JP2005089816A - 酸素ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】リード線の引き出し部からのガスリークを抑え、内部空間の気密性を向上させた酸素ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】リード線4を酸素イオン導電性基板2に対して一方の側のみに引き出し他方を省略したものである。これによって、リード線4の引き出し部が酸素イオン導電性基板2に対して一方の側のみであるから、リード線4の引き出し部からのガスリークを抑えることができる。
【選択図】図1
【解決手段】リード線4を酸素イオン導電性基板2に対して一方の側のみに引き出し他方を省略したものである。これによって、リード線4の引き出し部が酸素イオン導電性基板2に対して一方の側のみであるから、リード線4の引き出し部からのガスリークを抑えることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気化学的に酸素イオンを移動させて、一方の空間から酸素を排気したり、一方の空間へ酸素を富化したりする酸素ポンプに関するものである。
従来、複数個の酸素イオン導電性基板からなる酸素ポンプは、酸素イオン導電性基板の表裏両面に形成された電極膜のそれぞれからリード線が取り出されている(例えば、特許文献1参照)。
再公表96/28589号公報
しかしながら、前記従来の酸素ポンプでは、リード線が酸素イオン導電性基板に対して表裏両面側から引き出されて外部電源と接続しているため、リード線の引き出し部からのガスリークがあり、内部空間の気密性が低下するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、リード線の引き出し部からのガスリークを抑え、内部空間の気密性を向上させた酸素ポンプを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素ポンプは、リード線を酸素イオン導電性基板に対して一方の側のみに引き出し引き出し他方を省略したものである。
これによって、リード線の引き出し部が酸素イオン導電性基板に対して一方の側のみであるから、リード線の引き出し部からのガスリークを抑え、内部空間の気密性を向上させることができる。
本発明の酸素ポンプは、リード線の引き出し部からのガスリークを抑え、内部空間の気密性を向上させることができる。
第1の発明は、表裏両面に電極膜を形成した酸素イオン導電性基板と、前記電極膜の一方に接続したリード線と、前記電極膜の他方と電気的に接続した導電性支持部材と、前記導電性支持部材を支持する基体とを備え、前記リード線を酸素イオン導電性基板に対して一方の側のみに引き出した酸素ポンプとすることにより、リード線の引き出し部が酸素イオン導電性基板に対して一方の側のみであるから、リード線の引き出し部からのガスリークを抑え、内部空間の気密性を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の電極膜から引き出されたリード線を、近接した導電性支持部材と電気的に接続し、回路全体として直列接続としたことにより、低電流化が可能となり、太いリード線や特別に電気抵抗の小さいリード線を用いることなく、回路の通電部の発熱を抑えることができる。
第3の発明は、表裏両面に電極膜を形成した酸素イオン導電性基板と、前記電極膜と電気的に接続した導電性支持部材と、前記導電性支持部材を支持する基体とを備え、隣接した電極膜を前記導電性支持部材によって電気的に接続した酸素ポンプとすることにより、内部から外部へ取り出したリード線近辺からのガスリークを抑えることができ、簡便な構成によって酸素ポンプの内部の気密性を保持することができる。
第4の発明は、特に、第3の発明の酸素イオン導電性基板に対して一方側の電極膜に接続した導電性支持部材を、隣接したもう一方側の電極膜と接続し、回路全体として直列接続としたことにより、低電流化が可能となり、太いリード線や特別に電気抵抗の小さいリード線を用いることなく、回路の通電部の発熱を抑えることができる。
第5の発明は、特に、第1または第2の発明のリード線接続部が電極膜の中央近傍であることにより、リード線からは熱も外部へ伝導し、接続部位の温度は低下する傾向がある。接続部位が中央近傍にあることによって、電極膜上の熱分布が中央から放射状変化することで、熱歪を小さく抑えることができる。したがって、酸素イオン導電性基板の熱による劣化を抑えることができる。
第6の発明は、特に、第1または第2の発明の電極膜と、リード線と、電極膜とリード線を接続させるための金属ペーストの主成分が、同金属であることにより、熱膨張収縮を同程度にすることができる。また密着性も良くなる。したがって、酸素イオン導電性基板への熱歪を緩和させることができ、酸素イオン導電性基板の劣化を抑えることができる。
第7の発明は、特に、第6の発明の金属が、金と銀と白金との少なくとも一つであることにより、これらの金属の焼成体は高温酸化雰囲気中で安定であり、酸素ポンプの高い動作温度でも十分な耐久性を得ることができる。
第8の発明は、特に、第1〜第4の発明の導電性支持部材がニッケルと鉄クロム合金の少なくとも一つであることにより、ニッケルや鉄クロム合金は安価であり、加工が容易であり、また酸素ポンプの動作温度でも十分な耐久性がある。したがって、熱による酸素イオン導電性基板の劣化を容易に抑えることができる。
第9の発明は、特に、第8の発明における導電性支持部材の厚さが、5〜50μmであることにより、導電性支持部材の面に平行な方向に歪が発生したとき、導電性支持部材に生じる応力を小さくできると同時に、実用的な物理的強度も確保することができる。
第10の発明は、特に、第1〜第4の発明における基体の材質が、シリカとアルミナとマイカとの少なくとも一つであることにより、シリカ板、アルミナ板、マイカ板は工業的に安価であり、加工が容易であり高い平滑性を得ることができる。また、酸素ポンプの動作温度にも十分な耐久性がある。したがって、熱による酸素ポンプの劣化を抑えることができる。
第11の発明は、特に、第1〜第4の発明の酸素イオン導電性基板がランタンガレートであることにより、ランタンガレートはランタンとガリウムを主成分としたペロブスカイト型の金属酸化物で、酸素イオン導電性が高い。したがって、酸素ポンプの動作温度を低く設定しても所定の性能を確保できるため、温度を低くすることができる。これによって、熱による酸素ポンプの劣化を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における酸素ポンプを示すものである。
図1は、本発明の実施の形態1における酸素ポンプを示すものである。
図において、電極膜1は複数の酸素イオン導電性基板2の表裏両面にそれぞれ形成されている。電極膜1には、白金や銀、金等の貴金属、サマリウム−ストロンチウム−コバルト等の金属酸化物を用いことができる。これらの電極膜1は、スクリーン印刷や電着、蒸着、スパッタリングによって形成するが、スクリーン印刷がコスト面で優れている。電極膜1の厚みは、5〜20μmが好ましい。本実施の形態では、スクリーン印刷によって厚さ10μmの金を形成させた。
酸素イオン導電性基板2には、ジルコニアやセリア等の金属酸化物が用いられるが、ランタンガレートが特に好ましい。その中でも、ランタン−ストロンチウム−ガリウム−マグネシウムを組成に持つペロブスカイト型酸化物は輸率が高いため、最も良い。本実施の形態では、直径30mm、厚み0.2mmのランタンガレートを用いている。なお、酸素イオン導電性基板2がランタンガレートであることにより、酸素イオン導電性が高く、酸素ポンプの動作温度を低く設定しても所定の性能を確保できるため、温度を低くすることができる。これによって、熱による酸素ポンプの劣化を抑えることができる。
そして、一方側の電極膜1にはリード線4が金属ペーストの焼結体7によって接続されている。リード線4の材質には、ニッケル線等を使用することができるが、電極膜1と金属ペーストの焼結体7の主成分を同じにする点から、金、銀、白金のいずれかが好ましい。これは、これらの金属の焼成体は高温酸化雰囲気中で安定であり、酸素ポンプの高い動作温度でも十分な耐久性を得ることができるからである。
また、リード線4の接続部であるリード線接続部8は、電極膜1の中央近傍がより好ましい。これは、リード線4からは熱も外部へ伝導し、接続部位の温度は低下する傾向がある。接続部位が中央近傍にあることによって、電極膜1上の熱分布が中央から放射状変化することで、熱歪を小さく抑えることができるからである。本実施の形態では、リード線4として直径0.2mmの金線を4本束ねて使用した。
また、もう一方側の電極膜1には導電性支持部材9が金属ペーストによって接続されている。導電性支持部材9の材質は、鉄や銅など導電性がある部材であればよいが、ニッケルと鉄クロム合金のいずれかが好ましい。ニッケルや鉄クロム合金は安価であり、加工が容易であり、また酸素ポンプの動作温度でも十分な耐久性があるからである。また、導電性支持部材9の厚みは、導電性支持部材9の面に平行な方向に歪が発生したとき、導電性支持部材9に生じる応力を小さくできると同時に、実用的な物理的強度も確保することができる5〜50μmが好ましい。本実施の形態では、厚み10μmの鉄クロム合金を用いている。
そして、導電性支持部材9は、ヒータ10を内装している基体3によって支持されており、内部空間11、12を形成している。基体3の材質は、工業的に安価であり、加工が容易であり高い平滑性を得ることができ、酸素ポンプの動作温度にも十分な耐久性がある、ガラス等のシリカ、アルミナ、マイカの少なくとも一つが好ましい。
以上のように構成された酸素ポンプについて、以下その動作、作用を説明する。
最初に、断熱材(図示せず)に覆われた電極膜1と酸素イオン導電性基板2とがヒータ10によって650℃以上に加熱される。その後、リード線4と導電性支持部材9を介して外部電源(図示せず)より酸素イオン導電性基板2に電圧を印加すると、酸素イオン導電性基板2と導電性支持部材9、基体3によって区切られた一方の内部空間11の酸素がイオン化する。そして電界によって酸素イオンが酸素イオン導電性基板2の中を移動し、反対側の電極膜1に到達する。その後、電子を放出して再び酸素分子となり、他方の内部空間12に移動する。このとき移動した酸素分子に見合う電流が回路に流れることになる。
このような作動を続けると、内部空間11、12のいずれか一方の酸素濃度が低下し、もう一方の酸素濃度が増加する(これは正極、負極の取り方によって決まる)。本実施の形態によれば、内部空間11からはリード線4が取り出されていないので、簡便に内部空間11を密閉することができ、内部空間11の酸素濃度を保持できる。つまり、酸素濃度変化の効率の低下を抑えることができる。なお、リード線4の取り出す側を内部空間11の側にすると内部空間12に対して上記効果を得ることができる。
なお、上記説明では、酸素イオン導電性基板2が複数の場合を想定しているが、一つの場合であっても何ら問題なく適用することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における酸素ポンプを示すものである。
図2は、本発明の実施の形態2における酸素ポンプを示すものである。
本実施の形態において、実施の形態1と異なっている部分は、電極膜1から引き出されたリード線4を隣接した導電性支持部材9と電気的に接続し、回路全体として直列接続となり、導電性支持部材9が隣接した導電性支持部材9と電気的に分かれている点である。
以上のように構成された酸素ポンプの動作、作用は、実施の形態1と同様であり、さらに、本実施の形態によれば、多数の酸素イオン導電性基板2を回路全体として直列接続としたことにより、低電流化が可能となり、太いリード線や特別に電気抵抗の小さいリード線を用いることなく、回路の通電部の発熱を抑えることができる。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における酸素ポンプを示すものである。
図3は、本発明の実施の形態3における酸素ポンプを示すものである。
本実施の形態において、実施の形態1と異なっている部分は、それぞれの電極膜1がリード線ではなく、表裏両面において導電性支持部材9で接続し、一方の導電性支持部材9にリード線4が接続されている点である。
以上のように構成された酸素ポンプの動作、作用は、実施の形態1と同様であり、さらに、本実施の形態によれば、内部から外部へ取り出したリード線近辺からのガスリークを抑えることができ、簡便な構成によって酸素ポンプの内部の気密性を保持することができる。また、リード線4が電極膜1の一部分とではなく導電性支持部材9の外周と接続することによって、放熱によって発生する局部的な温度低下を防ぐことができ、温度斑による熱衝撃を小さくすることができる。また、複数の電極膜1を導電性支持部材9により同時に接続できるため、各電極膜1にリード線4を接続する手間を軽減することができる。なお、二枚の導電性支持部材9の間に絶縁材を挟むと信頼性の点で優れたものとなる。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4における酸素ポンプを示すものである。
図4は、本発明の実施の形態4における酸素ポンプを示すものである。
本実施の形態において、実施の形態3と異なっている部分は、電極膜1の接続にリード線を用いず、導電性支持部材9を用いて、実施の形態2のように回路全体として直列接続としている点である。すなわち、酸素イオン導電性基板2に対して一方側の電極膜1に接続した導電性支持部材9を、隣接したもう一方側の電極膜1と接続し、回路全体として直列接続としたものである。
以上のように構成された酸素ポンプの動作、作用は、実施の形態2と同様であり、さらに、本実施の形態によれば、リード線を使用していないため、簡便な構成によって酸素ポンプの内部空間の気密性をさらに向上させることができる。
なお、各実施の形態1〜4に示した構成は、必要に応じて適宜組み合わせることができるものであり、各実施の形態に限定されるものではない。
以上のように、本発明にかかる酸素ポンプは、内部の気密性を保つことによって酸素濃度変化の効率の低下を抑えたものであるので、広範囲に利用できる。例えば、酸素富化器や酸素吸引器、またはそれらが機能の一部として組み込まれた製品があげられる。
1 電極膜
2 酸素イオン導電性基板
3 基体
4 リード線
8 リード線接続部
9 導電性支持部材
2 酸素イオン導電性基板
3 基体
4 リード線
8 リード線接続部
9 導電性支持部材
Claims (11)
- 表裏両面に電極膜を形成した酸素イオン導電性基板と、前記電極膜の一方に接続したリード線と、前記電極膜の他方と電気的に接続した導電性支持部材と、前記導電性支持部材を支持する基体とを備え、前記リード線を酸素イオン導電性基板に対して一方の側のみに引き出した酸素ポンプ。
- 電極膜から引き出されたリード線を、近接した導電性支持部材と電気的に接続し、回路全体として直列接続とした請求項1に記載の酸素ポンプ。
- 表裏両面に電極膜を形成した酸素イオン導電性基板と、前記電極膜と電気的に接続した導電性支持部材と、前記導電性支持部材を支持する基体とを備え、隣接した電極膜を前記導電性支持部材によって電気的に接続した酸素ポンプ。
- 酸素イオン導電性基板に対して一方側の電極膜に接続した導電性支持部材を、隣接したもう一方側の電極膜と接続し、回路全体として直列接続とした請求項3に記載の酸素ポンプ。
- リード線接続部が電極膜の中央近傍である請求項1または2に記載の酸素ポンプ。
- 電極膜と、リード線と、電極膜とリード線を接続させるための金属ペーストの主成分が、同金属である請求項1または2に記載の酸素ポンプ。
- 金属が、金と銀と白金との少なくとも一つである請求項6に記載の酸素ポンプ。
- 導電性支持部材がニッケルと鉄クロム合金の少なくとも一つである請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素ポンプ。
- 導電性支持部材の厚さが、5〜50μmである請求項8に記載の酸素ポンプ。
- 基体の材質が、シリカとアルミナとマイカとの少なくとも一つである請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素ポンプ。
- 酸素イオン導電性基板がランタンガレートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003324397A JP2005089816A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 酸素ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=34455166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003324397A Pending JP2005089816A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 酸素ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005089816A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006315884A (ja) * | 2005-05-11 | 2006-11-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置 |
JP2008150261A (ja) * | 2006-12-19 | 2008-07-03 | Canon Machinery Inc | 酸素ポンプ |
-
2003
- 2003-09-17 JP JP2003324397A patent/JP2005089816A/ja active Pending
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JP2006315884A (ja) * | 2005-05-11 | 2006-11-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置 |
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