JP2005083869A - ディストーション測定方法、ディストーション測定装置、投影露光装置 - Google Patents

ディストーション測定方法、ディストーション測定装置、投影露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度な座標管理を必要としないディストーション測定方法を提供する。
【解決手段】被検光学系(1)の物体面(o)上に複数の点光源(Pa,Pb)を所定の位置関係で配置し、前記複数の点光源(Pa,Pb)の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面(o)上で移動させ、前記被検光学系(1)の像面(i)上に形成される複数の点像(Ia,Ib)の前記移動に伴う位置関係の変化を検出し、前記変化に基づき前記被検光学系のディストーションを算出することを特徴とする。このように複数の点光源(Pa,Pb)の位置関係が固定されていれば、高精度な座標管理をしなくとも、ディストーションは高精度に求まる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、投影光学系などの被検光学系のディストーションを測定するディストーション測定方法、及びそれに適用されるディストーション測定装置に関する。
また、本発明は、投影光学系を備えた投影露光装置に関する。
投影露光装置に搭載される投影光学系には高い結像性能が要求されるので、その収差の測定も高精度に行われる必要がある。
収差の1つであるディストーションの測定方法は、例えば次の手順からなる。
被検光学系の物体面上の第1の測定点に点光源を配置する。
その状態で被検光学系の像面上に形成される点像を検出し、その点像の予定結像位置からのずれを測定する。
点光源を第2の測定点に移動させ、同様にして点像を検出し、その点像の予定結像位置からのずれを測定する。
さらに、以上の測定を各測定点について行う。
測定された各ずれの物体面上の分布が、被検光学系のディストーションを示す(以上、ディストーション測定方法。)。
ここで、このように点像の予定結像位置からのずれを測定する場合、被検光学系に対する各点光源の位置と各点像の位置と(少なくとも、それらの位置関係)を正確に把握する必要がある。
しかしながら、ディストーション測定中、測定系には環境変化(空気圧、湿度などの変化)が生じるので、たとえ高精度な測長干渉計などを用いても、各点光源の位置と各点像の位置との位置関係を管理する精度が低い。
そこで本発明は、高精度な座標管理を必要としないディストーション測定方法、及びそのディストーション測定方法に適したディストーション測定装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、高性能な投影露光装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載のディストーション測定方法は、被検光学系の物体面上に複数の点光源を所定の位置関係で配置し、前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させ、前記被検光学系の像面上に形成される複数の点像の前記移動に伴う位置関係の変化を検出し、前記変化に基づき前記被検光学系のディストーションを算出することを特徴とする。
請求項2に記載のディストーション測定装置は、光源から射出した光束を複数の光束に波面分割して被検光学系の物体面上に複数の点光源を生成する第1の分割手段と、前記複数の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数の光束を複数対の光束に波面分割する第2の分割手段と、前記複数対の光束のうち互いに対を成す光束同士が干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構とを備えたことを特徴とする。
請求項3に記載のディストーション測定装置は、光源から射出した光束を複数対の光束に波面分割して被検光学系の物体面上に複数対の点光源を生成する第1の分割手段と、前記複数対の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数対の光束を、それら複数対の光束のうち互いに対を成す光束同士の波面が統合されるよう波面分割する第2の分割手段と、前記互いに対を成す光束同士が干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、前記複数対の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構とを備えたことを特徴とする。
請求項4に記載のディストーション測定装置は、請求項3に記載のディストーション測定装置において、前記第1の分割手段は、互いに直交する2方向に刻線が形成された単一の回折格子からなることを特徴とする。
請求項5に記載のディストーション測定装置は、光源から射出した光束を被検光学系の物体面と参照物との双方に投光する投光光学系と、前記物体面へと入射する光束を複数の光束に分割してその被検光学系の物体面上に複数の点光源を生成する分割手段と、前記複数の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数の光束を個別に垂直反射してその被検光学系の方向に折り返す複数の折り返しミラーと、前記被検光学系を往復した前記複数の光束のそれぞれと、前記参照物にて生起した所定波面の参照光束とが干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構とを備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の投影露光装置は、請求項1に記載のディストーション測定方法により予めディストーションが測定された投影光学系を備え、かつ測定されたディストーションに応じてその投影光学系及び/又はその他の要素が調整されていることを特徴とする。
以上説明したとおり本発明によれば、高精度な座標管理を必要としないディストーション測定方法、及びそのディストーション測定方法に適したディストーション測定装置が実現する。
また、本発明によれば、高性能な投影露光装置が実現する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1、図2を参照して第1実施形態について説明する。
本実施形態は、ディストーション測定装置、及びそれを用いたディストーション測定方法の実施形態である。
ディストーション測定装置の構成は、次のとおりである。
図1に示すように、本実施形態のディストーション測定装置は、シアリング干渉計(ここでは、Grating Lateral Shearing Interferometer)を利用している。
このディストーション測定装置には、不図示の照明光学系、回折格子(第1の分割手段に対応。)11d、マスク13o,被検光学系1、回折格子11s(第2の分割手段に対応。),マスク13i,撮像素子(検出素子に対応。)15がこの順で配置される。また、不図示のステージ(機構に対応。)、不図示の測長干渉計なども備えられる。また、撮像素子15には、不図示のコンピュータが接続される。
照明光学系は、被検光学系1の物体面o上に集光する集光光束Lを出射する。その集光光束Lは、回折格子11dにより2つの光束La,Lbに波面分割される。
ここでは、この回折格子11dの回折パターンの刻線方向(刻線の延びる方向)を、図1(a)に示すようにy方向とする。このとき、波面分割の方向は、x方向となる。
波面分割された光束Laと光束Lbとは、被検光学系1の物体面o上の互いに異なる位置に集光する。
光束Laの集光点、光束Lbの集光点は、それぞれ点光源となる(以下、これら集光点をそれぞれ「点光源Pa」,「点光源Pb」と記す。)。
図2(a)に示すように、これら点光源Pa,Pbの形成位置(図2(a)ではE1)が、ディストーション測定の測定箇所となる。
なお、光束La,Lbの波面分割の方向がx方向なので、点光源Pa,Pbのずれの方向は、図2(a)に示すとおりx方向となっている。
また、点光源Pa,Pbの間隔は、例えば、図2(a)に示すように物体面o上の各測定箇所E1,E2,E3,・・・のピッチに等しい。これら点光源Pa,Pbの間隔は、回折格子11dの回折パターンを最適化することにより設定できる。
これら点光源Pa,Pbの近傍に、図1のとおりマスク13oが配置される。
マスク13oには、図1(b)に示すように、点光源Paから発散する光束Laのみを透過する微小な開口部Haと、点光源Pbから発散する光束Lbのみを透過する微小な開口部Hbとが形成されている。マスク13oは、それ以外の光についてはカットする。
点光源Paから発散した光束La,点光源Pbから発散したLbは、マスク13oを透過してそれぞれ被検光学系1に入射し、被検光学系1の像側へ射出する。
被検光学系1から射出した光束La,Lbは、被検光学系1の像面i上の互いに異なる位置に集光する。
集光する光束Laは、回折格子11sにより2つの光束La,La’に波面分割され、集光する光束Lbは、回折格子11sにより2つの光束Lb,Lb’に波面分割される。
この回折格子11sの回折パターンの刻線方向は、図1(c)に示すように、図1(a)に示した回折格子11dのそれとは異なる方向である。
以下、その刻線方向を図1(c)に示すようにx方向とする。このとき、波面分割の方向はy方向となる。
波面分割された光束La,La’,Lb,Lb’は、被検光学系1の像面i上の互いに異なる位置に集光する。
光束Laの集光点、光束La’の集光点、光束Lbの集光点、光束Lb’の集光点には、それぞれ点像が形成される(以下、これら点像をそれぞれ「点像Ia」,「点像Ia’」,「点像Ib」,「点像Ib’」と記す。)。
なお、光束La,La’の波面分割の方向、及び光束Lb,Lb’の波面分割の方向がそれぞれy方向なので、点像Ia,Ia’のずれの方向、点像Ib,Ib’のずれの方向は、y方向となる。
また、点像Ia,Ia’の間隔及び点像Ib,Ib’の間隔は、一般のシアリング干渉計におけるシア量と同様に、十分に小さく設定される。これら点像Ia,Ia’の間隔及び点像Ib,Ib’の間隔は、回折格子11sの回折パターンを最適化することにより設定できる。
これら点像Ia,Ia’,Ib,Ib’の近傍に、図1のとおりマスク13iが配置される。
マスク13iには、図1(d)に示すように、点像Iaから発散する光束Laのみを透過する微小な開口部Haと、点像Ia’から発散する光束La’のみを透過する微小な開口部Ha’と、点像Ibから発散する光束Lbのみを透過する微小な開口部Hbと、点像Ib’から発散する光束Lb’のみを透過する微小な開口部Hb’とが形成されている。マスク13iは、それ以外の光についてはカットする。
開口部Haを透過した光束La、開口部Ha’を透過した光束La’、開口部Hbを透過した光束Lb、開口部Hb’を透過した光束Lb’の入射する位置に、撮像素子15が配置される。
撮像素子15の撮像面上には、図1(e)に示すように、光束Laの入射する領域、光束La’の入射する領域、光束Lbの入射する領域、光束Lb’の入射する領域が存在する。
このうち、2光束La,La’が重畳して入射する領域に、2光束La,La’による干渉縞Daが形成され、2光束Lb,Lb’が重畳して入射する領域に、2光束Lb,Lb’による干渉縞Dbが形成される。
ここで、撮像素子15上においてそれら2つの領域が重複する位置の近傍には、2光束La,La’と2光束Lb,Lb’とを分離する遮光板14が設けられる。遮光板14は、撮像面に垂直な姿勢で配置される。
この遮光板14の設けられた位置を境界として、撮像素子15の撮像面は2領域Ea,Ebに分割される。
よって、2光束La,La’の入射する領域Eaからの出力信号Saは、2光束La,La’による干渉縞Daを示し、他方の領域Ebからの出力信号Sbは、2光束Lb,Lb’による干渉縞Dbを示すことになる。
以上のディストーション測定装置においては、物体面o上の測定箇所を図2(a)の各位置E1,E2,E3,・・・などに移動させるために、被検光学系1の物体側(図1の左側)の各光学素子10oは、互いの位置関係を固定させたまま、少なくとも被検光学系1の光軸zと垂直な方向に、その被検光学系1に対し相対移動可能である(この相対移動には、光学素子の位置を高精度に制御するための周知のステージなどが利用される。)。また、物体面o上の各測定箇所の位置座標を管理するために、これら各光学素子10oの被検光学系1に対する位置座標は、管理される(この管理には、周知の測長干渉計などが利用される。)。
また、この測定箇所の移動に対応するために、被検光学系1の像側(図1の右側)の各光学素子10iは、互いの位置関係を固定させたまま、少なくとも被検光学系1の光軸zと垂直な方向に、その被検光学系1に対し相対移動可能である(この相対移動には、光学素子の位置を高精度に制御するための周知のステージなどが利用される。)。但し、これら各光学素子10iの位置座標の管理は、非必須である(以上、ディストーション測定装置の構成。)。
次に、ディストーション測定方法の手順について説明する。
初めに、点光源Pa,Pbが物体面o上の第1の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E1)に位置するよう、物体側の各光学素子10oの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
この状態で、干渉縞Daと干渉縞Dbとがそれぞれ撮像素子15上の領域Ea,Ebに形成されるよう、像側の各光学素子10iの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
そして、撮像素子15からの出力信号Sを不図示のコンピュータに取り込む。
コンピュータにおいては、それら出力信号Sのうち領域Eaからの出力信号Saと、領域Ebからの出力信号Sbとは、互いに峻別される。
次に、点光源Pa,Pbが第2の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E2)に位置するよう、物体側の各光学素子10oの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
この状態で、干渉縞Daと干渉縞Dbとがそれぞれ撮像素子15上の領域Ea,Ebに形成されるよう、像側の各光学素子10iの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
そして、撮像素子15からの出力信号Sを不図示のコンピュータに取り込む。
さらに、点光源Pa,Pbを、第3の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E3)、第4の測定箇所(例えば図2(a)の測定箇所E4), ・・・に順次移動させ、それぞれの測定箇所において、第1及び第2の測定箇所における上記処理と同様の処理をそれぞれ実行する。
その結果、コンピュータには、測定箇所E1に関する出力信号Sa1,Sb1,測定箇所E2に関する出力信号Sa2,Sb3,測定箇所E3に関する出力信号Sa3,Sb3,・・・が蓄積される。
コンピュータでは、出力信号Sa1,Sb1から、測定箇所E1の測定時に生起した干渉縞Da1,Db1の位相分布Ψa1,Ψb1がそれぞれ算出され、それら位相分布Ψa1,Ψb1のそれぞれのチルト成分(一次成分)Ta1,Tb1が算出され、それら両者の差分Δ1(=Ta1−Tb1)が算出される。
ここで、このチルト成分Ta1は、測定箇所E1の測定時に生起した点像Pa1の位置を示す(但し、その位置は、被検光学系1の像側の各光学素子10iの位置を基準として表される。)。
また、チルト成分Tb1は、測定箇所E1の測定時に生起した点像Pb1の位置を示す(但し、その位置は、被検光学系1の像側の各光学素子10iの位置を基準として表される。)。
よって、チルト成分Ta1とチルト成分Tb1との差分Δ1は、点像Ia1,Ib1の位置関係を示す(以下、この差分Δiを「位置関係データΔi」という。)。
同様に、コンピュータでは、出力信号Sa2,Sb2から、測定箇所E2の測定時に生起した干渉縞Da2,Db2の位相分布Ψa2,Ψb2がそれぞれ算出され、それら位相分布Ψa2,Ψb2のそれぞれのチルト成分(一次成分)Ta2,Tb2が算出され、それら両者の差分、すなわち位置関係データΔ2(=Ta2−Tb2)が算出される。
同様に、コンピュータでは、出力信号Sa3,Sb3,Sa4,Sb4,・・・から、位置関係データΔ3,Δ4,・・・が算出される。
これら算出された位置関係データΔ1,Δ2,Δ3,・・・を各測定箇所E1,E2,E3の各位置に対応づけて矢印で可視化すると、例えば図2(b)のようになる。
ここで、上述したように各測定間では、2つの点光源Pa,Pbの位置関係は固定される。よって、仮に被検光学系1にディストーションが無ければ、2つの点像Ia,Ibの位置関係も変化せず、位置関係データΔの物体面o上の分布は一様になるはずである。
一方、被検光学系1にディストーションがあれば、そのディストーションに応じて位置関係データΔには物体面o上の位置により差異が生じるはずである。
そこで、コンピュータでは、各位置関係データΔ1,Δ2,Δ3,・・・を各測定箇所E1,E2,E3,・・・の位置にそれぞれ対応付けてできる物体面o上の分布が求められる。
この分布を、被検光学系1のディストーションとみなす(以上、ディストーション測定方法の手順)。
すなわち、本実施形態のディストーション測定方法は、2つの点光源Pa,Pbを両者の位置関係を固定したまま物体面o上で移動させ、そのときの点像Ia,Ibの位置関係の変化をディストーションとして取得するものである。
ここで、本実施形態のディストーション測定中にも環境変化は生じている。よって、点像Iaの位置と点像Ibの位置とは、それぞれ環境変化の影響を受ける。
しかし、本実施形態のディストーション測定では、点光源Paと点光源Pbとが同時に生成されるので、点像Iaの位置に与えられる影響と、点像Ibの位置に与えられる影響とは等しい。よって、点像Ia,Ibの位置関係は、環境変化の影響を受けない。
したがって、本実施形態のディストーション測定は、高精度な座標管理をしないにも拘わらず高精度である。
因みに、点光源Paと点光源Pbとの位置関係を固定することは、容易である。特に、本実施形態のディストーション測定装置では、2つの点光源Pa,Pbを生成するために回折格子11dを用いているので、専用の固定器具などを利用しなくともそれらの位置関係は、正確に固定される。
(その他)
なお、本実施形態のディストーション測定方法では、チルト成分Taとチルト成分Tbとの差分Δの物体面o上の分布(差分の分布)を被検光学系1のディストーションとして求めたが、チルト成分Taの物体面o上の分布と、チルト成分Tbの物体面o上の分布との差分(分布の差分)を、被検光学系1のディストーションとして求めてもよい。因みに、上述した点光源Pa,Pbの間隔を、物体面o上の各測定箇所E1,E2,E3,・・・のピッチに等しく採ったときには、測定箇所Eiのチルト成分Taiとそれに隣接する測定箇所E(i+1)のチルト成分Tb(i+1)とを引き算するだけで、分布の差分は簡単に求まる。
また、本実施形態のディストーション測定方法では、遮光板14を用いると共に、光束Laと光束Lbとの双方を同時に撮像素子15上に入射させ、干渉縞Daと干渉縞Dbとの双方を同時に撮像素子15上に形成し、そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Daと干渉縞Dbとの双方を検知したが、遮光板14を省略すると共に次のようにしてもよい。
光束Lbを遮光し、干渉縞Daのみを撮像素子15上に形成する。
そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Daを検知する。
光束Laを遮光し、干渉縞Dbのみを撮像素子15上に形成する。
そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Dbを検知する。
なお、光束Laと光束Lbとの一方及び他方を順次遮光するには、2つの開口部Ha,Hbを有したマスク13oの代わりに、単一の開口部Hを有したマスクを用いると共に、そのマスクの位置を、光束Laと光束Lbとの波面分割の方向(ここでは、x方向)にずらせばよい。
併せて、4つの開口部Ha,Ha’,Hb,Hb’を有したマスク13iの代わりに、光束Laと光束La’との波面分割の方向及び量だけずれた2つの開口部H,H’を有したマスクを用いて、そのマスクの位置を、光束Laと光束Lbとの波面分割の方向(ここでは、x方向)にずらしてもよい。
[第2実施形態]
図3、図4を参照して第2実施形態について説明する。
本実施形態は、ディストーション測定装置の実施形態である。このディストーション測定装置は、回折格子を2枚化したシアリング干渉計(Double−Grating Lateral Shearing Interferometer)を利用している。
ここでは、第1実施形態のディストーション測定装置(図1参照)との相違点についてのみ説明する。
図3に示すように、本実施形態のディストーション測定装置は、第1実施形態のディストーション測定装置において、回折格子11sに代えて、2つの回折格子(第1の分割手段、第2の分割手段に対応。)21s,21s’が備えられたものである。また、それに伴い、マスク23o,23iの開口パターンにも変更が加えられる。
このうち、回折格子21s’は、第1実施形態の回折格子11sと同様の位置(被検光学系1の像側)に配置され、回折格子21sは、被検光学系1の照明光学系側(図3では、回折格子11dと物体面oとの間)に挿入される。
また、回折格子21sの回折パターンの刻線方向は、図3(f)に示すように、回折格子11dとは異なる方向である(以下、その刻線方向を図1(f)に示すようにx方向とする。)。
また、回折格子21s’(図3(c))の波面分割の量は、回折格子21sの波面分割の量に相当し、回折光子21s’の波面分割の方向は、回折格子21sの波面分割の反対方向に相当する。
このような本実施形態のディストーション測定装置内の光束の振る舞いは、以下のとおりである。
照明光学系から射出した集光光束Lは、回折格子11dによりx方向にずれた2つの光束La,Lbに波面分割される。
2つの光束La,Lbは、回折格子21sによりそれぞれy方向にずれた2つの光束La,La’,Lb,Lb’に波面分割される。
これらの光束La,La’,Lb,Lb’は、被検光学系1の物体面o上の互いに異なる位置に集光する。
光束Laの集光点、光束La’の集光点、光束Lbの集光点、光束Lb’の集光点には、図4に示すようにそれぞれ点光源が形成される(以下、これら集光点をそれぞれ「点光源Pa」,「点光源Pa’」,「点光源Pb」,「点光源Pb’」と記す。)。
これら点光源Pa,Pa’Pb,Pb’の形成される位置(図4ではE1)が、ディストーション測定の測定箇所となる。
なお、光束La,Lbの波面分割の方向、光束La’,Lb’の波面分割の方向がx方向なので、点光源Pa,Pbのずれの方向、点光源Pa’,Pb’のずれの方向は、それぞれx方向となる。
また、光束La,La’の波面分割の方向、光束Lb,Lb’の波面分割の方向がy方向なので、点光源Pa,Pa’のずれの方向、点光源Pb,Pb’のずれの方向は、それぞれy方向となる。
また、点光源Pa,Pbの間隔は、例えば、図4に示すように物体面o上の各測定箇所E1,E2,E3,・・・のピッチに等しい。また、点光源Pa’,Pb’の間隔は、それらの間隔と同じである。
これら点光源Pa,Pa’,Pb,Pb’の近傍に配置されるマスク23oには、図3(b)に示すように、点光源Paから発散する光束Laのみを透過する微小な開口部Haと、点光源Pa’から発散する光束La’のみを透過する微小な開口部Ha’と、点光源Pbから発散する光束Lbのみを透過する微小な開口部Hbと、点光源Pb’から発散する光束Lb’のみを透過する微小な開口部Hb’とが形成されている。マスク23oは、それ以外の光についてはカットする。
点光源Paから発散した光束La、点光源Pa’から発散した光束La’、点光源Pbから発散したLb、点光源Pb’から発散したLb’は、それぞれ被検光学系1に入射し、被検光学系1の像側へ集光しつつ射出する。
それら集光する光束La,La’,Lb,Lb’は、回折格子21s’により波面分割される。
その回折格子21s’の波面分割の量は回折格子21sのそれに相当し、回折格子21s’の波面分割の方向は回折格子21sのそれとは反対方向に相当するので、光束Laと光束La’(光束Laの一部と光束La’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Lbと光束Lb’(光束Lbの一部と光束Lb’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。
光束La及び光束La’の集光点、光束Lb及び光束Lb’の集光点には、それぞれ点像が形成される(以下、これら点像をそれぞれ「点像Ia」,「点像Ib」と記す。)。
これら点像Ia,Ibの近傍に配置されるマスク23iには、図3(d)に示すように、点像Iaから発散する光束La,La’のみを透過する微小な開口部Haと、点像Ibから発散する光束Lb,Lb’のみを透過する微小な開口部Hbとが形成されている。マスク23iは、それ以外の光についてはカットする。
そして、開口部Haを透過した光束La,La’、開口部Hbを透過した光束Lb,Lb’の入射する位置に、撮像素子15が配置される。
撮像素子15の撮像面上には、図3(e)に示すように、光束La及び光束La’の入射する領域、光束Lb及び光束Lb’の入射する領域が存在する。
このうち、2光束La,La’の入射する領域に、2光束La,La’による干渉縞Daが形成され、2光束Lb,Lb’の入射する領域に、2光束Lb,Lb’による干渉縞Dbが形成される。
遮光板14は、撮像素子15上においてそれら2つの領域が重複する位置の近傍に設けられる。遮光板14は、撮像面に垂直な姿勢で配置される。
この遮光板14の設けられた位置を境界として、撮像素子15の撮像面は2領域Ea,Ebに分割される。
2光束La,La’の入射する領域Eaからの出力信号Saは、2光束La,La’による干渉縞Daを示し、他方の領域Ebからの出力信号Sbは、2光束Lb,Lb’による干渉縞Dbを示す(以上、ディストーション測定装置の構成。)。
以上の構成の本実施形態のディストーション測定装置を用いても、第1実施形態と同様のディストーション測定方法を実施することが可能である。
(その他)
なお、本実施形態のディストーション測定装置では、回折格子11dと回折格子21sとを用いているが、それらの回折格子の代わりに、両者の機能を兼ね備えた単一の回折格子を用いてもよい。この回折格子は、例えば、互いに直交する2方向(x方向及びy方向)に刻線が形成された回折格子などである。
なお、本実施形態のディストーション測定方法では、遮光板14を用いると共に、光束Laと光束Lbとの双方を同時に撮像素子15上に入射させ、干渉縞Daと干渉縞Dbとの双方を同時に撮像素子15上に形成し、そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Daと干渉縞Dbとの双方を検知したが、遮光板14を省略すると共に次のようにしてもよい。
光束Lbを遮光し、干渉縞Daのみを撮像素子15上に形成する。
そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Daを検知する。
光束Laを遮光し、干渉縞Dbのみを撮像素子15上に形成する。
そのときの撮像素子15の出力信号Sから干渉縞Dbを検知する。
なお、光束Laと光束Lbとの一方及び他方を順次遮光するには、2つの開口部Ha,Hbを有したマスク23iの代わりに、単一の開口部Hを有したマスクを用いると共に、そのマスクの位置を、光束Laと光束Lbとの波面分割の方向(ここでは、x方向)にずらせばよい。
併せて、4つの開口部Ha,Ha’,Hb,Hb’を有したマスク23oの代わりに、光束Laと光束La’との波面分割の方向及び量だけずれた2つの開口部H,H’を有したマスクを用いて、そのマスクの位置を、光束Laと光束Lbとの波面分割の方向(ここでは、x方向)にずらしてもよい。
[第3実施形態]
図5を参照して第3実施形態について説明する。
本実施形態は、ディストーション測定装置、及びそれを用いたディストーション測定方法の実施形態である。
ディストーション測定装置の構成については、第2実施形態のディストーション測定装置(図3参照)との相違点のみ説明する。
図5に示すように、本実施形態のディストーション測定装置は、第2実施形態のディストーション測定装置において、マスク23oに代えてマスク33oが備えられ、マスク23iに代えてマスク33iが備えられたものである。
先ず、第2実施形態のディストーション測定装置と本実施形態のディストーション測定装置とに共通して備えられる回折格子11dについて説明してから、マスク33oについて説明する。
回折格子11dは、光束Lを2つの光束La,Lbに波面分割するが、そのときに、光束La,Lb以外の光束Lc,Ld,Le,・・・をも生成している。
それら光束La,Lb,Lc,Ld,Le,・・・は、回折格子21sによりそれぞれ2つの光束La,La’,Lb,Lb’,Lc,Lc’,Ld,Ld’,Le,Le’,・・・に波面分割される。
波面分割された光束La,La’,Lb,Lb’,Lc,Lc’,Ld,Ld’,Le,Le’,・・・は、被検光学系1の物体面o上の互いに異なる位置に集光する。
よって、物体面o上には、点光源Pa,Pa’,Pb,Pb’,Pc,Pc’,Pd,Pd’,・・・が形成され得る。
第2実施形態のディストーション測定装置は、3つ目以降の光束Lc,Ld,Le,・・・を、マスク23oによってカットしていた。
しかし、本実施形態のディストーション測定装置のマスク33oには、図5(b)に示すように、3つ目以降の光束(ここでは、3つ目〜5つ目の光束とする。)をも透過するべく、開口部Ha,Ha’,Hb,Hb’,Hc,Hc’,Hd,Hd’,He,He’,Hf,Hf’,Hg,Hg’が形成されている。
開口部Ha,Ha’,Hb,Hb’,Hc,Hc’,Hd,Hd’,He,He’,Hf,Hf’,Hg,Hg’は、それぞれ、点光源Paから発散する光束La、点光源Pa’から発散する光束La’、点光源Pbから発散する光束Lb、点光源Pb’から発散する光束Lb’、点光源Pcから発散する光束Lc、点光源Pc’から発散する光束Lc’点光源Pdから発散する光束Ld、点光源Pd’から発散する光束Ld’、点光源Peから発散する光束Le、点光源Pe’から発散する光束Le’、点光源Pfから発散する光束Lf、点光源Pf’から発散する光束Lf’、点光源Pgから発散する光束Lg、点光源Pg’から発散する光束Lg’のみを透過する。
点光源Paから発散した光束La、点光源Pa’から発散した光束La’、点光源Pbから発散したLb、点光源Pb’から発散したLb’、点光源Pcから発散した光束Lc、点光源Pc’から発散した光束Lc’、点光源Pdから発散した光束Ld、点光源Pd’から発散した光束Ld’、点光源Peから発散した光束Le、点光源Pe’から発散した光束Le’、点光源Pfから発散した光束Lf、点光源Pf’から発散した光束Lf’、点光源Pgから発散した光束Lg、点光源Pg’から発散した光束Lg’は、それぞれ被検光学系1に入射し、被検光学系1の像側へ集光しつつ射出する。
それら集光する光束La,La’,Lb,Lb’,Lc,Lc’,Ld,Ld’,Le,Le’,Lf,Lf’,Lg,Lg’は、回折格子21s’により波面分割される。
その結果、光束Laと光束La’(光束Laの一部と光束La’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Lbと光束Lb’(光束Lbの一部と光束Lb’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Lcと光束Lc’(光束Lcの一部と光束Lc’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Ldと光束Ld’(光束Ldの一部と光束Ld’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Leと光束Le’(光束Leの一部と光束Le’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Lfと光束Lf’(光束Lfの一部と光束Lf’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。同様に、光束Lgと光束Lg’(光束Lgの一部と光束Lg’の一部)とは、被検光学系1の像面i上の互いに同じ位置に集光する。
光束La及び光束La’の集光点、光束Lb及び光束Lb’の集光点、光束Lc及び光束Lc’の集光点、光束Ld及び光束Ld’の集光点、光束Le及び光束Le’の集光点、光束Lf及び光束Lf’の集光点、光束Lg及び光束Lg’の集光点には、それぞれ点像が形成される(以下、これら点像をそれぞれ「点像Ia」,「点像Ib」,「点像Ic」,「点像Id」,「点像Ie」,「点像If」,「点像Ig」と記す。)。
これら点像Ia,Ib,Ic,Id,Ie,If,Igの近傍に配置されるマスク33iには、図5(d)に示すように、開口部Ha,Hb,Hc,Hd,He,Hf,Hgが形成される。
開口部Ha,Hb,Hc,Hd,He,Hf,Hgはそれぞれ、点像Iaから発散する光束La,La’、点像Ibから発散する光束Lb,Lb’、点像Icから発散する光束Lc,Lc’、点像Idから発散する光束Ld,Ld’、点像Ieから発散する光束Le,Le’,点像Ibから発散する光束Lf,Lf’、点像Igから発散する光束Lg,Lg’のみを透過する。
そして、マスク33i上の互いに隣接する2つの開口部(図5では、開口部Hd,Heとする。)を透過した光束(光束Ld,Ld’,Le,Le’)の入射する位置に、撮像素子15が配置される。
このうち、2光束Ld,Ld’が重畳して入射する領域に、2光束Ld,Ld’による干渉縞Ddが形成され、2光束Le,Le’が重畳して入射する領域に、2光束Le,Le’による干渉縞Deが形成される。
遮光板14は、撮像素子15上においてそれら2つの領域が重複する位置の近傍に設けられる。遮光板14は、撮像面に垂直な姿勢で配置される。
撮像素子15上で遮光板14の設けられた位置を境界として、撮像素子15の撮像面は2領域Ed,Eeに分割される。
2光束Ld,Ld’の入射する方の領域Edからの出力信号Sdは、2光束Ld,Ld’による干渉縞Ddを示し、他方の領域Eeからの出力信号Seは、2光束Le,Le’による干渉縞Deを示す(以上、ディストーション測定装置の構成。)。
次に、ディストーション測定方法の手順について説明する。
ディストーション測定方法の手順については、第1実施形態のディストーション測定方法との相違点のみ説明する。
上述したように、本実施形態のディストーション測定装置では、3つ以上の点光源(ここでは、7つの点光源Pa,Pb,Pc,Pd,Pe,Pf,Pg)を同時に生成することができる。また、3つ以上の点像(ここでは、7つの点像Ia,Ib,Ic,Id,Ie,If,Ig)を同時に生成することができる。
よって、物体側の各光学素子10o、及び、撮像素子15を除く像側の各光学素子10iを何ら移動させることなく、7つの測定箇所(例えば、図2の測定箇所E1,E2,E3,E4,E5,E6,E7)の測定を行うことが可能である。
したがって、本実施形態のディストーション測定方法は、測定の効率をさらに高めることが可能である。
但し、撮像素子15は、2つの干渉縞しか同時に検出できないので、各測定間において、撮像素子15を光束La,Lb,Lc,・・・の波面分割の方向(ここでは、x方向)に移動させる必要がある。但し、撮像素子15のサイズを大きくすれば、移動回数を低減すること、或いは無くすこともできる。
[第4実施形態]
図6を参照して第4実施形態について説明する。
本実施形態は、ディストーション測定装置、及びそれを用いたディストーション測定方法の実施形態である。
ディストーション測定装置の構成は、次のとおりである。
図6に示すように、本実施形態のディストーション測定装置は、フィゾー干渉計を利用している。
このディストーション測定装置には、照明光学系41、偏光ビームスプリッタ42、1/4波長板43、フィゾーレンズ44、楔プレート(分割手段に対応。)45、被検光学系1、2つの折り返しミラー(折り返しミラーに対応。)46a,46b、受光光学系47、撮像素子(検出素子に対応。)48、不図示のステージ(機構に対応。)、不図示の測長干渉計などが配置される。また、撮像素子48には、不図示のコンピュータが接続される。
一般のフィゾー干渉計との相違点は、楔プレート45が備えられた点と、折り返しミラーが2つ備えられた点とにある。
照明光学系41から射出した平行光束Lは、偏光ビームスプリッタ42、1/4波長板43を介してフィゾーレンズ44に入射する。
フィゾーレンズ44は、被検光学系1の物体面o上に焦点を有する。
フィゾーレンズ44に入射した平行光束Lは、フィゾーレンズ44を通過して集光光束となる。
楔プレート45は、フィゾーレンズ44から射出する集光光束の片側半分に挿入される。
よって、集光光束のうち楔プレート45を通過した片側半分の光束Laは、進行方向をずらし、物体面o上でフィゾーレンズ44の焦点からずれた位置に集光する。
また、楔プレート45を通過しなかった片側半分の光束Lbは、物体面o上でフィゾーレンズ44の焦点に集光する。
光束Laの集光点、光束Lbの集光点は、それぞれ点光源となる(以下、これら集光点をそれぞれ「点光源Pa」,「点光源Pb」と記す。)。
点光源Paから発散した光束La,点光源Pbから発散したLbは、それぞれ被検光学系1に入射し、被検光学系1の像側へ射出する。
被検光学系1から射出した光束La,Lbは、被検光学系1の像面i上の互いに異なる位置に集光する。
光束Laの集光点、光束Lbの集光点には、それぞれ点像が形成される(以下、これら点像をそれぞれ「点像Ia」,「点像Ib」と記す。)。
折り返しミラー46a,46bは、それぞれ、点像Ia,点像Ibの予定結像位置の近傍に焦点を有する。
折り返しミラー46aの反射面は、点像Iaから発散する光束Laを略垂直に反射する形状をしている。
折り返しミラー46bの反射面は、点像Ibから発散する光束Lbを略垂直に反射する形状をしている。
よって、光束La,Lbは、折り返しミラー46a,46bにより個別に折り返され、それぞれ入射光路と略同じ光路を反対方向に進行する。
このようにして被検光学系1を往復した光束Laは、楔プレート45を介してフィゾーレンズ44に再入射し、被検光学系1を往復した光束Lbは、楔プレート45を介さずにフィゾーレンズ44に再入射する。
フィゾーレンズ44に再入射した光束La,Lbは、フィゾーレンズ44を経由することで平行光束となる。
平行光束となった光束La,Lbは、1/4波長板43、偏光ビームスプリッタ42、受光光学系47の互いに異なる光路を経由して、撮像素子48に入射する。
その撮像素子48の撮像面上には、光束Laの入射する領域Eaと、光束Lbの入射する領域Ebとが存在する。
また、フィゾーレンズ44に入射した平行光束Lの他の一部は、フィゾーレンズ44の最終面(参照面、フィゾー面などと呼ばれる。)において反射し、所定波面を有した参照光束L’になる。
参照光束L’は、フィゾーレンズ44から射出した後、1/4波長板43,偏光ビームスプリッタ42、受光光学系47を経由して、撮像素子48に入射する。
したがって、撮像素子48の撮像面上の領域Eaには、参照光束L’と光束Laとによる干渉縞Daが形成され、領域Ebには、参照光束L’と光束Lbとによる干渉縞Dbが形成される。
以上のディストーション測定装置においては、物体面o上の測定箇所を移動させるために、被検光学系1の物体側(図6の上側)の各光学素子10oは、互いの位置関係を固定させたまま、少なくとも被検光学系1の光軸zと垂直な方向に、その被検光学系1に対し相対移動可能である(この相対移動には、光学素子の位置を高精度に制御するための周知のステージなどが利用される。)。また、物体面o上の各測定箇所の位置座標を管理するために、これら各光学素子10oの被検光学系1に対する位置座標は、管理される(この管理には、周知の測長干渉計などが利用される。)。
また、この測定箇所の移動に対応するために、被検光学系1の像側(図6の下側)の各光学素子10iは、互いの位置関係を固定させたまま、少なくとも被検光学系1の光軸zと垂直な方向に、その被検光学系1に対し相対移動可能である(この相対移動には、光学素子の位置を高精度に制御するための周知のステージなどが利用される。)。但し、これら各光学素子10iの位置座標の管理は、非必須である(以上、ディストーション測定装置の構成)。
次に、ディストーション測定方法の手順について説明する。
初めに、点光源Pa,Pbが物体面o上の第1の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E1)に位置するよう、物体側の各光学素子10oの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
この状態で、干渉縞Daと干渉縞Dbとがそれぞれ撮像素子15上の領域Ea,Ebに形成されるよう、像側の各光学素子10iの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
そして、撮像素子15からの出力信号Sを不図示のコンピュータに取り込む。
コンピュータにおいては、それら出力信号Sのうち領域Eaからの出力信号Saと、領域Ebからの出力信号Sbとは、互いに峻別される。
次に、点光源Pa,Pbが第2の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E2)に位置するよう、物体側の各光学素子10oの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
この状態で、干渉縞Daと干渉縞Dbとがそれぞれ撮像素子15上の領域Ea,Ebに形成されるよう、像側の各光学素子10iの被検光学系1に対する相対位置を調整する。
そして、撮像素子15からの出力信号Sを不図示のコンピュータに取り込む。
さらに、点光源Pa,Pbを、第3の測定箇所(例えば、図2(a)の測定箇所E3)、第4の測定箇所(例えば図2(a)の測定箇所E4), ・・・に順次移動させ、それぞれの測定箇所において、第1及び第2の測定箇所における上記処理と同様の処理をそれぞれ行う。
その結果、コンピュータには、測定箇所E1に関する出力信号Sa1,Sb1,測定箇所E2に関する出力信号Sa2,Sb3,測定箇所E3に関する出力信号Sa3,Sb3,・・・が蓄積される。
コンピュータでは、出力信号Sa1,Sb1から、測定箇所E1の測定時に生起した干渉縞Da1,Db1の位相分布Ψa1,Ψb1がそれぞれ算出され、それら位相分布Ψa1,Ψb1のそれぞれのチルト成分(一次成分)Ta1,Tb1が算出され、それら両者の差分Δ1(=Ta1−Tb1)が算出される。
ここで、このチルト成分Ta1は、点像Pa1の位置を示す(但し、その位置は、被検光学系1の像側の各光学素子10iの位置を基準として表される。)。
また、チルト成分Tb1は、点像Pb1の位置を示す(但し、その位置は、被検光学系1の像側の各光学素子10iの位置を基準として表される。)。
よって、チルト成分Ta1とチルト成分Tb1との差分Δ1は、点像Ia1,Ib1の位置関係を示す(以下、この差分Δiを「位置関係データΔi」という。)。
同様に、コンピュータでは、出力信号Sa2,Sb2から、測定箇所E2の測定時に生起した干渉縞Da2,Db2の位相分布Ψa2,Ψb2がそれぞれ算出され、それら位相分布Ψa2,Ψb2のそれぞれのチルト成分(一次成分)Ta2,Tb2が算出され、位置関係データΔ2(=Ta2−Tb2)が算出される。
同様に、コンピュータでは、出力信号Sa3,Sb3,Sa4,Sb4,・・・から、位置関係データΔ3,Δ4,・・・が算出される。
ここで、上述したように各測定間では、2つの点光源Pa,Pbの位置関係は固定される。よって、仮に被検光学系1にディストーションが無ければ、2つの点像Ia,Ibの位置関係も変化せず、位置関係データΔの物体面o上の分布は一様になるはずである。
一方、被検光学系1にディストーションがあれば、そのディストーションに応じて位置関係データΔには物体面o上の位置により差異が生じるはずである。
そこで、コンピュータでは、各位置関係データΔ1,Δ2,Δ3,・・・を各測定箇所E1,E2,E3,・・・の位置にそれぞれ対応付けてできる物体面o上の分布が求められる。
この分布を、被検光学系1のディストーションとみなす(以上、ディストーション測定方法の手順)。
すなわち、本実施形態のディストーション測定方法は、第1実施形態のディストーション測定装置とは異なり、フィゾー型干渉計を利用しているが、第1実施形態のディストーション測定装置と同様、2つの点光源Pa,Pbを両者の位置関係を固定したまま物体面o上で移動させ、そのときの点像Ia,Ibの位置関係の変化をディストーションとして取得するものである。
したがって、本実施形態のディストーション測定方法は、高精度な座標管理をしないにも拘わらず高精度である。
(その他)
なお、本実施形態のディストーション測定方法では、チルト成分Taとチルト成分Tbとの差分Δの物体面o上の分布(差分の分布)を被検光学系1のディストーションとして求めたが、チルト成分Taの物体面o上の分布と、チルト成分Tbの物体面o上の分布との差分(分布の差分)を、被検光学系1のディストーションとして求めてもよい。
[その他]
また、第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態では2つの点光源が1次元的に(直線上に)並べて配置され、第3実施形態では7つの点光源が1次元的に(1直線上に)並べて配置されたが、2つ以外かつ7つ以外の複数の点光源を1次元的に(1直線上に)並べて配置してもよい。また、3以上の複数の点光源を2次元的に(複数直線上に)配置してもよい。
また、このような複数の点光源の配置関係と、測定箇所を移動させる際の移動パターンとは、測定の効率(及び測定の精度)が高まるようそれぞれ最適化されることが望ましい。
なお、上記各実施形態のディストーション測定装置は、何れも干渉計を利用したディストーション測定装置であるが、本発明のディストーション測定装置としては、例えば次のようなものも挙げられる。
例えば、被検光学系の物体面に光ファイバーの出射端を配置し、被検光学系の像面にPSDなどの光位置センサを配置したディストーション測定装置である。
このディストーション測定装置において、複数の出射端を並べて固定し、複数のPSDを並べて固定すれば、上述した各実施形態のディストーション測定と同様のディストーション測定が可能となる。
[第5実施形態]
図7を参照して第5実施形態について説明する。
本実施形態は、投影露光装置の実施形態である。
投影露光装置の構成は、次のとおりである。
図7に示すように、この投影露光装置において、マスク201は、マスクホルダ202を介して、マスクステージ203上に後述するウエハ207と平行に保持されている。
マスクステージ203は、不図示の駆動系の作用により、マスク面に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はマスク移動鏡204を用いた干渉計205によって計測され、かつ位置制御される。
照明光学系200からマスク201を介して照射された光は、投影光学系206を介して、ウエハ207上にマスクパターンの像を形成する。
ウエハ207は、ウエハホルダ208を介して、ウエハステージ209上にマスク201と平行に保持されている。
ウエハステージ209は、不図示の駆動系の作用により、ウエハ面に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標はウエハ移動鏡210を用いた干渉計211によって計測され、かつ位置制御される。
以上の構成の投影露光装置の製造では、投影光学系206は、上記何れかの実施形態のディストーション測定方法によりディストーション測定される。
製造時には、そのディストーション測定の結果に応じて、投影光学系206、或いは投影露光装置の少なくとも1部の要素は調整されている。
そのディストーション測定は、上記各実施形態のところで説明したように、高精度である。
したがって、その調整の方法に公知の従来の手法しか適用されていなくても、ディストーション測定が高精度である分だけ、投影露光装置は高性能化される。
第1実施形態のディストーション測定装置の構成図である。 第1実施形態のディストーション測定方法を説明するための図である。 第2実施形態のディストーション測定装置の構成図である。 第2実施形態のディストーション測定方法を説明するための図である。 第3実施形態のディストーション測定装置の構成図である。 第4実施形態のディストーション測定装置の構成図である。 第5実施形態の投影露光装置の構成図である。
符号の説明
11d,11s,21s,21s’ 回折格子
13o,13i,23o,23i,33o,33i マスク
1 被検光学系
14 遮光板
15 撮像素子
41 照明光学系
42 偏光ビームスプリッタ
43 1/4波長板
44 フィゾーレンズ
45 楔プレート
46a,46b 折り返しミラー
47 受光光学系
48 撮像素子
L,La,Lb,・・・ 光束
E1,E2,E3,・・・ 測定箇所
Ha,Hb,・・・ 開口部
o 物体面
i 像面
Ea,Eb 領域
Da,Da 干渉縞
Pa,Pb,・・・ 点光源
Ia,In,・・・ 点像
200 照明光学系
201 マスク
202 マスクホルダ
203 マスクステージ
204 マスク移動鏡
205,211 干渉計
206 投影光学系
207 ウエハ
208 ウエハホルダ
209 ウエハステージ
210 ウエハ移動鏡

Claims (6)

  1. 被検光学系の物体面上に複数の点光源を所定の位置関係で配置し、
    前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させ、
    前記被検光学系の像面上に形成される複数の点像の前記移動に伴う位置関係の変化を検出し、
    前記変化に基づき前記被検光学系のディストーションを算出する
    ことを特徴とするディストーション測定方法。
  2. 光源から射出した光束を複数の光束に波面分割して被検光学系の物体面上に複数の点光源を生成する第1の分割手段と、
    前記複数の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数の光束を複数対の光束に波面分割する第2の分割手段と、
    前記複数対の光束のうち互いに対を成す光束同士が干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、
    前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構と
    を備えたことを特徴とするディストーション測定装置。
  3. 光源から射出した光束を複数対の光束に波面分割して被検光学系の物体面上に複数対の点光源を生成する第1の分割手段と、
    前記複数対の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数対の光束を、それら複数対の光束のうち互いに対を成す光束同士の波面が統合されるよう波面分割する第2の分割手段と、
    前記互いに対を成す光束同士が干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、
    前記複数対の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構と
    を備えたことを特徴とするディストーション測定装置。
  4. 請求項3に記載のディストーション測定装置において、
    前記第1の分割手段は、
    互いに直交する2方向に刻線が形成された単一の回折格子からなる
    ことを特徴とするディストーション測定装置。
  5. 光源から射出した光束を被検光学系の物体面と参照物との双方に投光する投光光学系と、
    前記物体面へと入射する光束を複数の光束に分割してその被検光学系の物体面上に複数の点光源を生成する分割手段と、
    前記複数の点光源から個別に射出し前記被検光学系を通過した前記複数の光束を個別に垂直反射してその被検光学系の方向に折り返す複数の折り返しミラーと、
    前記被検光学系を往復した前記複数の光束のそれぞれと、前記参照物にて生起した所定波面の参照光束とが干渉して生起する複数の干渉縞の間の差異を検出する検出素子と、
    前記複数の点光源の配置位置をそれらの位置関係を固定したまま前記物体面上で移動させるための機構と
    を備えたことを特徴とするディストーション測定装置。
  6. 請求項1に記載のディストーション測定方法により予めディストーションが測定された投影光学系を備え、かつ測定されたディストーションに応じてその投影光学系及び/又はその他の要素が調整されている
    ことを特徴とする投影露光装置。
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