JP4525131B2 - エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
また、前記化合物(C)は、150℃以上のガラス転移温度を有するものを用いることが好ましい。
本発明の、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)が、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(6)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とすることが好ましい。
[化合物(A)]
本発明に用いる1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類、ナフトール類やフェノール樹脂などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ樹脂、その他に、オレフィンを過酸により酸化させエポキシ化した脂環式エポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、「耐半田クラック性の向上」とは、得られた半導体装置が、例えば半田浸漬や半田リフロー工程等において、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥の発生が生じ難くなることを言う。
また、前記一般式(6)におけるaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのがより好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性がより向上する。
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであり、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂およびジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いるイミド結合と炭素−炭素三重結合を含む置換基を有する芳香族基を少なくとも2つ以上とを有する化合物は、前記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表されるものであり、その化合物単独でも熱エネルギーで硬化する化合物であって、耐熱性に優れるものであり、エポキシ樹脂中に存在することでエポキシ樹脂とも反応しエポキシ樹脂硬化物の耐熱性を向上させる硬化を発現する。
化合物(C)の合成は、「熱硬化性樹脂」Vol.11,No.4(1990),p.28−34に記載の方法に順じ合成した。以下に合成を行った実施例を示すが、必ずしも文献の方法、反応温度、反応時間に限定されるものではない。
[化合物C−1]
容量0.5Lのフラスコに、4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)を酢酸溶液に80mlに溶解させる。次に、酢酸70mlに溶解させた、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)をゆっくり滴下する。滴下終了後、オイルバス温度を約120℃(酢酸の沸点117℃以上)に上げ、オイルバス中で3時間還流加熱した。反応終了後、減圧蒸留により約70mlの酢酸を除去し、その後冷却した。十分冷却後、約300mlの水を注ぎ、析出した固体を吸引ろ過により単離した。その固体を真空乾燥機にて、95℃で8時間真空乾燥し、化合物(C)である下記式(13)で表される化合物C−1を38g得た。化合物C−1を180℃で8時間硬化させたのち、幅2mm×長さ30mm×厚さ1.0mmの樹脂板を用い、測定には、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメント社製 DMS6100)を用い5℃/分の割合で昇温しながら、周波数10Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行い、tanδのピーク値からガラス転移温度(Tg)を判定したところ化合物C−1硬化物のTgは225℃であった。
[化合物C−2]
化合物C−1の合成において、4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)に代えてピロメリット酸二無水物21.8g(0.1モル)を、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えてm−エチニルアニリン23.4g(0.2モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(14)で表される化合物C−2を40g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−2硬化物のTgは215℃であった。
[化合物C−3]
化合物C−1の合成において、4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)に代えて1,4,5,8−カルボキシルナフタレン二無水物26.8g(0.1モル)、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えてm−エチニルアニリン23.4g(0.2モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(15)で表される化合物C−3を42g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−3硬化物のTgは224℃であった。
[化合物C−4]
化合物C−1の合成において、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えて4,4’−オキシアニリン20.1g(0.1モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(16)で表される化合物C−4を23g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−4硬化物のTgは235℃であった。
[化合物C−5]
化合物C−1の合成において、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えて4,4’−ジアミノベンゾフェノン、21.2g(0.1モル)を添加して用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(17)で表される化合物C−5を28g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−5硬化物のTgは233℃であった。
[化合物C−6]
化合物C−1の合成において、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えて4−アミノフェニルスルホン24.8g(0.1モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(18)で表される化合物C−6を39g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−6硬化物のTgは221℃であった。
[化合物C−7]
化合物C−1の合成において、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えて4−アミノフェニルジスルフィド24.8g(0.1モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(19)で表される化合物C−7を37g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−7硬化物のTgは226℃であった。
[化合物C−8]
化合物C−1の合成において、4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)に代えて4−エチニル無水フタル酸51.6g(0.3モル)、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えてパラロスアニリン30.5g(0.1モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(20)で表される化合物C−8を63g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−8硬化物のTgは243℃であった。
[化合物C−9]
化合物C−1の合成において、4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)に代えて3−プロパギルエーテル無水フタル酸37.6g(0.2モル)を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(21)で表される化合物C−9を53g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−9硬化物のTgは222℃であった。
[化合物C−10]
化合物C−1の合成において4−エチニル無水フタル酸34.4g(0.2モル)に変えて8−エチニル−4,10-アントラセン無水物27.2(0.1モル)、m−フェニレンジアミン10.8g(0.1モル)に代えて5−プロパギル−1−アミノナフタレン19.7g(0.1モル)、を用いた以外は、化合物C−1の合成と同様にして、化合物(C)である下記式(22)で表される化合物を23g得た。化合物C−1同様硬化物を作製し、Tgを測定したところC−10硬化物のTgは216℃であった。
(1)スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIVPS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。この値の大きい方が硬化性は良好である。
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1.0mm)を成形し、175℃、4時間で後硬化したものを用いた。
測定には、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメント社製 DMS6100)を用い5℃/分の割合で昇温しながら、周波数10Hzの歪みを与えて動的粘弾性の測定を行ない、tanδのピーク値からガラス転移温度(Tg)を判定した。
100ピンTQFP(Thin Quad Flat Package)の半導体パッケージを、85℃、相対湿度85%の環境下で、168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。顕微鏡で外部クラックを観察し、クラック発生率[(クラック発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。また、チップと樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率[(剥離面積)/(チップ面積)×100]として、5個のパッケージの平均値を求め、%で表示した。クラック数、剥離率が少ないほど、耐半田クラック性は良好である。
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を、16ピンDIPに印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち、8個以上に不良が出るまでの時間を、不良時間とした。単位は時間。なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間以上と示した。不良時間が長いほど、耐湿信頼性に優れる。
16ピンDIP(Dual Inline Package)の半導体パッケージを、185℃で1000時間処理し、内部のICチップの電気抵抗を測定した。通常0.6Ωである電気抵抗の回路が、劣化して電気抵抗1Ω以上となった場合を不良と見なし、10パッケージ中の不良個数を測定した。
トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.86MPa、硬化時間120秒で、試験片(127mm×12.7mm×厚み1.6mm)を成形し、175℃、8時間で後硬化し、UL−94垂直法に準じて測定し、難燃性を判定した。
以下のようにして、前記化合物(C)、またはジヒドロキシベンゾオキサジン、3−エチニルビフェニルを含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
まず、化合物(A)として下記式(23)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000H)、化合物(B)として下記式(24)で表されるフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製XL−225、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(TPP:トリフェニルホスフィン)、化合物(C)としてC−1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(A−186)を、それぞれ用意した。
融点 :105℃
エポキシ当量 :193
150℃のICI溶融粘度:0.15poise
軟化点 :77℃
水酸基当量 :172
150℃のICI溶融粘度:3.6poise
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
まず、化合物(A)として下記式(25)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、NC−3000P、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(26)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製、MEH−7851ss、ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤としてTPP、化合物(C)としてC−2、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、カルナバワックス、シランカップリング剤(日本ユニカー製A-186)を、それぞれ用意した。
軟化点 :60℃
エポキシ当量 :272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
軟化点 :68℃
水酸基当量 :199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
各成分を、表1に従って、配合した以外は、実施例1と同様にして、半導体封止材料を調製し、各特性の評価をした。評価結果は表1に示した通りであった。
これに対して、比較例1はガラス転移温度(Tg)が低いため高温保管特性が低下する。またジヒドロキシベンゾオキサジンを用いた比較例2は、Tgが高く高温保管特性に優れるが、硬化性が悪く、要求される速硬化性に対応できない。比較例3では硬化性が改善されるものも不十分であり、Tgが低く高温保管特性も十分でない。1つ三重結合を含む3−エチニルビフェニルを用いた実施例4についてもTgが低く高温保管特性も十分でない。
Claims (9)
- 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)およびイミド結合と炭素−炭素三重結合を含む置換基を有する芳香族基を少なくとも2つ以上とを有する化合物(C)を含んでなるエポキシ樹脂組成物であって、前記化合物(C)は、前記エポキシ樹脂組成物において、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計100重量部に対して、0.1〜50重量部含み、下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[ただし、前記炭素−炭素三重結合を含む置換基は、エチニル基、フェニルエチニル基、フェニルジエチニル基、ナフチルエチニル基、フルオレニルエチニル基、フェノキシエチニル基またはプロパギルエーテル基であり、これらの基における芳香環上の水素は、エチニル基、プロパギルエーテル基、水酸基、アミノ基、メチル基、エチル基またはフェニル基で置換されていても良い。]
[式(10)中、R37〜R39は水素、エチニル基、プロパギルエーテル基、水酸基、アミノ基、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、置換基R40は、単結合、エチル基、プロピル基、カルボニル基、スルホニル基、ジスルフィド基、エーテル基、またはフェニル基を示す。]
[式(12)中、R44〜R46は水素、エチニル基、プロパギルエーテル基、水酸基、アミノ基、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、置換基R47は、単結合、エチル基、プロピル基、カルボニル基、スルホニル基、ジスルフィド基、エーテル基、またはフェニル基を示す。] - 前記化合物(C)は、前記一般式(1)におけるR1〜R2および前記一般式(2)におけるR4〜R5として、炭素−炭素三重結合を含む置換基を有するフェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基から選ばれる基を有するものである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記化合物(C)は、前記一般式(3)におけるR7として、炭素−炭素三重結合を含む置換基を有するフェニル基、ナフチル基およびアントラセニル基から選ばれる基を、R8として、炭素−炭素三重結合を含む置換基を有するフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基および下記一般式(4)で表される基から選ばれる基を有するものである請求項1に記載の硬化性化合物。
- 前記炭素−炭素三重結合を含む置換基は、エチニル基、およびプロパギルエーテル基から選ばれるものである請求項1乃至3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記化合物(C)は、150℃以上のガラス転移温度を有するものである請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(6)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(7)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(8)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 充填剤を含む請求項1乃至7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体素子が封止されてなる半導体装置。
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