JP2005082510A - シクロアルキルアルキルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脂環式オレフィンとアルコールの付加反応の反応混合物から、目的生成物であるシクロアルキルアルキルエーテルを効率的に高純度かつ高収率で回収することができるシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法を提供する。
【解決手段】 脂環式オレフィンとアルコールの付加反応により得られる反応混合物に、脂環式オレフィンを加えて蒸留する。なお、脂環式オレフィンが、シクロペンテン骨格又はシクロヘキセン骨格を有し、アルコールがメタノールの場合に特に好適である。
【選択図】 なし
【解決手段】 脂環式オレフィンとアルコールの付加反応により得られる反応混合物に、脂環式オレフィンを加えて蒸留する。なお、脂環式オレフィンが、シクロペンテン骨格又はシクロヘキセン骨格を有し、アルコールがメタノールの場合に特に好適である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シクロアルキルアルキルエーテルの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応の反応混合物から、目的生成物であるシクロアルキルアルキルエーテルを効率的に高純度かつ高収率で回収することができるシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法に関する。
エーテルは有機溶媒によく溶け、化学的に安定な化合物であって、他の有機化合物とはほとんど反応せず、水酸化アルカリやアルカリ金属とも反応しないので、溶剤や、各種の有機反応における溶媒として、工業的に広く用いられている。一般に、酸素原子と結合する2個の基が同じであるエーテルは、相当するアルコールの気相又は液相における脱水反応により製造され、酸素原子と結合する2個の基が異なるエーテルは、アルコキシドとハロゲン化アルキル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキルなどとの反応により製造されている。
近年、酸素原子にシクロアルキル基とアルキル基が結合したシクロアルキルアルキルエーテルの特性が注目され、中でもシクロペンチルメチルエーテルは、水への溶解性が小さく、モレキュラーシーブなどを用いて容易に乾燥することができ、空気中に放置しても過酸化物の生成が少ないことから、反応溶媒、抽出溶剤、晶析溶剤、ポリマー溶剤などとしての用途が広がりつつある。シクロアルキルアルキルエーテルは、一般には脂環式オレフィンとアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させて得られる反応混合物を蒸留することにより、分離精製されている(特許文献1)。
しかし、反応混合物からのシクロアルキルアルキルエーテルの蒸留による分離は、脂環式オレフィンとアルコールの組み合わせによってはアルコールを除去するのが困難であり、シクロアルキルアルキルエーテルの純度を高めるために蒸留を繰り返す必要がある。蒸留を繰り返すと収率が低下する。このために、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応の反応混合物から、目的生成物であるシクロアルキルアルキルエーテルを効率的に高純度かつ高収率で得ることができるシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法が求められていた。
本発明は、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応の反応混合物から、目的生成物であるシクロアルキルアルキルエーテルを効率的に高純度かつ高収率で回収することができるシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応により得られる反応混合物に、脂環式オレフィンを加えて、蒸留することにより、蒸留工程に対する負荷を軽減し、目的とするシクロアルキルアルキルエーテルを高純度かつ高収率で回収し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)炭素数3〜20の脂環式オレフィンと炭素数1〜4のアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造する方法において、付加反応後の反応混合物に炭素数3〜20の脂環式オレフィンを加えて、蒸留することを特徴とするシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
(2)炭素数3〜20の脂環式オレフィンが、シクロペンテン骨格又はシクロヘキセン骨格を有する第1項記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
(3)炭素数3〜20の脂環式オレフィンがシクロペンテンであり、炭素数1〜4のアルコールがメタノールである第1項記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
を提供するものである。
(1)炭素数3〜20の脂環式オレフィンと炭素数1〜4のアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造する方法において、付加反応後の反応混合物に炭素数3〜20の脂環式オレフィンを加えて、蒸留することを特徴とするシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
(2)炭素数3〜20の脂環式オレフィンが、シクロペンテン骨格又はシクロヘキセン骨格を有する第1項記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
(3)炭素数3〜20の脂環式オレフィンがシクロペンテンであり、炭素数1〜4のアルコールがメタノールである第1項記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法、
を提供するものである。
本発明方法によれば、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応により得られるシクロアルキルアルキルエーテルを含有する混合物から、効率的かつ経済的に高収率でシクロアルキルアルキルエーテルを分離精製することができる。
本発明のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法は、炭素数3〜20の脂環式オレフィンと炭素数1〜4のアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造する方法において、付加反応後の反応混合物に炭素数3〜20の脂環式オレフィンを加えて、蒸留することを特徴とする。
本発明方法に用いる炭素数3〜20の脂環式オレフィンに特に制限はなく、例えば、単環式オレフィン、多環式オレフィンのいずれをも用いることができ、また、無置換の脂環式オレフィン、置換基を有する脂環式オレフィンのいずれをも用いることができる。無置換単環式オレフィンとしては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、シクロテトラデセン、シクロヘキサデセン、シクロオクタデセン、シクロエイコセンなどを挙げることができる。無置換多環式オレフィンとしては、例えば、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[3.1.0]ヘキセン−2、ノルボルネン、スピロ[2,4]ヘプト−4−エン、[5.2.1.02,6]デス−8−エンなどを挙げることができる。
脂環式オレフィンの置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルコキシル基、シアノ基などを挙げることができる。置換基を有する単環式オレフィンとしては、例えば、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、1,3−ジメチルシクロペンテン、1−フルオロシクロペンテン、1−フェニルシクロペンテン、1−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1,2,3,3−テトラメチルシクロヘキセン、1−p−メンテン、1−フルオロシクロヘキセン、4−クロロシクロヘキセン、1−フェニルシクロヘキセン、4−フェニルシクロヘキセンなどを挙げることができる。置換基を有する多環式オレフィンとしては、例えば、6,6−ジメチル−2−ノルピネン、3−カレン、2−ボルネン、2,7,7−トリメチル−2−ノルボルネンなどを挙げることができる。
上記の脂環式オレフィンの中で、シクロペンテン骨格及びシクロヘキセン骨格を有する脂環式オレフィンを好適に用いることができ、シクロペンテン及びシクロヘキセンをより好適に用いることができ、シクロペンテンを特に好適に用いることができる。
上記の脂環式オレフィンの中で、シクロペンテン骨格及びシクロヘキセン骨格を有する脂環式オレフィンを好適に用いることができ、シクロペンテン及びシクロヘキセンをより好適に用いることができ、シクロペンテンを特に好適に用いることができる。
本発明方法に用いる炭素数1〜4のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、プロパルギルアルコール、3−ブチン−1−オール、2−ブチン−1−オール、クロチルアルコールなどを挙げることができる。これらの中で、メタノール及びエタノールを好適に用いることができ、メタノールを特に好適に用いることができる。
本発明方法に用いる酸触媒に特に制限はなく、例えば、酸性イオン交換樹脂、金属酸化物、ジルコニウム化合物などの固体酸触媒、塩酸、リン酸などの鉱酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸などを挙げることができる。これらの中で、装置を腐食するおそれが少ない固体酸触媒を好適に用いることができ、酸性イオン交換樹脂が特に好適に用いられる。
酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。酸性イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基又はカルボキシル基を有し、フェノール−ホルムアルデヒド縮重合物や、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を基体とするイオン交換樹脂を挙げることができる。これらの中で、スルホン酸基を有し、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を基体とするスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂を好適に用いることができる。なお、酸性イオン交換樹脂は、乾燥処理をしたものが収率向上の面から好ましく、水分含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。
金属酸化物としては、例えば、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、Zn、Cd、Cu、Fe、Mn、Ni、Cr、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Y、La、Ce、Yb、Siなどの酸化物、モルデナイト、エリオナイト、フェリナイト、モービル社のZSM系ゼオライトなどの結晶性アルミノシリケート、B、Fe、Ga、Ti、Cu、Agなどの異元素を含有するメタロアルミノシリケートやメタロシリケートゼオライトなどのゼオライト、タングステン化合物とジルコニウム化合物からなる非水溶性の二元系触媒などの複酸化物などを挙げることができる。ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム水酸化物と硫酸又は水溶性の硫酸塩との反応生成物である硫酸ジルコニアなどを挙げることができる。
酸性イオン交換樹脂は、微細な三次元網目構造の高分子基体に酸性のイオン交換基を有する不溶性で多孔質の合成樹脂からなり、一般的に陽イオン交換樹脂と称されるものである。酸性イオン交換樹脂としては、イオン交換基としてスルホン酸基又はカルボキシル基を有し、フェノール−ホルムアルデヒド縮重合物や、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を基体とするイオン交換樹脂を挙げることができる。これらの中で、スルホン酸基を有し、スチレン又はハロゲン化スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体を基体とするスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂を好適に用いることができる。なお、酸性イオン交換樹脂は、乾燥処理をしたものが収率向上の面から好ましく、水分含有量が5重量%以下の酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。
金属酸化物としては、例えば、Ge、Sn、Pb、B、Al、Ga、Zn、Cd、Cu、Fe、Mn、Ni、Cr、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Y、La、Ce、Yb、Siなどの酸化物、モルデナイト、エリオナイト、フェリナイト、モービル社のZSM系ゼオライトなどの結晶性アルミノシリケート、B、Fe、Ga、Ti、Cu、Agなどの異元素を含有するメタロアルミノシリケートやメタロシリケートゼオライトなどのゼオライト、タングステン化合物とジルコニウム化合物からなる非水溶性の二元系触媒などの複酸化物などを挙げることができる。ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム水酸化物と硫酸又は水溶性の硫酸塩との反応生成物である硫酸ジルコニアなどを挙げることができる。
本発明方法において、脂環式オレフィンとアルコールの反応条件に特に制限はないが、脂環式オレフィンとアルコールの混合物を固体酸触媒を充填した反応管などに供給して反応させることが好ましい。反応温度に特に制限はないが、50〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましい。
脂環式オレフィンとアルコールの沸点に応じて、気相又は液相のいずれにおいても反応させることができる。脂環式オレフィンとアルコールの沸点が著しく異なる場合は、加圧又は減圧することにより、脂環式オレフィン及びアルコールの両者をともに気体又は液体として反応させることが好ましい。
本発明方法において、反応に用いる脂環式オレフィンとアルコールの比率に特に制限はないが、脂環式オレフィンがアルコールの1〜5モル倍であることが好ましく、1.2〜4モル倍であることがより好ましい。
本発明方法において、固体酸触媒を充填した反応管における反応率は、アルコールを基準として5〜70%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましい。アルコールを基準とした反応率が5%未満であると、効率が低く生産性が十分に向上しないおそれがある。アルコールを基準とした反応率が70%を超えると、副生成物の量が増えて、目的物であるシクロアルキルアルキルエーテルの収率が低下するおそれがある。
脂環式オレフィンとアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させると、目的物のシクロアルキルアルキルエーテルと、未反応の原料の脂環式オレフィン及びアルコールと、その他の副生成物との混合物が得られる。例えば、シクロペンテンとメタノールを付加反応させると、次式で表される反応が起こって、シクロペンチルメチルエーテルが生成し、未反応のシクロペンテン及びメタノールと、微量のその他の副生成物を含む反応混合物が得られる。
脂環式オレフィンとアルコールの沸点に応じて、気相又は液相のいずれにおいても反応させることができる。脂環式オレフィンとアルコールの沸点が著しく異なる場合は、加圧又は減圧することにより、脂環式オレフィン及びアルコールの両者をともに気体又は液体として反応させることが好ましい。
本発明方法において、反応に用いる脂環式オレフィンとアルコールの比率に特に制限はないが、脂環式オレフィンがアルコールの1〜5モル倍であることが好ましく、1.2〜4モル倍であることがより好ましい。
本発明方法において、固体酸触媒を充填した反応管における反応率は、アルコールを基準として5〜70%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましい。アルコールを基準とした反応率が5%未満であると、効率が低く生産性が十分に向上しないおそれがある。アルコールを基準とした反応率が70%を超えると、副生成物の量が増えて、目的物であるシクロアルキルアルキルエーテルの収率が低下するおそれがある。
脂環式オレフィンとアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させると、目的物のシクロアルキルアルキルエーテルと、未反応の原料の脂環式オレフィン及びアルコールと、その他の副生成物との混合物が得られる。例えば、シクロペンテンとメタノールを付加反応させると、次式で表される反応が起こって、シクロペンチルメチルエーテルが生成し、未反応のシクロペンテン及びメタノールと、微量のその他の副生成物を含む反応混合物が得られる。
本発明方法においては、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応後の反応混合物に脂環式オレフィンを加えた後に蒸留することにより、共存する未反応のアルコールを高度に除去することが出来る。反応混合物に加える脂環式オレフィンの量は、反応混合物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは3〜10重量部である。また、反応混合物に加える脂環式オレフィンの種類としては、付加反応に用いる脂環式オレフィンと同一のものを用いることが、リサイクルが容易になるため好ましい。
図1は、本発明方法の実施の第一の態様を表す工程系統図である。脂環式オレフィンとアルコールの混合物が、固体酸触媒を充填した反応管1に供給され付加反応が起こる。生成したシクロアルキルアルキルエーテル、未反応の脂環式オレフィンとアルコール及びその他の副生物を含む反応混合物は、いったん反応混合物貯槽2に送られ、そこで反応に用いた脂環式オレフィンと同一の脂環式オレフィンが所定量加えられた後、第1蒸留塔3へ供給される。第1蒸留塔3の塔頂部からは、脂環式オレフィンとアルコールが回収され、反応管1の入口に戻す(図示省略。)ことにより反応原料として再利用される。第1蒸留塔3の塔底部から抜き出された塔底液は、第2蒸留塔4に供給される。第2蒸留塔4の塔頂部からは、少量のシクロアルキルアルキルエーテルを含有するアルコールが回収され、反応管1の入口に戻す(図示省略。)ことにより反応原料として再利用される。第2蒸留塔4の塔底部から抜き出された塔底液は、第3蒸留塔5に供給され、第3蒸留塔5の塔頂部からは、純度99重量%以上のほぼ純粋なシクロアルキルアルキルエーテルを得ることが出来る。
図2は、本発明方法の実施の第二の態様を表す工程系統図である。脂環式オレフィンとアルコールの混合物が、固体酸触媒を充填した反応管1に供給され付加反応が起こる。生成したシクロアルキルアルキルエーテル、未反応の脂環式オレフィンとアルコール及びその他の副生物を含む反応混合物は、いったん反応混合物貯槽2に送られ、そこで反応に用いた脂環式オレフィンと同一の脂環式オレフィンが所定量加えられた後、蒸留塔3に供給され、回分式蒸留操作を行なって沸点範囲の異なる各留分に分別される。
本発明の製造方法において、蒸留に用いる装置に特に制限はなく、棚段式蒸留装置、充填式蒸留装置などの従来公知の蒸留装置を用いることが出来るが、理論段数10段以上の蒸留装置が好ましく、20段以上の蒸留装置がさらに好ましく、30段以上の蒸留装置が特に好ましい。
本発明の製造方法は、脂環式オレフィンとアルコールが共沸し、あるいは、脂環式オレフィンとアルコールの比揮発度が非常に小さく、蒸留塔によってアルコールのみを分離することが容易でない場合に、特に好適に適用することができる。例えば、シクロペンテンとメタノールの付加反応によってシクロペンチルメチルエーテルを製造するとき、反応混合物からメタノールを蒸留塔を用いて除去すると、メタノール中には数重量%のシクロペンチルメチルエーテルが混入し、メタノールのみを純粋に除去することは困難である。
本発明の製造方法によれば、付加反応後の反応混合物に脂環式オレフィンを加えた後に蒸留することにより、反応混合物をそのまま同様の蒸留設備を用いて蒸留した場合に比べて、高い回収率でほぼ純粋なシクロアルキルアルキルエーテル得ることが出来る。
本発明の製造方法によれば、付加反応後の反応混合物に脂環式オレフィンを加えた後に蒸留することにより、反応混合物をそのまま同様の蒸留設備を用いて蒸留した場合に比べて、高い回収率でほぼ純粋なシクロアルキルアルキルエーテル得ることが出来る。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、」部」は」重量部」を表わす。
また、実施例及び比較例において、組成分析は、下記条件によるガスクロ分析により行なった。また、水分含有量は、カール・フィッシャー法により測定した。
(ガスクロ分析条件)
装置:ヒューレット・パッカード社、HP6850
カラム:ヒューレット・パッカード社、HP−WAX×30m
注入口温度:150℃
カラム温度:40℃で5分保持したのち、毎分10℃で240℃まで昇温
内部標準物質:アセトン
また、実施例及び比較例において、組成分析は、下記条件によるガスクロ分析により行なった。また、水分含有量は、カール・フィッシャー法により測定した。
(ガスクロ分析条件)
装置:ヒューレット・パッカード社、HP6850
カラム:ヒューレット・パッカード社、HP−WAX×30m
注入口温度:150℃
カラム温度:40℃で5分保持したのち、毎分10℃で240℃まで昇温
内部標準物質:アセトン
(実施例1)
図2に示す装置を用いて実験を行なった。
スチレン系酸性イオン交換樹脂[三菱化学(株)、RCP−160M]10部を乾燥機に入れ、常圧下、105℃で10時間乾燥したのち、シリカゲルを乾燥剤とするデシケーターに入れ、室温で2週間さらに乾燥した。このイオン交換樹脂を、内径2.54cm、長さ40cmのステンレス鋼製の反応管に詰め、100℃で乾燥窒素ガスを5時間通したのち、室温まで冷却して、乾燥イオン交換樹脂を充填した反応管を調製した。
シクロペンテン3,865部(77.3重量%)とメタノール1,135部(22.7重量%)、水含有量50ppmの原料混合物を、80℃に加熱、気化させて、常圧、90℃、GHSV=250hr−1で、上記の乾燥イオン交換樹脂を充填した反応管に連続的に送り込み、付加反応させた。反応管からの流出物を冷却して捕集し、反応混合物5,000部(以下、「反応混合物A」と略す。)を得た。得られた反応混合物Aの組成は、シクロペンテン70.9重量%、メタノール19.6重量%、シクロペンチルメチルエーテル6.4重量%、水0.12重量%、その他3.0重量%であり、シクロペンチルメチルエーテルの含有量は、320部であった。
この反応混合物A5,000部にシクロペンテン320部を加え、理論段数40段の規則充填物を充填した蒸留塔を用い、還流比6(重量比率)、塔頂圧力0kPa(ゲージ圧)の条件で蒸留し、沸点範囲35〜60℃の第1留分、沸点範囲60〜104℃の第2留分、沸点範囲104〜106℃の第3留分及び釜内残分に分離した。第1留分の組成は、シクロペンテン86.0重量%、メタノール14.0重量%であった。第2留分の組成はシクロペンテン痕跡量、メタノール94重量%、シクロペンチルメチルエーテル6重量%であった。第3留分は、純粋なシクロペンチルメチルエーテルであり、釜内残分の組成は、シクロペンチルメチルエーテル6.3重量%、その他93.7重量%であった。第3留分の収量は288部で、反応混合物Aからのシクロペンチルメチルエーテルの回収率は89.9%であった。
図2に示す装置を用いて実験を行なった。
スチレン系酸性イオン交換樹脂[三菱化学(株)、RCP−160M]10部を乾燥機に入れ、常圧下、105℃で10時間乾燥したのち、シリカゲルを乾燥剤とするデシケーターに入れ、室温で2週間さらに乾燥した。このイオン交換樹脂を、内径2.54cm、長さ40cmのステンレス鋼製の反応管に詰め、100℃で乾燥窒素ガスを5時間通したのち、室温まで冷却して、乾燥イオン交換樹脂を充填した反応管を調製した。
シクロペンテン3,865部(77.3重量%)とメタノール1,135部(22.7重量%)、水含有量50ppmの原料混合物を、80℃に加熱、気化させて、常圧、90℃、GHSV=250hr−1で、上記の乾燥イオン交換樹脂を充填した反応管に連続的に送り込み、付加反応させた。反応管からの流出物を冷却して捕集し、反応混合物5,000部(以下、「反応混合物A」と略す。)を得た。得られた反応混合物Aの組成は、シクロペンテン70.9重量%、メタノール19.6重量%、シクロペンチルメチルエーテル6.4重量%、水0.12重量%、その他3.0重量%であり、シクロペンチルメチルエーテルの含有量は、320部であった。
この反応混合物A5,000部にシクロペンテン320部を加え、理論段数40段の規則充填物を充填した蒸留塔を用い、還流比6(重量比率)、塔頂圧力0kPa(ゲージ圧)の条件で蒸留し、沸点範囲35〜60℃の第1留分、沸点範囲60〜104℃の第2留分、沸点範囲104〜106℃の第3留分及び釜内残分に分離した。第1留分の組成は、シクロペンテン86.0重量%、メタノール14.0重量%であった。第2留分の組成はシクロペンテン痕跡量、メタノール94重量%、シクロペンチルメチルエーテル6重量%であった。第3留分は、純粋なシクロペンチルメチルエーテルであり、釜内残分の組成は、シクロペンチルメチルエーテル6.3重量%、その他93.7重量%であった。第3留分の収量は288部で、反応混合物Aからのシクロペンチルメチルエーテルの回収率は89.9%であった。
(比較例1)
反応混合物A5,000部にシクロペンテン320部を加えずに、そのまま蒸留塔に供給したこと以外は、実施例1と同様にして実験を行なった。第1留分の組成は、シクロペンテン87.0重量%、メタノール13.0重量%であった。第2留分の組成はシクロペンテン痕跡量、メタノール84.0重量%、シクロペンチルメチルエーテル16.0重量%であった。第3留分は、純粋なシクロペンチルメチルエーテルであり、釜内残分の組成は、シクロペンチルメチルエーテル9.6重量%、その他90.4重量%であった。第3留分の収量は272部で、反応混合物Aからのシクロペンチルメチルエーテルの回収率は85.0%であった。
反応混合物A5,000部にシクロペンテン320部を加えずに、そのまま蒸留塔に供給したこと以外は、実施例1と同様にして実験を行なった。第1留分の組成は、シクロペンテン87.0重量%、メタノール13.0重量%であった。第2留分の組成はシクロペンテン痕跡量、メタノール84.0重量%、シクロペンチルメチルエーテル16.0重量%であった。第3留分は、純粋なシクロペンチルメチルエーテルであり、釜内残分の組成は、シクロペンチルメチルエーテル9.6重量%、その他90.4重量%であった。第3留分の収量は272部で、反応混合物Aからのシクロペンチルメチルエーテルの回収率は85.0%であった。
実施例1および比較例1により、脂環式オレフィンとアルコールの付加反応により得られる反応混合物に、脂環式オレフィンを加えた後に蒸留することにより、シクロアルキルアルキルエーテルの回収率が向上している。
1 反応管
2 反応混合物貯槽
3 第1蒸留塔
4 第2蒸留塔
5 第3蒸留塔
6 蒸留塔(回分式)
7 第1留分貯槽
8 第2留分貯槽
9 第3留分貯槽
2 反応混合物貯槽
3 第1蒸留塔
4 第2蒸留塔
5 第3蒸留塔
6 蒸留塔(回分式)
7 第1留分貯槽
8 第2留分貯槽
9 第3留分貯槽
Claims (3)
- 炭素数3〜20の脂環式オレフィンと炭素数1〜4のアルコールを酸触媒の存在下に付加反応させてシクロアルキルアルキルエーテルを製造する方法において、付加反応後の反応混合物に炭素数3〜20の脂環式オレフィンを加えて、蒸留することを特徴とするシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法。
- 炭素数3〜20の脂環式オレフィンが、シクロペンテン骨格又はシクロヘキセン骨格を有する請求項1記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法。
- 炭素数3〜20の脂環式オレフィンがシクロペンテンであり、炭素数1〜4のアルコールがメタノールである請求項1記載のシクロアルキルアルキルエーテルの製造方法。
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JP2003314210A JP2005082510A (ja) | 2003-09-05 | 2003-09-05 | シクロアルキルアルキルエーテルの製造方法 |
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