JP2005081181A - 高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特にビール製造に用いるろ過助剤として好適な、タンパク質の吸着能とろ過特性に優れた高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法を提供する。
【解決手段】 ケイ酸原料と石灰原料と水又は水酸化アルカリ水溶液とを含むスラリーを水熱反応させてケイ酸カルシウムスラリーを生成させ、次いでこのケイ酸カルシウムスラリーを酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去したのち、固形分を分離回収し、乾燥するろ過助剤の製造方法において、水熱処理及び酸処理の条件をチトクロームCの吸着率が30%以上になるように調整する。
【選択図】 なし
【解決手段】 ケイ酸原料と石灰原料と水又は水酸化アルカリ水溶液とを含むスラリーを水熱反応させてケイ酸カルシウムスラリーを生成させ、次いでこのケイ酸カルシウムスラリーを酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去したのち、固形分を分離回収し、乾燥するろ過助剤の製造方法において、水熱処理及び酸処理の条件をチトクロームCの吸着率が30%以上になるように調整する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ビール用ろ過助剤として好適な高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法に関するものである。
ビールをびん、缶又は樽などの容器に詰め長期間保存した場合や冷却した場合に濁りを生じることがある。この濁りは、ビール中に含まれるタンパク質やポリフェノールなどが会合して形成されるが、このような濁りを生じると商品価値低下の原因になるので、通常、濁りを生じないように安定化することが行われている。
これまで、この安定化法としては、酵素法、タンニン酸法、PVPP法、シリカゲル法などが知られているが、コストが安いこと、ビールの風味をそこなわないことなどの理由でシリカゲル法が最も多く用いられている。
このシリカゲル法は、ビール製造の最終段階でシリカゲルをビールに添加し、濁りの原因となる成分をシリカゲルに吸着させたのち、このシリカゲルをろ過して除く方法であり、例えば、焼成したシリカキセロゲルを使用することが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このようなシリカキセロゲルを用いた場合は、これで処理したのちのビールの泡持ち性が低下するという欠点がある。
しかしながら、このようなシリカキセロゲルを用いた場合は、これで処理したのちのビールの泡持ち性が低下するという欠点がある。
このような欠点を改善したものとして、シリカヒドロゲルを乾燥してキセロゲルに変えたのち、水蒸気雰囲気下において焼成したもの(特許文献2参照)や、SiO2濃度が10〜20重量%になるようにケイ酸塩と無機塩とを反応させて得たシリカヒドロゾルをゲル化し、これを水熱処理、酸処理したのち乾燥、焼成したもの(特許文献3参照)、塩類水溶液中にケイ酸ナトリウムと鉱酸とを加えて反応させたのちpHを3.0〜7.0に調整し、次いでろ過、水洗してシリカハイドロゲルとし、これを水に分散後、pHを5.5〜8.5に調整し、ろ過、水洗したのち乾燥して得たビール安定化処理用二酸化ケイ素(特許文献4参照)、コロイド粒子の粒子径分布曲線が2以上の異なるピークをもち、このピークを与える粒子径が特定の関係にあるビール清澄剤(特許文献5参照)などが提案されているが、これらのシリカゲルは安定剤や清澄剤として用いることができるだけで、ろ過助剤としての機能がなく、粒子表面の吸着能は優れているが粒子内部の吸着能を欠き、そのためビール懸濁液の固液分離に際しろ過の目詰りの原因となるのを免れなかった。
他方、シリカ原料と石灰原料とを、Siに対するCaのモル比が0.5〜1.4の範囲になる割合で混合し、水の存在下、70〜190℃の温度において水熱反応させ、次いで生成したケイ酸カルシウムスラリーに酸を加えてpH7未満に調整して沈殿してきた固形分を分取し、乾燥し、さらに所望に応じ焼成することにより耐酸性ろ過助剤を製造する方法(特許文献6参照)や、シリカ原料と石灰原料とを、CaO/SiO2モル比0.3〜1.2の割合で含有する水性スラリーを、70〜190℃の温度で加熱処理して水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムを生成させ、次いで、このスラリーに30〜100℃の温度において酸処理して得た固形分を所望に応じさらに200〜1400℃で焼成することにより耐酸性ケイ酸質系ろ過助剤を製造する方法(特許文献7参照)が知られている。
しかしながら、このろ過助剤をビール製造の際のろ過助剤として用いるには、タンパク質に対して所定の吸着能力を示すことが必要であるが、この点については、まだ十分満足できるものを得ることはできなかった。
本発明は、このような事情のもとで、特にビール製造に用いるろ過助剤として好適な、タンパク質の吸着能とろ過特性に優れた 高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、ビール製造用に適した高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法について種々研究を重ねた結果、ケイ酸原料と石灰原料から水熱処理及びそれに続く酸処理及び場合により炭酸化処理を経てろ過助剤を製造する際に、上記水熱処理、酸処理及び場合により炭酸化の条件を調整することにより、タンパク質の吸着能が高く、ろ過特性に優れたケイ酸質系ろ過助剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、ケイ酸原料と石灰原料と水又は水酸化アルカリ水溶液とを含むスラリーを水熱反応させてケイ酸カルシウムスラリーを生成させ、次いでこのケイ酸カルシウムスラリーを酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去するか、あるいはこのケイ酸カルシウムスラリーを炭酸化処理及び酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去したのち、固形分を分離回収し、乾燥するろ過助剤の製造方法において、水熱処理と酸処理又は場合により炭酸化の条件をチトクロームCの吸着率が30%以上になるように調整することを特徴とする高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法を提供するものである。
このようにして得られるろ過助剤は、細孔径10〜40nmのミクロ細孔と細孔径100〜500nmのマクロ細孔から構成された全細孔体積0.7〜1.3ml/g、平均細孔径8〜15nmのケイ酸質系多孔質粒子であり、ビール製造のろ過助剤として用いた場合、ビールに対し優れた濁り安定性、清澄性を与え、また大きいろ過速度を示すものである。
本発明において、一方の原料として用いるケイ酸原料としては、通常ケイ酸原料として用いているものであれば何でもよく、特に制限はなく、例えば石英、ケイ砂、非晶質ケイ酸、ホワイトカーボン、シラスなどの中から任意に選んで使用することができる。このほか、長石、もみがら灰、フライアッシュ、ガラス、陶石などのケイ酸含有物質を用いることもできる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのケイ酸原料の粒度については特に制限はなく、要求特性に応じて適宜選定すればよいが、スラリー中の分散性、水熱反応性、ケイ酸質系ろ過助剤の吸着能とろ過特性及び経済性などの面から、通常平均粒子径0.01〜50μm、好ましくは0.1〜20μmの範囲で選ばれる。
次に、このケイ酸原料とともに用いられる石灰原料としては、生石灰すなわち酸化カルシウム又は消石灰すなわち水酸化カルシウムを挙げることができるが、これらは単独で用いてもまた両者を混合して用いてもよい。
本発明の方法において、前記ケイ酸原料と石灰原料は、それぞれの主成分であるSiO2とCaOに基づき、CaO/SiO2のモル比が0.05〜1.5、好ましくは0.1〜1.0の範囲の割合で用いられる。このモル比が0.05未満ではケイ酸カルシウムの生成が不十分で、吸着効果が十分に発揮されないし、1.5を超えるとケイ酸カルシウムは十分に生成するが、酸処理によって酸化カルシウムを除去するために歩留りが低下するとともにろ過特性がそこなわれる。
本発明方法における水熱反応は、上記のケイ酸原料と石灰原料とを所定の割合で水又は水酸化アルカリ水溶液中に分散させて行う。この際の水酸化アルカリ水溶液としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を水に溶解して調製したものが用いられる。これらのアルカリ金属水酸化物は、単独で用いてもよいし、また2種以上の混合物として用いてもよい。
この場合のアルカリ水溶液の濃度としては、0.001〜1.0モルが好ましい。アルカリ水溶液の濃度が0.001モル未満では、生成するケイ酸カルシウムの結晶形態を変化させたり、水熱反応を促進させるアルカリ添加効果が十分に発揮されない。また、1.0モルより高くしても、アルカリ添加効果の向上はそれほどみられず、むしろろ過特性の低下が認められる。
一方、ケイ酸原料と石灰原料を含む水又は水酸化アルカリ水溶液スラリーの濃度については特に制限はないが、水熱反応性及び体積効率などを考慮すると、ケイ酸原料と石灰原料との合計量に対し、水又は水酸化アルカリ水溶液を2〜20倍質量の割合で用いるのが有利である。
本発明方法における水熱反応は、例えばオートクレーブを用いて、100〜250℃の範囲の温度で行われる。この水熱反応は自生圧力下で進行するが、必要に応じ適当に加圧して反応を行ってもよい。また、反応中は特に必要ではないが、反応速度を促進させるために、必要に応じて撹拌を行ってもよい。
この反応温度が100℃未満では反応速度が遅すぎて長時間を要し、実用的でなく、また250℃を超えると自生圧力が高くなりすぎ、装置面などにおいて耐圧性を考慮しなければならなくなるので、好ましくない。反応時間は、スラリー濃度、原料の種類や粒度、反応温度などに左右され、一概に定めることはできないが、通常は0.5〜20時間程度で十分である。
水熱処理に続く酸処理は、水熱反応で得られたケイ酸カルシウムスラリーに、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸のような無機酸、又はギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、乳酸、酸性陽イオン交換剤のような有機酸を添加することによって行われる。
この場合、塩酸、硝酸などの無機酸は、電離度が大きく、急激にpHを降下させるので、電離度の大きい塩酸、硝酸などでケイ酸カルシウムを処理する場合は、pHが急激に降下しないように希釈した酸を徐々に添加する。このようにすれば、ケイ酸カルシウムの形態を変化させることなく、酸化カルシウムが除去される。なお、ケイ酸カルシウムの結晶性に応じては、ケイ酸カルシウムスラリーを室温ないし100℃の範囲で加熱することによって、より効率的に酸化カルシウムを除去することができる。
これに対し、電離度が小さい酢酸、炭酸(スラリーに炭酸ガスを吹き込むと炭酸となる)などの場合は、高濃度の酸で直接ケイ酸カルシウムを処理しても、酸が急激にイオンに解離せず、イオンの消費に伴って、徐々にイオンに解離するため、酸化カルシウムの除去も徐々に進行し、ケイ酸カルシウムの形態が維持されたケイ酸質系多孔体が形成される。
また、ケイ酸カルシウムスラリーを室温ないし100℃の範囲で加熱すると電離度が大きくなり、酸化カルシウムの除去が促進される。なお、炭酸で処理したケイ酸カルシウムは、スラリー中にシリカ多孔体と水に難溶性の炭酸カルシウムが生成するため、炭酸カルシウムを塩酸などで溶解除去する必要がある。
この酸処理に必要な時間は、ケイ酸カルシウムの結晶化度、使用する酸の種類、濃度、処理条件などにより左右されるが、通常1〜120分間の範囲である。
この酸処理に必要な時間は、ケイ酸カルシウムの結晶化度、使用する酸の種類、濃度、処理条件などにより左右されるが、通常1〜120分間の範囲である。
本発明方法においては、上記した水熱処理及び酸処理の条件、例えば水熱処理の際に使用する水酸化アルカリ水溶液の濃度及び使用量、処理温度、処理時間、及び酸処理の際の酸の種類、酸濃度及び使用量、処理温度、処理時間を生成するろ過助剤のチトクロームCの吸着率が30%以上になるように制御することが必要である。
このチトクロームCの吸着率は、pH4に調整した濃度500μg/mlのチトクロームC水溶液100mlに試料0.3gを加え、30℃で60分間インキュベートし、5Cのろ紙を通した溶液中のチトクローム残量を分光光度計を用いて波長410nmの吸光度を測定し、以下の式に従って求めた数値である。
吸着率(%)=[(D1−D2)/D1]×100
ただし、D1は初期のチトクロームCの濃度、D2はインキュベート後のチトクロームCの濃度。
吸着率(%)=[(D1−D2)/D1]×100
ただし、D1は初期のチトクロームCの濃度、D2はインキュベート後のチトクロームCの濃度。
本発明方法においては、所望に応じ、水熱反応して得られるケイ酸カルシウムスラリーを酸処理するに先立って、炭酸化処理することもできる。この炭酸化処理は、このスラリーを30℃以下に冷却したのち、二酸化炭素ガスを吹き込むことによって行われる。この処理によって、生成するろ過助剤のミクロ細孔及びマクロ細孔の孔径及び含有割合を調節することができるので、この際の処理条件によってもチトクロームCの吸着率を制御することができる。
そして、チトクロームCの吸着率を30%にするこの炭酸化処理の条件は、二酸化炭素の吹き込み速度又は吹き込み時間あるいはその組合せによって調整することができる。
そして、チトクロームCの吸着率を30%にするこの炭酸化処理の条件は、二酸化炭素の吹き込み速度又は吹き込み時間あるいはその組合せによって調整することができる。
本発明方法においては、また酸処理後に生成物をろ過し、得られたろ過ケークに水を加え、さらに30〜150℃の範囲の温度で加熱処理することができ、物理的及び化学的安定性が増大すると同時にろ過特性も改善され、シリカゲルより優れたタンパク質の吸着能を有するケイ酸質系ろ過助剤が得られる。
この温度が30℃未満では、この処理によるろ過特性とタンパク質の吸着能の向上効果が十分に発揮されないし、150℃を超えるとろ過特性の向上効果はみられるが、比表面積の減少によりタンパク質の吸着能特性が損なわれる。この処理時間は処理温度にも左右されるが、60〜600分程度で十分である。
次に、酸処理されたスラリーは、水でカルシウム塩を洗浄して除去したのち、ろ過や遠心分離などの公知の手段によって固液分離し、得られた固形物を100〜160℃において乾燥すれば、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得ることができる。
また、本発明方法においては、固液分離した固形物又は乾燥した固形物を、必要に応じて300〜1000℃の範囲の温度で加熱処理することにより、結晶形態、含水率、比表面積、細孔体積、細孔径を任意に調整でき、物理的及び化学的安定性が増大すると同時にろ過特性も改善され、シリカゲルより優れたタンパク質の吸着能を有するケイ酸質系ろ過助剤が得られる。
この温度が300℃未満では、加熱によるろ過特性とタンパク質の吸着能の向上効果が十分に発揮されないし、1000℃を超えるとろ過特性の向上効果はみられるが、比表面積、細孔体積、細孔径の減少によるタンパク質の吸着能特性が損なわれる。加熱処理時間は加熱温度にも左右されるが、1〜300分程度で十分である。
本発明方法により得られるろ過助剤におけるチトクロームCの吸着率以外の代表的な物性としては、平均粒子径17.0μm以上、好ましくは30.0〜40μm、BET比表面積300〜700m2/g、好ましくは350〜500m2/g、全細孔体積0.7〜1.5ml/g、好ましくは1.1〜1.3ml/g、平均細孔径5〜20nm、好ましくは10〜15nm、ケークの平均ろ過比抵抗1.0〜6.0×1011cm/g、好ましくは1.0〜1.5×1011cm/g、ろ液の清澄度90.0%以上、好ましくは93.0%以上を挙げることができる。
本発明によると、特にビール製造に用いるろ過助剤として好適な、タンパク質に対する吸着能及びろ過特性の優れた高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得ることができる。
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
なお、各例中の物性は以下の方法によって求めたものである。
なお、各例中の物性は以下の方法によって求めたものである。
(1)平均粒子径と粒度分布;
レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置を用い、粒子径は体積基準で、平均粒子径(メジアン径)及び粒度分布を求めた。
レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置を用い、粒子径は体積基準で、平均粒子径(メジアン径)及び粒度分布を求めた。
(2)ケイ酸含有率;
ケイ酸含有率は、蛍光X線を用いて測定した。
ケイ酸含有率は、蛍光X線を用いて測定した。
(3)BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径;
BET比表面積測定装置を用い、250℃で十分に加熱脱気した試料について、窒素ガスを吸着させる多点法による比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を求めた。
BET比表面積測定装置を用い、250℃で十分に加熱脱気した試料について、窒素ガスを吸着させる多点法による比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を求めた。
(4)ケークの平均ろ過比抵抗;
ろ過面積21.9cm2の加圧ろ過器を用い、蛙目粘土スラリーに試料のろ過助剤をボディーフィードし、ケークの平均ろ過比抵抗(cm/g)を求めた。その際のろ過圧力は0.5kg/cm2、スラリー濃度は0.05質量%、F/C(ろ過助剤/蛙目粘土)の体積比率は0.5である。
ろ過面積21.9cm2の加圧ろ過器を用い、蛙目粘土スラリーに試料のろ過助剤をボディーフィードし、ケークの平均ろ過比抵抗(cm/g)を求めた。その際のろ過圧力は0.5kg/cm2、スラリー濃度は0.05質量%、F/C(ろ過助剤/蛙目粘土)の体積比率は0.5である。
(5)ろ液の清澄度;
分光光度計による透過率測定を利用し、遮蔽板をおいて透過率を0としたときの清澄度を0%、蒸留水の透過率を100%とみなし、上記(4)で得られたろ液の清澄度を評価した。なお、ろ液はろ過開始から2分後のものを用いた。
分光光度計による透過率測定を利用し、遮蔽板をおいて透過率を0としたときの清澄度を0%、蒸留水の透過率を100%とみなし、上記(4)で得られたろ液の清澄度を評価した。なお、ろ液はろ過開始から2分後のものを用いた。
(6)チトクロームCの吸着率;
pH4に調整した500μg/mlのチトクロームC水溶液を100ml採取し、これに試料0.3gを投入して30℃の恒温インキュベーターで1時間浸透後、5Cのろ紙を用いてろ過した。このろ液中のチトクロームCの残量を分光光度計を用いて吸光度(波長410nm)を測定し、初期濃度との差から吸着率を求めた。
pH4に調整した500μg/mlのチトクロームC水溶液を100ml採取し、これに試料0.3gを投入して30℃の恒温インキュベーターで1時間浸透後、5Cのろ紙を用いてろ過した。このろ液中のチトクロームCの残量を分光光度計を用いて吸光度(波長410nm)を測定し、初期濃度との差から吸着率を求めた。
非晶質のケイ酸原料(平均粒子径16.0μm)と生石灰原料とを、CaO/SiO2モル比が0.4になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で4時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを70℃まで冷却し、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な高濃度の酢酸(濃度99.7%)を添加し、10分間撹拌した後、ろ過し、次いで120℃で乾燥処理することにより、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
実施例1で得られたろ過ケーク固形分に対して、質量比で10倍の水を加え、50℃で8時間撹拌しながら保持した後、ろ過して120℃で乾燥することにより高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
実施例1で得られた試料を、電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
非晶質のケイ酸原料(平均粒子径2.8μm)と生石灰原料とを、CaO/SiO2モル比が0.6になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の0.05モルのNaOH溶液水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で4時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを70℃まで冷却し、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な高濃度の酢酸(濃度99.7%)を添加し、10分間撹拌し、さらに塩酸を用いてpH2に調整し、1時間保持した後、ろ過し、次いで120℃で乾燥処理することにより、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
実施例4で得られた試料を、電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
非晶質のケイ酸原料(平均粒子径2.8μm)生石灰原料をCaO/SiO2モル比が0.6になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の0.05モルのNaOH溶液水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で4時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを50℃まで冷却し、0.2モルの塩酸水溶液を用い、徐々にpH4に調整して10分間保持し、さらにpH2に調整して1時間保持した後、ろ過して120℃で乾燥処理した。この試料を電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
結晶質のケイ酸原料(平均粒子径2.3μm)と生石灰原料とを、CaO/SiO2モル比が0.6になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で8時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを30℃まで冷却し、このスラリーに、二酸化炭素ガスをオートクレーブの内圧が2kg/cm2になるように調整して2時間吹き込んだ後、2M−塩酸で処理し、ろ過して120℃で乾燥処理した。この試料を、さらに電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
結晶質のケイ酸原料(平均粒子径2.3μm)と消石灰原料とを、CaO/SiO2モル比が0.6になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の0.1モルのKOH溶液水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で8時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを70℃まで冷却し、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な高濃度の酢酸(濃度99.7%)を添加し、10分間撹拌した後、ろ過して120℃で乾燥処理することにより、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
実施例8で得られた試料を、電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤を得た。このものの平均粒子径、ケイ酸含有率、BET比表面積、全細孔体積及び平均細孔径を表1に、ケークの平均ろ過比抵抗、ろ液の清澄度及びチトクロームCの吸着率を表2に示す。
比較例1、2
市販の加熱処理されたケイソウ土系ろ過助剤(比較例1)及び市販の加熱処理されたビールの安定化処理用シリカゲル(比較例2)の性能を表1及び表2に示す。
市販の加熱処理されたケイソウ土系ろ過助剤(比較例1)及び市販の加熱処理されたビールの安定化処理用シリカゲル(比較例2)の性能を表1及び表2に示す。
本発明方法により得られる高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤は、従来のケイソウ土ろ過助剤に匹敵するろ過特性とそれよりも優れたタンパク質吸着能を有するので、特にビール製造用のろ過助剤として好適である。また、そのほか、医療分野、食品分野、農業分野におけるろ過助剤としても広く用いることができる。
Claims (14)
- ケイ酸原料と石灰原料と水又は水酸化アルカリ水溶液とを含むスラリーを水熱反応させてケイ酸カルシウムスラリーを生成させ、次いでこのケイ酸カルシウムスラリーを酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去したのち、固形分を分離回収し、乾燥するろ過助剤の製造方法において、水熱処理及び酸処理の条件をチトクロームCの吸着率が30%以上になるように調整することを特徴とする高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- ケイ酸原料と石灰原料と水又は水酸化アルカリ水溶液とを含むスラリーを水熱反応させてケイ酸カルシウムスラリーを生成させ、次いでこのケイ酸カルシウムスラリーを炭酸化処理及び酸処理して、その中の酸化カルシウムをゆっくり溶解除去したのち、固形分を分離回収し、乾燥するろ過助剤の製造方法において、水熱処理、炭酸化処理及び酸処理の条件をチトクロームCの吸着率が30%以上になるように調整することを特徴とする高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 酸処理後ろ過し、得られたろ過ケークに水を加え、さらに加熱処理する請求項1又は2記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 乾燥後さらに300〜1000℃で加熱処理する請求項1ないし3のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- ケイ酸原料が石英、ケイ砂、非晶質ケイ酸、長石、ホワイトカーボンの中から選ばれた少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 石灰原料が生石灰又は消石灰或いはその混合物である請求項1ないし5のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- ケイ酸原料と石灰原料との使用割合がそれぞれSiO2及びCaO換算のモル比CaO/SiO2で0.05〜1.5の範囲で選ばれる請求項1ないし6のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 酸処理を無機酸で行う請求項1ないし7のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 無機酸が塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸の中から選ばれた少なくとも1種である請求項8記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 酸処理を有機酸で行う請求項1ないし7のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 有機酸がギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、乳酸及び酸性陽イオン交換剤の中から選ばれた少なくとも1種である請求項10記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 水熱処理の条件をアルカリ水溶液濃度、処理温度又は処理時間或いはそれらの組合せにより調整する請求項1ないし11のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 酸処理の条件を使用する酸の種類、その濃度及び使用量、処理温度又は処理時間或いはそれらの組合せにより調整する請求項1ないし12のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
- 炭酸化処理の条件を二酸化炭素の吹き込み速度又は吹き込み時間或いはその組合せにより調整する請求項2ないし13のいずれかに記載の高タンパク質吸着性ケイ酸質系ろ過助剤の製造方法。
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JP2015091566A (ja) * | 2013-11-08 | 2015-05-14 | 太平洋セメント株式会社 | リン回収用スラリー、その製造方法、並びに、リンを含む排水からのリンの回収方法 |
CN112691640A (zh) * | 2020-12-07 | 2021-04-23 | 天津大学 | 鸡腿菇菌渣多孔碳吸附剂及其制备方法和应用 |
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- 2003-09-04 JP JP2003313309A patent/JP2005081181A/ja active Pending
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