JP2005088351A - 成形型の製造方法及び成形型 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギーを図ることができ、鉛を含有するアロイを使用せず、環境への負荷を低減できる成形型の製造方法及び成形型を提供すること。
【解決手段】成形型の製造方法は母型2を治具3に固着する第一固着工程、形状創成工程、デブロック工程、第一検査工程、第二固着工程、面取り加工工程、デブロック工程、第二検査工程を備える。治具3は、リング状の第二突設部313の上面のガスケット314と、減圧空間部315と、減圧空間部315と外部との連通を遮断及び開放可能な逆止弁34とを備える。ガスケット314上に母型2を設置し、減圧空間部315内部を減圧することで、母型2と治具3とを吸着固定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、成形型の製造方法及び成形型に関する。
従来から、一対の成形型の外周面に粘着テープを巻きつけて、キャビティを形成し、このキャビティ内に眼鏡レンズの原料となる溶融樹脂を注入することで、眼鏡レンズを製造している。
このような眼鏡レンズの製造に使用される成形型は、母型の表面を研削加工、研磨加工して成形面(キャビティ面)を形成することで、得られる。
このような成形型の製造工程では、加工の前段において、眼鏡レンズと治具とを一体化させるブロッキングと呼ばれる作業を行っている。
具体的には、図9に示すように、成形型の母型2と、治具700との間にアロイと呼ばれる低融点合金800を流し込み、アロイ(低融点合金)800を硬化させることで、母型2と治具700とを接着している(例えば、特許文献1参照)。
そして、このようにして母型2が取り付けられた治具700を研削加工機、研磨加工機に装着している。
研磨、研削が終わった後には、アロイ800に衝撃を加えることで、母型2とアロイ800とを分離し、アロイ800が固着した治具700をアロイ800の融点以上のお湯の中に浸漬させて、アロイ800を流体化させ、アロイ800を回収している。
特開2002−294370号公報(第2〜第4頁、図3)
しかしながら、このようなアロイ800を使用して治具700と、母型2とを固着させる場合には、アロイ800を溶融炉内で溶融させる必要があるため、大きな電力を必要とするという問題がある。
また、治具700とアロイ800とを分離した後、治具700を再利用するには、治具700に残ったアロイ800を除去しなければならず、治具700を超音波洗浄し、乾燥させる必要があるが、この超音波洗浄及び乾燥にも大きな電力が必要である。
さらに、研削、研磨が終わった後には、アロイ800を治具700から分離して回収しているが、一般にアロイ800の回収率は、90%程度であり、完全にアロイ800を回収することは難しい。アロイ800には、成分として20%以上の鉛が含まれているため、環境問題に対応して鉛フリーである治具を使用することが望まれている。
本発明の目的は、省エネルギーを図ることができ、鉛を含有するアロイを使用せず、環境への負荷を低減できる成形型の製造方法及び成形型を提供することである。
本発明の成形型の製造方法は、眼鏡レンズの製造に用いられる成形型の製造方法であって、前記成形型の母型を治具に吸着させて、固着する第一固着工程と、前記治具を加工機に装着して、母型に眼鏡レンズの形状に応じた成形面を形成する形状創成工程と、前記治具から母型を取り外し、前記母型の成形面の曲率を測定し、測定結果と成形面の設計上の曲率とを比較するとともに、成形面の外観を検査する検査工程と、前記検査工程において、成形面の設計上の曲率と測定値との差が所定値以下であり、所定の外観を有するとされた場合に、前記治具に再度、母型を吸着させて、固着する第二固着工程と、前記治具を面取り加工機に装着して、前記成形面の面取りを行う面取り加工工程とを備え、前記治具は、母型に密着するリング状のシール部と、このシール部に母型を密着させることにより密封空間を形成する減圧空間部と、前記減圧空間部と外部との連通を遮断及び開放可能な弁と、前記母型を加工する加工機に取り付けるための装着部とを備え、前記減圧空間部内を減圧することで、前記母型を治具に吸着させることを特徴とする。
ここで、本発明の製造方法により、製造される成形型は、セミフィニッシュの眼鏡レンズを製造するための成形型であってもよく、フィニッシュの眼鏡レンズを製造するための成形型であってもよい。
このような本発明によれば、治具のシール部と母型とが密着することにより形成される密封空間を減圧することで、母型を治具に吸着させることができるため、従来のようにアロイを使用することなく、母型を治具に固着させることができる。従って、従来のような、アロイを溶融させるための電力が不要となり、省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明では、母型を治具に吸着させており、接着媒体を必要としないので、治具と母型とを分離した後、治具を超音波洗浄等する必要がない。これによっても省エネルギー化を図ることができる。
また、本発明の製造方法で使用する治具は、減圧空間部と外部とを遮断する弁を備えているので、減圧空間部を減圧させて母型を治具に固着させた後、弁で減圧空間部と外部とを遮断すれば、減圧空間部を常時、減圧装置等に接続させておく必要がなく、減圧に使用するエネルギーを多く必要としないので、これによっても省エネルギーを図ることができる。
さらに、本発明の製造方法では、母型を治具に吸着させて固着しているので、アロイを使用せず、鉛フリーとすることができるので、環境にかかる負荷を低減することができる。
また、本発明の製造方法では、形状創成工程の後段で、治具から母型を取り外して検査を行い、その後再度、治具に母型を固定する構成となっており、治具への母型の取り付けを2回行っている。
従来のようにアロイを使用する場合には、治具を一度使用するごとに、回収ロスが10%程度存在していたため、本実施形態のように治具への取り付け工程を2回とすることで、アロイの回収ロスが増えてしまうという問題がある。
これに対し、本発明の製造方法では、アロイを使用せず、鉛フリーとしているので、回収ロスが発生せず、治具への母型の固着工程を2回設けても、環境への負荷が増加することはない。
さらに、眼鏡レンズの度数は、対向配置される一対の成形型の成形面の曲率差により決定される。従って、所望の眼鏡レンズを成形することができる成形型を製造するには、成形面の曲率が重要となる。また、所望の光学鏡面を有する眼鏡レンズを得るためには成形型の成形面の外観が重要となる。
本発明の製造方法の検査工程では、母型の成形面の曲率を測定し、測定結果と成形面の設計上の曲率とを比較するとともに、成形面の外観を検査しており、成形面の設計上の曲率と測定値との差が所定値以下であり、所定の外観を有する母型のみを後段で面取り加工している。これにより、所望の度数及び光学鏡面の眼鏡レンズを製造できる成形型を得ることができる。
また、面取り加工の前段で検査を行うことで、所望の外観及び曲率を有しない母型を面取り加工してしまうことがなく、面取り加工後に、母型の成形面の修正等を行う必要がない。
この際、本発明では、前記面取り加工工程の後段には、前記面取り加工された母型の検査を行う第二検査工程が設けられ、前記第二検査工程では、面取り加工を行った面取り面の平滑化度の測定及び面取り加工を行った母型の寸度測定を行い、設計上の平滑化度及び寸度と比較することを特徴とすることが好ましい。
このような本発明によれば、第二検査工程を設け、面取り面の平滑化度及び母型の寸度を測定し、設計上の平滑化度及び寸度と比較している。設計上の平滑化度及び寸度と測定値との差が所定値を超える場合には、再度面取り加工を行えばよい。このようにすることで、所望の成形型を得ることができる。
さらに、本発明では、前記治具の弁は、前記減圧空間部内部の圧力が外部の圧力よりも低い場合に、前記減圧空間部と外部との連通を遮断する逆止弁であることが好ましい。
このような本発明によれば、弁を減圧空間部内部の圧力が外部の圧力よりも低い場合に、減圧空間部と外部との連通を遮断する逆止弁とすることで、減圧空間部内部を減圧した後、減圧空間部内部の減圧状態を確実に維持することができる。
本発明の成形型は、眼鏡レンズの製造に使用される成形型であって、上述した何れかの成形型の製造により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、前述した成形型の製造方法と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の一対の成形型1が示されている。この一対の成形型1は、プラスチック製の眼鏡レンズLを製造するためのものである。
一対の成形型1は、図1(A)に示すように、対向配置される面(成形面)が所望の曲面形状を有している。この一対の成形型1を隙間を介して対向配置させ、その外周面に粘着テープTを巻きつけて、キャビティを形成する。そして、図1(B)に示すように、キャビティ内に眼鏡レンズLの原料となる溶融樹脂L1を注入し、さらに、図1(C)に示すように、加熱または紫外線照射等で硬化させる。その後、図1(D)に示すように、粘着テープTを取り外して一対の成形型1を離間させて、眼鏡レンズLを取り出す。このようにして、成形型1により眼鏡レンズLが製造される。
なお、この眼鏡レンズLは、セミフィニッシュのレンズであってもよく、フィニッシュのレンズであってもよい。
以上のような成形型1は、以下のような方法で製造される。
図2〜図8を参照して、説明する。
図2は、本発明の成形型1の製造方法を示すフローチャートである。
まず、成形型1の母型2を図3に示すような治具3に取り付ける(処理S1、第一固着工程)。
この治具3は、母型2を加工機に取り付けるためのものであり、母型2が取り付けられる円盤状の保持部31と、保持部31の下面(母型2が取り付けられる側の面と反対側の面)から下方に突出した装着部32とを備える。保持部31と装着部32とは一体的に構成されており、例えば、アルミニウム等の金属製となっている。
装着部32は、中央が保持部31側に窪んだ形状となっている。この窪み部分321の底面321Aには、保持部31及び装着部32を貫通する貫通孔33の開口331が形成されている。
保持部31は、その中央部分が装着部32側に窪んだ形状となっている。このような保持部31は、円盤状の保持部本体311と、この保持部本体311の外周縁に突設されたリング状の第一突設部312と、この第一突設部312の外周縁に突設されたリング状の第二突設部313とを備える。これらの保持部本体311、第一突設部312、第二突設部313は、一体成形されている。
保持部本体311の中央部分には、装着部32側に窪んだ凹部311Aが形成されている。この凹部311Aの中心部には、保持部本体311及び装着部32を貫通する貫通孔33が形成されている。
第二突設部313の上面には、リング状のシール部としてのガスケット314が取り付けられている。
なお、本実施形態では、シール部としてガスケット314を使用したが、これに限らず、例えば、第二突設部313の上面に溝を形成し、この溝内にシール部としてのOリングを設置してもよい。
このような保持部31では、保持部本体311の凹部311A、第一突設部312で囲まれた空間、第二突設部313で囲まれた空間とを減圧空間部315と呼ぶ。第二突設部313の上面のガスケット314に母型2を当接させると、減圧空間部315は、密封空間となる。
保持部31及び装着部32を貫通する貫通孔33内には、円柱状のリーク機構付き逆止弁34が設置されている。
この逆止弁34は、減圧空間部315内部の圧力が外部の圧力よりも低い場合に、減圧空間部315内部と外部との連通を遮断するものである。
逆止弁34は、貫通孔33内に設置される逆止弁本体341と、逆止弁本体341の保持部31側に配置される端部に設けられ、保持部31の凹部311Aに係合するフランジ部342とを備える。
逆止弁本体341の外周面には、図示しないが、ねじが刻設されており、貫通孔33内に刻設されたねじと、逆止弁本体341のねじとを螺合することで、逆止弁34が貫通孔33内に設置される。
また、逆止弁本体341には、その軸方向に沿って貫通孔341Aが形成されており、この貫通孔341Aは、減圧空間部315と外部とを連通する。この貫通孔341Aは、減圧空間部315側が小径部341A1、装着部32の窪み部分321側が大径部341A2となっている。大径部341A2の小径部341A1と隣接する部分は、装着部32の窪み部分321側に向かって径が拡大した拡大部(弁座)341A3となっている。
さらに、大径部341A2には、後述する弁体343を摺動させるための付勢手段としてのばねSが設置されている。
さらに、この貫通孔341Aの大径部341A2内部には、貫通孔341A内を摺動する弁体343が収納されている。
弁体343には、その側面及び底面とを連通させる貫通孔343Aが形成されている。このような弁体343は、ばねSにより貫通孔341Aの小径部341A1側に付勢されており、弁体343が貫通孔341Aの拡大部(弁座)341A3に当接することにより、貫通孔341Aが閉塞される。
ばねSを圧縮させた場合には、弁体343が拡大部341A3から離れるとともに、弁体343と、貫通孔341Aの大径部341A2との間には隙間が形成され、弁体343の貫通孔343Aを通じて、逆止弁本体341の貫通孔341Aが開放されることとなる。
なお、弁体343は、強磁性体から構成されているため、ばねSを圧縮させるためには、磁石を弁体343に近づければよい。
このような治具3に母型2を取り付ける際には、図4に示すように、母型2の外形中心と、治具3の中心とを合わせ、母型2を治具3のガスケット314上に設置する。
次に、減圧源Pに接続されている配管P1の先端を治具3の装着部32の開口331に接続する。
すると、装着部32の開口331付近の圧力は低くなるので、弁体343は、減圧空間部315内部の圧力に押されて、ばねSの圧縮方向に進む。これにより、弁体343と貫通孔341Aの拡大部341A3との当接が解除されて、貫通孔341Aが開放される。そして、減圧空間部315の空気は、逆止弁本体341の貫通孔341Aを通り、弁体343と貫通孔341Aとの間の隙間から弁体343の貫通孔343A内に入り、減圧源Pに引かれてゆく。
これにより、母型2は大気圧により治具3のガスケット314に吸着固定されることとなる。
減圧空間部315内部と、減圧源Pとの圧力差が少なくなると、弁体343は、ばねSの付勢力により、母型2側に移動し、貫通孔341Aの拡大部341A3に当接する。その後、減圧源Pに接続された配管P1を治具3の装着部32の開口331から取り外すと、弁体343は、大気圧により、母型2側に強く押されて、弁体343と貫通孔341Aの拡大部341A3との当接が強くなる。これにより、貫通孔341Aが完全に閉塞される。
次に、母型2の形状創成を行う(形状創成工程)。
形状創成工程は、近似R加工工程(処理S2)、荒研削工程(処理S3)、仕上げ研削工程(処理S4)、研磨工程(処理S5)の4工程から構成される。
まず、母型2が取り付けられた治具3を図示しない加工機に取り付ける。そして、CAD(computer aided design )システム等により作成された成形型1の3次元形状データに基づいて、母型2の表面を成形型1の成形面の設計上の曲面形状(曲率)に近似した形状に加工する(処理S2、近似R加工工程)。
その後、加工機から治具3及び母型2を取り外し、図5に示すような、研削加工機4に治具3及び母型2を取り付ける。研削加工機4は、NC制御されるものであり、母型2が取り付けられた治具3を保持するとともに、母型2及び治具3を回転させる保持手段41と、ディスク型ダイアモンド砥石42と、このディスク型ダイアモンド砥石42が先端に取り付けられる回転軸43と、この回転軸43を回転させるモータ(図示略)とを備える。
このような研削加工機4を用いて曲面形状が形成された母型2の表面を荒研削する(処理S3、荒研削工程)。
荒研削工程が終わった後、研削加工機4にて仕上げ研削を行う(処理S4、仕上げ研削工程)。
仕上げ研削工程では、仕上げ研削用のディスク型ダイアモンド砥石42を使用する。
次に、研削加工機4から治具3及び母型2を取り外し、母型2表面に形成された成形面の研磨を行う(処理S5、研磨工程)。
研磨加工機5は、図6に示すように、治具3の装着部32を回転可能に保持する保持部51と、図示しないモータの駆動により回転する回転軸52と、この回転軸52の先端に設けられた中空ドーム状の弾性体53とを備える。
弾性体53内部には圧縮空気が送り込まれており、内部の空気の圧力を調整することにより、母型2にかかる負荷を調整することができる。なお、この弾性体53の表面には、図示しない研磨パッドが貼り付けられる。
回転軸52は、モータ等により4軸制御されており、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向に移動可能とされるとともに、Y軸方向を回転軸として回転可能とされている。従って、このような回転軸52と、保持部51とを回転させながら、相対的に揺動させることで、回転軸52に設けられた弾性体53と保持部51に取り付けられた母型2とが摺り合わされることとなる。これにより、母型2の成形面が平滑化される。
次に、研磨加工機5から治具3及び母型2を取り外し、さらに、治具3から母型2を取り外す(処理S6、デブロック工程)。
治具3から母型2を取り外す際には、図7に示すように、磁石6を治具3の逆止弁34の弁体343に接近させる。すると、強磁性体の弁体343は、磁石6により引き寄せられ、ばねSの付勢力に抗して移動し、弁体343が、逆止弁34の逆止弁本体341の貫通孔341Aの拡大部341A3から離れる。そして、弁体343と貫通孔341Aとの間には隙間が形成される。これにより、空気が弁体343の貫通孔343A、弁体343と貫通孔341Aとの間の隙間、さらには、減圧空間部315に入り込み、減圧空間部315内部の気圧が、大気圧と等しくなる。これにより、母型2と治具3との固定が解除され、母型2が治具3から分離される。
次に、母型2の検査を行う(処理S7、第一検査工程)。
この第一検査工程では、母型2の外観検査及び成形面の曲率の検査を行う。
所望の光学鏡面を有する眼鏡レンズLを得るためには、成形型1の成形面の外観が重要となる。そのため、外観検査では、母型2に光を透過させて、母型2にリング状の影(研磨により生じる段差)があるかどうか等を確認する。リング状の影が存在する場合には、再度、仕上げ研削(処理S4)、研磨(処理S5)を行い、リング状の影が検出できなくなるまでこれを繰り返す。
また、眼鏡レンズLの度数は、対向配置される一対の成形型1の成形面の曲率差により決定される。従って、所望の眼鏡レンズLを成形することができる成形型1を製造するには、成形面の曲率が重要となる。成形面の曲率の検査では、成形面の曲率を測定し、設計上の曲率(設計値)と、測定値とを比較する。測定値と設計値との差が所定値を超える場合には、再度仕上げ研削(処理S4)、研磨(処理S5)を行い、測定値と設計値との差が所定値以下となるまで、これを繰り返す。
次に、母型2を治具3に取り付ける(処理S8、第二固着工程)。
母型2の治具3への取り付け方法は、前述した方法と同じであるため、説明を省略する。
その後、母型2が取り付けられた治具3を面取り加工機に取り付けて、面取り加工を行う(処理S9、面取り加工工程)。
面取り加工工程では、母型2の成形面の周縁を面取りする。面取りを行う際、図8に示すように、治具3の保持部31の下面を基準位置H0とし、この基準位置H0から成形面の周縁までの高さ寸法を測定し、この高さ寸法が所望の高さ寸法H1と一致するように面取りを行う。
さらに、面取り加工工程では、母型2の成形面の周縁を研削して、面取りした後、面取り面の研磨を行う。
次に、面取り加工工程を行った後、面取り加工機から治具3及び面取りされた母型2を取り外し、面取りされた母型2の検査を行う(処理S10、第二検査工程)。
ここでは、母型2の寸度測定と、外観検査を行う。
寸度測定では、母型2の底面(成形面と反対側の面)から面取り面までの高さ寸法を測定し、設計値と比較する。設計値と測定値とのずれが所定値を超える場合には、再度面取り加工(処理S9)を行い、所望の高さ寸法となるまで、これを繰り返す。
外観検査では、面取り面の平滑化度を測定する。面取り面の平滑化度が所定値未満である場合には、再度、面取り加工(処理S9)を行い、平滑化度が所定値以上となるまでこれを繰り返す。
その後、治具3から母型2を取り外す(処理S11、デブロック工程)。
ここで、治具3からの母型2の取り外し操作は、前述した方法と同様であるため、説明を省略する。
次に、母型2の強化処理を行う(処理S12、強化処理工程)。
強化処理工程では、母型2を440℃程度のアルカリ溶液に浸漬させて、母型2の強度を高める。
以上のような強化処理が終わったものが成形型1となる。
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)母型2を加工機に装着させるための治具3は、母型2をガスケット314上に設置することにより、形成される密封空間を減圧することで、母型2を吸着固定する構成であるため、従来のように治具と、母型とを固定するためのアロイを使用する必要がない。従って、従来のようなアロイを溶融させるための電力が不要となり、省エネルギー化を図ることができる。
また、このように、本実施形態では、母型2を治具3に吸着させており、母型2と治具3とを接着するための接着媒体を必要としないので、治具3と母型2とを分離した後の治具3の超音波洗浄、さらには治具3の乾燥等が必要ない。これによっても省エネルギー化を図ることができる。
具体的には、従来、アロイを溶融させるための溶融炉に必要な電力は、約0.11kW/hであり、洗浄した治具を乾燥させるために使用する恒温槽に必要な電力は約0.2kW/hであった。また、溶融したアロイを治具と母型との間の空間に注入させて、固化させるためのブロッキングマシンの駆動には、電力を約0.7kW/h必要とした。合計で必要とする電力は、2kW/hであり、一ヶ月に換算すると、2kW/h×8h×20日で360kW/月となっていた。本実施形態では、溶融炉、恒温槽、ブロッキングマシンは不要であるため、一ヶ月当たり、360kWもの電力の使用を節約できる。
(2)さらに、このように、アロイを溶融させるための溶融炉等が不要となるため、工場内に熱が溜まりにくくなり、工場内の空調設備にかかるコストも低減できる。
(3)本実施形態の製造方法で使用する治具3は、減圧空間部315と外部とを遮断する逆止弁34を備えているので、減圧空間部315を減圧させて母型2を治具3に固着させた後、逆止弁34で減圧空間部315と外部とを遮断すれば、減圧空間部315を常時、減圧源Pに接続させておく必要がない。従って、減圧に使用するエネルギーを多く必要としないので、これによっても省エネルギーを図ることができる。
また、治具3に常時、減圧源Pを接続させておく必要がないので、治具3を取り扱いやすいものとすることができる。
(4)さらに、本実施形態では、アロイを使用しないため、治具3と母型2とを分離した後、治具3を再度利用する場合には、治具3のガスケット314を拭く程度でよい。従って、従来のように治具を超音波洗浄したり、さらには洗浄後の治具の乾燥等をおこなったりする必要がなく、これにより、治具の再利用にかかる手間を省くことができる。
また、治具の超音波洗浄が不要となるので、超音波洗浄にかかる水を削減することができる。
さらに、従来は、治具を恒温槽で乾燥させた後、完全に水分を除去するために、アセトンを用いて治具を拭いていたが、本実施形態では、治具の水による洗浄が不要であるため、アセトンの使用を廃止することができる。
(5)さらに、上述したように、本実施形態では、母型2を治具3に吸着させて固着しているので、アロイを使用せず、鉛フリーとすることができるので、環境への負荷を低減できる。
(6)本実施形態では、研磨工程の後段で、治具3から母型2を取り外して外観、度数の検査を行い、その後再度、治具3に母型2を固定して、面取り加工を行っており、治具3への母型2の取り付けを2回行っている。
従来のようにアロイを使用する場合には、治具を一度使用するごとに、回収ロスが10%程度存在していたため、本実施形態のように治具への取り付け工程を2回とすると、アロイの回収ロスが増えてしまうという問題がある。
具体的には、従来、治具1個当たり、アロイを150g使用していたため、治具1個当たりのアロイの回収ロスは15gとなる。
従って、治具への母型の取り付けを2回とすると、1個の成形型を製造するに当たって、アロイの回収ロスは30gとなる。そして、一ヶ月あたり、成形型を3000個製造すると、一ヶ月当たりのアロイの回収ロスは、90kgとなる。
これに対し、本実施形態では、アロイを使用せず、鉛フリーとしているので、アロイの回収ロスが発生せず、治具3への母型2の固着工程を2回設けても、環境に影響を及ぼすことがない。
(7)また、研磨工程の後段に第一検査工程を設けており、この第一検査工程では、母型2の成形面の曲率と、外観の検査を行い、成形面の設計上の曲率と測定値との差が所定値を超え、所定の外観を有しない母型は、再度、仕上げ研削、研磨を行っている。これにより、所望の度数及び光学鏡面の眼鏡レンズLを製造できる成形型1を得ることができる。
また、面取り加工の前段に第一検査工程を設けたことで、所定の外観及び曲率を有しない母型を面取り加工してしまうことがなく、面取り加工後に、母型2の成形面の修正等を行う必要がない。
さらに、第二検査工程では、母型2の寸度測定を行っており、これにより、面取り加工が施された母型2を所望の寸度とすることができる。また、第二検査工程において、母型2の面取り面の平滑化度を検査しているため、これにより、所望の光学鏡面を備えた母型2とすることができる。
(8)治具3は、減圧空間部315内部の圧力が外部の圧力よりも低い場合に、減圧空間部315と外部との連通を遮断する逆止弁34を備えているので、減圧空間部315内部を減圧した後、逆止弁34を操作することなく、自動的に逆止弁34の弁体343が移動して、貫通孔341Aが閉塞される。具体的には、減圧空間部315の内部の空気が大気圧よりも低い場合には、逆止弁34の弁体343が大気圧に押され、弁体343が貫通孔341Aの拡大部341A3に強く当接することとなる。これにより、減圧空間部315内部の減圧状態を容易に維持することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、治具は、母型2に密着するリング状のシール部と、このシール部に母型2を密着させることにより密封空間を形成する減圧空間部と、減圧空間部と外部との連通を遮断及び開放可能な弁と、母型2を加工する加工機に取り付けるための装着部とを備えるものであれば任意であり、治具3のような形状に限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、面取り加工工程の後段に面取り面の平滑化度、母型の寸度を測定する第二検査工程を設けたが、第二検査工程はなくてもよい。このようにすることで、成形型の製造を容易化させることができる。
本発明は、プラスチック製の眼鏡レンズを製造するための成形型の製造に利用できる。
本発明の実施形態の成形型の製造方法により製造される成形型を用いた眼鏡レンズの製造方法を示す模式図。 本発明の成形型の製造方法を示すフローチャート。 本発明の成形型の製造方法に使用される治具の断面図。 前記治具に母型を吸着する状態を示す模式図。 本発明の成形型の製造方法に使用される研削加工機を示す模式図。 本発明の成形型の製造方法に使用される研磨加工機を示す模式図。 前記治具から母型を取り外す状態を示す模式図。 面取り加工を行う状態を示す模式図。 従来から使用されている治具を示す断面図。
符号の説明
1…成形型、2…母型、3…治具、4…研削加工機、5…研磨加工機、34…逆止弁、314…ガスケット(シール部)、315…減圧空間部、L…眼鏡レンズ、L1…溶融樹脂

Claims (4)

  1. 眼鏡レンズの製造に用いられる成形型の製造方法であって、
    前記成形型の母型を治具に吸着させて、固着する第一固着工程と、
    前記治具を加工機に装着して、母型に眼鏡レンズの形状に応じた成形面を形成する形状創成工程と、
    前記治具から母型を取り外し、前記母型の成形面の曲率を測定し、測定結果と成形面の設計上の曲率とを比較するとともに、成形面の外観を検査する検査工程と、
    前記検査工程において、成形面の設計上の曲率と測定値との差が所定値以下であり、所定の外観を有するとされた場合に、前記治具に再度、母型を吸着させて、固着する第二固着工程と、
    前記治具を面取り加工機に装着して、前記成形面の面取りを行う面取り加工工程とを備え、
    前記治具は、母型に密着するリング状のシール部と、このシール部に母型を密着させることにより密封空間を形成する減圧空間部と、前記減圧空間部と外部との連通を遮断及び開放可能な弁と、前記母型を加工する加工機に取り付けるための装着部とを備え、
    前記減圧空間部内を減圧することで、前記母型を治具に吸着させることを特徴とする成形型の製造方法。
  2. 請求項1に記載の成形型の製造方法において、
    前記面取り加工工程の後段には、前記面取り加工された母型の検査を行う第二検査工程が設けられ、
    前記第二検査工程では、面取り加工を行った面取り面の平滑化度の測定及び面取り加工を行った母型の寸度測定を行い、設計上の平滑化度及び寸度と比較することを特徴とする成形型の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の成形型の製造方法において、
    前記治具の弁は、前記減圧空間部内部の圧力が外部の圧力よりも低い場合に、前記減圧空間部と外部との連通を遮断する逆止弁であることを特徴とする成形型の製造方法。
  4. 眼鏡レンズの製造に使用される成形型であって、
    請求項1から3の何れかに記載の成形型の製造により製造されたことを特徴とする成形型。
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