JP2005082421A - 写真廃液を用いた肥料及び土壌改良剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ミニラボにおいて実施が可能であって、写真廃液の処理に係る環境負荷、コスト、及び作業の負担が軽減される手段を提供すること。さらには、上記に加えて、写真廃液を再利用できる方法を提示すること。
【解決手段】 写真廃液に化学酸化処理を施し、必要に応じて成分濃度を調整して得られることを特徴とする肥料。好ましくは銀とハロゲン化物を除去した写真廃液を化学酸化した上記肥料。さらに上記肥料を用いた土壌改良剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は写真廃液の処理に関するもので、具体的には写真廃液の処理に伴う環境負荷の軽減に関し、より具体的には写真廃液の再利用に関する。
写真廃液は、高濃度のBOD 、COD 、窒素成分を含み、且つ、生物処理または化学処理によっても容易には分解されにくい成分が含まれている。したがって、写真廃液、特にカラー現像処理廃液は、直接環境に排出可能にする処理が困難な廃液の1つであって、従来から多くの処理法が開示されている。例えば、活性汚泥法に代表される生物処理法、オゾン、過酸化水素−第一鉄塩、過硫酸、ハロゲン酸等による化学酸化法、化学酸化法、及び高圧加熱、噴霧焼却等の物理処理法などが挙げられる。これにより廃液を無害化し、排出する技術は既に確立しているが、廃液処理のコスト負荷がかかるという問題がある。
写真廃液は、未使用有用成分もかなりのレベルで含まれているので、技術力を持っている大型現像所(大ラボと呼ぶ)では、使用済み処理液のかなりの割合を成分再調整して再生使用を行なっている。大ラボでは、処理量が多いので、このような再生使用液でも処理液の活性を維持することが可能である。しかしながら、店頭現像所(ミニラボと呼ぶ)では、小規模処理であるため、廃液の排出量も少なく、また再生使用のための技術力を有さずかかる廃液の再生使用を行なうことは困難である。
そのため、ミニラボ廃液処置の現実的な対応策として、廃液は廃液回収業者により回収され、焼却処理されている。大気環境及び水域環境中に環境有害物質物質を排出することなく焼却処理するには排煙処理施設が整備された大規模焼却装置で焼却する必要があって、処理コスト負荷がかかっている。また、燃焼時に生じる酸化鉄等の高融点の無機塩による配管の閉塞や燃焼炉の消耗を回避するために、化学的な脱鉄工程の設置が必要であるので、工程及び操作がさらに複雑になる問題点も含んでいる。
このような事情から、写真廃液の処理においては、環境に極力インパクトを与えないで処理可能で処理コスト負荷も大きくない適切な方法が求められている。その上、写真廃液は、有用な高濃度の化学成分を含んでいるので、資源の節減の観点からも、廃液の無害化処理よりも再利用が望まれている。
資源の再利用の面では、特許文献1には、有機廃棄物をpH調整して微生物処理して肥料成分の高いコンポストを製造する方法が開示されており、また、特許文献2には、木酢廃液を微生物処理して肥料とする方法が開示されている。しかしながら、これらは天然有機物主体の廃棄物の再利用である。これら天然有機物由来のものとは異なって高塩濃度、高イオン強度で、かつ合成化学物質主体の写真廃液では、微生物処理法はもとより、他の方法による肥料化も試みられた例はない。
一方、例えば特許文献3には、写真廃液をオゾンを用いて化学酸化処理して環境負荷を低減する方法が開示されているが、この方法では写真処理に有効な成分も酸化されてしまうので、廃液を写真処理液として再利用することはできず、その反面化学酸化処理のみでは排水の環境規制に対応するまでBOD値を低減できないので電解酸化などの処理と組み合わせる必要があって簡易に処理できない。
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次ぎの文献がある。
特開2002−153846号公報 特開平6−65019号公報 特開平10−290987号公報
以上に述べたように、近年増加しつつあるミニラボにおいては、写真廃液の処理手段について従来開示されている方法のいずれも除去率、処理コスト、作業の容易さなどの点で種々の制約があり、その上、化学資源の浪費にも繋がっているので、これらの諸問題を解決できる適切な対応手段が望まれている。
本発明は、上記した背景からなされたものであり、その目的は、ミニラボの写真廃液であっても実施が可能であって、写真廃液の処理に係る環境保全、コスト、及び作業性の負担が軽減される手段を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記環境保全、コスト及び作業負担の軽減手段として、写真廃液を再利用する方法を提示することである。
本発明者は、上記目的の解決方法を見出すべく、鋭意検討を進めてきたが、特に写真廃液を再利用できれば廃液処理を必要とする廃液の量を軽減できることから、ミニラボ廃液でも実施できる簡易な再利用手段の探索に注力し、それを実現させる下記の本発明に到達することができた。
(1)写真廃液に化学酸化処理を施し、必要に応じて成分濃度を調整して得られることを特徴とする肥料。
(2)化学酸化処理がオゾン、過酸化水素、過硫酸,塩素及び次亜塩素酸から選ばれる少なくとも1種を用いる化学酸化処理であることを特徴とする上記(1)に記載の肥料。
(3)化学酸化処理の前又は同時に写真廃液中の含有銀を回収することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の肥料。
(4)写真廃液に化学酸化処理を施す前又は後に該廃液中のハロゲン化物の濃度を低減させる処理を行なうことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の肥料。
(5)含有ハロゲン化物の濃度を低減させる処理がイオン交換膜を用いる電気透析又はイオン交換樹脂処理であることを特徴とする上記(4)に記載の肥料。
(6)写真廃液を用いて上記(1)〜(5)のいずれかに記載の肥料を得ることを特徴とする写真廃液の再利用方法。
(7)少なくとも化学酸化処理を施した写真廃液と、基材とを含有し、かつ成分濃度が調整されていることを特徴とする土壌改良剤。
(8)基材がパーライト、パーミキュライト、赤玉土、鹿沼土、コンポスト、腐葉土、ピートモス、吸水性ポリマー、合成及び/又は天然ゼオライト、合成及び/又は天然白土、みずごけ、ゼラチン、木屑及び砕木チップから選択される少なくとも一つであることを特徴とする上記(7)に記載の土壌改良剤。
(9)化学酸化処理がオゾン、過酸化水素、過硫酸,塩素及び次亜塩素酸から選ばれる少なくとも1種を用いる用いる化学酸化処理であることを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の肥料。
(10)化学酸化処理の前又は同時に写真廃液中の含有銀を回収することを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載の土壌改良剤。
(11)写真廃液に化学酸化処理を施す前又は後に該廃液中のハロゲン化物の濃度を低減させる処理を行なうことを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかに記載の土壌改良剤。
(12)ハロゲン化物の濃度を低減させる処理がイオン交換膜を用いる電気透析又はイオン交換樹脂処理であることを特徴とする上記(11)に記載の土壌改良剤。
(13)写真廃液を用いて上記(7)〜(12)のいずれかに記載の土壌改良剤とすることを特徴とする写真廃液の再利用方法。
写真廃液は、カリウム成分やアンモニウム成分などの肥料分を含有してはいても、高塩濃度、高イオン強度で、かつ合成化学物質主体(窒素化合物も合成化学物質主体)の水溶液であるので、肥料や土壌改質に適用するには制約が大きすぎる。しかしながら意外にもこのような性質の廃液であっても化学酸化処理を施すと、その廃液では高塩濃度、高イオン強度の弊害が顕著に認められないという好都合な結果がもたらされ、さらに化学酸化したことによって廃液中の含窒素化合物(非アンモニウム性化学合成品)が、肥料の窒素成分をさらにもたらす(含窒素化合物が硝酸性又は亞硝酸性窒素となるためと考えられる)ことが判った。したがって、水田、畑地、沼地、湿原などで肥料や土壌改質剤成分としての効果が現れる。そのうえ、写真廃液には鉄化合物が多いことが特徴ある肥効を発揮する。さらに写真廃液中に通常存在するハロゲン化物を除去(低減)すれば土壌固化、高塩化あるいは保水性低下などの土壌劣化の危険性も少なくなり、地力の維持に一層好都合であり、優れた肥料や土壌改質剤の効果が得られる。本発明では、イオン交換膜やイオン交換樹脂などによって写真廃液中のハロゲン化物を低減することが望ましい。
また好ましくはさらに化学酸化に先だって、又は同時に写真廃液中の銀を回収することによって、銀資源の再利用も図られる。
さらに、化学酸化処理した写真廃液に欠如する肥料成分すなわちリン化合物を添加することによって肥料の3要素をすべて具備して適用性の広い肥料とすることができる。それに加えて、植物に必要で写真廃液には存在しない微量栄養素を加えることによって、肥料の質を向上させることができる。
また、ハロゲン化物を除去した、好ましくはさらに脱銀した写真廃液に、リン成分や好ましくは植物の生育に有用な他の成分を加えた肥料を基材と混合して調整することによって肥効、保水性、通気性に優れた土壌改質剤とすることができる。
写真廃液に化学酸化処理を施し、必要に応じて成分濃度を調整して得られる本発明の肥料は、窒素及びカリ成分を含み、その上鉄分などの微量植物栄養素を含んだ肥料であり、さらにリン成分を補うことによって3要素が揃った肥料となる。したがって写真廃液を有効に再利用できる。さらに該肥料をその他の添加成分と共に基質に配合すると土壌改質剤が得られ、同様に写真廃液の再利用ができる。その結果、環境負荷の大きい写真廃液の排出量を軽減できる。
以下、本発明をさらに具体的に詳述する。
なお、本明細書では「写真処理廃液」とその簡略表現である「写真廃液」は、同義である。また、「ハロゲン化物の除去」及び「銀の除去」、「脱銀」は、それぞれ「ハロゲン化物濃度の低減」及び「銀濃度の低減」という意味に用いられていて必ずしも不検出レベルまでハロゲン化物又は銀を除去することを意味するものではない。
[写真廃液]
本発明の実施の形態の説明に先だって、発明の対象である写真処理廃液について述べる。写真処理廃液は、カラー写真或いはモノクローム写真の現像廃液の他、定着系廃液または写真製版等写真工業で発生した多くの種類の廃液が含まれている。定着系廃液は溶存している銀を回収した残液が処理の対象となる。通常これら種々の写真処理工程からの廃液は混合された状態で回収されて処理される。本発明は、その目的からカラー写真用の廃液を用いるのがその成分構成から好ましい。
写真廃液を構成する現像廃液は、現像処理の各工程から排出された廃液であって、処理中に感光材料から溶出した例えばゼラチンや感光色素などの成分、処理中に生じた反応生成物、及び処理液処方に含まれて消費されなかった構成薬品(処理液処方の詳細は後述する)などを含んでいる廃液である。
カラー現像廃液には、現像主薬及びその酸化生成物、アルカリ化合物及び緩衝剤、亜硫酸塩やヒドロキシルアミン誘導体などから選択される補恒剤、アルカリハライドなどを主体としており、定着廃液は、チオ硫酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩及び/又は亜硫酸のアンモニウム塩及び/又はナトリウム塩、アルカリハライドなどを主体としており、漂白廃液は、ポリアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩などの漂白剤とそれに由来する反応生成物、アルカリハライド(再ハロゲン化剤)、緩衝塩などを主体としており、漂白定着廃液は、定着廃液と漂白廃液に含まれるものとほぼ同様の成分を主体としており、その他の各工程から排出される廃液もそれらの工程液の機能性化合物とそれに由来する化合物を含有している。したがって、処理される写真廃液の成分は、現像液由来の成分や漂白液・定着液・漂白定着液由来の成分などが感光材料溶出物や処理中の反応生成物と混在しており、例えば緩衝剤(炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩など)、発色現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤、アルキレングリコール類、ベンジルアルコール類、界面活性剤(アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等)酸化剤(鉄(III)のEDTA錯塩、1,3−ジアミノ−プロパン四酢酸錯塩など)、ハロゲン化物(臭化アルカリ、臭化アンモニウムなど)、チオ硫酸塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸塩など多岐に亘る化学成分を含んでいる。写真廃液の処理液由来の成分の更なる詳細は、後述する写真処理の項に述べる。
感光材料からも処理の過程で種々の感光材料添加成分やそれらの反応生成物が処理液中へ溶出する。ハロゲン化銀は、銀錯塩とハライドイオンとなって処理液中に溶出し、それに伴ってハロゲン化銀に吸着していた感光色素(色増感剤)やかぶり防止、化学増感、その他の目的の含窒素ヘテロ環化合物、カプラーやDIR化合物から離脱した化合物(多くの場合窒素化合物)が処理液中に溶出する。さらに感光層のバインダーから界面活性剤などが溶出してくる。感光材料から溶出される化合物の更なる詳細は、後述する感光材料の項に述べる。
したがって写真処理廃液は、前記したように処理液由来及び感光材料由来の窒素化合物、カリウム化合物などの肥料要素を含んでいるが、同時に硫黄化合物,鉄錯塩及び高い塩濃度を持っている。この多様性が効果的な廃液処理手段を困難にしていると同時に再利用方法を見出すことも困難にしていたが、本発明はその解決につながるものである。
水質環境面からみた写真廃液は、その組成は、処理の種類及びその処理の各工程からの廃液の混合比率によりかなり変動するが、おおよそCOD5,000〜60,000 mg/l、BOD 5,000 〜15,000 mg/l、TOC(Total Organic Carbon)5,000〜25,000 mg/l、ケルダール窒素5,000 〜15,000 mg/lの範囲である。COD:BOD:TOC の比率は概ね 4:1:1.5でCOD が高い特徴があり、またC:Nの元素比率はほぼ 100:100でN の含有率が高い特徴がある。また、炭酸カリウム、水酸化カリウムなどに由来するカリ成分の含有量も多い。この写真廃液の特徴が、水質環境面では写真廃液を簡便に環境無害化することを困難にしているが、その一方、写真廃液の構成を肥料成分の観点から見ると、高濃度の窒素化合物(上記)やカリウム化合物(多くの場合K元素として1000〜10000mg/l)を含んでおり、また上緑葉野菜や芝生に適した葉面散布肥料に望まれる鉄成分もアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩などの形の鉄塩として含有している(多くの場合Fe元素として500〜5000mg/l)。したがって、写真廃液は、高ハロゲン化物濃度や高イオン強度に伴う植物や土壌への悪影響が解決できれば肥料化、土壌改良剤化を考慮できる性質の廃液である。
[写真廃液から肥料の調製工程]
(化学酸化処理)
本発明の方法による写真処理廃液の化学酸化処理について述べる。
<化学酸化剤及び処理>
上記の調整された写真廃液には、化学酸化処理、すなわち化学酸化剤(酸化剤と呼ぶ)による酸化処理が施される。本発明に適用される酸化剤は、写真現像液を酸化し得る酸化性化合物であればいずれでもよいが、好ましい酸化剤と酸化処理は、酸化剤としてオゾン、過酸化水素又は過硫酸塩を使用する酸化処理、塩素を使用する酸化処理、次亜塩素酸又はその塩を使用する酸化処理が挙げられる。また、必要に応じて酸化過程で加熱や紫外線照射などを行なったり、或いはその他の酸化剤を併用することができる。本明細書における化学酸化処理とは、酸化剤が写真廃液中の還元性成分や有機成分をある程度分解酸化できる処理を指す。好ましい化学酸化処理は、オゾン酸化処理、過酸化水素酸化処理、及びこれらと紫外線照射の組み合わせ処理並びに過硫酸処理である。
上記化学酸化は、主にヒドロキシラジカル、パーヒドロキシラジカル、活性酸素基などの酸化作様によって進行すると考えられ、廃液に物理化学酸化を施すに当たって、予めこれらの酸化性基の作用に好都合なpH領域に調整することが酸化処理を効率的に進めるのに好都合である。好ましいpH領域は、8〜12である。
<オゾン酸化>
オゾン曝気処理について述べる。
オゾン酸化法は、オゾナイザー(オゾン発生装置)から導かれるオゾン含有空気を写真廃液に注入して行われる。注入方法の一態様としては、紫外光を効率良く透過する容器に処理水を導き入れオゾンを容器底部に設けた例えばガラスボールフィルター(気孔径40〜50μm)又はアトマイザーを通して送気する形式が挙げられる。
オゾンを発生させるには無声放電を行わせたり、コロナ放電を利用したりあるいは電解反応を利用するなどの方法が採られているが、本発明に用いるオゾン発生装置は、いずれであっても特に制約はなく通常市販されているオゾン発生装置から選択して使用することができる。その中では無声放電を利用する方法が好ましい。無声放電は2つの電極の間に誘電体を介して交流高電圧をかけたとき、その間隙に起る放電現象を指すもので、放電の際にその空間に介在する酸素の一部がオゾンに変化する。誘電体は普通ガラスを用い、空間々隙は数mm、電圧は交流50〜500サイクル数千ボルトから場合によっては2万ボルトぐらいまでが使われる。
オゾン発生装置は、平板型の相対する電極群からなるものや、筒状のオゾン発生管を縦型又は横型に配置したものなどがあるが、本発明にはそのいずれも使用できる。また原料は酸素、空気いずれでもよいが、本発明においては空気を使用する方が安価で好ましい。
オゾン含有空気の注入とともに紫外光による照射処理を行なうことも好ましい。オゾン送気と同時に紫外光を照射するとオゾンが活性化されて酸化効率が向上する。紫外光は容器底部または内部または周囲に設置した水銀ランプ等の光源より照射される。水銀ランプはランプ内部の水銀蒸気圧により低圧、高圧、超高圧に分類されていてそれぞれ遠紫外の輝線,近遠紫外の輝線と近紫外線値と可視域連続スペクトル,紫外連続スペクトルを発する。本発明の目的にはどの型のものでも使用できるが、オゾンガスの励起波長領域が遠紫外域(UV−C)で強いので低圧水銀灯と組み合せるのが好ましい。別の好ましい組合せとしては、遠紫外域の水銀の輝線で励起されて300〜400nm波長域の蛍光を発するタイプの紫外線蛍光管(ブラックライトと呼ばれる)とその蛍光を吸収して光触媒作用を営む酸化チタンとを組み合せてオゾン酸化を行なわせる光照射・光触媒・オゾン酸化法も好ましい。いずれにしても、酸化剤はオゾンであり、オゾンが高い自由エネルギーを有しながら反応が遅いので反応促進のための触媒として遠紫外域(UV−C)の光照射や酸化チタンとブラックライト光照射が用いられる。
照射光の電力量は、COD値と廃液成分の分解性によって異なるが、目安として廃液量100kgに対して5WHrから600WHrが好ましく、中でも20WHrから500WHrがより好ましい。
オゾンガス酸化により分解される適当な量は、廃液中のCOD の10%以上,好ましくはCOD の15〜90%,多くは20〜80%が低減される程度が適切である。
通気したオゾン含有ガスは、そのまま排気してもよいが、循環使用して利用率を高めるのが好ましい。
オゾン酸化処理装置からの排気ガスは、加熱分解又は亜硫酸塩水溶液などのオゾン捕集液で処理してから排出する。
上記のオゾンおよび紫外光による処理については水処理技術第32巻1号3頁(1991)、工業用水第349号15頁(1987)、ACS Symposium Ser.(Am. Chem. Soc.) 第259号195頁(1984)などに記載されている。
また、特開平7-47347号合法記載の廃液のオゾン酸化法及び特開平5-968295号公報に記載の紫外線照射しながらオゾン曝気を行なう廃水酸化方法を利用することもできる。
<過酸化水素酸化>
オゾンに代えて過酸化水素を用いて化学酸化を行なうこともできる。過酸化水素は、3%、10%あるいは28%水溶液として廃液中に注入される。過酸化水素濃度が35,50又は60%水溶液の製品形態のものをそのまま使用することも可能であるが、安全上前記の濃度に希釈して使用するのが好ましい。過酸化水素による化学酸化の場合も、好ましい酸化度は、オゾンの場合について前記した酸化率と同じである。
過酸化水素はオゾンよりも電位的には酸化活性が低いが、この場合も光照射や光照射と光触媒(酸化チタン)との組み合せによる接触酸化促進が効果的であり、むしろその促進効果はオゾンに対する促進効果よりも大きい。組み合せられる紫外線光源、光触媒もオゾンについて前記したことが当てはまる。
上記の過酸化水素による処理については特開平9−234475号公報などに記載されている技術も利用できる。
過酸化水素を用いる写真廃液の一形態として、本発明ではフェントン酸化法を用いることもできる。この酸化法は、過酸化水素の酸化力を利用する方法であるが、過酸化水素は前記したように自由エネルギーは大きいにも拘わらず電子移行が遅いために酸化速度が制約されるので、触媒として第一鉄塩を併用する酸化方法である。この触媒作用によって、生分解性に乏しい高COD物質も効果的に分解される点に特徴がある。
フェントン法では、具体的には、過酸化水素濃度が0.5〜10モル/L,硫酸第一鉄100〜200ミリモル/L,pH2〜3、初期温度10〜30℃で行われる。
フェントン法を利用した廃水処理方法の具体例には、例えば特開平3−262594号公報をあげることができる。また、過酸化水素を酸化剤とする同様の接触酸化方法には、特開平4−235786号公報に記載の鉄粉を触媒に用いた廃水処理方法をあげることができる。
また、過酸化水素を用いる酸化処理に使用できるさらに別の触媒は、特開平9−234475号公報に記載されている。
好ましい化学酸化処理法としては、上記の化学的酸化処理のほかに、過硫酸、塩素、次亞塩素酸による酸化処理も挙げられる。
次亞塩素酸を用いる場合は、ナトリウム塩、アンモニウム塩、いわゆる晒し粉(次亞塩素酸カルシウム・塩化カルシウム・水和物)を用いることが好ましい。本明細書では、塩の形のものも含めて次亜塩素酸と呼んでいる。
これらはいずれも市販品を入手できる。
これらの酸化剤を用いて化学酸化処理を行う場合の温度は、室温又は成り行きでよく、また30〜90℃の適当な範囲に温度調節して行なってもよい。とくに、過硫酸塩による酸化の場合は、加熱することによって処理が促進される。
一方,廃液の有機物濃度を短時間に低減させるためには、酸化剤の添加濃度を高める必要があるが、高濃度酸化の場合には処理された写真廃液の酸化剤が残留し易く好ましくない。その場合は、高濃度酸化剤のもとでの酸化の後、十分に長い攪拌放置時間を取って反応時間を十分に長く取ることが好ましい。
上記の塩素および/又は次亞塩素酸による処理については特開昭53−41055号公報などに記載されている技術も利用できる。
また、過硫酸酸化処理については特開昭61−230144号公報などに記載されている技術も利用できる。
(ハロゲン化物除去及び銀除去)
写真廃液は感光材料由来の銀をチオ硫酸銀錯塩などの形で含有しているが、銀は有価物であるので、事前に回収することが望ましい。ただし、チオ硫酸銀錯塩(定着銀)は、動植物に無害であるので、微量の銀が残留していても問題はない。銀回収方法は、写真廃液の銀回収に通常行なわれる方法のいずれでも適用できる。
写真廃液中に含まれる感光材料由来の、及び処理液処方由来のハロゲン化物は、塩素イオン、臭素イオン及び若干量の沃素イオンのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩で構成されている。これらのハロゲン化物は、微少量は必要であるが、過剰に存在すると土壌の固化を促進したり、植物の生育に有害な作用を及ぼしたりするために、除去するか、又は悪影響のない濃度まで希釈して使用するのが好ましい。塩素イオンに関しては、年間1000m2(10a)当たり1〜10kgの供給が必要であることが最近の研究で判明している。塩素イオンなどのハロゲンイオン除去手段としては、公知の任意の方法を用いることができるが、イオン交換膜電気透析法やイオン交換樹脂によるハロゲンイオンの捕集が実際的である。イオン交換膜やイオン交換樹脂は、ハロゲン化物除去の目的には1価選択性の膜又は樹脂を用いればよいが、写真廃液にはハロゲン化物以外に、硫酸塩、亜硫酸塩が含まれているので、場合によっては、これらのアニオンをも除去可能のイオン交換膜やイオン交換樹脂を選択してもよい。ただし、アニオン成分を除去することにより廃液のpHが過度にアルカリ性にならない範囲で行う必要がある。
(成分添加及び調整)
化学酸化した写真廃液に添加して使用できるリン化合物としては、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸などのほか、リン肥料として汎用されている例えば過リン酸石灰、重過リン酸石灰、苦土過リン酸、焼成リン肥、沈澱リン酸石灰などをあげることができる。これらのリン化合物は、写真廃液に添加したのち他の必要な成分添加や成分調整をしてもよく、また写真廃液や他の必要な添加物と同時に混合してもよい。
銀とハロゲン化物が除去され、好ましくはリン化合物が添加された廃液は、そのままでも液体肥料として用いることができるが、さらに成分調製を行うことが好ましい。成分調製は、pHの調整、付加したい微量成分の添加、特定成分濃度の調整、肥料形態の調整から選択して行なわれる。
pHの調整は、植物の生育に悪影響しないpH範囲への調製であって、pH3.5〜9の範囲、好ましくはpH4〜8.5の範囲に調製される。写真廃液から、ハロゲン化物を除去する過程では、イオン交換膜やイオン交換樹脂のいずれを適用した場合でも、廃液のpHはアルカリ性に多少とも移行しているのでpHの調整を必要とすることが多い。pHの調整は、イオン強度の増加を避けるためには、無機酸を避けて酢酸、クエン酸などの有機酸、あるいは炭酸ガス、さらには酸性白土などの酸性土壌などによって行なうことが好ましい。さらには、肥料が基材と混合した形態の場合には、基材の中でも酸性の、例えばピートモス(pH3.5〜4.5)やみずごけ(pH4.5〜5.0)を用いることもよい。
肥料には、上記した3要素のほかに、さらに植物の生育に必要な微量成分を付加することによって肥料としての機能を高めることができる。そのような微量成分としては、必須元素としては、上記3要素のほか、カルシウム、マグネシウム及び硫黄であり、カルシウム及び硫黄は写真廃液中に含まれている。
微量必須元素には、鉄、マンガン,銅、亜鉛、モリブデン、ホウ素及び塩素であり、鉄及び塩素は写真廃液中に含まれている。
その他の有用元素としては、珪素、ナトリウム、コバルト、ニッケル、アルミニウム及びセレンが挙げられるが、写真廃液にはナトリウムは一般的に含まれている。
微量必須元素及び微量有用元素は、自然界に常時存在している元素もあり、上記した元素をすべて意図的に供給する必要はないが、必要に応じて特定の微量元素の化合物の肥料として適正な添加量を電解処理した写真廃液・リン化合物含有組成物に加えることができる。
本発明に係る化学酸化した写真廃液を肥料とするためには、化学酸化した写真廃液そのままでも、あるいは適正量のリン化合物を混合しただけでもよいが、さらに特定成分濃度の調整を行なって、窒素、カリウム及びリンの3要素の成分濃度を調整し、さらにその他の成分調整を必要に応じて行なうことが好ましい。3要素の調整は、使用目的すなわち肥料の種類によって、適切な成分比が選択される。
成分濃度の調整は、例えば窒素成分を補正するには、尿素やアンモニア水などを添加するなど、カリウム成分を補正するには、塩化カリウムの添加、さらにはチリ硝石や硝酸カリウムなどによって両成分の補正を行なってもよい。
各肥料成分の配合比と濃度は、肥料の適用対象植物や、施肥目的などによって、適当な比率と濃度が選択されるので多様である。例えば、いわゆる5:5:5肥料と呼ばれる汎用の基礎配合肥料では、窒素、リン酸、カリ成分が植物の生育に適した比率に構成されて配合されている。花や果実対象で肥沃な土壌には、リン酸、カリ成分が配合された5:5肥料が作られる。
(肥料の形態)
肥料形態の調整としては、第一に液肥か、固形肥料かの使用形態別の調整が挙げられる。
液肥の形態には、原液供給形態、希釈された使用液形態などが用いられ、それぞれの使用形態に応じて減圧濃縮や水希釈などの濃度調節と収納容器の選択が行なわれる。
固形肥料の場合には、粉末状、顆粒状などの製品形態に応じて、噴霧乾燥、減圧蒸発乾燥などの固化や後に述べる造粒が行なわれる。固形肥料の場合は、上記の調整済みの液体肥料をそのまま固化し、さらには造粒した濃厚固形剤の形態と基材と混合してから固化させた、更には造粒した固形肥料の形態が選択される。
前者の固形肥料、すなわち濃厚固形肥料は、造粒された形態が好ましく、造粒方法に付いては、土壌改良剤の造粒方法に含めて後述する。
基材と混合した固形肥料の形態では、基材は土壌改良剤用の基材の中から選択されるので、土壌改良剤用基材に含めて説明する。
本発明の肥料の使用形態としては、肥料を含有した土壌改良剤として用いることも好ましい適用形態である。
土壌改良剤としては、基材に上記の液肥を含浸させた態様、同様に上記基材に上記固形肥料を混合した態様、上記基材の微粒又は粉末と上記液肥とを混練して造粒した形態などが好ましいが、これらに限定されない。
基材とは、植物生育用に望ましい物理性をもつ肥料,水分,空気担体を指し、通気性、保肥性、保水性に優れた土壌や土壌改質剤、例えばパーライト、パーミキュライト、赤玉土、鹿沼土、コンポスト、腐葉土、ピートモス、吸水性ポリマー、合成及び/又は天然ゼオライト、合成及び/又は天然白土、みずごけ、ゼラチン、木屑及び砕木チップなどが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸やアクリル酸/アクリル酸メチル共重合体などの親水性アクリル酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などを上げることができる。
固形肥料及び土壌改良剤のとくに好ましい形態は、基材の微粒又は粉末と上記液肥とを混練して造粒した形態である。混合比率は、基材と調整済み廃液とが析出・分離することなく安定に含浸・混合されている限り任意の比率でよいが、造粒方法としては、液肥/基材の質量比は0.1〜1のものは、濃厚肥料として置肥えや希釈し用の目的に、質量比は10-4〜0.1のものは、肥力賦活剤として土壌改良剤との併用や生育不良のときの速効性の肥力増強の目的に、質量比は10-8〜10-4のものは、土壌改良材として使用できる。
<造粒>
本発明において、基材の微粒又は粉末と上記液肥とを混練して造粒する方法、さらには造粒してその粒子表面に保護のための被覆層を設ける方法は、公知の各種造粒法によって行うことができる。それら本発明に適用できる各種造粒法は、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)に記載されており、また例えば特開平4−221951号、同2−109043号公報などにも記載されている。その中でも好ましい方法として、下記に代表的造粒法を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(1)転動造粒法(造粒ハンドブック p133)
回転ドラムあるいは回転皿などの回転容器内において原料粉体を転動(ころがし)させながら液(バインダー)を散布し、界面エネルギーを原動力に雪だるま式に凝集を進めて造粒する方法。
(2)圧縮型造粒法(造粒ハンドブック p199)
回転する2つのロール間で、粉体原料を圧縮し成形する操作によってロール表面にブリケットのポケットが刻まれた成形造粒を行うブリケッティングと称する方法及び表面平滑型で板状のフレークに成形し、その後このフレークを解砕するコンパクティングと称する方法。
(3)攪拌造粒法(造粒ハンドブック p379)
容器内に設けられた攪拌翼などを用い強制的に原料粉体に流動運動を与え、液を噴霧しつつ凝集造粒を行う方法。
(4)押し出し造粒法(造粒ハンドブック p169)
原材料をダイやスクリーンの細孔から押し出して造粒する方法。押し出す機構にはスクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型などが用いられる。
(5)破砕型造粒法(造粒ハンドブック p349)
乾式法と湿式法がある。乾式法は前述の圧縮造粒法で得られたブリケットやコンパクトフレークなどを破砕して顆粒を得る方法。湿式法はあらかじめ粉体材料を加湿し、こねたものを破砕造粒する操作で、いずれの場合もハンマーによる衝撃、カッターなどによるせん断、凹凸歯型ロールや波型ロールなどを用いて圧縮破砕細分するものである。
(6)流動層造粒法(造粒ハンドブック p283)
下から吹き上げる流体中に粉体を浮遊懸濁させた状態に保ちながら、結合剤を噴霧して造粒する方法。この操作は流動化法という単位操作に属するが、これに転動、攪拌作用を併用させた流動層多機能型造粒機もある。
(7)コーティング造粒法(造粒ハンドブック p409)
核に被覆物質やバインダーの溶液を噴霧した核表面に背負う粒子を付着させる造粒方法。回転ドラムで転動するパンコーティング、回転円板で転動する転動コーティング、空気流による流動層を形成する流動層コーティング、ローターの回転による遠心力とスリットエアーにより遊星運動をおこす遠心流動型コーティング等の種類がある。
(8)溶融造粒法(造粒ハンドブック p227)
溶融状態にある物質を噴射または板上滴下などにより細分化あるいはフレーク状にして、冷却凝固する方法。
(9)噴霧乾燥造粒法(造粒ハンドブック p249)
乾燥塔内の熱風気流中において、溶液、ペースト、懸濁液などを噴霧微粒化し、同時に水分を蒸発させて乾燥粒子とする造粒方法。
(10)液相造粒法(造粒ハンドブック p439)
マイクロカプセルの製造方法として知られているカプセル造粒方法。界面重合法、液中硬化被膜法、エマルション法、内包物交換法、スプレードライング法等がある。
(11)真空凍結造粒法(造粒ハンドブック p469)
常温では粒形を維持できない湿潤材料を用い、凍結(冷却固化)状態を利用して粒状物をつくる方法。
本発明では、圧縮型造粒法、コンパクティング法が本発明の効果が著しく、また、造粒した粒子表面への被覆には転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法、遠心流動型コーティング機を用いたコーティング造粒法が好ましい。
本発明の顆粒は、その表面に水溶性ポリマーを必要に応じてコーティングすることができる。コーティングに用いられる水溶性ポリマーの種類に制限はなく、例えばゼラチン、ベクチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、変性ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、カラゲナン、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の合成、半合成及び天然水溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、中でもポリエチレングリコール、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、カラゲナンの1種又は2種以上を用いることが本発明においてより好ましい。
水溶性ポリマーのコーティング量は、通常行われるコーティング量である限り格別の制約はないが、顆粒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。水溶性ポリマーのコーティング方法にも公知の方法を格別の制約なく用いることができるが、前記の転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法、溶融造粒法又は噴霧乾燥造粒法を用いることが好ましい。中でも、転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法又は噴霧造粒法によって、顆粒表面に1〜50%濃度のポリマー水溶液をスプレーコーティングし、乾燥する方法が特に好ましい。
[写真処理液]
本発明は、写真処理に用いられる結果として生じる写真廃液の利用に係るが、廃液となる前段の写真処理液について説明を加えておく。
写真処理液にはカラー処理液、黒白処理液、製版作業に伴う減力液、現像処理タンク洗浄液などがあり、黒白現像液、カラー現像液、定着液、漂白液、漂白定着液、画像安定化液などが挙げられる。
カラー現像液は、通常、芳香族第一級アミンカラー現像主薬を主成分として含有する。それは主にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例はN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリンである。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩である。該芳香族第一級アミン現像主薬の含有量は現像液1リットル当り約0.5g〜約10gの範囲である。
また黒白現像液(カラー反転処理の第1現像)中には、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン、N−メチル−p−アミノフェノール及びその硫酸塩、ヒドロキノン及びそのスルホン酸塩などが含まれている。
カラー及び黒白現像液には保恒剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を含有するのが普通で、これらの含有量は現像液1リットル当たりカラー現像液では5g以下、多くは3g以下(無添加も含む)、黒白現像液では0g〜50gである。
カラー現像液中には、保恒剤として種々のヒドロキシルアミン類を含んでいる。ヒドロキシルアミン類は置換又は無置換いずれも用いられる。置換体としてはヒドロキシアルミン類の窒素原子が低級アルキル基によって置換されているもの、とくに2個のアルキル基(例えば炭素数1〜3)によって置換されたN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミン類が挙げられる。またN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミンとトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの組合せも用いられる。ヒドロキシルアミン類の含有量は現像液1リットル当り0〜5gである。
カラー及び黒白現像液は、pH9〜12である。上記pHを保持するためには、各種緩衝剤が用いられる。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性やpH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤が多く用いられる。該緩衝剤の現像液への添加量は通常現像液1リットル当たり0.1モル〜1モルである。
その他、現像液中にはカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤として、或いは現像液の安定性向上のために各種キレート剤が添加される。その代表例としてニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用されることもある。
現像液は、各種の現像促進剤を含有する。現像促進剤としては、チオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、チオン型化合物、イミダゾール類等である。
多くのカラーペーパー用カラー現像液は、上記のカラー現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤などと共にアルキレングリコール類やベンジルアルコール類を含んでいる。一方カラーネガ用現像液、カラーポジ用現像液、一部のカラーペーパー用現像液は、これらのアルコール類を含んでいない。
また、現像液中には、カブリ防止の目的で、臭素イオンを含有することが多いが、塩化銀を主体とする感光材料に対しては臭素イオンを含まない現像液を用いることもある。その他、無機カブリ防止剤としてNaClやKClなどの塩素イオンを与える化合物を含有していることがある。また各種有機カブリ防止剤を含有していていることも多い。有機カブリ防止剤としては、例えば、アデニン類、ベンズイミダゾール類、ベンズトリアゾール類及びテトラゾール類を含有していてもよい。これらのカブリ防止剤の含有量は現像液1リットル当り0.010g〜2gである。これらのカブリ防止剤は処理中に感光材料中から溶出し、現像液中に蓄積するものも含まれる。特に本発明において上記したような臭素イオンや塩素イオン等の総ハロゲンイオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上であるような廃液においても有効に処理することができる。特に臭素イオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上の場合に有効である。
また、現像液中には、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を含有している。
現像処理の後に脱銀処理が行なわれる。脱銀処理は、漂白工程と定着工程とによって、又は漂白定着工程によって行なわれる。漂白液用又は漂白定着液用の漂白剤について説明する。
漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III) の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などが好ましい。
これらのうち、鉄(III) の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III) の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を挙げると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などを挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、βーアラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III)錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましい。
漂白剤の添加量は、調製した処理液の濃度が0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.03〜0.80モル/リットル、更に好ましくは0.05〜0.70モル/リットル、更に好ましくは0.07〜0.50モル/リットルとなるように定められる。
漂白液や漂白定着液には、種々の公知の有機酸(例えばグリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸など)、有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸を始めとする特開平9−211819号公報に記載の一般式(A−a)で表される化合物やコージ酸を始めとする同公報に記載の一般式(B−b)で表される化合物を含有することが好ましい。これら化合物の添加量は、調製した処理液の濃度が1リットル当たり0.005〜3.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5モルとなるように定められる。
漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。pHを調整するためには、必要に応じて酸、及びアルカリである水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び酸性又はアルカリ性緩衝剤等を添加することができる。
定着液及び漂白定着液は、定着剤を含有する。定着剤としてはチオ硫酸塩が一般的である。定着剤としては、公知の定着薬品、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。本発明においては、チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。定着液及び漂白定着液中の定着薬品の濃度は、調合液1リットルあたり0.3〜3モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.0モルの範囲である。
定着液及び漂白定着液のpH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜8が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。pHを調整するためには、必要に応じて前記した酸、及びアルカリである水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び酸性又はアルカリ性緩衝剤等を添加することができる。
また、定着液や漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン等を含有させることができる。なお、蛍光増白剤は、前記したカラー現像液にも現像液中の濃度が0.02〜1.0 モル/リットルになるように含ませることもできる。漂白定着液や定着液は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0 モル/リットル含有させることが好ましい。
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
定着又は漂白定着を終了したのち水洗代替安定浴や画像安定化用安定浴が用いられることが多いが、安定浴には、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
更に、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることもできる。
[感光材料]
つぎに、写真処理の対象である感光材料について説明する。本発明に係る感光材料は、発明の目的と背景に関連して前記したように写真市場で汎用されているカラーネガフィルムなどの撮影用カラー写真感光材料及びカラー印画紙などのプリント用カラー感光材料であって、本発明はこれら感光材料を処理して生じる処理廃液に適用するのが好ましく、これらの感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられている。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。
撮影用の多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57-112751 号、同62- 200350号、同62-206541 号、62-206543 号公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
また特公昭49-15495に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59-202464 に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
色再現性を改良するために、US 4,663,271、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62-160448 、同63- 89850 の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
プリント用の感光材料は、一般に反射支持体を使用し、支持体から遠い側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置されることが多い。ハロゲン化銀乳剤としては塩化銀、高塩化銀の塩臭化銀粒子の立方晶乳剤が用いられる。
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643 (1978年12月), 22 〜23頁, "I. 乳剤製造(Emulsion preparation and types)"、および同No.18716 (1979年11月),648頁、同No.307105(1989年11月),863 〜865 頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimie et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。US 3,574,628、同 3,655,394およびGB 1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
カラー感光材料に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD3071051
化学増感剤 23頁 648 頁右欄 866頁
感度上昇剤 648 頁右欄
分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄 866 〜868 頁
強色増感剤 〜649 頁右欄
増 白 剤 24頁 647 頁右欄 868頁
光吸収剤、 25 〜26頁 649 頁右欄 873頁
フィルター、染料、 〜650 頁左欄
紫外 線吸収剤
バインダー 26頁 651 頁左欄 873 〜874 頁
可塑剤、 27頁 650 頁右欄 876頁
潤滑剤
塗布助剤、 26 〜27頁 650 頁右欄 875 〜876 頁
表面活性剤
スタチツク防止剤 27頁 650 頁右欄 876 〜877 頁
マツト剤 878 〜879 頁
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
[実施例1]
(写真廃液試料)
試験用の写真廃液として、店頭処理用小型現像機[デジタルミニラボFRONTIER350(富士写真フイルム株式会社製)]を用いて、市販のカラーペーパー(フジカラーペーパーsuper)にカラーネガからプリント焼き付けを行って、フジカラーカラーペーパー用処理剤CP-48Sを用いて処理して得た現像、漂白定着、水洗の各浴からのオーバーフロー液、すなわち現像廃液、漂白定着廃液、水洗廃液を混合したものを用いた。
<化学処理1 オゾン酸化>
上記写真廃液1Lあたり、オゾンを100mg/hrの速度で、ボールフフィルターを経由して供給し10時間の処理を行った。処理済廃液を試料Aとする。
使用装置は以下の通り;
オゾン発生装置: FM-300N,ニッコー金属製
ボールフィルター:口径クレード2G,25mmφ、木下理科製
<化学処理2 オゾン酸化+UV処理>
上記化学処理1を紫外線(UV)光を照射しながら実施した。容器は光化学反応用石英セルを用いた。処理済廃液を試料Bとする。
使用装置は以下の通り;
UV光発生装置; 450W高圧水銀灯(UM−452型、安定機としてUM−453BA型、ウシオ電機製)
<化学処理3 過酸化水素酸化>
上記写真廃液1Lあたり、10%過酸化水素水を、攪拌しながら100mL添加し、更に3時間攪拌を継続した。処理済廃液を試料Cとする。
<化学処理4 過酸化水素酸化+UV処理>
上記化学処理3をUV光を照射しながら実施。容器は光化学反応用石英セルを用いた。処理済廃液を試料Dとする。
使用装置は以下の通り;
UV光発生装置; 450W高圧水銀灯(UM−452型、安定機としてUM−453BA型、ウシオ電機製)
(肥料の調製)
化学酸化処理後の各反応液を、沈殿物(硫化銀等)をろ過、除去した後、粒状水酸化カリウムでpH6.5に中和した。
上記処理後の各試料溶液各1000mL採取し,試料A-1、B-1、C-1及びD-1を準備した。いずれの試料もハロゲン化物濃度は、約10質量%(塩化ナトリウムとして)であった。
上記試料をそれぞれ50,100,500,1000倍に水希釈した試料を調製し、比較用としては純水を用意した。
(試験)
試験用植物として芝草(ペントグラス)を地表から約1cmの位置で切断したのち、これらの試験植物の各々に上記各廃液から得た肥料試料を毎日等量づつ散布して生育作用,阻害作用の視覚観察を行なった。
結果を表1に示す。
(結果)
Figure 2005082421
表1によれば、水のみを散布した比較例に対して、写真廃液を化学酸化処理して得た肥料を散布した芝草は、1週間後及び2週間後とも生長もよく、かつ色もより濃い緑色を呈し、肥効が顕著に見とめられた。特に酸化処理の際に紫外線光照射を加えた試料(試料B-1、D-1)が優れた結果を示した。
これは植物の生育に不要な有機物や有機酸がより効果的に分解されたためと推定している。
[実施例2]
(肥料及び試験)
実施例1の試料B−1及びD−1を使用し、実施例1の芝草に代えてほうれん草の種を蒔いて発芽とその後20日までの生長を観察した。
結果を表2に示す。
(結果)
Figure 2005082421
水のみを散布した比較例に対して、本発明の肥料散布試料は、発芽が若干遅れたものの、発芽後の生長は良好で、20日後には、濃い緑色のほうれん草が生長しつつある。

Claims (13)

  1. 写真廃液に化学酸化処理を施し、必要に応じて成分濃度を調整して得られることを特徴とする肥料。
  2. 化学酸化処理がオゾン、過酸化水素、過硫酸,塩素及び次亜塩素酸から選ばれる少なくとも1種を用いる化学酸化処理であることを特徴とする請求項1に記載の肥料。
  3. 化学酸化処理の前又は同時に写真廃液中の含有銀を回収することを特徴とする請求項1又は2に記載の肥料。
  4. 写真廃液に化学酸化処理を施す前又は後に該廃液中のハロゲン化物の濃度を低減させる処理を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の肥料。
  5. ハロゲン化物の濃度を低減させる処理がイオン交換膜を用いる電気透析又はイオン交換樹脂処理であることを特徴とする請求項4に記載の土壌改良剤。
  6. 写真廃液を用いて請求項1〜5のいずれかに記載の肥料を得ることを特徴とする写真廃液の再利用方法。
  7. 少なくとも化学酸化処理を施した写真廃液と、基材とを含有し、かつ成分濃度が調整されていることを特徴とする土壌改良剤。
  8. 基材がパーライト、パーミキュライト、赤玉土、鹿沼土、コンポスト、腐葉土、ピートモス、吸水性ポリマー、合成及び/又は天然ゼオライト、合成及び/又は天然白土、みずごけ、ゼラチン、木屑及び砕木チップから選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項7に記載の土壌改良剤。
  9. 化学酸化処理がオゾン、過酸化水素、過硫酸,塩素及び次亜塩素酸から選ばれる少なくとも1種を用いる化学酸化処理であることを特徴とする請求項7又は8に記載の土壌改良剤。
  10. 化学酸化処理の前又は同時に写真廃液中の含有銀を回収することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の土壌改良剤。
  11. 写真廃液に化学酸化処理を施す前又は後に該廃液中のハロゲン化物の濃度を低減させる処理を行なうことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の土壌改良剤。
  12. ハロゲン化物の濃度を低減させる処理がイオン交換膜を用いる電気透析又はイオン交換樹脂処理であることを特徴とする請求項11に記載の土壌改良剤。
  13. 写真廃液を用いて請求項7〜12のいずれかに記載の土壌改良剤とすることを特徴とする写真廃液の再利用方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011050815A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Fuji Xerox Co Ltd 水処理装置および水処理方法
CN107963774A (zh) * 2017-10-31 2018-04-27 广西宏业能源科技有限公司 一种装修污水处理方法
CN109292896A (zh) * 2018-09-30 2019-02-01 同济大学 一种控制饮用水中腐殖酸的方法

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