JP2005075842A - 熱可塑性樹脂用マスターバッチ - Google Patents
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- UQOAHWISLTYDNM-UHFFFAOYSA-N COP(C)Oc1ccccc1 Chemical compound COP(C)Oc1ccccc1 UQOAHWISLTYDNM-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
【課題】酸化防止剤の耐加水分解性が向上した樹脂用マスターバッチの提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1.5〜100重量部と、ハイドロタルサイト系化合物の0.01〜1重量部及び/又は高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩の0.01〜1重量部とを含有する組成物。
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子は置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でも異なってもよい。Ph2、Ph’2及びPh3はフェニル基又はビフェニル基を表す。Ph2及びPh’2は互いに同一でも異なってもよい。Xは単結合等を表す。]
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1.5〜100重量部と、ハイドロタルサイト系化合物の0.01〜1重量部及び/又は高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩の0.01〜1重量部とを含有する組成物。
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子は置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でも異なってもよい。Ph2、Ph’2及びPh3はフェニル基又はビフェニル基を表す。Ph2及びPh’2は互いに同一でも異なってもよい。Xは単結合等を表す。]
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止剤を含有する熱可塑性樹脂用マスターバッチ及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、ポリエチレン樹脂100重量部に対し、同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤の0.01〜1重量部、ハイドロタルサイト系化合物の0.01〜1重量部及び/又は高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩の0.01〜1重量部を含有することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物が記載されている。
【0003】
また、特許文献2等には、熱可塑性樹脂の熱劣化や酸化劣化を防止する安定剤として、下式(IV)で示される酸化防止剤が記載されている。
(IV)
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。
上記の炭素数2〜8のアルキレン基における炭素−炭素結合は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい。
R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R4及びR5の一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0004】
【特許文献1】
特開2002−146121号公報(特許請求の範囲を参照)
【0005】
【特許文献2】
特開平10−273494号公報(特許請求の範囲等を参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性樹脂のペレット等の製造において、樹脂パウダーを押し出し機等で造粒後、該造粒物に前記の構造を有する酸化防止剤等を粉の形で添加すると、酸化防止剤が低濃度であっても分散性不良等のハンドリング上の問題がある。そこで、一般的には、比較的高濃度の酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂のマスターバッチに加工し、これを上記の熱可塑性樹脂で3〜100倍程度に希釈する方法が採用されている。
しかし、この比較的高濃度の酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチは、高温多湿の時季等に倉庫で保管されている際に上記の酸化防止剤が加水分解されやすいという問題があった。
【0007】
上記問題を解決するために、熱可塑性樹脂用マスターバッチを防湿タイプの包材に充填して保管する対策等が採られているが、該方法ではコストアップになるという問題があった。
また、熱可塑性樹脂用マスターバッチを防湿タイプの包材に充填して保管しても、一旦開封すると吸湿してしまい、前記酸化防止剤が加水分解されやすいため、上記のマスターバッチを一度に使い切ってしまう必要があった。
本発明の目的は、高濃度であっても前記式(IV)等の酸化防止剤の耐加水分解性が改善された熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供することである。
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(ア)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩
【0010】
また、本発明は、
(イ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、次の(C−2)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物
【0011】
さらに、本発明は、
(ウ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする上記(ア)の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法を提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩
【0012】
そして、本発明は、
(エ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、次の(C−2)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする上記の(イ)の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法を提供するものである。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチやその製造法において使用される熱可塑性樹脂としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(2)ポリプロピレン、(3)メチルペンテンポリマー、(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)やポリ(α−メチルスチレン)、(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、
【0014】
(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレンや塩素化ゴム、(12)ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、(13)メタクリル樹脂、(14)エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、(15)フッ素樹脂、(16)ポリアセタール、(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂、(18)ポリウレタン、(19)ポリアミド、(20)ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、(21)ポリカーボネート、(22)ポリアクリレート、(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルスルホン、(24)芳香族ポリエステル樹脂、(25)ジアリルフタレートプリポリマー、(26)シリコーン樹脂、(27)1,2−ポリブタジエン、(28)ポリイソプレン、(29)スチレン/ブタジエン共重合体、(30)ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、(31)エチレン/プロピレン共重合体、(32)エチレン/MMA(メチルメタクリレート)共重合体。
【0015】
本発明のマスターバッチを製造するための熱可塑性樹脂としては、上記例示の樹脂の単独又は混合物を用いることができる。
本発明においては、ポリエチレン(例えばHD−PE、LD−PE、LLDPE)やポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレンと酢酸ビニル等の共重合体、エチレンとMMA等の共重合体;ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリカーボネート等のエンジニアリング樹脂などが好ましく用いられる。
上記のポリオレフィンの製造法は特に限定されない。
前記のポリオレフィンは、例えば、ラジカル重合法によって製造されたものでもよく、周期律表第IVb族、第Vb族、第VIb族又は第VIII族の金属を含有する触媒を用いる重合法により製造されたものでもよい。
かかる金属を含有する触媒としては、一つ以上の配位子、例えばπ結合又はσ結合によって配位する酸化物、ハロゲン化合物、アルコレート、エステル、アリール等を有する金属錯体であってもよく、これらの錯体はそのままであっても塩化マグネシウム、塩化チタン、アルミナ、酸化ケイ素等の基材に担持されていてもよい。
ポリオレフィンとしては、例えばチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いて製造されたものが好ましく使用される。
また、エンジニアリング樹脂も特に限定されない。
例えば、ポリアミド樹脂としては、ポリマー鎖にアミド結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。ポリアミド樹脂の製造法も限定されず、例えばジアミン類とジカルボン酸類の縮合反応、アミノカルボン酸類の縮合反応、ラクタム類の開環重合等の方法によって製造されたものでもよい。
ポリアミド樹脂の代表例としては、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ポリ−ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66とナイロン6の共重合体であるナイロン66/6や、ナイロン6/12の如き共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリマー鎖にエステル結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ジカルボン酸類とジヒドロキシ化合物の重縮合等によって得られる、ホモポリエステルやコポリエステルが挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、ポリマー鎖にカーボネート結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、溶剤、酸受容体や分子量調整剤の存在下に、芳香族ヒドロキシ化合物を少量のポリヒドロキシ化合物の存在下又は不存在下に、ホスゲンやジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体を反応させることにより得られるポリカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、共重合体であってもよい。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、分子内に式(I)で示される部分構造を有する酸化防止剤としては、例えば、下式(IV)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0017】
(IV)
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。
上記の炭素数2〜8のアルキレン基における炭素−炭素結合は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R4及びR5の一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、分子内に式(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤としては、例えば、下式(V)、(VI)又は(VII)で示される化合物が好ましく用いられる。
(V)
[式中、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0019】
(VI)
[式中、R10は水素原子又はメチル基を表す。]
【0020】
(VII)
[式中、R11及びR1 2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
nは0〜2の整数を表す。]
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(IV)におけるR1及びR2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。R4はi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基又は2−エチルヘキシル基であることが好ましい。R5は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
R3は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
また、二価基Xは、単結合、硫黄原子又はメチレン基であることが好ましい。二価基Aは、プロピレン基、−(CH2)3−O−(CH2)3−基、−CH2CH2−*−OCO−CH2CH2−基、*−CO−基又は*−CO−CH2CH2基(*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す)であることが好ましい。
Yはヒドロキシル基であることが好ましく、Zは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(V)におけるR8及びR9は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(VII)におけるR11は、炭素数3〜9の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
また、R12は水素原子又はメチル基が好ましく、nは2が好ましい。
【0024】
これらの分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤のうち、好ましい化合物を以下に例示する。
【0025】
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト[A1]
6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[A2]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト[A3]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト[A4]
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[A5]
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[A6]
【0026】
本発明(ア)の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1種以上の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1.5〜100重量部を含有させる。
分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、1.5〜50重量部がより好ましく、1.5〜10重量部が特に好ましい。
【0027】
本発明(イ)の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1種以上の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1〜100重量部を含有させる。分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、1〜50重量部がより好ましく、1.5〜10重量部が特に好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂の100重量部と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1重量部未満とを含む熱可塑性樹脂組成物は、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を添加しなくても、熱可塑性樹脂組成物における分子内に上記の部分構造を有する酸化防止剤が実用上問題のない程度の耐加水分解性を有している。また、このような組成物にハイドロタルサイト系化合物や、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を添加することは、経済的にも好ましくない。
【0029】
一方、熱可塑性樹脂の100重量部と、分子内に上式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の100重量部を超える量とを含む熱可塑性樹脂組成物は、物性が悪化し、その取り扱いに支障をきたす場合がある。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられるハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、特開2002−146121号公報の段落番号0055に記載のハイドロタルサイト系化合物、及び、特開平10−273494号公報の段落番号0050に記載のハイドロタルサイト類等が挙げられる。
本発明において用いられる特に好ましいハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、下式で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・pH2O
(式中、xは0〜0.5の数値を表し、pは0〜2の数値を表す。)
ハイドロタルサイト系化合物の具体例としては、協和化学工業(株)製の合成ハイドロタルサイトDHT−4A[B1]が挙げられる。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられる高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム[C1]、ステアリン酸亜鉛[C2]、ステアリン酸マグネシウム[C3]、ラウリン酸カルシウム[C4]等が挙げられる。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられる周期律表第II族金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム[C5]、水酸化マグネシウム[C6]、水酸化亜鉛[C7]等が挙げられる。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおけるハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物は、それぞれ単独で用いることができるが、これらのうち、周期律表第II族金属の水酸化物が特に好ましい。また、これらのハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物は、2つ以上を併用してもよい。
上記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量は、熱可塑性樹脂100重量部当り0.01〜1重量部の範囲である。
上記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量は、好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部の範囲である。
前記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量が熱可塑性樹脂100重量部当り0.01重量部未満では、熱可塑性樹脂用マスターバッチ中の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の耐加水分解性が充分ではない。
一方、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量が熱可塑性樹脂100重量部当り1重量部を超える場合には、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の耐加水分解性が1重量部の場合と比べて向上は認められず、経済的には不利となる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤、及び、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を含むものであるが、必要に応じて、他の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料やアンチブロッキング剤等を配合し、複合マスターバッチとすることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際して、製造方法や使用する装置は特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤と、ハイドロタルサイト系化合物、周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物と、必要に応じて使用される上記の他の酸化防止剤[例えば、ステアリル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート{以下、酸化防止剤A’という}等のフェノール系酸化防止剤];光安定剤;滑剤;帯電防止剤;顔料やアンチブロッキング剤等を、例えばタンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー又はスーパーミキサーのような混合機で予め均一に混合後、単軸押し出し機や多軸の押し出し機で溶融混練造粒する方法や、ニーダーやバンバリーミキサー等で溶融混練した後に押し出し機を用いて造粒する方法等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、適宜熱可塑性樹脂で希釈して、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤量が、全熱可塑性樹脂に対して所望の範囲内になるように調整される。
分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂の種類等により異なるが、好ましくは希釈後の熱可塑性樹脂に対して0.01〜0.3重量%である。
【0035】
【実施例】
以下、比較例及び実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0036】
[ポリエチレン用マスターバッチの製造]
未安定化ポリエチレンのパウダー40gに、前記酸化防止剤A1(段落番号0025参照)の0.8g又は前記酸化防止剤A2(段落番号0025参照)の0.8gを添加し、さらに必要に応じて酸化防止剤A’[段落番号0034参照]の0.4gを添加した。次いで、この組成物にハイドロタルサイトB1(段落番号0030)、ステアリン酸カルシウムC1(段落番号0031参照)又は水酸化カルシウムC5(段落番号0032参照)の40mgを添加した。次に、得られた組成物を(株)東洋精機製作所製のラボプラストミルC型を用いて、窒素気流下に160℃で毎分10回転の攪拌速度で5分間混練した。得られた組成物をヘラにより取り出した後、直ちにプレスして厚さ約1mm程度のシート状に引き伸ばした。このシートを裁断してペレット状とし、ポリエチレン用マスターバッチを製造した。
【0037】
[耐加水分解性の評価]
前記で得た製造直後のポリエチレン用マスターバッチと、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後のポリエチレン用マスターバッチを、それぞれソックスレー抽出して、酸化防止剤のA1又はA2を抽出し、ガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーによりポリエチレン用マスターバッチ中の酸化防止剤の含有量を分析した。80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して90%以上であるときは、実用上充分な耐加水分解性を有しているので「○」と評価した。
また、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して95%以上であるときは、より優れた耐加水分解性を有しているので「◎」と評価した。
一方、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して90%未満のときは、高温多湿の時季に倉庫で保管した際に加水分解されやすく、「×」と評価した。
[分散性の評価]
実施例1〜5のマスターバッチについては、未安定化ポリエチレンで50倍希釈した後の酸化防止剤の分散性を評価した。また、比較例1〜3のマスターバッチについては、未安定化ポリエチレンで希釈する前の酸化防止剤の分散性を評価した。
分散性は、ポリエチレン樹脂のパウダーを押し出し機で造粒後、酸化防止剤を粉の形で添加した時のハンドリングのし易さで評価した。
ハンドリング性良好なものを「○」、ハンドリング性不良のものを「×」とした。
【0038】
実施例1〜5及び比較例1〜3
前述のように製造して得た高濃度の酸化防止剤A1又はA2を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチにおける上記A1又はA2の耐加水分解性(表1では耐水解性と略記)を前記評価法で評価した[実施例1〜5及び比較例1〜2]。また、低濃度の酸化防止剤A2を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチにおける上記A2の耐加水分解性も同様に評価した[比較例3]。
なお、耐加水分解性(表1では耐水解性と略記)や分散性の評価を記載した表1において、ポリエチレン(表1ではPEと略記)、酸化防止剤及び添加化合物の比率は、ポリエチレンを100部としたときの重量部数で表した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、分子内に式(I)、(II)又は(III)で表される部分構造を有する酸化防止剤の特定量と、ハイドロタルサイト系化合物、周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物から選ばれる一種の化合物の特定量とを含むので、上記マスターバッチ中の酸化防止剤の耐加水分解性が向上し、製造直後のマスターバッチを長期間保存しても、品質が損なわれない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止剤を含有する熱可塑性樹脂用マスターバッチ及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、ポリエチレン樹脂100重量部に対し、同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤の0.01〜1重量部、ハイドロタルサイト系化合物の0.01〜1重量部及び/又は高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩の0.01〜1重量部を含有することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物が記載されている。
【0003】
また、特許文献2等には、熱可塑性樹脂の熱劣化や酸化劣化を防止する安定剤として、下式(IV)で示される酸化防止剤が記載されている。
(IV)
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。
上記の炭素数2〜8のアルキレン基における炭素−炭素結合は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい。
R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R4及びR5の一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0004】
【特許文献1】
特開2002−146121号公報(特許請求の範囲を参照)
【0005】
【特許文献2】
特開平10−273494号公報(特許請求の範囲等を参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性樹脂のペレット等の製造において、樹脂パウダーを押し出し機等で造粒後、該造粒物に前記の構造を有する酸化防止剤等を粉の形で添加すると、酸化防止剤が低濃度であっても分散性不良等のハンドリング上の問題がある。そこで、一般的には、比較的高濃度の酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂のマスターバッチに加工し、これを上記の熱可塑性樹脂で3〜100倍程度に希釈する方法が採用されている。
しかし、この比較的高濃度の酸化防止剤を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチは、高温多湿の時季等に倉庫で保管されている際に上記の酸化防止剤が加水分解されやすいという問題があった。
【0007】
上記問題を解決するために、熱可塑性樹脂用マスターバッチを防湿タイプの包材に充填して保管する対策等が採られているが、該方法ではコストアップになるという問題があった。
また、熱可塑性樹脂用マスターバッチを防湿タイプの包材に充填して保管しても、一旦開封すると吸湿してしまい、前記酸化防止剤が加水分解されやすいため、上記のマスターバッチを一度に使い切ってしまう必要があった。
本発明の目的は、高濃度であっても前記式(IV)等の酸化防止剤の耐加水分解性が改善された熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供することである。
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、
(ア)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩
【0010】
また、本発明は、
(イ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、次の(C−2)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチを提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物
【0011】
さらに、本発明は、
(ウ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする上記(ア)の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法を提供する。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩
【0012】
そして、本発明は、
(エ)熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、次の(C−2)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする上記の(イ)の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法を提供するものである。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチやその製造法において使用される熱可塑性樹脂としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(2)ポリプロピレン、(3)メチルペンテンポリマー、(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)やポリ(α−メチルスチレン)、(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、
【0014】
(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレンや塩素化ゴム、(12)ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、(13)メタクリル樹脂、(14)エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、(15)フッ素樹脂、(16)ポリアセタール、(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂、(18)ポリウレタン、(19)ポリアミド、(20)ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、(21)ポリカーボネート、(22)ポリアクリレート、(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルスルホン、(24)芳香族ポリエステル樹脂、(25)ジアリルフタレートプリポリマー、(26)シリコーン樹脂、(27)1,2−ポリブタジエン、(28)ポリイソプレン、(29)スチレン/ブタジエン共重合体、(30)ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、(31)エチレン/プロピレン共重合体、(32)エチレン/MMA(メチルメタクリレート)共重合体。
【0015】
本発明のマスターバッチを製造するための熱可塑性樹脂としては、上記例示の樹脂の単独又は混合物を用いることができる。
本発明においては、ポリエチレン(例えばHD−PE、LD−PE、LLDPE)やポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレンと酢酸ビニル等の共重合体、エチレンとMMA等の共重合体;ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやポリカーボネート等のエンジニアリング樹脂などが好ましく用いられる。
上記のポリオレフィンの製造法は特に限定されない。
前記のポリオレフィンは、例えば、ラジカル重合法によって製造されたものでもよく、周期律表第IVb族、第Vb族、第VIb族又は第VIII族の金属を含有する触媒を用いる重合法により製造されたものでもよい。
かかる金属を含有する触媒としては、一つ以上の配位子、例えばπ結合又はσ結合によって配位する酸化物、ハロゲン化合物、アルコレート、エステル、アリール等を有する金属錯体であってもよく、これらの錯体はそのままであっても塩化マグネシウム、塩化チタン、アルミナ、酸化ケイ素等の基材に担持されていてもよい。
ポリオレフィンとしては、例えばチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いて製造されたものが好ましく使用される。
また、エンジニアリング樹脂も特に限定されない。
例えば、ポリアミド樹脂としては、ポリマー鎖にアミド結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。ポリアミド樹脂の製造法も限定されず、例えばジアミン類とジカルボン酸類の縮合反応、アミノカルボン酸類の縮合反応、ラクタム類の開環重合等の方法によって製造されたものでもよい。
ポリアミド樹脂の代表例としては、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ポリ−ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66とナイロン6の共重合体であるナイロン66/6や、ナイロン6/12の如き共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリマー鎖にエステル結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ジカルボン酸類とジヒドロキシ化合物の重縮合等によって得られる、ホモポリエステルやコポリエステルが挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、ポリマー鎖にカーボネート結合を有するものであって、加熱溶融できるものであればよい。
このようなポリカーボネート樹脂としては、例えば、溶剤、酸受容体や分子量調整剤の存在下に、芳香族ヒドロキシ化合物を少量のポリヒドロキシ化合物の存在下又は不存在下に、ホスゲンやジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体を反応させることにより得られるポリカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、また、共重合体であってもよい。
【0016】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、分子内に式(I)で示される部分構造を有する酸化防止剤としては、例えば、下式(IV)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0017】
(IV)
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。
上記の炭素数2〜8のアルキレン基における炭素−炭素結合は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R4及びR5の一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、分子内に式(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤としては、例えば、下式(V)、(VI)又は(VII)で示される化合物が好ましく用いられる。
(V)
[式中、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0019】
(VI)
[式中、R10は水素原子又はメチル基を表す。]
【0020】
(VII)
[式中、R11及びR1 2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
nは0〜2の整数を表す。]
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(IV)におけるR1及びR2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。R4はi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基又は2−エチルヘキシル基であることが好ましい。R5は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
R3は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
また、二価基Xは、単結合、硫黄原子又はメチレン基であることが好ましい。二価基Aは、プロピレン基、−(CH2)3−O−(CH2)3−基、−CH2CH2−*−OCO−CH2CH2−基、*−CO−基又は*−CO−CH2CH2基(*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す)であることが好ましい。
Yはヒドロキシル基であることが好ましく、Zは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(V)におけるR8及びR9は炭素数3〜9の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおいて、化合物(VII)におけるR11は、炭素数3〜9の直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
また、R12は水素原子又はメチル基が好ましく、nは2が好ましい。
【0024】
これらの分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤のうち、好ましい化合物を以下に例示する。
【0025】
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト[A1]
6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[A2]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト[A3]
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト[A4]
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[A5]
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト[A6]
【0026】
本発明(ア)の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1種以上の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1.5〜100重量部を含有させる。
分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、1.5〜50重量部がより好ましく、1.5〜10重量部が特に好ましい。
【0027】
本発明(イ)の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際しては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1種以上の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1〜100重量部を含有させる。分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、1〜50重量部がより好ましく、1.5〜10重量部が特に好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂の100重量部と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の1重量部未満とを含む熱可塑性樹脂組成物は、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を添加しなくても、熱可塑性樹脂組成物における分子内に上記の部分構造を有する酸化防止剤が実用上問題のない程度の耐加水分解性を有している。また、このような組成物にハイドロタルサイト系化合物や、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を添加することは、経済的にも好ましくない。
【0029】
一方、熱可塑性樹脂の100重量部と、分子内に上式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の100重量部を超える量とを含む熱可塑性樹脂組成物は、物性が悪化し、その取り扱いに支障をきたす場合がある。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられるハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、特開2002−146121号公報の段落番号0055に記載のハイドロタルサイト系化合物、及び、特開平10−273494号公報の段落番号0050に記載のハイドロタルサイト類等が挙げられる。
本発明において用いられる特に好ましいハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、下式で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
Mg1−XAlX(OH)2(CO3)X/2・pH2O
(式中、xは0〜0.5の数値を表し、pは0〜2の数値を表す。)
ハイドロタルサイト系化合物の具体例としては、協和化学工業(株)製の合成ハイドロタルサイトDHT−4A[B1]が挙げられる。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられる高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム[C1]、ステアリン酸亜鉛[C2]、ステアリン酸マグネシウム[C3]、ラウリン酸カルシウム[C4]等が挙げられる。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチに用いられる周期律表第II族金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム[C5]、水酸化マグネシウム[C6]、水酸化亜鉛[C7]等が挙げられる。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチにおけるハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物は、それぞれ単独で用いることができるが、これらのうち、周期律表第II族金属の水酸化物が特に好ましい。また、これらのハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物は、2つ以上を併用してもよい。
上記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量は、熱可塑性樹脂100重量部当り0.01〜1重量部の範囲である。
上記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量は、好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部の範囲である。
前記のハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量が熱可塑性樹脂100重量部当り0.01重量部未満では、熱可塑性樹脂用マスターバッチ中の分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の耐加水分解性が充分ではない。
一方、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物の合計使用量が熱可塑性樹脂100重量部当り1重量部を超える場合には、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の耐加水分解性が1重量部の場合と比べて向上は認められず、経済的には不利となる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤、及び、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物を含むものであるが、必要に応じて、他の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料やアンチブロッキング剤等を配合し、複合マスターバッチとすることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチを製造するに際して、製造方法や使用する装置は特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂と、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤と、ハイドロタルサイト系化合物、周期律表第II族金属塩又は周期律表第II族金属の水酸化物と、必要に応じて使用される上記の他の酸化防止剤[例えば、ステアリル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート{以下、酸化防止剤A’という}等のフェノール系酸化防止剤];光安定剤;滑剤;帯電防止剤;顔料やアンチブロッキング剤等を、例えばタンブラーブレンダー、ヘンシェルミキサー又はスーパーミキサーのような混合機で予め均一に混合後、単軸押し出し機や多軸の押し出し機で溶融混練造粒する方法や、ニーダーやバンバリーミキサー等で溶融混練した後に押し出し機を用いて造粒する方法等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、適宜熱可塑性樹脂で希釈して、分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤量が、全熱可塑性樹脂に対して所望の範囲内になるように調整される。
分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂の種類等により異なるが、好ましくは希釈後の熱可塑性樹脂に対して0.01〜0.3重量%である。
【0035】
【実施例】
以下、比較例及び実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0036】
[ポリエチレン用マスターバッチの製造]
未安定化ポリエチレンのパウダー40gに、前記酸化防止剤A1(段落番号0025参照)の0.8g又は前記酸化防止剤A2(段落番号0025参照)の0.8gを添加し、さらに必要に応じて酸化防止剤A’[段落番号0034参照]の0.4gを添加した。次いで、この組成物にハイドロタルサイトB1(段落番号0030)、ステアリン酸カルシウムC1(段落番号0031参照)又は水酸化カルシウムC5(段落番号0032参照)の40mgを添加した。次に、得られた組成物を(株)東洋精機製作所製のラボプラストミルC型を用いて、窒素気流下に160℃で毎分10回転の攪拌速度で5分間混練した。得られた組成物をヘラにより取り出した後、直ちにプレスして厚さ約1mm程度のシート状に引き伸ばした。このシートを裁断してペレット状とし、ポリエチレン用マスターバッチを製造した。
【0037】
[耐加水分解性の評価]
前記で得た製造直後のポリエチレン用マスターバッチと、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後のポリエチレン用マスターバッチを、それぞれソックスレー抽出して、酸化防止剤のA1又はA2を抽出し、ガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーによりポリエチレン用マスターバッチ中の酸化防止剤の含有量を分析した。80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して90%以上であるときは、実用上充分な耐加水分解性を有しているので「○」と評価した。
また、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して95%以上であるときは、より優れた耐加水分解性を有しているので「◎」と評価した。
一方、80%相対湿度の条件下に50℃で2週間保存した後の酸化防止剤の含有量が、保存前の酸化防止剤含有量に対して90%未満のときは、高温多湿の時季に倉庫で保管した際に加水分解されやすく、「×」と評価した。
[分散性の評価]
実施例1〜5のマスターバッチについては、未安定化ポリエチレンで50倍希釈した後の酸化防止剤の分散性を評価した。また、比較例1〜3のマスターバッチについては、未安定化ポリエチレンで希釈する前の酸化防止剤の分散性を評価した。
分散性は、ポリエチレン樹脂のパウダーを押し出し機で造粒後、酸化防止剤を粉の形で添加した時のハンドリングのし易さで評価した。
ハンドリング性良好なものを「○」、ハンドリング性不良のものを「×」とした。
【0038】
実施例1〜5及び比較例1〜3
前述のように製造して得た高濃度の酸化防止剤A1又はA2を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチにおける上記A1又はA2の耐加水分解性(表1では耐水解性と略記)を前記評価法で評価した[実施例1〜5及び比較例1〜2]。また、低濃度の酸化防止剤A2を含む熱可塑性樹脂用マスターバッチにおける上記A2の耐加水分解性も同様に評価した[比較例3]。
なお、耐加水分解性(表1では耐水解性と略記)や分散性の評価を記載した表1において、ポリエチレン(表1ではPEと略記)、酸化防止剤及び添加化合物の比率は、ポリエチレンを100部としたときの重量部数で表した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂用マスターバッチは、分子内に式(I)、(II)又は(III)で表される部分構造を有する酸化防止剤の特定量と、ハイドロタルサイト系化合物、周期律表第II族金属塩及び周期律表第II族金属の水酸化物から選ばれる一種の化合物の特定量とを含むので、上記マスターバッチ中の酸化防止剤の耐加水分解性が向上し、製造直後のマスターバッチを長期間保存しても、品質が損なわれない。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチ。
(A)分子内に下式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩 - 熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、次の(C−2)の0.01〜1重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性樹脂用マスターバッチ。
(A)分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物 - 分子内に式(I)で示される部分構造を有する酸化防止剤が、同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造とを有する化合物である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂用マスターバッチ。
- 同一分子内に亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造とを有する化合物が、下式(IV)で示される請求項3に記載の熱可塑性樹脂用マスターバッチ。
(IV)
[式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR7−基を表す。
上記の炭素数2〜8のアルキレン基における炭素−炭素結合は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−OCO−又は−COO−で中断されていてもよい。
R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は亜リン酸残基の酸素原子に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R4及びR5の一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。] - 分子内に式(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤が、下記式(V)、(VI)及び(VII)からなる群から選ばれる化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂用マスターバッチ。
(V)
[式中、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
(VI)
[式中、R10は水素原子又はメチル基を表す。]
(VII)
[式中、R11及びR1 2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。nは0〜2の整数を表す。] - 熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1.5〜100重量部と、(B)の0.01〜1重量部及び/又は(C−1)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法。
(A)分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(B)ハイドロタルサイト系化合物
(C−1)高級脂肪酸の周期律表第II族金属塩 - 熱可塑性樹脂100重量部と、次の(A)の1〜100重量部と、(C−2)の0.01〜1重量部とを配合し、溶融混練することを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂用マスターバッチの製造法。
(A)分子内に式(I)、(II)又は(III)で示される部分構造を有する酸化防止剤
[式中、Ph1及びPh’1はフェニレン基を表し、該フェニレン基の水素原子はフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph1及びPh’1は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6−基を表す。R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Ph2及びPh’2はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。Ph2及びPh’2は互いに同一でもよく、異なってもよい。
Ph3はフェニル基又はビフェニル基を表し、該フェニル基又はビフェニル基の水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基で置換されていてもよい。]
(C−2)周期律表第II族金属の水酸化物
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