JP2005089684A - ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物およびそれを用いたフレキシブルプリント配線基板関連製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤並びにフレキシブルプリント配線基板等のフレキシブルプリント配線基板関連製品に使用する接着性の樹脂混和物であって、リン系化合物を含有しないノンハロゲンの高難燃性で接着強度が高く、特に耐マイグレーション性並びに絶縁抵抗をより向上させたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物、並びにそれを用いたフレキシブルプリント配線基板関連製品を提供することにある。
【解決手段】 エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物、およびそれを用いたフレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板等のフレキシブルプリント配線基板関連製品に関する。
近年、通信用、民生用や産業用等の電子機器は、その高密度化、高機能化や環境面等から、材料面においてもその要求特性が厳しくなってきている。例えば、フレキシブルプリント配線基板、その接着剤、カバーレイ、カバーコート等については、ノンハロゲンの難燃性、機械的特性、耐薬品性、耐マイグレーション性等の電気的特性が要求されている。前記カバーレイやカバーコートに使用される樹脂組成物からなる接着剤は、ポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムと銅箔との密着性が強固であって、反復継続の屈曲や変位を受けた際に、前記銅箔からなる配線回路の絶縁性の保持、外部からの湿気や錆を防止できると共に、UL規格に合格する難燃性であることが要求されている。このためエポキシ樹脂をベースとする前記接着剤には、ハロゲン系の難燃剤、リン系化合物、金属水和物やアンチモン化合物等を、適切に組み合わせて難燃性を得るようにしているが、ハロゲン系の難燃剤は燃焼時に有毒なガスを発生するので、環境上問題が指摘されている。また金属水和物は大量に添加する必要があるので、機械的特性や接着性が低下する問題がある。さらにリン系の化合物は、難燃性からは好ましいが接着性を低下させると共に耐マイグレーション性が低下する問題が指摘されている。
そこでリン系化合物を難燃剤として使用した場合の、マイグレーション性を改善する提案が特許文献1や特許文献2でなされている。すなわち、リン系化合物を難燃剤として使用した場合に生じる耐マイグレーション性の低下を、イオン性不純物が少ないNBRゴムを添加することによって、或いはエポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール系硬化剤を使用することによって、防止しようとするものである。しかしながら、銅マイグレーションは、水分やエポキシ樹脂中の塩素イオン、NBRのイオン性不純物による銅の腐食現象等に起因するものであるから、リン系化合物のように吸水性であって自身もイオン化し易い化合物を添加すること自体、本質的な問題解決とはならない。また特許文献3では、ポリエステル樹脂を添加することによって、耐マイグレーション性が改善されるとしている。しかしながら、このような接着剤組成物には、耐熱性が低くなるという問題があり、いまだ十分なものとはいえない。そこでこのようなリン系の化合物を使用することなく、難燃性等が得られる技術が望まれている。
特開2001−339131号公報
特開2001−339132号公報
特開2001−31940号公報
よって本発明が解決しようとする課題は、フレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤並びにフレキシブルプリント配線基板等のフレキシブルプリント配線基板関連製品に使用する接着性の樹脂混和物であって、リン系化合物を含有しないノンハロゲンの高難燃性で接着強度が高く、特に耐マイグレーション性並びに絶縁抵抗をより向上させたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物、並びにそれを用いたフレキシブルプリント配線基板関連製品を提供することにある。
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
また請求項2に記載されるように、前記ゴム系材料がアクリル系ゴムからなる請求項1に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。さらに請求項3に記載されるように、前記アクリル系ゴムがカルボキシル基を含有するブタジエンアクリロニトリルゴムである請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
そして請求項4に記載されるように、前記ゴム系材料は、前記ベース樹脂中に少なくとも10wt%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
また請求項5に記載されるように、前記金属水和物粉末が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。さらに請求項6に記載されるように、前記金属水和物粉末は平均粒径が3μm以下である請求項5に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
さらに請求項7に記載されるように、前記ケイ酸アルミニウム粉末は、粒径が0.5〜10μmで、比表面積が1〜100m2/g、吸油量が10〜100g/100gである請求項1〜6のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、解決される。
そして、請求項8に記載されるように、前記請求項1〜7のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を用いたフレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板とすることによって、解決される。
以上のようなエポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、また前記ゴム系材料は、前記ベース樹脂中に少なくとも10wt%含有するノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、リン系化合物を含有しないノンハロゲンの高難燃性で、接着強度(ピール強度)が高く、特に耐マイグレーション性並びに絶縁抵抗をより向上させることができる。
さらに前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂組成物において、前記ゴム系材料がアクリル系ゴムであり、さらにまた前記アクリル系ゴムがカルボキシル基を含有するブタジエンアクリロニトリルゴムであるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、さらに前記金属水和物粉末が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種で、その平均粒径が3μm以下であるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、リン系化合物を添加しなくてもUL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性が得られ、また接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)を、余裕を持って107Ω以上とすることができる。さらに、リン系化合物のような吸湿性で銅配線等に対する腐食作用のある材料が配合されていないことと併せて、デンドライト(樹枝状晶)の発生がなくマイグレーションを生じることのない、優れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることができる。
そして、前記請求項1〜6のいずれかに記載されるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を用いて、フレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板等のフレキシブルプリント配線基板関連製品とすることによって、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性を有し、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)が107Ω以上であり、かつデンドライトの発生が殆どない耐マイグレーション性に優れた実用的なフレキシブルプリント配線基板関連製品を提供できることになる。
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%と、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物であって、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性並びに接着強度(ピール強度)に優れ、特に絶縁抵抗がより向上し、さらにデンドライトの発生がない、耐マイグレーション性をより向上させることができる。
まずベース樹脂の一つであるエポキシ樹脂について述べると、本発明に用いるエポキシ樹脂は特に限定される必要はなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、多官能性グリシジルアミン樹脂、多官能フェノールジグリシジルエーテル化物、指環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂等が単独で或いは併用して使用できる。中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。またこれらのエポキシ樹脂は、数平均分子量が100〜1000程度のものが用いられる。このようなエポキシ樹脂は、柔軟性と接着性に優れているので好ましい。なお前記エポキシ樹脂は、通常液状で供給される場合が多いがその場合は他の配合材料を直接添加して混合、均一化すればよく、また前記エポキシ樹脂が固形状もしくは高粘度の場合には、少量の有機溶媒例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン等に、溶解もしくは希釈して用いてもよい。
さらに、前記硬化剤についても特に限定がなく、エポキシ樹脂の硬化剤として公知の種々のもの、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系の硬化剤、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン系硬化剤やノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリフェノールアルカン樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ペンタジエン変性フェノール樹脂、高級縮合多環芳香族変性フェノール等のフェノール系硬化剤、イミダゾール等が使用できる。またその使用量も、使用するエポキシ樹脂および硬化剤の種類に応じて適宜慣用量とすることができる。さらに硬化促進剤を併用することも好ましい。
また、前記ベース樹脂を構成するゴム系材料は、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物の柔軟性や屈曲性を向上させるために用いられるもので、請求項2に記載されるアクリル系ゴムや、請求項3に記載されるように、カルボキシル基を含有するブタジエンアクリロニトリルゴムが特に好ましいものである。カルボキシル基を含有するゴム系材料は、金属等との接着強度が向上する点から好ましいものである。なお、前記ゴム系材料の選択に当たっては、イオン性の不純物が含まれないものを使用することが望ましい。そしてこれらのゴム系材料は、請求項4に記載されるように、前記ベース樹脂中に少なくとも10wt%含有される。これは、前記ゴム系材料が10wt%未満であると、接着性が低いためである。なお上限は、必要な耐熱性と接着性或いはマイグレーション特性等によって決めればよい。
以上のような組成のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることによって、この混和物は、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)を大幅に107Ω以上とすることができ、かつリン系化合物のような吸湿性で銅配線等に対する腐食作用のある材料が配合されていないので、デンドライト(樹枝状晶)の発生が殆どない耐マイグレーション性を有する優れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることができる。このように引張り強度(ピール強度)を7N/cm以上とすることによって接着剤として好適となり、また絶縁抵抗を107Ω以上とすることによって、フレキシブルプリント配線基板用の接着剤として十分実用的なものとすることができる。
また、請求項2に記載されるように、前記アクリル系ゴムとしてはエチレンアクリロニトリル共重合体やブタジエンアクリロニトリル共重合体(NBR)等が使用される。これらのゴム系材料は、熱可塑性樹脂の特性とゴム弾性の特性とを有する熱可塑性エラストマーであって、トルエンやメチルエチルケトン(MEK)等の有機溶剤に可溶であるため、例えばフレキシブル配線基板の接着剤や高強度が要求されるパッキング、オイルシール、Oリング、ベルト等として使用されている。具体的なエチレンアクリロニトリル共重合体としては、エチレンアクリル共重合体、エチレンアクリロニトリル共重合体、等が知られており、また、ブタジエンアクリロニトリル共重合体(NBR)としては、日本ゼオン社から商品名「Nipol」として、BFグッドリッチケミカル社から商品名「ハイカー」として、さらに日本合成ゴム社製の「PHR−1H」等が知られている。そしてその末端には、通常エポキシ基やカルボキシル基等の官能基を有するものである。
前記請求項2に記載されるアクリル系ゴムは、請求項3に記載されるように、その末端をカルボキシル基で変性したものが好ましい。カルボキシル基を含有することによって、銅等の金属との接着性が向上するため接着強度(ピール強度)が向上し、機械的特性を向上させる効果がある。このような材料は、前述の市販品の中から適宜選択して使用すればよいが、例えば日本ゼオン社製のNipol(ニポール)1072JもしくはNipol(ニポール)1072、BFグッドリッチケミカル社製のハイカーや日本合成ゴム社製のPHR−1H等が、挙げられる。
さらに前記金属水和物粉末は、請求項5に記載されるように、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種が使用される。これらの金属水和物は、温度が上昇すると分解して水分を放出し気化熱によって燃焼温度を低下させ、また放出した水によっても難燃性を発揮するものである。これらの金属水和物粉末を特定量配合することによって、他の特性を低下させずにUL規格94のVTM−0試験に合格する難燃性が得られることになる。また請求項6に記載されるように、前記金属水和物粉末は平均粒径が3μm以下のものが使用される。これは3μmを超える平均粒径とすると、塗布厚が薄くなったときに表面性が悪くなるので好ましくないためである。そして前記の金属水和物粉末の中でも、水酸化マグネシウム粉末が電気的特性に与える影響が一番小さいので好ましく、ついで水酸化アルミニウム粉末が好ましい。
また本発明の前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物中には、ケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%が配合される。このように特定量のケイ酸アルミニウム粉末を添加することによって、ノンハロゲンの高難燃性で接着強度(ピール強度)に優れると共に、絶縁抵抗並びに耐マイグレーション性をより向上させることができる。このようなケイ酸アルミニウム粉末としては、エンゲルハード(Engelhard)社から焼成クレーとして、SATINTONE−SP33の名称で市販されている。そしてまた請求項7に記載されるように、前記ケイ酸アルミニウム粉末は、粒径が0.5〜10μmで、比表面積が1〜100m2/g、吸油量が10〜100g/100gであることが好ましい。これは、粒径が0.5μm未満であると凝集し易くなり、10μmを超えると塗布厚が薄くなったときに表面性が悪くなるためである。また吸油量が10g/100g未満であると、電気特性向上の効果が少なく、100g/100gを超えると逆に電気特性が低下するため好ましくない。
そして本発明のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、前記ベース樹脂40〜89vol%に、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末が1〜5vol%添加されることによって構成される。このような配合比率とするのは、ベース樹脂が89vol%を超えると難燃性が低くなり、また40vol%未満であると接着性が低いためである。さらに金属水和物粉末が10vol%未満であると、目的とするノンハロゲンでUL規格94のVTM−0試験に合格する難燃性のものとならず、また55vol%を超えて配合すると、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上にならないためである。なお、前記金属水和物のうち水酸化マグネシウム粉末並びに水酸化カルシウム粉末の配合量は、10〜50vol%とするのが好ましい。さらに、ケイ酸アルミニウム粉末が1vol%未満であると電気特性向上効果が殆どなく、また5vol%を超えて添加すると、接着性が低くなって好ましくない。このように、本発明のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、吸湿性で銅配線等に対する腐食作用のあるリン系化合物を配合しないでノンハロゲンの難燃性を確保できるので、デンドライトの発生がなく耐マイグレーション性を向上でき、前記ケイ酸アルミニウム粉末は電気的特性に優れているため、絶縁抵抗もより向上することになる。
前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、通常使用される混練装置等によって混練して製造され、また通常使用される製造装置によって、フィルム状やシート状に成形加工される。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド等のベースフィルムに接着剤として塗布するために、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン等により粘度が100〜5000cPs程度のワニスとして用いられる。さらに、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物には種々の添加剤を、前記特性を阻害しない範囲で添加することができる。例えば、粘度調整剤、レベリング剤等であり、特にBTA(ベンゾトリアゾール)、EDTA(エチレンジアミンテトラアセテート)や2−アミノエタノール等の腐食防止剤を、前記ベース樹脂中に0.5〜5vol%添加させると、耐マイグレーション性をより向上できるので好ましい。
以上のようなノンハロゲン難燃接着性混和物は、請求項7に記載されるように、前記請求項1〜6のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を用いたフレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板として使用できる。例えば接着剤として使用する場合には、前記の溶剤によって前述の粘度範囲に調整して使用される。またフレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線基板等として使用する場合には、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を、バーコータ、ロール、ロールコーター、スクリーン印刷等によって、10〜50μm程度のフィルム状やシート状に成形加工することによって製造することができる。このようにして得られたフレキシブルプリント配線基板関連製品は、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性を有し、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)が107Ω以上であり、かつデンドライトの発生が殆どない耐マイグレーション性に優れた実用的なものとなる。
表1〜3に記載した実施例並びに比較例によって、本発明の効果を確認した。表1〜3に示すそれぞれのノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を、25μmのポリイミドフィルム上に厚さ30μmになるように塗布・乾燥させて試料とし、難燃性について、UL規格94のVTM−0試験に合格したものを○印で、不合格を×印で示した。また接着強度(ピール強度)を、JIS規格C6471の「銅はくの引きはがし強さ」を援用し、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を、25μmのポリイミドフィルム上に厚さ30μmに塗布して接着剤層とし18μmの圧延銅箔を貼り合わせた。ついで前記銅箔に、線幅100μmで線間100μmの櫛形回路を形成し、その上に、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を乾燥後の厚さが30μmになるように塗布・乾燥したポリイミドフィルムを、170℃、40kg/cm2で40分間プレスし試料として測定した。さらにこの試料を、85℃、85%RHの雰囲気下で直流50Vを印加しながら240時間保持して絶縁抵抗(Ω)を測定し、並びにデンドライトの発生状態を走査型電子顕微鏡を用いて確認して、耐マイグレーション性の評価基準とした。デンドライトが発生しているものを×印で、前記デンドライトの発生が殆ど見られないものを○印で記載した。
また、前記ノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物のベース樹脂(A)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828EL)37.8wt%、硬化剤として酸無水物(日立化成社製、商品名:HN−5500)34.8wt%、硬化促進剤として2、4、6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピキュア3010)0.4wt%に、カルボキシル基含有ブタジエンアクリロニトリルゴム(日本ゼオン社製、商品名:ニポール1072)27.0wt%の混合物とした。ベース樹脂(B)として、ノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート152)14.1wt%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828EL)43.6wt%、フェノール樹脂型硬化剤(住友ベークライト社製、商品名:PR−54869)23.4wt%、硬化促進剤としてイミダゾール(四国化成工業社製、C11Z−CN)0.2wt%に、カルボキシル基含有ブタジエンアクリロニトリルゴム(日本ゼオン社製、商品名:ニポール1072)18.7wt%からなる混合物とした。さらにベース樹脂(C)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828EL)64.5wt%、硬化剤として4,4−ジアミノジフェニルスルフォン(和光純薬工業社製)22.5wt%にカルボキシル基含有ブタジエンアクリロニトリルゴム(日本ゼオン社製、商品名:ニポール1072)13.0wt%の混合物を用いた。
そして前記各ベース樹脂(vol%)に、平均粒径0.8μmでステアリン酸表面処理した水酸化アルミニウム粉末、平均粒径0.8μmでステアリン酸表面処理した水酸化マグネシウム粉末並びに平均粒径1.5μmで表面処理なしの水酸化カルシウム粉末、腐食防止剤として関東化学社製のベンゾトリアゾール(BTA)、さらにケイ酸アルミニウム粉末としてエンゲルハード社の焼成クレー(SATINTONE−SP33)を、それぞれの量添加(vol%)して試料とした。前記水酸化アルミニウム粉末を用いた場合の結果を表1に、水酸化マグネシウム粉末を用いた場合の結果を表2に、また水酸化カルシウム粉末を用いた場合の結果を、表3にそれぞれ記載した。
表1から明らかなとおり、実施例1〜18で示した水酸化アルミニウム粉末を用いた本発明のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性が得られ、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)が107Ω以上(1.0E+7と表示)、かつデンドライト(樹枝状晶)の発生が殆どなく、耐マイグレーション性に優れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物であることがわかる。
より詳細に説明すると、エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料が特にカルボキシル基を有するブタジエンアクリロニトリルゴムからなるベース樹脂40〜89vol%と、平均粒径が3μm以下の前記水酸化アルミニウム粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることが、好ましいことがわかる。特に実施例4〜9のように、前記ベース樹脂成分が50vol%以上でケイ酸アルミニウム粉末も2vol%以上のものや、実施例13〜18のように前記BTAを添加したものは、絶縁抵抗が大きく並びに耐マイグレーション性がより向上すると共に、全ての試験項目に合格するものである。また実施例1〜18に示されるように、ケイ酸アルミニウム粉末を添加することによって、デンドライトの発生を抑制して耐マイグレーション性が全て向上していた。そしてこの傾向は、前記金属水和物粉末の中でも水酸化アルミニウム粉末が良い結果を示した。
これに対して、比較例1〜12で示される本発明の組成範囲を外れるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、ベース樹脂が94vol%で水酸化アルミニウム粉末の添加量が5vol%である比較例1〜3は、UL規格94のVTM−0試験に合格せず難燃性が低いものとなっている。また比較例4〜6のようにベース樹脂が35vol%と低くなると、接着強度(ピール強度)が7N/cm未満となって機械的強度上から好ましくない。さらにケイ酸アルミニウムを添加しない比較例7〜9は、デンドライトが発生し耐マイグレーション性が悪くなっている。また比較例10〜12のように、ケイ酸アルミニウムの量が10vol%のように高くなると接着強度が低下するので、その添加量は5vol%までとするのがよい。
また表2から明らかなとおり、実施例19〜36で示した前記水酸化マグネシウム粉末を用いる本発明のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性が得られ、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)が107Ω以上(1.0E+7と表示)、かつデンドライトの発生が殆どなく、耐マイグレーション性を有する、優れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物であることがわかる。
より詳細に説明すると、エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料が特にカルボキシル基を有するブタジエンアクリロニトリルゴムからなるベース樹脂45〜89vol%と、平均粒径が3μm以下の水酸化マグネシウム粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とするのが、好ましいことがわかる。特に実施例22〜27のように前記ベース樹脂成分が多いものや、実施例31〜36のように腐食防止剤である前記BTAを添加したものは、絶縁抵抗並びに耐マイグレーション性がより向上すると共に、全ての試験項目が好ましいものである。また実施例19〜36に示されるケイ酸アルミニウムを添加したものは、デンドライトの発生を抑えて耐マイグレーション性を向上させることがわかる。
これに対して、比較例13〜24で示される本発明の組成範囲を外れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、ベース樹脂が94vol%で水酸化マグネシウム粉末の添加量が5vol%である比較例13〜15は、UL規格94のVTM−0試験に合格せず難燃性が低いものとなっている。また比較例16〜18および22〜24のようにベース樹脂量が40vol%と低いと、接着強度(ピール強度)が7N/cm未満となって機械的特性上から好ましくなくなる。さらにケイ酸アルミニウム粉末を添加しない比較例19〜21は、デンドライトが発生し耐マイグレーション性が悪くなっている。また比較例22〜24のように、ケイ酸アルミニウムの量が10vol%と高くなると接着強度(ピール強度)が低下するので、その添加量は5vol%までとするのがよい。
さらに表3から明らかなとおり、実施例37〜54で示した水酸化カルシウム粉末を用いた本発明のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性が得られ、接着強度(ピール強度)が7N/cm以上で、絶縁抵抗(85℃、85%RH、240時間後)が107Ω以上(1.0E+7と表示)、かつデンドライトの発生が殆どなく、マイグレーションを生じることのない優れたノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物であることがわかる。
より詳細に説明すると、エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料が特にカルボキシル基を有するブタジエンアクリロニトリルゴムからなるベース樹脂45〜89vol%と、平均粒径が10μm以下の前記水酸化カルシウム粉末10〜50vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物とすることが、好ましいことがわかる。特に実施例40〜45のように、前記ベース樹脂成分が50vol%以上でケイ酸アルミニウム粉末も2vol%以上のものや、実施例49〜54のように前記BTAを添加したものは、絶縁抵抗が大きく並びに耐マイグレーション性がより向上すると共に、全ての試験項目に合格するものである。また実施例37〜54に示されるように、さらにケイ酸アルミニウム粉末を添加することによって、デンドライトの発生を抑制して耐マイグレーション性が全て向上していた。
これに対して、比較例25〜36で示される本発明の組成範囲を外れるノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物は、ベース樹脂が94vol%で水酸化カルシウム粉末の添加量が5vol%である比較例25〜27は、UL規格94のVTM−0試験に合格せず難燃性が低いものとなっている。また比較例28〜30のようにベース樹脂が35vol%と低くなると、接着強度(ピール強度)が7N/cm未満となって機械的強度上から好ましくない。)さらにケイ酸アルミニウムを添加しない比較例31〜33は、デンドライトが発生し耐マイグレーション性が悪くなっている。また比較例34〜36のように、ケイ酸アルミニウムの量が10vol%のように高くなると接着強度が低下するので、その添加量は5vol%までとするのがよい。
以上のようなノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を用いることによって、UL規格94のVTM−0試験に合格するノンハロゲンの難燃性を有し、接着強度(ピール強度)に優れ、特に、絶縁抵抗を向上しさらにデンドライト(樹枝状晶)の発生がない耐マイグレーション性にも優れた接着剤、フレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板として有用なものである。
Claims (8)
- エポキシ樹脂、硬化剤およびゴム系材料からなるベース樹脂40〜89vol%、金属水和物粉末10〜55vol%およびケイ酸アルミニウム粉末1〜5vol%とからなることを特徴とするノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記ゴム系材料が、アクリル系ゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記アクリル系ゴムは、カルボキシル基を含有するブタジエンアクリロニトリルゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記ゴム系材料は、前記ベース樹脂中に少なくとも10wt%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記金属水和物粉末が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記金属水和粉末は、平均粒径が3μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記ケイ酸アルミニウム粉末は、粒径が0.5〜10μmで、比表面積が1〜100m2/g、吸油量が10〜100g/100gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物。
- 前記請求項1〜7のいずれかに記載のノンハロゲン難燃接着性樹脂混和物を用いたことを特徴とするフレキシブル銅張積層板、カバーレイフィルム、接着剤フィルム並びにフレキシブルプリント配線基板。
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JP2007112848A (ja) * | 2005-10-18 | 2007-05-10 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 樹脂組成物およびそれを用いたカバーレイフィルム、金属張積層板 |
JP2011001424A (ja) * | 2009-06-17 | 2011-01-06 | Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd | 電気機器用絶縁注型樹脂及びこれを用いた高電圧電気機器 |
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- 2003-09-19 JP JP2003327695A patent/JP2005089684A/ja active Pending
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