JP2005089425A

JP2005089425A - 皮膚外用剤

Info

Publication number: JP2005089425A
Application number: JP2003328852A
Authority: JP
Inventors: Shinichi Kitazaki; 伸一北▲崎▼
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2003-09-19
Filing date: 2003-09-19
Publication date: 2005-04-07
Also published as: KR20060085249A; US20070036735A1; WO2005027941A1

Abstract

【課題】アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬等の皮膚疾患を副作用を伴うことなく改善し、また美白効果を奏する皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】紅藻類サンゴモ科の石灰藻類が球状に成長することによって形成された石灰藻球の粉体を有効成分として含有する皮膚用外用剤を提供した。

Description

この発明はアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬等の皮膚疾患により荒れた肌に接触させてその皮膚疾患を改善する皮膚外用剤に関するものである。

従来アトピー性皮膚炎を治療するための皮膚外用剤として種々のものが提案されており、その中でも波長が４〜１４ｍμの遠赤外線を放射する花崗岩、窯土（酸化金属として珪酸約６０％、酸化アルミ約１７％、酸化マグネシウム約１２％、酸化第一鉄約５〜６％、その他５〜６％）、トルマリン、国宝石、セラミック等が利用されている。

また、波長が４〜１４μｍの遠赤外線願線を放射し、少なくともシリコン約２８％、アルミニウム約１０％、カリウム約６％を含有する岩石を粉砕して球状に形成したものを浴槽に引き詰めることも提案されている。

これらの遠赤外線を放射する物質は水のクラスターを切断し、また種々の病気を引き起こす原因と言われている過酸化脂質の産生を抑制することが知られている。
特開平９−１７３４７９

この過酸化脂質の産生は活性酸素による細胞の酸化または細胞と細胞との間の間質に存在する脂質の酸化によるものであり、抗酸化力の強い物質がアトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に有効であると言える。

本発明者はこのような知得に基づき、副作用のない抗酸化力の強い自然界に存在する物質を鋭意探求した結果、紅藻類サンゴモ科の石灰藻類が球状に成長することによって形成された石灰藻球の粉体が他の物質に比べて極めて抗酸化力が優れていることを知得し、この知得に基づいて本発明を完成するに至ったものである。

本発明の皮膚外用剤は紅藻類サンゴモ科の石灰藻類が球状に成長することによって形成された石灰藻球の粉体を有効成分として含有してなるのである。

この石灰藻球は長崎県の西彼杵半島北西部（西海町）に分布する斬新統西彼杵層群の砂岩層（七釜砂岩層）中に存在している。含石灰藻球砂岩層の基質は鏡下観察と粉末Ｘ線回析分析で、石英、白雲母、黒雲母、緑泥石、斜長石などが同定されている。粒度は中粒から粗粒で、泥質成分をほとんど含んでいない。石灰藻球は主に紅藻類サンゴモ科のLithothamnion属から構成され、これらが層状に細かく重なり直径２〜９ｃｍの楕円球状態に成長したものである（文献名：月刊「地球」Vol. 17, No.9, 1995「含石灰藻球砂岩層（斬新統七釜砂岩層）の堆積環境・形成年代と炭素・酸素同位体組成の変動要因」）。

好ましくは、この石灰藻球をできるだけ細かな粉体とすることで、好ましくは５μｍ以下の微細な粉体に粉砕し、この粉体を５０重量％以上ワセリン等の付着材に混練して患部に塗布することである。

上記の構成により、本発明の皮膚外用剤はアトピー性皮膚炎、湿疹、乾癬等の皮膚疾患を副作用を伴うことなく改善し、また美白効果を奏することができる。

アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患が活性酸素による酸化が原因となっていることは明らかになっているので、先ず、本発明の皮膚外用剤の抗酸化力を調べるために、本発明の石灰藻球の粉体と、従来の国宝石の粉体と、トルマリン石の粉体とを比較実験した。

この実験では、石灰藻球を乳鉢にて２〜３ｍμに微粉末化したパウダーと白色ワセリンを重量比で３：２となるように混練した本発明品（Ａ）と、石灰藻球の代わりに国宝石とトルマリン石をそれぞれ使用した点においてのみ異なる比較品（Ｂ）および（Ｃ）からなる試料を作成した。

これらの試料をシャーレー内底にそれぞれ４．０９ｍｇ塗布し、その上から酸化を受けやすい脂質として選択したスクワレン油（Ｃ_３０Ｈ_５０）を５．００ｇ注入し、シャーレーに蓋をしてインキュベーター内にて３７℃を保持しつつ、その重量変化を経日的に計量した。３試料の重量は経日的に変化するが、その重量増加はスクワレン油の酸化による過酸化脂質生成によるものであり、重量増加は過酸化脂質量を反映している。従って、重量増加が少なければ少ないほど試料の抗酸化力は強いといえる。

その、重量増加を表１に示す。

表１の結果から過酸化脂質増加を抑制する抗酸化力はＡＢＣの順で強力であり、特に本発明品Ａが国宝石及びトルマリンよりも優れていることがわかる。

次に、アトピー性皮膚炎の臨床症状と治療効果について検証した。
アトピーの三大症状は「痒くなる」、「硬くなる」、「黒くなる」に分けることができ、るが、アトピーの診断は最終的には専門医の視診による。したがって治療軟膏の効果も患者自身の自覚症状と専門医の他覚症状との改善度を見てゆくことになる。

この検証では、アトピー性皮膚炎の改善度を客観的に評価するために症状の程度を以下のように点数化した。

Ａ．痒み（Ｊｕｃｋｅｎ）
１むず痒い
２痒いが眠れないことはない
３痒くて時々目が覚める
４痒くて眠れない
５これ以上の痒みを想像することができない。実際に皮膚に爪を立て、えぐる行為に
でる程で、一睡もできない

Ｂ．肥厚苔癬化
１視診上は明らかでないが、触診すると異常がある
２かすかに盛り上がり、ザラザラしている
３明らかに盛り上がる
４硬く盛り上がり、ゴワゴワしている
５象の皮膚の如くカチカチ

Ｃ．色素沈着（Ｐｉｇｍｅｎｔａｔｉｏｎ）
※ 首に網目模様を認めればプラス１点
１くすみがある
２いずれかに異常色を認める
３顔を含み、異常色を認める
４全身に褐色を認める
５全身に石炭色が混じる

Ｄ．結節性痒疹（Ｐ．Ｋ．）
※ 顔に出現していればプラス１点
１半米粒大の凸を持つ痒疹を認める
２米粒大の凸を持つ痒疹がある
３大豆大の硬い凸を持つ痒疹がある
４ソラ豆大の硬い凸を持つ痒疹がある
５ウオノメ様のコチコチの痒疹が全身に及ぶ

Ｅ．赤斑（Ｅｒｙｔｈｅｍ）
※ 靡爛があればプラス１点
１四肢好発部に限る
２四肢好発部以外にもある
３顔にある患者
４ほぼ全身に及ぶ
５全身に隙間無く

Ｆ．Ａｔｏｐｉｃｓｋｉｎ
１ブロイラー様の鳥肌を認める
２粉を吹いた様なｄｒｙｓｋｉｎがほぼ全身に及ぶ
３沈んだブロンズ色を含むやや硬質の皮膚が全身に及ぶ

治療効果を示す計算式は以下の通りである。
治療開始前の点数−評価時の点数＝治療効果を示す点数（改善度）

＝＝臨床試験＝＝
症状がある皮膚に本発明の石灰藻球の粉体を含有する本発明軟膏を塗布した。（塗布法）
この軟膏には粘着度を増すため石灰藻球の粉体と白色ワセリンを重量比３：２で混合した。比較例としてトルマリン石と国宝石とをそれぞれ本発明軟膏の場合と同様に粉体化してワセリンと混合したもの及びキンダベート軟膏（酪酸クロベタゾン０．０５％）を選んだ。このキンダベート軟膏は、ステロイド投薬（副腎皮質ホルモン：ＩＶ群ステロイド軟膏）であり、腎臓障害や血圧上昇等の副作用がありまた長期間使用すると効果が無くなる等の問題はあるが現在のところ最もアトピー性皮膚炎に効果的な皮膚外用剤とされている。

症例Ａさん：主症状は結節性痒疹
四肢に大豆大のしっかりと硬い根を張り高さもあるＰ．Ｋ．（結節性痒疹）が散在する。特にしっかりとしたＰ．Ｋ．を２個選び、一方に本発明軟膏と他方に比較例軟膏とを塗り比べた。この対比は本発明軟膏を患者の左右の一方の半身に塗り、キンダベートを他方の半身に塗ることによる第１の対比と、本発明軟膏を患者の左右の一方の半身に塗り、国宝石を他方の半身に塗ることによる第２の対比とをそれぞれ別個に行った。

以下の症例において複数の対比例がある場合も同様である。

症例Ｂさん：主症状は顔、首から鎖骨にかけてのErythem。Erythemは顔にもあるので３点。痒みは３点。合計６点。
右半分に本発明軟膏を、左半分に比較例軟膏（キンダベート軟膏）を塗り比べた。

症例Ｃさん：主症状は顔、首から鎖骨にかけてのPigmentation。顔を含むいずれかに異常色認めるので３点。首から鎖骨に網目模様を認めるのでプラス１点の合計４点。
アダムズ・アップルで左右塗り分けた。

症例Ｄさん：全身diffuseに肥厚苔癬化している。硬く盛り上がり、ゴワゴワしているので４点。Jucken３点。
右半身と左半身とを塗り比べた。

症例Ｅさん：主症状は首に網目模様のPigmentation。Jucken無い。
右半分と左半分とを塗り比べた。

症例Ｆさん：四肢、体幹にブロイラー様の鳥肌を認める。Atopic skin。
Juckenは２点。右半分と左半分とを塗り比べた。

症例Ｇさん：沈んだブロンズ色を含むやや硬質の皮膚が全身に及ぶ。物理的刺激を加えると青白く線状描記される。Juckenは２点。

美容医学「美白効果」
美容医学分野の所謂「シミ」「くすみ」も病理的には色素沈着の一種であり、病因は同じなので、本発明軟膏が良く効く。
「美白効果」も色素沈着の改善に他ならず、肌が浅黒いというのも軽度の色素沈着の一種であり、病因は同じなので、本発明軟膏が良く効く。
「シミ」「くすみ」の判定基準

症例Ｈさん：肩、頬に日焼け後に作った強い「シミ」「くすみ」が散在する。
左右を塗り分けた。

症例Ｉさん：顔にシミが浮かんでいるのがはっきり判る。
よく見ると無数のシミを認める。
顔の中央線で左右塗り分けた。

症例Ｊさん：頬に老人性シミをくっきりと認める。
左右共にあるので、左右を塗り分けた。

「美白効果」の判断基準

症例Ｋさん：四肢に特に下腿部外側に亀甲模様を有する乾燥肌が目立つ。
全身的に肌理が荒い。
全身左右塗り分けた。

症例Ｌさん：患者の言によると「海外旅行後、顔色が黒くなった。」「色がとれない」とのことである。見たところ普通色に見える。他覚的には問題ない。顔の中央で左右塗り分け、１ヶ月後再診すると、明らかに試料を外用した方が白い。

以上の治療効果を示す症例から明らかなように、本発明に係る軟膏を使用した場合には、ステロイド系の軟膏であるキンダベート以上またはそれと同等の治療等の効果があり、本発明の場合には天然物の石灰藻球の粉体であるので、全くステロイドのような副作用が無く、その効果は極めて大きいと言える。

Claims

紅藻類サンゴモ科の石灰藻類が球状に成長することによって形成された石灰藻球の粉体を有効成分として含有してなることを特徴とする皮膚外用剤。
前記石灰藻球として長崎県の西彼杵半島北西部（西海町）に分布する斬新統西彼杵層群の砂岩層（七釜砂岩層）から分離したものを使用してなることを特徴とする請求項１記載の皮膚外用剤。
前記石灰藻球の粉体が５０重量％以上含有されていることを特徴とする請求項１または２記載の皮膚外用剤。
前記石灰藻球に粘着剤としてワセリンを添加混合してなることを特徴とする請求項３記載の皮膚外用剤。
前記石灰藻球の粉体が平均粒径５μｍ以下の粉体であることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１項に記載の皮膚外用剤。