JP2005089715A - 合成ゴム組成物発泡体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】皮膚刺激性の少ない素材を使用し、皮膚刺激性があるとされる加硫促進剤は使用せず、発泡等において分解し、分解物質が生成しても、該分解生成物の皮膚刺激性は少ない素材を使用しており、気泡を連通させたことから、たとえば、サポーターのように皮膚に直接接触し、体液等をサポーター内に保持することがあっても、皮膚刺激の少ない合成ゴム組成物発泡体を提供することができる。
【選択図】なし
Description
一方、合成ゴム組成物発泡体は、熱可塑性エラストマーに種々の添加剤を含有させ、発泡成形により成形し、弾性や圧縮永久歪等を調整したものが提供されている(例えば、特許文献2参照)。従って、合成ゴム組成物の製品にあっては、天然ゴム発泡体とは異なり、水溶性蛋白を考慮する必要はないが、ゴム添加剤等によるアレルギーを考慮する必要がある。
たとえば、合成ゴム組成物発泡体に用いられる加硫促進剤としてのジチオカルバメート類、メルカプトベンゾチアゾール類、チオウレア類などの加硫促進剤や、スチレン化フェノールなどの老化防止剤、アミンなどが用いられており、これらを使用した合成ゴム組成物発泡体が肌に接触するような製品に成形された場合に、アレルギー性接触皮膚炎を生じる場合があった。
アレルギー性接触皮膚炎を生じる薬剤は、これら加硫促進剤に限られず、発泡剤等においても、発泡等に際して未反応物や、分解生成物が残存することによりアレルギー性接触皮膚炎を生ずる場合もある。炎症に至らずとも、痒さや発疹を生ずることもある。
このような炎症等は化学的影響によるものばかりでなく、物理的影響によって生ずる場合もある。
また、肌に接触する機会の多い手袋、ゴム草履、サポーター等にあっても、アレルギー性接触皮膚炎等を生じないものの要請は多い。
即ち、安全性を考慮して化学的影響を最小におさえても、合成ゴム組成物発泡体の硬度や、モジュラス、伸び率等が適当でなければ、成形品を形成することができず、また、合成ゴム組成物発泡体と皮膚との物理的接触により、炎症等が発生する場合も生じる。たとえば、靴擦れを生じるような場合が該当しよう。
本明細書の請求項2に記載の発明は、連通気泡成形剤を用いることを特徴とする、請求項1に記載の合成ゴム組成物発泡体である。
本明細書の請求項3に記載の発明は、連通気泡成形剤が低密度ポリエチレンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成ゴム組成物発泡体である。
本明細書の請求項4に記載の発明は、連通気泡成形剤の使用量が5重量部〜40重量部であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の合成ゴム組成物発泡体である。
ここで、合成ゴムとは人工的に合成されたエラストマーとしての性質をもつものをいい、たとえば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のジエン系ゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等のオレフィン系ゴム、アクリル酸エステル−アクリロニトリルコポリマー、アクリル酸エステル−2−クロルエチルビニルエーテルコポリマー等のアクリルゴム、ウレタンゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム、ポリアルキレン・スルフィドゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリ(クロル・トリフルオロエチレン)ゴム、アルフィンゴム、熱可塑性エラストマー(スチレン系、イソプレン系)等が存する。
また、合成ゴムにあっては、そのポリマーの物性はそのポリマーを構成する物質により種々に変化するからである。
例えば、スチレン・イソプレンブロック共重合体とイソプレン重合体とを併用する場合が該当する。
なお、用いる合成ゴムは化学的な安全性や添加物との相溶性等を考慮して用いることが好ましい。
連通気泡成形剤とは、合成ゴム組成物を発泡するに際し、気泡を連結し、安定した連続気泡群を形成するものをいう。
連通気泡成形剤を使用することにより、合成ゴム組成物発泡体は、単一の気泡のみならず、連通した気泡群をも含むものとなり、連通した気泡群が毛管現象により体液等の液体を吸収・保持することから、合成ゴム組成物発泡体と接触する皮膚表面が蒸れることが少なくなり、皮膚刺激が減少することとなる。
連通気泡成形剤としての低密度ポリエチレンは、粒度が20〜300μm、融点が100〜130℃のものが好ましい。粒度が20μmより小さければ連通気泡を形成することができず、300μmより大きければ、連通気泡が大きくなりすぎるからである。また、融点が100℃以下又は130℃をこえる場合は、連通気泡形成工程で機能を発揮することができないからである。
連通気泡成形剤は、発泡時に流動しやすくなることにより、気泡を連通することになり、合成ゴム組成物発泡体が冷却されれば、連通した気泡群を安定化することとなる。
また、その使用量としては5〜40重量部である。より好ましくは、10重量部以上であり、30重量部以下である。5重量部以下では、単一気泡の生成が主であり、連通気泡が生じがたく、40重量部以上では単一気泡が少なくなることから発泡体の物性に問題を生じる。
なお、重量部とは、単位が同じ場合の重量割合をいい、たとえば、単位がKgの場合の5重量部とは、5Kgを意味する(以下において同じ)。
添加剤としては、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、発泡剤、しゃく解剤、着色剤、滑剤、離型剤、難燃剤、ゴム用香料等があり、これらから目的に応じて選択され、1以上の添加剤が添加される。
加硫促進剤としては、アルデヒド−アミン類、ジチオカーバメイト類、グアニジン類、チウラム類、メルカプトベンゾチアゾール類、チオウレア類等が存し、具体的にはアセトアルデヒド−アニリン反応物、セレンジメチルチオカーバメイト、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムモノスルフィド等がある。
本願発明においては、アミン系老化防止剤は原則として、また、フェノール系老化防止剤は使用しない。化学的性質を考慮すれば、皮膚刺激や皮膚アレルギーを生じることも考えられるからである。
なお、アミン系化合物であっても、高分子型の老化防止剤やヒンダートアミン系の光安定剤については、合成ゴム組成物発泡体からの溶出、揮散の可能性が低いことから、使用することができる。たとえば、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)が該当する。これにより、皮膚刺激性物質の水相への溶出を抑制することができる。
その使用量としては0.1〜10重量部である。0.1重量部以下では老化防止を防ぐことができず、10重量部以上では必要な硬度が得られないからである。
これらのうち無機系化合物を使用することが好ましい。有機系補強材は、架橋時の加熱により、分解、変性を生じ、皮膚刺激性物質を生み出すおそれがあるからである。これにより、皮膚刺激性物質の水相への溶出を抑制することができる。
使用量としては、1〜50重量部である。1重量部以下であれば補強材としての用を成さず、50重量部以上であれば当該発泡体の硬度等に問題が生ずるからである。
これらのうちロウ石の粉砕物、滑石の粉砕物を使用することが好ましい。合成ゴム組成物発泡体と皮膚との接触に際し、摩擦を減少し、皮膚刺激を少なくするためである。
使用量としては、1〜50重量部である。1重量部以下であれば皮膚刺激を少なくすることができず、50重量部以上であれば当該発泡体の引裂き強度等に問題が生ずるからである。
これらのうちグリセリン系、グリコール系を使用することが好ましい。フタル酸系、アジピン酸系、セバチン酸系化合物では、溶出した場合、皮膚刺激性、皮膚アレルギー性、内分泌攪乱等を示す恐れがあるからである。これにより、皮膚刺激性物質の水相への溶出を抑制することができる。
使用量としては、0.2〜30重量部である。0.2重量部以下であれば可塑剤としての作用が弱く、30重量部以上であれば当該発泡体の硬度等に問題が生ずるからである。
これらのうちパラフィン系を使用することが好ましい。パラフィン系は当該エラストマーとの相溶性が良好で、かつ、皮膚刺激性、皮膚アレルギー性を示す恐れがないからである。
使用量としては、0.5〜50重量部である。0.5重量部以下であれば軟化剤としての作用が弱く、50重量部以上であれば相溶性に問題が生ずるからである。
これらのうちアゾジカーボンアミドを使用することが好ましい。分解生成物としてホルムアルデヒド系の皮膚刺激性、皮膚アレルギー性の物質を生じるおそれがないからである。
使用量としては、0.2〜20重量部である。0.2重量部以下であれば発泡性に乏しく、20重量部以上であれば発泡倍率に問題が生ずるからである。
これらのうち2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を使用することが好ましい。芳香族化合物は加熱分解、変性を生じた場合、内分泌攪乱物質を生じる恐れがあり、金属化合物は、当該エラストマーとの相溶性が良好ではないからである。これにより、皮膚刺激性物質の水相、たとえば体液等への溶出を抑制することができる。
使用量としては、0.1〜10重量部である。0.1重量部以下であれば架橋剤としての効果に乏しく、10重量部以上であれば硬度等に問題が生ずるからである。
なお、ここでの体液とは、汗、尿等をいう。
また、アレルギーや皮膚障害を生じるものがある加硫促進剤を含有しないことから、これらの体液等への溶出によるアレルギーや皮膚障害を生じることはない。
ここで、CSC2硬度計は、JIS K 6301のJIS A硬度計での超低硬度0〜10の範囲のをも測定しうる硬度計である。また、C硬度計は、SRIS 0101で規程されており、JIS A硬度計とは押針が直径5.08mmの球状である点が異なるものである。
また、架橋効率も向上することから、硬度、モジュラス、伸び率、引き裂き強度等の物性の向上を図ることができる。
冷却したシート状の合成ゴム組成物を蒸気プレス(160℃)にて1次成形し、その後電気プレス(150℃)にて2次成形を行なったところ、表2に記載する物性を有する合成ゴム組成物発泡体が得られた。
一方、市販品においては、7B及びステージC(6名)という結果であった。
このことから、本願発明の合成ゴム組成物発泡体は皮膚刺激が少ないことがわかる。
なお、河合法皮膚貼付試験とは、日本産業皮膚衛生協会が行なっている接触皮膚障害性の検定法であり、5名による予備テストを行なった後、20名の被験者を対象として行なわれ、肉眼判定が全例陰性の場合にレプリカ標本を作成し顕微鏡観察により判定する。
また、皮溝浅化・皮溝消失・不整皮丘皮溝等が1例でも認められるとCステージであり、陽性と判定される。
肉眼判定により紅斑・浮腫・丘疹が1例でも認められるとDステージであり、陽性と判定される。
Claims (4)
- 水相への皮膚刺激物質の溶出を抑制した合成ゴム組成物発泡体であって、河合法(スンプ法)による判定が陽性でないことを特徴とする、合成ゴム組成物発泡体。
- 連通気泡成形剤を用いることを特徴とする、請求項1に記載の合成ゴム組成物発泡体。
- 連通気泡成形剤が低密度ポリエチレンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の合成ゴム組成物発泡体。
- 連通気泡成形剤の使用量が5重量部〜40重量部であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の合成ゴム組成物発泡体。
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