JP2005076504A - 内燃機関の触媒制御方法及び触媒制御装置 - Google Patents

内燃機関の触媒制御方法及び触媒制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 内燃機関の触媒制御のために吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加する際に過渡時における触媒過熱や白煙などを防止する。
【解決手段】 吸気系で検出された吸入空気量に基づいて、吸入空気量の検出タイミングから、対応する排気がNOx吸蔵還元触媒を有するフィルタに到達するタイミングまでの遅延状態を、吸気遅延反映値Kdとして求める(S104)。そしてこの吸気遅延反映値Kdと吸入空気量とに基づいて遅延吸入空気相当量GAdを算出する(S106)。この遅延吸入空気相当量GAdは、過渡時においてもリアルタイムの排気流量を高精度に表している。このため、遅延吸入空気相当量GAdに基づいて燃料添加量fadを調節する(S110)ことにより、過渡時においても排気中の燃料濃度を目標床温Ttcを実現する濃度に高精度に制御することができる。このことにより課題を達成できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の排気系に設けられた添加弁から、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加することにより、添加弁よりも排気系下流に設けられた排気浄化触媒に燃料を供給して反応させる内燃機関の触媒制御方法及び装置に関する。
内燃機関に用いられる排気浄化触媒では、排気に含まれる粒子状物質を濾過し、或る程度蓄積すると排気系に設けられた添加弁から燃料を供給されることにより昇温し、このことにより粒子状物質を燃焼させて浄化する排気浄化システムが存在する(例えば特許文献1参照)。
この排気浄化システムにおいては、排気浄化触媒の触媒床温を目標床温に制御するために、吸気系に設けられているエアフローメータが検出している吸入空気量を用いて排気浄化触媒内で反応させるための燃料添加量を計算している。これは排気中に添加された燃料濃度が排気浄化触媒の昇温幅に比例するためであり、更に排気流量は吸気系に設けられているエアフローメータが検出している吸入空気量に比例するためだからである。
特開平5−44434号公報(第3−4頁、図5)
しかし添加弁は排気系に設けられており、吸気系に設けられたエアフローメータにより検出された吸入空気量を用いていたのでは、吸入空気量及び排気流量が変動する過渡時においては、吸入空気量がリアルタイムで排気流量を正確に表せなくなる。特に、吸入空気量は増加したが、排気流量は未だ対応した増加をしていない場合がある。このような場合に排気浄化触媒を昇温するために吸入空気量に基づいて燃料添加量を制御すると、必要以上に燃料が添加されて排気中の燃料濃度が過剰となり、排気浄化触媒の過熱を招き、排気浄化触媒の劣化を早めるおそれがある。あるいは過剰な燃料が白煙として外部に排出されるおそれもある。
この問題点は、粒子状物質を燃焼させて浄化する排気浄化システムばかりでなく、燃料中に含まれる硫黄成分の被毒によって硫黄成分を吸蔵した排気浄化触媒から硫黄を放出させるために昇温する場合も同じである。
更に、硫黄を放出させる場合には排気の空燃比をストイキよりもわずかに低くする制御が行われる。この場合も、特に吸入空気量は増加しているが排気流量は未だ対応した増加をしていない状態で、空燃比を下げるために吸入空気量に基づいて燃料添加量を制御すると、必要以上に燃料が添加されて排気中の燃料濃度が過剰となり、排気浄化触媒の過熱を招き、排気浄化触媒の劣化を早めるおそれがある。あるいは過剰な燃料が白煙として外部に排出されるおそれもある。尚、空燃比制御の場合は空燃比センサで判断できるが判断時には既に排気中に燃料添加されているため、空燃比センサによるフィードバック制御では過渡時の触媒過熱や白煙などを防止することは困難である。
本発明は、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加する際に過渡時における触媒過熱や白煙などを防止することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関の触媒制御方法は、内燃機関の排気系に設けられた添加弁から、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加することにより、前記添加弁よりも排気系下流に設けられた排気浄化触媒に燃料を供給して反応させる内燃機関の触媒制御方法であって、内燃機関の吸気系での吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態と前記吸入空気量とに基づいて、前記排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出し、該遅延吸入空気相当量に基づいて、前記燃料添加量を算出することを特徴とする。
このように吸入空気量の検出タイミングから、この吸入空気量に対応する排気が排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態と吸入空気量とに基づいて、排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出している。この遅延吸入空気相当量は、過渡時においてもリアルタイムの排気流量を高精度に表せるので、この遅延吸入空気相当量に基づいて燃料添加量を算出することにより、過渡時においても排気中の燃料濃度を、目的とする濃度に高精度に制御することができる。
このことにより吸入空気量は増加したが排気流量は未だ対応した増加をしていない場合においても、遅延吸入空気相当量に基づいて燃料添加量を制御することにより排気中の燃料濃度が過剰とならずに適切な状態に維持できる。したがって過渡時に排気浄化触媒の過熱を招くことなく、排気浄化触媒の劣化を早めることがない。更に過渡時に過剰な燃料が白煙として外部に排出されるおそれも無くなる。
請求項2に記載の内燃機関の触媒制御方法では、請求項1において、吸入空気量の増加時には前記遅延吸入空気相当量に基づいて前記燃料添加量を算出し、吸入空気量の減少時には内燃機関の吸気系で検出された吸入空気量に基づいて前記燃料添加量を算出することを特徴とする。
特に吸入空気量減少時においては、排気系の経路壁へ付着した添加燃料が離脱して排気中に加わる傾向にあり、燃料濃度の低下が抑制される。このため吸入空気量の減少時に吸入空気量に応じた燃料添加量の減少がなされたことと相殺して、排気浄化触媒に到達する排気中の燃料濃度は要求に近い状態となる。又、たとえ、付着燃料の離脱がほとんど無くても、過渡時に排気中の燃料濃度が必要とする濃度よりも低下するのみであり、過剰な濃度となる場合のような過熱や白煙の問題は生じない。
したがって吸入空気量の減少時には内燃機関の吸気系で検出された吸入空気量に基づいて燃料添加量を算出することができる。このような構成によっても、内燃機関の触媒制御全体として適切な燃料添加がなされることになり、過渡時の排気浄化触媒の過熱防止、白煙防止が効果的に行われる。
請求項3に記載の内燃機関の触媒制御装置は、内燃機関の排気系に設けられた添加弁から、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加することにより、前記添加弁よりも排気系下流に設けられた排気浄化触媒に燃料を供給して反応させる内燃機関の触媒制御装置であって、吸気系における吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量に基づいて、該吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態量を算出する遅延状態量算出手段と、前記遅延状態量算出手段により算出された遅延状態量と前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量とに基づいて、前記排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出する遅延吸入空気相当量算出手段と、前記遅延吸入空気相当量算出手段にて算出された遅延吸入空気相当量に基づいて、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御する添加量制御手段とを備えたことを特徴とする。
遅延状態量算出手段は、検出された吸入空気量に基づいて、吸入空気量の検出タイミングから、この吸入空気量に対応する排気が排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態を求めている。そして遅延吸入空気相当量算出手段は、この遅延状態と吸入空気量とに基づいて、排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出している。この遅延吸入空気相当量は、過渡時においてもリアルタイムの排気流量を高精度に表せるので、添加量制御手段は、この遅延吸入空気相当量に基づいて添加弁から排気系に添加される燃料添加量を調節することにより、過渡時においても排気中の燃料濃度を目的とする濃度に高精度に制御することができる。
このことにより吸入空気量が増加したが排気流量は未だ対応した増加をしていない場合においても、遅延吸入空気相当量算出手段が算出する遅延吸入空気相当量を用いて、添加量制御手段により添加量制御がなされることにより、排気中の燃料濃度が適切な状態に維持される。したがって過渡時に排気浄化触媒の過熱を招くことなく、排気浄化触媒の劣化を早めることがない。更に過渡時に過剰な燃料が白煙として外部に排出されるおそれも無くなる。
請求項4に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3において、前記添加量制御手段は、前記吸入空気量検出手段にて検出される吸入空気量の増加時には前記遅延吸入空気相当量算出手段にて算出された遅延吸入空気相当量に基づいて前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御し、前記吸入空気量検出手段にて検出される吸入空気量の減少時には前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量に基づいて前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする。
特に吸入空気量減少時においては、排気系の経路壁へ付着した添加燃料が離脱して排気中に加わる傾向にあり、燃料濃度の低下が抑制される。このため吸入空気量の減少時に添加量制御手段により吸入空気量に応じた燃料添加量の減少がなされたことと相殺して、排気浄化触媒に到達する排気中の燃料濃度は要求に近い状態となる。又、たとえ、付着燃料の離脱がほとんど無くても、過渡時に排気中の燃料濃度が必要とする濃度よりも低下するのみであり、過剰な濃度となる場合のような過熱や白煙の問題は生じない。
したがって添加量制御手段は、吸入空気量の減少時には吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量に基づいて燃料添加量を制御することができる。このような構成によっても内燃機関の触媒制御全体として適切な燃料添加がなされることになり、過渡時の排気浄化触媒の過熱防止、白煙防止が効果的に行われる。
請求項5に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3又は4において、前記添加量制御手段は、前記排気浄化触媒における添加燃料の酸化反応による反応熱で、前記排気浄化触媒を目標床温に昇温させるために、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする。
添加量制御手段が排気浄化触媒を目標床温に昇温させるために燃料添加量を制御している場合においても、過渡時に排気浄化触媒の過熱や白煙発生を招かずに触媒床温を目標床温に高精度に制御できる。
請求項6に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3〜5のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、排気中の粒子状物質を濾過し、該粒子状物質を昇温により燃焼させることで排気を浄化する触媒であることを特徴とする。
このように排気浄化触媒は、排気中の粒子状物質を濾過して昇温により燃焼させることで排気を浄化する触媒であっても良く、過渡時に排気浄化触媒の過熱や白煙発生を招かずに粒子状物質を浄化することができる。
請求項7に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3又は4において、前記添加量制御手段は、前記排気浄化触媒に流入する排気を目標空燃比とするために、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする。
特に、添加量制御手段が排気浄化触媒に目標空燃比の排気を流入させるために燃料添加量を制御している場合では、目標空燃比に高精度に制御できることにより、過渡時の白煙発生や排気浄化触媒の過熱を招くことがない。
請求項8に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3〜7のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、排気中の硫黄成分により被毒される触媒であり、昇温及び排気の空燃比低下により硫黄成分の被毒から回復する触媒であることを特徴とする。
このように排気浄化触媒は、排気中の硫黄成分により被毒される触媒であり、昇温及び排気の空燃比低下により、硫黄成分の被毒から回復する触媒であっても良い。この場合、添加量制御手段による燃料添加量制御により昇温と空燃比の低下を実行して硫黄成分の被毒から排気浄化触媒を回復する場合に、過渡時において排気浄化触媒の過熱や白煙発生を招くことがない。
請求項9に記載の内燃機関の触媒制御装置では、請求項3〜8のいずれかにおいて、前記吸入空気量以外の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、前記遅延状態量算出手段は、前記運転状態検出手段にて検出された運転状態に基づいて、該吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態量を算出することを特徴とする。
尚、遅延状態量は吸入空気量以外の運転状態から求めても良い。例えば内燃機関回転数やアクセル開度等に基づいて求めても良い。
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された車両用ディーゼルエンジン及び制御装置の概略構成を表すブロック図である。尚、本発明は希薄燃焼式ガソリンエンジンなどについて同様な触媒構成を採用した場合においても適用できる。
ディーゼルエンジン2は複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる。各気筒#1〜#4の燃焼室4は吸気弁6にて開閉される吸気ポート8及び吸気マニホールド10を介してサージタンク12に連結されている。そしてサージタンク12は、吸気経路13を介して、インタークーラ14及び過給機、ここでは排気ターボチャージャ16のコンプレッサ16aの出口側に連結されている。コンプレッサ16aの入口側はエアクリーナ18に連結されている。サージタンク12には、排気再循環(以下、「EGR」と称する)経路20のEGRガス供給口20aが開口している。そして、サージタンク12とインタークーラ14との間の吸気経路13には、スロットル弁22が配置され、コンプレッサ16aとエアクリーナ18との間には吸入空気量センサ24、及び吸気温センサ26が配置されている。
各気筒#1〜#4の燃焼室4は排気弁28にて開閉される排気ポート30及び排気マニホールド32を介して排気ターボチャージャ16の排気タービン16bの入口側に連結され、排気タービン16bの出口側は排気経路34に接続されている。尚、排気タービン16bは排気マニホールド32において第4気筒#4側から排気を導入している。
この排気経路34には、排気浄化触媒が収納されている3つの触媒コンバータ36,38,40が配置されている。最上流の第1触媒コンバータ36にはNOx吸蔵還元触媒36aが収納されている。ディーゼルエンジン2の通常の運転時において排気が酸化雰囲気(リーン)にある時には、NOxはこのNOx吸蔵還元触媒36aに吸蔵される。そして還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)ではNOx吸蔵還元触媒36aに吸蔵されたNOxがNOとして離脱しHCやCOにより還元される。このことによりNOxの浄化を行っている。
そして中間に配置された第2触媒コンバータ38にはモノリス構造に形成された壁部を有するフィルタ38aが収納され、この壁部の微小孔を排気が通過するように構成されている。このフィルタ38aの微小孔表面にNOx吸蔵還元触媒がコーティングされているので、前述したごとくにNOxの浄化が行われる。更にフィルタ壁部には排気中の粒子状物質(以下「PM」と称する)が捕捉されるので、酸化雰囲気ではNOx吸蔵時に発生する活性酸素によりPMの酸化が開始され、更に周囲の過剰酸素によりPM全体が酸化される。還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)ではNOx吸蔵還元触媒から発生する大量の活性酸素によりPMの酸化が促進される。このことによりNOxの浄化と共にPMの浄化を実行している。尚、ここでは第1触媒コンバータ36と第2触媒コンバータ38とは一体に形成されている。
最下流の第3触媒コンバータ40は、酸化触媒40aが収納され、ここではHCやCOが酸化されて浄化される。
尚、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒36aの上流には第1空燃比センサ42が、更にNOx吸蔵還元触媒36aと第2触媒コンバータ38内のフィルタ38aとの間には第1排気温センサ44が配置されている。又、フィルタ38aと第3触媒コンバータ40内の酸化触媒40aとの間において、フィルタ38aの近くには第2排気温センサ46が、酸化触媒40aの近くには第2空燃比センサ48が配置されている。
上記第1空燃比センサ42と第2空燃比センサ48とは、それぞれの位置で排気成分に基づいて排気の空燃比を検出し、空燃比に比例した電圧信号をリニアに出力するセンサである。又、第1排気温センサ44と第2排気温センサ46とはそれぞれの位置で排気温を検出するものである。
第2触媒コンバータ38内のフィルタ38aの上流側と下流側には差圧センサ50の配管がそれぞれ設けられ、差圧センサ50はフィルタ38aの目詰まりを検出するためにフィルタ38aの上下流での差圧を検出している。
尚、排気マニホールド32には、EGR経路20のEGRガス吸入口20bが開口している。このEGRガス吸入口20bは第1気筒#1側で開口しており、排気タービン16bが排気を導入している第4気筒#4側とは反対側である。
EGR経路20の途中にはEGR経路20のEGRガス吸入口20b側から、EGRガスを改質するための鉄系EGR触媒52が配置され、更にEGRガスを冷却するためのEGRクーラ54が設けられている。尚、EGR触媒52はEGRクーラ54の詰まりを防止する機能も有している。そしてEGRガス供給口20a側にはEGR弁56が配置されている。このEGR弁56の開度調節によりEGRガス供給口20aから吸気系へのEGRガス供給量の調節が可能となる。
各気筒#1〜#4に配置されて、各燃焼室4内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁58は、燃料供給管58aを介してコモンレール60に連結されている。このコモンレール60内へは電気制御式の吐出量可変燃料ポンプ62から燃料が供給され、燃料ポンプ62からコモンレール60内に供給された高圧燃料は各燃料供給管58aを介して各燃料噴射弁58に分配供給される。尚、コモンレール60には燃料圧力を検出するための燃料圧センサ64が取り付けられている。
更に、燃料ポンプ62からは別途、低圧燃料が燃料供給管66を介して添加弁68に供給されている。この添加弁68は第4気筒#4の排気ポート30に設けられて、排気タービン16b側に向けて燃料を噴射することにより排気中に燃料を添加するものである。この燃料の添加により排気を一時的に還元雰囲気として第1触媒コンバータ36のNOx吸蔵還元触媒36a及び第2触媒コンバータ38のフィルタ38aに吸蔵されているNOxを還元浄化している。更にフィルタ38aでのPMの堆積程度に伴う前述したPMの浄化も実行している。又、NOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aの硫黄被毒(以下「S被毒」と称する)の程度に基づいて、添加弁68から燃料を添加することでNOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aを高温化しかつ排気空燃比のリッチ化を繰り返してS被毒から回復させる処理も実行している。
電子制御ユニット(以下「ECU」と称する)70はCPU、ROM、RAM等を備えたデジタルコンピュータと、各種装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。そしてECU70は前述した吸入空気量センサ24、吸気温センサ26、第1空燃比センサ42、第1排気温センサ44、第2排気温センサ46、第2空燃比センサ48、差圧センサ50、EGR弁56内のEGR開度センサ、燃料圧センサ64及びスロットル開度センサ22aの信号を読み込んでいる。更にアクセルペダル72の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ74、及びディーゼルエンジン2の冷却水温度を検出する冷却水温センサ76から信号を読み込んでいる。更に、クランク軸78の回転数を検出するエンジン回転数センサ80、クランク軸78の回転位相あるいは吸気カムの回転位相を検出して気筒判別を行う気筒判別センサ82から信号を読み込んでいる。
そしてこれらの信号から得られるエンジン運転状態や操作状態に基づいて、ECU70は燃料噴射弁58による燃料噴射時期制御や燃料噴射量制御を実行する。更にEGR弁56の開度制御、モータ22bによるスロットル開度制御、燃料ポンプ62の吐出量制御、及び後述するPM再生制御やS被毒回復制御の各処理を実行する。例えば、EGR率がエンジン負荷とエンジン回転数NEとに基づいて設定される目標EGR率となるようにスロットル開度とEGR開度(EGR弁56の開度)とが協調して調節されるEGR制御が行われる。更にエンジン負荷とエンジン回転数NEとに基づいて設定される目標吸入空気量(エンジン1回転当たりの目標値)となるようにEGR開度が調節される吸入空気量フィードバック制御が行われる。尚、エンジン負荷は、ここでは燃料噴射量であるがアクセル開度でも良い。
ECU70が実行する燃焼モード制御としては、通常燃焼モード、低温燃焼モードとの2種類から選択した燃焼モードを、運転状態に応じて実行する。ここで低温燃焼モードとは、大量の排気再循環量により燃焼温度の上昇を緩慢にしてNOxとスモークとを同時低減させる燃焼モードである。低温燃焼モードは本実施の形態では主として低負荷低中回転領域にて実行している。これ以外の燃焼モードが通常のEGR制御(EGRしない場合も含める)を実行する通常燃焼モードである。
そして触媒に対する制御処理を実行する触媒制御モードとしては、PM再生制御モード、S被毒回復制御モード、NOx還元制御モード、及び通常制御モードの4種類のモードが存在する。PM再生制御モードとは、特に第2触媒コンバータ38内のフィルタ38aに堆積しているPMを前述のごとく燃焼させてCO2とH2Oにして排出するモードである。このモードでは、添加弁68からの燃料添加や燃料噴射弁58によるアフター噴射を繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)する。S被毒回復制御モードとは、NOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aがS被毒してNOx吸蔵能力が低下した場合に前述したごとく硫黄を放出させるモードである。このモードでは、添加弁68からの燃料添加や燃料噴射弁58によるアフター噴射を繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)し、更に空燃比をストイキよりもわずかに低下させる処理を行う。NOx還元制御モードとは、NOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aに吸蔵されたNOxを、N2、CO2及びH2Oに還元して放出するモードである。このモードでは、添加弁68からの比較的時間をおいた間欠的な燃料添加や燃料噴射弁58によるアフター噴射により触媒床温は比較的低温(例えば250〜500℃)として、空燃比をストイキよりも低下させる処理を行う。これ以外の状態が通常制御モードとなり、この通常制御モードでは添加弁68からの燃料添加や燃料噴射弁58によるアフター噴射はなされない。
図2のフローチャートに示すPM再生・S被毒回復時昇温制御処理は、ECUにより実行される添加弁68の燃料添加量制御処理である。このPM再生・S被毒回復時昇温制御処理は、PM再生制御モード及びS被毒回復制御モード時において触媒床温を目標床温に調節するために行われる処理である。この処理は一定時間毎の割り込みで実行される。なお個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
本処理が開始されると、まずフィルタ38aにおけるNOx吸蔵還元触媒の目標床温Ttcを設定する(S102)。これはNOx吸蔵還元触媒の過熱限界温度以下においてPMの燃焼に適切な範囲(600〜700℃)に設定されており、例えば目標床温Ttc=「650℃」に設定される。
次に吸気遅延反映値Kdが吸入空気量センサ24にて検出されている吸入空気量に基づいて、図3に示す吸気遅延反映値マップから算出される(S104)。図3の吸気遅延反映値マップは、予め実験にて求められており、吸入空気量センサ24にて検出された吸入空気量が、各燃焼室4にて燃焼された後に、第2触媒コンバータ38に到達する遅延状態を、吸気遅延反映値Kdとして数値化したものである。この吸気遅延反映値Kdは後述する加重平均値の重み付け係数として用いられるもので、吸気遅延反映値Kd>1.0である。吸入空気量が小さいほどディーゼルエンジン2内での気流速度が低く、吸入空気量センサ24での検出から第2触媒コンバータ38への到達時間が長くなる。そして、吸入空気量が大きいほどディーゼルエンジン2内での気流速度が高く、吸入空気量センサ24での検出から第2触媒コンバータ38への到達時間が短くなる。このため吸気遅延反映値マップでは、吸入空気量が小さいほど吸気遅延反映値Kdは大きくなり、吸入空気量が大きいほど吸気遅延反映値Kdは小さくなって「1.0」に近づく。
次に遅延吸入空気相当量GAdが式1に示すごとく算出される(S106)。
GAd ← GAdold +(GA−GAdold)/Kd … [式1]
ここで前回遅延吸入空気相当量GAdoldは前回の制御周期にて求められている遅延吸入空気相当量である。吸入空気量GAは今回の制御周期時に吸入空気量センサ24にて検出されている吸入空気量である。これらの吸入空気量は単位時間当たりの流量(g/s)で表されている。
次にベース床温Tbcが求められる(S108)。このベース床温Tbcはフィルタ38aにおける触媒床温であり、フィルタ38aが触媒反応により反応熱を生じていない場合の床温である。したがってベース床温Tbcはディーゼルエンジン2の排気温と同じと考えられるので、ディーゼルエンジン2のエンジン回転数NEと負荷とに応じて予め実験にて作成されているマップからエンジン回転数NE及び負荷(ここでは燃料噴射弁58から燃焼用に噴射される噴射燃料量)とに基づいて推定される。
次にフィルタ38aの触媒床温を目標床温Ttcに維持するための単位時間当たりの燃料添加量fadが式2に示すごとく算出される(S110)。
fad ← (Ttc − Tbc) × GAd × Ck … [式2]
ここで燃料換算係数Ckは、遅延吸入空気相当量GAdを燃料量に換算するための係数であり、流量が1g/sである排気の温度を1℃上昇させるに必要な燃料量を表している。このことにより前記式2の右辺は、遅延吸入空気相当量GAdに対応する排気流量中で、フィルタ38aにおける触媒床温をベース床温Tbcから目標床温Ttcまで上昇させるに必要な単位時間当たりの燃料量を算出していることになる。
こうして一旦本処理を終了する。
そしてPM再生モードあるいはS被毒回復時の床温制御にて、単位時間当たり燃料量が燃料添加量fadとなるように添加弁68に対する開弁制御がなされて排気中に燃料が添加される。このことにより、PM再生モードでは、フィルタ38aの触媒床温は目標床温Ttcとなるように調節されてPMが燃焼浄化される。又、S被毒回復モードでは上述のごとく目標床温Ttcに調節された後に空燃比がストイキよりもわずかに低下されることによりS放出が生じてS被毒回復がなされる。尚、S被毒回復モードでは、上述した制御によりフィルタ38aよりも上流側のNOx吸蔵還元触媒36aについても同時に昇温とS放出が生じてS被毒回復がなされる。
図4のタイミングチャートに本実施の形態における処理の一例を示す。PM再生制御モード時又はS被毒回復制御モード時にアクセルペダル72の踏み込みにより急速な加速操作が行われると(t0〜t1)、燃料噴射量制御により急速に燃料噴射量は増量される。そして、スロットル弁22とEGR弁56との協調制御、及びエンジン回転数NEの増加により、各燃焼室4への吸入空気量が増加して吸入空気量センサ24にて検出される吸入空気量も急速に増加する。しかしフィルタ38aに対する排気流量については直ちに吸入空気量の急速な増量が反映されるわけではなく遅延が生じる。フィルタ38aに対する排気流量に相当する遅延吸入空気相当量GAdはこのような遅延を考慮した前記式1により求められているので高精度にフィルタ38aに流入する排気流量に対応した値となる。したがって遅延吸入空気相当量GAdを用いて前記式2にて算出された燃料添加量fadはフィルタ38aに流入する排気中の燃料濃度を、目標床温Ttcを達成させるために適切な濃度に高精度に制御される。
従来のごとく加速時において遅延を考慮しないで、吸入空気量センサ24により検出された吸入空気量GAにて燃料添加量fadを求めた場合には、破線で示すごとく排気流量が増加しない内に燃料添加量fadが急速に増量してしまう。このためフィルタ38aに流入する排気中の燃料濃度が過剰となり触媒床温は破線で示すごとく急激に目標昇温から上昇し過熱を招く。
上述した構成において、吸入空気量センサ24が吸入空気量検出手段に相当する。PM再生・S被毒回復時昇温制御処理(図2)のステップS104が遅延状態量算出手段としての処理に、ステップS106が遅延吸入空気相当量算出手段としての処理に、ステップS110が添加量制御手段としての処理に相当する。吸気遅延反映値Kdが遅延状態量に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).吸入空気量センサ24にて検出された吸入空気量GAに基づいて、この吸入空気量GAの検出タイミングから、対応する排気がフィルタ38aに到達するタイミングまでの遅延状態を、吸気遅延反映値Kdとして求めている(S104)。そしてこの吸気遅延反映値Kdと吸入空気量GAとに基づいて、フィルタ38aに到達した遅延吸入空気相当量GAdを算出している(S106)。この遅延吸入空気相当量GAdは、過渡時においてもリアルタイムの排気流量を高精度に表している。このため、遅延吸入空気相当量GAdに基づいて添加弁68から排気系に添加される燃料添加量fadを調節することにより、過渡時においても排気中の燃料濃度を目的とする濃度、ここでは目標床温Ttcを実現する濃度に高精度に制御することができる。このことにより、過渡時、特に加速時において吸入空気量GAが増加したが排気流量は未だ対応した増加をしていない場合においても、排気中の燃料濃度が適切な状態に維持されるので、フィルタ38aの過熱を招くことなく、排気浄化触媒の劣化を早めることがない。更に、過渡時において過剰な燃料が白煙として外部に排出されるおそれも無くなる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、前記実施の形態1の構成において、PM再生・S被毒回復時昇温制御処理(図2)の代わりに、図5のPM再生・S被毒回復時昇温制御処理を実行するものである。尚、ハード構成については図1を参照する。
図5について説明する。本処理は一定時間毎の割り込みで実行される。本処理においては、ステップS202,S204〜S210は、前記図2にて説明したステップS102〜S110の処理と同じである。異なるのは、目標床温Ttcの設定(S202)の次に加速時か否かが判定される(S203)点である。ここでは例えばアクセル開度の増加速度が基準速度以上である場合、あるいは吸入空気量GAの増加速度が基準速度以上である場合に加速時であると判定する。
加速時であれば(S203で「YES」)、以下、ステップS204〜S210の処理が実行される。この処理は前記図2においてステップS104〜S110にて説明したごとくである。
加速時でなければ(S203で「NO」)、遅延吸入空気相当量GAdに直接、吸入空気量GAを設定する(S212)。そしてステップS208,S210を実行する。したがって、加速時でない場合、すなわち定速時あるいは減速時には、前記式2は次の式3と同じとなる。
fad ← (Ttc − Tbc) × GA × Ck … [式3]
すなわち吸入空気量GAにより燃料添加量fadを算出している。
図6のタイミングチャートに本実施の形態における処理の一例を示す。PM再生制御モード時又はS被毒回復制御モード時にアクセルペダル72の踏み戻しにより急速な減速操作が行われると(t10〜t11)、燃料噴射量制御により急速に燃料噴射量は減量される。そして、スロットル弁22とEGR弁56との協調制御及びエンジン回転数NEの低下により、各燃焼室4への吸入空気量が減少して吸入空気量センサ24にて検出される吸入空気量も急速に減少する。しかしフィルタ38aへ流入する排気流量については直ちに吸入空気量の急速な減量が反映されるわけではなく遅延が生じるが、この減速時においては遅延吸入空気相当量GAdには吸入空気量GAそのものが設定されている(S212)。すなわち遅延処理していない。しかし、この減速時においては、排気マニホールド32や排気経路34において壁面に付着している燃料が離脱して排気中に加わっている。このため添加弁68からの燃料添加量fadの急激な減少が相殺されて排気中の燃料濃度に大きな減少は生じていない(t10〜t11)。したがってフィルタ38aの触媒床温も急激な低下はせず或る程度維持されている。
尚、加速時については前記実施の形態1の図4にて説明したごとくである。
上述した構成において、PM再生・S被毒回復時昇温制御処理(図5)のステップS204が遅延状態量算出手段としての処理に、ステップS206が遅延吸入空気相当量算出手段としての処理に、ステップS203,S210,S212が添加量制御手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).特に吸入空気量GA減少時においては、直ちに吸入空気量GAに応じて燃料添加量fadを減少させても、この時には排気系の経路壁へ付着した添加燃料が離脱して排気中に加わる傾向にある。したがって燃料添加量fadを直ちに低下させたとしても相殺されて排気中の燃料濃度は要求濃度に近い状態となる。
又、たとえ、付着燃料の離脱がほとんど無いとしても、過渡時に排気中の燃料濃度が必要とする濃度よりも低下するのみであり、過剰な濃度となる場合のような過熱や白煙の問題は生じない。
このため本実施の形態では、吸入空気量GAの減少時には吸入空気量センサ24にて検出された吸入空気量GAに基づいて燃料添加量fadを算出するようにしている。このような構成にしても過渡時での排気浄化触媒の過熱防止、白煙防止が効果的にできる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、前記実施の形態1又は前記実施の形態2の構成に加えて、更に、図7に示すS被毒回復時空燃比制御処理を実行するものである。尚、ハード構成については図1を参照する。
図7について説明する。本処理は一定時間毎の割り込みで実行される。本処理が開始されると、まずS放出制御タイミングか否かが判定される(S302)。S被毒回復モードの開始時には、前述したS被毒回復時昇温制御処理(図2,5)が実行され、目標床温に達するまではS放出制御タイミングではない。したがってS被毒回復モードの開始時には(S302で「NO」)、前述したS被毒回復時昇温制御(図2,5)の実行がなされる(S316)。その後、目標床温に達し、この時にS放出用に設定されている運転領域(ここでは中負荷で中高エンジン回転領域)であればS放出制御タイミングと判断される(S302で「YES」)。したがってS被毒回復時昇温制御(図2,5)が停止される(S304)。そして目標空燃比AFtが設定される(S306)。この目標空燃比AFtは、S放出のための空燃比であり、ストイキよりもわずかに低い空燃比に設定されている。尚、目標空燃比AFtは一定とする必要はなく、例えばディーゼルエンジンの運転状態やNOx吸蔵還元触媒の状態に応じて目標空燃比AFtを変動させても良い。
次に吸気遅延反映値Kdが算出され(S308)、遅延吸入空気相当量GAdが算出される(S310)。このステップS308,S310の処理は図2のステップS104,S106にて述べたごとくである。
次に式4のごとく燃料噴射弁58により噴射された単位時間当たりの噴射燃料量Qinjが算出される(S312)。
Qinj ← 1回の燃料噴射量 × NE × Ks … [式4]
ここで換算係数Ksは、エンジン回転数NEが「rpm」で表されていることと、エンジン1回転で2回の噴射が行われるため、ディーゼルエンジン全体として、単位時間当たりの燃料噴射量に換算するための係数である。
次に噴射燃料量Qinjと遅延吸入空気相当量GAdとから式5により、単位時間当たりの燃料添加量faeが算出される(S314)。
fae ← GAd × AFt × Kfb − Qinj … [式5]
前記式5の右辺の「GAd×AFt×Kfb」は目標空燃比AFtを達成するのに単位時間当たりに必要な燃料全体を示している。ここで空燃比フィードバック係数Kfbは第2空燃比センサ48により検出される空燃比と目標空燃比AFtとの差の積分計算により求められる値であり、空燃比ずれをフィードバック補正するための補正係数である。したがって式5では、「GAd×AFt×Kfb」から既に燃料噴射弁58により噴射された噴射燃料量Qinjを減算することにより、不足分を燃料添加量faeとして算出している。
このようにして単位時間当たりの燃料添加量faeが求められると、この燃料添加量faeが実現されるように添加弁68に対する開弁制御がなされて排気中に燃料が添加される。このことにより各NOx吸蔵還元触媒からS放出がなされてS被毒回復がなされる。
図8のタイミングチャートに本実施の形態における処理の一例を示す。S被毒回復制御モード時において昇温制御が完了してS放出制御が開始される(t20)。このS放出制御時には、前記式4,5に基づいて算出された燃料添加量faeが添加弁から添加されることにより、添加弁下流の空燃比はストイキよりもわずかに低い目標空燃比に調節される。
その後、アクセルペダル72の踏み込みにより急速な加速操作が行われると(t21〜t22)、これに応じてエンジン回転数NEの増加と、スロットル弁22とEGR弁56との協調制御により各燃焼室4への吸入空気量が増加して吸入空気量センサ24にて検出される吸入空気量GAも急速に増加する。この時、フィルタ38aへ流入する排気流量については吸入空気量の増加に対して図8に示すごとくの遅延が生じる。遅延吸入空気相当量GAdはこのような遅延を考慮した前記式1により求められているので高精度にフィルタ38aに対する排気流量に対応した値となる。したがってこの遅延吸入空気相当量GAdを用いて前記式5により求められる燃料添加量faeに基づいて添加弁68から燃料添加することにより、過渡時においても目標空燃比AFtを高精度に達成することが可能となる。
従来のごとく加速時において吸気の遅延を考慮しないで、吸入空気量センサ24により検出された吸入空気量GAにて燃料添加量faeを求めた場合には、破線で示すごとく過剰な燃料が添加されて空燃比がストイキよりも大きく低下してしまう。このため排気中の燃料濃度が過剰となり白煙を招いたり、各NOx吸蔵還元触媒の触媒床温の過熱を招く。
上述した構成において、S被毒回復時空燃比制御処理(図7)のステップS308が遅延状態量算出手段としての処理に、ステップS310が遅延吸入空気相当量算出手段としての処理に、ステップS312,314が添加量制御手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).S放出制御時にはNOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aへ導入される排気は、遅延吸入空気相当量GAdを用いた式5の計算により目標空燃比AFtに高精度に制御できる。このことにより、過渡時にS被毒から回復する場合に白煙発生や排気浄化触媒の過熱を招くことがない。
(ロ).前記実施の形態1又は2のPM再生・S被毒回復時昇温制御処理(図2又は図5)も実行しているので、S被毒回復時昇温制御時においても過渡時にNOx吸蔵還元触媒36a及びフィルタ38aの過熱や白煙発生を招くことがない。更に、PM再生時においても同じである。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態3においては、加速時も減速時も吸入空気量の遅延を考慮して燃料添加量faeを算出していたが、前記実施の形態2と同じく加速時のみに限って前記遅延を考慮して燃料添加量faeを算出しても良い。例えば図9に示すごとく処理する。図9では図7と同一の処理については同一のステップ番号を付している。図7と異なるのは、ステップS306の後に、加速時か否かが判定され(S307)、加速時であれば(S307で「YES」)、前記実施の形態3と同じく吸気の遅延を考慮して燃料添加量faeを求めている。そして加速時でなければ(S307で「NO」)、前記遅延は考慮せずに吸入空気量GAを用いて燃料添加量faeを求めている。尚、ステップS307は図5のステップS203と同一の処理でありステップS318は図5のステップS212と同一の処理である。
(b).遅延状態量として、加重平均値を計算するための吸気遅延反映値Kdを算出していたが、これ以外に次のようにしても良い。すなわち、吸入空気量GAを或る程度の時間分、蓄積して記憶しておき、過渡時において、吸入空気量GAに応じた時間分、過去に遡った吸入空気量GAを記憶内容から抽出して、遅延吸入空気相当量GAdに設定して用いても良い。
(c).吸気遅延反映値Kdはエンジン運転状態として吸入空気量を用いてマップから求めたが、これ以外にエンジン運転状態として、エンジン回転数NEや、アクセル開度などを用いてマップから算出しても良い。この場合、エンジン回転数センサやアクセル開度センサが運転状態検出手段に相当することになる。上記(b)のごとく過去に遡る場合も同様である。
実施の形態1の車両用ディーゼルエンジン及び制御装置の概略構成を表すブロック図。 実施の形態1のECUが実行するPM再生・S被毒回復時昇温制御処理のフローチャート。 上記PM再生・S被毒回復時昇温制御処理にて用いられる吸気遅延反映値マップの構成説明図。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2のECUが実行するPM再生・S被毒回復時昇温制御処理のフローチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3のECUが実行するS被毒回復時空燃比制御処理のフローチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 S被毒回復時空燃比制御処理の他の例を示すフローチャート。
符号の説明
2…ディーゼルエンジン、4…燃焼室、6…吸気弁、8…吸気ポート、10…吸気マニホールド、12…サージタンク、13…吸気経路、14…インタークーラ、16…排気ターボチャージャ、16a…コンプレッサ、16b…排気タービン、18…エアクリーナ、20…EGR経路、20a…EGRガス供給口、20b…EGRガス吸入口、22…スロットル弁、22a…スロットル開度センサ、22b…モータ、24…吸入空気量センサ、26…吸気温センサ、28…排気弁、30…排気ポート、32…排気マニホールド、34…排気経路、36…第1触媒コンバータ、36a…NOx吸蔵還元触媒、38…第2触媒コンバータ、38a…フィルタ、40…第3触媒コンバータ、40a…酸化触媒、42…第1空燃比センサ、44…第1排気温センサ、46…第2排気温センサ、48…第2空燃比センサ、50…差圧センサ、52…EGR触媒、54…EGRクーラ、56…EGR弁、58…燃料噴射弁、58a…燃料供給管、60…コモンレール、62…燃料ポンプ、64…燃料圧センサ、66…燃料供給管、68…添加弁、70…ECU、72…アクセルペダル、74…アクセル開度センサ、76…冷却水温センサ、78…クランク軸、80…エンジン回転数センサ、82…気筒判別センサ。

Claims (9)

  1. 内燃機関の排気系に設けられた添加弁から、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加することにより、前記添加弁よりも排気系下流に設けられた排気浄化触媒に燃料を供給して反応させる内燃機関の触媒制御方法であって、
    内燃機関の吸気系での吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態と前記吸入空気量とに基づいて、前記排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出し、該遅延吸入空気相当量に基づいて、前記燃料添加量を算出することを特徴とする内燃機関の触媒制御方法。
  2. 請求項1において、吸入空気量の増加時には前記遅延吸入空気相当量に基づいて前記燃料添加量を算出し、吸入空気量の減少時には内燃機関の吸気系で検出された吸入空気量に基づいて前記燃料添加量を算出することを特徴とする内燃機関の触媒制御方法。
  3. 内燃機関の排気系に設けられた添加弁から、吸入空気量に基づいて算出した燃料添加量を排気系に添加することにより、前記添加弁よりも排気系下流に設けられた排気浄化触媒に燃料を供給して反応させる内燃機関の触媒制御装置であって、
    吸気系における吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
    前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量に基づいて、該吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態量を算出する遅延状態量算出手段と、
    前記遅延状態量算出手段により算出された遅延状態量と前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量とに基づいて、前記排気浄化触媒に到達した遅延吸入空気相当量を算出する遅延吸入空気相当量算出手段と、
    前記遅延吸入空気相当量算出手段にて算出された遅延吸入空気相当量に基づいて、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御する添加量制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  4. 請求項3において、前記添加量制御手段は、前記吸入空気量検出手段にて検出される吸入空気量の増加時には前記遅延吸入空気相当量算出手段にて算出された遅延吸入空気相当量に基づいて前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御し、前記吸入空気量検出手段にて検出される吸入空気量の減少時には前記吸入空気量検出手段にて検出された吸入空気量に基づいて前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  5. 請求項3又は4において、前記添加量制御手段は、前記排気浄化触媒における添加燃料の酸化反応による反応熱で、前記排気浄化触媒を目標床温に昇温させるために、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  6. 請求項3〜5のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、排気中の粒子状物質を濾過し、該粒子状物質を昇温により燃焼させることで排気を浄化する触媒であることを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  7. 請求項3又は4において、前記添加量制御手段は、前記排気浄化触媒に流入する排気を目標空燃比とするために、前記添加弁から排気系に添加される燃料添加量を制御することを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  8. 請求項3〜7のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、排気中の硫黄成分により被毒される触媒であり、昇温及び排気の空燃比低下により硫黄成分の被毒から回復する触媒であることを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
  9. 請求項3〜8のいずれかにおいて、前記吸入空気量以外の内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、前記遅延状態量算出手段は、前記運転状態検出手段にて検出された運転状態に基づいて、該吸入空気量の検出タイミングから該吸入空気量による燃焼後の排気が前記排気浄化触媒に到達するタイミングまでの遅延状態量を算出することを特徴とする内燃機関の触媒制御装置。
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