JP2005082567A - 血管新生による治療用細胞組成物の製造方法及び製造するシステム - Google Patents

血管新生による治療用細胞組成物の製造方法及び製造するシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 人体の疾患部位に注入することによって血管新生による治療を行うための血管新生療法用細胞組成物を、末梢血から精製する方法及び該方法のためのシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明によれば、人体から血液を取り出し、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルターを通過させ、人体に戻す体外循環システムにおいて、血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させた後、該細胞を回収することにより、血管新生による治療用細胞組成物を得ることを可能にするシステム及び該システムによる血管新生療法用細胞組成物の製造方法が提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、人体の疾患部位に注入することによって血管新生を促し、それにより疾患部位の治療を行うための、血管新生療法用細胞組成物の製造方法およびそれに用いるための製造システムに関する。
食生活の西欧化および高齢化の影響によって、高脂血症あるいは糖尿病患者が急速に増大しており、その結果、血管障害による疾病が増大している。特に、心臓血管あるいは脳血管の障害は、直接死に至る場合や、また、重大な後遺症を伴う場合が多く、高齢化社会の進展と共に、重大な問題となりつつある。
機能不全に陥った臓器や組織を回復させる手段として、臓器あるいは組織に分化する以前の細胞の移植によって臓器あるいは組織そのものを体内で再生させる、いわゆる再生医療という概念については、世界的に注目され、多くの研究が行われている。再生医療の中でも、血管内皮前駆細胞(EPC)による血管新生は、最近特に長足の進歩を遂げた領域である。浅原教授によって血管新生の新たなメカニズムが提唱され(非特許文献1参照)、それに基づく治療が試みられ、臨床効果が次々と発表されている(非特許文献2参照)。さらに、血管新生の療法は、臓器再生の領域まで広がりを見せており、たとえば、膵臓の機能不全に対して、虚血部位の血管を新生することによって幹細胞を活性化し、臓器再生を促す効果も報告されている(非特許文献3参照)。
現在、血管新生療法の臨床効果が先駆的に行われている分野は、下肢の閉塞性動脈硬化症である。下肢の血管障害としては、Burger病と呼ばれる下肢の虚血に伴う潰瘍、壊疽がかねてより存在するが、最近は、糖尿病由来の下肢閉塞性動脈硬化症の発症例の増大が著しい。国内の閉塞性動脈硬化症の推定患者数は10万人であり、将来的には100万人に達すると予測されている(非特許文献4参照)。特に、下肢の閉塞性動脈硬化症によって、下肢切断を余儀なくされる患者数が年々増えており、年間2万人とも言われている。下肢閉塞性動脈硬化症によって下肢切断に至った場合の予後は悪く、5年後には、半数が死亡し、30%が対側の下肢の切断に至ることが報告されている(非特許文献5参照)。
下肢切断を回避する手段として、患者自身の単核球を採取し、虚血部位に輸注することによって閉塞性動脈硬化症を治療する方法が試みられ、高度先進医療として、厚生労働省の認可を取得するまでに至った。高度先進医療として、厚生労働省の認可を取得した治療方法は、直接、骨髄を採取する方法である。また、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等の骨髄の刺激剤を投与し、骨髄中のCD34陽性細胞を含む単核球を大量に末梢血液中に動員し、引き続いて、末梢血中の単核球を回収する方法においても多くの臨床効果が発表されている(非特許文献6参照)。また、骨髄へのG-CSF投与等の刺激を行わずに、末梢血中に存在する単核球を連続遠心法により回収し、血管の閉塞部位に輸注することによる治療への応用を試みている例もある(非特許文献7参照)。末梢血中の単核球を採取し、末梢血中の単核球を欠乏させることによって、骨髄から末梢血中への新たな単核球動因を促すというメカニズムも期待され、G-CSFの投与なしでも、血管新生を発現する細胞を採取できる可能性がある。この方法は、患者の負担が軽く、頻回治療が可能であるという利点もある。
本発明で言う血管新生療法の範囲は、閉塞性動脈硬化症の他、上記した血管新生によって治療効果を発現しうる全ての領域を含む。
血管新生療法は、下肢閉塞性動脈硬化症の治療を発端とし、人体の様々な血管障害による疾患部位の治療へと発展し、さらに、血管新生によって誘起される臓器再生への可能性を有する画期的な療法と言える。しかし、血管新生療法用の細胞組成物の製造においては、多くの問題が残されており、血管新生療法が、疾病の初期段階で有効に利用される、あるいは、さらに予防的に利用されるといった状態を実現するには多くの課題を解決しなければならない。
例えば、単核球回収には、現状では、連続遠心法が採用されている。しかし、連続遠心法においては、いくつかの限界が見え始めてきている。まず、装置そのものが大掛かりになり、また、患者から採取した血液が大気と接触する機会が生じるため、クリーンルームでの操作が必要となる。このようなインフラは大規模な病院、あるいは大学等に限られるため、高度先進医療の範疇を脱却することが困難である。
現在、血管新生療法に必要な細胞として、ほとんどの医療機関で単核球に目標を定めており、特に、CD34陽性細胞の注入量をモニターしつつ、治療効果の解析を行っている例が多い。しかし、CD34陽性細胞に、その100倍量のCD34陰性細胞を混合することによって、飛躍的に血管新生能が向上し、血管新生にはCD34陰性細胞由来のサイトカインが影響を与えているのではないかという知見が報告された(非特許文献8参照)。遠心分離ではなく、何らかのフィルター操作によって、単核球を分離した場合、単核球とフィルター表面との相互作用によって、単核球の活性度を上げ、サイトカインの産生を促進することが可能となる。フィルターによる単核球を含む細胞の回収によって、G-CSF投与なしの患者においても末梢血から治療効果の高い細胞あるいは成分を効率的に回収できる可能性がある。
さらに、連続遠心法で使用される抗凝固剤は、クエン酸系のACD-Aなどであり、たとえば、ヘパリンには対応できない。抗凝固剤として一般に使用されているものは、ACD-Aの他、CPD、フサン、ヘパリン等があり、目的や条件において好適に選択されるものである。ここで、ヘパリン系の抗凝固剤の使用できる単核球回収システムが実現すれば、クエン酸系抗凝固剤を用いた体外循環における副作用の問題を解決できるばかりでなく、透析患者における血管新生療法の適用においては、透析装置に連結して透析治療と同時に単核球回収を行うことができる。これにより、少なくとも、糖尿病性腎症等の動脈硬化症を伴う透析患者にとっては、単核球回収操作による負担を事実上なくすことができる。
血管新生による治療方法の拡大に対して、現状の遠心分離法の限界を超える新規の血液処理システムが大きな役割を果たすことが期待される。これまで、フィルターによる細胞の回収の試みはいくつかなされている。繊維をカラムに充填し、白血球を回収する概念は特許文献1、2に開示されており、また、それらのシステムを示した特許文献としては特許文献3がある。特に単核球を含む有核細胞の回収を目的とした文献には特許文献4及び5、さらにそのシステムを示したものとして特許文献6及び7がある。これらの特許文献には、原料液の目詰まりを防ぎつつ、効果的に目的細胞を回収する技術が開示されている。また、体外循環を前提とした白血球の除去システムとして特許文献8及び9がある。
しかし、これまでの設計思想においては、体外循環によって大量の血液を処理し、しかも、血液処理によって細胞捕捉フィルターに捕捉された細胞を回収し、特定の治療に使用することに関する検討は不十分である。治療に必要な細胞数からみて、採血によって得られる血液量、例えば500mL以下では、必要細胞数をまかなうことができない場合が多い。したがって体外循環システムの導入を考慮する必要があり、体外循環システムにおいては、小さなプライミングボリュームで多くの血液を処理するためのフィルター閉塞の回避や、所定量の細胞を捕捉できる容量を確保すること、あるいは、患者への負担軽減を考慮した場合、抗凝固剤としてヘパリンを使用できること、さらには、捕捉した細胞を効果的に回収する方法などを設計思想に加える必要があり、これまでになかった発想が必要である。
細胞捕捉フィルターを用いて末梢血を大量に処理し、血管新生に有効な細胞を大量に捕捉した上で、さらに回収するという方法はこれまでに実現できなかった発想である。また、フィルターによる特定細胞に対する選択的な捕捉性能、フィルター表面による捕捉細胞への活性化促進の相互作用は、フィルターによるデバイスが実現して初めて可能となる機能であり、従来の連続遠心法では実現し得なかったものである。このようなデバイスが構成されることによってG-CSF投与なしによる患者負担の軽い治療法においても、すぐれた効果を期待できる治療方法が実現しうる。
Isner, J. &Asahra,T. J.Clin.Invest., 103: 1231-1236 Tateishi-Yuyama E., Matsubara H., et.al. THE LANCET, vol360, Aug.10, 2003 Sakano, S.,et.al., Nature Biotechnology, July issue(2003) 「下肢閉塞性動脈硬化症」重松宏監修(2001) Management of Peripheral Arterial Disease J Vasc Surg 31,2000 堀江卓 日本再生医療学会雑誌 vol2 Suppl Po-058(2003) 浅井隆善、清水直美他 日本輸血学会誌vol.49 No.2,Page259(2003) MuroharaT, Hisao Ikeda,et.al. J.Clin.Invest., 105: 1527-1536 特開昭55−129755号公報 特開昭57−145662号公報 特開平9−56813号公報 特開平11−9270号公報 特開平11−56351号公報 特開2001−136956号公報 特開2001−198214号公報 特開昭62−243561号公報 特開2001−161812号公報
本発明は、人体の疾患部位に注入することによって血管新生による治療を行うための血管新生療法用細胞組成物を、末梢血から精製する方法及び該方法のためのシステムを提供することを解決すべき課題とした。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、人体から血液を取り出し、該血液を赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルターに流して血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させた後、該細胞を回収することにより、必要量の血管新生療法用細胞組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルターに血液を流すことにより、血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる工程、及び該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する工程を含む、血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(2)前記血管新生に有効な細胞が有核細胞を含む、(1)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(3)前記有核細胞が単核球を含む、(2)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(4)前記血管新生に有効な細胞が血小板を含む、(1)乃至(3)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(5)得られた血管新生療法用細胞組成物が、前記血液の提供者の血管新生治療に用いられるものである、(1)乃至(4)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(6) 前記細胞捕捉フィルターが細胞捕捉材として多孔質体を含む、(1)乃至(5)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(7) 前記多孔質体が、繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上である、(6)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(8) 繊維、粒子の間隙あるいはスポンジ状多孔質体の平均細孔径が、5〜50μmの間である、(7)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(9) 前記細胞捕捉フィルターが平均繊維径0.01〜10μmの不織布を含む、(1)乃至(8)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(10) 前記細胞捕捉フィルターが、ポリエステルあるいはポリプロピレンから成る平均繊維径0.01〜10μmの不織布フィルターを積層したものを含む、(1)乃至(9)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(11) 血液の導出口、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルター、及び血液の返却口がこの順に管路で接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側には回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に、細胞回収手段が設けられている血管新生療法用細胞組成物製造システムを用い、
人体から血液を血液の導出口を通して取り出し、該血液を細胞捕捉フィルターの上流側管路、細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターの下流側管路、及び血液の返却口の順に流し、細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を捕捉し、残余の血液を人体に返却した後、回収液導入手段から回収液を導入し、回収液を細胞捕捉フィルターに流し、細胞捕捉フィルターに捕捉されている血管新生に有効な細胞を細胞回収手段に回収する工程を含む、(1)乃至(10)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(12) 体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に前記血管新生療法用細胞組成物製造システムを組み込んだシステムを用いる、(11)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(13) 血管新生療法用細胞組成物製造システムが滅菌された閉鎖システムである、(11)または(12)記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(14) 細胞捕捉フィルターに流す血液の体積が2×10-4〜6×10-23である、(1)乃至(13)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(15) 回収した血管新生に有効な細胞中の有核細胞の数が1×108〜500×108個であり、有核細胞に占める単核球の比率が30〜90%である、(14)記載の血管新生療法による治療用細胞組成物の製造方法。
(16) 細胞捕捉フィルターに流す血液に抗凝固剤として、ヘパリンを添加する、(1)乃至(15)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
(17) 血液の導出口、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルター、及び血液の返却口がこの順に管路で接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側には回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に、細胞回収手段が設けられている、血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(18) 前記細胞捕捉フィルターが細胞捕捉材として多孔質体を含む、(17)記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(19) 前記多孔質体が繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上である、(18)記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(20) 繊維、粒子の間隙あるいはスポンジ状多孔質体の平均細孔径が、5〜50μmの間である、(19)記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(21) 前記細胞捕捉フィルターが平均繊維径0.01〜10μmの不織布を含む、(17)乃至(20)のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(22) 前記細胞捕捉フィルターが、ポリエステルあるいはポリプロピレンから成る平均繊維径0.01〜10μmの不織布フィルターを積層したものを含む、(17)乃至(21)のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(23) 体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に、(17)乃至(22)記載の血管新生療法用細胞組成物製造システムを組み込んで成る、血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(24) 体外循環システムが血液透析システムである、(23)記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(25) 血管新生療法用細胞組成物製造システムが滅菌された閉鎖システムである、(17)乃至(24)の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
(26) 前記血管新生療法用細胞組成物製造システムの細胞回収部に更に細胞濃縮用フィルターが接続されている、(17)乃至(25)のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
本発明を用いることにより、必要量の血管新生療法用細胞組成物が簡便な操作により得られる。また、本発明を用いることにより、血管新生による治療の適用範囲を画期的に広げることが可能となる。閉塞性動脈硬化症においては、初期段階における予防的治療や悪化を阻止するための維持頻回治療が可能となる他、各種臓器疾患における機能回復を血管新生によって促すことも可能となる。本発明では、抗凝固剤としてヘパリンを使用することもでき、操作も簡便なので、血管新生療法を一般病院にも広く普及することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明による血管新生療法用細胞組成物の製造方法は、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルターに血液を流すことにより、血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる工程、及び該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する工程を含むことを特徴とする方法である。
本発明で言う「血管新生療法用細胞組成物」とは、血管新生療法に用いるための、細胞を有効成分として含む組成物の全てを意味する、血管新生療法の範囲は、上記した通り、閉塞性動脈硬化症の他、血管新生によって治療効果を発現しうる全ての領域を含む。血管新生によって治療効果を発現しうる病態としては、糖尿病由来の閉塞性動脈硬化症が、一つの例であり、冠状動脈の閉塞症あるいは下肢閉塞性動脈硬化症等が挙げられる。また、組成物の形態も特に限定されず、細胞を含む任意の形態の組成物を包含する。
本発明で用いる細胞捕捉フィルターは、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉することができる細胞捕捉フィルターであり、血液を流し、血液中の血管新生に有効な細胞を捕捉及び回収する目的で使用されるフィルターである。血液中の血管新生に有効な細胞の多くはフィルターの上面あるいは内部に捕捉され、捕捉されなかった血液成分は透過する。赤血球は実質的に捕捉されず、従って、大部分の赤血球は透過する血液成分の中に含まれる。この場合、疾患部位に輸注することによって、血管新生を促し、疾患に対する治療効果を発現する血管新生に有効な細胞を捕捉することが重要である。ここでいう、輸注とは、血管新生療法用細胞組成物を注入する操作を指し、皮下注射あるいは筋肉注射を含むものであり、必ずしも、一般の静脈注射に限定される概念ではない。また、疾患部位とは、血行が不十分となっているために何らかの症状が出ている部位を言い、血行が不十分となっているため機能低下を起こしている体内の各種臓器を含む。
血管新生に有効な細胞とは、有核細胞及び血小板を言う。有核細胞の中でも特に、単核球が血管新生に有効な細胞であり、これらの個数は多いほど良い。血管新生を効果的に発現するためには、単核球が、単離されているよりも、血液中に存在する各種成分がある程度混ざっていた方がよい。たとえば顆粒球は必須ではないが、ある量存在することが血管新生を促す。また、血小板も血管新生に効果があり、血管新生による治療用細胞組成物の中に単核球と共に、血小板が含まれることが好ましい。
本発明でいう細胞捕捉フィルターは、単核球、さらには血小板を効率的に捕捉するフィルターであることが好ましい。該フィルターは、特に、単核球に対する選択性を有することが好ましい。回収によって得られる細胞組成物中の有核細胞に対する単核球の比率は30〜90%となることが好ましい。
本発明においては、人体から血液を取り出し、該血液を上記細胞捕捉フィルターに流し、該細胞捕捉フィルターの上面または内部に、単核球などの血管新生に有効な細胞を捕捉し、引き続いて、捕捉された血管新生に有効な細胞を回収する。
本発明で言う「回収する」とは、捕捉された血管新生に有効な細胞を該フィルターより剥離させ、血管新生に有効な細胞を高濃度に含有する細胞組成物を得ることを言う。該細胞組成物は、直接あるいは何らかの処理を加えた後、疾患部位に輸注される。ここでいう何らかの処理とは、さらなる濃縮操作、あるいは希釈操作、また、凍結、加温等の温度履歴などを言い、治療の手順によって、これら処理方法は適宜選択される。すなわち、少量ずつ長期に輸注される場合、散在する疾患部位の何箇所かに輸注される場合、特定の臓器に輸注される場合、輸注面積の大小や疾患の程度によって、該細胞組成物の輸注の方法は最良のものが選択される。
輸注による治療を受ける患者と、血液中の血管新生に有効な細胞を提供する人とは、同一人であることが好ましい。同一人であることによって、移植に伴う拒絶反応は、基本的に回避することができる。また、血管新生に有効な細胞を回収するときの血液処理の操作によって、血液中の細胞が活性化し、サイトカインの産生を促し、疾患部位への血管新生に有効な細胞の輸注と、体内の血液中のサイトカイン濃度の増大との相乗効果による治療効果を期待できる場合がある。
細胞捕捉フィルターは細胞捕捉材として多孔質体を含むことが好ましい。ここでいう多孔質体とは、繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上であることが好ましい。細胞を効果的に捕捉するためには、処理血液が細胞捕捉材を通過する間に、細胞捕捉材を構成する材料の表面と効果的に接触することが好ましく、従って、血液が多孔質体の細孔を通過する形が好ましい。該多孔質体は、一般的な不織布や焼結体の他、血液処理時に多孔質体の形状をなしているものであればよく、たとえば、繊維をカラムに充填したもの、粒子をカラムに充填したものも、多孔質体として採用することができる。また、スポンジ状多孔質体とは、相分離によって得られる多孔質体、発泡によって得られる多孔質体、さらには、電離性の放射線照射やエッチングによって開孔される多孔質体もその範疇の中に含む。繊維、粒子の間隙あるいはスポンジ状多孔質体の平均細孔径は、5〜50μmの間にあることが好ましい。平均細孔径が大きすぎると、多孔質体と血液との接触効率が不十分となり、良好な捕捉性能が得られなくなる。また、平均細孔径が小さすぎると血液の通過性が低下し、目詰まりを起す確率が高くなる。具体的には、直径5μmのポリスチレンラテックス粒子の通過率が90%以上、かつ直径50μmのポリスチレンラテックス粒子の通過率が10%以下である多孔質体は、捕捉性能と通過性能の良好なバランスを得ることができ、好ましく、さらに好ましくは、10〜40μmの間である。この場合、細胞捕捉材として、異なる構造、たとえば、粒子の粒径や、繊維の繊維系、充填密度、スポンジ状多孔質体の平均細孔径、あるいは素材の異なる多孔質体を積層した場合においても、全体として、上記のポリスチレンラテックスの透過率が得られればよい。
これら多孔質体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン/テトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等、その他各種合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属が挙げられる。
これらの中で、ポリエステルあるいはポリプロピレンを素材とする不織布フィルターは白血球除去フィルターとしての実績が多く、本発明において好適に使用することができる。たとえば、平均繊維径0.01〜10μmの不織布は、単核球を含む有核細胞あるいは血小板の捕捉性能の面で好適な素材であり、細胞捕捉フィルターの構成要素として好適に採用され、さらに好ましくは、平均繊維径0.05〜5μmである。
使用条件や使用目的によって、細胞捕捉材の細孔内表面は適宜改質されているものを選択することができる。たとえば、素材表面を親水化した細胞捕捉材は、目詰まりを効果的に回避することができる場合が多く、好適に選択される。表面改質の方法は、親水性の表面を構築することが基本となる。公知の方法を目的に応じて採用することができる。たとえば、電離性の放射線照射後、熱水で処理することによって表面を親水化することが可能である。また、両親媒性の高分子をコーティングすることによっても表面改質は可能である。たとえばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアクリルあるいはメタクリル系の高分子、あるいはアミン系高分子やポリエチレングリコール系高分子、または、それらの共重合体等による親水化である。これらの中で、ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体は、白血球を選択的に除去する性能に優れたコーティング剤として、実績があり、好適に採用される(特開平10−234361号公報)。また、グラフト重合法は細胞捕捉材に化学的に親水性を有する高分子を結合させる方法で、溶出の心配が無いなどの利点を有する。特開2000−185094号公報に記載された方法などが好適に採用される。
血液を該細胞捕捉材に流した際の細胞捕捉材前後の差圧は0.01以上50kPa未満が好ましく、さらに好ましくは0.1以上20kPa未満である。血液は高濃度の赤血球を含んでおり、差圧が大きすぎると血球の変性を免れない。上記差圧範囲ならば、血球の変性を回避することができ、また、一定の処理速度を維持できる。
本発明においては、単核球を含む血管新生に有効な細胞を捕捉した後、引き続いて、該血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉材から剥離させ、該血管新生に有効な細胞を回収する。この場合、回収用の液体を透過させるが、回収液としては血管新生に有効な細胞の変性が少ないものの例として、生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D― PBS)、ハンクス液(HBSS)等の緩衝液、RPMI 1640 等の培地等が好適に採用される。また、効率よく回収するためには、一定の粘性を有した方が好ましく、血管新生に有効な細胞への悪影響が少ない範囲で粘度調整を行うことが好ましい。デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、グルコース、サッカロース、トレハロース等を添加することによって、血管新生に有効な細胞保護のメリットを得る他、回収液の粘度の調整によって回収率を向上させることが可能となる。特に、デキストラン40やフィブリノーゲンを採用するとそのまま注射液として使用可能であり好ましい。回収する際は、シリンジのプランジャーを手で勢いよく押すことによって行うことができる。回収の際は、捕捉された細胞にある程度の剪断応力を加えることが好ましく、細胞捕捉の際の差圧より高い領域が好ましく採用される。上記のような手押しによって実現する範囲の圧力において、細胞は好適に回収されるが、ポンプを用いたり、シリンジを押すための装置を用いることもできる。
本発明における血管新生療法用細胞組成物の製造方法は、体外循環システムを用いて行うことが好ましい。血管新生によって一定の治療効果を上げるためには、所定量以上の単核球数が濃縮されていることが好ましく、たとえば、糖尿病による重篤な下肢の閉塞性動脈硬化症に必要な細胞の個数は、単核球において1010個と言われている。しかし、これは、血管新生療法を適用する疾患部位の面積にも依存し、輸注を行う部位が限定されている場合、必ずしも、1010個の単核球を必要とせず、場合によっては、108個の単核球によって一定の治療効果が期待できる場合もありうる。必要単核球数が108〜109個の場合、400mL以下の採血血液を処理することによって、必要単核球数がまかなえる場合がある。しかし、実際には、疾患部位に、有効な治療を行うためには、109個以上の単核球が輸注されることが好ましく、その場合は、体外循環が前提となる。体外循環における処理血液量は、2×10-4〜6×10-23が好ましく、さらに好ましくは2×10-3〜2×10-23である。回収する血管新生に有効な細胞の個数は1×108〜500×108個の範囲で適宜選択されることが好ましい。
体外循環の場合の抗凝固剤は、適宜選択される。ACD-A、CPD等のクエン酸系の抗凝固剤の他、メシル酸ナファモスタットを含有するフサン等が想定されるが、ヘパリン系の抗凝固剤は、血液透析に一般的に採用されており、副作用の少ない抗凝固剤として好適に採用される。特に、ヘパリンを採用することによって、血液透析回路に連結して処理することが可能となり、透析患者に対しては、通常の透析治療以外に単核球採取を目的とした行為が必要なくなるという大きな利点を得ることができる。
血液は多成分であり、凝集体や共雑物など細胞捕捉材が目詰まりを起こす原因となる物質を多く含む。特に、体外循環のように処理量が多い場合、血液と細胞捕捉材との接触によって、血液成分が過度に活性化されると、細胞捕捉材内部で血液凝固が起こり、細胞捕捉材目詰まりの原因となり、血流が極端に低下する。これを防止するための細胞捕捉材構成には、特別な工夫が必要である。すなわち、血液の流入口に近い側から、目の粗い順に異なる種類の細胞捕捉材を重ね合わせることによって、目詰まりを回避し、効率的な細胞の採取を実現することができる(特開2002−238996号公報)。不織布によって、該細胞捕捉材の積層体を設計する場合、平均繊維径10〜50μmの不織布5〜30枚、平均繊維径0.01〜10μmの不織布5〜20枚を入り口側から順に充填し、単位膜面積あたりの流量として、5×10-6〜5×10-43/(m2・秒)とし、処理時間10分〜5時間の間の適当な時間によって、処理される血液量を2×10-4〜6×10-23とすることが好ましい。また、焼結体で細胞捕捉材積層体を構成する場合は、平均細孔径2〜100μmの板状焼結体を単層あるいは積層によって用い、層厚みを1〜50mmとし、単位膜面積あたりの流量として、5×10-6〜5×10-43/(m2・秒)とし、処理時間10分〜5時間の間の適当な時間によって、処理される血液量を2×10-4〜6×10-23とすることが好ましい。焼結フィルターの場合、焼結の金型によって形状の制御の自由度は高く、たとえば、円筒形に加工したものも、処理量や使用条件に応じて、好適に採用される。その場合も、平均細孔径2〜100μm、層厚み1〜50mmの範囲が好ましい。上記のように細胞捕捉材を積層し、細胞捕捉材の単位面積あたりの流量が上記の範囲であれば、1010個以上の単核球を捕捉するために必要な血液を処理しても、血系凝固による目詰まりを生じる可能性が低く、また、細胞捕捉フィルターの規模をコンパクトに設計できる。なお、不織布と焼結体を組み合わせた構成は、さらに好適に採用することができる。焼結体の有する物理的な構造安定性によって、形状を安定に保持することができ、焼結体の細胞捕捉能力によって、不織布に対する細胞捕捉の負担を軽減し、しかも、不織布によって、血管新生に有効な細胞の捕捉率を安定に確保することができるといった両者の利点を生かした細胞捕捉フィルターの構成が可能となる。平均繊維径0.01〜10μm及び/または平均繊維径10〜50μmの不織布1〜40枚を含む1種類あるいは2種類以上の不織布を積層し、かつ平均孔径5〜100μmの板状焼結体を少なくとも1層含む焼結体層の両者を積層し、総厚みが1〜50mmとし、単位膜面積あたりの流量として、5×10-6〜5×10-43/(m2・秒)とし、処理時間10分〜5時間の間の適当な時間によって、処理される血液量を2×10-4〜6×10-23とすることによって、好適な細胞捕捉フィルターを得ることができる。積層の順序は、細胞捕捉フィルター入り口に近い側から、焼結体、平均繊維径10〜50μmの不織布、平均繊維径0.01〜10μmとすることが好ましいが、これらの積層単位を繰り返したり、あるいは細胞捕捉材積層体の中に、メッシュなどのスペーサを導入するなど、使用条件に応じた細胞捕捉材積層体構成が適宜選択される。また、形状においても、板状、円筒状、その他、プリーツ状など、使用条件等に応じて、適宜選択される。
以上のように、適宜選択される細胞捕捉フィルター構成において、各種細胞捕捉材素材の組み合わせの中に、平均繊維径0.01〜10μmの不織布層の導入は好適に選択される。平均繊維径0.01〜10μmの不織布層を導入することによって、処理血液中に含まれる血管新生による治療に有効な細胞を効果的に捕捉することができる。この場合の運転条件は上記の範囲が好ましく選択されるが、特に、単位面積あたりの流量として、5×10-6〜5×10-43/(m2・秒)の範囲の中で、5×10-6〜1×10-43/(m2・秒)が好ましく、さらに好ましくは、1×10-5〜1×10-43/(m2・秒)である。
本発明による血管新生療法用細胞組成物の製造方法は、血液の導出口、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルター、及び血液の返却口がこの順に管路で接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側には回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に、細胞回収手段が設けられている血管新生療法用細胞組成物製造システムを用いて行うことができる。具体的には、上記システムを使用し、人体から血液を血液の導出口を通して取り出し、該血液を細胞捕捉フィルターの上流側管路、細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターの下流側管路、及び血液の返却口の順に流し、細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を捕捉し、残余の血液を人体に返却した後、回収液導入手段から回収液を導入し、回収液を細胞捕捉フィルターに流し、細胞捕捉フィルターに捕捉されている血管新生に有効な細胞を細胞回収手段に回収する工程によって血管新生療法用細胞組成物を製造することができる。上記した血管新生療法用細胞組成物製造システム自体も本発明の範囲内である。
以下、図面を参照して、本発明のシステムを説明する。図1に細胞捕捉フィルターの構造の1例を示す。細胞捕捉材積層体1は、構造あるいは素材の異なる2層以上の細胞捕捉材が積層されたものを示す。図1においては、細胞捕捉材積層体1として、細胞捕捉材A(5)、細胞捕捉材B(6)及び細胞捕捉材C(7)が積層されたものを示している。図1aは、1組の細胞捕捉材積層体1を細胞捕捉フィルターケース4内に収納したものである。血液は細胞捕捉フィルター入り口2から流入し、細胞捕捉材積層体1を通過して、細胞捕捉フィルター出口3から流出する構造となっている。細胞捕捉材積層体1は、構造あるいは素材の異なる3層の細胞捕捉材を積層した構造を示しているが、積層する細胞捕捉材の種類、層数及び組み合わせは上述のように、目詰まりを回避し、効率的に細胞を捕捉、回収する構造が選択される。
図1bは、フィルターケース内に2組の細胞捕捉材積層体1を充填したものである。原理的には、図1aと同様であるが、1つの容器に2組の細胞捕捉材積層体を導入することによって、細胞捕捉フィルターケース内の膜面積を大きく確保することができる。図1bは、細胞捕捉フィルター入り口2より導入された血液は、細胞捕捉材積層体の外部空間9にまず導入され、細胞捕捉材積層体を透過して、細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間8に流入し、引き続いて、細胞捕捉フィルター出口3より流出する形式となっている。細胞捕捉フィルターの構造は、図1aと同様な考え方で構成できる。
図1cは、細胞捕捉フィルター入り口2より導入された血液は、細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間8にまず導入され、細胞捕捉材積層体を透過して、細胞捕捉材積層体の外部空間9に流入し、引き続いて、細胞捕捉フィルター出口3より流出する形式となっている。やはり、細胞捕捉フィルターの構造は、図1aと同様な考え方で構成できる。
図2a,bは、それぞれ図1a,bを正面から見た図である。形状はひし形となっており、図2aは、1組の細胞捕捉材積層体を細胞捕捉フィルターケースに収納したものであり、図2bは、2組の細胞捕捉材積層体を収納したものである。図2bの細胞捕捉材積層体外周の黒く縁取られた細胞捕捉材接着部10が2組の細胞捕捉材積層体を接着した部分となる。図1cに対応する正面図は、基本的には図2bを上下反転させたものと同様である。図2c,dは、図2a,bについて、長方形の形状としたものである。成形のしやすさ、流れの均一性等から、形状は、適宜、選択できる。
上記細胞捕捉フィルターを閉鎖系で使用するためのシステムは、特開2001−198214号公報に記載されている構成を好適に採用することができる。図3に概略を示した。
図3aにおいて、11は血液の導出口、12は血液の返却口である。また、回収液導入手段14及び細胞回収手段16が、それぞれ細胞捕捉フィルターの下流と上流に付加されている。これら各種液の導入手段あるいは回収手段を接続している部分は、細胞捕捉フィルター20の上流あるいは下流にあって、チューブ途中より分岐した形となっている。分岐部13、15及び17は、T字管あるいはY字管にクランプ等を組み合わせたもの、あるいは三方活栓等が適宜採用される。また、各種液の導入手段あるいは回収手段が当初から接続されている必要はなく、それぞれの分岐したチューブの先端にスパイクやルアー、金属針等を設置することによって、あるいは先端を封止したチューブを無菌接続器(以下SCD)を用いて接続する等により、各種液の導入手段、回収手段の使用時に閉鎖系を維持したまま接続することが可能である。
使用方法の一例としては、まず、分岐部15は血液導出口11と細胞捕捉フィルター20のみが連通するように、分岐部13は細胞捕捉フィルター20と血液の返却口12のみが連通するようにしておく。
血液導出口11より、患者の静脈から血液が流入するように接続し、さらに抗凝固剤としてヘパリンを導入する手段を設け、細胞捕捉フィルター20に血液を導入し、単核球を含む細胞を細胞捕捉材積層体内に捕捉し、処理後の血液を血液返却口12を通じて患者に戻す。
所定量の血液を処理した後、回収液の入った、回収液導入手段たるシリンジ14を分岐部13を通じて細胞捕捉フィルター20のみに連通させ、分岐部15は細胞捕捉フィルター20と細胞回収手段たる血液バッグ16のみが連通するようにした後、シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押すと細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞は血液バッグ16に回収される。
回収液による細胞回収に先立って、細胞捕捉フィルター内部の残存血液を該回収液に置換する操作、すなわちリンス工程を導入すると、回収によって得られる血管新生療法用細胞組成物中の赤血球などの含有量を低減させることができ好都合である。
図3aにおいて、細胞回収手段たる血液バッグ16に、リンス液を予め導入しておき、細胞捕捉フィルター20内に血液処理によって単核球を含む細胞を捕捉させた後、分岐部15を通じて、該リンス液をフィルターユニット20に透過させ、残存している血液を細胞捕捉フィルターから排出する。しかる後に、分岐部13を細胞捕捉フィルター20とシリンジ14のみを連通させ、シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押すと細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞は血液バッグ16に回収される。図3bには、リンス液導入手段としての血液バッグ18を、分岐部17を介して接続した例である。使用方法は、上記と同様である。血液処理後、血液バッグ18より細胞捕捉フィルター20にリンス液を透過させ、しかる後に、シリンジ14より、回収液を導入し、単核球を含む細胞を細胞回収手段たる血液バッグ16に回収する。
図3cは、回収液導入手段たるシリンジ14を細胞捕捉フィルター20の上流に、細胞回収手段たる血液バッグ16を細胞捕捉フィルターの下流に設置した例である。図3a,bにおいては、回収液の流れる方向は、処理血液の流れる方向とは逆方向としたが、同方向の場合も適宜選択できる。図3cにおいて、血液処理によって単核球を含む細胞を細胞捕捉フィルター20に捕捉させた後、リンス液をリンス液導入手段たる血液バッグ18より流入させ、引き続いて、シリンジ14より、回収液を導入し、単核球を含む細胞を細胞回収部たる血液バッグ16に回収することができる。
図3dに示したのは、分岐部15と血液バッグ16の間に、濃縮フィルター19を設置したものである。濃縮フィルター19は、細胞捕捉材積層体に捕捉された細胞を回収する際に、液体成分の一部を除去し、細胞の濃度を増大させる機能がある。
図4に示したのは、4組の細胞捕捉材積層体を導入した例である。血液の処理量によっては、大きな膜面積を必要とされ、収納する細胞捕捉フィルターケースをコンパクトにするための工夫として、図4に示した構成は選択されうる。
また、図5に示したのは、細胞捕捉フィルターケース内に円筒型にして細胞捕捉材を導入した例である。円筒形の具体的形状は、図5bのように、単純に円筒に各種細胞捕捉材を積層したもの、図5cのようにプリーツ型としたもの、あるいは図5dのようにスパイラル型としたものなど、適宜選択することが可能である。
図6に示したのは、血液透析システムに組み込んだものである。図6において、21は透析装置を示す。単位時間あたりの血液処理量が血液透析の場合〜3×10-63/秒が多く選択され、一般の体外循環における血液処理量0.5×10-6〜2×10-63/秒より多いことから、細胞捕捉フィルターと並行にバイパス回路22を設けており、流量調節ができるようになっている。バイパス回路22は、細胞捕捉フィルターの構成等によって、必要に応じて設置される。以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
1.細胞捕捉フィルター
図1aに示す細胞捕捉フィルターを作成した。容器外寸(縦×横×厚み)は、41×41×18mmで液体流出口と液体流入口とを対角線上に持つポリカーボネート製容器に、細胞捕捉材積層体を1組導入した。細胞捕捉材積層体は、平均繊維径33μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布15枚を、この順に積層したものを用い、細胞捕捉フィルター入り口側に平均繊維径33μmの不織布がくるように充填した。充填密度は0.2g/cm3、有効濾過面積は12.25cm2であった。このフィルターに親水性ポリマーのコーティングを行った。すなわち、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比で97:3)の1%エタノール溶液を該フィルターの入り口側から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
2.血管新生療法用細胞組成物製造システム及び操作
上記1で作成した細胞捕捉フィルターを回路に組み込み、図3bに対応するシステムを構成した。血液導出口11に原料血液バッグ、血液返却口12に処理血液バッグを接続しており、さらに回収液導入手段たるシリンジ14及び細胞回収手段たる血液バッグ16、リンス液導入手段たる血液バッグ18を接続している。シリンジ14にはあらかじめ回収液を導入している。原料血液バッグにドナーより血液200mLを導き、さらに原料血液バッグから、自然落下によって該血液を細胞捕捉フィルターに流した。細胞捕捉フィルターを通った血液は、そのまま処理血液バッグに流入する。濾過終了後、リンス液導入手段たる血液バッグ18よりリンス液を自然落下によって細胞捕捉フィルターユニット20に流し、引き続いてシリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、回収液を該細胞捕捉フィルターに導入し、細胞回収手段たる血液バッグ16に単核球を含む細胞を回収した。回収液及びリンス液はともに生理食塩水(大塚製薬製)にダルベッコPBS(和光純薬製)を5%溶解させたものを用いた。
回収液中の細胞の濃度をフローサイトメーターによって測定した。3.2×108個の単核球を採取することができた。元血漿中の含有量に対する回収率は84%であった。また、単核球の有核細胞総数に対する比率は、原料血液中32%に対して39%まで上がっており、単核球の濃縮効果も認めることができた。また、血小板数は1.1×109個、赤血球数は2.2×109個、元血漿中の含有量に対する回収率は、それぞれ3.1%、0.3%であった。
3.血管新生能の確認
閉塞性動脈硬化症の治療効果の確認のため、in vitroで、血管新生能の評価を行った。フィブリノーゲンをコーティングしたプレートに、上記2によって回収された単核球濃縮液を、5×103個/mm2で培養し、1週間後、該プレートから付着した細胞(spindle-shaped attaching cell)を分離、回収した。引き続いて、その細胞をPHK2-GL(蛍光標識マーカー)でラベリングした。ラベリングした該細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をマトリクスゲル上で共培養した。2日後、蛍光顕微鏡(ニコンFXA)によって、管腔形成の確認を行ったところ、蛍光物質を取り込んだ管腔を認めることができた。
(実施例2)
1.細胞捕捉フィルター
実施例1で使用したものと同じ容器を使用した。超高分子量ポリエチレン粒子を焼結させた細胞捕捉材(旭化成製AQ900)を使用し、膜厚2mmのものを10枚重ねて容器に充填した。焼結フィルターの平均孔径は20μm、空隙率51%のものである。
2.血管新生療法用細胞組成物製造システム及び操作
実施例1と同様なシステムを用い、同様の操作を行なった。2.9×108個の単核球を採取することができた。元血漿中の含有量に対する回収率は76%であった。また、単核球の白血球総数に対する比率は、原料血液中32%に対して36%まで上がっており、単核球の濃縮効果も認めることができた。また、血小板数は1.9×108個、赤血球数は1.4×109個、元血漿中の含有量に対する回収率は、それぞれ5.3%、0.2%であった。
3.血管新生能の確認
実施例1と同様に、管腔形成の観察を行ったところ、実施例1と同様に、蛍光物質を取り込んだ管腔の形成を認めた。
(実施例3)
1.細胞捕捉フィルター
図1aに示す構造の細胞捕捉フィルターを作成した。容器外寸(縦×横×厚み)は、160×160×25mmで液体流出口と液体流入口とを対角線上に持つポリカーボネート製容器であり、平均繊維径33μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚、平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布15枚を、すべて145×145mmにカットし、フィルターユニット入り口側から順に充填した。充填密度は0.2g/cm3、有効濾過面積169cm2であった。この細胞捕捉材に実施例1と同様に親水性ポリマーのコーティングを行った。
2.血管新生療法用細胞組成物製造システム及び操作
上記1のように作成した細胞捕捉フィルターを回路に組み込み図3bに示した血管新生療法用細胞組成物製造システムとした。血液導出口11の先端は、牛血を入れたタンクに投入した。牛血には1Lあたり5000単位のヘパリン(ヘパリンナトリウム注―Wf;菱山製薬)を投入した。血液導出口11より細胞捕捉フィルター20の間にぺリスターポンプを装着し、牛血を細胞捕捉フィルターに導入した。血液流量は3×10-73/secとし、3時間の通液により3.2×10-33の処理を行った。圧力をモニターしたが、フィルター前後の差圧は40kPa・sec以下で推移し、目立った圧力上昇は認められなかった。
透過終了後、リンス液導入手段たる血液バッグ18より自然落下によって、リンス液を流した。リンス液及び回収液の組成は、生理食塩水にPBSを5%混合したものである。シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞を細胞回収手段たる血液バッグ16に回収した。回収液中の細胞の濃度をミクロセルカウンターによって測定した。細胞として有核細胞の回収量を測定した。1.2×1010個の有核細胞を採取することができた。
(実施例4)
1.細胞捕捉フィルター
図1cに示す細胞捕捉フィルターを作成した。容器外寸(縦×横×厚み)は、160×160×45mmで液体流出口と液体流入口とを対角線上に持つポリカーボネート製容器であり、細胞捕捉材積層体を2組充填する仕様となっている。超高分子量ポリエチレン粒子を親水化後、焼結させた細胞捕捉材(旭化成製AQ900)を使用し、膜厚2mmのものを5枚重ねて容器に充填した。さらに、平均繊維径12μmのポリエステル不織布3枚、平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布9枚を、すべて145×145mmにカットし、細胞捕捉フィルター入り口側から焼結細胞捕捉材、平均繊維径12μmの不織布、平均繊維径2.3μmの不織布の順に充填した。ここでいう細胞捕捉フィルター入り口側は、細胞捕捉材積層体に挟まれた空間8に対応する。不織布の充填密度は0.2g/cm3、有効濾過面積はフィルター積層体2組で330cm2であった。不織布は、実施例1と同様な手法で、親水性ポリマーのコーティングを行ったものを使用した。
2.血管新生療法用細胞組成物製造システム及び操作
上記1のように作成した細胞捕捉フィルターを回路に組み込み図3cに示した血管新生療法用細胞組成物製造システムとした。実施例3と同様に、チューブ11はぺリスターポンプに装着し、ヘパリン加牛血を細胞捕捉フィルターに導入した。血液流量は6×10-73/secとし、3時間の処理を行った。圧力をモニターしたが、フィルター前後の差圧は30kPa・sec以下で推移し、目立った圧力上昇は認められなかった。
濾過終了後、実施例1と同様に、リンスを行い、引き続いて、シリンジ14のプランジャーを手で勢いよく押し、細胞捕捉フィルター20に捕捉されている細胞を細胞回収手段たる血液バッグ16に回収した。回収液中の細胞の濃度をミクロセルカウンターによって測定した。2.5×1010個の有核細胞を採取することができた。
(比較例1)
ヒト由来の末梢血について、単核球の濃縮を行わずに、直接用いて、血管新生能の評価を行った。フィブリノーゲンをコーティングしたプレートに、末梢血を、赤血球を含めた細胞数が5×103個/mm2で、培養した。1週間後、該プレートを観察したところ、細胞の付着が認められず、spindle-shaped attaching cellを分離、回収することができなかった。
(比較例2)
1.細胞捕捉フィルター
実施例1と同様に細胞捕捉フィルターを作成したが、細胞捕捉材積層体は、平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布15枚のみの単層とした。以下は、実施例1と同様にコーティングを行い、評価に用いた。血液の流通開始後、10分で、目詰まりが発生し、差圧が70kPaを超えたため、処理を継続できなくなった。
(比較例3)
1.細胞捕捉フィルター
実施例1と同様に細胞捕捉フィルターを作成したが、細胞捕捉材積層体は、平均繊維径33μmのポリエステル不織布12枚のみの単層とした。以下は、実施例1と同様にコーティングを行い、評価に用いた。
2.血管新生療法用細胞組成物製造システム及び操作
実施例1と同様なシステムを用い、同様の操作を行なった。採取できた単核球は、1.1×107個であった。元血漿中の含有量に対する回収率は2.9%であった。また、単核球の白血球総数に対する比率は、原料血液中32%に対して33%と、ほとんど優位差はなかった。また、血小板数は9.2×107個、赤血球数は1.7×108個、元血漿中の含有量に対する回収率は、それぞれ0.26%、0.02%であった。
3.血管新生能の確認
実施例1と同様に、管腔形成の観察を行ったところ、管腔の形成は認められなかった。
本発明によれば、体外循環によって、大量の血液を処理し、特定の有用な成分を吸着し、回収する、簡便かつ有効な手法を提供することが可能になった。本発明の方法は、体外循環における患者負担が少なく、患者本人が有効成分の提供者となりうる点に大きな特徴がある。本発明は、血管新生による治療方法にとどまらず、幹細胞移植による再生医療や、あるいは同腫間移植による細胞治療などへの展開の可能性を有し、産業上非常に有用である。
細胞捕捉フィルター構造を示す図である。 細胞捕捉フィルターの正面図を示す図である。 細胞捕捉フィルターの回路を示す図である。 細胞捕捉フィルターの構造を示す図である。 細胞捕捉フィルターの構造を示す図である。 血液透析システムに組み込んだ細胞捕捉フィルターの回路を示す図である。
符号の説明
1 細胞捕捉材積層体
2 細胞捕捉フィルター入り口
3 細胞捕捉フィルター出口
4 細胞捕捉フィルターケース
5 細胞捕捉材A
6 細胞捕捉材B
7 細胞捕捉材C
8 細胞捕捉材積層体によって挟まれた空間
9 細胞捕捉材積層体の外部空間
10 細胞捕捉材接着部
11 血液導出口
12 血液返却口
13 分岐部
14 回収液導入手段
15 分岐部
16 細胞回収手段
17 分岐部
18 リンス液導入手段
19 濃縮フィルター
20 細胞捕捉フィルター
21 透析装置
22 バイパス回路

Claims (26)

  1. 赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルターに血液を流すことにより、血管新生に有効な細胞を該細胞捕捉フィルターに捕捉させる工程、及び該細胞捕捉フィルターに捕捉された該細胞を回収する工程を含む、血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  2. 前記血管新生に有効な細胞が有核細胞を含む、請求項1記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  3. 前記有核細胞が単核球を含む、請求項2記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  4. 前記血管新生に有効な細胞が血小板を含む、請求項1乃至3の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  5. 得られた血管新生療法用細胞組成物が、前記血液の提供者の血管新生治療に用いられるものである、請求項1乃至4の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  6. 前記細胞捕捉フィルターが細胞捕捉材として多孔質体を含む、請求項1乃至5の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  7. 前記多孔質体が、繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上である、請求項6記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  8. 繊維、粒子の間隙あるいはスポンジ状多孔質体の平均細孔径が、5〜50μmの間である、請求項7記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  9. 前記細胞捕捉フィルターが平均繊維径0.01〜10μmの不織布を含む、請求項1乃至8の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  10. 前記細胞捕捉フィルターが、ポリエステルあるいはポリプロピレンから成る平均繊維径0.01〜10μmの不織布フィルターを積層したものを含む、請求項1乃至9の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  11. 血液の導出口、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルター、及び血液の返却口がこの順に管路で接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側には回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に、細胞回収手段が設けられている血管新生療法用細胞組成物製造システムを用い、
    人体から血液を血液の導出口を通して取り出し、該血液を細胞捕捉フィルターの上流側管路、細胞捕捉フィルター、細胞捕捉フィルターの下流側管路、及び血液の返却口の順に流し、細胞捕捉フィルターに血管新生に有効な細胞を捕捉し、残余の血液を人体に返却した後、回収液導入手段から回収液を導入し、回収液を細胞捕捉フィルターに流し、細胞捕捉フィルターに捕捉されている血管新生に有効な細胞を細胞回収手段に回収する工程を含む、請求項1乃至10の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  12. 体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に前記血管新生療法用細胞組成物製造システムを組み込んだシステムを用いる、請求項11記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  13. 血管新生療法用細胞組成物製造システムが滅菌された閉鎖システムである、請求項11または12記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  14. 細胞捕捉フィルターに流す血液の体積が2×10-4〜6×10-23である、請求項1乃至13の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  15. 回収した血管新生に有効な細胞中の有核細胞の数が1×108〜500×108個であり、有核細胞に占める単核球の比率が30〜90%である、請求項14記載の血管新生療法による治療用細胞組成物の製造方法。
  16. 細胞捕捉フィルターに流す血液に抗凝固剤として、ヘパリンを添加する、請求項1乃至15の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物の製造方法。
  17. 血液の導出口、赤血球は実質的に捕捉しないが血管新生に有効な細胞は捕捉する細胞捕捉フィルター、及び血液の返却口がこの順に管路で接続され、さらに細胞捕捉フィルターの上流側または下流側には回収液導入手段が設けられ、回収液導入手段の設けられている部分が上流側ならば下流側に、下流側ならば上流側に、細胞回収手段が設けられている、血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  18. 前記細胞捕捉フィルターが細胞捕捉材として多孔質体を含む、請求項17記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  19. 前記多孔質体が繊維からなる多孔質体、粒子からなる多孔質体およびスポンジ状多孔質体から成る群から選ばれる1種以上である、請求項18記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  20. 繊維、粒子の間隙あるいはスポンジ状多孔質体の平均細孔径が、5〜50μmの間である、請求項19記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  21. 前記細胞捕捉フィルターが平均繊維径0.01〜10μmの不織布を含む、請求項17乃至20のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  22. 前記細胞捕捉フィルターが、ポリエステルあるいはポリプロピレンから成る平均繊維径0.01〜10μmの不織布フィルターを積層したものを含む、請求項17乃至21のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  23. 体外循環システムの血液回路の一部に直列または並列に、請求項17乃至22記載の血管新生療法用細胞組成物製造システムを組み込んで成る、血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  24. 体外循環システムが血液透析システムである、請求項23記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  25. 血管新生療法用細胞組成物製造システムが滅菌された閉鎖システムである、請求項17乃至24の何れかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
  26. 前記血管新生療法用細胞組成物製造システムの細胞回収部に更に細胞濃縮用フィルターが接続されている、請求項17乃至25のいずれかに記載の血管新生療法用細胞組成物製造システム。
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JP2008189594A (ja) * 2007-02-05 2008-08-21 Olympus Corp 生体組織補填体の製造装置および製造方法
JP2013034436A (ja) * 2011-08-09 2013-02-21 Kaneka Corp 細胞懸濁液の濃縮方法

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