JP2005082690A - エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物である。
Description
[化合物(A)]
本発明に用いる1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類、ナフトール類やフェノール樹脂などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ樹脂、その他に、オレフィンを過酸により酸化させエポキシ化した脂環式エポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
また、前記一般式(6)におけるaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性がより向上する。
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであり、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)としては、1分子内に少なくとも1つのオキサジン環を有し、該オキサジン環が炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたものであれば、何ら制限はない。前記化合物(C)としては炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物および一般式(1)〜(4)で表される化合物であることが好ましい。炭素−炭素三重結合を含む置換基としては、エチニル基、プロパギルエーテル基、フェニルアセチレン基、ジアセチレン基等が挙げられるが、これらの内、炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基が好ましい。前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物および一般式(1)〜(4)における炭素−炭素三重結合を含む1価の芳香族基としては、下記に示す置換基等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田性、耐湿信頼性、高温保管性、難燃性に優れる。
化合物(C)の合成は、polymer40(1999)pp.1815-1822に順じ合成した。以下に合成例を示すが、必ずしも文献の方法、反応温度、反応時間に限定されるものではない。
容量0.5Lのフラスコに、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)とジオキサン150mlを入れ攪拌して溶解させた。次に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gを滴下し、室温下で2時間反応させた。その後、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)を加え、撹拌下、100〜110℃で、6時間反応させた。反応終了後、析出物をろ過し、真空乾燥機にて、95℃で8時間真空乾燥し、化合物(C)である下記式(9)で表されるC−1を48g得た。
化合物C−1の合成において、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて1,3,5−トリスヒドロキシベンゼン10.1g(0.08モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(10)で表されるC−2を38g得た。
化合物C−1の合成において、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて、1,5−ナフタレンジオール24.07g(0.14モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(11)で表されるC−3を82g得た。
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてm−エチニルアニリン80g(0.77モル)をホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gを、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシビフェニル71.5g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(12)で表されるC−4を143g得た。
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン0.77モル(80g)に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ビスフェノールS95.1g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして化合物(C)である下記式(13)で表されるC−5を153g得た。
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン80g(0.77モル)を、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン81.4g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(14)で表されるC−6を147g得た。
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてp−エチニルアニリン80g(0.77モル)に、ホルムアルデヒド液(36〜38%水溶液)37.3gに代えて124.7gに、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えてトリフェニルメタン76g(0.26モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(15)で表されるC−7を137g得た。
化合物C−1の合成において、p−エチニルアニリン30g(0.23モル)に代えてアニリン71.7g(0.77モル)を、1,4−ジヒドロキシベンゼン15.41g(0.14モル)に代えて4,4’−ジヒドロキシビフェニル71.5g(0.38モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、下記式(16)に示す特許3353847号公報記載のジヒドロキシベンゾオキサジンを146g得た。
(1)スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIVPS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。この値の大きい方が硬化性は良好である。
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1.0mm)を成形し、175℃、4時間で後硬化したものを用いた。
測定には、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメント社製 DMS6100)を用い5℃/分の割合で昇温しながら、周波数10Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行ない、tanδのピーク値からガラス転移温度(Tg)を判定した。
100ピンTQFP(Thin Quad Flat Package)の半導体パッケージを、85℃、相対湿度85%の環境下で、168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。顕微鏡で外部クラックを観察し、クラック発生率[(クラック発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。また、チップと樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率[(剥離面積)/(チップ面積)×100]として、5個のパッケージの平均値を求め、%で表示した。クラック数、剥離率が少ないほど、耐半田クラック性は良好である。
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を、16ピンDIPに印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち、8個以上に不良が出るまでの時間を、不良時間とした。単位は時間。なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間以上と示した。不良時間が長いほど、耐湿信頼性に優れる。
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、185℃で1000時間処理し、内部のICチップの電気抵抗を測定した。通常0.6Ωである電気抵抗の回路が、劣化して電気抵抗1Ω以上となった場合を不良と見なし、10パッケージ中の不良個数を測定した。
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(127mm×12.7mm×厚み1.6mm)を成形し、175℃、8時間で後硬化し、UL−94垂直法に準じて測定し、難燃性を判定した。
以下のようにして、前記化合物(C)を含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
まず、化合物(A)として下記式(17)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000H)、化合物(B)として下記式(18)で表されるフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製XL−225、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(DBU:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7)、化合物(C)としてC−1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(A−186)を、それぞれ用意した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
まず、化合物(A)として下記式(19)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000P、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(20)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851ss、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤としてDBU、化合物(C)としてC−2、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(A−186)を、それぞれ用意した。
各成分を、表1に従って、配合した以外は、実施例1と同様にして、半導体封止材料を調製し、各特性の評価をした。評価結果は表1に示した通りであった。
これに対して、比較例1はガラス転移温度(Tg)が低いため高温保管特性が低下する。またジヒドロキシベンゾオキサジンを用いた比較例2は、Tgが高く高温保管特性に優れるが、硬化性が悪く、要求される速硬化性に対応できない。比較例3では硬化性が改善されるものも不十分であり、Tgが低く高温保管特性も十分でない。
Claims (13)
- 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)および炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)を必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を有する化合物(C)が、炭素−炭素三重結合を含む置換基で置換されたオキサジン環を1から3個有するベンゾオキサジン化合物である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記aは、1〜10である請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(7)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(8)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1ないし8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記bは、1〜10である請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記cは、1〜10である請求項9または10に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 充填剤を含む請求項1ないし11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項12記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体素子が封止されてなる半導体装置。
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