JP2005089599A - 導電性微粒子水分散体及びそれを含む有機重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 除電効果が期待される導電性高分子を水中に長期間安定に分散させる。
【解決手段】 導電性高分子、酸性基を有する水溶性高分子酸及び水膨潤性粘土鉱物を含んでなる導電性微粒子水分散体及びそれを含む有機重合体組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は導電性微粒子水分散体及びそれを含む有機重合体組成物に関し、更に詳しくは導電性高分子を水に安定に分散させた導電性微粒子水分散体及びそれを含む有機重合体組成物に関する。
アニリン、ピロール、チオフェンなどは化学酸化重合することによって、電解質イオンをドーパントとして含む導電性高分子が得られることは知られている。しかしながら、導電性高分子は、一般に、水性溶媒又は有機溶媒に不溶性であり、また不融性でもあるため、成形加工性に劣り、その応用開発が困難であった。上記導電性高分子の中でもポリアニリンは、ドーパントが高分子中に含有していない脱ドープ状態であれば、N−メチル−2−ピロリドン等の極性有機溶媒に可溶であることが報告されている(特許文献1)。しかしながら、溶媒可溶である形態は脱ドープ状態のポリアニリンであり、脱ドープ状態のポリアニリンを成形加工した後、プロトン酸処理により脱ドープ状態からドープ状態へ変換する必要があり、その操作が煩雑であった。
ポリアニリン骨格にスルホン酸基を有する水溶性ポリアニリンが報告されているが(特許文献2)、これも製造工程が煩雑でコスト面において問題であった。また、アニリンの重合を水溶性高分子酸とともに水中で行った場合、ポリアニリンの沈殿物が形成され、ポリアニリンのコロイド水分散液は得られない。
ポリチオフェンに関しては、ポリエチレンジオキシチオフェンのコロイド水分散液が報告されているが(非特許文献1)、これもモノマーの製造工程が煩雑であるという問題を含んでいる。
一方、層状粘土鉱物は、粘土鉱物の層状シートが高分子中で層剥離し微分散した高分子/粘土ナノコンポジットが高剛性、高強度、低吸湿性、低気体透過性に優れる材料であることから、最近広く研究されている。かかる導電性高分子と粘土鉱物とからなる複合体において粘土鉱物の層状シートが層剥離したナノコンポジットが形成されることが報告されている(特許文献3)。しかしながら、この方法も複合体を形成させるためには、重合触媒で改質された粘土鉱物を調製した後、モノマーを重合する2段階の過程が必要であり、煩雑であった。また、導電性高分子マトリックス中に層剥離した層状粘土鉱物が均一に分散した複合体を得ることを目的としたものであり、導電性高分子を水中に安定に分散させる分散剤として層状粘土鉱物を用いた本発明とは異なるものである。
水分散型導電性高分子としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(Bayer製バイトロン P(1.5重量%水溶液))やスルホン化ポリアニリン(三菱レイヨン製アクアセイブ)などが市販されているが、これらは、モノマー及び重合法が特殊である。また、酸性基を有する水溶性高分子酸を用いることにより、コロイド状導電性高分子を調製する試みが行われているが(非特許文献2参照)、安定的に水に分散させることは困難であった。
特開平3−28229号公報 特開平5−178989号公報 特開2001−172014号公報 L. Groenendaal, F. Jonas, D. Freitag et al, Adv. Mater. 12, 481(2000) Synthetic Metals 20, 141(1987)
本発明は除電効果が期待される導電性高分子を水中に長期間安定に分散させることができる導電性微粒子水分散体を提供することを目的とする。
本発明に従えば、導電性高分子、酸性基を有する水溶性高分子酸及び水膨潤性粘土鉱物を含んでなる導電性微粒子水分散体が提供される。
本発明に従えば、また、前記導電性微粒子水分散体及び高分子重合体エマルジョンを含む導電性微粒子含有有機重合体組成物が提供される。
本発明では、導電性高分子を調製する際、酸性基を有する水溶性高分子酸と水膨潤性粘土鉱物を併用することにより、コロイド状導電性高分子が高濃度で得ることが可能となり、水に対する分散性を長期安定化させることができた。また、得られたコロイド状導電性高分子水分散体とSBRラテックスのような有機重合体エマルジョンとからなる複合体は、ゴムに対して導電性高分子を5重量部添加した場合、電気伝導度は10-8Scm-1となり十分除電効果を示すことを見出した。
本発明に従った水分散体に配合される導電性高分子は、通常では水に溶解しない任意の導電性高分子とすることができ、具体的には、例えばアニリン、ピロール、チオフェン及びこれらの誘導体を酸化重合したり、又はこれらの任意の混合物を酸化重合することによって得られる。
上記誘導体としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基を置換基として有するアニリン、ピロール、チオフェン化合物が例示できる。好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アルコキシアルキル基を置換基として有するアニリン、ピロール、チオフェン化合物が例示できる。
上記化合物を酸化重合するための酸化剤としては、上記化合物を重合し得うるものであれば限定はなく、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類、過酸化水素、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過酸化水素−第一鉄塩等のレドックス開始剤等が好ましく用いられる。これら酸化剤は単独で使用しても2種以上併用してもよい。これら酸化剤の用いる量としては、上記化合物を酸化重合し得うる量であれば特に制限されないが、上記化合物1モルに対して0.01〜10モル、より好ましくは0.1〜5モルである。
本発明に従えば、かかる導電性高分子に酸性基(例えばカルボン酸残基、スルホン酸残基、硫酸残基、リン酸残基、ホウ酸残基、ホスホン酸残基など)を有する水溶性高分子酸を、好ましくは導電性高分子100重量部に対し20〜1000重量部、更に好ましくは50〜650重量部配合する。この水溶性高分子酸の配合量が少な過ぎると導電性高分子が水に対して安定的に分散できなくなり沈殿物が形成されるおそれがあるので好ましくなく、逆に多過ぎると添加量に見合っただけの効果が得られないおそれがあるので好ましくない。前記した水溶性高分子酸としては、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリスチレンリン酸、ポリビニルリン酸、ポリスチレンホウ酸、ポリビニルホウ酸、ポリスチレンホスホン酸、ポリビニルホスホン酸等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。これらの高分子酸は酸基の一部がナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のような中和塩の形になっていてもよく、又は一部がエステル化されていてもよい。
本発明において使用される水膨潤性粘土鉱物としては15〜250ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状ケイ酸鉱物であり、具体的にはモンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロライト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系、あるいはバーミキュライト系、ハロサイト系があり、天然または合成のいずれも使用することができる。また、本発明ではこれら水膨潤性粘土鉱物の一種または二種以上が用いられてもよい。この水膨潤性粘土鉱物は好ましくは導電性高分子100重量部当り0.1〜100重量部、更に好ましくは0.5〜80重量部配合する。この配合量が少な過ぎると導電性高分子が水に対して安定的に分散できなくなり沈殿物が形成されるおそれがあるので好ましくなく、逆に多過ぎると添加量に見合っただけの効果が得られないおそれがあるので好ましくない。
上記導電性高分子及び水溶性高分子の分子量については特に限定はないが、重量平均分子量が1000〜1000000であるのが好ましく、5000〜100000であるのが更に好ましい。
本発明に従った導電性微粒子水分散体には前述の必須成分に加えて、例えば塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸等のプロトン酸、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子等、導電性高分子の分散安定性を阻害しない範囲でメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、アセトン等の水可溶性有機溶媒を任意的に配合することができる。これらの混合方法には特に導電性微粒子水分散体を得る方法や導電性微粒子水分散体を調製した後、上記化合物を混合する方法などが挙げられる。
本発明に従えば、前記導電性微粒子水分散体と高分子重合体エマルジョンとを含む除電効果に優れた組成物が提供されるが、好ましい配合比は高分子重合体エマルジョン(固形分)100重量部に対し導電性高分子0.01〜400重量部、更には好ましくは0.1〜200重量部である。このようにして得られた有機重合体組成物の導電率は10-12 Scm-1以上であることが好ましく、より好ましくは10-9Scm-1以上である。
本発明に係る有機重合体組成物にはその他の成分として、例えばカーボンブラック、シリカ、タルクなどの補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、シランカップリング剤、各種オイル、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤等のゴム又は樹脂用に一般的に配合されている各種添加剤を任意的に配合することができる。
本発明に係る導電性微粒子含有有機重合体組成物に用いられる高分子重合体エマルジョンは、水性媒体に分散した高分子重合体エマルジョンであれば特に限定はなく、好ましい例としてはジエン系ゴムのエマルジョン(例えばポリブタジエン(BR)ラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)ラテックス、天然ゴムラテックス)、酢酸ビニル系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリオレフィン系エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、シラン系樹脂エマルジョン、アクリルシリコン系エマルジョンなどがあげられる。高分子重合体エマルジョンと導電性微粒子水分散体の混合方法には特に限定はなく、高分子重合体エマルジョンと導電性微粒子水分散体を混合する方法や各々を一度に水及び/又は水可溶性溶媒に加え混合する方法などが挙げられる。
以下、実施例に従って本発明を更に具体的に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
調製例1:ポリアニリン微粒子水分散体1の調製
蒸留水20gにアニリン1g、塩酸1.12g、水分散性高分子であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩1gを溶解させた。得られたアニリン水溶液は、あらかじめ蒸留水20gに分散させたNa型モンモリロナイト0.5gに室温下で添加し、同じ温度で12時間撹拌した。この懸濁液を5℃以下に冷却した後、蒸留水10gに溶解させた過硫酸アンモニム2.4gを添加した。反応溶液を5℃以下で6時間撹拌することによりポリアニリン水分散体を得た。得られたポリアニリン水分散体は、室温で7日間放置した後もポリアニリン粒子の沈殿は観測されず、水中に安定に分散可能であった。
調製例2:ポリアニリン微粒子水分散体2の調製
Na型モンモリロナイトを使用しなかった以外は例1と同様にしてポリアニリン分散体を得た。得られたポリアニリン水分散体は室温で放置したところ、翌日ポリアニリン粒子の沈殿が観測され、水中への分散は良くなかった。
実施例1及び比較例1
上で得られた調製例1及び2のポリアニリン水分散体とSBRエマルジョン(日本ゼオン(株)製 固形分50重量%)をSBR固形分100重量部に対してポリアニリンが5重量部となるように混合した。得られた沈殿物を水で洗浄することによりポリアニリン/SBR複合体を得た。得られた複合体を15×15×0.2cmの金型中で100℃10分間プレスしてゴムシートを作製し、その電気伝導度をJIS K7194に準拠して測定した(条件:室温下、三菱化学社製 ロレスタGP)。結果を表Iに示す。
Figure 2005089599
以上の通り、本発明に従えば、コロイド状導電性高分子を水に長期間安定に分散させる導電性微粒子水分散体を簡単な方法で得られる。また、この導電性微粒子水分散体を直接基材上に塗布し、水を除去することにより、導電性の付与したフィルム、薄膜を容易に形成できる。さらに、水性溶媒中で他の高分子材料と混合した後にフィルム化、薄膜化することも可能である。このようにして得られた導電性フィルムや薄膜は帯電防止材料、透明導電フィルムなどに使用するのに好適である。

Claims (6)

  1. 導電性高分子、酸性基を有する水溶性高分子酸及び水膨潤性粘土鉱物を含んでなる導電性微粒子水分散体。
  2. 前記水溶性高分子酸の量が導電性高分子100重量部当り20〜1000重量部である請求項1に記載の水分散体。
  3. 前記水膨潤性粘土鉱物の量が導電性高分子100重量部当り0.1〜100重量部である請求項1又は2に記載の水分散体。
  4. 前記導電性高分子がアニリン、ピロール、チオフェン又はそれらの任意の混合物の重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水分散体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水分散体及び高分子重合体エマルジョンとを含む導電性微粒子含有有機重合体組成物。
  6. 導電性高分子の量が高分子重合体エマルジョン(固形分)100重量部に対し0.01〜400重量部である請求項5に記載の有機重合体組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104795247A (zh) * 2015-04-28 2015-07-22 中科院广州化学有限公司南雄材料生产基地 一种多孔结构聚苯胺纳米复合电极材料及其制备方法与应用
JP2019050241A (ja) * 2017-09-07 2019-03-28 信越ポリマー株式会社 キャパシタ及びその製造方法、並びに導電性高分子分散液

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