角棒、板状の直方体、丸棒、瓦形などの形状をしており、かつ、上記した磁化容易軸に沿って着磁しているものは勿論のこと、着磁前のものも含まれる。
(1)式の組成において、R成分は希土類元素であって、その一部はNd成分、B成分と一緒になって硬磁性相を形成し、残余の部分は配合されるCu成分と結合して非磁性のR−Cu相を形成する。
R成分としては、例えばNd,Pr,Ce,Gd,Tb,Dy,Pm,Sm,Eu,Ho,Er,Tm,Yb,Luの1種または2種以上を用いることができる。
ここで、R−Cu相は、各磁性相の結晶粒界に晶出して両相の間に膜状に介在している。そして、このR−Cu相は、融点が560〜960℃程度であるため、磁石の製造時に、後述する高温下における塑性加工の工程で溶融または軟化・流動化して、各磁性相の粒界で潤滑作用を発揮する。そのことによって、熱間塑性加工の過程で各結晶相の軸が一方向に揃い、ここに磁石の異方化度が向上する。
しかし、R−Cu相の晶出量が多くなると、確かに各磁性相の相互間における流動性は一層向上するとはいえ、このR−Cu相は非磁性相であるため、得られた磁石の磁気特性は低下することになる。したがって、優れた磁気特性と高い異方化度を両立させるためには、晶出量の最適化が必要になる。
また、R−Cu相の組成が変化すると、例えば融点も変化して上記した潤滑作用に変化が生じ、その結果、異方化度も変化すると考えられる。このようなことから、R−Cu相の組成に関しても粒界相として適切な組成を把握すべきことになる。
このような観点に立ち、後述する磁性粉末の調製時に、配合するCu成分の量を変化させて、R−Cu相の組成、その晶出量について種々の検討を行ったところ、次の組成が好適であるとの知見を得た。
すなわち、本発明で形成するR−Cu相の組成は、(2)式で示したものである。
ここで、(2)式におけるwは、組成におけるR成分の割合を原子%で表示した値であり、その値は、(2)式で示したように、5≦w≦60に設定される。好ましくは、14≦w≦50に設定される。
wが5(原子%)より小さい組成のR−Cu相の場合、その融点が高くなり、粒界相の流動性を得る前に結晶粒の粗大化が著しく進み、磁気特性が低下してしまうこととなり、またwが60(原子%)より大きい組成のR−Cu相の場合は、R相の晶出が多くなるため、磁気特性が低下して不都合である。
(1)式における指数x,y,zは、いずれも、組成におけるR,B,Cuそれぞれの元素の原子%数を表しており、その値は(1)式で示したように設定される。
x,y,zのいずれもが(1)式で設定した値よりも小さい場合には、磁石の組織において、硬磁性相であるR2Fe14B相の占有割合が少なくなりすぎて高保磁力が得られなくなる。また、x,y,zのいずれもが、(1)式で設定した値よりも大きい場合には、R2Fe14B相の占有割合が多くなり、軟磁性相であり高飽和磁化を付与するα−Fe相の割合が少なくなりすぎて、実質的に交換スプリング磁石として機能しなくなる。
とくに、zが0.5(原子%)より小さい場合は、上記した問題と並んで、R−Cu相の晶出量が少なくなりすぎて、前記した潤滑作用が充分に発揮されないので、磁石の異方化度を充分に高めることができず、また、zが5原子%より大きい場合は、R成分の量にもよるが、例えばR成分が多量のR−Cu相の晶出に消費されて、R2Fe14B相の生成量が減少し、磁気特性の低下という問題が発生してくる。
x,y,zを、それぞれ、5≦x≦10,0.5≦y≦3,1≦z≦7とした(1)式の組成の材料は、最大エネルギー積がより高くなるので好適である。
また、(1)式の組成において、Feの一部をCoで置換した磁石は、キューリ点が高くなり、高温特性が向上して好適である。
その場合、Coの置換量は、Feの30原子%以下に設定することが好ましい。置換量が30原子%より多くなると、磁石の磁束密度は低下し、にもかかわらず材料コストが割高になるからである。
上記したような材料を用いることにより、本発明の磁石では、飽和磁化を1.55T以上で、かつ固有保磁力を3.2×105〜2.4×106A/mにすることができる。
次に、本発明の異方性磁石の製造方法について説明する。
まず、(1)式で示した組成の磁性粉末、またはそれを集合して軽く圧縮することにより塊状物にしたバルク体を製造する。
なお、上記した磁性粉末は、超急冷法を適用して製造される。
具体的には、(1)式で示した組成の合金を例えばAr雰囲気中で高周波溶解して溶湯とし、その溶湯を所定口径のノズルから例えば所定の周速度で回転するロールの周面に噴射する。溶湯は急冷され、かつリボン状の薄膜片となって飛散する。
この過程で得られた薄膜片は、nmオーダの極微細な結晶粒のランダムな集合体からなり、全体としては非晶質構造で、かつ磁気的には等方性になっている。そして、その組織には、微細な硬磁性相(R2Fe14B相)と軟磁性相(α−Fe相)とこれら両相の間に介在するR−Cu相が形成されている。
本発明方法においては、上記した磁性粉末またはそのバルク体に対して、700〜1100℃の温度域において塑性加工を施す工程を必須の工程として含むことを最大の特徴とする。塑性加工としては、例えば据え込み加工または押出加工を適用することができる。
この熱間塑性加工によって次のような作用効果が得られる。
すなわち、上記した温度域で加熱されることにより、各磁性相の粒界に介在するR−Cu相の溶融または流動化が進み、各磁性相の粒界では潤滑作用が惹起される。同時に、非晶質状態にあった各磁性相では極微細な結晶の粒成長が進行する。
このようにして、粒界での流動性が増大した状態にある各磁性相に対し、一方向からの圧力が印加されるので、各磁性相は特定の方向に配向され、ここに、各磁性相の微細結晶における磁化容易軸が特定方向に揃えられる。その結果、磁気異方性化した磁性粉末が得られる。
この工程における温度が700℃より低い場合は、R−Cu相の潤滑作用が充分に発揮されないので、異方化度は充分に高くならない。また温度を1100℃より高くすると、塑性変形に先立って各磁性相の微細結晶の粒成長が進行してしまうので塑性加工の効果は減殺されて、高い異方化度が実現されず、そして保磁力も低下してしまう。
また、このときの加工率は85%以上に設定することが好ましい。加工率が85%より小さい塑性加工を行っても、磁性粉末やそのバルク体の塑性変形量が小さく、そのため高い異方化度が得られないからである。
本発明の製造方法は上記した熱間塑性加工を必須の工程として含んでいるが、この工程の前段に、冷間プレスの工程と熱間プレスの工程をこの順序で配置することが好ましい。
具体的には、まず、超急冷法で調製した磁性粉末を、型内に充填したのち常温下でプレス成形して、所定形状のグリーン成形体にする。
ついで、このグリーン成形体を型内にセットしたのち熱間プレスして高密度な成形体にする。適用する温度は、通常、600〜800℃程度とし、またプレス作業は各元素の例えば高温酸化を防止するために例えばAr雰囲気中で行われる。
そして、この熱間プレス後の成形体を、前記した塑性加工の工程に移送することにより、目的とする異方性磁石を製造することができる。
このように、塑性加工の工程の前段に冷間プレス工程−熱間プレス工程を配置することにより、目的とする形状の異方性磁石を高い寸法精度で製造することができる。
また、本発明では、上記した熱間塑性加工の工程の後段に、次のような工程を配置することもできる。
すなわち、塑性加工の工程で異方性化された磁性粉末やバルク体を一旦粉砕する。そして、得られた粉砕粉を篩い分けして所定の粒度に整粒する。
ついで、その磁性粉末と例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のようなバインダ樹脂を所定の割合で混合して混合物にする。
このとき、磁性粉末の割合が多すぎると、混合物の流動性が低下して後述する成形作業が円滑に進められず、また逆にバインダ樹脂の割合が多すぎると、混合物の成形性は高まるとはいえ、得られた成形体の磁気特性が低下する。このようなことから、本発明においては、磁性粉末とバインダ樹脂の混合割合は目標とする磁気特性との関係で適宜に選択するが、概ね、磁性粉末100重量部に対し、バインダ樹脂1〜5重量部にすることが好ましい。
そして、この混合物を、磁場中で射出成形または圧縮成形して所望する寸法形状に成形する。この過程で、磁性粉末はその長軸方向を揃えた状態で成形体の中に配向する。
ついで、成形体の脱磁を行ったのち、磁性粉末の磁化容易軸に沿って再度着磁する。このようにして、本発明では異方性のボンド磁石が製造される。
このような工程を配置することにより、本発明においては、例えば薄肉サイズ、複雑な形状、または形状が小型である異方性磁石を高い生産性の下で製造することが可能である。
本発明のモータは、上記した異方性磁石をロータまたはステータに取り付ける永久磁石として用いたものである。
本発明の異方性磁石が、既に説明したように、高い最大エネルギー積を有し、異方化度が高く、また飽和磁化、固有保磁力も大きいという優れた磁気特性を備えているので、本発明のモータは、従来のモータに比べて小型であっても高いトルクを小電力で発揮することができる。
このようなことから、本発明のモータは、例えば電気自動車やハイブリッド車、磁気センサ、回転センサ、加速度センサ、トルクセンサ、OA機器、オーディオ機器、ビデオ機器、各種のデジタル機器、携帯用コンピュータやその端末機などに組み込まれる駆動用モータとして使用することができる。
石英管内で、表1で示した各種組成の合金を、Ar雰囲気下において高周波溶解した。それぞれの溶湯を、口径0.5mmの石英管ノズルから周速度24m/秒で回転する片ロールの周面に噴射してリボン状の薄膜片を製造した。
薄膜片を粉砕機で粉砕したのち篩い分けして粒径300μm以下の粉末を用意した。
ついで、得られた粉末を金型に充填したのち常温下で圧縮して、外径20mm、高さ50mmの円柱体を成形した。そして、この円柱体を熱間プレス用の金型の中にセットし、Ar雰囲気下において、温度700℃で圧縮成形し、外径20mm、高さ30mmの高密度な円柱体にした。
この円柱体を、据え込み加工装置にセットし、Ar雰囲気下において、温度800℃で円柱体の軸方向における据え込み加工を行い、外径52mm、高さ(厚み)4.5mmの円板形状の磁石にした。
なお、このときの加工率は85%である。
この磁石の場合、図1で示したように、内部の粉末1は、いずれも、据え込み方向に圧縮されて扁平となっているので、その磁化容易軸2は粉末の厚み方向に沿っている。そのため、磁石全体の磁化容易軸3に沿った方向の両端面にN極、S極が形成され、強い磁力を保持することができる。
それぞれの磁石の磁気特性を測定し、その結果を表1,表2に示した。
なお、各磁石の組織をX線回折法で測定したところ、いずれも、Nd2Fe14B相、α−Fe相、Nd−Cu相が同定された。そして、そのNd−Cu相の組成も表1に示した。
Figure 2005093730
次に、実施例2の合金調製時に添加するCu成分の量を変化させて、各種の組成(RwCu100-w)を有するNd−Cu相を晶出させて、実施例2と同様にして異方性磁石を製造した。
それらの磁石につき、磁化容易軸方向における最大エネルギー積を測定した。その結果を、指数w(原子%)との関係で図2に示した。
表1から明らかなように、本発明の磁石、とりわけ実施例2は異方化度が高く、最大エネルギー積も高く、高性能の異方性磁石になっている。
また、図2から明らかなように、w値が5〜60である組成のNd−Cu相が形成されている磁石の場合、その最大エネルギー積が442〜497kJ/m3の範囲にあり、高性能である。
本発明の異方性磁石は、異方化度が大きく、また磁化曲線における角形性が優れていて、高い最大エネルギー積を有している。
したがって、この異方性磁石を組み付けたモータは、従来のモータに比べて小型であっても小電力で高いトルクを得ることができるので、例えば電気自動車やハイブリッド車などの駆動モータとして好適である。
実施例で製造した磁石における磁化容易軸方向を示す模式図である。 wCu100-wの組成におけるwと、得られた磁石の最大エネルギー積との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 磁性粉末
2 磁性粉末1の磁化容易軸
3 磁石全体の磁化容易軸

Claims (9)

  1. 2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
    xFe100-x-y-zyCuz
    (ただし、Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,zは、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
    で示され、また、前記R−Cu相の組成式が、次式:
    wCu100-w
    (ただし、wは5≦w≦60を満たす数である)で示されることを特徴とする異方性磁石。
  2. 前記組成式において、Feの30原子%以下がCoで置換されている請求項1の異方性磁石。
  3. 前記R2Fe14B相、前記α−Fe相、および前記R−Cu相の少なくとも3相を含む磁性粉末とバインダ樹脂との混合物の成形体である請求項1または2の異方性磁石。
  4. 前記磁石または前記成形体の飽和磁化が、1.55T以上であり、かつ、固有保磁力が3.2×105〜2.4×106A/mである請求項1〜3のいずれかの異方性磁石。
  5. 2Fe14B相、α−Fe相、およびR−Cu相の少なくとも3相を含み、かつ、組成式は、次式:
    xFe100-x-y-zyCuz
    (Rは1種または2種以上の希土類元素を表し、x,y,z は、それぞれ、2≦x≦11、1≦y≦10、0.5≦z≦5を満たす数を表す)
    で示され、また、前記R−Cu相の組成式が、次式:
    wCu100-w
    (ただし、wは、5≦w≦60を満たす数である)
    で示される粉末、またはその粉末のバルク体を、700〜1100℃の温度域で塑性加工する工程を含むことを特徴とする異方性磁石の製造方法。
  6. 前記塑性加工が、据え込み加工または押出加工である請求項5の異方性磁石の製造方法。
  7. 前記塑性加工の工程の前段に、冷間プレスの工程と熱間プレスの工程をこの順序で配置する請求項5または6の異方性磁石の製造方法。
  8. 前記塑性加工の工程の後段に、得られた加工物を粉砕し、その粉砕粉とバインダ樹脂を混合し、得られた混合物を磁場中で射出成形または圧縮成形する工程を配置する請求項5〜7のいずれかの異方性磁石の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかの異方性磁石が、ロータまたはステータに永久磁石として取り付けられていることを特徴とするモータ。
JP2003325158A 2003-09-17 2003-09-17 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ Pending JP2005093730A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003325158A JP2005093730A (ja) 2003-09-17 2003-09-17 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003325158A JP2005093730A (ja) 2003-09-17 2003-09-17 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005093730A true JP2005093730A (ja) 2005-04-07

Family

ID=34455691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003325158A Pending JP2005093730A (ja) 2003-09-17 2003-09-17 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005093730A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006320036A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Hitachi Ltd モータ
JP2007300754A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Nissan Motor Co Ltd 電動機の回転子製造方法および回転子

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006320036A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Hitachi Ltd モータ
JP2007300754A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Nissan Motor Co Ltd 電動機の回転子製造方法および回転子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101585483B1 (ko) 열적 안정성이 향상된 MnBi계 소결자석 및 이들의 제조 방법
JP2530641B2 (ja) 磁気異方性ボンド磁石、それに用いる磁粉及びその製造方法
JP6204434B2 (ja) 磁気特性が向上したMnBiを含む異方性複合焼結磁石及びその製造方法
JP2011216678A (ja) R−t−b系希土類永久磁石
JP2005093729A (ja) 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ
JP3618648B2 (ja) 異方性磁石とその製造方法およびこれを用いたモータ
EP1180772B1 (en) Anisotropic magnet and process of producing the same
JP3985707B2 (ja) ハイブリッド型希土類ボンド磁石と磁界中圧縮成形装置、およびモータ
JP2005093731A (ja) 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ
JP2016066675A (ja) 希土類等方性ボンド磁石
JP3618647B2 (ja) 異方性磁石とその製造方法およびこれを用いたモータ
JP2002075715A (ja) 異方性バルク交換スプリング磁石およびその製造方法
JP2005093730A (ja) 異方性磁石、その製造方法、およびこれを用いたモータ
JP3622550B2 (ja) 異方性交換スプリング磁石粉末およびその製造方法
JPH10177911A (ja) 希土類ボンド磁石
JP4934787B2 (ja) 磁性合金およびボンド磁石
JP2925840B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JP2005272925A (ja) R−t−n系磁粉およびその製造方法
JP3103219B2 (ja) マグネットロールとその製造方法
JP3032385B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH07176417A (ja) 鉄基ボンド磁石とその製造方法
JP6278192B2 (ja) 磁石粉末、ボンド磁石およびモータ
JP2005272924A (ja) 異方性交換スプリング磁石材料およびその製造方法
JPH0636916A (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH0992515A (ja) 異方性ボンド磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060320

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080514

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080806

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081006

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081112