JP2005075858A - ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

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JP2005075858A JP2003304773A JP2003304773A JP2005075858A JP 2005075858 A JP2005075858 A JP 2005075858A JP 2003304773 A JP2003304773 A JP 2003304773A JP 2003304773 A JP2003304773 A JP 2003304773A JP 2005075858 A JP2005075858 A JP 2005075858A
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一清 永井
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Abstract

【課題】 コスト面での有利性を保ちながら、良好な電子写真特性を有し、かつ耐摩耗性に優れる新規ポリカーボネート樹脂の提供を目的とする。
【解決手段】 従来の樹脂に比べて機械的に強い耐摩耗性を有し、低分子電荷輸送材料を含有させた系においても優れた耐摩耗性を発現できる、特定の構成単位を含有する新規ポリカーボネート樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐摩耗特性に優れるポリカーボネート樹脂に係り、特に電子写真感光体の電荷輸送層用バインダー材料として有用なポリカーボネート樹脂に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性が強く、可視域の光透過性も良好な為、透明エンジニアリング樹脂として様々な用途に使用されている。例えば、有機電子写真感光体の電荷輸送層のバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂が広く用いられている。有機電子写真感光体の代表的な構成例として、導電性基板上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した積層型感光体が挙げられ、さらに感光体は、画像形成装置の一部としての役割を果たす。通常、電荷輸送層は低分子電荷輸送性材料とバインダー樹脂より形成され、このバインダー樹脂として用いられている。電荷輸送層は、有機感光体の最外層であり、ブレード、トナー、紙、ブラシ等と接触することで摩耗し、感光体の寿命を損なうため、できるだけ耐摩耗性に強いバインダー樹脂が選択され使用されている。
これまで、ポリカーボネート樹脂の耐摩耗性に関する検討は、多数行われているが、いずれも電子写真特性を有しながら、充分な耐摩耗性を獲得するには至っていない。特に、電子写真特性に関し、例えば、特許文献1においては、電荷輸送基を樹脂構造内に取り込んだ高分子電荷輸送性材料を用いた電子写真感光体について述べている。
特開2001-72756号公報
しかしながら、該感光体においては、低電界側での電荷の移動性が悪くなり、光露光した後の感光体表面電位で定義される明部電位が高くなってしまう。さらに繰り返して使用した場合、明部電位が上昇しやすく、いずれも、十分な電子写真特性を有するとは言えない。また、高分子電荷輸送性材料の製造には、その合成工程における複雑性に起因し、コスト的に不利な面がある。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、コスト面での有利性を保ちながら、良好な電子写真特性を有し、かつ耐摩耗性に優れる新規ポリカーボネート樹脂の提供を目的とする。
特定の構成単位を含有する新規ポリカーボネート樹脂が従来の樹脂に比べて機械的に強い耐摩耗性を有し、低分子電荷輸送材料を含有させた系においても優れた耐摩耗性を発現できることを見出した。
即ち、本発明は以下の[1]〜[4]である。
[1] 下記式(10)及び一般式(11)
Figure 2005075858
で表される構成単位からなり、
Xは、一般式(12)、及び(13)
Figure 2005075858
で表される2価基であり、
Yは、単結合、炭素数2以上4以下の直鎖のアルキレン基、−O−、-S-、又は一般式(14)、(15)、(16)、若しくは(17)
Figure 2005075858
で表される2価基であり、
101、R102、R103、及びR104の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、又は無置換若しくは置換アリール基であり、o、及びpは1以上4以下の整数であり、q、及びrは、0以上3以下の整数であり、o、p、q、及び/又はrが2以上である場合、o個のR101は独立して選択され、p個のR102は独立して選択され、r個のR103は独立して選択され、及びr個のR104は独立して選択され、
105は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基であり、sは、1以上4以下の整数を示し、tは、1以上の整数であり、sが2以上の場合、s個のR105は独立して選択され、
106、R107の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基であるか、又は互いに結合して炭素数5以上12以下の環を形成し、
108、R109、R110、R111の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基、
であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
これにより、引掻き摩耗ならびに疲労摩耗において優れた耐摩耗性を有する樹脂を得る。
[2] 前記一般式(10)で表される構成単位数K、前記一般式(11)で表される構成単位数Jが、0.1≦K/(K+J)<1.0であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂。
これにより、耐摩耗性に優れた新規ポリカーボネート樹脂の提供が可能となる。
[3] 式(18)
Figure 2005075858
で表され、nが30以上10000以下の整数であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
これにより、引掻き摩耗ならびに疲労摩耗において優れた耐摩耗性を有する樹脂を得る。
[4] ポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
これにより、引掻き摩耗ならびに疲労摩耗において優れた耐摩耗性を有する樹脂を得る。
本発明のポリカーボネート樹脂は、耐摩耗性に優れ、特に低分子電荷輸送性材料が混合された系においても優れた耐摩耗性を示し、電子写真感光体用のバインダーとして有用な樹脂である。
以下に本発明の詳細を説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記一般式(10)及び前記一般式(11)で示される構成単位からなるポリカーボネート樹脂並びに前記一般式(18)で表されるポリカーボネート樹脂である。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明のポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の製造法として公知の、ビスフェノールと炭酸誘導体との重合と同様の方法で製造できる。すなわち、下記一般式(19)で表されるジオールを使用し:ビスアリールカーボネートとのエステル交換反応;ジオールを使用したホスゲン等のハロゲン化カルボニル化合物との溶液又は界面重合反応;若しくはジオールから誘導されるビスクロロホーメート等のクロロホーメートを用いる反応;等により製造される。
Figure 2005075858
又、適当な重合操作を選択することによって共重合体にすることができる。例えば、一般式(19)で表されるジオールと一般式(20)で表されるジオールをはじめから均一に混合してホスゲンとの縮合反応を行えばランダム共重合体が得られる。又、幾種類かのジオールを反応の途中から加えることによりランダムブロック共重合体が得られる。又、いずれかのジオールから誘導されるビスクロロホーメート体と縮合反応を行えば交互共重合体が得られる。又、これらビスクロロホーメートとジオールとの縮合反応の際、ビスクロロホーメート及びジオールを複数使用することによりランダム交互共重合体が得られる。
一般式(20)で表されるジオールを複数使用して一般式(19)で表されるジオールと共重合させることもできる。
Figure 2005075858
〔式中、Xは下記式(12)及び(13)で表される2価基を示す。〕
Figure 2005075858
〔式中、R101、R102、R103、及びR104の夫々は:水素原子;ハロゲン原子;炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基;又は、無置換又は置換アリール基であり、o、及びpは0以上4以下の整数、q、及びrは、1以上3以下の整数、であって、o、p、q、及び/又はrが2以上である場合、R101、R102、R103、及びR104の夫々は前記候補基から独立して選択され、Yは:単結合;炭素数2以上4以下の直鎖のアルキレン基;−O−;-S-;又は下記式(14)、(15)、(16)、若しくは(17)
Figure 2005075858
(式中、R105は:
水素原子;ハロゲン原子;炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基;炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基;又は無置換若しくは置換アリール基;を示し、
pは、0以上4以下の整数を示し、tは、1以上の整数であり、pが2以上の場合、p個のR105の夫々は、独立に選択され、
106、R107の夫々は:
水素原子;ハロゲン原子;炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基;炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基;又は、無置換若しくは置換アリール基;を示し、あるいは、R106、R107は、任意で、結合して炭素数5以上12以下の環を形成し、
108、R109、R110、R111の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基を示す。)で表される2価基を示す。〕
以下、一般式(11)及び一般式(20)についてさらに詳細に説明する。
101、R102、R103、及びR104の説明中、
ハロゲン原子として:フッ素原子;塩素原子;臭素原子;及びヨウ素原子、炭素数1以上6以下の無置換もしくは置換アルキル基として:直鎖;分岐鎖;又は環状のアルキル基;が挙げられ、これらのアルキル基は:フッ素原子;シアノ基;フェニル基;若しくはハロゲン原子又は炭素数1以上6以下の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
無置換もしくは置換アリール基としてはフェニル基、ナフチル基を挙げることができ、前記と同様なハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換もしくは置換アルキル基を置換基として有してもよい。
Yの説明中、
炭素数2以上4以下の直鎖のアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレンを表す。
105〜R111の説明中、
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換もしくは置換アルキル基、無置換もしくは置換アリール基は、R101、R102、R103、及びR104と同様である。
炭素数1以上6以下の置換もしくは無置換アルコキシ基とは、上記した炭素数1以上6以下の置換もしくは無置換アルキル基を有するアルコキシ基を表し、その具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基-sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−シアノエトキシ基、ベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
また、R106、R107が結合して形成する炭素数5以上12以下の環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロオクタデカン等を表す。
(ジオール)
一般式(20)で表されるジオールの具体例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス〈4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ぺンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルぺンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)へキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)へプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3-S-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)へキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロぺンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3,3’,3’−テトラメチル−6,6’−ジヒドロキシスピロビインダン、3,3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−べンゾピラン)−7,7’−ジオール、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
(エステル交換法)
また、本ポリカーボネート樹脂は、エステル交換法によっても製造される。この場合、不活性ガス存在下にジオールとビスアリールカーボネートを混合し、通常減圧下120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成するフェノール類を系外に留去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。又、必要に応じて酸化防止剤を加えてもよい。ビスアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。
(溶液重合)
一方、溶液重合で行う場合は、ジオールを溶媒に溶解し、脱酸剤を添加し、これにビスクロロホーメート、又はホスゲン、又はホスゲンの多量体を添加することにより得られる。脱酸剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンのような第三級アミンおよびピリジンが使用される。また、反応に使用される溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素およびテトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類及びピリジンが好ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間である。
(界面重合)
ハロゲン化カルボニル化合物や、クロロホーメートを用いる方法において、界面重合法により本ポリカーボネート樹脂の製造を行う場合、ジオールのアルカリ水溶液と水に対して実質的に不溶性であり、且つ、ポリカーボネートに溶解性を示す有機溶媒との2相間で炭酸誘導体及び触媒の存在下にて反応を行う。この際、高速撹拌や乳化物質の添加によって反応媒体を乳化させて行うことによって短時間で分子量分布の狭いポリカーボネートを得ることができる。ハロゲン化カルボニル化合物としてはホスゲンの代わりにホスゲンの2量体であるトリクロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネートも有用であり、塩素以外のハロゲンより誘導されるハロゲン化カルボニル化合物、例えば、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニルも有用である。これら公知の製造法については例えばポリカーボネート樹脂ハンドブック(編者:本間精一、発行:日刊工業新聞社)等に記載されている。
アルカリ水溶液に用いる塩基としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩等である。これらの塩基は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。好ましい塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。使用される水は蒸留水、イオン交換水が好ましい。有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素、又は、それらの混合物である。又、それらにトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を混合した有機溶媒でもよい。有機溶媒は、好ましくは、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素であり、より好ましくは、ジクロロメタン又はクロロベンゼンである。
(触媒等)
ポリカーボネート製造時に使用されるポリカーボネート生成触媒は、第三級アミン、第四級アンモニウム塩、第三級ホスフィン、第四級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等である。ポリカーボネート生成触媒の具体例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−テトラメチレンジアミン、4−ピロリジノピリジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−エチルピペリジン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリエチルアンモニウムクロライド、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、テトラ(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルピリジン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−メチルピリダジン、4,6−ジメチルピリミジン、1−シクロヘキシル−3,5−ジメチルピラゾール、2,3,5,6−テトラメチルピラジン等である。これらのポリカーボネート生成触媒は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。ポリカーボネート生成触媒は、好ましくは、第三級アミンであり、より好ましくは、総炭素数3〜30の第三級アミンであり、特に好ましくは、トリエチルアミンである。これら触媒の添加は、ホスゲンやビスクロロホーメート等の炭酸誘導体を反応系に加える前、及び/又は、加えた後でもよい。
また、アルカリ水溶液中でのジオールの酸化を防ぐためにハイドロサルファイト等の酸化防止剤を加えても良い。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間であり、反応中のpHは通常10以上に保つことが好ましい。
(分子量調節剤)
以上すべての重合操作において分子量を調節するために分子量調節剤として末端停止剤を用いることが望ましく、従って、本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の末端には停止剤にもとづく置換基が結合してもよい。使用される末端停止剤は、1価の芳香族ヒドロキシ化合物;1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体;1価のカルボン酸;1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。1価の芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、フェノール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert-ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ビス(1′−メチル−1′−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2′,4′,4′−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4′−メトキシフェニル)−2−(4″−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体は、上記の1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体等である。1価のカルボン酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert-ブチル安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。1価のカルボン酸のハライド誘導体は、上記の1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。これらの末端封止剤は重合操作の過程において反応開始前および反応途中に加えることで分子量を任意に調整することができる。さらにこれらの末端封止剤は末端基の保護剤としても用いることができ、重合反応終了後に加えることで末端基を保護し様々な機能を付加することもできる。これらの末端封止剤は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。末端封止剤は、好ましくは、1価の芳香族ヒドロキシ化合物であり、より好ましくは、フェノール、p−tert-ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたはクロロギ酸フェニルである。
(分子量等と耐摩耗性の関係)
本発明のポリカーボネート樹脂の好ましい分子量はポリスチレン換算重量平均分子量で30000以上300000以下であり、より好ましくは70000以上250000以下である。分子量が小さすぎる場合は機械的強度が弱くなり、成膜時にひびが入る等実用性に乏しくなる。また、分子量が大きすぎる場合は溶液粘度が高くなり塗工が困難になる。
一般に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量の算出は、分子量分布の狭い標準ポリスチレンの測定結果から得られる検量線とピーク高さ又はピーク面積から重量平均分子量の定義に従って計算される。すなわち、重量平均分子量Mw(平均)=ΣNiMi2/ΣNiMi=ΣWiMiである。ここで、Niは重合度iで分子量Miである分子数、Wiは重合度iである分子の重量分率を表す。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)では、i番目のカウント(溶出量)の分子量をMi、同じ分子量における分子数をNiであり、MiNiは、ピーク高さ又はピーク面積に相当する。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる樹脂の分離では、上記重量平均分子量近傍で目的樹脂の分子分布が見られ、その範囲は、樹脂重量平均分子量に対し、およそ1/10以上10倍以下である。これを式(18)における構成単位の繰り返し数nに換算すると、n=10以上10000以下である。つまり、式(18)における本発明のポリカーボネート樹脂の好ましい繰り返し単位は、n=10以上10000以下である。この範囲外の樹脂は、上記と同様の方法により、その欠点を記述することができる。
(共重合体と耐摩耗性の関係)
共重合体とする場合は、一般式(10)であらわされる構成単位がその他の構成単位との組成比で10mol%以上含有される事が好ましく、30mol%以上含有されることが更に好ましい。更に、50mol%以上含有される事がよりいっそう好ましい。言い換えると、一般式(10)で表される構成単位数をKとし、その他の構成単位数をJとすると、K/(K+J)が0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることが更に好ましい。更に、K/(K+J)が0.5以上であることがよりいっそう好ましい。本発明の樹脂においてその優れた耐摩耗性は、一般式(10)で表される構成単位により発現される為であり、この濃度が低下するとその効果は減弱される。
又、機械的特性を改良するために重合時に分岐化剤を少量加えることもできる。使用される分岐化剤は、芳香族性ヒドロキシ基、ハロホーメート基、カルボン酸基、カルボン酸ハライド基または活性なハロゲン原子等から選ばれる反応基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物である。分岐化剤の具体例は、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α′−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4′−ヒドロキシフェニル)−2−(2″,4″−ジヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス〔4′,4′−ビス(4″−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、α,α,α′,α′−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、2,2,5,5−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4′,4″−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、3,3′,5,5′−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル酸、5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオキシフタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸クロライド等である。これらの分岐化剤は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
以上のようにして得られたポリカーボネート樹脂は、重合中に使用した触媒や酸化防止剤、又、未反応のジオールや末端停止剤、又、重合中に発生した無機塩等の不純物を除去して使用される。これら精製操作も先のポリカーボネート樹脂ハンドブック(編者:本間精一、発行:日刊工業新聞社)等に記載されている公知の方法を使用できる。これら公知の方法としては:多段抽出法;オリフィス塔撹拌槽を用いた方法;水型分散相及び油中水型分散相を形成し遠心分離を組み合わせた方法;カチオン性乳化剤あるいは分散剤及び有機アニオン性化合物を用いた方法;イオン交換樹脂を用い分離する方法;有機、無機、疎水性、あるいはポリテトラフルオロエチレン型ろ材層を用い分離する方法;珪藻土を用い分離する方法;ゲル状セルロースを用い分離する方法;高電圧処理と静置分離を組み合わせた方法;氷結固化する方法;又は食塩、グルコン酸、ブタノール、イソブタノール、あるいはn―ヘプタンを用いる方法;などを挙げることができる。
又、上記の方法にしたがって製造されたポリカーボネート樹脂には、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤などの添加剤を加えることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[ビスフェノールモノマーの合成]
(4−ブロモ−2−メチルアニソールの合成)
o-アニソール92部、N-ブロモスクシンイミド147部、脱水アセトニトリル270部を撹拌反応容器にいれ、室温で2時間反応させた。反応後、四塩化炭素を加え、スクシンイミドをろ過した。ろ液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマト処理にシクロヘキサン溶媒を用いて行い、4−ブロモ−2−メチルアニソール125部を得た。
(4−メトキシ−3−メチルフェノールの合成)
3−メチル−p−アニスアルデヒド6.4部、m−クロロ過安息香酸13部、ジクロロメタン200部を撹拌反応容器にいれ、窒素気流下、11時間還流させた。反応後冷却し、酢酸エチルを加え、有機層を5%の炭酸水素ナトリウム水溶液で5回、飽和食塩水で1回の順で洗浄した。最後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ液を濃縮した。ろ物にメタノール25部と10%の水酸化カリウム水溶液20部を加え、窒素気流下2時間室温で反応させた。反応後、酢酸エチル50部を加え抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマト処理にトルエン溶媒を用いて行い、4−メトキシ−3−メチルフェノール4部を得た。
(4、4’−ジメトキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの合成)
4−ブロモ−2−メチルアニソール28部、4−メトキシ−3−メチルフェノール29部、水酸化カリウム13部、活性化銅9部を撹拌反応容器にいれ、窒素気流下220℃で3時間反応させた。反応後冷却し、トルエンを加えセライトろ過した。ろ液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマト処理をトルエン/n−ヘキサン(1/1)混合溶媒を用いて2回行い、溶媒を用いて行い4、4’−ジメトキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテル21部を得た。
(4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの合成)
4、4’−ジメトキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテル11部をジクロロメタン70部に溶解させ、撹拌反応容器にいれ、窒素気流下−5℃で三臭化ホウ素20部をジクロロメタン10部に溶解させた液を15分かけてゆっくり滴下した。滴下後徐々に室温に戻し、さらに2時間反応させた。反応後、氷水500部に反応液を注ぎ、30分撹拌した。有機層を水、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、最後に無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマト処理をトルエン/酢酸エチル(4/1)混合溶媒を用いて行い、更にトルエンによる再結晶精製し、4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテル7部を得た。この化合物の融点は、141.5〜142.5℃で、元素分析の結果は以下の様であり構造式から計算される値と一致した。
Figure 2005075858

[ポリカーボネート樹脂の合成]
(実施例1)
上記合成例で得られた4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテル2.7部と分子量調節剤としての4−tert-ブチルフェノール0.141部を容器に入れ、窒素気流下で水酸化ナトリウム3.50部とナトリウムハイドロサルファイト0.15部を水38部に溶解させた液を加えて、撹拌して溶解させ、5℃に冷却させた。一方、反応容器にホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネート2.43部とジクロロメタン31部を入れて撹拌溶解させ、5℃まで冷却させた。その後、モノマーのアルカリ溶液をホスゲン溶液中に加え、強く撹拌しながらエマルジョンを形成させつつ反応させた。15分撹拌した後、触媒としてトリエチルアミン0.01部を加えて、28℃で150分撹拌反応させた。
反応終了後、有機層を取出し、ジクロロメタンで希釈し、水、2%の塩酸水溶液の順で洗浄し、最後に水で洗浄後の水層の電導度が2μS以下になるまで洗浄した。得られた有機層をイソプロピルアルコール中に滴下して無色のポリカーボネート樹脂を得た。ろ過、乾燥後の収量は2.87部であり、収率96%であった。
得られたポリカーボネート樹脂No.1(化学式(21))の構造を下記に記す。このポリカーボネート樹脂の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量で75900、重量平均分子量で185800であった。又、示差走査熱量測定から求めたガラス転移温度は101℃であった。また元素分析の結果は以下のようであり、構造式から計算される値と一致した。
樹脂No.1(化学式(21))
Figure 2005075858
Figure 2005075858

(実施例2〜4)
4−tert-ブチルフェノールの仕込み量を変える以外は実施例1と同様にして、分子量の異なるポリカーボネート樹脂No.2〜4(化学式(21))を得た。
樹脂No.2(化学式(21))
重量平均分子量70000
ガラス転移温度 99℃
樹脂No.3(化学式(21))
重量平均分子量113000
ガラス転移温度 100℃
樹脂No.4(化学式(21))
重量平均分子量148000
ガラス転移温度 100℃
(実施例5)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの50モル%分を1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに代えた他は同様にして樹脂No.5(化学式(22))を得た。
樹脂No.5(化学式(22))
Figure 2005075858
重量平均分子量158800
ガラス転移温度 142℃
(実施例6)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの50モル%分を2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代えた他は同様にして樹脂No.6(化学式(23))を得た。
樹脂No.6(化学式(23))
Figure 2005075858
重量平均分子量137000
ガラス転移温度 127℃
(実施例7)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの70モル%分を2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代えた他は同様にして樹脂No.7(化学式(24))を得た。
樹脂No.7(化学式(24))
Figure 2005075858
重量平均分子量151200
ガラス転移温度 139℃
(実施例8)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの30モル%分を2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代えた他は同様にして樹脂No.8(化学式(25))を得た。
樹脂No.8(化学式(25))
Figure 2005075858
重量平均分子量150500
ガラス転移温度 117℃
(実施例9)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの30モル%分を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代えた他は同様にして樹脂No.9(化学式(26))を得た。
樹脂No.9(化学式(26))
Figure 2005075858
重量平均分子量146000
ガラス転移温度 108℃
(実施例10)
実施例1において4、4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルジフェニルエーテルの30モル%分を4、4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルに代えた他は同様にして樹脂No.10(化学式(27))を得た。
樹脂No.10(化学式(27))
Figure 2005075858
重量平均分子量153700
ガラス転移温度 113℃
(耐摩耗性評価)
得られたポリカーボネート樹脂及び比較のポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフラン溶液とし、厚さ1mmのアルミニウム板の上に厚さ20μmになるように塗布・乾燥させ、テーバー摩耗試験機の試験片を作製した。
また、ポリカーボネート樹脂と下記式(28)の低分子電荷輸送性化合物を重量比10:7で混合してテトラヒドロフラン溶液とし、上記と同様にして試験片を作製した。
Figure 2005075858
工業規格JIS K 7204(1995)に従ってテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)にてフェルト素材でできたCS-5摩耗輪を使用し、荷重1kgで3000回転の摩耗試験を行った。また、シリカ粒子含有ゴム素材でできたCS-10摩耗輪を使用し、荷重250gで1500回転の摩耗試験を行なった。CS-5摩耗輪の場合は、疲労摩耗特性を表し、CS-10摩耗輪の場合は、引掻き摩耗特性を表す。
これらの結果を、表−1に示す。
比較樹脂No.1(化学式(29))
Figure 2005075858
Mw76100
比較樹脂No.2(化学式(30))
Figure 2005075858
Mw180800
比較樹脂No.3(化学式(31))
Figure 2005075858
Mw151500
比較樹脂No.4(化学式(32))
Figure 2005075858
Mw190500
比較樹脂No.5(化学式(33))
Figure 2005075858
Mw75000
比較樹脂No.6(化学式(34))
Figure 2005075858
Mw126000
比較樹脂No.7(化学式(35))
Figure 2005075858
Mw81500
表−1
Figure 2005075858

比較樹脂No.7を使用した場合は、テトラヒドロフラン溶液に不溶部が発生し、また、塗布後に透明均一膜が得られなかったため、摩耗量の測定はできなかった。
(実施例の効果)
特に一般式(9)で表されるポリカーボネート樹脂は、重量平均分子量約70,000以上約160,000以下の範囲内にある樹脂No.1〜4が示すように、引掻き摩耗ならびに疲労摩耗において優れた耐摩耗性を有す。
樹脂の耐摩耗性は、一般的に、分子量の減少につれ、樹脂の強度が急激に小さくなる。樹脂No.1〜4が示すようにポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が70000以上ではいずれも優れた耐摩耗性を示すことが明らかである。
また、一般式(10)で表される構成単位部分が耐摩耗性発現に大きく寄与していることが推測され、該構成単位の組成比の減少につれ、有効な特性が発現されなくなることは容易に推測される。樹脂No.1及び樹脂No.6〜8の結果が示すとおり、一般式(10)で表される構成単位の組成比が0.1以上では従来樹脂に比べて有効な耐摩耗性が発揮される。逆に言えば、一般式(11)に示されるような、耐摩耗性の面で不利な構造を有する構成単位を含む樹脂は、上記0.1≦K/(K+J)<1.0なる組成比を以て一般式(10)により示す構成単位を含めることにより、優れた耐摩耗性を有する樹脂を得る事ができると考えられる。このことは、より幅広い化合物群から樹脂を製造することが可能であることを意味し、コスト面での有利性を保ちながら、耐摩耗性に優れる新規ポリカーボネート樹脂を提供することが可能となる。

Claims (4)

  1. 式(1)及び一般式(2)
    Figure 2005075858
    で表される構成単位からなり、
    Xは、一般式(3)及び(4)
    Figure 2005075858
    で表される2価基であり、
    Yは、単結合、炭素数2以上4以下の直鎖のアルキレン基、−O−、−S−、又は下記式(5)、(6)、(7)、若しくは(8)
    Figure 2005075858
    で表される2価基であり、
    101、R102、R103、及びR104の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、又は無置換若しくは置換アリール基であり、o及びpは、1以上4以下の整数であり、q及びrは、1以上3以下の整数であり、o、p、q、及び/又はrが2以上である場合、o個のR101は独立して選択され、p個のR102は独立して選択され、q個のR103は独立して選択され、及びr個のR104は独立して選択され、
    105は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基であり、sは、0以上4以下の整数を示し、tは、1以上の整数であり、sが2以上の場合、s個のR105は独立して選択され、
    106及びR107の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基であるか、又は互いに結合して炭素数5以上12以下の環を形成し、
    108、R109、R110、及びR111の夫々は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルキル基、炭素数1以上6以下の無置換若しくは置換アルコキシ基、又は無置換若しくは置換アリール基、
    であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  2. 前記式(1)で表される構成単位数K及び前記一般式(2)で表される構成単位数Jが、0.1≦K/(K+J)<1.0であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 式(9)
    Figure 2005075858
    で表され、nが10以上10000以下の整数であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  4. ポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上である請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂。
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