本発明は、車輌の走行状態判定装置に係り、更に詳細にはトーションバー部分にトルクセンサが設けられたスタビライザを有する車輌の走行状態判定装置に係る。
トーションバー部分にトルクセンサが設けられたスタビライザを有する自動車等の車輌の走行状態判定装置の一つとして、例えば下記の特許文献1に記載されている如く、トルクセンサの検出結果に基づき走行路面の轍や横風の如き外乱に起因する車輌のロール現象を判定するよう構成された車輌の走行状態判定装置が従来より知られている。
特開平7−89317号公報
一般に、車輌のロールには走行路面の凹凸の如き外乱に起因する車輌のロールと操舵に起因するロールとがあり、何れの場合にも左右の車輪が逆相にてバウンド、リバウンドし、スタビライザにトルクが発生する。また車輌が路面よりの外乱に起因してロールする場合には、車輌の良好な乗り心地性を確保すべく車輌のロール剛性や外乱を受けた車輪のショックアブソーバの減衰力を低下させることが好ましいが、車輌が操舵若しくは横風に起因してロールする場合には、車輌の良好な操縦安定性を確保すべく車輌のロール剛性やショックアブソーバの減衰力を高くすることが好ましい。
しかるに上述の如き従来の走行状態判定装置に於いては、車輌のロールを判定することはできるが、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを区別することができないため、車輌の実際のロール状況に応じて車輌のロール剛性等を適正に制御することができず、また車輌のロールしか判定できないため、車輌の種々の制御に対する適用性が低いという問題がある。
本発明は、スタビライザに設けられたトルクセンサの検出結果に基づき車輌の走行状態を判定するよう構成された従来の走行状態判定装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、スタビライザに設けられたトルクセンサの検出結果と他の車輌状態量とを組み合わせて車輌の走行状態を判定することにより、車輌の実際の走行状態に応じて車輌の走行状態を正確に判定し車輌の走行状態を適正に制御し得るようにすることである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、トーションバー部分にトルクセンサが設けられたスタビライザを有する車輌の走行状態判定装置にして、前記トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが基準値以上となり、その後基準時間以上の時間が経過した後に車輌のロールが生じたときには、該ロールは路面よりの外乱に起因するロールであると判定することを特徴とする車輌の走行状態判定装置(請求項1の構成)、又はトーションバー部分にトルクセンサが設けられたスタビライザを有する車輌の走行状態判定装置にして、車輌のロールが生じたときには、前記トルクセンサにより検出されるトルクの方向と車輌のロールの方向との関係に基づき、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを判定することを特徴とする車輌の走行状態判定装置(請求項3の構成)、又はトーションバー部分にトルクセンサが設けられた前輪用及び後輪用のスタビライザを有する車輌の走行状態判定装置にして、前記前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられた前記トルクセンサにより検出されたトルクと、車輌の状態量に基づき推定される各車輪の接地荷重比とに基づいて各車輪の接地荷重若しくは車重を演算することを特徴とする車輌の走行状態判定装置(請求項4の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが前記基準値以上となり、その後前記基準時間以上の時間が経過する前に車輌のロールが生じたときには、該ロールは操舵若しくは横風に起因するロールであると判定するよう構成される(請求項2の構成)。
一般に、運転者により操舵が行われて車輌が旋回する場合には、時間的に遅れてスタビライザにトルクが発生すると共に車輌のロールが発生し、また車輌が横風を受けた場合にも、スタビライザにトルクが発生すると共に車輌のロールが発生する。これに対し車輪が路面より突き上げられた場合には、その力がサスペンションを介してスタビライザに伝達されるので、その直後にスタビライザにトルクが発生し、その後力がサスペンションスプリング等を介して車体に伝達されるので、時間的に遅れてサスペンションストロークの変化及び車輌のロールが発生する。従ってスタビライザにトルクが発生した時点と車輌のロールが発生した時点との時間的関係により車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを区別することができる。
上記請求項1の構成によれば、トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが基準値以上となり、その後基準時間以上の時間が経過した後に車輌のロールが生じたときには、該ロールは路面よりの外乱に起因するロールであると判定されるので、車輌が路面よりの外乱に起因してロールしたときには、そのことを確実に判定することができると共に、車輌が操舵若しくは横風に起因してロールしたときには、そのロールが路面よりの外乱に起因するロールであると誤って判定されることを防止することができる。
また上記請求項2の構成によれば、トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが基準値以上となり、その後基準時間以上の時間が経過する前に車輌のロールが生じたときには、該ロールは操舵若しくは横風に起因するロールであると判定されるので、車輌のロールが生じた場合に、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを確実に判定することができる。
また一般に、運転者により操舵が行われて車輌が旋回する場合や車輌が横風を受けた場合には、車輌に作用する遠心力や横風の力により車輌がロールし、車輌がロールする側の車輪がバウンド側へストロークし車輌がロールする側とは反対側の車輪がリバウンド側へストロークし、これによりスタビライザにトルクが発生する。これに対し車輪が路面より突き上げられた場合には、その車輪がバウンドし、突き上げ力がサスペンションを介してスタビライザ及び車体に伝達され、これによりスタビライザにトルクが発生し車輌のロールが発生するので、車輌がロールする側とは反対側の車輪がバウンド側へストロークし車輌がロールする側の車輪のバウンド側へのストロークは小さい。
従って車輌のロールの方向と車輪のバウンド、リバウンドとの関係、換言すれば車輌のロールの方向とスタビライザに発生するトルクの方向との関係は、車輌が路面よりの外乱に起因してロールする場合と車輌が操舵若しくは横風に起因してロールする場合とでは逆になるので、車輌のロールの方向とトルクセンサにより検出されるトルクの方向との関係を判定することにより車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを判定することができる。
上記請求項3の構成によれば、車輌のロールが生じたときには、トルクセンサにより検出されるトルクの方向と車輌のロールの方向との関係に基づき、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかが判定されるので、車輌のロールが生じた場合に、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかを確実に判定することができる。
また一般に、スタビライザに作用するトルクはスタビライザの両端に作用する荷重差に比例し、スタビライザの両端に作用する荷重差は左右の車輪の接地荷重差にほぼ対応しているので、前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられたトルクセンサよりの出力はそれぞれ左右前輪の接地荷重差及び左右後輪の接地荷重差に対応している。従って前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられたトルクセンサよりの出力に加えて、例えば車輌の前後加速度や車輌の横加速度の如き車輌の状態量に基づいて左右輪合計の前後輪接地荷重比及び前後輪合計の左右輪接地荷重比の如き各車輪の接地荷重比が求められれば、各車輪の接地荷重を演算することができ、また各車輪の接地荷重の和として車重を演算することができる。
上記請求項4の構成によれば、前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられたトルクセンサにより検出されたトルクと、車輌の状態量に基づき推定される各車輪の接地荷重比とに基づいて各車輪の接地荷重若しくは車重が演算されるので、車輌の走行状態の如何に拘らず各車輪の接地荷重若しくは車重を確実に演算することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至4の構成に於いて、スタビライザはアクティブスタビライザ装置であるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の構成に於いて、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定するときには、トルクの作用方向と車輌のロールの方向との関係に基づき車輌のロールが左前輪のバウンドによるロール、左前輪のリバウンドによるロール、右前輪のバウンドによるロール、右前輪のリバウンドによるロールの何れであるかを判定するよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至3の構成に於いて、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定するときには、トルクの作用方向と車輌のロールの方向との関係に基づき車輌のロールが左旋回操舵若しくは左横風に起因するロールであるか右旋回操舵若しくは右横風に起因するロールであるかを判定するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが基準値以上となり、その後第一の基準時間以上の時間が経過した後に車輌のロールが生じたときには、該ロールは路面よりの外乱に起因するロールであると判定し、トルクセンサにより検出されるトルクの大きさが基準値以上となり、その後車輌のロールが生じることなく第一の基準時間よりも長い第二の基準時間以上の時間が経過したときには、車輌のロール判定を一旦中止するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられたトルクセンサにより検出されたトルクと、車輌の前後加速度に基づき推定される前後輪の接地荷重比と、車輌の横加速度に基づき推定される左右輪の接地荷重比とに基づいて各車輪の接地荷重若しくは車重を演算するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様5の構成に於いて、前輪用及び後輪用のスタビライザに設けられたトルクセンサにより検出されたトルクに基づき左右前輪の接地荷重差及び左右後輪の接地荷重差を演算し、左右前輪の接地荷重差と、左右後輪の接地荷重差と、前後輪の接地荷重比と、左右輪の接地荷重比とに基づいて各車輪の接地荷重若しくは車重を演算するよう構成される(好ましい態様6)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、ショックアブソーバの減衰力を推定し、ショックアブソーバの減衰力に基づいて左右前輪の接地荷重差及び左右後輪の接地荷重差を補正するよう構成される(好ましい態様7)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様6の構成に於いて、サスペンションスプリングのばね力を推定し、サスペンションスプリングのばね力に基づいて左右前輪の接地荷重差及び左右後輪の接地荷重差を補正するよう構成される(好ましい態様8)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は前輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例1を示す概略構成図である。
図1に於いて、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の従動輪である左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌12の駆動輪である左右の後輪を示している。操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動される図には示されていないパワーステアリング装置によりタイロッドを介して操舵される。
左右の前輪10FL及び10FRの間にはアクティブスタビライザ装置16が設けられ、左右の後輪10RL及び10RRの間には通常のスタビライザ装置18が設けられている。スタビライザ装置18は車輌の横方向に延在するトーションバー部分18Tと、トーションバー部分の外端に一体に接続された一対のアーム部18AL及び18ARとを有している。トーションバー部分18Tは図には示されていない一対のブラケットを介して図には示されていない車体に回転可能に支持され、アーム部18AL及び18ARの先端はそれぞれ図には示されていないゴムブッシュ装置を介して左右後輪10RL及び10RRの車輪支持部材又はサスペンションアームに連結されている。
アクティブスタビライザ装置16は車輌の横方向に延在する軸線に沿って互いに同軸に整合して延在する一対のトーションバー部分16TL及び16TRと、それぞれトーションバー部分16TL及び16TRの外端に一体に接続された一対のアーム部16AL及び16ARとを有している。トーションバー部分16TL及び16TRはそれぞれ図には示されていないブラケットを介して図には示されていない車体に自らの軸線の回りに回転可能に支持されている。アーム部16AL及び16ARはそれぞれトーションバー部分16TL及び16TRに対し交差するよう車輌前後方向に延在し、アーム部16AL及び16ARの外端はそれぞれ図には示されていないゴムブッシュ装置を介して左右前輪10FL及び10FRの車輪支持部材又はサスペンションアームに連結されている。
アクティブスタビライザ装置16はトーションバー部分16TL及び16TRの間にアクチュエータ20Fを有している。アクチュエータ20Fは必要に応じて一対のトーションバー部分16TL及び16TRを互いに逆方向へ回転駆動することにより、左右の前輪10FL及び10FRが互いに逆相にてバウンド、リバウンドする際に捩り応力により車輪のバウンド、リバウンドを抑制する力を変化させることにより左右前輪の位置に於ける車輌のロール剛性を可変制御する。
尚アクティブスタビライザ装置16自体は本発明の要旨をなすものではないので、車輌のロール剛性を可変制御し得るものである限り当技術分野に於いて公知の任意の構成のものであってよいが、例えば本願出願人の出願にかかる特願2003−324212(整理番号AT−5552)明細書及び図面に記載のアクティブスタビライザ装置、即ち一方のトーションバー部分の内端に固定され駆動歯車が取り付けられた回転軸を有する電動機と、他方のトーションバー部分の内端に固定され駆動歯車に噛合する従動歯車とを有し、駆動歯車及び従動歯車は駆動歯車の回転を従動歯車へ伝達するが、従動歯車の回転を駆動歯車へ伝達しない歯車であるアクティブスタビライザ装置であってよい。
更に図示の実施例に於いては、トーションバー部分16TLには該トーションバー部分に作用する捩りトルクTfを検出するトルクセンサ22Fが設けられており、トルクセンサ22Fにより検出されたトルクTfを示す信号は電子制御装置24へ入力される。尚トルクセンサ22Fはトーションバー部分16TLの剛性を低下させることがないよう、例えば磁歪式のトルクセンサや歪ゲージの如く、電磁式又は電気的にトルクを検出する高剛性のトルクセンサであることが好ましい。またトルクセンサ22Fはトーションバー部分16TL及び16TRの何れに設けられてもよい。
図示の如く、電子制御装置24にはロールレートセンサ26により検出された車輌のロールレートRrを示す信号、ストロークセンサ28FLにより検出された左前輪のストロークSflを示す信号、ストロークセンサ28FRにより検出された右前輪のストロークSfrを示す信号が入力され、電子制御装置24は減衰力制御用の電子制御装置30と通信し必要な信号の授受を行う。
図示の実施例に於いては、左右の前輪10FL、10FR及び左右の後輪10RL、10RRにはそれぞれ当技術分野に於いて周知の任意の構成の減衰力可変式のショックアブソーバ32FL、32FR、32RL、32RRが設けられており、電子制御装置30は電子制御装置24よりの信号に基づいてショックアブソーバ32j(j=FL、FR、RL、RR)の減衰力を可変制御する。
尚図1には詳細に示されていないが、電子制御装置24及び30はそれぞれCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータ及び駆動回路よりなっていてよい。またトルクセンサ22F及びロールレートセンサ26はそれぞれ車輌の左旋回初期時に生じる値を正としてトルクTf及びロールレートRrを検出し、ストロークセンサ28FL及び28FRはそれぞれ車輪の中立位置を基準にバウンド方向への変位を正としてストロークSfl及びSfrを検出する。
電子制御装置24は図2及び図3に示されたフローチャートに従ってトルクセンサ22により検出されるトルクTfの大きさが基準値以上になった時点と車輌のロール量の大きさが基準値以上になった時点との時間的遅れを判定し、該時間的遅れが小さいときには車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定し、上記時間的遅れが大きいときには車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定し、判定結果に基づき必要に応じてアクティブスタビライザ装置16を制御すると共に、必要に応じて電子制御装置30へ減衰力制御指令を出力する。
次に図2及び図3に示されたフローチャートを参照して実施例1に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンについて説明する。尚図2及び図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ10に於いてはトルクセンサ22により検出されたトルクTfを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於いてはタイマが既に起動されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ50へ進み、否定判別が行われたときにはステップ30へ進む。
ステップ30に於いてはトルクTfの絶対値が基準値Tfo(正の定数)以上であるか否かの判別、即ちアクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ200へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ40に於いてタイマがスタートされる。
ステップ50に於いてはタイマがスタートされてから、換言すればアクティブスタビライザ装置16に作用するトルクの大きさが所定値以上になった時点より第一の基準値T1(正の定数)以上の時間が経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
尚アクティブスタビライザ装置16に作用するトルクの大きさが所定値以上になった時点より車輌のロールが発生するまでの時間は、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか操舵若しくは横風に起因するロールであるかによって異なるだけでなく、車輌によって異なるので、基準値T1は本発明の走行状態判定装置が適用される車輌の車種毎に例えば実験的に最適値に設定される。
ステップ60に於いては例えば左右前輪のストロークの偏差Sfr−Sflを車輌のロール量Rとして、ロール量Rの絶対値が基準値以上であるか否かの判別により、車輌に所定値以上のロールが発生したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進む。
ステップ70に於いてはトルクTfが正の値であり且つロールレートRrが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ80に於いて車輌のロールが左旋回操舵若しくは左横風に起因するロールであると判定され、否定判別が行われたときにはステップ90に於いて車輌のロールが右旋回操舵若しくは右横風に起因するロールであると判定される。
ステップ100に於いては既に操舵若しくは横風に起因するロールが発生していると判定されたか否かの判別、即ち上述のステップ60に於いて既に肯定判別が行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ130へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ110へ進む。
ステップ110に於いては例えばロール量Rの絶対値が基準値以下になったか否かの判別により、操舵に起因する車輌のロールが終息したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ120に於いて操舵若しくは横風に起因するロールが生じているとの判定が解除されると共にタイマが停止され、しかる後ステップ260へ進む。
ステップ130に於いては既に路面よりの外乱に起因する左前輪又は右前輪のバウンド又はリバウンドによるロールが発生していると判定されたか否かの判別、即ち後述のステップ140に於いて既に肯定判別が行われたか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ230へ進み、否定判別が行われたときにはステップ140へ進む。
ステップ140に於いては上述のステップ60の場合と同様の要領にて車輌に所定値以上のロールが発生したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ160へ進み、否定判別が行われたときにはステップ150へ進む。
ステップ150に於いては上述のステップ40に於いてタイマがスタートされた時点より第二の基準時間T2(第一の基準時間T1よりも大きい正の定数)以上の時間が経過したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ250へ進み、否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進む。
尚路面よりの外乱に起因してアクティブスタビライザ装置16に所定値以上のトルクが作用すると、通常ならば車輌が時間的遅れを伴ってロールするので、第二の基準値T2はアクティブスタビライザ装置16に所定値以上のトルクが作用したにも拘らず車輌のロールが生じない場合に、路面よりの外乱に起因して車輌のロールが生じていると誤判定されることを防止するための基準値である。
ステップ160に於いては左前輪のストロークStlの絶対値が右前輪のストロークStrの絶対値よりも大きいか否かの判別、即ち路面の凹凸による力を受けた車輪が左前輪であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ200へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ170へ進む。
ステップ170に於いてはトルクTfが負の値であり且つロールレートRrが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ180に於いて車輌のロールが路面の凸部に起因する左前輪のバウンドによるロールであると判定され、否定判別が行われたときにはステップ190に於いて車輌のロールが路面の凹部に起因する左前輪のリバウンドによるロールであると判定される。
ステップ200に於いては上述のステップ170の場合と同様トルクTfが負の値であり且つロールレートRrが正の値であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ210に於いて車輌のロールが路面の凹部に起因する右前輪のリバウンドによるロールであると判定され、否定判別が行われたときにはステップ220に於いて車輌のロールが路面の凸部に起因する右前輪のバウンドによるロールであると判定される。
ステップ230に於いては例えば車輌のロール量Rのピーク値の大きさが基準値以下になったか否かの判別により、車輌のロールが終息したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ240に於いて路面よりの外乱に起因する車輪のバウンド又はリバウンドによるロールが生じているとの判定が解除され、ステップ250に於いてタイマが停止され、しかる後ステップ260へ進む。
ステップ260に於いてはステップ80、90、170、180、210、220に於ける車輌のロール判定の結果に基づき必要に応じてアクティブスタビライザ装置16が制御され、ステップ270に於いては上記車輌のロール判定の結果に基づき必要に応じて電子制御装置30へ減衰力制御指令が出力される。
図4は車輌100が運転者の操舵により左旋回する場合について、車輌のロール状況を車輌の後方より見た状態にて示す説明図(A)、アクティブスタビライザ装置16に作用するトルクを車輌の上方より見た状態にて示す説明図(B)、操舵角θ、トルクセンサ22により検出されるトルクTf、右前輪のストロークSfr、車輌のロール量Rの変化の一例を示すグラフ(C)である。
図4(A)及び(B)に示されている如く、運転者により操舵が行われて車輌12が左旋回する場合には、車輌12の旋回により車輌に遠心力Fsが作用するので、操舵に対し時間的に遅れて遠心力Fsに起因するモーメントMsによりアクティブスタビライザ装置16に正の方向のトルクTsfが作用すると共に車輌12がその後方より見て時計周り方向へロールする。従って運転者による操舵の開始に遅れてトルクセンサ22Fにより検出されるトルクTfの大きさが基準値Tfo以上になり、その直後に右前輪のストロークSfrの大きさが基準値Sfro(正の定数)以上になると共に、車輌のロール量Rの大きさが基準値Ro(正の定数)以上になる。尚トルクTf等の変化の関係は車輌が横風を受けた場合も同様であり、トルクTf及び車輌のロール量Rの符号は操舵の方向や横風の方向に関係なく同一である。
これに対し図5は左前輪10FLが路面の凸部100により突き上げられた場合について、車輌12のロール状況を車輌の後方より見た状態にて示す説明図(A)、アクティブスタビライザ装置16に作用するトルクを車輌の上方より見た状態にて示す説明図(B)、トルクセンサ22により検出されるトルクTf、左前輪のストロークSfl、車輌のロール量Rの変化の一例を示すグラフ(C)である。
図5(A)及び(B)に示されている如く、左前輪10FLが路面の凸部100により突き上げられると、左前輪10FLが受けた突き上げ力Frがアクティブスタビライザ装置16の左端へ伝達され、アクティブスタビライザ装置16に負の方向のトルクTrfが作用する。また突き上げ力Frが図には示されていないサスペンションスプリング等を経て車体へ伝達されるので、トルクTrfの発生に遅れて左前輪10FLがバウンドしてストロークSflが発生し、また突き上げ力Frが車体へ伝達されることによるモーメントMrにより車輌12がその後方より見て時計周り方向へロールする。従って左前輪10FLが路面の凸部100により突き上げられると、その直後にトルクセンサ22Fにより検出されるトルクTfの大きさが基準値Tfo以上になり、その後時間的に遅れて車輌のロール量Rの大きさが基準値Ro以上になる。
尚車輌が右旋回する場合にはトルクTf等の作用方向及び符号が図4の場合とは逆になり、また左前輪が路面の凹部を通過する場合及び右前輪が路面の凸部により突き上げられる場合にはトルクTf等の作用方向及び符号が図5の場合とは逆になり、右前輪が路面の凹部を通過する場合にはトルクTf等の作用方向及び符号が左前輪が路面の凹部を通過する場合とは逆になる。また車輌のロールが路面よりの外乱に起因して生じる場合には、トルクTf及び車輌のロール量Rの発生当初の符号は異なるが、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因して生じる場合には、トルクTfの符号及び車輌のロール量Rの符号は同一になる。
従ってトルクセンサ22により検出されるトルクTfの大きさが基準値Tfo以上になった時点と車輌のロール量Rの大きさが基準値Ro以上になった時点との時間的遅れが小さいときには、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定することができ、上記時間的遅れが大きいときには、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定することができる。
図示の実施例1によれば、ステップ30に於いてトルクTfの絶対値が基準値Tfo以上になったか否かの判別が行われ、ステップ50及び60に於いてトルクTfの絶対値が基準値Tfo以上になった時点より第一の基準値T1以上の時間が経過する前に車輌に所定値以上のロールが発生したか否かの判別が行われ、第一の基準値T1以上の時間が経過する前に車輌に所定値以上のロールが発生したと判別されたときにはステップ70〜90に於いて車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定され、第一の基準値T1以上の時間が経過した後に車輌に所定値以上のロールが発生したと判別されたときにはステップ130〜180に於いて車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定される。
従って図示の実施例1によれば、車輌に所定値以上のロールが発生した場合には、アクティブスタビライザ装置16にトルクが発生した時点と車輌にロールが発生した時点との時間的関係に基づいて、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか運転者の旋回操舵に起因するロールであるかを確実に区別して判定することができると共に、その判定結果に基づいてアクティブスタビライザ装置16及びショックアブソーバの減衰力を適切に制御することができる。
特に図示の実施例1によれば、トルクTsの絶対値が基準値Tso以上になった時点より車輌に所定値以上のロールが発生することなく第二の基準値T2以上の時間が経過すると、ステップ100、130、140に於いて否定判別が行われると共にステップ150に於いて肯定判別が行われ、路面よりの外乱に起因するロールが生じたと判定されることなくステップ250に於いてタイマが停止されるので、路面よりの外乱に起因するロールが生じたと誤って判定される虞れを効果的に低減することができる。
図6は前輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例2に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンを示すフローチャートである。尚図6に於いて図2及び図3に示されたステップと同一のステップには図2及び図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例に於いては、ステップ10が完了すると、ステップ25に於いて既に車輌のロールが生じていると判定されたか否かの判別、即ち既にステップ60に於いて肯定判別が行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ30へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進む。
またステップ30に於いて肯定判別、即ちアクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用しているとの判別が行われたときにはステップ60の判別が実行され、ステップ60に於いて肯定判別、即ち車輌に所定値以上のロールが発生したとの判別が行われたときにはステップ65へ進む。
ステップ65に於いてはトルクTsの符号と車輌のロール量Rの符号とが同一であるか否かの判別、即ち車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ70へ進み、否定判別が行われたときにはステップ160〜220が実行される。尚ステップ70〜90及びステップ160〜220は上述の実施例1の場合と同様に実行される。
更にステップ100に於いて肯定判別が行われたときには、即ち操舵若しくは横風に起因する車輌12のロールが生じていると既に判定されているときにはステップ110へ進むが、否定判別が行われたときにはステップ190へ進み、ステップ110又は190に於いて否定判別が行われたときにはそのままステップ260へ進み、ステップ110又は190に於いて肯定判別が行われたときにはステップ240に於いて車輌にロールが生じているとの判定が解除された後ステップ260へ進む。
かくして図示の実施例2によれば、ステップ30に於いてアクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用していると判定され、ステップ60に於いて車輌に所定値以上のロールが発生したと判定されると、ステップ65に於いてトルクTsの符号と車輌のロール量Rの符号とが同一であるか否かの判別により、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであるか否かの判別が行われる。
図4及び図5を参照して上述した如く、運転者により操舵が行われて車輌12がロールする場合及び横風に起因して車輌12がロールする場合には、トルクTs及び車輌のロール量Rの符号は操舵や横風の方向に関係なく同一であるのに対し、車輌が路面よりの外乱に起因してロールする際の発生当初のトルクTs及び車輌のロール量Rの符号は互いに異なる。
図示の実施例2によれば、アクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用し且つ車輌に所定値以上のロールが発生した段階に於いて、トルクTs及び車輌のロール量Rの符号が同一であるときには車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定され、トルクTs及び車輌のロール量Rの符号が異なるときには車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定されるので、上述の実施例1の場合と同様、車輌に所定値以上のロールが発生した場合には、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであるか運転者の旋回操舵に起因するロールであるかを確実に区別して判定することができると共に、その判定結果に基づいてアクティブスタビライザ装置16及びショックアブソーバの減衰力を適切に制御することができる。
特に図示の実施例2によれば、アクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用し且つ車輌に所定値以上のロールが発生した段階に於けるトルクTs及び車輌のロール量Rの符号関係に基づいて車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであるか路面よりの外乱に起因するロールであるかが判定され、アクティブスタビライザ装置16に所定値以上の大きさのトルクが作用していると判定された時点よりの経過時間を管理するタイマや経過時間に基づく判定は不要であるので、上述の実施例1の場合よりも判定制御を簡便に行うことができる。
尚図示の実施例1及び2によれば、実施例1に於いてはステップ60に於いて肯定判別が行われることにより、実施例2に於いてはステップ65に於いて肯定判別が行われることにより、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定されると、ステップ70〜90に於いてトルクTs及びロールレートRrの符号の関係に基づいて車輌の旋回方向若しくは横風の方向が判定されるので、車輌のロールが左旋回操舵若しくは左横風に起因するロールであるか右旋回操舵若しくは右横風に起因するロールであるかを確実に判定することができる。
また図示の実施例1及び2によれば、実施例1に於いてはステップ140に於いて肯定判別が行われることにより、実施例2に於いてはステップ65に於いて否定判別が行われることにより、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールであると判定されると、ステップ160〜220に於いて左右前輪ストロークStl、Strの大きさの大小関係やトルクTs及びロールレートRrの符号の関係に基づいて路面よりの外乱の作用状況が判定されるので、車輌のロールが路面よりの外乱に起因する左前輪のバウンドによるロール、左前輪のリバウンドによるロール、右前輪のバウンドによるロール、右前輪のリバウンドによるロールの何れであるかを確実に判定することができる。
また図示の実施例1及び2に於けるアクティブスタビライザ装置16の制御及びショックアブソーバ32FL〜32RRの制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、当技術分野に於いて公知の任意の態様にて行われてよいが、図示の実施例1及び2によれば車輌のロールが左旋回操舵若しくは左横風に起因するロールであるか右旋回操舵若しくは右横風に起因するロールであるかを確実に判定することができると共に、車輌のロールが路面よりの外乱に起因するロールである場合には、車輌のロールが左前輪のバウンドによるロール、左前輪のリバウンドによるロール、右前輪のバウンドによるロール、右前輪のリバウンドによるロールの何れであるかを確実に判定することができるので、これらの判定に基づいて最適の制御が行われるよう、アクティブスタビライザ装置16及びショックアブソーバ32FL〜32RRは例えば以下の如く制御されることが好ましい。
(1)操舵若しくは横風に起因するロールの場合
車輌が左旋回操舵若しくは左横風に起因して右側へロールする場合には、右前後輪がバウンド状態になると共に左前後輪がリバウンド状態になり、車輌が右旋回操舵若しくは右横風に起因して左側へロールする場合には、左前後輪がバウンド状態になると共に右前後輪がリバウンド状態になる。従って車輌のロールを抑制すべく、アクティブスタビライザ装置16の反力が増大するようそのセット荷重が増大され、ロール量の増加過程に於いてはバウンド側のショックアブソーバの減衰力が増大される。尚サスペンションスプリングのセット荷重が可変である場合には、バウンド側のサスペンションスプリングのセット荷重も増大される。
(2)バウンド、リバウンドによるロールの場合
車輌が路面よりの外乱に起因するバウンド、リバウンドによりロールする場合には、車輪が路面より受けた力が車体に伝達されることを抑制すべく、路面より力を受けた側の車輪についてはショックアブソーバの減衰力が低下され、左右反対側の車輪についてはショックアブソーバの減衰力が増大される。また車輌のロールを抑制すべく、アクティブスタビライザ装置16の反力が増大するようそのセット荷重が増大される。
尚サスペンションスプリングのセット荷重が可変である場合には、路面よりバウンド方向の力を受けた側の車輪についてはサスペンションスプリングのセット荷重が低下され、左右反対側の車輪についてはサスペンションスプリングのセット荷重が増大又は保持されるが、路面よりリバウンド方向の力を受けた側の車輪についてはサスペンションスプリングのセット荷重が増大され、左右反対側の車輪についてはサスペンションスプリングのセット荷重が低下又は保持される。
また上記(1)及び(2)の場合に於いて、アクティブスタビライザ装置16のセット荷重、ショックアブソーバの減衰力、サスペンションスプリングのセット荷重の各制御量はトルクTf若しくはロール量Rの大きさが大きいほど大きくなるよう、これらに応じて可変設定される。
これらの制御によれば、判定された車輌のロールの発生態様に応じてアクティブスタビライザ装置16のセット荷重、ショックアブソーバの減衰力、サスペンションスプリングのセット荷重を最適に制御することができ、これにより実質的に車輌の乗り心地性を悪化させることなく車輌のロールを効果的に抑制することができると共に、車輌のロールが検出されるとその発生態様が区別されることなくショックアブソーバの減衰力等が不適切に制御されることに起因して車輌の乗り心地性が悪化したり、車輌のロール量が却って増大したりすることを確実に防止することができる。
図7は前輪及び後輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例3を示す概略構成図である。尚図7に於いて図1に示された部材と同一の部材には図1に於いて付された符号と同一の符号が付されている。
この実施例3に於いては、後輪のスタビライザ装置18も前輪のアクティブスタビライザ装置16と同様のアクティブスタビライザ装置であり、その中央部には左右のトーションバー部分18TL及び18TRを相対的に回転駆動してスタビライザのセット荷重を変化させるアクチュエータ20Rを有している。トーションバー部分18TLにはアクティブスタビライザ装置18に発生するトルクTrを検出するトルクセンサ22Rが設けられている。
左右の前輪10FL及び10FRのストロークセンサ32FL及び32FRと同様、左右の後輪10RL及び10RRにも対応する車輪の中立位置を基準にバウンド方向への変位を正としてストロークSrl及びSrrを検出するストロークセンサ32RL及び32RRが設けられており、トルクセンサ22Rにより検出されたトルクTr及びストロークセンサ32RL、32RRにより検出されたストロークSrl、Srrも電子制御装置24へ入力される。
また電子制御装置24には前後加速度センサ34により検出された車輌の前後加速度Gxを示す信号及び横加速度センサ36により検出された車輌の横加速度Gyを示す信号も入力される。尚前後加速度センサ34及び横加速度センサ36はそれぞれ車輌の加速時の前後加速度及び左旋回時の横加速度を正として車輌の前後加速度Gx及び車輌の横加速度Gyを検出する。
またこの実施例3の電子制御装置24は、図8に示されたフローチャートに従って、前輪用のアクティブスタビライザ装置16に設けられたトルクセンサ22Fにより検出されたトルクTfに基づき左右前輪の接地荷重差ΔWfを演算し、後輪用のアクティブスタビライザ装置18に設けられたトルクセンサ22Rにより検出されたトルクTrに基づき左右後輪の接地荷重差ΔWrを演算し、車輌の前後加速度に基づき前後輪の接地荷重比Rwxを演算し、車輌の横加速度に基づき左右輪の接地荷重比を演算し、左右前輪の接地荷重差ΔWf、左右後輪の接地荷重差ΔWr、前後輪の接地荷重比Rwx、左右輪の接地荷重比Rwyに基づき車輌の走行状態を示す状態量として各車輪の接地荷重Wi及び車重Wを演算し、これらに基づいて車輌の制御を行う。
次に図8に示されたフローチャートを参照して実施例3に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンについて説明する。尚図8に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
まずステップ310に於いてはトルクセンサ22Fにより検出されたトルクTfを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ320に於いては左右前輪のサスペンションスプリングのばね力がトルクTfに与える影響を相殺すべく、左右前輪のストロークに基づく左右前輪の接地荷重差に対する補正量ΔWsfl及びΔWsfrが例えば予め実験的に求められた関数又はマップよりストロークSfl、Sfrに基づいて演算され、また左右前輪のショックアブソーバの減衰力がトルクTfに与える影響を相殺すべく、ストロークSfl、Sfrの時間微分値である左右前輪のストローク速度Sfld、Sfrdに基づき左右前輪のショックアブソーバの減衰力について左右前輪の接地荷重差に対する補正量ΔWdfl及びΔWdfrが例えば予め実験的に求められた関数又はマップより演算され、車輌の定常状態に於いてトルクTfを左右前輪の接地荷重差ΔWfに変換する係数をKfとして、下記の式1に従って左右前輪の接地荷重差ΔWfが演算される。
ΔWf=Kf・Tf+ΔWsfl+ΔWsfr+ΔWdfl+ΔWdfr ……(1)
同様に、ステップ330に於いては左右後輪のストロークに基づく左右後輪の接地荷重差に対する補正量ΔWsrl及びΔWsrrが例えば予め実験的に求められた関数又はマップよりストロークSrl、Srrに基づいて演算され、ストロークSrl、Srrの時間微分値である左右後輪のストローク速度Srld、Srrdに基づき左右後輪のショックアブソーバの減衰力について左右後輪の接地荷重差に対する補正量ΔWdrl及びΔWdrrが例えば予め実験的に求められた関数又はマップより演算され、車輌の定常状態に於いてトルクTrを左右後輪の接地荷重差ΔWrに変換する係数をKrとして、下記の式2に従って左右後輪の接地荷重差ΔWrが演算される。
ΔWr=Kr・Tr+ΔWsrl+ΔWsrr+ΔWdrl+ΔWdrr ……(2)
ステップ340に於いては車輌の定常状態に於いて車輌の前後加速度Gxを前後輪の接地荷重比Rwx(左右後輪の合計の接地荷重に対する左右前輪の合計の接地荷重の比)に変換する係数をKxとして、車輌の前後加速度Gxに基づき下記の式3に従って前後輪の接地荷重比Rwxが演算される。
Rwx=Kx・Gx ……(3)
同様に、ステップ350に於いては車輌の定常状態に於いて車輌の横加速度Gyを左右輪の接地荷重比Rwy(左前後輪の合計の接地荷重に対する右前後輪の合計の接地荷重の比)に変換する係数をKyとして、車輌の横加速度Gyに基づき下記の式4に従って左右輪の接地荷重比Rwyが演算される。
Rwy=Ky・Gy ……(4)
ステップ360に於いては左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の接地荷重をそれぞれWfl、Wfr、Wrl、Wrrとして、下記の式5〜8の連立方程式を解くことにより各車輪の接地荷重Wi(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
ΔWf=Wfr−Wfl ……(5)
ΔWr=Wrr−Wrl ……(6)
Rwx=(Wfr+Wfl)/(Wrr+Wrl) ……(7)
Rwy=(Wfr+Wrr)/(Wfl+Wrl) ……(8)
ステップ370に於いては各車輪の接地荷重Wiの合計として車輌の重量Wが演算され、ステップ380に於いては各車輪の接地荷重Wi若しくは車輌の重量Wに基づいてアクティブスタビライザ装置16及び18の如き車輌の制御が行われ、或いは他の車輌制御に使用されるようRAMの如き記憶手段に各車輪の接地荷重Wi及び車輌の重量Wの情報が保存される。
かくして図示の実施例3によれば、ステップ320に於いて主として前輪用のアクティブスタビライザ装置16に作用するトルクTfに基づき左右前輪の接地荷重差ΔWfが演算され、ステップ330に於いて主として後輪用のスタビライザ装置18に作用するトルクTrに基づき左右後輪の接地荷重差ΔWrが演算され、ステップ340に於いて車輌の前後加速度Gxに基づき前後輪の接地荷重比Rwxが演算され、ステップ350に於いて車輌の横加速度Gyに基づき左右輪の接地荷重比Rwyが演算され、ステップ360に於いて上記式5〜8の連立方程式を解くことにより各車輪の接地荷重Wiが演算され、ステップ370に於いて各車輪の接地荷重Wiの合計として車輌の重量Wが演算され、ステップ380に於いて各車輪の接地荷重Wi及び車重Wに基づいて車輌の制御が行われる。
従って車輌の走行状態の如何に拘らず車輌の走行状態を示す状態量として各車輪の接地荷重Wi及び車重Wを確実に演算することができ、これにより各車輪の接地荷重Wi及び車重Wを使用して車輌の走行状態を正確に判定し、車輌の様々な制御を正確に行うことができる。
特に図示の実施例3によれば、左右前輪のストロークに基づき左右前輪のサスペンションスプリングのばね力について左右前輪の接地荷重差に対する補正量ΔWsfl及びΔWsfrが演算され、左右前輪のストローク速度Sfld、Sfrdに基づき左右前輪のショックアブソーバの減衰力について左右前輪の接地荷重差に対する補正量ΔWdfl及びΔWdfrが演算され、これらの補正量を考慮してトルクTfに基づき左右前輪の接地荷重差ΔWfが演算されるので、トルクTfのみに基づき左右前輪の接地荷重差ΔWfが演算される場合に比して左右前輪の接地荷重差ΔWfを正確に演算することができ、これにより各車輪の接地荷重Wi及び車重Wを正確に演算することができる。
また図示の実施例3によれば、左右後輪のストロークに基づき左右後輪のサスペンションスプリングのばね力について左右後輪の接地荷重差に対する補正量ΔWsrl及びΔWsrrが演算され、左右後輪のストローク速度Srld、Srrdに基づき左右後輪のショックアブソーバの減衰力について左右後輪の接地荷重差に対する補正量ΔWdrl及びΔWdrrが演算され、これらの補正量を考慮してトルクTrに基づき左右後輪の接地荷重差ΔWrが演算されるので、トルクTrのみに基づき左右後輪の接地荷重差ΔWrが演算される場合に比して左右後輪の接地荷重差ΔWrを正確に演算することができ、これにより各車輪の接地荷重Wi及び車重Wを正確に演算することができる。
尚図示の実施例3のステップ380に於ける制御自体は本発明の要旨をなすものではなく、各車輪の接地荷重Wi若しくは車重Wを使用するものである限り当技術分野に於いて公知の任意の態様にて行われてよいが、図示の実施例3によれば各車輪の接地荷重Wiを正確に演算することができるので、接地荷重Wiに基づいて最適の接地荷重の制御が行われるよう、アクティブスタビライザ装置16及び18は例えば以下の如く制御されることが好ましい。
図9(A)は車輌の停止状態に於ける各車輪の接地荷重Wiの例を示し、図9(B)は車輌の左旋回時に於ける各車輪の接地荷重Wiの例を示し、図9(C)は図9(B)の状況に於いてアクティブスタビライザ装置16及び18の制御が行われた場合の各車輪の接地荷重Wiの例を示し、各車輪の接地荷重Wiの単位はkgfである。
図9(B)に示されている如く、車輌が左旋回する場合には、荷重移動により旋回内輪である左前後輪の接地荷重Wfl及びWrlが減少し、旋回外輪である右前後輪の接地荷重Wfr及びWrrが増大し、車輌は旋回外側へロールする。かかる状況に於いて車輌がドリフトアウト傾向になったときには、旋回外側前輪の接地荷重Wfrを増大させ、その摩擦円を増大させてその横力を増大させることが好ましく、車輌がスピン傾向になったときには、旋回外側後輪の接地荷重Wrrを増大させ、その摩擦円を増大させてその横力を増大させることが好ましい。
旋回外側前輪の接地荷重Wfrを増大させるためには、(1)前輪のアクティブスタビライザ装置16のセット荷重を増大させる、(2)後輪のアクティブスタビライザ装置18のセット荷重を低下させる、(3)上記(1)及び(2)の両者を行う、の何れかの制御を行えばよい。アクティブスタビライザ装置16若しくは18のセット荷重を変化させても、左右輪の接地荷重の和Wfl+Wfr及び前後輪の接地荷重の和Wrl+Wrrは実質的に変化しないので、上記(1)の制御により左右前輪の接地荷重差Wfr−Wflを増大させると、左右後輪の接地荷重差Wrr−Wrlが減少し、上記(2)の制御により左右後輪の接地荷重差Wrr−Wrlを減少させると、左右前輪の接地荷重差Wfr−Wflが増大する。よって上記(1)〜(3)の何れの制御によっても旋回外側前輪の接地荷重Wfrを増大させ、その横力を増大させることができる。
また旋回外側後輪の接地荷重Wrrを増大させるためには、(4)前輪のアクティブスタビライザ装置16のセット荷重を低下させる、(5)後輪のアクティブスタビライザ装置18のセット荷重を増大させる、(6)上記(4)及び(5)の両者を行う、の何れかの制御を行えばよい。上記(4)の制御により左右前輪の接地荷重差Wfr−Wflを低下させると、左右後輪の接地荷重差Wrr−Wrlが増大し、上記(5)の制御により左右後輪の接地荷重差Wrr−Wrlを増大させると、左右前輪の接地荷重差Wrr−Wrlが低下する。よって上記(4)〜(6)の何れの制御によっても旋回外側後輪の接地荷重Wrrを増大させ、その横力を増大させることができる。
かくして車輌がドリフトアウト状態になる虞れがあるときには、上記(1)〜(3)の何れかの制御により旋回外側前輪の接地荷重Wfrを増大させその横力を増大させてドリフトアウト状態になる虞れを低減することができ、また車輌がスピン状態になる虞れがあるときには、上記(4)〜(6)の何れかの制御により旋回外側後輪の接地荷重Wrrを増大させその横力を増大させてスピン状態になる虞れを低減することができ、車輌の旋回性能を向上させることができる。
また図示の実施例3によれば、各車輪の接地荷重Wiを正確に演算することができるので、車輌の旋回性能を向上させるための各車輪の目標接地荷重Wti(i=fl、fr、rl、rr)を車輌の走行状態に応じて演算し、各車輪の接地荷重Wiが目標接地荷重Wtiになるよう前輪のアクティブスタビライザ装置16若しくは後輪のアクティブスタビライザ装置18のセット荷重を制御することも可能である。この場合各車輪のショックアブソーバの減衰力やサスペンションスプリングのセット荷重が単独で又はアクティブスタビライザ装置16若しくは18の制御に加えて制御されてもよい。
また図示の実施例3によれば、各車輪の接地荷重Wiを正確に演算することができるので、車輌の上方より見た車輌の重心の位置を推定することができる。即ち図9に示されている如く、車輌の重心102の位置は各車輪の接地点を結ぶ線分上に接地荷重Wiの逆比の内分点Pf、Pr、Ql、Qrをとり、それらの内分点Pf、Prを結ぶ線分と内分点Ql、Qrを結ぶ線分との交点として求められるので、各車輪の接地荷重Wi、車輌のトレッドTw、車輌のホイールベースLwに基づいて車輌の重心102の位置を正確に推定することができる。
また図示の実施例3によれば、上述の如く車輌の上方より見た車輌の重心の位置を正確に推定することができるので、例えば各車輪のストロークSiに基づいて車輌のピッチ角θp及びロール角θrを演算し、アクティブスタビライザ装置16若しくは18のセット荷重の制御の前後に於ける車輌の重心の位置及び車輌のピッチ角θp及びロール角θrに基づいて車輌の重心の高さを推定することができ、これにより車輌の重心の三次元位置を推定することができる。
更に図示の実施例3によれば、上述の如く車輌の重量W及び重心の三次元位置を推定することができるので、(A)制動時に車輌の重心が車輌の停止時の位置よりずれることに起因する車輌挙動を抑制するよう各車輪の制動力配分を制御したり、(B)車輌の加減速時や旋回時に於ける車輌のピッチやロールが減少するよう、各車輪のサスペンションスプリングのセット荷重を制御したり、(C)車輪の制駆動力の制御による挙動制御に於いて、車輌の挙動状態(スピン状態やドリフトアウト状態)を正確に推定し、これにより挙動制御を正確に制御したりすることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の実施例1及び2に於いては、前輪にアクティブスタビライザ装置が設けられ、上述の実施例3に於いては、前輪及び後輪にアクティブスタビライザ装置が設けられているが、スタビライザのセット荷重の制御が行われない場合には、上記各実施例に於けるアクティブスタビライザ装置は通常のスタビライザ装置であってもよい。
また上述の実施例1及び2に於いては、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定された場合にも、そのロールが操舵に起因するロールであるか横風に起因するロールであるかの判別は行われないようになっているが、車輌のロールが操舵若しくは横風に起因するロールであると判定された場合に、トルクの作用方向又は車輌のロールの方向と、操舵角や操舵角及び車速より推定される車輌の推定横加速度との関係に基づき、車輌のロールが操舵に起因するロールであるか横風に起因するロールであるかの判別が行われるよう修正されてもよい。
また上述の実施例1及び2に於いては、ステップ70、170、200に於いてトルクTfの符合とロールレートRrの符合との関係により旋回若しくは横風の方向や車輪のバウンド、リバウンドが判定されるようになっているが、これらの判定は例えばトルクTfの符合と基準値以上になった段階のロールRの符合との関係により判定されるよう修正されてもよい。
また上述の実施例1及び2に於いては、車輌のロール量Rは左右前輪のストロークの偏差Sfr−Sflとして演算されるようになっているが、車輌のトレッドをTdとして車輌のロール量Rは(Sfr−Sfl)/Tdとして演算されてもよく、また左前後輪のストロークの平均値をSal(=(Sfl+Sfr)/2)とし、右前後輪のストロークの平均値をSar(=(Sfr+Srr)/2)として、車輌のロール量RはSar−Sal又は(Sar−Sal)/Tdとして演算されてもよい。
更に上述の実施例3に於いては、毎サイクル毎に各車輪の接地荷重Wi及び車輌の重量Wが演算されるようになっているが、例えば左右前輪の接地荷重差ΔWf、左右後輪の接地荷重差ΔWr、前後輪の接地荷重比Rwx、左右輪の接地荷重比Rwyの前回値との偏差が演算され、それらの全ての偏差の大きさがそれぞれ対応する基準値以下であるときには、各車輪の接地荷重Wi及び車輌の重量Wは演算されることなく前回値が維持されるよう修正されてもよい。
前輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例1を示す概略構成図である。(実施例1)
実施例1に於ける走行状態判定制御ルーチンの主要部を示すフローチャートである。(実施例1)
実施例1に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンの残りの部分を示すフローチャートである。(実施例1)
車輌が運転者の操舵により左旋回する場合について、車輌のロール状況を車輌の後方より見た状態にて示す説明図(A)、アクティブスタビライザ装置に作用するトルクを車輌の上方より見た状態にて示す説明図(B)、操舵角θ、トルクセンサにより検出されるトルクTs、右前輪のストロークStr、車輌のロール量Rの変化の一例を示すグラフ(C)である。
左前輪が路面の凸部により突き上げられた場合について、車輌のロール状況を車輌の後方より見た状態にて示す説明図(A)、アクティブスタビライザ装置に作用するトルクを車輌の上方より見た状態にて示す説明図(B)、トルクセンサにより検出されるトルクTs、左前輪のストロークStl、車輌のロール量Rの変化の一例を示すグラフ(C)である。
前輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例の実施例2に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンを示すフローチャートである。(実施例2)
前輪及び後輪にアクティブスタビライザ装置が設けられた車輌に適用された本発明による車輌の走行状態判定装置の実施例3を示す概略構成図である。(実施例3)
実施例3に於ける車輌の走行状態判定制御ルーチンを示すフローチャートである。(実施例3)
(A)は車輌の停止状態に於ける各車輪の接地荷重Wiの例を示し、(B)は車輌の左旋回時に於ける各車輪の接地荷重Wiの例を示し、(C)は(B)の状況に於いてアクティブスタビライザ装置の制御が行われた場合の各車輪の接地荷重Wiの例を示している。(実施例3)
符号の説明
16 アクティブスタビライザ装置
18 通常のスタビライザ装置
20 アクチュエータ
22 トルクセンサ
24、30 電子制御装置
26 ロールレートセンサ
28FL〜28RR ストロークセンサ
32FL〜32RR ショックアブソーバ
34 前後加速度センサ
36 横加速度センサ