JP2005092307A - 版ずれ補正方法及び装置ならびに記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラッピング処理が施されていない文書に限ってラスタイメージプロセッサにおいてトラッピング処理を施す。
【解決手段】PDLデータが入力されたなら、それを解釈してアプリケーションでPDLコマンドとして付加されたトラップ処理命令の有無を判定し(S504)、無ければ文書に含まれるベクタオブジェクトのうち、重複するオブジェクト群を取得する(S507)。さらにその中から互いに重複するオブジェクト対を取得し(S508)、2つオブジェクト間の色差に基づいてトラッピング処理対象であるか判定する(S509)。対象であればその数を数え、オブジェクト対を合成したオブジェクトに多のオブジェクトが含まれるか判定する(S512)。あれば、それはトラッピング済みのオブジェクト対であるとしてその数を数える。それら数えられた値の比に基づいて、トラッピング済みか否か判定し、済んでいなければトラッピング処理を実行する。
【選択図】図5
【解決手段】PDLデータが入力されたなら、それを解釈してアプリケーションでPDLコマンドとして付加されたトラップ処理命令の有無を判定し(S504)、無ければ文書に含まれるベクタオブジェクトのうち、重複するオブジェクト群を取得する(S507)。さらにその中から互いに重複するオブジェクト対を取得し(S508)、2つオブジェクト間の色差に基づいてトラッピング処理対象であるか判定する(S509)。対象であればその数を数え、オブジェクト対を合成したオブジェクトに多のオブジェクトが含まれるか判定する(S512)。あれば、それはトラッピング済みのオブジェクト対であるとしてその数を数える。それら数えられた値の比に基づいて、トラッピング済みか否か判定し、済んでいなければトラッピング処理を実行する。
【選択図】図5
Description
本発明は、カラープリンタ等で画像形成する場合に、各色版の間に生じる位置ずれを補正するための版ずれ補正方法及び装置ならびにそれらを実現するプログラムおよびそれを記憶する記憶媒体に関する。
カラーの多色印刷においては、印刷対象のカラー画像が、重なり合う複数の異なる色のオブジェクトを含む場合、重なり合った部分の色が混ざらないように、下になったオブジェクトの重なり部分を切り取るように、各色成分の原版が作成される。このように他のオブジェクトの下になるオブジェクトを切り取る処理をノックアウトと呼ぶ。このようにノックアウトした版で印刷を行う場合、ノックアウト処理した部分におけるずれを補正するために、トラッピングと呼ばれる技法がある。トラッピングとは、版がずれた部分を、そのずれを目立たなくさせるよう補正する、版ずれ補正処理の技術である(たとえば、特許文献1参照)。
ノックアウト処理した部分においてずれが生じると、色材が載らない空白領域が生じてしまう。そこで、トラッピング処理により、複数のオブジェクトが交差する部分に、例えば上側のオブジェクトの色と下側のオブジェクトを色との中間的な色の部品を付け加えることで、もしもずれにより空白が生じたとしてもそれが目立たないように予め処置しておく。
互いに重なる2つのオブジェクトを印刷する場合、一方のオブジェクトにより覆われる部分(被覆部分)を削除し、オブジェクトを組み合わせて印刷する。この場合、印刷結果においては版のずれが発生する場合がある。そのずれを補正する技術がトラッピングである。例えば、ノックアウト処理により切り取られたオブジェクトの部分に、互いに接するオブジェクトの色の混合色の細い帯状の部品を付加しておく。
トラッピング処理は、コンピュータにより実行されるデスクトップパブリシング(DTP)用ソフト等のアプリケーションプログラムで行う方法と、ラスタイメージプロセサ(RIP)によるラスタイメージデータの生成(この処理を単にRIPと呼ぶ。)時に行う方法とがある。DTPアプリケーションソフト側で行う場合は、ドキュメント作成時にトラッピングを行い、トラッピングが施されたドキュメントのデータ(ページ記述言語(PDL)により記述されたデータ)を出力機(たとえばプリンタ)に送り印刷処理を行う。
RIP処理でトラッピング処理を行う場合には、2つの方法が考えられる。第1は、アドビシステムズ社のポストスクリプト(PS)又はポータブルドキュメントフォーマット(PDF)のIn−RIPトラップのように、DTPアプリケーションソフトにおいて、トラッピングを行うための設定項目だけをPDLに設定し、RIP時にそのPDLに従い処理を行う方法である。第2は、RIPのユーザインターフェース(UI)においてトラップの設定を行わせ、その設定に従ってRIP時にトラッピング処理を行う方法である。
特開2000−165694号公報
しかしながら、前記第2の方法でトラッピングを行うRIPを利用した場合、そのRIPは、送られてきた各オブジェクトにUIでの設定に従いトラッピングをかけてしまう。つまり、DTPソフト等で既にトラッピングが終了しているドキュメントに対しても、設定に従ってRIPにおいて再度トラッピングをかけてしまう可能性がある。これは、ドキュメントを作成した本人以外は、そのドキュメントがどのように作成されたものか、すなわちDTPソフトによりトラッピング処理済みのドキュメントであるか否か判断できないためである。
本発明は、上記従来例に鑑みて成されたもので、ドキュメントの内容を解析し、DTPソフト等で既にトラッピング処理の設定がされているものか、又はDTPソフト等でトラッピング処理自体が既に終了しているものなのかを判定し、トラッピングがかけられていないドキュメントのみに適切なトラッピングをかけることができる版ずれ補正方法及び装置ならびにそれらを実現するプログラムおよびそれを記憶する記憶媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
版ずれ補正方法であって、予めトラッピングのための設定項目を設定する設定ステップと、
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定するステップと、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定ステップと、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップにおいてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定ステップによる設定に従いトラッピング処理を行うステップとを有する。
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定するステップと、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定ステップと、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップにおいてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定ステップによる設定に従いトラッピング処理を行うステップとを有する。
さらに好ましくは、前記トラッピングのための設定項目には、補正のためのトラッピングエリアを作成するためのトラッピングエリアの幅と、トラッピングを施すかどうかを判断するための重なり合うオブジェクト同士の色差と、トラッピングを施すオブジェクトの種類とを含む。
さらに好ましくは、前記判定基準値には、2つのオブジェクト間の基準色差と、基準トラッピング率とを含む。
さらに好ましくは、前記第2の判定ステップは、処理対象のドキュメントに含まれるオブジェクトを取り込むステップと、
取り込んだオブジェクトから、重複するオブジェクト群をピックアップするステップと、
ピックアップした前記オブジェクト群の中から互いに重複するオブジェクト対をピックアップするステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対がトラッピング処理の対象となるかどうかを判定する第3の判定ステップと、
第3の判定ステップによる判定の結果、トラッピング処理の対象となると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第1のカウントステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対に実際にトラッピングが施されている可能性があるかどうかを判定する第4の判定ステップと、
第4の判定ステップによる判定の結果、実際にトラッピングが施されている可能性があると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第2のカウントステップと、
トラッピングが施されている率を示す実施トラッピング率を算出するステップとを有し、
前記実施トラッピング率と前記基準トラッピング率とを比較して、前記実施トラッピング率の方が大きい場合は、処理対象のドキュメントはトラッピングが既に施されていると判定する。
取り込んだオブジェクトから、重複するオブジェクト群をピックアップするステップと、
ピックアップした前記オブジェクト群の中から互いに重複するオブジェクト対をピックアップするステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対がトラッピング処理の対象となるかどうかを判定する第3の判定ステップと、
第3の判定ステップによる判定の結果、トラッピング処理の対象となると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第1のカウントステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対に実際にトラッピングが施されている可能性があるかどうかを判定する第4の判定ステップと、
第4の判定ステップによる判定の結果、実際にトラッピングが施されている可能性があると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第2のカウントステップと、
トラッピングが施されている率を示す実施トラッピング率を算出するステップとを有し、
前記実施トラッピング率と前記基準トラッピング率とを比較して、前記実施トラッピング率の方が大きい場合は、処理対象のドキュメントはトラッピングが既に施されていると判定する。
さらに好ましくは、前記第3の判定ステップは、前記注目オブジェクト対を構成しているオブジェクト間の色差を算出するステップと、
算出した色差と前記基準色差とを比較するステップとを有し、
前記算出した色差の方が大きい場合は、前記注目オブジェクト対は、トラッピング処理の対象となると判定する。
算出した色差と前記基準色差とを比較するステップとを有し、
前記算出した色差の方が大きい場合は、前記注目オブジェクト対は、トラッピング処理の対象となると判定する。
さらに好ましくは、前記第4の判定ステップは、前記第3の判定ステップによりトラッピング処理の対象となると判定された注目オブジェクト対を構成する2つのオブジェクトを合成して1輪郭の1つのオブジェクトを作成する合成ステップと、
前記互いに重複するオブジェクト群を構成している複数のオブジェクトの中に、前記合成ステップにより作成したオブジェクトに内包されるオブジェクトがあるかどうか判定する第5の判定ステップとを有し、
前記第5の判定ステップによる判定の結果、内包されるオブジェクトがあった場合、トラッピングが実際に施されている可能性があると判定する。
前記互いに重複するオブジェクト群を構成している複数のオブジェクトの中に、前記合成ステップにより作成したオブジェクトに内包されるオブジェクトがあるかどうか判定する第5の判定ステップとを有し、
前記第5の判定ステップによる判定の結果、内包されるオブジェクトがあった場合、トラッピングが実際に施されている可能性があると判定する。
さらに好ましくは、前記実施トラッピング率は、前記第2のカウントステップにより求められた、トラッピングが実際に施されている可能性があるオブジェクト対の数を、前記第1のカウントステップにより求められた、トラッピング処理の対象となるオブジェクト対の数で割ることにより求められる。
さらに好ましくは、予めトラッピングのための設定項目を設定する設定手段と、
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定する手段と、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定手段と、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントかどうかを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段においてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定手段による設定に従いトラッピング処理を行うトラッピング手段と
を有する。
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定する手段と、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定手段と、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントかどうかを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段においてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定手段による設定に従いトラッピング処理を行うトラッピング手段と
を有する。
以上説明したように本発明によれば、既にトラッピング処理が施されたドキュメントかどうかを判定し、トラッピングが施されていないドキュメントについてトラッピング処理を施すことが可能となる。一方、既にトラッピング処理が施されたドキュメントについてはトラッピング処理を施さないよう処理できる。このため、多重にトラッピング処理を施すことに起因する画像品質の低下や処理負荷の増大を防止できる。
[第1実施形態]
次に発明の第1実施形態について説明する。
次に発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる基本的な構成を示すブロック図である。
図1においてCPU1は中央処理装置であり、本装置全体の制御及び演算処理を行う。RAM2はランダムアクセスメモリであり、処理毎にそれぞれのプログラム、たとえば後述のフローチャートに示すプログラム、及びデータ、たとえば後述するフローチャートにおいて処理されるドキュメントデータや処理対象とするオブジェクト、あるいは処理中に利用されるカウンタ等のデータがロードされ、CPU1によって実行される領域である。実行されるプログラムとしては、文書処理等のアプリケーションプログラムや、オペレーティングシステム(OS)、後述するフローチャートの版ずれ補正処理を含むラスタイメージプロセッサ(RIP)等がある。
ROM3は読み出し専用メモリであり、システム制御プログラムや、フォントデータなどの記憶領域である。KBC4はキーボード制御部であり、キーボード5(KB)からのキー入力によりデータを受け取りCPU1へ伝達する。PRTC6はプリンタ制御部であり、プリンタ装置7(PRT)を制御するためのものである。プリンタ装置7は、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタなどである。CRTC8はディスプレイ制御部であり、ディスプレイ装置9(CRT)への表示制御を行う。DKC10はディスク制御部であり、データ伝送などの制御を行うものである。外部記憶装置11はFD(フロピーディスク装置)あるいはHD(ハードディスク装置)あるいはCD(CDROM)などの外部記憶装置であり、プログラム及びデータを記憶させておき、実行時必要に応じて参照またはRAM2へロードする。システムバス12は、上述の構成要素間におけるデータ転送の通路となるべきものである。
本装置は、基本I/O(入出力)プログラム、OS(オペレーティングシステム)および以下に説明する版ずれ補正プログラムをCPU1が実行することにより動作する。なお版ずれ補正プログラムは独立したプログラムであるものとして説明するが、RIP等の他のプログラムの一部として実行されるものであってもよい。
基本I/OプログラムはROM3に記憶されており、OSは外部記憶装置(特にHD)11に書き込まれている。そして本装置の電源がオンにされたとき、基本I/Oプログラム中のIPL(イニシャルプログラムローディング)機能によりHD11からOSがRAM2に読み込まれ、OSの動作が開始される。
本実施形態では、版ずれ補正制御プログラムおよび関連データは図2のようにFD、またはCDROM中に記録されており、このFDまたはCD−ROMに記録された版ずれ補正制御プログラムおよび関連データは図3に示すように、FDドライブまたはCD−ROMドライブを通じて、本装置のHD11にインストールする事ができる。この場合FDまたはCD−ROMをFDドライブまたはCD−ROMドライブにセットすると、OS及び基本I/Oプログラムの制御のもとに版ずれ補正制御プログラム及び関連データがFDまたはCD−ROMから読み出され、HD11にインストールされて動作可能となる。図4は版ずれ補正制御プログラムがHD11にインストールされ実行可能になった状態のメモリマップを示す。
図5及び図6は本実施形態における版ずれ補正(以後トラッピングと呼ぶ)処理プログラムの流れを示すフローチャートである。トラッピングは版ずれ補正の技術であり、ベクターオブジェクトに限らず、イメージやフォント等ドキュメントを構成するすべてのオブジェクトが対象となる。ただし、本実施形態においては、説明を分かりやするためにベクターオブジェクトのみにトラッピングをかけることを目的にした場合を例にとって説明する。このフローチャートのプログラムは、独立したプログラムであってもよいが、本実施形態では、ラスタイメージプロセサにおいて実行されるプログラムモジュールであるものとする。図6の処理の後には、生成されたトラッピングエリアは新たなオブジェクトとしてPDLにより記述され、プリンタ等に送出されてそこでPDLが解釈実行されてプリントが行われる。あるいは、図6の処理の後に、生成されたトラッピングエリアを含むラスタイメージが生成されて、それがプリンタ等に送出されてそこでプリントが行われる。さて、次に版ずれ補正処理について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。なお、この手順はドキュメント全体を対象としているが、ページ単位で図5及び図6の処理を実行し、それをドキュメント全体について行うよう構成することもできる。
まずステップS501では、特定のドキュメントに対する印刷命令が発生し、それが図5,6のプログラムに入力される。印刷命令は、たとえば、アプリケーション等で作成された文字やグラフィクス等のオブジェクトを含むドキュメントをページ記述言語(PDL)により記述したPDLデータであり、印刷ジョブである。
次にステップS502で、ユーザインターフェースを用いて、版ずれ補正に関する各種設定を行う。ただしこの設定は、ステップS501記載の印刷命令が発生する前に、図5,6の処理とは非同期に行われても構わない。このユーザインターフェースにおける各種設定には以下のようなものが含まれる。
(1)トラッピングによって発生させられるトラッピングエリアの幅や色の設定など、トラッピングエリアの発生に関する各種トラッピングエリア設定。
(2)アプリケーションプログラムによってトラッピング処理が済んでいると判定されたドキュメント、又は、In−RIPトラップの設定がなされていると判定されたドキュメントに対して、その設定を優先してトラッピング処理はRIPでは行わないか、又はRIPにおいて設定されたトラッピング処理を行うかを示すトラッピング処理指定。
(3)トラッピングが既にかけられているかどうかの判定基準値(基準色差及び基準トラップ率)。
これらの設定値は、それぞれの設定値を読み出せるよう一定の形式でRAM2やハードディスク等に格納される。
(1)トラッピングによって発生させられるトラッピングエリアの幅や色の設定など、トラッピングエリアの発生に関する各種トラッピングエリア設定。
(2)アプリケーションプログラムによってトラッピング処理が済んでいると判定されたドキュメント、又は、In−RIPトラップの設定がなされていると判定されたドキュメントに対して、その設定を優先してトラッピング処理はRIPでは行わないか、又はRIPにおいて設定されたトラッピング処理を行うかを示すトラッピング処理指定。
(3)トラッピングが既にかけられているかどうかの判定基準値(基準色差及び基準トラップ率)。
これらの設定値は、それぞれの設定値を読み出せるよう一定の形式でRAM2やハードディスク等に格納される。
次にステップS503へ進み、ステップS501で入力されたPDLデータの解析(インタープリット)を行う。次にステップS504へ進み、処理対象のPDLがPSやPDFの場合、その記述の中に、In−RIPトラップの設定が記述されていないか、つまり、アプリケーション側(DTPソフト側)でトラップの設定及び命令がされていないかを判定する。In−RIPトラップの記述があった場合はステップS505へ進む。ステップS505では、ステップS502におけるユーザインターフェース設定で、アプリケーションにおけるトラップ指定を優先するかどうかのトラッピング処理指定の設定値を判定する。アプリケーションでの指定を優先する設定になっていた場合は、RIPにおいてはトラッピング処理を施さないために、「A」つまり、図6のステップS517の出口へ進む。ステップS505においてトラッピング処理指定の設定値がアプリケーションでの指定を優先しない設定になっていた場合は、PDLのトラップに関する記述を無視してRIPにおいてトラッピング処理を実行するために、「B」つまり、図6のステップS517の入り口へ進む。
一方、ステップS504での判定で、In−RIPトラップの記述がないと判定された場合はステップS506へ進む。ステップ506では、PDLデータのうちから、ドキュメントを構成するベクターオブジェクトのデータだけを取り出す。他の種類のオブジェクトについては本実施形態では処理対象としないが、たとえばアウトラインフォントなど、文字であってもベクターデータであれば本実施形態の処理を適用できる。次にステップS507に進み、テップS506で取り出したベクターオブジェクトデータのうち、重なり合うベクターオブジェクト群をピックアップ(抽出)する。この重なり合うベクターオブジェクト群とは、図9に示すように、重なりが発生している2つ以上のオブジェクトのグループ901〜904のそれぞれを言う。例えばグループ901に含まれるオブジェクトAとEのように、直接的な重複がなくとも他のオブジェクトを介して重複していれば1つのオブジェクト群を構成する。なおステップS507までに、この後の処理で用いる2つのカウンタ変数(トラッピング対象カウンタおよびトラッピング実施カウンタ)をRAM2に確保し、その値を0に初期化しておく。
次にステップS508へ進み、ステップS507でピックアップしたオブジェクト群の中から、互いに重複するオブジェクト対を注目オブジェクト対としてピックアップする。例えば図9のグループ901を例にとると、互いに重複するオブジェクト対には、A−B、A−C、A−D、B−C、C−D、C−E、D−Eの7対がある。
次にステップS509へ進み、注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が、ステップS502で指定された色差(基準色差)以上であるかを判定する。色差とは2つのオブジェクトの色の差を示す値である。色差の値は表色系により表し方が異なるが、たとえば、JIS8730Zには、Lab表色系およびLuv表色系による色差の計算方法が標準化されており、この方法を用いることもできる。また、これらの表色系では、色差は、明度、クロマ、色相の色差成分に分けることができるので、このうちの特定の成分、たとえば色相成分のみを色差として利用することもできる。なお、PDLデータがRGB等、Lab表色系およびLuv表色系以外の表色系で示されている場合であってもその表色系に応じた色差定義式を用いることができるし、あるいはLab表色系およびLuv表色系に変換することもできる。
さて、ステップS509では、注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が、ステップS502においてユーザインターフェースで指定された基準色差よりも小さければ、注目オブジェクト対はトラッピング処理の対象とはならないと判定され、ステップS513の出口に進む。注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が基準色差よりも大きい場合には、注目オブジェクト対はトラッピング処理対象となるものと判定し、ステップS510へ進む。
ステップS510では、トラッピング対象となるオブジェクト対の数を数える。つまり、トラッピング対象カウンタに1を加算する。次にステップS511へ進み、トラッピング処理対象であると判定された注目オブジェクト対を合成して1輪郭の1つのオブジェクトを新たに作成する。この新たに作成されるオブジェクトはステップS512における判定のみを目的とし、RAM2等に設けた仮のメモリ領域に作成される。
次にステップS512へ進み、注目オブジェクト対が含まれていたオブジェクト群の中に、注目オブジェクトを合成して成るあらたなオブジェクトに内包されるオブジェクトが、注目オブジェクト以外にあるかどうかを判定する。この判定は、「注目オブジェクトを合成して成るあらたなオブジェクトに内包されるオブジェクト」は、アプリケーション等で実行済みのトラッピング処理により作成されたトラッピングエリアである可能性が高いという事実に基づく。判定の結果、内包するオブジェクトがなかった場合は、注目オブジェクト対についてはトラッピング処理が施されていないものと判断してステップS513の出口へ進む。一方、ステップS512における判定の結果、内包するオブジェクトがあった場合は、注目オブジェクト対についてはトラッピング処理が施されている可能性が高いと判定して、あるいはトラッピング処理が施されているとみなしてステップS513へ進む。
ステップS513では、ステップS511で合成したオブジェクトに内包されるオブジェクトをトラッピング処理により生成されたトラッピングエリアであると推定して、あるいはみなして、トラッピング実施カウンタに1を加算する。
次にステップS514へ進む。ステップS514以降は図6に示す。ステップS514では、オブジェクト群に含まれる互いに重複するオブジェクト対すべてに対して上記処理(S508〜S513)を行ったかどうか確認する。行っていない場合には、「D」つまり、図5のステップS508の入り口へ戻り、未処理のオブジェクト対を新たな注目オブジェクト対として上記処理を繰り返す。すべてのオブジェクト対に対して処理が完了していたならばステップS515へ進む。
ステップ515では、トラップ率を算出する。トラップ率とは、ステップS513でカウントしたトラッピング実施カウンタの値、すなわちトラッピングエリアが作成されていると推定されたあるいはみなされたオブジェクト対の数を、ステップS510でカウントしたトラッピング対象カウンタの値、すなわちトラッピング対象となるオブジェクト対の数で割ることで求めた率である。
次にステップS516へ進み、算出されたトラップ率が、ステップS502において、ユーザインターフェースから設定された基準トラップ率以上かどうかを判定する。基準トラップ率とは、ステップS509において参照される基準色差と同様に、処理対象のドキュメントに既にトラッピング処理が施されているか否かを判定するための基準値として設定したトラップ率である。ここで、ステップS515で算出されたトラップ率が基準トラップ率よりも高い場合は、処理対象のドキュメントには既にトラッピングが施されていると判定し、ステップS517の出口へ進み、この処理を終了する。ステップS515で算出されたトラップ率が基準トラップ率よりも低い場合は、処理対象のドキュメントにはトラッピングが施されていないと判定し、ステップS517へ進む。ステップS517では、ステップS502においてユーザインターフェースから設定された各種トラッピング処理のための設定値に従い、当該ドキュメントにトラッピング処理を施す。
トラッピング処理自体は公知の技術であるが、ここで簡単にその一例を説明すると以下のように行われる。すなわち、図5のステップS517における処理は、図5の手順からステップS501〜S505およびステップS515〜S517を削除し、ステップS510〜S513を以下の処理に置換した処理により実現できる。その置換により行われることとなる処理とは、図5のステップS502において設定されたトラッピングエリア設定における「色」設定に従い、互いに重複する2つのオブジェクトの色の混合等によりトラッピングエリアの色を決定する。そして、これもトラッピングエリア設定に従いその幅、および2つのオブジェクトの接する形状及び長さに基づいてトラッピングエリアの長さ及び位置を決定する。決定された幅及び長さから形状を決定する。そして、そのトラッピングエリアを、互いに重複する2つのオブジェクトの上に重ねられるオブジェクトとして、処理対象のドキュメントを記述したPDLデータに付加する。このようにすることで、ラスタイメージデータ生成の際に、互いに重複するオブジェクト間にトラッピングエリアが形成される。
以上のように、本実施形態によれば、RIPに入力されたドキュメントに対して既にトラッピング処理が施されているか否かをRIPにおいて判断することができる。そのため、トラッピング処理が施されていないと判定されれば、RIPにおいてトラッピング処理を施し、トラッピング処理が施されていると判定されれば、RIPにおいてはトラッピング処理は原則として施さない。ただし、アプリケーションによるトラッピング処理が、トラッピングエリアの生成および付加という方法で行われておらず、たとえばIn−RIPトラップのように、トラッピングを行うための設定項目だけがPDLデータ中に設定されている場合には、RIPにおける設定に従ってあらためてトラッピング処理を施すこともできる。
このため、アプリケーションプログラムとRIPとによる多重のトラッピング処理を防止でき、適切なトラッピング処理を実行できる。また、多重のトラッピング処理による画質の低下を防止できる。特に、RIPの出力をファイルとして保存し、それを印刷出力のために再利用するばあいなど、トラッピング処理が二重のみならず三重あるいはそれ以上に多重的に施されることもあり得、そのようなことになれば画質の劣化およびトラッピングエリアの付加によるオブジェクトの増加に起因する処理負荷の増大は避けられない。本実施形態では、この多重的なトラッピング処理を防止できるために、必要以上の画質劣化及び処理負荷の増大を防止できる。
[第2実施形態]
図7及び図8は本実施形態における版ずれ補正(以後トラッピングと呼ぶ)の流れを示すフローチャートである。トラッピングは版ずれ補正の技術であり、ベクターオブジェクトに限らず、イメージやフォント等ドキュメントを構成するすべてのオブジェクトが対象となる。ただし、本実施形態においては、説明を分かりやするためにベクターオブジェクトのみにトラッピングをかけることを目的にした場合を例にとって説明する。本実施形態における版ずれ補正処理は、第1実施形態と同様の実行環境において実行される。第1実施形態との相違点は、処理対象のドキュメントにトラッピング処理が施されているか否かの判定を、第1実施形態ではドキュメント全体について判定の対象としていたのに対して、本実施形態では、第1実施形態と同様の方法による判定の他、オプションで簡易な判定方法が選択できる点にある。簡易な選択方法では、処理対象のドキュメントがトラッピング処理済みか否かは、ひとつの重複するオブジェクト群(中でももっともオブジェクト数の多いグループ)を対象として判定され、その判定結果がドキュメント全体について及ぼされる。以下、図に沿って処理手順を説明する。なお、この手順はドキュメント全体を対象としているが、ページ単位で図7及び図8の処理を実行し、それをドキュメント全体について行うよう構成することもできる。
図7及び図8は本実施形態における版ずれ補正(以後トラッピングと呼ぶ)の流れを示すフローチャートである。トラッピングは版ずれ補正の技術であり、ベクターオブジェクトに限らず、イメージやフォント等ドキュメントを構成するすべてのオブジェクトが対象となる。ただし、本実施形態においては、説明を分かりやするためにベクターオブジェクトのみにトラッピングをかけることを目的にした場合を例にとって説明する。本実施形態における版ずれ補正処理は、第1実施形態と同様の実行環境において実行される。第1実施形態との相違点は、処理対象のドキュメントにトラッピング処理が施されているか否かの判定を、第1実施形態ではドキュメント全体について判定の対象としていたのに対して、本実施形態では、第1実施形態と同様の方法による判定の他、オプションで簡易な判定方法が選択できる点にある。簡易な選択方法では、処理対象のドキュメントがトラッピング処理済みか否かは、ひとつの重複するオブジェクト群(中でももっともオブジェクト数の多いグループ)を対象として判定され、その判定結果がドキュメント全体について及ぼされる。以下、図に沿って処理手順を説明する。なお、この手順はドキュメント全体を対象としているが、ページ単位で図7及び図8の処理を実行し、それをドキュメント全体について行うよう構成することもできる。
まずステップS601では、特定のドキュメントに対する印刷命令が発生し、それが図7,8のプログラムに入力される。印刷命令は、たとえば、アプリケーション等で作成された文字やグラフィクス等のオブジェクトを含むドキュメントをページ記述言語(PDL)により記述したPDLデータであり、印刷ジョブである。
次にステップS602で、ユーザインターフェースを用いて、版ずれ補正に関する各種設定を行う。ただしこの設定は、ステップS601記載の印刷命令が発生する前に、図7,8の処理とは非同期に行われても構わない。このユーザインターフェースにおける各種設定には以下のようなものが含まれる。
(1)トラッピングによって発生させられるトラッピングエリアの幅や色の設定など、トラッピングエリアの発生に関する各種トラッピングエリア設定。
(2)アプリケーションプログラムによってトラッピング処理が済んでいると判定されたドキュメント、又は、In−RIPトラップの設定がなされていると判定されたドキュメントに対して、その設定を優先してトラッピング処理はRIPでは行わないか、又はRIPにおいて設定されたトラッピング処理を行うかを示すトラッピング処理指定。
(3)トラッピングが既にかけられているかどうかの判定基準値(基準色差及び基準トラップ率)。
(4)トラッピング率を簡易に算出するか(簡易判定)、あるいは詳細に算出するか(詳細判定)を示す詳細判定設定の指定。この指定は本実施形態に固有のものである。
これらの設定値は、それぞれの設定値を読み出せるよう一定の形式でRAM2やハードディスク等に格納される。
(1)トラッピングによって発生させられるトラッピングエリアの幅や色の設定など、トラッピングエリアの発生に関する各種トラッピングエリア設定。
(2)アプリケーションプログラムによってトラッピング処理が済んでいると判定されたドキュメント、又は、In−RIPトラップの設定がなされていると判定されたドキュメントに対して、その設定を優先してトラッピング処理はRIPでは行わないか、又はRIPにおいて設定されたトラッピング処理を行うかを示すトラッピング処理指定。
(3)トラッピングが既にかけられているかどうかの判定基準値(基準色差及び基準トラップ率)。
(4)トラッピング率を簡易に算出するか(簡易判定)、あるいは詳細に算出するか(詳細判定)を示す詳細判定設定の指定。この指定は本実施形態に固有のものである。
これらの設定値は、それぞれの設定値を読み出せるよう一定の形式でRAM2やハードディスク等に格納される。
次にステップS603へ進み、ステップS601で入力されたPDLデータの解析(インタープリット)を行う。次にステップS604へ進み、処理対象のPDLがPSやPDFの場合、その記述の中に、In−RIPトラップの設定が記述されていないか、つまり、アプリケーション側(DTPソフト側)でトラップの設定及び命令がされていないかを判定する。In−RIPトラップの記述があった場合はステップS605へ進む。ステップS605では、ステップS602におけるユーザインターフェース設定で、アプリケーションにおけるトラップ指定を優先するかどうかのトラッピング処理指定の設定値を判定する。アプリケーションでの指定を優先する設定になっていた場合は、RIPにおいてはトラッピング処理を施さないために、「A」つまり、図8のステップS617の出口へ進む。ステップS605においてトラッピング処理指定の設定値がアプリケーションでの指定を優先しない設定になっていた場合は、PDLのトラップに関する記述を無視してRIPにおいてトラッピング処理を実行するために、「B」つまり、図8のステップS617の入り口へ進む。
一方、ステップS604での判定で、In−RIPトラップの記述がないと判定された場合はステップS606へ進む。ステップ506では、PDLデータのうちから、ドキュメントを構成するベクターオブジェクトのデータだけを取り出す。他の種類のオブジェクトについては本実施形態では処理対象としないが、たとえばアウトラインフォントなど、文字であってもベクターデータであれば本実施形態の処理を適用できる。次にステップS607に進み、テップS606で取り出したベクターオブジェクトデータのうち、重なり合うベクターオブジェクト群のうちから、最大数のオブジェクトを含むものをピックアップ(抽出)する。この重なり合うベクターオブジェクト群とは、図9に示すように、重なりが発生している2つ以上のオブジェクトのグループ901〜904のそれぞれを言う。例えばグループ901に含まれるオブジェクトAとEのように、直接的な重複がなくとも他のオブジェクトを介して重複していれば1つのオブジェクト群を構成する。図9においてはグループ901が最大のオブジェクト群である。なおステップS607までに、この後の処理で用いる2つのカウンタ変数(トラッピング対象カウンタおよびトラッピング実施カウンタ)をRAM2に確保し、その値を0に初期化しておく。
次にステップS608へ進み、ステップS607でピックアップしたオブジェクト群の中から、互いに重複するオブジェクト対を注目オブジェクト対としてピックアップする。例えば図9のグループ901を例にとると、互いに重複するオブジェクト対には、A−B、A−C、A−D、B−C、C−D、C−E、D−Eの7対がある。
次にステップS609へ進み、注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が、ステップS602で指定された色差(基準色差)以上であるかを判定する。色差とは2つのオブジェクトの色の差を示す値である。色差の値は表色系により表し方が異なるが、たとえば、JIS8730Zには、Lab表色系およびLuv表色系による色差の計算方法が標準化されており、この方法を用いることもできる。また、これらの表色系では、色差は、明度、クロマ、色相の色差成分に分けることができるので、このうちの特定の成分、たとえば色相成分のみを色差として利用することもできる。なお、PDLデータがRGB等、Lab表色系およびLuv表色系以外の表色系で示されている場合であってもその表色系に応じた色差定義式を用いることができるし、あるいはLab表色系およびLuv表色系に変換することもできる。
さて、ステップS609では、注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が、ステップS602においてユーザインターフェースで指定された基準色差よりも小さければ、注目オブジェクト対はトラッピング処理の対象とはならないと判定され、ステップS613の出口に進む。注目オブジェクト対をなす2つのオブジェクトの色差が基準色差よりも大きい場合には、注目オブジェクト対はトラッピング処理対象となるものと判定し、ステップS610へ進む。
ステップS610では、トラッピング対象となるオブジェクト対の数を数える。つまり、トラッピング対象カウンタに1を加算する。次にステップS611へ進み、トラッピング処理対象であると判定された注目オブジェクト対を合成して1輪郭の1つのオブジェクトを新たに作成する。この新たに作成されるオブジェクトはステップS612における判定のみを目的とし、RAM2等に設けた仮のメモリ領域に作成される。
次にステップS612へ進み、注目オブジェクト対が含まれていたオブジェクト群の中に、注目オブジェクトを合成して成るあらたなオブジェクトに内包されるオブジェクトが、注目オブジェクト以外にあるかどうかを判定する。この判定は、「注目オブジェクトを合成して成るあらたなオブジェクトに内包されるオブジェクト」は、アプリケーション等で実行済みのトラッピング処理により作成されたトラッピングエリアである可能性が高いという事実に基づく。判定の結果、内包するオブジェクトがなかった場合は、注目オブジェクト対についてはトラッピング処理が施されていないものと判断してステップS613の出口へ進む。一方、ステップS612における判定の結果、内包するオブジェクトがあった場合は、注目オブジェクト対についてはトラッピング処理が施されている可能性が高いと判定して、あるいはトラッピング処理が施されているとみなしてステップS613へ進む。
ステップS613では、ステップS611で合成したオブジェクトに内包されるオブジェクトをトラッピング処理により生成されたトラッピングエリアであると推定して、あるいはみなして、トラッピング実施カウンタに1を加算する。
次にステップS614へ進む。ステップS614以降は図8に示す。ステップS614では、オブジェクト群に含まれる互いに重複するオブジェクト対すべてに対して上記処理(S608〜S613)を行ったかどうか確認する。行っていない場合には、「D」つまり、図7のステップS608の入り口へ戻り、未処理のオブジェクト対を新たな注目オブジェクト対として上記処理を繰り返す。すべてのオブジェクト対に対して処理が完了していたならばステップS615へ進む。
ステップS615では、ステップS602におけるユーザインターフェースで設定された詳細判定設定の値が「詳細判定」を指定するものか「簡易判定」を指定するものかを判定する。設定が簡易判定になっている場合は、ここまでの処理によって得られたトラッピング対象カウンタの値およびトラッピング実施カウンタの値のみに基づいてトラップ率を求める。すなわち、処理対象のドキュメントのうち、最多のオブジェクトを含むオブジェクト群による判定だけで、ドキュメント全体についてトラッピング処理が済んでいるか否かを判定する。この場合にはステップS617へ進む。
一方、ステップS615において設定が詳細設定になっていると判定された場合はステップS616へ進む。ステップS616では、ドキュメントを内にあるすべてのオブジェクト群に対して上記処理を行ったかどうかを判定する。終了していない場合は、「E」つまり、図7のステップS607の入り口へ戻り、未処理のオブジェクト群に対して上記処理を繰り返す。すべてのオブジェクト群に対して処理が終了していたならば、ステップS617へ進む。
ステップS617では、トラップ率を算出する。トラップ率とは、ステップS613でカウントしたトラッピング実施カウンタの値、すなわちトラッピングエリアが作成されていると推定されたあるいはみなされたオブジェクト対の数を、ステップS610でカウントしたトラッピング対象カウンタの値、すなわちトラッピング対象となるオブジェクト対の数で割ることで求めた率である。
次にステップS618へ進み、算出されたトラップ率が、ステップS602において、ユーザインターフェースから設定された基準トラップ率以上かどうかを判定する。基準トラップ率とは、ステップS609において参照される基準色差と同様に、処理対象のドキュメントに既にトラッピング処理が施されているか否かを判定するための基準値として設定したトラップ率である。ここで、ステップS617で算出されたトラップ率が基準トラップ率よりも高い場合は、処理対象のドキュメントには既にトラッピングが施されていると判定し、ステップS619の出口へ進み、この処理を終了する。ステップS617で算出されたトラップ率が基準トラップ率よりも低い場合は、処理対象のドキュメントにはトラッピングが施されていないと判定し、ステップS619へ進む。ステップS61)では、ステップS602においてユーザインターフェースから設定された各種トラッピング処理のための設定値に従い、当該ドキュメントにトラッピング処理を施す。
以上のように、本実施形態によれば、RIPに入力されたドキュメントに対して既にトラッピング処理が施されているか否かをRIPにおいて判断することができる。そのため、トラッピング処理が施されていないと判定されれば、RIPにおいてトラッピング処理を施し、トラッピング処理が施されていると判定されれば、RIPにおいてはトラッピング処理は原則として施さない。ただし、アプリケーションによるトラッピング処理が、トラッピングエリアの生成および付加という方法で行われておらず、たとえばIn−RIPトラップのように、トラッピングを行うための設定項目だけがPDLデータ中に設定されている場合には、RIPにおける設定に従ってあらためてトラッピング処理を施すこともできる。
このため、アプリケーションプログラムとRIPとによる多重のトラッピング処理を防止でき、適切なトラッピング処理を実行できる。また、多重のトラッピング処理による画質の低下を防止できる。特に、RIPの出力をファイルとして保存し、それを印刷出力のために再利用するばあいなど、トラッピング処理が二重のみならず三重あるいはそれ以上に多重的に施されることもあり得、そのようなことになれば画質の劣化およびトラッピングエリアの付加によるオブジェクトの増加に起因する処理負荷の増大は避けられない。本実施形態では、この多重的なトラッピング処理を防止できるために、必要以上の画質劣化及び処理負荷の増大を防止できる。
さらに、本実施形態では、トラップ率の計算を、簡易判定という簡易な方法と、詳細判定という詳細な方法との2通りから指定できる。このため、判定の精度を高めるためには詳細判定を選択してドキュメント全体についてトラップ率を算出できる。一方、化に判定を選択すれば、ひとつのオブジェクト群についてトラップ率を計算し、その値に基づいてトラッピングが実施されているか否かが判定されるために、判定のための処理負荷が大幅に軽減され、上記効果に加えて処理時間の短縮を実現できる。特に、多くのオブジェクトが重複した複雑な構成のオブジェクト群が多数含まれているドキュメントでは、ひとつのオブジェクト群について計算するだけで十分な精度で判定できる。このため、その全体についてトラップ率を計算する負荷は大変大きなものとなるが、ひとつのオブジェクト群について計算するだけで十分な判定精度と処理負荷の軽減とを両立させることができる。
[他の実施形態]
(1)第2実施形態では詳細判定と簡易判定とをユーザの設定により切り換えているが、これをRIP処理の中で判定するようにすることもできる。たとえば、重複するオブジェクトを含むオブジェクト群を図7のステップS607で取得する際に、すべてのオブジェクト群についてそのオブジェクト数を数え、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数が一定数以上であれば簡易判定を、そうでなければ詳細判定を選択するようにできる。この場合、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数はステップS615までメモリに保存され、ステップS615において、図8の判定処理の代わりに、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数が一定数以上であればステップS617へ、そうでなければステップS616へと分岐する。ここで一定数とは定数を予め与えておくか、あるいはステップS602において設定させることができる。
(1)第2実施形態では詳細判定と簡易判定とをユーザの設定により切り換えているが、これをRIP処理の中で判定するようにすることもできる。たとえば、重複するオブジェクトを含むオブジェクト群を図7のステップS607で取得する際に、すべてのオブジェクト群についてそのオブジェクト数を数え、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数が一定数以上であれば簡易判定を、そうでなければ詳細判定を選択するようにできる。この場合、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数はステップS615までメモリに保存され、ステップS615において、図8の判定処理の代わりに、最大オブジェクト群の含むオブジェクト数が一定数以上であればステップS617へ、そうでなければステップS616へと分岐する。ここで一定数とは定数を予め与えておくか、あるいはステップS602において設定させることができる。
(2)図5のステップS512および図7のステップS612において、オブジェクト対に内包されるオブジェクトの有無を判定し、存在する場合にトラッピング実施カウンタをカウントアップしている。この判定において、単に内包されるオブジェクトの有無のみならず、内包されているオブジェクトが、ステップS502,S602で設定されたトラッピングエリア設定に含まれるトラッピングエリアの幅や色に該当するか否かを判定し、該当する場合にトラッピング実施カウンタをカウントアップすることもできる。このようにすることで、アプリケーションで施されるトラッピングエリアの設定が予め分かっていれば、よりトラップ率を高精度で算出することができる。
(3)また、図5のステップS512および図7のステップS612において、単に内包オブジェクトが含まれるか否かではなく、その位置が、互いに重複する上側(他方を覆う側)の輪郭線近傍であるか否かを判定し、その条件に該当する場合に、その内包織部ジェクトがトラッピングエリアであると判定しても良い。これにより、より判定精度が向上する。
(4)なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体およびプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
Claims (13)
- 予めトラッピングのための設定項目を設定する設定ステップと、
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定するステップと、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定ステップと、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップにおいてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定ステップによる設定に従いトラッピング処理を行うステップと
を有することを特徴とする版ずれ補正方法。 - 前記トラッピングのための設定項目には、補正のためのトラッピングエリアを作成するためのトラッピングエリアの幅と、トラッピングを施すかどうかを判断するための重なり合うオブジェクト同士の色差と、トラッピングを施すオブジェクトの種類とを含むことを特徴とする請求項1に記載の版ずれ補正方法。
- 前記判定基準値には、2つのオブジェクト間の基準色差と、基準トラッピング率とを含むことを特徴とする請求項1に記載の版ずれ補正方法。
- 前記第2の判定ステップは、処理対象のドキュメントに含まれるオブジェクトを取り込むステップと、
取り込んだオブジェクトから、重複するオブジェクト群をピックアップするオブジェクト群取得ステップと、
ピックアップした前記オブジェクト群の中から互いに重複するオブジェクト対をピックアップするステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対がトラッピング処理の対象となるかどうかを判定する第3の判定ステップと、
第3の判定ステップによる判定の結果、トラッピング処理の対象となると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第1のカウントステップと、
前記オブジェクト対の各々に注目し、注目オブジェクト対に実際にトラッピングが施されている可能性があるかどうかを判定する第4の判定ステップと、
第4の判定ステップによる判定の結果、実際にトラッピングが施されている可能性があると判定されたオブジェクト対の数をカウントする第2のカウントステップと、
トラッピングが施されている率を示す実施トラッピング率を算出するステップとを有し、
前記実施トラッピング率と前記基準トラッピング率とを比較して、前記実施トラッピング率の方が大きい場合は、処理対象のドキュメントはトラッピングが既に施されていると判定することを特徴とする請求項3に記載の版ずれ補正方法。 - 前記第3の判定ステップは、前記注目オブジェクト対を構成しているオブジェクト間の色差を算出するステップと、
算出した色差と前記基準色差とを比較するステップとを有し、
前記算出した色差の方が大きい場合は、前記注目オブジェクト対は、トラッピング処理の対象となると判定することを特徴とする請求項4に記載の版ずれ補正方法。 - 前記第4の判定ステップは、前記第3の判定ステップによりトラッピング処理の対象となると判定された注目オブジェクト対を構成する2つのオブジェクトを合成して1輪郭の1つのオブジェクトを作成する合成ステップと、
前記互いに重複するオブジェクト群を構成している複数のオブジェクトの中に、前記合成ステップにより作成したオブジェクトに内包されるオブジェクトがあるかどうか判定する第5の判定ステップとを有し、
前記第5の判定ステップによる判定の結果、内包されるオブジェクトがあった場合、トラッピングが実際に施されている可能性があると判定することを特徴とする請求項5に記載の版ずれ補正方法。 - 前記実施トラッピング率は、前記第2のカウントステップにより求められた、トラッピングが実際に施されている可能性があるオブジェクト対の数を、前記第1のカウントステップにより求められた、トラッピング処理の対象となるオブジェクト対の数で割ることにより求められることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の版ずれ補正方法。
- 前記オブジェクト群取得ステップにおいては、前記処理対象のドキュメントから、最多のオブジェクトを含むオブジェクト群をピックアップし、そのオブジェクト群のみを対象として前記オブジェクト群取得ステップ以下の工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の版ずれ補正方法。
- 予めトラッピングのための設定項目を設定する設定手段と、
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定する手段と、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定手段と、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントかどうかを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段においてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定手段による設定に従いトラッピング処理を行うトラッピング手段と
を有することを特徴とする版ずれ補正装置。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の版ずれ補正方法によりトラッピング処理が施されたドキュメントに基づいてラスタイメージデータ等の出力データを生成する手段と、
前記ラスタイメージデータ等の出力データを、該出力データにしたがってシート上にマーキングする画像記録手段に入力する手段とを更に備えることを特徴とする画像形成装置。 - コンピュータにより、ページ記述言語からラスタイメージデータを生成するラスタイメージプロセッサを実現するためのプログラムであって、
予めトラッピングのための設定項目を設定する設定手段と、
予めトラッピングを行っているドキュメントかどうかを判定するための判定基準値を設定する手段と、
処理対象のドキュメントのページ記述言語による記述中にトラッピングに関する設定が含まれているかを、その記述を解析することで判定する第1の判定手段と、
前記判定基準値に従い、トラッピングが既に施されたドキュメントかどうかを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段においてトラッピングがまだ施されていないと判定されたドキュメントに対しては、前記設定手段による設定に従いトラッピング処理を行うトラッピング手段と
をコンピュータにより実現させるためのプログラム。 - 請求項11に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ可読記録媒体。
- 文書データ中の互いに重複するオブジェクト間の印刷出力時の版ずれを補正するためのトラッピング処理方法であって、
互いに重複するオブジェクト対それぞれについて、該オブジェクト対がトラッピング処理対象となるか判定し、トラッピング処理対象となると判定された第1のオブジェクト対の数を数える工程と、
互いに重複するオブジェクト対それぞれについて、該オブジェクト対により構成される領域内にトラッピングエリアが含まれるか判定し、トラッピングエリアが含まれると判定された第2のオブジェクト対の数を数える工程と、
前記第1のオブジェクト対の数に対する第2のオブジェクト対の数の比率が一定値を越えていない場合に、前記文書データについてトラッピング処理を施す工程と
を有することを特徴とするトラッピング処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003321143A JP2005092307A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 版ずれ補正方法及び装置ならびに記憶媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003321143A JP2005092307A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 版ずれ補正方法及び装置ならびに記憶媒体 |
Publications (1)
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JP2003321143A Withdrawn JP2005092307A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 版ずれ補正方法及び装置ならびに記憶媒体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005092307A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007026953A1 (en) * | 2005-09-01 | 2007-03-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Image processing apparatus and its method |
JP2012160135A (ja) * | 2011-02-02 | 2012-08-23 | Seiko Epson Corp | 印刷装置、及び、その印刷方法 |
-
2003
- 2003-09-12 JP JP2003321143A patent/JP2005092307A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007026953A1 (en) * | 2005-09-01 | 2007-03-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Image processing apparatus and its method |
US8189242B2 (en) | 2005-09-01 | 2012-05-29 | Canon Kabushiki Kaisha | Apparatus and method for generating image data for forming a visible image |
JP2012160135A (ja) * | 2011-02-02 | 2012-08-23 | Seiko Epson Corp | 印刷装置、及び、その印刷方法 |
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