JP2005075996A - ポリオレフィン系グラフト共重合体およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系グラフト共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】グラフトの効率が高い、ポリオレフィン系マクロモノマーと(メタ)アクリル系モノマーからなるポリオレフィン系2元グラフト共重合体を製造すること。さらに、(メタ)アクリル系マクロモノマー等とポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなるポリオレフィン系3元グラフト共重合体を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体を製造する。さらに、(メタ)アクリル系マクロモノマー等と、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなることを特徴とする、ポリオレフィン系3元グラフト共重合体を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法に関する。さらに、(メタ)アクリル系マクロモノマー等と、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなることを特徴とする、ポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する。
グラフト共重合体は、その構造上の特徴から、ポリマーへの機能付与剤、表面機能付与剤、ポリマーブレンドの相溶化剤、ポリマー/フィラー系複合材料の界面活性化剤等々、機能性ポリマーとして有効に利用されている。また、乳化重合を利用して得られるグラフト共重合体としては、コアシェルポリマーが有名であり、特に、ジエン系ゴム粒子、アクリル系ゴム粒子、アクリル/シリコーン系複合ゴム粒子などを用いたコアシェルポリマー、例えば、ABS樹脂、MBS樹脂、ASA樹脂等が、耐衝撃性の高い樹脂あるいは樹脂組成物として市販されている。しかし、これらの樹脂はポリエチレン、ポリプロピレンなど低極性の樹脂には分散性が低いため適さないという問題、あるいはこれらの樹脂組成物の成分としてポリエチレン、ポリプロピレンなど低極性の樹脂の使用は分散性が低いため適さないという問題があった。
乳化重合を利用して得られるオレフィン系のグラフト共重合体(コアシェルポリマー)は知られているが(特許文献1)、高温高圧条件での生産が必要になるという問題がある。また、ラジカル重合であるために、エチレンしか実質的に重合できないという問題もある。一方、ビニリデン基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーとビニルモノマーから乳化重合により製造されることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体が開示されているが(特許文献2)、ビニリデン基のラジカル重合性が低いため、ポリオレフィンがグラフトしにくいという問題があった。
また、(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーとビニルモノマーの重合により製造されることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体が開示されているが(特許文献3)、乳化重合による製造は開示されていない。
特開昭52−108490 特表2001−524996 特開2000−80134
本発明の課題は、上記のグラフト共重合体の問題を解決し、(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体を製造することである。さらに、(メタ)アクリル系マクロモノマー等と、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなることを特徴とする、ポリオレフィン系3元グラフト共重合体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するにいたった。
即ち本発明は、(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと、(B)(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法に関する(請求項1)。
また、本発明は、(C)(メタ)アクリル系マクロモノマーあるいはシリコーン系マクロモノマーと、(D)(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマー及び(B)(メタ)アクリル系モノマーから構成されるポリオレフィン系2元グラフト共重合体、からなることを特徴とするポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する(請求項2)。
好ましい実施態様としては、(A)成分のポリオレフィンがポリα−オレフィンであることを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法に関する(請求項3)。
好ましい実施態様としては、(A)成分のポリオレフィンがポリα−オレフィンであることを特徴とする、請求項2記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する(請求項4)。
好ましい実施態様としては(C)成分が(メタ)アクリル系マクロモノマーであり、且つ(メタ)アクリル系モノマーと、分子内に該(メタ)アクリル系モノマーと反応可能なラジカル重合性不飽和基を2つ以上有する単量体とを反応させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する(請求項5)。
好ましい実施態様としては(C)成分がシリコーン系マクロモノマーであり、且つ、オルガノシロキサンと、分子内に該オルガノシロキサンと反応可能な官能基およびラジカル重合性不飽和基を有する化合物とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する(請求項6)。
さらに、本発明は、請求項2、4、5、又は6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体を含有する樹脂組成物に関する(請求項7)。
好ましい実施態様としては、ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項7記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体樹脂組成物に関する(請求項8)。
また、本発明は、請求項2、4、5、又は6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体の製造方法に関する(請求項9)。
本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体は、グラフトの効率が高く、ポリオレフィンへの分散性を確保できる。また、低温低圧という温和な条件である乳化重合で製造される。さらに、本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体は、(メタ)アクリル系マクロモノマーを原料に用いた場合には、そのポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体をポリオレフィン樹脂に混練した際に高いぬれ性(高い極性)、高い引張伸び(分散性、相溶性)が発現しうる。(メタ)アクリル系マクロモノマーがゴム成分の場合には、低い引張弾性率(軟質性)も発現しうる。また、シリコーン系マクロモノマーを原料に用いた場合には、そのポリオレフィン系3元グラフト共重合体をポリオレフィン樹脂に混練した際に低い引張弾性率(軟質性)、比較的高い引張伸び(分散性、相溶性)が発現しうる。尚、ぬれ性の発現により、接着性、塗装性、染色性、高周波シール性等の物性が改良される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと、(B)(メタ)アクリル系モノマー、から乳化重合により製造されることを特徴とするポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法に関する。さらに本発明は、(C)(メタ)アクリル系マクロモノマーあるいはシリコーン系マクロモノマーと、(D)(A)成分及び(B)成分から構成されるポリオレフィン系2元グラフト共重合体、からなることを特徴とするポリオレフィン系3元グラフト共重合体に関する。
(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマー
(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーは、ビニリデン末端のポリオレフィン系マクロモノマーの末端を変換して得られる。
まず、ビニリデン末端のポリオレフィン系マクロモノマーを得るには、特開昭58−19309、J.Am.Chem.Soc.(1984),106,6355−6364、US4668834、Macromolecules(1988),21,617−622、Polymer(1989),30(3),428−431、J.Am.Chem.Soc.(1992),114,1025−1032、高分子論文集(1992),49,847−854に準じた方法を用いればよいが、これのみに制限されない。このような方法を用いれば、比較的効率的にビニリデン末端のポリオレフィン系マクロモノマーを得ることができる。
本発明でいうビニリデン末端とは、下記一般式(1)であらわされる基をいう。
CH2=CR− (1)
(式中Rは、水素原子または炭化水素基を示す)
Rはラジカルとの反応のしやすさから、炭化水素基、特にメチル基(Me)が好ましい。
触媒としては、メタロセン触媒、具体的には、ジルコノセンジクロリド、ジルコノセンジメチル、ハフノセンジクロリド、ハフノセンジメチル、チタノセンジクロリド、チタノセンジメチル等を用いる。オレフィン系モノマーとして例えばプロピレンを使用した場合、非晶性ポリプロピレンが得られる。シクロペンタジエニル環は置換基や架橋構造を有していてもよいが、シクロペンタジエニル環の有する置換基や架橋構造によっては、結晶性ポリプロピレンが得られる。本発明では、非晶性ポリオレフィンが、乳化重合時にラジカルとの効率的な反応を行いやすいという点から好ましい。
助触媒としては、高活性を発揮するものであれば特に制限はない。一般的には、メチルアルミノキサン等のアルキルアルミノキサンが用いられるが、パーフルオロトリフェニルボランやパーフルオロテトラフェニルボレート等のホウ素化合物、さらには、最近報告されている超高活性のアルキルアルミノキサン(International Symposium on Future Technology for Polyolefin and Olefin Polymerization Catalysis at Tokyo Institute of Technology,2001/3/21−24,OP−54)、粘土鉱物(US5308811)を用いてもよい。助触媒がアルキルアルミノキサンの場合、触媒に対するアルミニウムのモル比(アルミニウム/触媒)は、10〜2000が好ましく、特に20〜1000が好ましい。助触媒がホウ素化合物の場合、触媒/ホウ素化合物のモル比は、1/0.1〜1/10、好ましくは1/0.5〜1/2、特に好ましくは1/0.75〜1/1.25である。
トリオクチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム等のアルキルアルミニウムが、スカベンジャー(水分や不純物の補足剤)として存在していてもよい。即ち、系中や溶媒中に含まれる水分や不純物は少ない方が、重合活性のためには好ましい。同様に重合雰囲気には、乾燥窒素や乾燥アルゴン等の不活性気体を用いるのが好ましい。
溶媒としては、脂肪族炭化水素系または芳香族炭化水素系溶媒がよく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレンが挙げられる。これらは混合されていてもよい。さらにプロピレン等のオレフィン系モノマーを溶媒の代わりに用いてもよい。
重合温度は、−20℃〜100℃、特に0℃〜50℃が、ビニリデン末端が生成しやすく、適度な分子量のポリオレフィンが得られるという点から好ましい。低温では、ビニリデン末端の生成の原因であるβ−脱離がおこりにくく、また重合活性も低くなる傾向があり、高温では、β−脱離が頻発し、重合度が低くなる傾向がある。なお、好ましい数平均分子量は、100〜100000、好ましくは200〜50000、より好ましくは300〜30000である。
また、常圧〜10MPaの圧力が系を扱いやすく、好ましい。重合時間は通常、30分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間である。
オレフィン系モノマーの使用量としては、制限はないが、モノマー/活性種(触媒または助触媒のうち少ない方の量になる)がモル比で活性種1に対して10〜109、さらには100〜107、とくには1000〜105とするのが好ましい。当該モル比が小さすぎると、重合度の小さい重合体しか得られなくなり、大きすぎると、オレフィン系モノマーに対するポリオレフィンの収率が低くなる傾向が生ずる。
オレフィン系モノマーとしては、特に制限はない。単独でも使用できるが、共重合することもできる。オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。一般式(1)のRは炭化水素基が好ましいという点からは特にα−オレフィンが、さらに炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましく、ことに上記一般式(1)のR=Meが特に好ましいという点からはプロピレンが好ましい。
また、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタリン等のジエンを併用してもよい。これらオレフィンと共重合可能なモノマーの使用量に特に制限はないが、一般式(1)においてRは炭化水素基が好ましいという観点から、50重量%以下であることが好ましく、25重量%以下が特に好ましい。
なお、ビニリデン末端のポリプロピレン系マクロモノマーは、ポリプロピレンの熱分解によっても得られる。機能材料(1997),17(10),5−12、Macromolecules(1995),28(24),7973−7978、Polym.Prepr.(Am.Chem.Soc,Div.Polym.Chem.)(1979)20,924等に準ずればよいが、これに制限されない。この場合のポリプロピレン系マクロモノマーは、場合により両末端にビニリデン基を有する。
ビニリデン末端を(メタ)アクリル化するのには特に制限はない。公知の方法を用いればよく、多段反応でもよい。ビニリデン末端の水酸基化に引き続き(メタ)アクリル化してもよい。例えば水酸基化はビニルデン末端のハイドロボレーションを経由して行い(Polymer Bulletin、48、213−219、2002)、(メタ)アクリル化は水酸基末端ポリオレフィン系マクロモノマーとメタアクリル酸クロリドとの反応により行うとよい(Polymer Bulletin、10、146−151、1983)。
(B)(メタ)アクリル系モノマー
(B)(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に制限はない。単独でも使用できるが、共重合することもできる。具体例としては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸メトキシトリプロピレングリコールなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸およびその酸無水物およびその金属塩などが挙げられる。これらのなかでは、得られる(メタ)アクリル系マクロモノマーの入手性および経済性の点から、炭素数2〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
(C)(メタ)アクリル系マクロモノマーあるいはシリコーン系マクロモノマー
本発明で用いられる、(C)成分のうちの(メタ)アクリル系マクロモノマーは、(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーおよび/または(B)(メタ)アクリル系モノマーと、グラフト共重合しうるラジカル重合性不飽和基を1分子内に少なくとも1個以上持つことが好ましい。
主鎖骨格は直鎖状でも分岐状でも良く、架橋により三次元的な網目構造を取っていても良い。本発明の(メタ)アクリル系マクロモノマーは微粒子で良く、複合粒子であっても良く、コアシェル構造を取っていても良い。
本発明の(メタ)アクリル系マクロモノマーは、(B)(メタ)アクリル系モノマー(以下、場合により化合物(B)という)および(B−2)分子内にラジカル重合性不飽和基を2つ以上有する単量体(以下、化合物(B−2)という)を共重合させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることが好ましく、必要に応じて(B−3)該化合物(B)および/または該化合物(B−2)と共重合可能なラジカル重合性不飽和基を有する単量体(以下、化合物(B−3)という)を含有していても良い。各成分の使用量には特に制限は無く任意の量で用いて良いが、好ましい使用量は、化合物(B)は好ましくは50〜99.99重量%、さらに好ましくは75〜99.9重量%である。少なすぎると得られるポリオレフィン系3元グラフト共重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合の(メタ)アクリル系ポリマーの特徴から期待される物性、例えば低接触角、高表面張力、ぬれ性、接着性、塗装性、染色性、高誘電率、高周波シール性等、極性を示す物性あるいは極性の結果として発現する物性の改良効果が低下しうる。化合物(B−2)は好ましくは0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。少なすぎると(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとのグラフトが不充分になり、多すぎると化合物(B−2)は一般的に高価であるため、経済的に不利である。化合物(B−3)は好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜25重量%である。多すぎると得られるポリオレフィン系3元グラフト重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合の(メタ)アクリル系ポリマーの特徴から期待される物性改良効果が低下しうる。ただし、これら化合物(B)、化合物(B−2)および化合物(B−3)の合計は100重量%である。
化合物(B)は、(メタ)アクリル系マクロモノマーの主骨格を形成するための成分である。化合物(B)の具体例や好ましい例については前述したが、これらに限定されるものではない。これら化合物(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。 化合物(B−2)の代表例としては、たとえばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、などがあげられる。これら化合物(B−2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとのグラフト効率が良好であるという点から、メタクリル酸アリルが好ましい。
化合物(B−3)は、(メタ)アクリル系マクロモノマーの弾性率、Tg、屈折率など各種物性を調整するための成分である。化合物(B−3)としては、化合物(B)および/または化合物(B−2)と共重合可能なモノマーであれば特に制限無く使用でき、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このような化合物(B−3)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系マクロモノマーは、通常の乳化重合法によりラジカル共重合させて製造し、ラテックスとして得ることができる。
乳化重合に際し、原料の全量を一度に仕込んでもよく、また一部を仕込んだ後に残りを連続的または間欠的に追加してもよい。例えば化合物(B)を反応させた後に化合物(B−2)を加えて反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基が(メタ)アクリル系マクロモノマー粒子の表層部に偏在した構造を設計することができる。また、あらかじめ化合物(B)、化合物(B−2)、化合物(B−3)のうちのいずれかまたはそれらの混合物を乳化剤と水で乳化してから追加する方法や、化合物(B)、化合物(B−2)、化合物(B−3)のうちのいずれかまたはそれらの混合物とは別に乳化剤または乳化剤の水溶液などを連続または分割して追加する方法等が採用できる。
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、化合物(B)、化合物(B−2)および化合物(B−3)を乳化させるために必要な量であれば良く、通常化合物(B)、化合物(B−2)および化合物(B−3)の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。使用する水の量が少なすぎると、疎水性である化合物(B)、化合物(B−2)および化合物(B−3)の割合が多すぎてエマルジョンが油中水型から水中油型へ転相せず、水が連続層となりにくい。使用する水の量が多すぎると安定性に乏しくなる上、生産における効率が低くなる。
乳化重合に用いる乳化剤は特に限定なく公知のものを使うことができ、かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とする(メタ)アクリル系マクロモノマーの粒子径などに応じて適宜調整すればよい。なお、(メタ)アクリル系マクロモノマーの粒子径は、乳化剤の使用量の増減などの通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。熱可塑性樹脂と配合したときに良好な分散状態を示すという点から、20〜1000nm、好ましくは30〜500nmの範囲内であることが望ましい。
乳化重合に用いる重合開始剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。たとえば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。また、これら熱分解的な方法のほかに、過酸化物と還元剤、および/または助触媒を併用したレドックス開始剤系を用いることも出来る。例えば硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの組み合わせを挙げる事が出来るが、これに限定されるものではない。開始剤の好ましい使用量は化合物(B)100重量部に対して0.005〜20重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部である。少なすぎると重合速度が遅すぎて生産効率が低くなり、多すぎると重合熱の発生が多くなり反応の制御が困難になることがある。
乳化重合には必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。該連鎖移動剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。具体例としてはt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンなどが挙げられる。
乳化重合時の反応温度に特に制限はないが、0〜120℃、好ましくは30〜95℃であるのが好ましい。反応時間についても特に制限はないが、通常、10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、さらに好ましくは1時間〜6時間である。
本発明の乳化重合により製造された(メタ)アクリル系マクロモノマーは、上述のように単一の(メタ)アクリル系マクロモノマーのみからなるものであっても良いし、1種あるいは2種以上のマクロモノマーからなる複合粒子でもよく、さらにはラテックスブレンドであってもよい。
本発明で用いられる、(C)成分のうちのシリコーン系マクロモノマーは、(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーおよび/または(B)(メタ)アクリル系モノマーと、グラフト共重合しうるラジカル重合性不飽和基を1分子内に少なくとも1個以上持つ。
主鎖骨格は直鎖状でも環状でも分岐状でも良く、架橋により三次元的な網目構造を取っていても良い。本発明のシリコーン系マクロモノマーは微粒子で良く、複合粒子であっても良く、コアシェル構造を取っていても良い。
本発明のシリコーン系マクロモノマーは、オルガノシロキサン(以下、化合物(E)という)と、分子内に該化合物(E)と反応可能な官能基およびラジカル重合性不飽和基を有する化合物(以下、化合物(E−2)という)とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることが好ましく、必要に応じて該化合物(E)および/または化合物(E−2)と反応可能な官能基を有する化合物(以下、化合物(E−3)という)を含有していても良い。各成分の使用量には特に制限は無く任意の量で用いて良いが、好ましい使用量は、化合物(E)は好ましくは50〜99.99重量%、さらに好ましくは75〜99.90重量%である。少なすぎると例えば得られるポリオレフィン系3元グラフト重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合のシリコーンの特徴から期待される物性改良効果が低下しうる。化合物(E−2)は好ましくは0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。少なすぎるとシリコーン系マクロモノマーと(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとのグラフトが不充分になり、多すぎると化合物(E−2)は一般的に高価であるため、経済的に不利である。化合物(E−3)を使用する場合は、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜25重量%である。多すぎると例えば得られるポリオレフィン系3元グラフト重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合のシリコーンの特徴から期待される物性改良効果が低下しうる。ただし、これら化合物(E)、化合物(E−2)および化合物(E−3)の合計は100重量%である。
化合物(E)は、シリコーン系マクロモノマーの主骨格を構成するための成分である。化合物(E)は、乳化重合しうる液状のものであれば任意の分子量のものを使用しうるが、好ましくは分子量1000以下、特に好ましくは500以下である。化合物(E)としては、直鎖状、環状または分岐状のものを使用することが可能である。乳化重合系の経済性の点から、環状シロキサンが好ましい。かかる環状シロキサンの具体例としては、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,2,3,4−テトラハイドロ−1,2,3,4−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどがあげられる。また、2官能性のアルコキシシランもかかる化合物(E)として用いることができ、その具体例としては、たとえばジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどがあげられる。さらには、環状シロキサンと2官能性のアルコキシシランとを併用することもできる。これら化合物(E)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(E−2)は、それ自身が有する官能基により化合物(E)と反応する。その結果、得られるシリコーン系マクロモノマーの側鎖または末端にラジカル重合性不飽和基を導入させることができる。このラジカル重合性不飽和基は、該シリコーン系マクロモノマーと(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとの3元グラフト共重合を可能にするための成分である。化合物(E)と反応するための基としては、珪素原子に結合した加水分解性アルコキシ基またはシラノール基、あるいは化合物(E)と開環共重合しうる環状シロキサン構造を持つ基を用いることが好ましい。化合物(E−2)の具体例としては、たとえば3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン化合物、および1,3,5,7−テトラキス((メタ)アクリロキシプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロキシプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンなどのオルガノシロキサンがあげられ、このうち3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが反応性が良好であるという点で特に好ましい。これら化合物(E−2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(E−3)は、化合物(E)および/または化合物(E−2)と反応し、シリコーン系マクロモノマーの物性を調整するための成分である。例えば珪素原子に結合した加水分解性基を分子中に少なくとも3個有する多官能シラン化合物またはその部分加水分解縮合物を用いると、シリコーン系マクロモノマー中に架橋構造を導入してTgや弾性率等を調整することができる。このような多官能シラン化合物の具体例としてはメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリ(メトキシエトキシ)シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、などのアルコキシシラン、およびその加水分解縮合物;メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシランなどのアセトキシシラン、およびその加水分解縮合物があげられる。また、化合物(E−3)としては、化合物(E)および/または化合物(E−2)と反応しうる官能基を有する非シリコーン系マクロモノマーを用いることもできる。そのようにしてシリコーンと例えばアクリル系ポリマーとの複合粒子を得ることも可能である。これら化合物(E−3)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるシリコーン系マクロモノマーは、酸性もしくは塩基性条件下で行われる通常の重合方法により製造することができる。たとえば化合物(E)、化合物(E−2)ならびに必要に応じて用いられる化合物(E−3)を、乳化剤および水とともにホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザーなどを用いてエマルジョンとし、ついで、系のpHをアルキルベンゼンスルホン酸や硫酸などで2〜4に調整し、加熱して重合させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ成分を加えて中和するなどの方法で製造することができる。
なお、原料の全部を一括添加したのち、一定時間撹拌してからpHを小さくしてもよく、また原料の一部を仕込んでpHを小さくしたエマルジョンに残りの原料を逐次追加してもよい。逐次追加するばあい、そのままの状態または水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで添加してもよいが、重合速度の面から、乳化状態で追加する方法を用いることが好ましい。反応温度に特に制限はないが、0〜120℃が好ましく、50〜95℃がさらに好ましい。50℃未満では重合速度が遅くなり、95℃を超えると安定性が乏しくなる。反応時間は好ましくは1〜100時間であり、さらに好ましくは5〜50時間である。反応時間が短すぎると重合が不充分であり、長すぎると生産性が低くなる。
酸性条件下で重合を行う場合、通常、ポリオルガノシロキサンの骨格を形成しているSi−O−Si結合は切断と結合生成の平衡状態にある。この平衡は温度によって変化し、低温になるほど高分子量のポリオルガノシロキサンが生成しやすくなる。したがって、高分子量のポリオルガノシロキサンを得るためには、加熱により化合物(E)を重合した後、重合温度以下に冷却して熟成を行うことが好ましい。具体的には、50℃以上で重合を行い重合転化率が75〜90%、さらに好ましくは82〜89%に達した時点で加熱を止め、10〜50℃、好ましくは20〜45℃に冷却して5〜100時間程度熟成を行うことができる。なお、ここで言う重合転化率は原料中の化合物(E)、化合物(E−2)、場合により化合物(E−3)の低揮発分への転化率を意味する。
乳化重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、化合物(E)、化合物(E−2)、および化合物(E−3)を乳化分散させるために必要な量であれば良く、通常化合物(E)、化合物(E−2)および化合物(E−3)の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。使用する水の量が少なすぎると、疎水性であるモノマーの割合が多すぎてエマルジョンが油中水型から水中油型へ転相せず、水が連続層となりにくい。使用する水の量が多すぎると安定性に乏しくなる上、釜効率が低くなる。
乳化重合に用いる乳化剤は、反応を行うpH領域において乳化能を失わないものであれば特に限定なく公知のものを使うことができる。かかる乳化剤の例としては、たとえばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、該乳化剤の使用量にはとくに限定がなく、目的とするシリコーン系マクロモノマーの粒子径などに応じて適宜調整すればよい。充分な乳化能が得られ、かつ得られるシリコーン系マクロモノマーとそれから得られるポリオレフィン系グラフト共重合体の物性に悪影響を与えないという点から、エマルジョン中に0.05〜20重量%用いるのが好ましく、特には0.1〜10重量%用いるのが好ましい。シリコーン系マクロモノマーの粒子径は、乳化剤の使用量の増減などの通常の乳化重合技術を用いて制御することが可能である。熱可塑性樹脂と配合したときに良好な分散状態を示すという点から、好ましくは20〜1000nm、さらに好ましくは30〜500nmの範囲内であることが好ましい。
本発明の乳化重合により製造されたシリコーン系マクロモノマーは、上述のように単一のシリコーン系マクロモノマーのみからなるものであっても良いし、1種あるいは2種以上のマクロモノマーからなる複合粒子でもよく、さらにはラテックスブレンドであってもよい。
(D)ポリオレフィン系2元グラフト共重合体
本発明の(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとの2元グラフト共重合体は通常の乳化重合により製造するのが良い。(A)と(B)を均一の溶液とし、上述と同様の方法で乳化重合することができる。
このようにして得られた(D)ポリオレフィン系2元グラフト共重合体の主鎖骨格は分岐状であるが、架橋により三次元的な網目構造を取っていても良い。(D)は微粒子であり、複合粒子であっても良く、コアシェル構造を取っていても良い。
(A)と(B)の使用量は、(A)/(B)=1/99〜50/50重量%、好ましくは5/95〜30/70重量%である。(A)の使用量が多すぎると得られるポリオレフィン系2元グラフト共重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合の(メタ)アクリル系ポリマーの特徴から期待される物性、例えば低接触角、高表面張力、ぬれ性、接着性、塗装性、染色性、高誘電率、高周波シール性等、極性を示す物性あるいは極性の結果として発現する物性の改良効果が低下しうる。(A)の使用量が少なすぎるとポリオレフィン系ポリマーの特徴から期待される分散性が低下しうる。
上述の化合物(B−2)や場合により化合物(B−3)を使用しても良い。化合物(B−2)の使用量は(B)+(B−2)+(B−3)の合計量100重量部に対して好ましくは0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。化合物(B−3)の使用量は(B)+(B−2)+(B−3)の合計量100重量部に対して好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜25重量%である。
ポリオレフィン系3元グラフト共重合体
本発明の(C)(メタ)アクリル系あるいはシリコーン系マクロモノマーは、乳化重合により製造されるのが良く、そのまま(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと(B)(メタ)アクリル系モノマーとのグラフト共重合に用いて良い。(A)と(B)を均一の溶液とし、(C)のラテックスに一括あるいは分割あるいは連続添加しながら上述と同様の方法で乳化重合することができる。
(C)のラテックスは、固形分含量が1〜50重量%のラテックスとして用いることが好ましく、さらに好ましくは固形分含量が5〜30重量%のラテックスとして用いることが好ましい。固形分含量が多すぎるとラテックス粒子の凝集が起って反応が不均一になりやすく、固形分含量が少なすぎると反応液全体の量が増えるので釜効率が悪くなる。必要に応じて希釈、濃縮、熱処理、熟成処理などの操作を加えた後用いても良いし、乳化剤、凍結防止剤、安定剤、pH調整剤などの添加物を加えて成分を調整した後用いても良い。
なお、(A)と(B)の使用量は、(A)/(B)=1/99〜50/50重量%、好ましくは5/95〜3070重量%である。上述の化合物(B−2)や場合により化合物(B−3)を使用しても良い。化合物(B−2)の使用量は(B)+(B−2)+(B−3)の合計量100重量部に対して好ましくは0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。化合物(B−3)の使用量は(B)+(B−2)+(B−3)の合計量100重量部に対して好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜25重量%である。
(A)+(B)と(C)の使用量は、{(A)+(B)}/(C)=1/99〜50/50重量%、好ましくは5/95〜25/75重量%である。本発明では、(C)がコアに、(A)+(B)がシェルになり得る。
(A)の使用量が多すぎると得られるポリオレフィン系3元グラフト共重合体をポリオレフィン樹脂に添加した場合の(メタ)アクリル系ポリマーの特徴から期待される物性、例えば低接触角、高表面張力、ぬれ性、接着性、塗装性、染色性、高誘電率、高周波シール性等、極性を示す物性あるいは極性の結果として発現する物性の改良効果が低下しうる。(A)の使用量が少なすぎるとポリオレフィン系ポリマーの特徴から期待される分散性が低下しうる。
このようにして得られるポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体あるいはそれを含むラテックスは、たとえば該ラテックスを噴霧乾燥したり、あるいは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ギ酸カルシウムなどの電解質により凝集させたり、このような析出のプロセスを経たのち水洗・脱水・乾燥などの処理を経て、ポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体からなる粉末、樹脂塊あるいはゴム塊として回収することができる。本発明の2元あるいは3元グラフト共重合体の乾燥物を押出機またはバンバリーミキサーなどを用いてペレット状に加工したり、析出から脱水(脱溶媒)を経て得られた含水(含溶媒)状態の樹脂を圧搾脱水機を経由させることによりペレット状に加工し回収することもできる。
本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体を各種の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に配合することにより本発明の樹脂組成物にすることができる。
熱可塑性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンオクテンゴム、ポリメチルペンテン、エチレン環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体などのビニルポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン複合体、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォンなどのエンジニアリングプラスチックが好ましく例示される。熱硬化性樹脂としては、一般に用いられている樹脂、例えばフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ホリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく例示される。これら熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン、ポリプロピレン、さらにポリプロピレンが、本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体の分散性が良好であるという点で好ましい。
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体との配合割合は、成形品の物性がバランスよく得られるように適宜決定すればよいが、充分な物性を得るためにはポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体の量が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂100部に対して0.1部以上、好ましくは5部以上であり、また熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の特性を維持するためには、グラフト共重合体粒子の量が熱可塑性樹脂100部に対して500部以下、好ましくは100部以下さらには50部以下が好ましい。
本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体は、ポリオレフィン成分を含むためポリオレフィンなど低極性の樹脂に対しても良好な分散性を示し、かつ(メタ)アクリル成分またはシリコーン成分を含むため極性等の様々な機能を付与することができる。
本発明の(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと、(B)(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体、あるいは、(C)(メタ)アクリル系マクロモノマーと、(D)(A)成分及び(B)成分から構成されるポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなることを特徴とする、ポリオレフィン系3元グラフト共重合体と、特にポリオレフィン樹脂との樹脂組成物は、例えば低接触角、高表面張力、ぬれ性、接着性、塗装性、染色性、高誘電率、高周波シール性等、極性をあらわす物性あるいは極性の結果としてあらわれる物性を示す。即ち、熱可塑性樹脂用、特にポリオレフィン用の極性付与剤(接着性、塗装性、染色性、高周波シール性等)、接着剤、プライマー、コーティング剤、塗料、ポリマーアロイなどの相溶化剤、ポリオレフィン/フィラー系複合材料やポリオレフィン系ナノコンポジットの界面活性化剤などに用いられ、また、ポリオレフィンを樹脂成分に、アクリル系ポリマーをゴム成分に(ゴム成分は架橋されていてもよい)有する熱可塑性エラストマー、耐衝撃性あるいは軟質性プラスチックなどに相溶性成分としてあるいはゴム成分兼相溶性成分として用いることができる。
本発明の、(C)シリコーン系マクロモノマーと、(D)(A)成分及び(B)成分から構成されるポリオレフィン系2元グラフト共重合体からなることを特徴とする、ポリオレフィン系3元グラフト共重合体は、シリコーンの有するゴム的な特性を活かして、熱可塑性樹脂用、特にポリオレフィン用の耐衝撃性改良剤、軟質性改良剤に、低ガラス転移点を活かして、低温脆性改良剤、耐寒性改良剤に、その他の特性を活かして、可塑剤、摺動性付与剤、難燃(助)剤、耐油性改良剤、耐薬品性改良剤、ガス透過性付与剤、電気特性改良剤、相溶化剤などに用いることができる。
さらに、本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体からなる樹脂組成物は、プラスチック、ゴム工業において知られている通常の添加剤、たとえば可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤などの配合剤を含有することができる。
本発明の樹脂組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂の配合に用いられる方法を用いることができ、たとえば、熱可塑性樹脂と本発明のポリオレフィン系2元あるいは3元グラフト共重合体および所望により添加剤成分とを、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
また、その熱可塑性樹脂が乳化重合法で製造されるばあいには、該熱可塑性樹脂とグラフト共重合体とを、いずれもラテックス(エマルジョン)の状態でブレンドしたのち、共析出(共凝集)することで製造することも可能である。
かくして得られる樹脂組成物の成形方法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる、たとえば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法があげられる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
なお、以下の合成例、実施例および比較例において、各物性あるいは特性の測定は、それぞれ以下の方法にしたがって行なった。
[GPC]GPC装置(クロロホルム展開液、温度:40℃、オートサンプラー:Waters717plus、HPLCポンプ:Waters510、RI検出器:はWaters410、UV検出器:Waters486、全てWaters社製)により、RI検出におけるポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
1H NMRスペクトル]試料約10mgを重水素化クロロホルム(アルドリッチ製)約0.7mLに溶かし、300MHz NMR装置(Varian社製Gemini300)により1H NMRスペクトルを測定した。
[重合転化率]乳化重合において、仕込んだモノマー(単量体)、場合によりマクロモノマー、乳化剤および開始剤の重量の合計を反応液全体の総重量で除して、モノマー(単量体)が100%重合した場合の最大固形分濃度を求めた。重合したラテックスを軟膏缶に0.5〜2g程度採取し、100℃以上のオーブンで30分以上熱乾燥して残留する固形分の割合を求め、これをラテックス中の固形分濃度とみなした。以下の式に基づいて重合転化率を算出した。
重合転化率(重量%)={(ラテックス中の固形分濃度)/(最大固形分濃度)}×100
[平均粒子径]NICOMP製のSubmicron Particle Sizer Model 370を用いて動的光散乱法によりラテックスの粒子径を測定し、体積平均粒子径を求めた。
[ゲル含量]試料約100mgを300Meshステンレス金網の袋に入れ、ヘキサンに室温24時間以上浸漬した後、室温で4時間以上減圧乾燥して試料中のトルエン不溶分の重量を測定した。下記の式によりゲル含量を求めた。
ゲル含量(重量%)={(トルエン不溶分乾燥重量)/(トルエン浸漬前重量)}×100
[ぬれ性]ポリプロピレン樹脂または本発明の樹脂組成物の約0.7mm厚プレスシートを用い、JIS−K6768に準じて表面張力を測定した。1試験片の6箇所で測定を行い、その平均値をぬれ性の指標として採用した。表面張力やぬれ性の高さは極性の高さを示す。
[引張弾性率、引張伸び]ポリプロピレンまたは本発明の樹脂組成物の約0.7mm厚プレスシートを作成し、そこからJIS−K7113付属書1に記載の2(1/3)号形小型試験片を打ち抜いた。オートグラフ(Shimadzu製、AUTOGRAPH AG−2000A)を用いて、n=3で引張特性を測定した。初速1mm/minで引張弾性率を測定した後30%まで引っ張り、次に5mm/minの速度で40%まで引っ張り、最後に引張速度を5mm/minに上げて破断点の伸び率を測定した。
(合成例1)
ビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマーの合成
300mLのステンレス−スチールオートクレーブを乾燥した後、窒素雰囲気下で乾燥トルエン84mL(和光純薬製)を入れた。ドライアイス−メタノールバスを用いて約−78℃までオートクレーブを冷却し、真空ポンプを用いて減圧状態にした後、水酸化ナトリウム(和光純薬製)と五酸化リン(和光純薬製)で乾燥したプロピレン(住友精化製)を24L凝縮させながら導入した。メチルアルミノキサンのトルエン溶液(アルミニウム濃度5.4%、東ソーファインケム製)を15.9mL、ジルコノセンジクロリド(アルドリッチ製)のトルエン溶液(20mmol/L)を0.99mL添加し、密閉した状態でオートクレーブを室温まで昇温した。室温で16時間攪拌した後、圧力を開放し、50mL塩酸(和光純薬製)/500mLメタノール溶液に注ぎ、重合を停止させた。析出物を減圧乾燥し、秤量した(収量38g、数平均分子量2200)。1H NMRスペクトルでビニリデン末端プロトンを4.7ppm付近に確認した。
(合成例2)
メタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマーの合成
合成例1で合成したビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマーを6.15g入れた200mLの4つ口フラスコを乾燥した後、窒素雰囲気下で乾燥THF(和光純薬製)53.5mLを入れて氷浴を用いて約0℃に冷却した。9−BBNのTHF溶液(0.5mol/L、Aldrich製)を添加した後、室温で5時間反応させた。再度0℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(3N)10.5mLと過酸化水素水(35重量%、和光純薬製)3.55gを添加した後、30℃で2時間反応させた。飽和炭酸カリウム水溶液を25mL加えた後、THF溶液を分液により得、濃縮、ヘキサン可溶分を水で洗浄し、分液により得たヘキサン溶液を濃縮乾燥した(収量6.0g)。
生成物を6.0g入れた200mLの4つ口フラスコを乾燥した後、窒素雰囲気下で乾燥塩化メチレン(和光純薬製)54mL、乾燥クロロホルム(和光純薬製)6mL、モレキュラーシーブで乾燥したトリエチルアミン(和光純薬製)9mLを入れ、氷浴を用いて約0℃に冷却した。メタクリロイルクロリド(和光純薬製)4.5mLを添加し、室温で約18時間攪拌した。溶液を濃縮後、ヘキサンに溶解し、メタノールに沈殿させ、これを2回繰り返した。沈殿物を減圧乾燥し、秤量した(収量4.0g、数平均分子量2200)。1H NMRスペクトルでメタクリル末端プロトンを5.5と6.1ppm付近に確認した。
(実施例1)
メタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマーとブチルアクリートの乳化ラジカル共重合
200mLの4つ口フラスコに水(和光純薬製)70mL、n−ブチルアクリレート16g、アリルメタクリレート0.32g、合成例2で合成したメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマー4gを仕込み、窒素バブリングにより脱酸素した。ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)1.8gを加え、撹拌して乳化させた。80℃に加熱し、過硫酸アンモニウム(2重量%水溶液、和光純薬製)を1.6mL加えて3時間反応させて共重合体のラテックスを得た。このラテックスに塩化カルシウム(和光純薬製)を加えて固形分を凝集させ、水洗、乾燥して共重合体を得た(重合添加率83.9%、平均粒子径52nm、ゲル含量97.8%)。
ゲル含量の測定で得たヘキサン不溶分の1H NMRスペクトルで、ポリブチルアクリレート由来のピーク以外に、ポリプロピレン系マクロモノマー由来のポリプロピレンのメチルプロトンのピークを0.8ppm付近に確認した。このことからポリプロピレン系マクロモノマーがグラフトしていることがわかった。
(比較例1)
ビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマーとブチルアクリレートの乳化ラジカル共重合
実施例1の合成例2で合成したメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマー4gの代わりに合成例1で合成したビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマー4gを使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、共重合体を得た(重合添加率92.2%、平均粒子径61nm、ゲル含量90.9%)。
ゲル含量の測定で得たヘキサン不溶分の1H NMRスペクトルで、ポリブチルアクリレート由来のピーク以外に、ポリプロピレン系マクロモノマー由来のポリプロピレンのメチルプロトンのピークをほとんど確認できなかった。このことからポリプロピレン系マクロモノマーがほとんどグラフトしていないことがわかった。
(合成例3)
アクリル系マクロモノマーの合成
200mLの4つ口フラスコに水(和光純薬製)70mL、n−ブチルアクリレート16g、アリルメタクリレート0.02gを仕込み、窒素バブリングにより脱酸素した。ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)70mgを加え、撹拌して乳化させた。80℃に加熱し、過硫酸アンモニウム(2重量%水溶液、和光純薬製)を0.8mL加えて30分間反応させてアクリル系マクロモノマーのラテックス78mLを得た(重合添加率99%、平均粒子径126nm、ゲル含量99%)。
(合成例4)
シリコーン系マクロモノマーの合成
200mLの4つ口フラスコに水(和光純薬製)80g、オクタメチルテトラシクロシロキサン(東レダウコーニング製)30g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業製)1.5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王製、ネオペレックス、25%水溶液)0.6gを仕込んで乳化させた後、ドデシルベンゼンスルホン酸(東京化成工業製、2.5%水溶液)12gを加えて80℃で反応開始し8時間後に重合転化率73%に達した。室温に冷却し12時間熟成した後に水酸化ナトリウム水溶液で中和し、シリコーン系マクロモノマーのラテックスを得た(重合添加率73%、平均粒子径174nm、ゲル含量34%)。
(実施例2)
アクリル系マクロモノマーとメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマーとブチルアクリレートの乳化ラジカル共重合
合成例3で得たアクリル系マクロモノマーのラテックス88mLにt−ブチルメタクリレート3.2g、アリルメタクリレート0.3g、合成例2で合成したメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマー0.8gを加え、撹拌して乳化させた。80℃に加熱し、過硫酸アンモニウム(2重量%水溶液、和光純薬製)を0.8mL加えて2.5時間反応させて共重合体のラテックスを得た。このラテックスに塩化カルシウム(和光純薬製)を加えて固形分を析出させ、水洗、乾燥して共重合体を得た(重合添加率100%、平均粒子径134nm、ゲル含量100%)。
ポリプロピレン樹脂(グランドポリマー製F232DC)20gと得られた共重合体4gをラボプラストミル(東洋精機製、容量30cc)を用いて200℃、100rpmで10分間混練した後、得られた樹脂組成物をプレス(条件:200℃、無圧、10min→200℃、50kgf/cm2、10min→室温、50kgf/cm2、5min)して約0.7mm厚のシートを作成し、ぬれ性、引張特性を測定した。ぬれ性は320μN/cm、引張弾性率は373MPa、引張伸びは61%であった。
(比較例2)
実施例と同様に、ポリプロピレン樹脂単体のぬれ性、引張特性を測定した。ポリプロピレン樹脂単体のぬれ性は300μN/cm、引張弾性率は543MPaであり、実施例2の樹脂組成物はポリプロピレン樹脂単体よりも高いぬれ性、低い引張弾性率を示した。高いぬれ性(高い極性)により、接着性、塗装性、染色性、高周波シール性等が改良されうる。また、低い引張弾性率は軟質性の高さを示している。
(比較例3)
アクリル系マクロモノマーとビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマーとブチルアクリレートの乳化ラジカル共重合
実施例2において、合成例2で合成したメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマー0.8gの代わりに合成例1で合成したビニリデン末端ポリプロピレン系マクロモノマー0.8gを使用した以外は同様の操作を行い、共重合体を得た(重合添加率92%、平均粒子径136nm、ゲル含量100%)。
ポリプロピレン樹脂20gと得られた共重合体4gをラボプラストミルを用いて200℃、100rpmで10分間混練した後、実施例2と同様にプレスして約0.7mm厚のシートを作成し、ぬれ性、引張特性を測定した。ぬれ性は320μN/cm、引張弾性率は339MPa、引張伸びは45%であった。
実施例2の樹脂組成物は比較例3と同等のぬれ性、引張弾性率を、比較例3よりも高い引張伸び(35%増し)を示すことがわかる。引張伸びの高さは分散性の高さを示している。
(実施例3)
シリコーン系マクロモノマーとメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマーとブチルアクリレートの乳化ラジカル共重合
合成例4で得たシリコーン系マクロモノマーのラテックス80mLにt−ブチルメタクリレート3.2g、アリルメタクリレート0.3g、合成例2で合成したメタクリル末端ポリプロピレン系マクロモノマー0.8gを加え、撹拌して乳化させた。80℃に加熱し、過硫酸アンモニウム(2重量%水溶液、和光純薬製)を0.8mL加えて2.5時間反応させて共重合体のラテックスを得た。このラテックスに塩化カルシウム(和光純薬製)を加えて固形分を析出させ、水洗、乾燥して共重合体を得た。
ポリプロピレン樹脂20gと得られた共重合体4gをラボプラストミルを用いて200℃、100rpmで10分間混練した後、得られた樹脂組成物を実施例2と同様にプレスして約0.7mm厚のシートを作成し、引張特性を測定した。引張弾性率は400MPa、引張伸びは60%であった。低い引張弾性率は軟質性の高さを示している。

Claims (9)

  1. (A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマーと、(B)(メタ)アクリル系モノマーから乳化重合により製造されることを特徴とする、ポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法。
  2. (C)(メタ)アクリル系マクロモノマーあるいはシリコーン系マクロモノマーと、(D)(A)(メタ)アクリル基を末端に有するポリオレフィン系マクロモノマー及び(B)(メタ)アクリル系モノマーから構成されるポリオレフィン系2元グラフト共重合体、からなることを特徴とするポリオレフィン系3元グラフト共重合体。
  3. (A)成分のポリオレフィンがポリα−オレフィンであることを特徴とする、請求項1記載のポリオレフィン系2元グラフト共重合体の製造方法。
  4. (A)成分のポリオレフィンがポリα−オレフィンであることを特徴とする、請求項2記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体。
  5. (C)成分が(メタ)アクリル系マクロモノマーであり、且つ(メタ)アクリル系モノマーと、分子内に該(メタ)アクリル系モノマーと反応可能なラジカル重合性不飽和基を2つ以上有する単量体とを反応させてなる(メタ)アクリル系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体。
  6. (C)成分がシリコーン系マクロモノマーであり、且つ、オルガノシロキサンと、分子内に該オルガノシロキサンと反応可能な官能基およびラジカル重合性不飽和基を有する化合物とを反応させてなるシリコーン系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体。
  7. 請求項2、4、5、又は6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体を含有する樹脂組成物。
  8. ポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項7記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体樹脂組成物。
  9. 請求項2、4、5、又は6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系3元グラフト共重合体の製造方法。
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