JP2005081511A - 被覆切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】切削工具基体上に被覆された、潤滑被膜と耐酸化被膜の両方が十分に性能を発揮する高能率切削工具を提供。
【構成】切削工具基体1に、各1層の(各2層以上でもよい)、Vを含む潤滑被膜6、6と、B、Al、Si、Crのうち1種もしくは2種以上を含む耐酸化被膜7、7とを被覆しており、かつ潤滑被膜6、6が耐酸化被膜7、7よりも基材1側に存在させた。好ましくは、該耐酸化被膜がTiを含む金属窒化物で形成されていてもよい。
さらに好ましくは、該潤滑被膜が、VN、VCNもしくはVC或いはこれらの複合膜、又は、VNから、VCNもしくはVCが最表面に向けて組成割合を漸増する、VN、VCNもしくはVCの傾斜粗成膜であることにより、潤滑被膜がより十分に性能を発揮するものとなった。
【選択図】図1
【構成】切削工具基体1に、各1層の(各2層以上でもよい)、Vを含む潤滑被膜6、6と、B、Al、Si、Crのうち1種もしくは2種以上を含む耐酸化被膜7、7とを被覆しており、かつ潤滑被膜6、6が耐酸化被膜7、7よりも基材1側に存在させた。好ましくは、該耐酸化被膜がTiを含む金属窒化物で形成されていてもよい。
さらに好ましくは、該潤滑被膜が、VN、VCNもしくはVC或いはこれらの複合膜、又は、VNから、VCNもしくはVCが最表面に向けて組成割合を漸増する、VN、VCNもしくはVCの傾斜粗成膜であることにより、潤滑被膜がより十分に性能を発揮するものとなった。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属材料等の切削加工に使用される被覆切削工具に関する。
切削加工の高能率化の要求に伴い高速マシニングセンターが普及し切削加工は高速化傾向にある。切削工具に被覆される被膜もTiN、TiCNに代わり、被膜の耐酸化性を改善した耐酸化膜であるTiAlN被膜を被覆した被覆切削工具が一般的である。一方、切削抵抗を低減する方法として、特許文献2に示すような、DLC、NiOx 、ZrOx 等の潤滑膜を工具表面に被覆し(図2(b))、切削性能を向上させた例が見られるが、これまでは例えば特許文献1に示すように、TiAlN等の耐酸化被膜の表層に潤滑膜を被覆する方法が一般的であった(図2(a))。
しかしながら、特許文献2に示す従来の方法では、図2(b)に示すように、耐酸化膜層4よりも表面側にある潤滑被膜5は酸化環境にさらされ、十分な潤滑特性を発揮できなかった。特に潤滑被膜5がDLCであると、600 ℃程度で酸化するため、アルミニウムなど切削温度の上昇しない被削材料の加工にのみ適用されている。また、バナジウム系硬質被膜の切削工具への適用は、出願人が出願中で未公開の特許文献3に示すようにイオンプレーティング法により可能となった。しかし、バナジウム炭窒化物被膜はチタン炭窒化物被膜と比較して酸化開始温度が低く、単層では高速高能率加工で十分な性能を発揮できない。
特開平2−194159号公報 請求項1
特開2000−233324号公報 請求項1
特願2003−283562号
特表平11−502775号公報 第5頁下から第4〜1行目
しかしながら、特許文献2に示す従来の方法では、図2(b)に示すように、耐酸化膜層4よりも表面側にある潤滑被膜5は酸化環境にさらされ、十分な潤滑特性を発揮できなかった。特に潤滑被膜5がDLCであると、600 ℃程度で酸化するため、アルミニウムなど切削温度の上昇しない被削材料の加工にのみ適用されている。また、バナジウム系硬質被膜の切削工具への適用は、出願人が出願中で未公開の特許文献3に示すようにイオンプレーティング法により可能となった。しかし、バナジウム炭窒化物被膜はチタン炭窒化物被膜と比較して酸化開始温度が低く、単層では高速高能率加工で十分な性能を発揮できない。
図2(a)は特許文献1に開示する、切削工具刃先の工具本体1と、工具本体1上に被覆された耐酸化被膜4、4を部分拡大した説明図で、潤滑剤が無いために摩耗部位41、42及びすくい面2に被削材が付着し、切削抵抗を増大させる結果となった。(b)は特許文献4第5頁下から第4〜1行目に開示する、(a)の耐酸化被膜4、4の表層に潤滑膜5、5を被覆したものを部分拡大した説明図である。(b)では最初に潤滑膜5、5は摩耗部位41、42に被覆されているが、使用開始時に摩耗してしまい、摩耗部位41、42からなくなってしまう。このため、摩耗部位41、42以外のすくい面2に対しては被削材の付着を防止する効果と切り屑の排出効果が得られるが、最も負荷の高い切れ刃の摩耗部位41、42の耐酸化被膜4、4に対しては被削材の付着を抑制する効果が得られにくかった。
本発明の課題は、上記課題を解決するため、潤滑被膜と耐酸化被膜の両方が十分に性能を発揮する高能率切削工具を提供することを目的とする。
このため本発明は、切削工具基体に、少なくとも各1層の、Vを含む潤滑被膜と、B、Al、Si、Crのうち1種もしくは2種以上を含む耐酸化被膜とを被覆してなる被覆切削工具において、該潤滑被膜が該耐酸化被膜よりも基材側に存在することを特徴とする被覆切削工具を提供することによって上記した従来方法の課題を解決した。
かかる構成により、本発明は切削工具基材側にVを含む潤滑被膜を被覆し、その上に耐酸化被膜とを被覆したので、図1に示すように、最も負荷の高い切れ刃の摩耗部位41、42においても潤滑被膜6、6から潤滑物質8が流出するので、摩耗部位41、42の耐酸化被膜7、7に対しては被削材の付着を抑制するものとなり、潤滑被膜6、6と耐酸化被膜7、7の両方が十分に性能を発揮する高能率切削工具を提供するものとなった。
好ましくは、該耐酸化被膜がTiを含む金属窒化物で形成されていてもよい。
さらに好ましくは、該潤滑被膜が、VN、VCNもしくはVC或いはこれらの複合膜、又はVNから、VCNもしくはVCが最表面に向けて組成割合を漸増する、VN、VCNもしくはVCの傾斜粗成膜であることにより、潤滑被膜がより十分に性能を発揮するものとなった。
さらに好ましくは、該潤滑被膜が、VN、VCNもしくはVC或いはこれらの複合膜、又はVNから、VCNもしくはVCが最表面に向けて組成割合を漸増する、VN、VCNもしくはVCの傾斜粗成膜であることにより、潤滑被膜がより十分に性能を発揮するものとなった。
本発明を実施するための最良の形態の一例を図1を参照して説明する。図1は本発明を実施するための最良の形態の一例である被覆切削工具の刃先部分の拡大した説明図で、本発明の被覆切削工具は、切削工具基体1に、各1層の(各2層以上であってもよい)、Vを含む潤滑被膜6、6と、B、Al、Si、Crのうち1種もしくは2種以上を含む耐酸化被膜7、7とを被覆しており、かつ潤滑被膜6、6が耐酸化被膜7、7よりも基材1側に存在させたものである。
〔本発明の最良の実施形態の効果〕
本発明の最良の実施形態では、図1に示すように、潤滑被膜6、6が耐酸化被膜7、7よりも基材1側に設けることで、潤滑被膜6、6自身の酸化による性能低下を抑制する。潤滑被膜6、6としてバナジウムを含む被膜を用いることにより、基材1ならびに表面の耐酸化被膜7、7との密着性を確保し、耐酸化被膜7、7、潤滑被膜6、6ともに十分に性能を発揮できるようにした。
即ち、発明者らは潤滑被膜が必ずしも最表層には必要なく、むしろ図1に模式的に示すように、固体潤滑作用を示す被膜が基材1側にあることにより、上層の耐酸化被膜7、7が潤滑被膜6、6より流出した潤滑物質8、8により保護されるものと考え、これを実証することができた。
その結果、潤滑被膜6、6を耐酸化被膜7、7よりも基材1側に設けることにより、潤滑被膜と耐酸化被膜の両方が十分に性能を発揮し、高能率切削加工が可能となった。
本発明の最良の実施形態では、図1に示すように、潤滑被膜6、6が耐酸化被膜7、7よりも基材1側に設けることで、潤滑被膜6、6自身の酸化による性能低下を抑制する。潤滑被膜6、6としてバナジウムを含む被膜を用いることにより、基材1ならびに表面の耐酸化被膜7、7との密着性を確保し、耐酸化被膜7、7、潤滑被膜6、6ともに十分に性能を発揮できるようにした。
即ち、発明者らは潤滑被膜が必ずしも最表層には必要なく、むしろ図1に模式的に示すように、固体潤滑作用を示す被膜が基材1側にあることにより、上層の耐酸化被膜7、7が潤滑被膜6、6より流出した潤滑物質8、8により保護されるものと考え、これを実証することができた。
その結果、潤滑被膜6、6を耐酸化被膜7、7よりも基材1側に設けることにより、潤滑被膜と耐酸化被膜の両方が十分に性能を発揮し、高能率切削加工が可能となった。
VCN膜の上に耐酸化膜としてTiAlN膜を成膜した超硬エンドミルによる切削試験結果を表1に示す。本発明品1はVCN膜約1.1μm、本発明品2はVCN膜の内容はVN約0.3 μm 、VNからVCN(C:N=3:7)の傾斜組成が約0.3μm、VCN約0.5μmである。比較として、VCN単層膜を成膜した超硬エンドミル、TiCN膜の上にTiAlN膜を成膜した超硬エンドミル及びTiAlN単層の超硬エンドミルによる切削試験結果を併記する。表1から明らかなように、本発明品1のVCN+TiAlNは、それぞれ、比較例のTiCN+TiAlNと比較して、エンドミル逃げ面摩耗は0.08から0.05と37%減少し、比較例の単層TiAlNと比較して、0.06から0.05と17%減少し、それぞれ寿命が1.6倍、1.2倍に延び、本発明品2のVCN+TiAlNは、それぞれ、比較例のTiCN+TiAlNと比較して、エンドミル逃げ面摩耗は0.08から0.04と50%減少し、比較例の単層TiAlNと比較して、0.06から0.04と33%減少し、それぞれ寿命が2倍、1.5倍に延びるなど、著しい好性能を示した。また、単層VCNは10m時点で摩耗が大きく試験を中止した。試験条件を以下に示す。
( 超硬エンドミル切削条件)
工具:φ10超硬6 枚刃スクェアエンドミル
切削方法:側面切削ダウンカット
被削材:SKD61(硬さ53HRC)
切り込み:軸方向10mm、径方向0.2mm
切削速度:785m/min
送り:0.07mm/ 刃
切削油:エアーブロー
切削長:20m
( 超硬エンドミル切削条件)
工具:φ10超硬6 枚刃スクェアエンドミル
切削方法:側面切削ダウンカット
被削材:SKD61(硬さ53HRC)
切り込み:軸方向10mm、径方向0.2mm
切削速度:785m/min
送り:0.07mm/ 刃
切削油:エアーブロー
切削長:20m
1 切削工具基体
6 Vを含む潤滑被膜
7 耐酸化被膜
6 Vを含む潤滑被膜
7 耐酸化被膜
Claims (3)
- 切削工具基体に、少なくとも各1層の、Vを含む潤滑被膜と、B、Al、Si、Crのうち1種もしくは2種以上を含む耐酸化被膜とを被覆してなる被覆切削工具において、該潤滑被膜が該耐酸化被膜よりも基材側に存在することを特徴とする被覆切削工具。
- 該耐酸化被膜がTiを含む金属窒化物で形成されていることを特徴とする請求項1記載の被覆切削工具。
- 該潤滑被膜が、VN、VCNもしくはVC或いはこれらの複合膜、又は、VNから、VCNもしくはVCが最表面に向けて粗成割合を漸増する、VN、VCNもしくはVCの傾斜粗成膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の被覆切削工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003317736A JP2005081511A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 被覆切削工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003317736A JP2005081511A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 被覆切削工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005081511A true JP2005081511A (ja) | 2005-03-31 |
Family
ID=34417205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003317736A Withdrawn JP2005081511A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 被覆切削工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005081511A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102785422A (zh) * | 2012-08-17 | 2012-11-21 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种氮化钒刀具涂层及其制备方法 |
CN108863371A (zh) * | 2017-05-15 | 2018-11-23 | 山东大学 | Al2O3/TiC/VN自适应织构梯度陶瓷刀具及其制备工艺 |
-
2003
- 2003-09-10 JP JP2003317736A patent/JP2005081511A/ja not_active Withdrawn
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CN102785422A (zh) * | 2012-08-17 | 2012-11-21 | 中国科学院宁波材料技术与工程研究所 | 一种氮化钒刀具涂层及其制备方法 |
CN108863371A (zh) * | 2017-05-15 | 2018-11-23 | 山东大学 | Al2O3/TiC/VN自适应织构梯度陶瓷刀具及其制备工艺 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061205 |