JP2005078849A - ナノ構造制御高分子イオン交換膜の製造方法 - Google Patents

ナノ構造制御高分子イオン交換膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高分子イオン交換膜における欠点であるイオン交換容量が小さく、耐酸化性、寸法安定性及び耐メタノール性が悪いことなどを解決課題とする。
【解決手段】 基材とした高分子フィルムをイオン照射してナノサイズの照射損傷領域を作り、機能性モノマーをグラフト又は共グラフトし、更にグラフト鎖へスルホン酸基を導入することによって、優れた耐酸化性、寸法安定性、及び耐メタノール性を有し、かつイオン交換容量が広い範囲内に制御された高分子イオン交換膜の製造法を確立した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池への使用に適した固体高分子電解質膜である高分子イオン交換膜の製造方法に関する。
また、本発明は、燃料電池に適した固体高分子電解質膜で、優れた耐酸化性、耐熱性及び寸法安定性と共にイオン交換容量を広い範囲内に制御できる高分子イオン交換膜の製造方法に関する。
固体高分子電解質型イオン交換膜を用いた燃料電池は、エネルギー密度が高いことから、電気自動車の電源や簡易補助電源として期待されている。この燃料電池において、優れた特性を有する高分子イオン交換膜の開発は最も重要な技術の一つである。
高分子イオン交換膜型燃料電池において、イオン交換膜は、プロトンを伝導するための電解質として作用し、また、燃料である水素やメタノールと酸化剤である空気(酸素)とを直接混合させないための隔膜としての役割も有する。このようなイオン交換膜としては、電解質としてイオン交換容量が大きいこと、長期間電流を通すので膜の化学的な安定性、特に、膜の劣化の主因となる水酸化ラジカル等に対する耐性(耐酸化性)が優れていること、電池の動作温度である80℃以上での耐熱性があること、また、電気抵抗を低く保持するために膜の保水性が一定で高いことが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の力学的な強度や寸法安定性が優れていること、水素ガス、メタノール又は酸素ガスや空気について過剰な透過性を有しないことなどが要求される。
初期の高分子イオン交換膜型燃料電池では、スチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造した炭化水素系高分子イオン交換膜が使用された。しかし、このイオン交換膜は耐酸化性に起因する耐久性が非常に劣っていたため実用性が乏しく、その後は、デュポン社により開発されたパーフルオロスルホン酸膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」等が一般に用いられてきた。
しかしながら、「ナフィオン(登録商標)」等の従来の含フッ素系高分子イオン交換膜は、化学的な耐久性や安定性には優れているが、イオン交換容量が1meq/g前後と小さく、また、保水性が不十分でイオン交換膜の乾燥が生じてプロトン伝導性が低下したり、メタノールを燃料とする場合に膜の膨潤やメタノール又は水素ガスのクロスオーバーが起きたりする。
また、イオン交換容量を大きくするため、スルホン酸基を多く導入しようとすると、高分子鎖中に架橋構造がないために、膜が膨潤して膜の大きさが変化したり、強度が著しく低下して容易に破損したりする。したがって、従来の含フッ素系高分子のイオン交換膜ではスルホン酸基の量を膜の大きさや強度が保持される程度に抑える必要があり、このためイオン交換容量が1meq/g程度のものしかできなかった。
さらに、ナフィオン(登録商標)などの含フッ素系高分子イオン交換膜はモノマーの合成が困難かつ複雑で、また、これを重合してポリマー膜を製造する工程も複雑であるため、製品は非常に高価となり、プロトン交換膜型燃料電池を自動車などへ搭載して実用化する場合の大きな障害となっている。そのため、前記ナフィオン(登録商標)等に替わる低コストで高性能な電解質膜を開発する努力がなされてきた。
一方、本発明と密接に関連する放射線グラフト重合法では、高分子膜に、スルホン酸基を導入することができるモノマーをグラフトして、固体高分子電解質膜を作製する試みがなされている。本発明者らはこれらの新しい固体高分子電解質膜を開発すべく検討を重ね、架橋構造を有するポリテトラフルオロエチレンフィルムにスチレンモノマーを放射線グラフト反応により導入し、次いでスルホン化することにより、高いイオン交換容量を特徴とする固体高分子電解質膜及びその製造方法を出願した(特許文献1)。しかし、このイオン交換膜はスチレングラフト鎖が炭化水素で構成されているため、膜に長時間電流を通すとグラフト鎖部の一部に酸化が起こり、膜のイオン交換能が低下した。
さらに、本発明者らは、架橋構造を有するポリテトラフルオロエチレンフィルムにフッ素系モノマーの放射線グラフト、又は、フッ素系モノマーの放射線共グラフトに続き、グラフト鎖にスルホン基を導入することによって、高いイオン交換容量を有し優れた耐酸化性を特徴とする固体高分子電解質膜及びその製造方法を出願した(特許文献2)。しかし、通常のフッ素系高分子膜ではフッ素系モノマーはグラフト反応が膜の内部まで進行しにくく、反応条件によってはグラフト反応がフィルム表面に限られてしまうため、電解質膜としての特性を向上しにくいことが判明した。
特開2001−348439号公報 特開2002−348389号公報
本発明は、上述のような従来技術の問題点を克服するためになされたものであり、高分子固体電解質において、高分子イオン交換膜の欠点である、イオン交換容量が小さく、膜の寸法安定性が悪いこと、耐酸化性が低いこと、並びに耐熱性が低いこと、また、燃料であるメタノールや水素ガスのクロスオーバーを防ぐことを解決課題とする。
本発明は、高いイオン交換容量と優れた耐酸化性及び寸法安定性とを有する高分子イオン交換膜及びその製造法を提供するものであり、特に、燃料電池への使用に適したイオン交換膜及びその製造法を提供する。
高分子フィルムに放射線照射し種々のモノマーをグラフト又は共グラフトし、得られたグラフト鎖にスルホン酸基を導入することに関して研究を進めた結果、基材として高分子フィルムを用い、この高分子フィルム基材に、水素イオン、ヘリウムイオン又は高エネルギー重イオンを照射してナノサイズの照射損傷領域を多数形成させ、この損傷領域に特定の官能性モノマーをグラフト重合させ、更に、グラフトした分子鎖中のハロゲン基やエステル基をスルホン酸基とする高分子イオン交換膜の製造法を発明するに至った。本発明の高分子イオン交換膜は、高分子フィルム基材へのモノマーのグラフト率が10〜120%、イオン交換容量が0.3〜2.5meq/gであることを特徴とする。また、本発明の高分子イオン交換膜は、イオン交換容量などの特性を広い範囲内で適切に制御できること、耐酸化性や耐熱性が高いこと、並びに膜の寸法安定性が高いことなどのきわめて優れた特徴を有する。
本発明によって製造された高分子イオン交換膜は、優れた耐酸化性、寸法安定性、電気伝導性、及び耐メタノール特性と共に、広い範囲のイオン交換容量を有する。
このような特徴から、本発明のイオン交換膜は、特に燃料電池膜に適している。また、安価で耐久性のある電解膜やイオン交換膜として有用である。
本発明の一態様においては、高分子フィルム基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材を用いる。
この膜に、サイクロトロン加速器などによって水素イオン、ヘリウムイオン又は高エネルギー重イオンを照射する。ここで、重イオンとは炭素イオン以上のイオンをいうものとする。これらのイオンの照射によって、高分子フィルムにイオン照射による照射損傷が生じ、その照射損傷領域は照射するイオンの質量やエネルギーに依存するが、イオン1個当たりおよそナノサイズから数百ナノサイズの広がりをもっている(H. Kudo and Y. Morita, J. Polym. Sci., Part B, Vol. 39, pp. 757-762(2001))。
照射するイオンの数は個々のイオンによる照射損傷領域が重ならない程度に104〜1014個/cm2照射するのがよい。照射はサイクロン加速器などに接続された照射チェンバー内の照射台に、例えば、10cm×10cmのフィルム基材を固定し、照射チェンバー内を10-6Torr以下の真空に引いた状態で、高エネルギーイオンをスキャンしながら行なうのがよい。照射量は、予め高精度電流計で計測したイオン電流の電流量と照射時間から求めることができる。照射する高エネルギー重イオンの種類としては、炭素イオン以上の質量のイオンであって、加速器で実際にイオンを加速できるものがよい。
イオンの発生させ易さやイオンの取扱いの容易さから、炭素、窒素、酸素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどのイオン種がより好適である。また、1個のイオンの照射損傷領域を大きくするためには、金イオン、ビスマスイオン、又はウランイオンなどの質量の大きなイオンを用いてもよい。イオンのエネルギーはイオン種にもよるが、高分子フィルム基材を厚さ方向に貫通するのに十分なエネルギーであればよく、例えば、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材では、炭素イオンは40MeV以上、ネオンイオンは80MeV以上、アルゴンイオンでは180MeV以上であり、同じく厚さ100μmでは、炭素イオンは62MeV以上、ネオンイオンは130MeV以上、アルゴンイオンでは300MeV以上である。また、キセノンイオン450MeVでは厚さ40μm、ウランイオン2.6GeVでは厚さ20μmのフィルム基材を貫通することができる。
照射に用いるイオンがフィルム基材の膜厚の1/2程度の飛程でも、フィルムの両面から同種や異種のイオンを照射量を変えて照射したり、また、飛程の長いより軽いイオンと飛程の短いより重いイオンを組み合わせてフィルムの両面から照射したりすることによって、フィルムの表面から内部に向かって異なる照射損傷領域の分布を作り出すことができる。これは後述するグラフト反応において、フィルム内に異なる量又は長さのグラフト鎖、また、異なる形態の高分子構造を生ぜしめる。この結果、フィルム基材のグラフト鎖中のスルホン酸基の分布の変化を利用して、フィルム基材内の水分の分布やフィルムの燃料ガスの透過を制御することができる。
また、重イオンではフィルムの膜厚を貫通するのに、上記のような非常に高いエネルギーのイオンが必要となる。例えば、22MeVの炭素イオンのポリエチレンテレフタレートフィルム基材中での飛程は25μm程度であり、厚さ50μmのこのフィルム基材を貫通させることはできない。50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材を貫通するには40MeV程度のエネルギーが必要であるが、フィルムの両面から照射すれば22MeVの炭素イオンで十分である。より大きなエネルギーのイオンを発生させるには、より大きな加速器が必要になり、設備に大きな費用がかかる。このことからも、両面からのイオン照射は本発明におけるイオン交換膜製造にとってきわめて有効である。
イオン交換能の大きな膜を得るにはイオンの照射量を多くすればよい。イオン照射量が多いと、フィルム基材が劣化したり、照射損傷領域が重なって後述するモノマーのグラフト効率が悪くなったりする。また、照射量が少ないと、モノマーのグラフト量が少なく十分なイオン交換容量が得られない。このことから、イオン照射量は104個/cm2〜1014個/cm2の範囲がよい。
本発明による高分子イオン交換膜は、このイオン照射されたポリエチレンテレフタレートフィルム基材に以下に示すモノマーを加えて凍結脱気した後加熱し、フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、さらに、グラフト分子鎖内のスルホニルハライド基[−SO21]、スルホン酸エステル基[−SO31]、又はハロゲン基[−X2]をスルホン酸基[−SO3H]とすることにより製造する。また、グラフト鎖内の炭化水素系モノマー単位に存在するフェニル基、ケトン、エーテル基などはクロルスルホン酸でスルホン酸基を導入して製造することができる。本発明において、フィルム基材にグラフト重合するモノマー(以下、「グラフトモノマー、又は単にモノマー」ともいう)は、以下の(1)〜(10)に示すモノマー又はモノマー/コモノマー系を使用することができる(以下、モノマーとはグラフト後、このモノマー単位にスルホン酸基を導入できるものをいい、コノモマーとはグラフト後、このコモノマー単位にスルホン酸基を容易には導入できないものをいうものとする)。
(1)A群:スルホニルハライド基を有するモノマーである、CF2=CF(SO21)(式中、X1はハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、CH2=CF(SO21)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO21)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(2)B群:スルホン酸エステル基を有するモノマーである、CF2=CF(SO31)(式中、R1はアルキル基で−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、CH2=CF(SO31)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO31)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(3)C群:CF2=CF(O(CH2142)(式中、X2はハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF2=CF(OCH2(CF2142)からなる群から選択される1種類又は2種類のモノマー。
(4)次のA〜C群:
A群:CF2=CF(SO21)(式中、X1はハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、CH2=CF(SO21)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO21);
B群:CF2=CF(SO31)(式中、R1はアルキル基で−CH3、−C25、又は−C(CH33である。以下同じ。)、CH2=CF(SO31)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO31);
C群:CF2=CF(O(CH2142)(式中、X2はハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF2=CF(OCH2(CF2142
のうち少なくとも2以上の異なる群から選択される2種類以上のモノマー。
(5)A群:CF2=CF(SO21)(式中、X1はハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、CH2=CF(SO21)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO21)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーに、アクリルモノマーである、CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3)からなる群から選択される1種類以上のコモノマーを、全モノマー基準で50モル%以下の量加えたモノマー/コモノマー系。
(6)B群:CF2=CF(SO31)(式中、R1はアルキル基で−CH3、−C25、又は−C(CH33である。以下同じ。)、CH2=CF(SO31)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO31)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーに、アクリルモノマーである、CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3)からなる群から選択される1種類以上のコモノマーを、全モノマー基準で50モル%以下の量加えたモノマー/コモノマー系。
(7)C群:CF2=CF(O(CH2142)(式中、X2はハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF2=CF(OCH2(CF2)142)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーに、アクリルモノマーである、CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3)からなる群から選択される1種類以上のコモノマーを、全モノマー基準で50モル%以下の量加えたモノマー/コモノマー系。
(8)D群:スチレン、スチレン誘導体モノマーである2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tert−ブチルスチレンからなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(9)E群:アセナフチレン、ビニルケトンCH2=CH(COR4)(式中、R4は−CH3、−C25又はフェニル基(−C65)である。)、及びビニルエーテルCH2=CH(OR5)(式中、R5は−Cn2n+1(n=1〜5)、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、又はフェニル基である。)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマー。
(10)次のD〜F群:
D群:スチレン、スチレン誘導体モノマーである2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tert−ブチルスチレン;及び
E群:アセナフチレン、ビニルケトンCH2=CH(COR4)(式中、R4は−CH3、−C25又はフェニル基(−C65)である。)、及びビニルエーテルCH2=CH(OR5)(式中、R5は−Cn2n+1(n=1〜5)、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、又はフェニル基である。)
F群:CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3
のうち少なくとも2以上の異なる群から選択される2種類以上のモノマー/コモノマー系。
ここで、上記の(5)〜(7)、及び(10)におけるアクリルモノマーとしては、例えば、CH2=C(CH3)(COOH)、CH2=CF(COOCH3)、CH2=CF(COOC(CH33)、CF2=CF(COOCH3)、又はCF2=C(CH3)(COOCH3)などがある。これらのコモノマーはグラフト後、これらのコモノマー単位にスルホン酸基を導入できないので、全モノマー基準で50モル%以下の量に抑えてモノマー/コモノマー系とするのが良い。
(1)〜(10)のモノマー、及びモノマー/コモノマーは、フレオン112(CCl2FCCl2F)、フレオン113(CCl2FCClF2)、ジクロロエタン、クロロメタン、n−ヘキサン、アルコール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホオキシド等の溶媒で希釈したものを用いてもよい。
また、上記のモノマーに、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,5−ビス(トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5−ビス(トリフルオロビニロキシ)フェノールからなる群から選択される1種類以上の架橋剤を、全モノマー基準で30モル%以下の量添加してグラフト重合してもよい。
グラフト重合は、ステンレス又はガラス製の耐圧容器にイオン照射したフィルム基材を入れて十分に真空に引き、予め不活性ガスのバブリングや凍結脱気により酸素ガスを除いたモノマーを加えてグラフト重合反応させる。グラフト重合温度は、室温〜モノマーや溶媒の沸点の温度で行なうことができ、通常、0℃〜100℃で行なう。酸素の存在はグラフト反応を阻害するため、これら一連の操作はアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス中で行い、また、モノマーやモノマーを溶媒に溶かした溶液は常法の処理(バブリングや凍結脱気)で酸素を除去した状態で使用する。グラフト率(実施例の式(1)参照)は、イオン照射線量とグラフト時間が長いほど高くなる。
本発明で用いることのできるフィルム基材としては、モノマー溶液の浸透性がよい炭化水素系の高分子フィルムがあげられる。また、フッ素系の高分子フィルムはモノマー溶液の浸透性がよくないが、イオン照射をすることによりフィルム内部にモノマーが浸透し、内部でのグラフト反応が進行するようになる。本発明で用いることのできるフィルム基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム基材の代わりに、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、又はポリスルホンフィルム基材を用いてもよい。
また、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の代わりに、ポリイミド系の高分子フィルムであるポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、又はポリエーテルエーテルイミドフィルム基材を用いてもよい。
更に、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の代わりに、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム基材を用いてもよい。
フッ素系フィルムは、架橋させると高分子構造中に架橋構造が形成されてモノマーのグラフト率が向上し、更に耐熱性が高くなるため、照射による膜強度の低下を抑制することができる。したがって、高温用途において高性能を発揮する燃料電池を製造するためには架橋フィルムを使用するのが好適である。例えば、グラフトモノマーとしてスチレンを用いた場合、未架橋のポリテトラフルオロエチレンに比べ、架橋ポリテトラフルオロエチレンではグラフト率を著しく増加させることができ、未架橋のポリテトラフルオロエチレンの2〜10倍のスルホン酸基を架橋ポリテトラフルオロエチレンに導入できることを本発明者らは既に見出している(特許文献1;特開2001−348439号公報参照)。架橋構造を有するテトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体やテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の製造方法はRadiation Physical Chemistry vol. 42, NO. 1/3, pp. 139-142, 1993に掲載されている。
これらのことから、本発明においては、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の代わりに、架橋構造を有する超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、又はポリスルホンフィルム基材を使用することも好適である。
また、架橋構造を有するポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、又はポリエーテルエーテルイミドフィルム基材も好適である。
同様に、架橋構造を有するポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム基材も好適である。
グラフトしたフィルム基材にスルホン酸基を導入するには、上記(1)、(4)及び(5)のグラフトした分子鎖中の[−SO21]基を、高濃度の苛性カリ(KOH)又は苛性ソーダ(NaOH)の水溶液、水/アルコール溶液又は水/ジメチルスルホオキシド溶液中、室温〜100℃の温度で反応させて、スルホン酸塩[−SO3M](式中、Mはアルカリ金属でNa又はKである。)とし、次いでスルホン酸塩基を1N〜2N硫酸溶液中、60℃でスルホン酸基[−SO3H]とする。水/アルコール溶液に使用するアルコールは炭素数が1〜3のアルコールである。水/アルコール溶液や水/ジメチルスルホオキシド溶液の混合比は特に制限はない。
また、上記(2)、(4)及び(6)のグラフトした分子鎖中の[−SO31]基は、1N程度の水酸化カリウム溶液中か、又は1N程度の硫酸溶液などの酸性溶液中、室温〜100℃の温度で反応させて加水分解し、スルホン酸基[−SO3H]とする。同様に、上記(3)、(4)及び(7)のグラフトした分子鎖中のハロゲン基[−X2]は、亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水溶液、又は、亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水/アルコール混合溶液中で反応させてスルホン酸塩基[−SO3M](式中、Mはアルカリ金属でNa又はKである。)とし、次いでスルホン酸塩基をスルホン酸基[−SO3H]とする。
更に、上記(8)〜(10)のグラフトした分子鎖、分子鎖中のフェニル基、ナフタレン基、ケトン、及びエーテル基はクロルスルホン酸のジクロルエタン溶液やクロロホルム溶液中、室温〜60℃の温度で反応させてスルホン酸基を導入することができる。ケトン及びエーテル基では、これらの基やこの周辺の構造に対する脱塩酸反応によって、グラフト鎖中にスルホン酸基が導入される。芳香環を有する炭化水素系のフィルム基材ではクロルスルホン酸によるスルホン基の導入は基材自身もスルホン化されるので、この場合には特に架橋構造を有するフィルム基材が有効である。
また、上記(9)及び(10)のアルキル基とフェニル基とを有するビニルケトンCH2=CH(COR4)、又はビニルエーテルCH2=CH(OR5)をグラフトモノマーとして使用する場合は、アルキル基とフェニル基のグラフト鎖内の存在比率を変えることによって、これらの基のスルホン化率の違いを利用してグラフト鎖内のスルホン酸基の分布を制御することができ、炭化水素系のグラフト鎖であっても耐酸化性を付与することができる。
さらに、上記(5)〜(7)により得られるグラフト鎖中のエステル基も、苛性ソーダ(NaOH)や苛性カリ(KOH)の溶液との反応によってカルボキシル基となる。カルボキシル基は、グラフトフィルムをイオン交換膜として用いた場合にフィルム中のイオン電導にとって重要である水分の保持にきわめて有用である。
本発明による高分子イオン交換膜は、グラフト量、即ち、導入されたスルホン酸基の量によって、この膜のイオン交換容量を変えることができる。グラフト率(実施例の式(1)参照)は、同一のモノマーではイオンの線量が多いほど、また重イオンであるほど高く、フィルム基材とモノマーの接触時間(グラフト時間)が長い、又は、グラフト反応温度が高いほど高くなる。しかし、グラフト率は60〜80%で徐々に飽和する傾向を示す。本発明において、グラフト率は、フィルム基材に対し、10〜120%、好ましくは15〜100%がよい。
ここでイオン交換容量とは、乾燥イオン交換膜の重量1g当たりのイオン交換基量(meq/g)である。グラフトモノマーの種類に依存するが、グラフト率が10%以下の場合はイオン交換容量はおよそ0.3meq/g以下であり、グラフト率が120%以上の場合は膜の膨潤が大きくなる。すなわち、イオン交換基を多く導入してグラフト率を高くすれば、イオン交換容量は高くなる。しかし、イオン交換基量を多くしすぎると、含水時に膜が膨潤して膜の強度が低下する。これらのことから、本発明の高分子イオン交換膜においては、イオン交換容量は0.3meq/g〜2.5meq/g、好ましくは、0.5meq/g〜2.0meq/gである。
以上のグラフト反応を用いる場合とは別に、架橋構造を有しないか若しくは架橋構造を有する、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリアミドである高分子フィルム基材に、高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射するか、或いはフィルム基材の一つの表面に膜厚以下の飛程を有する高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、他の表面にフィルム内の飛程が重なるように、膜厚以下の飛程を有する同種又は異種のイオンを、前記の範囲内で照射量を変えて照射した後、該フィルム基材にクロルスルホン酸を反応させてフィルム基材分子鎖中に直接、スルホン酸基[−SO3H]を導入して高分子イオン交換膜を製造してもよい。この方法では、特に、炭素イオン以上の質量のあるイオンが有効である。これは、上記の高分子フィルム基材では分子内に−CH2−CH2−単位やCH2−CF2−単位が存在し、重イオン照射によってフィルム内の照射損傷領域に多くの二重結合や三級炭素についた水素原子が生成し、これがクロルスルホン酸と反応して高い濃度のスルホン酸基が固定されて、イオン交換能を示す高分子イオン交換膜が得られるためである。
イオン照射の代わりに、イオン照射後、更にX線、γ線、電子線の電離性放射線照射を照射して、モノマーをグラフト重合させたり、又は、クロルスルホン酸を反応させて高分子イオン交換膜を製造してもよい。
燃料電池膜においては、現在、燃料の候補の一つとしてメタノールが考えられているが、従来技術のパーフルオロスルホン酸膜であるナフィオン(登録商標)膜は、分子間の架橋構造がないためメタノールによって大きく膨潤し、燃料であるメタノールが電池膜を通してアノード(燃料極)からカソード(空気極)へと拡散する燃料のクロスオーバーが生じ、発電効率を低下させる問題が存在する。
燃料電池用イオン交換膜は、含水率が低すぎると運転条件のわずかな変化によって電気伝導度やガス透過係数が変わり好ましくない。従来のナフィオン(登録商標)膜は殆どが−CF2−で構成されているため、80℃以上の高い温度で電池を作動させると膜中の水原子が不足し、膜の導電率が急速に低下する。また、メタノール燃料によって膜全体が膨潤するので、メタノールや燃料ガスのクロスオーバーが顕著に起きる。これに対し、本発明のイオン交換膜は、本発明の高分子イオン交換膜においては、導入されたスルホン酸基の量やグラフトモノマーの分子構造によって、交換膜の含水率を制御することができ、また、スルホン酸基はイオンの軌跡である直線的な照射損傷領域のみに存在するので、膜の全体的な膨潤や燃料のクロスオーバーを低減することができる。
イオン照射は基材である高分子フィルムの分子構造や結晶構造に左右されず、多くの高分子フィルムに応用することができる。従って、本発明による高分子イオン交換膜においては、フィルム基材がメタノールを透過しないものであれば、水素イオンの移動はイオン照射損傷領域のスルホン酸化されたグラフト鎖を通してのみおこるので、メタノールを含めたアルコール類による膜の膨潤は殆ど認められない。したがって、本発明の高分子イオン交換膜は、改質器を用いずにメタノールを直接燃料とするダイレクト・メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)の膜として有用である。
本発明の高分子イオン交換膜は、スルホン酸基の他に、カルボキシル基などの親水基や炭化水素構造をグラフト鎖に導入することができる。含水率は主としてスルホン酸基の量に依存するが、10〜120重量%の範囲で制御することができる。一般的には、イオン交換容量が増すにつれて含水率も増大するが、本発明のイオン交換膜は含水率を制御できることから、膜の含水率は10〜120重量%、好ましくは、20〜100重量%とすることができる。
また、本発明の高分子イオン膜は、イオン交換容量が2.5meq/gとなる多量のスルホン酸基を導入しても、膜の力学的特性や寸法安定性が保たれ、実用に供することができる。高いイオン交換容量とすぐれた力学的特性とを有する膜は実用上極めて有用である。
高分子イオン交換膜は、イオン交換容量とも関係する電気伝導度が高いものほど電気抵抗が小さく、電解質膜としての性能はすぐれている。しかし、25℃におけるイオン交換膜の電気伝導度が0.05(Ω・cm)-1以下である場合は、燃料電池としての出力性能が著しく低下することが多いため、イオン交換膜の電気伝導度は0.05(Ω・cm)-1以上、より高性能のイオン交換膜では0.10(Ω・cm)-1以上に設計されていることが多い。本発明によるイオン交換膜では、25℃におけるイオン交換膜の電気伝導度がナフィオン(登録商標)膜と同等かそれよりも高い値が得られた。
イオン交換膜の電気伝導度を高めるため、イオン交換膜の厚さを薄くすることも考えられる。しかし現状では、過度に薄いイオン交換膜は破損しやすく、イオン交換膜自体の製作が難しい。したがって、通常では厚さ30〜200μmのイオン交換膜が使われている。本発明においては、膜厚は10〜300μm、好ましくは20〜150μmの範囲が有効である。
燃料電池膜においては、膜の耐酸化性は膜の耐久性(寿命)に関係する極めて重要な特性である。これは電池稼働中に発生するOHラジカル等がイオン交換膜を攻撃して、膜を劣化させるためである。高分子フィルムに炭化水素系のスチレンをグラフトした後、ポリスチレングラフト鎖をスルホン化して得た高分子イオン交換膜の耐酸化性は極めて低い。例えば、グラフト率93%のポリスチレン鎖をスルホン化したポリスチレングラフト架橋フッ素樹脂イオン交換膜は、80℃の3%過酸化水素水溶液中では、約60分でイオン交換膜が劣化し、イオン交換容量がほぼ半分となる(比較例3)。これは、OHラジカルの攻撃によって、ポリスチレン鎖が容易に分解するためである。
これに対し、本発明による高分子イオン交換膜は、グラフト鎖がフッ素系モノマーの重合体、ないしは、炭化水素系モノマーの高度架橋体であり、しかもグラフト体がナノオーダーの極微細な照射損傷領域にあるため耐酸化性がきわめて高く、80℃の3%過酸化水素水溶液中に24時間以上置いてもイオン交換容量はほとんど変化しない。
以上のように、本発明の高分子イオン交換膜は、優れた寸法安定性や耐酸化性、耐メタノール性を有すると共に、膜としての重要な特性であるイオン交換容量を0.3〜2.5meq/gの広い範囲で制御できることが特徴である。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
各測定値は以下の測定によって求めた。
(1)グラフト率
フィルム基材を主鎖部、フッ素モノマーやこれらと炭化水素系モノマー等とのグラフト重合した部分をグラフト鎖部とすると、主鎖部に対するグラフト鎖部の重量比は、次式のグラフト率(Xdg(重量%))で表される。
Figure 2005078849
(2)イオン交換容量
膜のイオン交換容量(Iex(meq/g))は次式で表される。
Figure 2005078849
n(酸基)obsの測定は、正確を期すため、膜を再度1M(1モル)硫酸溶液中に50℃で4時間浸漬し、完全に酸型(H型)とした。その後、3MのNaCl水溶液中50℃、4時間浸漬して−SO3Na型とし、置換されたプロトン(H+)を0.2NのNaOHで中和滴定し酸基濃度を求めた。
(3)含水率
室温で水中に保存しておいたH型のイオン交換膜を水中から取り出し軽くふき取った後(約1分後)の膜の重量をWs(g)とし、その後、この膜を60℃にて16時間、真空乾燥した時の膜の重量Wd(g)を乾燥重量とすると、Ws、Wdから次式により含水率が求められる。
Figure 2005078849
(4)電気伝導度
イオン交換膜の電気伝導性は、交流法による測定(新実験化学講座19、高分子化学〈II〉、p.992,丸善)で、通常の膜抵抗測定セルとヒュ−レットパッカード製のLCRメータ、E-4925Aを使用して膜抵抗(Rm)の測定を行った。1M硫酸水溶液をセルに満たして膜の有無による白金電極間(距離5mm)の抵抗を測定し、膜の電気伝導度(比伝導度)は次式を用いて算出した。
Figure 2005078849
電気伝導度測定値の比較のために、直流法でMark W. Verbrugge, Robert F. Hill等(J. Electrochem. Soc., 137, 3770-3777(1990))と類似のセル及びポテンショスタット、関数発生器を用いて測定した。交流法と直流法の測定値には良い相関性が見られた。下記の表1の値は交流法による測定値である。
(5)耐酸化性(重量残存率%)
60℃で16時間真空乾燥後のイオン交換膜の重量をW3とし、80℃の3%過酸化水素溶液に24時間処理したイオン交換膜の乾燥後重量をW4とする。
Figure 2005078849
(6)膜の長さ膨潤度(%)
スルホン酸型膜の室温における湿潤状態(水)の膜の一辺の長さをL0とし、膜を所定の条件にてメタノール溶液に浸漬した後、室温におけるメタノール溶液湿潤状態での膜の同じ片の長さをLMとすると
Figure 2005078849
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルム基材(厚さ38μm、ヘキスト社製)10cm×10cmをAVFサイクロトロン加速器(日本原子力研究所、高崎研究所)のビームラインにある照射装置(内径60cmφ×高さ100cm)内のスキャンビーム照射台に取付け、容器内を10-6Torrに脱気して、450MeV、Xe(キセノン)イオンを3×108個/cm2照射した。イオン電流は予め同様の照射台上にイオンビームを当てて測定し、次いで照射中のフィルムを透過してきたイオンの電荷量を計測して照射量を求めた。
照射容器からフィルムを取り出し、手早くフィルムを2cm×2cmに切断し、コック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れ、次いで、1,2,2−トリフルオロエチレンスルホニルフルオライド(CF2=CF(SO2F))をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー液体や穿孔フィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。この状態でガラス容器を60℃にして48時間放置した後、フィルムを取り出し、トルエン、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は17%であった。
このグラフトPETフィルムを、20重量%KOHのメタノール/水(1:2)溶液中、80℃で24時間反応させた。反応後、フィルムを取り出し、水洗し、2Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた高分子イオン膜のグラフト率、イオン交換容量(式(2))、含水率(式(3))、及び、電気伝導度(式(4))を下記の表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にして450MeV、Xe(キセノン)イオンを3×108個/cm2照射した。得られたイオン照射PETフィルム基材を2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて、さらに、1,2,2−トリフルオロエチレンスルホニルメトキサイド(CF2=CF(SO3CH3))をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー液体やフィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。このガラス容器を60℃にして48時間放置し、この後、フィルムを取りだし、トルエン、ついでアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は22%であった。
このグラフトPETフィルムを20重量%、KOHのプロパノール/水(1:2)溶液、80℃で12時間反応させた。反応後、フィルム膜を取り出し、水洗し、1Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた高分子イオン交換膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を下記の表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にして520MeV、Kr(クリプトン)イオンを3×108個/cm2照射した。得られたイオン照射PETフィルムを2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れ、次いで1,2,2−トリフルオロエチレンスルホニルフルオライド(CF2=CFSO2F)とメチル−1,2,2−トリフルオロアクリレート(CF2=CFCOOCH3)を容量比3:2に混合した溶液をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー液体やフィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。この状態でガラス容器を60℃にして48時間放置した後、フィルムを取り出し、トルエン、次いでアセトンで洗浄し、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は36%であった。
このグラフトPETフィルムを20重量%KOHのイソプロパノール/水(1:2)溶液、80℃で24時間反応させた。反応後、フィルムを取り出し、水洗し、2Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた高分子イオン交換膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を下記の表1に示す。
(実施例4)
架橋したポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略す)フィルムを得るために以下の照射を行った。厚さ25μmのポリフッ化ビニリデンフィルム基材(クレハ化学製)の10cm×10cmをSUS製オートクレーブ照射容器(内径7cmφ×高さ30cm)に入れ、容器内を10-3Torrに脱気してアルゴンガスに置換した。その後、PVDFフィルムを室温で60Co−γ線を線量率5kGy/hで線量500kGy(100時間)照射した。照射後、PVDFフィルムの架橋状態をジメチルホルムアミド溶媒でゲル化率を測定したところ80%であった。
この架橋PVDFフィルム基材に実施例1と同様の方法にて、450MeV、Xeイオンの3×108個/cm2量照射した。イオン照射後、PVDFフィルム基材を手早く2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて、さらに、1,2,2−トリフルオロエチレンスルホニルフルオライド(CF2=CF(SO2F))とメチル−1−フルオロアクリレート(CH2=CF(COOCH3))を容量比3:1に混合した溶液をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー液体やフィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。この状態でガラス容器を60℃にして48時間放置し、この後、フィルムを取りだし、トルエン、ついでアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は27%であった。
このグラフトPVDFフィルムを20重量%、KOHのジメチルスルホオキシド/水(1:2)溶液、80℃で24時間反応させた。反応後、フィルム膜を取り出し、水洗し、2Nの硫酸溶液中、60℃で4時間処理した。本実施例で得られた高分子イオン膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を下記の表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にして450MeV、Xe(キセノン)イオンを3×108個/cm2照射した。得られたイオン照射PETフィルム基材を2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて、さらに、スチレン(CH2=CH(C65))とビニルトルエン(CH2=CH(C64(CH3))の容量比2:1の溶液に5vol%のジビニルベンゼンを加えた溶液をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー溶液や穿孔フィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。この状態でガラス容器を60℃にして16時間放置し、この後、フィルムを取りだし、トルエン、ついでアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は73%であった。
このグラフトPET膜を室温にて0.5モルのクロルスルホン酸溶液(溶媒は1,2−ジクロルエタン)で12時間、室温で放置しスルホン化した。本実施例で得られた高分子イオン膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を表1に示す。
(実施例6)
架橋したポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略す)フィルムを得るために以下の照射を行った。厚さ50μmのPTFEフィルム(日東電工製)の10cm×10cm角をヒーター付きのSUS製オートクレーブ照射容器(内径7cmφ×高さ30cm)に入れ、容器内を10-3Torrに脱気してアルゴンガスに置換した。その後、電気ヒーターで加熱してPTFEフィルムの温度を340℃として、60Co−γ線を線量率3kGy/hで線量90kGy(30時間)照射した。照射後、容器を冷却してPTFEフィルムを取り出した。この高温照射で得られた架橋PTFEフィルムは、フィルムの透明性が上がっていることから、結晶サイズが未架橋PTFEよりもかなり小さくなっていることを示している。
この架橋したPTFEフィルムに実施例1と同様の方法によって、フィルム基材の表面に20MeVの炭素イオンを4×108個/cm2照射し、もう片方の面(裏面)に120MeVのAr(アルゴン)イオンを3×108個/cm2照射した。イオン照射されたPTFEフィルムを2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて、さらに、スチレン(CH2=CH(C65))とビニルトルエン(CH2=CH(C64(CH3)))の容量比2:1の溶液に5vol%のジビニルベンゼンを加えた溶液をフィルムが浸るまで入れ、凍結脱気を繰り返してモノマー溶液や穿孔フィルム中の空気を除いた。最後に、ガラス容器内をアルゴンガスで置換して密封した。この状態でガラス容器を60℃にして16時間放置し、この後、フィルムを取りだし、トルエン、ついでアセトンで洗浄し、さらに、減圧乾燥した。式(1)によって求めたフィルムのグラフト率は66%であった。
このグラフトPTFE膜を室温にて0.5モルのクロルスルホン酸溶液(溶媒は1,2−ジクロルエタン)で12時間、室温で放置しスルホン化した。本実施例で得られた高分子イオン膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を表1に示す。
(実施例7)
実施例4と同様の方法にて得た架橋PVDFフィルムに、実施例1と同様の装置にて、30MeVの炭素イオン、5×108個/cm2量照射した。イオン照射PVDFフィルムを2cm×2cmに切断しコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて、さらに、0.5モルのクロルスルホン酸溶液(溶媒は1,2−ジクロルエタン)をフィルムが浸るまで入れた。ガラス容器を封じ、室温で24時間放置しフィルムをスルホン化した。
本実施例で得られた高分子イオン膜のイオン交換容量、含水率、及び電気伝導度を下記の表1に示す。
(実施例8)
高分子イオン交換膜のアルコールによる膨潤度を測定した。実施例1〜7によって得られた膜、及びナフィオン117(デュポン社製)を3Nの硫酸溶液に浸漬し、スルホン酸基をH型とした。次いで室温水に浸漬し、湿潤状態で寸法を測定した。次に膜をメタノール濃度80vol%水溶液に浸けて60℃、3時間保持し、その後、室温まで一夜放冷した後、膜の寸法変化を測定した。その結果を表1に示す。本実施例で得られた膜は、ナフィオン膜に比べメタノールによる膜の膨潤がほとんど認められないので、直接メタノール型燃料電池の膜材料としてきわめて有効である。
表1より本発明の有効性が実証された。
(比較例1,2)
下記の表1に示したナフィオン115、ナフィオン117(ともにデュポン社製)について測定されたイオン交換容量、含水率、及び電気伝導度の結果を表1の比較例1、2に示す。
(比較例3)
実施例6と同様な方法で得られた架橋PTFEフィルム(厚さ50μm)をコック付きのガラス製セパラブル容器(内径3cmφ×高さ15cm)に入れて脱気後アルゴンガスで置換した。この状態で架橋PTFEフィルムに、再びγ線(線量率10kGy/h)を45kGy室温で照射した。アルゴンガスのバブリングによって酸素を除きアルゴンガス置換したスチレンモノマーを、架橋PTFEフィルムの入ったガラス容器に、膜が浸漬されるまで導入した。容器内を攪拌し、60℃で6時間反応させた。その後、グラフト共重合膜をトルエン、次いでアセトンで洗浄し、乾燥した。グラフト率は93%であった。このグラフト重合膜を0.5Mクロルスルホン酸溶液(溶媒は1,2−ジクロルタン)に浸漬し60℃、24時間スルホン化反応を行った。その後、この膜を水洗いしてスルホン酸基とした。
Figure 2005078849

Claims (19)

  1. 高分子フィルム基材に水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材にスルホニルハライド基を有するモノマーである、CF2=CF(SO21)(式中、X1はハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、CH2=CF(SO21)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO21)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを加えて脱気後加熱し、該フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖中のハロゲン基[−X1]をスルホン酸塩[−SO3M](式中、Mはアルカリ金属でNa又はKである。)とし、次いでスルホン酸塩基をスルホン酸基[−SO3H]とすることを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  2. 高分子フィルム基材に水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材にスルホン酸エステル基を有するモノマーである、CF2=CF(SO31)(式中、R1はアルキル基で−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、CH2=CF(SO31)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO31)からなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを加えて脱気後加熱し、該フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖中の[−SO31]基を加水分解してスルホン酸基[−SO3H]とすることを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  3. 高分子フィルム基材に水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材に、CF2=CF(O(CH2142)(式中、X2はハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF2=CF(OCH2(CF2142)からなる群から選択される1種類又は2種類のモノマーを加えて脱気後加熱し、該フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖中のハロゲン基[−X2]を亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水溶液、又は亜硫酸塩若しくは亜硫酸水素塩の水とアルコールとの混合溶液中で反応させてスルホン酸塩基[−SO3M](式中、Mはアルカリ金属でNa又はKである。)とし、次いでスルホン酸塩基をスルホン酸基[−SO3H]とすることを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  4. 高分子フィルム基材に、水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材に、
    次のA〜C群:
    A群:CF2=CF(SO21)(式中、X1はハロゲン基で−F又は−Clである。以下同じ。)、CH2=CF(SO21)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO21);
    B群:CF2=CF(SO31)(式中、R1はアルキル基で−CH3、−C25、又は−C(CH33である。以下同じ。)、CH2=CF(SO31)、及びCF2=CF(OCH2(CF214SO31);
    C群:CF2=CF(O(CH2142)(式中、X2はハロゲン基で−Br又は−Clである。以下同じ。)、及びCF2=CF(OCH2(CF2142
    のうち少なくとも2以上の異なる群から選択される2種類以上のモノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖中の官能基をスルホン酸基[−SO3H]とすることを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  5. 更に、アクリルモノマーである、CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3)からなる群から選択される1種類以上のコモノマーを、全モノマー基準で50モル%以下の量加えてグラフト重合させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  6. 高分子フィルム基材に水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材に、スチレン、スチレン誘導体モノマーである2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tert−ブチルスチレンからなる群から選択される1種類又は2種類以上のモノマーを加えて脱気後加熱し、該フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖及び/又は分子鎖中の芳香環にクロルスルホン酸でスルホン酸基[−SO3H]を導入することを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  7. 高分子フィルム基材に水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材に、アセナフチレン、ビニルケトンCH2=CH(COR4)(式中、R4は−CH3、−C25又はフェニル基(−C65)である。)、及びビニルエーテルCH2=CH(OR5)(式中、R5は−Cn2n+1(n=1〜5)、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、又はフェニル基である。)からなる群から選択されるモノマーを加えて脱気後加熱し、該フィルム基材に該モノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖及び/又は分子鎖中の芳香環にクロルスルホン酸でスルホン酸基[−SO3H]を導入することを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  8. 高分子フィルム基材に、水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、該フィルム基材に、
    次のD〜F群:
    D群:スチレン、スチレン誘導体モノマーである2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、及び4−tert−ブチルスチレン;及び
    E群:アセナフチレン、ビニルケトンCH2=CH(COR4)(式中、R4は−CH3、−C25又はフェニル基(−C65)である。)、及びビニルエーテルCH2=CH(OR5)(式中、R5は−Cn2n+1(n=1〜5)、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、又はフェニル基である。)
    F群:CF2=CR2(COOR3)(式中、R2は−CH3又は−Fであり、R3は−H、−CH3、−C25又は−C(CH33である。以下同じ。)、及びCH2=CR2(COOR3
    のうち少なくとも2以上の異なる群から選択される2種類以上のモノマー/コモノマーをグラフト重合させ、グラフトした分子鎖及び/又は分子鎖中の芳香環にクロルスルホン酸でスルホン酸基[−SO3H]を導入することを特徴とする、高分子イオン交換膜の製造方法。
  9. 高分子フィルム基材の一つの表面に膜厚以下の飛程を有する水素イオン、ヘリウムイオン、又は高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、他の表面にフィルム内の飛程が重なるように、膜厚以下の飛程を有する同種又は異種のイオンを前記の範囲内で照射量を変えて照射する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  10. 高分子フィルム基材が、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、又はポリスルホンフィルム基材である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  11. 高分子フィルム基材が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、又はポリエーテルエーテルイミドフィルム基材である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  12. 高分子フィルム基材が、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体、又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム基材である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  13. 高分子フィルム基材が架橋構造を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  14. 更に、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、3,5−ビス(トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5−ビス(トリフルオロビニロキシ)フェノールからなる群から選択される1種類以上の架橋剤を、全モノマー基準で30モル%以下の量加えてグラフト重合させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  15. グラフト率が10〜120%、イオン交換容量が0.3〜2.5meq/gであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  16. 高分子フィルム基材に高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射した後、該フィルム基材にクロルスルホン酸を反応させてフィルム基材分子鎖中にスルホン酸基[−SO3H]を導入した高分子イオン交換膜の製造方法。
  17. 高分子フィルム基材の一つの表面に膜厚以下の飛程を有する高エネルギー重イオンを104〜1014個/cm2照射し、他の表面にフィルム内の飛程が重なるように、膜厚以下の飛程を有する同種又は異種のイオンを前記の範囲内で照射量を変えて照射した後、該フィルム基材にクロルスルホン酸を反応させてフィルム基材分子鎖中にスルホン酸基[−SO3H]を導入した高分子イオン交換膜の製造方法。
  18. 高分子フィルム基材が、架橋構造を有しないか若しくは架橋構造を有する、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリアミドフィルム基材である、請求項16又は請求項17に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
  19. イオン照射に加えて、X線、γ線、電子線等の電離性放射線を照射する、請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の高分子イオン交換膜の製造方法。
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