ところで、上述した熱線センサ付き自動スイッチは、タイマ回路の動作時間を変化させるために可変抵抗器のつまみ2を操作するものであるから、可変抵抗器とともにつまみ2が必要であって部品点数が多くなるという問題がある。しかも、熱線センサ付き自動スイッチを設置した後には動作時間の変更はほとんど必要ないにもかかわらず、種々の設置現場を想定して動作時間を広範囲に調節できる可変抵抗器を用いる必要があり、可変抵抗器のつまみの回転角度当たりの動作時間の変化が大きくなって、動作時間を精度よく調節することが難しいという問題を有している。また、動作時間は使用時を想定して設定されるから、熱線センサの検知エリアの確認や人の検知に対する負荷動作の確認や負荷との結線関係などの確認のために、試験動作を行うような場合には動作時間を最小値に設定するとしても、オン出力の発生から停止を1回繰り返す間に10秒程度よりも長い待ち時間が必要であって、検知エリアの確認などのために試験動作を繰り返すような場合には、多大な作業時間を要するという問題が生じる。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、可変抵抗器を用いることなく少ない部品点数でタイマ回路の動作時間を任意にかつ精度よく設定可能とし、さらには試験動作の際には動作時間を使用時よりも短くして試験作業を容易にする熱線センサ付き自動スイッチを提供することにある。
請求項1の発明は、規定した検知エリア内の人の存否を人体から放射される熱線により検知する熱線センサと、熱線センサにより人が検知されるとオン出力を発生しその後に熱線センサにより人が検知されなくなった時点から規定の動作時間が経過するとオン出力を停止させるタイマ回路と、熱線センサおよびタイマ回路を内蔵する器体とを備え、タイマ回路の動作時間を設定自在とする固定定数の時定数回路素子が器体の外側から着脱可能に接続されることを特徴とする。
この構成によれば、タイマ回路の動作時間を設定自在とする固定定数の時定数回路素子が器体の外側から着脱可能に接続されるから、タイマ回路の動作時間の規定値があらかじめ設定されているか否かにかかわりなく、時定数回路素子を器体の外側から装着することによってタイマ回路の動作時間を設定することができる。
タイマ回路の動作時間の規定値があらかじめ設定されている場合、つまり、時定数回路素子を装着しない状態でもタイマ回路が動作時間の規定値で動作する場合には、時定数回路素子を接続していない状態でも熱線センサにより人が検知されなくなった時点でオン出力がただちに停止するということがなく、たとえばオン出力によって照明を点灯させるような場合に、熱線センサで人が検知されなくなった瞬間に照明が消灯するのではなく、規定値として設定された動作時間は照明の点灯状態が維持されることになる。ここで、動作時間の規定値は、従来構成として説明したように10秒〜30分程度の範囲で調節可能であって、通常は1〜2分程度に設定されるから、熱線センサ付き自動スイッチの施工後に試験動作によって動作や接続を確認する際に、タイマ回路を規定値の動作時間で動作させると待ち時間が長くなるという問題を生じる。これに対して請求項1の発明では、時定数回路素子を装着することによって動作時間を規定値とは異なる値に設定することが可能であるから、時定数回路素子の装着により動作時間を一時的に短くすることにより、試験動作の際の待ち時間を短縮することができる。要するに、試験動作の際に時定数回路素子を一時的に接続することによって、試験動作の作業性が向上する。また、時定数回路素子によって動作時間を規定値とは異なる値に設定可能であるから、熱線センサ付き自動スイッチの設置現場に合わせて時定数回路素子を適宜に選択することが可能になる。ここで、設置現場に応じた動作時間を設定するにあたって器体に可変抵抗器を内蔵する必要がなく、可変抵抗器の操作のためのつまみなどが不要である上に、可変抵抗器のように不用意に触れることによって動作時間が変わってしまうこともない。
タイマ回路の動作時間が規定値として設定されていない場合、つまり時定数回路のみによってタイマ回路の動作時間を設定する場合にも、熱線センサ付き自動スイッチの設置現場に合わせて時定数回路素子を適宜に選択が可能になる。また、可変抵抗器を用いないから動作時間が不用意に変化することがない。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記タイマ回路が実装されるとともに前記時定数回路素子を接続するための接続部を備える回路基板が前記器体の内部に収納され、前記時定数回路素子は接続部と電気的に接続されるピン状の接続脚を備え、前記器体は接続部に対応する部位において接続脚が挿入される挿入孔を備えることを特徴とする。
この構成によれば、時定数回路素子に設けたピン状の接続脚を器体に設けた挿入孔に挿入するだけで時定数回路素子をタイマ回路に接続することができるから、時定数回路素子の接続作業が容易である。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記時定数回路素子は前記挿入孔に前記接続脚を挿入した状態において前記器体の外側面に当接するとともに固定定数の素子本体を搭載した素子基台を備え、器体の外側面に着脱可能に取着され器体への装着時に器体の外側面との間に素子基台を挟持する化粧カバーを備えることを特徴とする。
この構成によれば、時定数回路素子を器体に装着した状態で化粧カバーを器体に装着することによって、器体と化粧カバーとの間に時定数回路素子が挟持されるから、時定数回路と接続部との接触状態が安定に保たれる。しかも、時定数回路素子を器体に装着した状態では時定数回路が化粧カバーで覆われ、時定数回路素子を器体に装着していない状態では挿入孔が化粧カバーに覆われるから、使用者が時定数回路素子を勝手に着脱するのを防止することができる上に美麗な外観で施工することができる。また、試験動作のために時定数回路素子を一時的に装着する場合には、化粧カバーを器体から外しておけば時定数回路素子を容易に着脱することができる。
請求項4の発明では、請求項2または請求項3の発明において、前記接続部は、前記接続脚が差し込まれる差込口が開口するソケット台と、ソケット台の差込口の内部に配設され接続脚を弾性保持する接続導体とを備えたソケットからなることを特徴とする。
この構成によれば、時定数回路素子をソケットに差し込むから、時定数回路素子の保持強度を高めることができ、外部振動などを原因として時定数回路素子に接続不良が生じるのを防止することができる。
請求項5の発明では、請求項1ないし請求項4の発明において、前記時定数回路素子は固定抵抗であることを特徴とする。
この構成によれば、タイマ回路の動作時間を器体に装着される固定抵抗によって設定自在としており、タイマ回路の動作時間を決定する回路素子としては一般に抵抗とコンデンサとが用いられており、この種の回路素子では固定抵抗はコンデンサに比較すると小型であるから、器体において時定数回路素子を装着する部位が省スペースになる。
本発明の構成によれば、タイマ回路の動作時間を設定自在とする固定定数の時定数回路素子が器体の外側から着脱可能に接続されるから、タイマ回路の動作時間の規定値があらかじめ設定されているか否かにかかわりなく、時定数回路素子を器体の外側から装着することによって少ない部品数でタイマ回路の動作時間を正確に設定することができる。また、時定数回路素子を装着することによって動作時間を任意に設定可能であるから、試験動作時に使用時よりも短い動作時間となる時定数回路素子を装着することによって、試験動作の際の待ち時間を短縮することができ、試験動作の作業性が向上するという利点がある。また、時定数回路素子によって動作時間を任意に設定可能であるから、熱線センサ付き自動スイッチの設置現場に合わせて時定数回路素子を適宜に選択することが可能になる。さらに、設置現場に応じた動作時間を設定するにあたって器体に可変抵抗器を内蔵する必要がなく、可変抵抗器可変抵抗器の操作のためのつまみなどが不要である上に、可変抵抗器のように不用意に触れることによって動作時間が変わってしまうこともないという利点がある。
本実施形態は、図2に示す回路構成を有するものであって、商用電源のような交流電源ACと白熱電球である負荷LDとの直列回路が外部回路として端子T1,T2間に接続される。内部回路では、端子T1,T2間にスイッチ要素としての3端子双方向性サイリスタ(トライアック)Q1が挿入され、トライアックQ1の端子2とゲートとにダイオードブリッジDBの交流入力端が接続される。ダイオードブリッジDBは直流出力端間にはサイリスタQ4が挿入され、サイリスタQ4がオンになることによってトライアックQ1がトリガされるようにしてある。さらに、ダイオードブリッジDBの直流出力端間に集積回路からなる3端子レギュレータRGが接続され、さらに3端子レギュレータRGの出力端間にコンデンサC1が接続されており、3端子レギュレータRGから後段の回路に定電圧が供給される。3端子レギュレータRGの入力端間にはツェナーダイオードZD1が接続されており、ダイオードブリッジDBの出力電圧がツェナーダイオードZD1でクリッピングされることにより3端子レギュレータRGへの入力電圧の上限値が制限される。また、ツェナーダイオードZD1には大容量のコンデンサC2が並列に接続されており、ダイオードブリッジDBからの出力電圧が得られない期間においてもコンデンサC2から3端子レギュレータRGに電源を供給できるようにしてある。
ダイオードブリッジDBの正極とコンデンサC2の正極との間には、pnp形のトランジスタからなるスイッチング素子Q3のエミッタ−コレクタとダイオードD1との直列回路が挿入される。上述したサイリスタQ4のゲートはツェナーダイオードZD2を介してスイッチング素子Q3とダイオードD1との接続点に接続される。したがって、スイッチング素子Q3がオンになり、スイッチング素子Q3とダイオードD1との接続点の電位がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧に達するとサイリスタQ4がトリガされてオンになる。上述したダイオードD1はコンデンサC2の端子電圧によるツェナーダイオードZD2の導通を防止するために設けてある。
ところで、焦電形赤外線センサからなる熱線センサPSは検知回路としての増幅器を内蔵したものであって、熱線センサPSに入射する熱線量に人の検知とみなせる有効な変化が生じるとパルス状の出力を発生する。熱線センサPSの出力はタイマ回路TMに入力されタイマ回路TMをトリガする。タイマ回路TMは、npn形のトランジスタQ5からなるスイッチング素子を備え、スイッチング素子のコレクタ−エミッタにはタイマ回路TMの時定数を決定するコンデンサCtが並列に接続される。コンデンサCtとともにタイマ回路TMの時定数を決定する抵抗RtはコンデンサCtに直列接続され、コンデンサCtと抵抗Rtとの直列回路は、3端子レギュレータRGの出力端間に接続される。コンデンサCtの両端電圧は、コンパレータCP1によって、3端子レギュレータRGの出力端間に接続された抵抗R2,R3の直列回路で決定される基準電圧と比較され、コンデンサCtの両端電圧が基準電圧以下である期間にコンパレータCP1の出力がHレベルになる。このコンパレータCP1の出力がタイマ回路TMの出力であって、Hレベルがオン出力に対応する。
すなわち、タイマ回路TMでは、熱線センサPSから有効な出力が得られない期間にはスイッチング素子Q5がオフであって、コンデンサCtの両端電圧が抵抗R2,R3により決まる基準電圧以上に保たれることによってコンパレータCP1の出力がLレベルになっており、熱線センサPSにおいて人が検知されるとスイッチング素子Q5が短時間だけオンになりコンデンサCtが放電されることによってコンパレータCP1の出力がHレベルになるのである。熱線センサPSは熱線量が変化したときにのみスイッチング素子Q5をオンにするから、スイッチング素子Q5がオンになるのは短時間であって、コンデンサCtは放電直後に抵抗Rtを通して充電され、やがてコンデンサCtの両端電圧が基準電圧に達するとコンパレータCP1の出力がLレベルに戻り、オン出力が停止する。ただし、コンデンサCtの両端電圧が基準電圧に達する前に熱線センサPSが人を検知すると、スイッチング素子Q5が再びオンになってコンデンサCtを放電するから、コンパレータCP1の出力はHレベルに保たれ、オン出力が維持される。要するに、熱線センサPSの出力によってタイマ回路TMがトリガされるとオン出力が発生し、その後は、コンデンサCtと抵抗Rtとにより決まる動作時間の間に熱線センサPSにより人が検知されるたびにタイマ回路TMは再トリガされ、熱線センサPSにより人が検知されなくなってから動作時間が経過したときにオン出力が停止するのである。
ここにおいて、抵抗Rtの両端には接続部d1,d2が設けられており、接続部d1,d2には時定数回路素子としての固定抵抗Rxを着脱自在に接続できるようにしてある。接続部d1,d2に固定抵抗Rxを接続したときには、抵抗Rtに固定抵抗Rxが並列接続されるから、コンデンサCtに充電を開始してからコンデンサCtの両端電圧が基準電圧に達するまでの時間(つまり、動作時間)を短くすることになる。つまり、固定抵抗Rxの値によって動作時間を任意に設定することが可能になる。
コンパレータCP1のオン出力はnpn形のトランジスタからなるスイッチング素子Q2を介してスイッチング素子Q3のオンオフを制御する。つまり、コンパレータCP1の出力端はスイッチング素子Q2のベースに接続され、スイッチング素子Q2のコレクタがスイッチング素子Q3のベースに接続されるから、コンパレータCP1の出力がHレベルである期間(つまり、オン出力が発生している期間)に、スイッチング素子Q3がオンになる。スイッチング素子Q3がオンになると、ダイオードブリッジDBの出力電圧がツェナーダイオードZD2のブレークオーバ電圧を越える期間においてツェナーダイオードZD2が導通し、サイリスタQ4がオンになることによってトライアックQ1がオンになる。なお、スイッチング素子Q3がオフである期間にダイオードブリッジDBから3端子レギュレータRGおよびコンデンサC2に電流が流れるが、この電流ではトライアックQ1がオンにならないように定数を設定しているのは言うまでもない。また、ダイオードブリッジDCの出力電圧の瞬時値が0Vから上昇してツェナーダイオードZD2のブレークオーバ電圧に達した後にトライアックQ1がトリガされるから、タイマ回路TMからのオン出力によってトライアックQ1をオンにする期間においても、ダイオードブリッジDCの出力電圧の瞬時値が0VからツェナーダイオードZD2のブレークオーバ電圧に達するまでの期間は、トライアックQ1はオフであって3端子レギュレータRGに電源が供給される。
コンパレータCP1の出力端とスイッチング素子Q2のベースとの間には1回路3接点のスイッチからなる切換スイッチSWの共通接点が接続されており、切換スイッチSWの残りの3個の接点a〜cのうち接点aは3端子レギュレータRGの出力端の正極に接続され、接点cは3端子レギュレータRGの出力端の負極に接続される。また、接点bには何も接続されない。したがって、切換スイッチSWにおいて接点aが選択されるとスイッチング素子Q2のベースは常にHレベルになってタイマ回路TMからオン出力が与えられているのと同様の状態になり、タイマ回路TMの出力とは無関係にトライアックQ1がオンになる。また、接点cが選択されるとスイッチング素子Q2のベースは常にLレベルになってタイマ回路TMからのオン出力が停止しているのと同様の状態になり、タイマ回路TMの出力とは無関係にトライアックQ1がオフに保たれる。要するに、接点aはトライアックQ1を強制的にオンにし、接点cはトライアックQ1を強制的にオフにするのであって、両接点a,cの選択時には熱線センサPSの出力が無効になる。切換スイッチSWにおいて接点bを選択しているときにのみ熱線センサPSの出力が有効になり、タイマ回路TMからのオン出力の発生の有無に応じてトライアックQ1が自動的にオンオフすることになる。
ところで、負荷LDは白熱電球であって周囲が明るいときには点灯させる必要がないから、周囲照度を検知するCdSからなる明るさセンサBSを備えた明るさ検知回路BRを設けて、明るさセンサBSにより検知される周囲照度が規定値よりも高い(明るい)ときに熱線センサPSの出力を無効にする。明るさセンサBSは2個の抵抗R6,R7と直列接続され、明るさセンサBSと抵抗R6,R7との直列回路は3端子レギュレータRGの出力端間に接続される。抵抗R6,R7の接続点の電位は、コンパレータCP2によって、抵抗R4,R5と可変抵抗器VR1との直列回路により設定される基準電圧と比較される。コンパレータCP2の出力端はnpn形のトランジスタからなるスイッチング素子Q6のベースに接続され、スイッチング素子Q6のコレクタ−エミッタは、タイマ回路TMにおけるスイッチング素子Q5のベース−エミッタに接続される。明るさ検知回路BRでは、抵抗R6,R7の接続点の電位が基準電圧より低い期間においてスイッチング素子Q6をオンにし、スイッチング素子Q6がオンになると熱線センサPSの出力にかかわらずスイッチング素子Q5がオフになるから、タイマ回路TMの動作が無効になってタイマ回路TMからオン出力が発生しない状態に保たれる。抵抗R6,R7の接続点の電位が基準電位よりも高くなるのは、周囲照度が低下して明るさセンサBSの抵抗値が高くなったときであって、基準電圧によって決定される周囲照度よりも周囲照度が低い(暗い)期間にのみタイマ回路TMの動作が有効になり、熱線センサPSの出力に応じたオン出力の発生が可能になるのである。コンパレータCP2に与えられる基準電圧は可変抵抗器VR1によって調節可能であって、可変抵抗器VR1によりタイマ回路TMの動作が有効になる周囲照度を調節することができる。
コンパレータCP2に基準電圧を与える端子にはnpn形のトランジスタからなるスイッチング素子Q7のコレクタが接続され、スイッチング素子Q7はタイマ回路TMに設けたコンパレータCP1の出力を分圧する抵抗R8,R9によりオンオフが制御される。つまり、タイマ回路TMからオン出力が発生している期間(コンパレータCP1の出力がHレベルである期間)においてスイッチング素子Q7がオンになり、コンパレータCP2への基準電圧を0Vに引き下げる。したがって、明るさセンサBSにより検知される周囲照度が高くなってもスイッチング素子Q6がオンならず、タイマ回路TMからのオン出力の発生時には明るさ検知回路BRの動作を無効化する。これは、タイマ回路TMからのオン出力によって負荷LDである白熱電球が点灯したときに、明るさセンサBSで検知される明るさが高くなってもタイマ回路TMのオン出力を維持するためである。
上述した回路は、図1のようにプリント基板からなる1枚の回路基板5に実装され、回路基板5は以下に説明する器体1に収納される。以下、図1および図3〜図7を参照する。器体1は、前面開口する箱状のボディ10と、ボディ10の前面に覆着されるカバー20とを結合して形成される。ボディ10とカバー20とはともに合成樹脂成形品であって、ボディ10の上下両壁の外側面に一対ずつ突設した組立突起11に対して、カバー20の上下両壁から後方に延設された各一対の組立脚21にそれぞれ設けた組立孔22を係合させることによって、ボディ10とカバー20とが結合される。
ボディ10の内部空間であって1つの隅部には仕切壁12によって区画された端子収納室13が形成される。ボディ10の後面において端子収納室13に対応する部位は、図7のように他の部位に対して凹没した電線接続部14を形成しており、電線接続部14の底壁には円形に開口する一対の電線挿入口15と、両電線挿入口15に隣接して両電線挿入k値15に跨る部位に形成された長円状に開口する1個の操作孔16とが設けられる。一方、回路基板5において端子収納室13に対応する部位には、端子T1,T2となる断面コ字状である一対の端子板51が互いの脚片を向かい合わせにして実装される。各端子板51の内側にはそれぞれ板ばねを曲成した錠ばね52が配置され、両錠ばね52に跨る形で合成樹脂成形品の解除釦53が配置される。端子板51と錠ばね52と解除釦53とは速結端子として周知である構造の端子を形成し端子収納室13に収納される。ここに、本実施形態では、交流電源ACと負荷LDとの直列回路を接続するから2線で配線することができ、端子T1,T2も2端子となっている。つまり、器体1の内部空間において端子T1,T2の占有スペースを省スペースとし、部品点数も少なくなって低コスト化が可能になる。
端子板51と錠ばね52とは、電線挿入口15を通して端子板51と錠ばね52との間に導入された電線を錠ばね52のばね力によって挟持するとともに、錠ばね52に形成した鎖錠片の先端縁を電線に食い込ませることによって電線の抜け止めを行う。また、解除釦53は一部を操作孔16から露出させており、端子板51と錠ばね52との間に保持された電線を引き抜く際に、操作孔16を通してマイナスドライバのような工具を用いて解除釦53に外力を作用させることにより、錠ばね52に設けた鎖錠片を撓ませる。つまり、解除釦53によって電線に食い込んでいる鎖錠片を撓ませることによって電線の保持力を弱め、電線を引き抜くことを可能にする。
カバー20における左右方向の一側の外側面(図3における左側の外側面)には上下一対ずつの取付爪(図示せず)が突設され、他側の側壁には上下の中間部において上下2本の切込溝23aにより分離された可撓片23が形成されている。可撓片23の外側面には前記一側の外側面に突設した取付爪と同形状の一対の取付爪24が突設される。可撓片23の後端部は、カバー20の側壁の他の部位よりも後方に突出しており、ボディ10における左右方向の一側(図の右側)の側壁に設けた切欠窓17に対応する部位においてボディ10の側壁の内側に配置される。つまり、切欠窓17を通してボディ10の外側から可撓片23の後端部を器体1の内側に押圧することが可能になっている。
カバー20の前面には、下部の略3分の2と上部の略3分の1とにそれぞれ下部突台25と上部突台26とが突設される。下部突台25の前面中央部には矩形状に開口する挿通窓27が形成される。挿通窓27には、切換スイッチSWを操作するためのつまみ54が露出する。切換スイッチSWには1回路3接点のスライドスイッチを用いており、つまみ54は挿通窓27の内側で左右方向に移動する。
また、下部突台25の前面であって挿通窓27より下方には矩形状に開口するとともに上下両縁から半円状のガイド板28aが突設されたセンサ窓28が形成される。ガイド板28aの前端縁には互いに近付く向きに抜止片28bが延設されている。センサ窓28には、器体1の内側から受光レンズ40が装着される。受光レンズ40は回路基板5に実装した熱線センサPSおよび明るさセンサBSの前方を覆うように配置され、受光レンズ40の前面にはガイド板28aの周縁に沿って半円筒状に湾曲させたレンズカバー41が設けられる。受光レンズ40の構成については後述する。
下側突台25の前面であって挿通窓27より上方には、円形に開口する調節窓29が右側に形成され、左側に小径の2個の挿入孔56が形成される。調節窓29には、可変抵抗器VR1に設けたつまみ55が挿入される。可変抵抗器VR1は回転式であって、タイマ回路TMの動作を無効にする際の周囲照度は、つまみ55の回転方向における右側ほど高くなるようにしてある。また、つまみ55の右端位置では周囲照度によらずタイマ回路TMが動作するようになる。つまり、つまみ55の右端位置では明るさ検知回路BRが無効になる。挿入孔56には、時定数回路素子としての固定抵抗Rxに設けたピン状の接続脚57が挿入される。固定抵抗Rxは、チップ抵抗からなる固定定数の素子本体58bを素子基台58aに搭載したものであって、素子基台58aにはピン状である一対の接続脚57が突設されている。一方、器体1に収納される回路基板5には接続脚57に接触する接続部d1,d2が挿入孔56に対応する部位に形成されている。したがって、固定抵抗Rxの接続脚57を挿入孔56に挿入し、接続脚57の先端部を接続部d1,d2に接触させることによって、固定抵抗Rxをタイマ回路TMに接続することができる。この状態において素子基台58aは器体1の外側面に当接する。ここで、固定抵抗Rxの接続脚57を挿入孔56に挿入した状態で接続脚57と接続部d1,d2との接触状態が不安定にならないように、挿入孔56の内径を接続脚57の外径に略一致させておくのが望ましい。
カバー20に設けた下側突台25には化粧カバー30が着脱可能に取着される。化粧カバー30は下側突台25よりも上下寸法が大きく、下側突台25に装着した状態において下側突台25よりも下方に延長される部位を有している。下側突台25の上下の両外側面には一対ずつの引掛凹所25aが形成され、化粧カバー30の後面には引掛凹所25aに係合する4本の引掛脚(図示せず)が突設される。引掛脚の先端部にはフックが形成されており、フックが引掛凹所25aに凹凸係合することによって化粧カバー30がカバー20の前面に取着される。化粧カバー30をカバー20から外す際には、化粧カバー30を下部を前方に持ち上げるようにすればよく、特別な工具を用いることなく化粧カバー30を容易に着脱することができるようにしてある。
化粧カバー30には、カバー20の下側突台25に設けた挿通窓27に対応する部位につまみ54の一部を露出させる矩形状に開口した貫通窓31が形成され、貫通窓31の下方であってセンサ窓28に対応する部位には受光レンズ40を露出させる矩形状に開口した露出窓32が形成される。露出窓32に対応する部位の上下には前縁が弧状である突出片32aが形成され、突出片32aによって見映えが向上するとともに、不要な方向から受光レンズ40への熱線の入射を遮断することが可能になっている。さらに、化粧カバー30には貫通窓31の上方であって調節窓29に対応する部位には、可変抵抗器VR1のつまみ55が挿通される円形に開口した挿通窓33が形成される。ただし、化粧カバー30において挿入孔56に対応する部位には何も形成されておらず、化粧カバー30をカバー20に装着した状態において挿入孔56が化粧カバー30に隠れるようにしてある。さらに、固定抵抗Rxを器体1に取着した状態では、器体1(カバー20)の前面と化粧カバー30の裏面との間で固定抵抗Rxの素子基台58aが挟持される。したがって、固定抵抗Rxの器体1からの脱落が確実に防止され、接続脚57と接続部d1,d2との接触状態が安定に保たれるようになる。
化粧カバー30の上部であって可変抵抗器VR1のつまみ55が露出する部位には、開閉可能な蓋板34が設けられる。蓋板34は左右方向の一端縁(左端縁)が化粧カバー30に枢着され、つまみ55を覆う位置とつまみ55を露出させる位置との間で開閉可能になっている。すなわち、化粧カバー30の一端部には前方に向かって一対の軸受片35が突設され、軸受片35の対向面に形成された軸受溝35aに対して蓋板34の一端部(左端部)の上下両面に突設した軸突起34aを嵌合させることによって、蓋板34が化粧カバー30に枢着されている。また、蓋板34の他端部(右端部)には係止フック36が突設され、蓋板34により化粧カバー30の一部を覆った状態において係止フック36が化粧カバー37の係止孔37に挿入され、係止フック36が係止孔37の周縁に係止されることによって蓋板34が化粧カバー30の一部を覆った状態(つまり、閉じた状態)に保持され、つまみ55が不用意に操作されたり誤操作されたりするのを防止することができる。一方、蓋板34を開ければつまみ55が露出するから、つまみ55を用いてタイマ回路TMの動作を無効にする周囲照度を設定することが可能になる。
化粧カバー30の上部突台26は後述する取付枠60に装着されるブランクカバー38により覆われる。ブランクカバー38は化粧カバー30とは左右幅が等しく、ブランクカバー38の上部は器体1(カバー20)の上面よりも上方に延長されている。ブランクカバー38の左右両端部の後面には取付フック39が突設されており、取付フック39を取付枠60に係合させることによって、取付枠60にブランクカバー38が取着される。
ところで、熱線センサPSの視野を制御するために、図8に示すように、熱線センサPSには円筒状に形成されたミラー70が装着される。ミラー70は合成樹脂成形品に反射率を高めるために金属のメッキを施したものであって、図9に示すように、円筒状に形成された取付筒71の軸方向の一端側に取付台72を介して一対のミラー片73を設けた形状に形成されている。両ミラー片73は、図9(b)のように、間隙を介してV字状に配置されており、熱線センサPSの前方にミラー片73が位置することによって、熱線センサPSを単独で用いる場合よりも左右方向において広視野になる。これは、ミラー片73によって一旦反射した熱線と、ミラー片73の間隙を通る熱線とがともに熱線センサPSに入射するからである。ただし、ミラー70には方向性があるから熱線センサPSに対するミラー70の取付向きを定めることが必要である。そこで、取付筒71の後面に位置決め突起74を突設し、回路基板5には位置決め突起74が挿入される位置決め孔5aを穿孔してある(図8(a)参照)。したがって、熱線センサPSにミラー70を装着する際に、位置決め突起74を位置決め孔5aに挿入すれば、熱線センサPSがに対してミラー70の位置決めを行うことができる。
一方、受光レンズ40は、図10に示すように、それぞれ半円状である上下一対の保持板42を有し、上下の保持板42の後端部間には前方に膨出した形状のレンズ本体43を備えたレンズ保持台44が連続一体に設けられる。レンズ本体43は複数個の小レンズ43aの集合体であって、熱線センサ43の視野を覆うレンズ本体43を小レンズ43aの集合体とすることによって、熱線センサ43の視野内で感度むらを付与している。したがって、熱線センサ43の視野内であっても人が移動すると熱線センサPSで受光する熱線量に変化が生じ、熱線センサPSから人の検知に対応した出力が発生するようにしてある。レンズ保持台44の一方の側面の後端縁には帯板状であるレンズカバー41の一端部が結合されており、レンズ保持台44の他方の側面にはレンズカバー41の他端部に設けた結合孔41aに挿入される結合突起44aが突設されている。したがって、図11(a)のようにレンズカバー41をレンズ保持台44に対して展開した状態から、図11(b)のように保持板42の前縁に沿ってレンズカバー41を湾曲させ、結合突起44aに結合孔41aを凹凸係合させることにより、レンズ本体43をレンズカバー41で覆うことになる。このような構成とすることによって、レンズ本体43の前方をレンズカバー41で凹凸の少ない美麗な外観としながらも、受光レンズ40の全体を合成樹脂成形品として一体に形成することができることになる。
レンズカバー41の前面にはガイド板28aの前縁に沿ってスライド可能な一対の遮熱板45が配置される。遮熱板45の材料には、可視光に対しては透明な材料であって人体から放射される熱線を遮断するポリカーボネートのような材料が選択される。遮熱板45はレンズカバー41の前面と同曲率を有するように湾曲した形状に形成され、遮熱板45の上下両側部は受光レンズ40の前面とガイド板28aに設けた抜止片28bとの間に保持される。すなわち、受光レンズ40をカバー20に装着した状態において、抜止片20bの後面と受光レンズ40との間には遮熱板45の厚み程度の隙間が形成されるようにしてある。各遮熱板45は、レンズカバー41の周方向の略半分ずつの範囲内で移動可能であって、両遮熱板45の距離を最小にしたときにも遮熱板45は接触せずに小さい間隙が形成されるように遮熱板45の移動範囲が制限されている。遮熱板45は独立して移動するから、熱線センサPSの視野を遮熱板45によって制限する場合には、左右対称な検知エリアだけではなく、左右非対称な検知エリアも設定可能である。
上述した熱線センサ付き自動スイッチを壁面などの施工面に取り付けるにあたっては、金属製の取付枠60を用いる。取付枠60は埋込形の配線器具に用いるものと同様の形状であって、上下方向に長い矩形枠状に形成される。すなわち、上下一対の取付片61と、両取付片61の左右各端部同士を上下方向に連結する左右一対の側片62とを連続一体に備えるものであって、取付片61と側片62とに囲まれた矩形状の窓孔63に器体1が装着される。各側片62は断面L字状であって、各側片62にそれぞれ2個1組の取付孔62aが3組ずつ開口している。したがって、取付枠60の後方から器体1の右側面に突設した取付爪24を右側の側片62に設けた上下2組の取付孔62aに挿入した後に、器体1を取付枠60に後方から押し付けることによって、器体1の左側面に設けた取付爪24を左側の側片62に設けた中央の1組の取付孔62aに係合させ、器体1を取付枠60に保持させることができる。化粧カバー30およびブランクカバー38は取付枠60の前方から装着され、化粧カバー30は上述のように器体1に結合される。また、ブランクカバー38は、取付フック39を取付枠60の窓孔63の周縁に係止することによって取付枠60に保持される。
取付枠60の取付片61には取付枠60を種々の形態で施工面に取り付けるための各種形状の孔が穿孔されているが、この種の取付枠60を施工面に固定する技術は周知であるから、代表的な施工方法としてスイッチボックスを用いる場合を例として説明する。すなわち、各取付片61にはそれぞれ左右方向に長い長孔状のボックス用孔64が形成されており、ボックス用孔64を通してボックス用ねじ66をスイッチボックスに螺合させることによって、取付枠60がスイッチボックスに取り付けられる。したがって、器体1の後部は施工面に埋め込まれることになる。ここに、化粧カバー30およびブランクカバー38は、取付枠60を施工面に固定した後に取着されるのであって、化粧カバー30およびブランクカバー38によってボックス用孔64と側枠62とが覆われる。
上述のように器体1の後部は施工面に埋め込まれるから、施工面には埋込孔が必要であって、埋込孔および取付枠60を覆って美麗な外観に仕上げるために、取付枠60の周部には化粧プレート80が取着される。化粧プレート80は、図12に示すように、プレート枠81とプレート枠81の前面に重ねられるプレート本体82とからなる。プレート枠81とプレート本体82とは、それぞれ化粧カバー30およびブランクカバー38が同時に挿入される窓孔83,84を有した矩形枠状に形成されている。プレート本体82は、後面に突設した爪がプレート枠81の周部に形成した結合孔85に係合することによってプレート枠81に結合される。プレート枠81の上下両端部にはプレート取付孔86が穿孔されており、取付枠60の取付片61に設けたねじ孔65に対して、プレート取付孔86を通してプレートねじ87を螺合させることにより、プレート枠81が取付枠60に取着される。つまり、器体1を取り付けた取付枠60にプレート枠81を取着した後にプレート本体82をプレート枠81に結合することによって施工が完了する。
一方、器体1を取付枠60から取り外す際は、化粧プレート80を取付枠60から外し、取付枠60を施工面から外した後に、可撓片23の後端部であって取付枠60の後方に露出している部位に対して、器体1の内側に向かう押圧力を作用させると、可撓片23に設けた取付爪24が取付孔62aから抜けるから、器体1を取付枠60から取り外すことが可能になる。
なお、上述の例では、あらかじめ回路基板5に実装されている回路素子によってタイマ回路TMによる動作時間が規定されており、時定数回路素子としての固定抵抗Rxを接続することによって動作時間を変更する例を示したが、回路基板5に実装された回路素子では動作時間が決定されず時定数回路素子を接続することによって動作時間が決定される構成を採用してもよい。また、時定数回路素子として固定抵抗Rxを示したが、固定抵抗とコンデンサとを組み合わせた時定数回路素子を用いてもよい。さらに、接続部d1,d2を回路基板5に直接形成して固定抵抗Rxの接続脚57を接触させる構成としているが、接続脚57が差し込まれる差込口が開口するソケット台と、ソケット台の差込口の内部に配設され接続脚57を弾性保持する接続導体とを備えたソケットを用いて接続部を構成してもよい。つまり、2口のソケットを回路基板5に実装しておき、ソケットに固定抵抗Rxの接続脚57を差し込むようにすれば、ソケットに設けた接続導体によって固定抵抗Rxの脱落が防止されて固定抵抗Rxの接続の安定性が向上し、外部からの振動があっても固定抵抗Rxと接続部d1,d2との接続状態を保つことが可能になる。