JP2005078899A - 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ - Google Patents

電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ Download PDF

Info

Publication number
JP2005078899A
JP2005078899A JP2003306546A JP2003306546A JP2005078899A JP 2005078899 A JP2005078899 A JP 2005078899A JP 2003306546 A JP2003306546 A JP 2003306546A JP 2003306546 A JP2003306546 A JP 2003306546A JP 2005078899 A JP2005078899 A JP 2005078899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
magnetic field
magnet
energy filter
electron microscope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003306546A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuaki Osaki
光明 大▲崎▼
Katsushige Tsuno
勝重 津野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jeol Ltd filed Critical Jeol Ltd
Priority to JP2003306546A priority Critical patent/JP2005078899A/ja
Publication of JP2005078899A publication Critical patent/JP2005078899A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Abstract

【課題】 透過型電子顕微鏡の高さを抑制する。
【解決手段】 第1の鏡筒15に沿って、電子ビーム源11、電子ビームを収束して試料101に照射する第1のレンズ系12、電子ビームを収束する第2のレンズ系13、及び第1の像観察記録部14を有する第1の鏡筒部10と、第2の鏡筒34に沿って、スリット31、第3のレンズ32、及び第2の像観察記録部33を有する第2の鏡筒部30と、エネルギーフィルタ20と、を有し、前記第1及び第2の鏡筒部10,30は、前記第1及び第2の鏡筒15,34に沿ってそれぞれ進む第1及び第2の電子ビームL1,L2が、所定距離Lだけ離間して略平行に同一方向に進むように配置され、前記試料101に照射された電子ビームは、前記第1又は第2の像観察記録部14,33のいずれか一方に進むように切り換え可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子顕微鏡に関し、詳しくは、透過型電子顕微鏡において特定のエネルギーによる像を観察することができる電子顕微鏡に関する。
従来、透過型電子顕微鏡(TEM)において、エネルギーフィルタを用いて選択した特定のエネルギーによる試料の像(以下、エネルギーフィルタ像(EF像)という。)を観察又は記録するエネルギーフィルタ電顕法が利用されている。
透過型電子顕微鏡に用いられるエネルギーフィルタとしては、結像レンズ系の中間に設置したインコラムフィルタが一般的である。インコラムフィルタは、例えばΩフィルタのように多段のセクタ磁石で構成され、構成する磁石に中心面対称性を持たせることによってエネルギーフィルタ像に生ずる収差をキャンセルする特徴がある。また、インコラムフィルタは、前段のレンズのクロスオーバ面の近傍に設置することができるため、広い視野範囲の顕微鏡像を取り込むことができる。
ただし、このようなインコラムフィルタは、電子顕微鏡と一体の構造となっているため、既存の電子顕微鏡に後から組み込むことはできない。
また、透過型電子顕微鏡においては、蛍光板やテレビカメラで像を観察又は記録する像観察記録室の後段に設置するポストコラムフィルタも用いられている。ポストコラムフィルタは、一段のセクタ磁石と多段の多極レンズ及び補正子から構成される。このようなポストコラムフィルタは、既存の電子顕微鏡に外付けすることができるという利点がある。
ただし、ポストコラムフィルタは、クロスオーバ面との距離が大きくなるため、視野が狭く、高倍率の像しか観察できない欠点がある。しかしながら、エネルギーフィルタに入り込む電子ビームの角度範囲が小さくなるため、エネルギーフィルタの性能をよく出すことができる。
収差が小さいというインコラムフィルタの利点と既存の電子顕微鏡に外付けすることができるというポストコラムフィルタの利点とを双方備えるエネルギーフィルタが提案されている(特許文献1参照)。
このエネルギーフィルタは、中心対象面を有するが、入射ビームの光軸と出射ビームの光軸が一直線上にないという特徴を有している。しかし、エネルギーフィルタが像観察記録室の後段に取り付けられる点はポストコラムフィルタと同じであるので、視野が狭いという不都合は解消されていない。
一方、電子顕微鏡が高性能化するにつれて、モノクロメータや収差補正装置を組み込むために鏡筒が長くなる傾向がある。長い鏡筒のため高くなった電子顕微鏡は、機械的な安定性や設置場所の確保の観点から問題を生じてきている。
このような問題を解決することができるエネルギーフィルタとして、入射ビームと出射ビームの進行方向を逆向きにして、入射ビームと出射ビームの光軸を平行に所定距離だけ離間したWフィルタが提案されている(特許文献2参照)。Wフィルタを用いた電子顕微鏡は、エネルギーフィルタの前段と後段を2段コラム式とすることにより鏡筒を短くすることができる。
しかし、鏡筒の中間でWフィルタのために電子ビームの進行方向が逆転する2段コラム式の構造のため、像観察記録室は、電子銃とともに電子顕微鏡の上端に設けられる。このような構造上、蛍光板などを用いて像観察記録室で直接顕微鏡像を観察することは難しいので、テレビカメラなどを用いて観察することになる。
特開平11−73899号公報 特開2001−243910号公報
ところで、鏡筒のレンズ系の中間にエネルギーフィルタを設置する場合、一般にエネルギーフィルタを設置しない場合と比べてレンズの数が増加する。例えば、4段のレンズ系を有する電子顕微鏡は、レンズ系の中間にエネルギーフィルタを設置することによって、エネルギーフィルタの前段に3段又は4段、後段に2段又は3段のレンズを必要とする。この場合、レンズの数は、エネルギーフィルタを設置することにより、4段から5段乃至7段に増加する。
前述のように、機械的な安定性や設置場所の確保の観点から電子顕微鏡の高さを抑制することが要請されている。
本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、高さを抑制した電子顕微鏡及びこのような電子顕微鏡を実現するためのエネルギーフィルタを提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明に係る電子顕微鏡は、第1の鏡筒に沿って、電子ビームを出射する電子ビーム源、前記電子ビーム源から出射された電子ビームを収束して試料に照射する第1のレンズ系、及び前記試料に照射された電子ビームを収束する第2のレンズ系を有する第1の鏡筒部と、第2の鏡筒に沿って、スリット、前記スリットを透過した電子ビームを収束する第3のレンズ系、及び前記第3のレンズ系から出射された電子ビームによる前記試料の像を観察又は記録する第2の像観察記録部を有する第2の鏡筒部と、前記第2のレンズから出射された電子ビームをエネルギー分散させて前記スリットに入射させるエネルギーフィルタと、を有し、前記第1及び第2の鏡筒部は、前記第1及び第2の鏡筒に沿ってそれぞれ進む第1及び第2の電子ビームが、所定距離だけ離間して略平行に同一方向に進むように配置されたものである。
前記エネルギーフィルタは、180°の回転対称軸を有する概略S字形状を有し、前記対称軸の一方側の部分に位置し、電子を一平面内で一方向に周回させる第1の周回部と、前記対称軸の反対側に位置し、電子を前記平面内で反対方向に周回させる第2の周回部と、を有することが望ましい。
前記第1の周回部における磁場と前記第2の周回部における磁場が反対方向を向くことが望ましい。
前記エネルギーフィルタは、前記第1及び第2の電子ビーム含む前記平面内において、電子ビームが一点について180°回転対称な概略S字形状を描くよう、前記一点について反対称に磁場を印加することが望ましい。
前記エネルギーフィルタは、その入射窓面から出射窓面までの電子ビームの軌跡に沿って少なくとも4つの磁石を有することが望ましい。
前記エネルギーフィルタは、前記軌跡に沿って、第1乃至第4の磁石を有することが望ましい。
前記軌跡に沿った第1の磁石は、前記第2のレンズ系から出射された前記第1の電子ビームの光軸上に磁場を発生することができるように配置されることが望ましい。
前記第1の磁石と前記第2の磁石間の距離は、前記入射窓面と前記第1の磁石との距離より小さいことが望ましい。
前記第1の磁石の発生する磁場による電子ビームの偏向角θは、80°<θ<95°の範囲にあることが望ましい。
前記第1の鏡筒部は、前記第2のレンズ系から出射された電子ビームによる前記試料の像を観察又は記録する第1の像観察記録部を有することが望ましい。
前記第1の磁石により磁場を発生するか否かを切り換えることによって、前記磁場を発生しない場合には電子ビームを前記第1の像観察記録部に導き、前記磁場を発生する場合には電子ビームを前記第2の像観察記録部に導くように切り換えることが望ましい。
少なくとも前記第1の磁石によって磁場を発生しない場合の残留磁場を抑制するため、少なくとも前記第1の磁石を交流磁場によって消去する消磁手段を有することが望ましい。
少なくとも前記第1の磁石によって磁場を発生しない場合の残留磁場を抑制するため、少なくとも前記第1の磁石のコイルに残留磁場を相殺する方向に電流を流す手段を有することが望ましい。
前記エネルギーフィルタの少なくとも第1の磁石を前記第1の電子ビームの光軸と接離方向に移動可能な移動手段を有することが望ましい。
前記入射窓面と前記第1の磁石間の距離が、前記第1の像観察記録部の高さより短いことが望ましい。
なお、本明細書中における電子顕微鏡には、エネルギーアナライザも含むものとする。
本発明に係るエネルギーフィルタは、180°の回転対称軸を有する概略S字形状を有し、前記対称軸の一方側の部分に位置し、電子を一平面内で一方向に周回させる第1の周回部と、前記対称軸の反対側に位置し、電子を前記平面内で反対方向に周回させる第2の周回部と、を有するものである。
前記第1の周回部における磁場と前記第2の周回部における磁場が反対方向を向くことが望ましい。
一平面内において、電子ビームが一点について180°回転対称な概略S字形状を描くよう、前記一点について反対称に磁場を印加することが望ましい。
入射窓面から出射窓面までの電子ビームの軌跡に沿って少なくとも4つの磁石を有することが望ましい。
前記軌跡に沿って、第1乃至第4の磁石を有することが望ましい。
前記第1の磁石と前記第2の磁石間の距離は、前記入射窓面と前記第1の磁石との距離より小さいことが望ましい。
前記第1の磁石の発生する磁場による電子ビームの偏向角θは、80°<θ<95°の範囲にあることが望ましい。
本発明によると、電子顕微鏡の高さを抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の電子顕微鏡の概略的な構成を示す図である。
この図に示すように、電子ビーム装置は、電子ビーム源11から試料101に照射した電子ビームL1の像を観察又は記録する第1の鏡筒部10と、この第1の鏡筒部10で試料に照射された電子ビームL1をエネルギー分析するエネルギーフィルタ20と、このエネルギーフィルタ20でエネルギー分析された電子ビームL2の像を観察又は記録する第2の鏡筒部30と、を有している。
第1の鏡筒部10は、第1の鏡筒15に沿って、電子ビームL1を出射する電子ビーム源11と、この電子ビーム源11を出射した電子ビームL1を試料ホルダ102に支持された試料101に収束して照射する集束レンズとしての役割を果たす第1のレンズ系12と、試料101に照射された電子ビームL1を結像する結像レンズ又はエネルギーフィルタ20に入射するための中間レンズとしての役割を果たす第2のレンズ系13と、この第2のレンズ系13により結像された電子ビーム像を観察又は記録する第1の像記録観察部14と、を有している。
電子ビーム源11は、例えば電界放出型電子銃を備え、所定の電流の電子ビームを出射する。第1の像観測記録部14は、例えば蛍光板又はビデオカメラを備え、第2のレンズ系13で結像された電子ビームL1の像を観察又は記録する。
図2は、エネルギーフィルタ20の詳細な構成を示す図である。
エネルギーフィルタ20は、前記第1及び第2の電子ビームを含む面内において、対称点52を通るこの面に垂直な対称軸について180°の回転対称性を有する概略S字形状であり、前記対称軸の一方側の部分に位置し、電子を前記面内で一方向に周回させる第1の周回部20Aと、前記対称軸の反対側に位置し、電子を前記面内で反対方向に周回させる第2の周回部20Bと、を有する。第1の周回部20Aにおける磁場と第2の周回部20Bにおける磁場は、反対方向を向いている。
エネルギーフィルタ20は、前記面内において、電子ビームが対称点52について180°回転対称な概略S字形状を描くよう、対称点52について反対称に磁場を印加している。ここで、反対称とは、前記面内における一つの点とこの点を対称点52について180°回転した他の点では、磁場の絶対値が同じで向きが反対であることを意味するものとする。したがって、前記面内の電子ビームL3に沿って、第1の周回部20Aと第2の周回部20Bにおける対称点52について互いに180°回転対称な点では、磁場の大きさは同じであるが向きが逆である。
具体的に、エネルギーフィルタ20は、略S字形状を有し、第1乃至第4の磁石21〜24を有している。これらの磁石21〜24は、電子ビームL3が対称点52について反対称に略S字状の軌跡を描くように、第1及び第2の磁石21,22が紙面に対して上向きの磁場を発生し、第3及び第4の磁石23,24が紙面に対して下向きの磁場を発生するようになされている。
エネルギーフィルタ20は、第1の鏡筒部10の第2のレンズ系13の後段のクロスオーバ点を入射窓面51とし、この入射窓面に共役な出射窓面53となるクロスオーバ点が第2の鏡筒30のスリット31の位置となるように設置される。
ここで、電子ビームL1,L2方向に沿った入射窓面51と出射窓面53間の距離H1は、エネルギーフィルタ20のパラメータに依存している。この距離H1は、特に第1及び第2の磁石21,22の距離D2と第1の磁石21による電子ビームL3の偏向角θに大きく依存している。
図3は、距離H1と距離D2との関係を示す図である.
図中には、入射窓面51と出射窓面53間の距離H1、第1及び第2の磁石21,22間の距離D2、及び入射窓面51と第1の磁石21間の距離D3が示されている。
図3(a)は、距離D2=100mmの場合であり、距離H1は比較的大きい。分散は、1.214μm/eVである。この分散は、出射窓面53におけるものである。以下でも同様である。
図3(b)は、距離D2=150mmの場合であり、距離H1はD2=100mmに比較して小さい。分散は、1.201μm/eVである。
図3(c)は、距離D2=200mmの場合であり、距離H1はD2=100,150mmの場合とは逆で、出射窓面53が入射窓面より低い。分散は、1.190μm/eVである。
これらの例から明らかなように、距離H1を大きくするためには、距離D2を小さくする必要がある。望ましい距離D2の大きさは、電子顕微鏡の具体的なパラメータによって異なるが、いずれにせよ距離D3と比較してD2<D3の範囲にある。
図4は、距離H1と偏向角θとの関係を示す図である。
図中には、前記距離H1、第1の磁石21による電子ビームL3の偏向角θが示されている。
図4(a)は、偏向角θ=80°の場合である。分散は、1.214μm/eVである。
図4(b)は、偏向角θ=85°の場合である。距離H1は、偏向角θ=80°の場合より大きい。分散は、1.102μm/eVである。
図4(c)は、偏向角θ=90°の場合である。距離H1は、偏向角θ=80°,85°の場合より大きい。分散は、1.012μm/eVである。
これらの例に見られるように、偏向角θが大きくなるほど距離H1は大きくなるが、分散が小さくなる。特に、分散は偏向角θが95°を超えると急速に小さくなる。一方、偏向角θが80°より小さい場合には、第2の磁石22が第1の磁石21の下に来るため、エネルギーフィルタ20によって第1の像観察記録部14の領域が制限されることになる。したがって、偏向角θは、80°<θ<95°の範囲が実用的である。
なお、エネルギーフィルタ20を構成する磁石の数は、本実施の形態のように4個に限られず、4以上、好ましくは偶数個であればよい。
再び図1を参照するに、第2の鏡筒部30は、第2の鏡筒34に沿って、エネルギーフィルタ20でエネルギー分散された電子ビームの内、所定のエネルギーを有する成分を透過させるスリット31と、このスリット31を透過した電子ビームL3を結像する結像レンズとしての役割を果たす第3のレンズ系32と、この第3のレンズ系32で結像された電子ビーム像を観察又は記録する第2の像観察記録部33と、を有している。
第2の像観察記録部33は、第1の像観察記録部14と同様に、例えば蛍光板又はビデオカメラを備え、第3のレンズ系32で結像された電子ビームL2の像を観察又は記録する。
本実施の形態では、第1及び第2の鏡筒部10,30は、第1の鏡筒15に沿って進む電子ビームL1と第2の鏡筒34に沿って進む電子ビームL2とが距離Lだけ離間して略平行であり、進行方向は同一であるように設置される。
エネルギーフィルタ20は、第1の鏡筒部10の第2のレンズ系13で収束された電子ビームL3のクロスオーバ点を入射窓面51とし、第2の鏡筒部30のスリット31に入射する電子ビームのクロスオーバ点を出射窓面53とするように設けられる。
本実施の形態では、入射窓面51と出射窓面53間の距離H1は、第3のレンズ系32の高さと概略同一にされる。これによって、エネルギーフィルタ20を設置したために増加したレンズ系による電子顕微鏡の高さへの影響を排除することができる。
次に、前記構成を有する電子顕微鏡の作用を説明する。
本実施の形態では、第1の鏡筒部10における電子ビームL1の像を第1の像表示部14で観察又は記録する第1の状態と、前記電子ビームL1をエネルギーフィルタ20によってエネルギー分析した電子ビームL3を観察又は記録する第2の状態を切り換えることができる。
前記第1及び第2の状態の切り換えは、第1の鏡筒部10の第2のレンズ系13の後にある第1の磁石21に磁場を発生させるか否かによって行う。磁場を発生させない場合、電子ビームL1が第1の像観察部14に直進する第1の状態になり、磁場を発生させる場合、電子ビームL1がエネルギーフィルタ20に入射する第2の状態となる。
ここで、第1の状態においては、第2のレンズ系13から出射されたレンズを第1の像観察記録部14に直進させる必要があるので、第1の磁石21の残留磁化による残留磁場を消滅させる必要がある。このためには、第1の磁石21のコイルに交流磁場を流して磁化を消去する消磁機構を設けるか、残留磁場を相殺するようにコイルに弱い電流を流せばよい。
また、第1の状態においては、第1の電子ビームL1の光軸近くに設けられた第1の磁石21による影響を排除するために、第1の磁石21を第1の電子ビームL1の接離方向に移動可能な移動機構を設けることができる。このような移動機構を設け、第1の状態では第1の磁石21を第1の電子ビームL1から遠ざけることにより、第1の磁石21のポールピース、ヨークやコイルなどによる視野の制限によって生じ得る障害を防止することができる。
第1の状態の場合、電子ビームL1は、第1の像観察記録部14の蛍光板又はビデオカメラに結像される。第1の像観察記録部14においては、試料101の顕微鏡像又は回折像を観察又は記録することができる。
一方、第2の状態の場合、前記図2に示したように、エネルギーフィルタ20に入射された電子ビームL2は、第1及び第2の磁石21,22の発生する磁場によって第1の周回部20Aに沿って反時計回りに概略180°方向を転じられ、電子ビームL1,L2の概略上流方向に向かって進む。この電子ビームL2は、対称点52を超えると、第3及び第4の磁石23,24の発生する磁場によって第2の周回部20Bに沿って時計回りに概略180度方向を転じられ、対称点52までの軌跡と反対称な軌跡を描いて第2の鏡筒部30に入射する。
エネルギーフィルタ20から第2の鏡筒部30に入射される電子ビームL3は、クロスオーバ点となる出射窓面53の位置に設けられたスリット31により、所定のエネルギーを有する電子ビームL2として選択される。
この電子ビームは、第3のレンズ系32によって結像され、第2の像観察記録部33の蛍光板又はビデオカメラに結像される。第2の像観察部33においては、エネルギーフィルタ20によって選択された所定のエネルギーの電子線L2による試料101の顕微鏡像、回折像、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)による像又はスペクトルを観察又は記録することができる。
このような第1の状態においては、第1の像観察記録室14において、エネルギー分析を行わない通常の顕微鏡像又は回折像を観察又は記録することができる。換言すると、第1の状態においては、エネルギーフィルタ20を設けない通常の電子顕微鏡等と同様な像を得ることができる。
一方、第2の状態においては、第2の像観察記録室33において、エネルギーフィルタ20によってエネルギー分析された電子ビームL3の顕微鏡像又は回折像などを観察又は記録することができる。これによって、第2の状態では、エネルギーフィルタ像又は電子エネルギー損失分光法(EELS)による結果を得ることができる。
なお、第1及び第2の状態は、その一方を選択するだけでなく、エネルギーフィルタ20に交流電流を流して交互に切り換えることができる。この場合、例えば残留時間の長い蛍光板を用いることによって、第1及び第2の像観察記録部14,33において同時に観察又は記録をすることができる。例えば、第1の像観察記録部14において顕微鏡像を観察又は記録し、同時に第2の像観察記録部33において特定エネルギーによる回折像を観察又は記録することができる。
図5は、本実施の形態の電子顕微鏡の組立方法を示すフローチャートである。
ステップS1においては、電子ビーム源11、第1及び第2のレンズ系12,13、第1の像観察記録部14を第1の鏡筒15に沿って備える第1の鏡筒部10を設置する。
ステップS2においては、スリット31、第3のレンズ系32、及び第2の像観察記録部33を第2の鏡筒部34に沿って備える第2の鏡筒部30を設置する。この第2の鏡筒部30の設置は、第1の鏡筒15に沿って進む第1の電子ビームL1と第2の鏡筒34に沿って進む第2の電子ビームL2が距離Lだけ離間して、概略平行に同一方向に進むようにする。
ステップS3においては、第1乃至第4の磁石21〜24を有するエネルギーフィルタ20を、第1の鏡筒部10の第2のレンズ系13によって収束されるクロスオーバ点を入射窓面51とし、第2の鏡筒部30のスリット31が前記入射窓面51に共役な出射窓面53になるように設置する。
本実施の形態では、既存の透過型電子顕微鏡を第1の鏡筒部10として、エネルギーフィルタ20及び第2の鏡筒部30を外付けして組み立てることもできる。この場合、第1の鏡筒部10は既に設定されているためステップS1は必要なく、第2の鏡筒部30を設置するステップS2とエネルギーフィルタ20を設置するステップS3により本実施の形態の電子顕微鏡を組み立てることができる。ただし、ステップS3においては、既存の電子顕微鏡の鏡筒を改造してエネルギーフィルタ20の第1の磁石21を電子ビームL1の光軸上に挿入することが必要である。
以上説明したように、本実施の形態の電子顕微鏡においては、概略S字形状の電子ビームの軌跡を有し、入射する第1の電子ビームL1と出射する第2の電子ビームL2が概略平行で所定距離だけ離間し、同一の進行方向であるエネルギーフィルタを採用している。そして、エネルギーフィルタ20の入射窓面51より出射窓面53を高く設定し、これらの面51,53間の距離H1と第2の鏡筒部30の第3のレンズ32の長さを概略同一にすることによって、第1の鏡筒部10を長くすることなくエネルギーフィルタ20を配置ことができる。これによって、本実施の形態の電子顕微鏡の高さを抑制することができる。また、このような構造によって、既存の電子顕微鏡を第1の鏡筒部10とし、エネルギーフィルタ20と第2の鏡筒部30を外付けすることによって本実施の形態の電子顕微鏡を組み立てることができる。
また、前記構成を有する本実施の形態の電子顕微鏡は、第2のレンズ13によるクロスオーバ点をエネルギーフィルタ20の入射窓面とするので、広い視野を確保することができる。
このように本実施の形態の電子顕微鏡は、従来のインコラムフィルタの広い視野という利点と、従来のポストコラムの既存の電子顕微鏡に外付け可能という利点とを兼ね備え、さらに高さを抑制するという利点を有する。
なお、本実施の形態は、本発明の一つの実施の形態を示すものであり、本発明はこれに限定されない。本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の適用が可能である。例えば、第1の鏡筒部10において、第1の像観察記録部14を設置しないようにすることも可能である。
本実施の形態の電子顕微鏡の概略的な構成を示す図である。 エネルギーフィルタの詳細な構成を示す図である。 距離H1と距離D2との関係を示す図である。 距離H1と偏向角θとの関係を示す図である。 本実施の形態の電子顕微鏡の組立方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10 第1の鏡筒部
11 電子源
12 第1のレンズ
13 第2のレンズ
14 第1の像観察室
15 第1の鏡筒
20 エネルギーフィルタ
21 第1の磁石
22 第2の磁石
23 第3の磁石
24 第4の磁石
30 第2の鏡筒部
31 スリット
32 第3のレンズ
33 第2の像観察室
34 第2の鏡筒

Claims (22)

  1. 第1の鏡筒に沿って、電子ビームを出射する電子ビーム源、前記電子ビーム源から出射された電子ビームを収束して試料に照射する第1のレンズ系、及び前記試料に照射された電子ビームを収束する第2のレンズ系を有する第1の鏡筒部と、
    第2の鏡筒に沿って、スリット、前記スリットを透過した電子ビームを収束する第3のレンズ系、及び前記第3のレンズ系から出射された電子ビームによる前記試料の像を観察又は記録する像観察記録部を有する第2の鏡筒部と、
    前記第2のレンズから出射された電子ビームをエネルギー分散させて前記スリットに入射させるエネルギーフィルタと、
    を有し、
    前記第1及び第2の鏡筒部は、前記第1及び第2の鏡筒に沿ってそれぞれ進む第1及び第2の電子ビームが、所定距離だけ離間して略平行に同一方向に進むように配置されたこと
    を特徴とする電子顕微鏡。
  2. 前記エネルギーフィルタは、180°の回転対称軸を有する概略S字形状を有し、前記対称軸の一方側の部分に位置し、電子を一平面内で一方向に周回させる第1の周回部と、前記対称軸の反対側に位置し、電子を前記平面内で反対方向に周回させる第2の周回部と、を有することを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡。
  3. 前記第1の周回部における磁場と前記第2の周回部における磁場が反対方向を向くことを特徴とする請求項2記載の電子顕微鏡。
  4. 前記エネルギーフィルタは、前記第1及び第2の電子ビーム含む前記平面内において、電子ビームが一点について180°回転対称な概略S字形状を描くよう、前記一点について反対称に磁場を印加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子顕微鏡。
  5. 前記エネルギーフィルタは、その入射窓面から出射窓面までの電子ビームの軌跡に沿って少なくとも4つの磁石を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子顕微鏡。
  6. 前記エネルギーフィルタは、前記軌跡に沿って、第1乃至第4の磁石を有することを特徴とする請求項5記載の電子顕微鏡。
  7. 前記軌跡に沿った第1の磁石は、前記第2のレンズ系から出射された前記第1の電子ビームの光軸上に磁場を発生することができるように配置されることを特徴とする請求項5又は6記載の電子顕微鏡。
  8. 前記第1の磁石と前記第2の磁石間の距離は、前記入射窓面と前記第1の磁石との距離より小さいことを特徴とする請求項6又は7記載の電子顕微鏡。
  9. 前記第1の磁石の発生する磁場による電子ビームの偏向角θは、80°<θ<95°の範囲にあることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子顕微鏡。
  10. 前記第1の鏡筒部は、前記第2のレンズ系から出射された電子ビームによる前記試料の像を観察又は記録する他の像観察記録部を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子顕微鏡。
  11. 前記第1の磁石により磁場を発生するか否かを切り換えることによって、前記磁場を発生しない場合には電子ビームを前記他の像観察記録部に導き、前記磁場を発生する場合には電子ビームを前記像観察記録部に導くように切り換えることを特徴とする請求項10項記載の電子顕微鏡。
  12. 少なくとも前記第1の磁石によって磁場を発生しない場合の残留磁場を抑制するため、少なくとも前記第1の磁石を交流磁場によって消去する消磁手段を有することを特徴とする請求項11記載の電子顕微鏡。
  13. 少なくとも前記第1の磁石によって磁場を発生しない場合の残留磁場を抑制するため、少なくとも前記第1の磁石のコイルに残留磁場を相殺する方向に電流を流す手段を有することを特徴とする請求項11記載の電子顕微鏡。
  14. 前記エネルギーフィルタの少なくとも第1の磁石を前記第1の電子ビームの光軸と接離方向に移動可能な移動手段を有することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の電子ビーム。
  15. 前記入射窓面と前記第1の磁石間の距離が、前記他の像観察記録部の高さより短いことを特徴とする請求項5乃至14のいずれか1項に記載の電子顕微鏡。
  16. 180°の回転対称軸を有する概略S字形状を有し、前記対称軸の一方側の部分に位置し、電子を一平面内で一方向に周回させる第1の周回部と、前記対称軸の反対側に位置し、電子を前記平面内で反対方向に周回させる第2の周回部と、を有することを特徴とするエネルギーフィルタ。
  17. 前記第1の周回部における磁場と前記第2の周回部における磁場が反対方向を向くことを特徴とする請求項16記載のエネルギーフィルタ。
  18. 一平面内において、電子ビームが一点について180°回転対称な概略S字形状を描くよう、前記一点について反対称に磁場を印加することを特徴とする請求項16又は17記載のエネルギーフィルタ。
  19. 入射窓面から出射窓面までの電子ビームの軌跡に沿って少なくとも4つの磁石を有することを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載のエネルギーフィルタ。
  20. 前記軌跡に沿って、第1乃至第4の磁石を有することを特徴とする請求項19記載のエネルギーフィルタ。
  21. 前記第1の磁石と前記第2の磁石間の距離は、前記入射窓面と前記第1の磁石との距離より小さいことを特徴とする請求項20記載のエネルギーフィルタ。
  22. 前記第1の磁石の発生する磁場による電子ビームの偏向角θは、80°<θ<95°の範囲にあることを特徴とする請求項20又は21のいずれか1項に記載のエネルギーフィルタ。
JP2003306546A 2003-08-29 2003-08-29 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ Withdrawn JP2005078899A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003306546A JP2005078899A (ja) 2003-08-29 2003-08-29 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003306546A JP2005078899A (ja) 2003-08-29 2003-08-29 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005078899A true JP2005078899A (ja) 2005-03-24

Family

ID=34409596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003306546A Withdrawn JP2005078899A (ja) 2003-08-29 2003-08-29 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005078899A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019043946A1 (ja) * 2017-09-04 2019-03-07 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子線装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019043946A1 (ja) * 2017-09-04 2019-03-07 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子線装置
US11640897B2 (en) 2017-09-04 2023-05-02 Hitachi High-Technologies Corporation Charged particle beam device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10741355B1 (en) Multi-beam charged particle system
CN101390186B (zh) 像差校正阴极透镜显微镜仪器
JP6173862B2 (ja) 電子顕微鏡
JP2002516026A (ja) 粒子−光学装置におけるレンズ欠陥補正用の補正デバイス
JP6265643B2 (ja) 電子ビーム装置
JP2017517119A (ja) 2重ウィーンフィルタ単色計を用いる電子ビーム画像化
EP1895564B1 (en) Electron beam system for aberration correction
US9966219B2 (en) Electron energy loss spectrometer
US9905391B2 (en) System and method for imaging a sample with an electron beam with a filtered energy spread
TWI749396B (zh) 電磁複合透鏡、帶電粒子光學系統、及用以組態具有光軸之電磁複合透鏡之方法
JP4759733B2 (ja) 電子顕微鏡
US9543115B2 (en) Electron microscope
US7361897B2 (en) Imaging apparatus for high probe currents
JP2005078899A (ja) 電子顕微鏡及びエネルギーフィルタ
JP5452722B2 (ja) 収差補正装置およびそれを用いた荷電粒子線装置
US6717141B1 (en) Reduction of aberrations produced by Wien filter in a scanning electron microscope and the like
JP7103926B2 (ja) 改善されたeels/eftemモジュールを有する透過型荷電粒子顕微鏡およびその使用方法
US7977630B2 (en) Electron microscope
JP3849353B2 (ja) 透過型電子顕微鏡
JP3869957B2 (ja) エネルギーフィルタを備える透過型電子顕微鏡
EP3731255B1 (en) Energy filter and charged particle beam apparatus
JP2001351555A (ja) エネルギーフィルタを備えた電子顕微鏡
JP2005310512A (ja) 電子光学システム及び電子顕微鏡
JP2005183021A (ja) エネルギーアナライザ
JPH03257749A (ja) 電子線装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20061107