JP2005075785A - ピペリジン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

ピペリジン誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 3、4、5位等特定位に導入された置換基を特定の置換基に変換し、所望の生理活性を有するピペリジン誘導体を容易に製造することができる中間体として利用価値の高い3、4、5位等に置換基を有する新規なピペリジン誘導体を得ること、その新規なピペリジン誘導体を短工程で安価に得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】 特定の置換基を有するα,β−不飽和アミドと、特定の置換基を有するα,β−不飽和カルボニル化合物とを、反応剤の存在下で反応させる。反応剤がルイス酸及び塩基であることが好ましく、かかるルイス酸がアルキルシリルトリフラートであり、塩基がアルキルアミンであることが好ましい。所定量のt−ブタノールを使用することにより、ピペリジン環3位に置換基を有しないピペリジン誘導体を選択的に得ることができる。

Description

本発明は、生理活性を有し、医薬等の有用な中間体であるピペリジン誘導体や、ピペリジン誘導体を効率よく容易に製造することができるピペリジン誘導体の製造方法に関する。
従来から、ピペリジン環を有するピペリジン誘導体は、薬理作用を示す植物由来のアルカロイドを構成し、生理活性物質として医薬品等に利用されている(例えば、非特許文献1参照)。例えば、下記式
Figure 2005075785
に示す化合物はパロキセチンとして知られており、抗うつ剤(商品名、パキシル:グラクソ.スミスクライン社)として、2001年には26.7億ドル、2002年には32.5億ドルの売上高を記録し、医薬品として世界の販売高において上位を占めている。このようにニーズの高いピペリジン誘導体は、一般的にその生理作用がピペリジン環の官能基を含む置換基の種類や位置に依存しているため、官能基を有するピペリジン誘導体は多くの研究の対象となっている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、その置換基の位置や種類が生理作用に大きく影響するにも拘わらず、複数の官能基により高度に置換されたピペリジン環の合成は、複数の官能基の活性により特定の位置に置換基を選択的に導入することが困難であるところから、合成されるピペリジン誘導体の種類は限られており、容易に、安価に入手できる基質としてのピペリジン環の新しい製造方法の開発が望まれている。
ところで、α、β−不飽和アミドが高分子の調製によく使用されているが、α,β−不飽和アミドを、ピペリジノン環のN−C(=O)−C−C合成素子として使用した数例はあるものの(例えば、非特許文献3、4参照)、複素環式化合物の合成の基本成分として使用した合成方法は数例が報告されているに過ぎない(例えば、非特許文献5〜7参照)。ピペリジノン環の合成にα,β−不飽和アミドを使用することが困難であるのは、求電子性カルボニル基及びβ炭素や、求核性の窒素原子、酸素原子及びα−炭素原子を含む複数の反応部位があり、不飽和アミドの反応性が多岐にわたっていることに起因する。これらの各反応部位の反応活性を制御する方法が開発されれば、合成有機化学において不飽和アミドを多様な基本成分基質として各種化合物の反応に利用されることが予測される。現に本発明者らは、既に、α,β−不飽和エステルを有するα,β−不飽和アミドの分子間反応が、下記式(V)のプロセスによることを明らかにしてピペリジノンの合成を完成させている(例えば、非特許文献8、9参照)。
Figure 2005075785
その他、特定の置換基を有するアザ環と、ケトンや保護基で保護したヒドロキシ基とを反応させて特定置換基を有するN−置換アザ環の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、カルボン酸基とシアノ基が結合した四級炭素を有する特定の化合物を環化して中間物質の環状ラクタムを得て、この中間物質から特定の置換基を有するピペリジン化合物を製造する方法(例えば、特許文献2参照)等が報告されている。
特表2002−529451号公報 特表2000−515534号公報 Chemical and Biological Perspectives, Vol 57; Nat. Prod. Rep. 17, 435, 2000 Synthesis 1781, 2000 Synthesis 89, 1985年 Tetrahedron Lett. 42, 4937, 2001 Hetero Diels-Alder Methodology in Organic Synthesism Academic Press, p. 240, 1987 Tetrahedron, 58, 379, 2002 Angew. Chem. Int. Ed. 40, 1516, 2001 J. Chem. Soc., Chem. Commun. 2085, 1995 Heterocycles 52, 1083, 2000
しかしながら、3、4、5位等特定位に導入された置換基を特定の置換基に変換し、所望の生理活性を有するピペリジン誘導体を容易に製造することができる中間体として利用価値の高い3、4、5位等に置換基を有するピペリジン−2−オン誘導体を、安価な不飽和アミドから容易に、安価に入手できる製造方法は未だに報告されていない。
本発明の課題は、ピペリジン−2−オン環の特定位に置換基を有する新規なピペリジン誘導体や、これらピペリジン誘導体を短工程で、特定位に選択的に置換基が導入されたピペリジン誘導体を得ることができるピペリジン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、置換ピペリジン−2−オンが、α,β−不飽和アミド及びα,β−不飽和エステル又はケトンのマイケル反応により産生すると想定し、式(VI)に示すように、N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)とアクリル酸メチル(2a)とを室温で反応させた。
Figure 2005075785
N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)の0.2MLの1,2−ジクロロエタン(DCE)溶液中で、N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)と等モルのアクリル酸メチル(2a)との混合物を、文献(J. Chem. Soc., Chem. Commun. 2085, 1995)記載の分子間反応に適切な条件である1.5当量のトリエチルアミン(NEt3)の存在下、室温で24時間、1.2当量のt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)と共に作用させると、ピペリジノン(3a)は得られず、アクリル酸オリゴマーの形成と、N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)を回収した(表1の1)。同様の条件で0.7当量のトリエチルアミンを使用すると、37%の収率でピペリジノン(3a)が産生され、同時にN−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)を50%回収した(表1の2)。しかし、0.2当量のトリエチルアミンでは、反応は生じなかった(表1の3)。0.5〜1.0当量の範囲のトリエチルアミンの存在下で、1.2当量のt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)を使用すると、アザシクロ環形成反応が促進されるとの知見を得、かかる知見に基づきトリエチルアミンの使用量は0.7当量が最適値であることを確認した。t−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)の代わりに、トリメチルシリルヨーダイドを使用して試みたところ反応は進行したが、ピペリジノン(3a)の産生量は低かった。
Figure 2005075785
表中、c:3aの収率の欄の括弧内の数字は回収原料を考慮した3aの理論変換収率を示し、d:トランス/シスの割合は分離したものに基づいて決定した。
更に、研究を推進したところ、基質の濃度が本反応の反応性に影響を及ぼすことが明かになった。即ち、N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)の1.0MLのDCE溶液中で行われた反応は80%の収率で〜1:1ジアステレオマーのシス/トランス混合物(転換率93%)としてピペリジノン(3a)を産生した(表1の4)。また、溶媒が反応に及ぼす影響について検討するため、ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル(MeCN)、トルエン等の種々の溶媒や、溶媒不存在の場合について反応を行ったところ、 ジクロロメタン(DCM)、アセトニトリル(MeCN)は、ピペリジン環形成(アザダブルマイケル(aza-double Michael))反応に対し受容性はあったが(表1の5〜7)、収率は満足のいくものではなかった。これに対し溶媒不存在下では環形成が促進され収率60%でピペリジノン(3a)が産出された(表1の8)。また、総ての反応においてジアステレオ選択性がかなり低かったにも拘わらず、ピペリジノン(3a)をメタノール−トルエン中でナトリウムメトキシド(NaOMe)を使用して還流すると、シス体がトランス体に効率よく転換されることが確認できた。
更に、t−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)1.2当量を用い、トリエチルアミン0.7当量、N−ベンジル−トランス−シンナミド(1a)、1.0当量、アクリル酸メチル(2a)1.0当量を用い、DCE中で室温において24時間反応させたとき、3位に置換基を有しないピペリジノン(3a)が選択的に産生するときと、3位に置換を有しないピペリジノン(3a)の産生が減少し、3位置換ピペリジン−2−オン(4)が、ジアステレオマーの混合物として5%の収率で得られるときがあった。下記式(VII)に示すように、3位置換ピペリジン−2−オン(4)は、ダブルマイケル反応(double Michael)中間体(5)に、更にマイケル反応が生じて産生されると予測した。
Figure 2005075785
この反応を探求したところ、未精製のt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)を使用した場合は、3位置換ピペリジン−2−オン(4)の生成が抑制され、3位に置換基を有しないピペリジノン(3a)の収率が高く(表2の1)、精製したt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)を使用した場合は、収率が低下することを見い出した(表2の2)。これは、未精製のt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)中に不純物として存在するトリフルオロメタンスルホン酸が、アミドエノラート中間体をプロトン化し適切に消滅させることにより、3位置換ピペリジン−2−オン(4)の生成が抑制されることが予測された。プロトン源となるt−ブタノールを添加すると、精製したt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)を使用した反応においても、3位置換ピペリジン−2−オン(4)の生成が抑制される(表2の3)ことから、プロトン源の存在により3位に置換基を有しないピペリジノン(3a)が選択的に生成されることを確認した。しかしながら、大量のt−ブタノールは3位に置換基を有しないピペリジノン(3a)の形成も抑制する(表2の4)ことが明かにされた。鋭意研究の結果、0.25当量のt−ブタノールの存在下では、転換率99%に相当する74%の収率でピペリジノン(3a)を産出するため、0.25当量のt−ブタノールの存在が、3位に置換基を有しないピペリジノン(3a)を生成するための最適な条件であることを見い出した。また、2当量のアクリル酸メチル(2a)を使用した場合は、3位置換ピペリジン−2−オン(4)の生成が促進され(表2の4)、未精製のt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)に替えて精製したt−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)を使用し、アクリル酸メチル(2a)の1.0当量を5.0当量に変更した結果、3位置換ピペリジン−2−オン(4)を48%産生する(表2の5)ことから、過剰のアクリル酸メチル(2a)を使用した場合、3位置換ピペリジン−2−オン(4)の生成が促進されることを確認した。
Figure 2005075785
上記のアザダブルマイケル反応の範囲を決定する、様々な置換基を組合わせた反応(反応条件:1.2当量TOSOTf、1.0当量のアクリルアミド、1.0当量のα,β−不飽和アミド、室温下、24時間)を行った結果、β位置に芳香族又は脂肪族の置換基を有するα,β−不飽和アミド(1b、1c、1e〜1h)は、アクリル酸メチル(2a)と環形成反応を順調に行うとの知見を得た(表3の1,2,4〜7)。反対に、β位置に芳香族又は脂肪族の置換基を有さないアクリルアミド(1d)は、ピペリジノン(3d)を産生する反応を促進しなかった(表3の3)が、以下の式に示すホモ二量体ピペリジン−2−オン(6)が、予想外に、定量的な収率で得られ、β位二置換アクリルアミド(1h)においてモノマイケル付加化合物(7)が、産生量は少量であるが生成された(表3の7)ことから、アザシクロ環形成が段階的なダブルマイケル縮合によって行われることが示唆された。
また、アクリル酸シクロヘキシル(2b)は、ピペリジノン(3i)を高収率で産生し(表3の8)、メチルビニルケトンもアザダブルマイケル反応に関与し、収率は満足のいかないものであったが、ピペリジノン(piperidinones)をジアステレオ選択的に形成した(表3の9)。アクリルアミド(1a)とシクロヘキセノン(2d)の反応は、2−キノロン(3k)を中程度の収率で、単一のジアステレオマーとして産生した(表3の10)。3kの立体化学構造は1D及び2D NMR測定により確認された。
Figure 2005075785
Figure 2005075785
上記方法が、ピペリジン誘導体の合成に有用であることを確認するために、うつ病、パニック障害及び心的外傷後ストレス症候群(PTSD)の治療用に、臨床的に使用されている選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるラセミ パロキセチン(8)(Chem. Pharm. Bull. 48, 529, 2000; Drugs 41,225, 1991; Synlett 2074, 2002; J. Org. Chem. 66, 6852, 2001; Eur. J. Org. Chem. 3543, 2002; Tetrahedron Lett. 41, 5647, 2000)の合成を行った。鏡像異性体として純粋な(−)パロキセチン(Paxil、Seroxat)の合成は式(VI)に示すように、不飽和アミド(1c) とアクリル酸メチル(2a)を、トリエチルアミン0.7当量とt−ブタノール0.25当量の存在下、t−ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)と共にジクロロエタン中、室温で反応させ、トランス及びシス−3,4−二置換ピペリジノン(3c)の未精製の混合物を得た(第1工程)。完全な精製を行わずに混合物をナトリウムメトキシド(NaOMe)で処理したところ、全収率58%でトランス体を産生した(第2工程)。第1工程の環形成工程は、溶媒不存在下で行うことができ、第2工程のエピマー化の後、トランス体(3c)を47%産生した。LiAlH4によるトランス体(3c)の還元は、定量的に3−ピペリジンメタノール(9)を産生し、Yuによりパロキセチン(8)へ変換できた。全収率は74%であった(第3工程;式(VIII))(Drugs 41,225,1991)。このように、アザダブルマイケル縮合によりパロキセチンを合成することができることを確認し、α,β−不飽和アミド及びアクリル酸(2a) から形成される置換アザシクロ環は、特定位に置換基を有するピペリジン誘導体を容易に製造することができる利用価値の高い基質であることの知見に基づき本発明を完成するに至った。
Figure 2005075785
すなわち本発明は、一般式(I)
Figure 2005075785
[式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し(但し、同時に水素原子の場合は除く。)、R4は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよく、R6は、水素原子又は一般式(II)
Figure 2005075785
(式中、R4及びR5は、一般式(I)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示す。)を示す。]で表されるピペリジン誘導体(請求項1)や、一般式(I)中、R6が水素原子を示すことを特徴とする請求項1記載のピペリジン誘導体(請求項2)に関する。
また、本発明は、一般式(III)
Figure 2005075785
[式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す(但し、同時に水素原子の場合は除く。)。]で表されるα,β−不飽和アミドと、一般式(IV)
Figure 2005075785
[式中、R4は水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてよもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよい。]で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物とを、反応剤の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(I)
Figure 2005075785
[式中、R1、R2及びR3は一般式(III)におけるR1、R2及びR3とそれぞれ同じ基を示し、R4及びR5は一般式(IV)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示し、R6は、水素原子及び/又は一般式(II)
Figure 2005075785
(式中、R4及びR5は一般式(IV)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示す。)で示される基を表す。]で示されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項3)や、反応剤が、ルイス酸及び塩基であることを特徴とする請求項3記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項4)や、ルイス酸が、アルキルシリルトリフラートであることを特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項5)や、アルキルシリルトリフラートが、t−ブチルジメチルシリルトリフラートであることを特徴とする請求項5記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項6)や、t−ブチルジメチルシリルトリフラートの使用量が、一般式(III)で表されるα,β−不飽和アミド1当量に対して1.0〜2.0当量であることを特徴とする請求項6記載のピペリジン誘導体の製造方法(請求項7)や、塩基が、アミン系有機化合物であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項8)や、アミン系有機化合物が、アルキルアミンであることを特徴とする請求項8記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項9)や、アルキルアミンが、トリエチルアミンであることを特徴とする請求項9記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項10)や、トリエチルアミンの使用量が、一般式(III)で示されるα,β−不飽和アミド1当量に対して0.5〜1.0当量であることを特徴とする請求項10記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項11)に関する。
また、本発明は、プロトン源の存在により、一般式(I)におけるR5が水素原子で示される基を有するピペリジン誘導体を選択的に得ることを特徴とする請求項3〜10のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項12)や、プロトン源が、t−ブタノールであることを特徴とする請求項11記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項13)や、t−ブタノールの存在量が、一般式(III)で表されるα,β−不飽和アミド1当量に対して、0.1〜1当量であり、一般式(IV)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物の存在量が0.7〜1.5当量であることを特徴とする請求項13記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項14)や、プロトン源が、t−ブチルジメチルシリルトリフラート中に不純物として存在するトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項12記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項15)や、溶媒としてジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、クロロホルム若しくはトルエンから選ばれる1種又は2種以上を用いるか、又は溶媒不存在下で行うことを特徴とする請求項3〜15のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法(請求項16)に関する。
本発明のピペリジン誘導体の製造方法は、ピペリジノン環の特定位に置換基を有する新規なピペリジン誘導体を短工程で、特定位に選択的に置換基が導入されたピペリジン誘導体を容易に、安価に製造することができる。得られた新規なピペリジン誘導体は、そのピペリジン環に結合される置換基を変換することにより、ピペリジン環の特定位に所望の置換基を容易に導入することができ、従来その製造が困難であったピペリジン誘導体を容易に製造することができる中間体として、生理活性物質の製造における薬学的利用価値が大きい。
本発明のピペリジン誘導体は、一般式(I)
Figure 2005075785
[式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示し(但し、同時に水素原子の場合は除く。)、R4は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよく、R6は、水素原子及び/又は一般式(II)
Figure 2005075785
(式中、R4及びR5は、一般式(I)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示す。)で示される基を示す。]で表されるピペリジン誘導体であれば、特に限定されるものではない。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体における一般式(I)中、R1が示す鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等を挙げることができ、環状アルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができ、窒素含有ヘテロ環基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、1−ピリジル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−ピリダジニル基、4−ピリダジニル基、5−ピリダジニル基、2−ピリミジニル基、4−ピリミジニル基、5−ピリミジニル基、2−ピラジニル基等を挙げることができる。かかる鎖状若しくは環状アルキル基、アリール基、窒素含有ヘテロ環基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等を挙げることができ、鎖状若しくは環状アルキル基、アリール基又は窒素含有ヘテロ環基において、これらの置換基の1又は2以上を同時に有していてもよい。更に窒素含有ヘテロ環基の置換基としては、その他、ベンセン環との縮合環であってもよく、かかる窒素含有ヘテロ環基としては、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、1−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、1−ベンゾピラゾリル基、3−ベンゾピラゾリル基、2−キノリル基、2−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、3−シンノリル基、4−シンノリル基、2−キナゾリニル基、2−キノキサリル基等を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体における一般式(I)中、R2、R3が示すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等を挙げることができ、また、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の環状アルキル基を挙げることができ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。R2、R3が示すアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。また、R2、R3が示すアルキル基や、アルコキシ基や、アリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等を挙げることができ、アルキル基や、アルコキシ基、アリール基においてこれら置換基の1又は2以上を同時に有していてもよい。一般式(I)中、R2、R3が示すシロキシアルキル基としては、シロキシメチル基、シロキシエチル基、シロキシプロピル基等を挙げることができ、かかるシロキシアルキル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基のアルキル基や、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等を挙げることができ、シリオキシアルキレン基においてこれらの置換基の1又は2以上を同時に有していてもよい。かかるR2、R3が示す基としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、t−ブチルジメチルシロキシエチル基、トリエチルシロキシエチル基、ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)エチル基、t−ブチルジメチルシロキシメチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フルオロフェニル基等を例示することができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体における一般式(I)中、R4、R5が示す鎖状若しくは環状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等の鎖状アルキル基や、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の環状アルキル基を挙げることができ、アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。更に、R4が示すアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。また、R4、R5が示すアルキル基や、アリール基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等を挙げることができ、R4が示すアルコキシ基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基等を挙げることができ、R4が示すアルキル基や、アルコキシ基、アリール基において、また、R5が示すアルキル基、アリール基においてこれら置換基の1又は2以上を同時に有していてもよい。R4が示すアミノ基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基や、これらが環を形成したものであってもよく、R4が示すアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジニル基、メトキシメチルアミノ基等を挙げることができる。更に、R4及びR5は一体となって環を形成してもよく、かかる環としてはピペリジン環に縮合したシクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン等を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体における一般式(I)中、R6が示す一般式(II)で示される基は、カルボキシ基を有し、式中、R4、R5は、上記一般式(I)中のピペリジ環5位に結合されるカルボニル基におけるR4が示す基、ピペリジン環6位に結合されるR5が示す基とそれぞれ同一の基を示す。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体としては、具体的には、N−ベンジル−5−メトキシ−4−フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−(4−メトキシ)フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−(4−フルオロ)フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−メチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4,4−ジメチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−エチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4,4−ジエチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−イソプロピルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−メトキシ−4−t−ブチルジメチルシリオキシエチレンピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−(4−メトキシ)フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−(4−フルオロ)フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−メチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4,4−ジメチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−エチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4,4−ジエチルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−イソプロピルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−5−シクロヘキシルオキシカルボニル−4−t−ブチルジメチルシリオキシエチレンピペリジン−2−オン、N−(インドール−3−イル−エチル)−5−メトキシ−4−フェニルピペリジン−2−オン、N−ベンジル−3,7−ジオキソ−5−フェニル−2−アザビシクロ[4.4.0]デカン−2−オン、N−ベンジル−3−メトキシカルボニルエチル−4−フェニル−5−メトキシカルボニルピペリジン−2−オン等を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法は、一般式(III)
Figure 2005075785
で表されるα,β−不飽和アミドと、一般式(IV)
Figure 2005075785
で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物とを反応剤の存在下で反応させる方法であれば、特に限定されるものではない。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法に使用されるα,β−不飽和アミドは、一般式(III)で表される化合物であり、式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し(但し、同時に水素原子の場合は除く。)、R1、R2及びR3は上記一般式(I)におけるR1、R2及びR3とそれぞれ同様のものを具体的に例示することができる。α,β−不飽和アミドは溶媒中での反応においては、溶媒中の濃度として1.0ML程度であることが好ましい。かかるα,β−不飽和アミドとしては、具体的には、N−ベンジル−エチレンアミド、N−ベンジル−スチリルアミド、N−ベンジル−メチルアミド、N−ベンジル−エチルアミド、N−ベンジル−イソプロピレンアミド、N−ベンジル−(4−メトキシフェニル)アミド、N−ベンジル−(4−フルオロスチリル)アミド、N−ベンジル−(t−ブチルジメチルシリオキシエチレン)アミド、N−フェニル−エチレンアミド、N−フェニル−スチリルアミド、N−フェニル−メチルアミド、N−フェニル−エチルアミド、N−フェニル−イソプロピレンアミド、N−フェニル−(4−メトキシスチリル)アミド、N−フェニル−(4−フルオロスチリル)アミド、N−フェニル−(t−ブチルジメチルシリオキシエチレン)アミド等を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法に使用されるα,β−不飽和カルボニル化合物は一般式(V)で表される化合物であって、式中、R4は水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよく、R4、R5は上記一般式(I)におけるR4、R5とそれぞれ同様のものを具体的に例示することができる。α,β−不飽和カルボニル化合物の使用量は、ピペリジン誘導体を示す一般式(I)において3位の置換基R6を有しないものを製造する場合、α,β−不飽和アミド1当量に対して、0.7〜1.5当量とすることが好ましく、より好ましくは1当量前後である。また、一般式(I)において3位のR6が一般式(II)で示される基を有するピペリジン誘導体を製造する場合、α,β−不飽和アミド1当量に対して、2〜5当量とすることが好ましい。かかるα,β−不飽和カルボニル化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等を挙げることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法に使用される反応剤としては、ルイス酸が好ましく、ルイス酸としては、トリメチルシリルトリフラート、t−ブチルジメチルシリルトリフラート、トリエチルシリルトリフラート、トリイソプロピルシリルトリフラート等のアルキルシリルトリフラートが好ましく、このうち特に、t−ブチルジメチルシリルトリフラートが好ましい。t−ブチルジメチルシリルトリフラートの使用量は、α,β−不飽和アミド1当量に対して1.0〜2.0当量であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.5当量である。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法に使用される反応剤としては、ルイス酸と共に塩基を用いることが好ましい。かかる塩基としては、アルキルアミン、アリールアミン、芳香族性アミン等のアミン系有機化合物が好ましく、具体的に、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミンや、フェニルアミン、ジメチルアニリンなどのアリールアミンや、ピリジン、キノリン、N−メチルピロリジン、N−メチルイミダゾール等の芳香族性アミンを例示することができる。かかる塩基はルイス酸と共に添加して使用される。塩基の使用量としては、一般式(III)で示されるα,β−不飽和アミド1当量に対して0.5〜1.0当量が好ましく、より好ましくは0.7当量前後である。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法においては、一般式(I)におけるR5が水素原子を示す基を有するピペリジン誘導体を選択的に得る場合は、ルイス酸と塩基に加え、プロトン源の存在下でα,β−不飽和アミドと、α,β−不飽和カルボニル化合物とを反応させることが好ましい。かかるプロトン源としては、上記ルイス酸として使用するt−ブチルジメチルシリルトリフラート中に不純物として存在するトリフルオロメタンスルホン酸であってもよく、未精製のt−ブチルジメチルシリルトリフラートに含有されるトリフルオロメタンスルホン酸を使用することができるが、好ましいプロトン源として、t−ブタノールを挙げることができる。但し、t−ブタノール等のプロトン源の存在量が過剰となるとピペリジン誘導体の生成を抑制するため、t−ブタノールの使用量としては、α,β−不飽和アミド1当量に対して、0.1〜1当量であることが好ましく、より好ましくは0.25当量前後である。また、一般式(I)におけるR5が水素原子を示す基を有するピペリジン誘導体を選択的に得る場合は、一般式(IV)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物の存在量が0.7〜1.5当量であることが好ましく、より好ましくは1当量前後である。一般式(IV)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物の存在量が0.7〜1.5当量であると、ピペリジン環3位に、α,β−不飽和カルボニル化合物が結合したピペリジン誘導体の生成が抑制され、一般式(I)におけるR5が水素原子を示す基を有するピペリジン誘導体を選択的に生成させることができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法において、使用可能な溶媒としては、ジクロロエタン、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、クロロホルム等を挙げることができ、これらの溶媒の1種又は2種以上を混合して用いることができ、また、溶媒不存在で反応を進行させることも可能である。本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法は、−20〜50℃等で行うことができ、好ましくは室温で、1〜30時間、好ましくは24時間反応させることができる。
本発明の上記一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法により得られるピペリジン誘導体において、ピペリジン環5位におけるシス体をナトリウムメトキシドの存在下で還流することによりトランス体とすることができる。使用する溶媒としてはメタノール−トルエン混合溶媒が好ましい。上記本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法において、α,β−不飽和アミドとα,β−不飽和カルボニル化合物とを反応させることにより得られる一般式(I)で表されるピペリジン誘導体はピペリジン環5位においてジアステレオマー混合体であるが、メタノール−トルエン混合溶媒を用いてナトリウムメトキシドの存在下で還流することにより、収率よくシス体をトランス体に変換することができる。
本発明の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体は、種々の置換基を有するピペリジン誘導体へ容易に変換することができ、具体的には、4−フロロフェニル−5−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル−オキシメチル)ピペリジンの他、下記に示すピペリジン誘導体a〜fを容易に得ることができる。
Figure 2005075785
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
N−ベンジル−4−メトキシシンナミドを1,2−ジクロロエタンに溶解し、1M溶液を調製した。この溶液(N−ベンジル−4−メトキシシンナミド1当量に相当する量)に、アクリル酸メチル(1.0当量)及びトリエチルアミン(0.7当量)を添加した後、t−ブチルジメチルシリルトリフラート(1.2当量)をゆっくりと室温で加え、次にt−ブタノール(0.25当量)を加えた。同じ温度で、12〜24時間攪拌した後、混合物に適量(約0.5当量)のナトリウムメトキシドを加え還流し、酢酸エチルで抽出した。有機層を、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。残基をシリカゲル上で、クロマトグラフィにより精製したところ、N−ベンジル−5−メトキシカルボニル−4−メトキシフェニルピペリジン−2−オン(トランス/シス)を得た。収率、トランス/シスを表4に示す。
trans−3a: colorless needles, mp117−119℃;IR(KBr):ν1734,1645,1497,1439,1257cm-11H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.34−7.16(m,10H),4.74(d,1H,J=14.6Hz),4.55(d,1H,J=14.6Hz),3.52(dd,1H,J=12.3,9.1Hz),3.43(s,3H),3.45−3.34(m,2H),3.02−2.96(m,1H),2.85(dd,1H,J=5.6,17.8Hz),2.68(dd,1H,J=10.2,17.8Hz);13C NMR(100MHz,CDCl3:δ171.9,168.4,140.9,136.5,128.7,128.6,128.2,127.5,127.2,126.9,52.0,50.0,47.7,46.7,41.5,38.0;LRMS(m/z);323(M+);Anal. Calcd for C2021NO3:C,74.28;H,6.55;N,4.33.Found: C,74.25;H,6.52;N,4.34。
cis−3a: colorless oil;IR(neat),ν2932,1730,1641,1493,1450,1252,1198,1169,702cm-1;1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.35−7.22(m,8H),7.03−7.00(m,2H),4.67(s,2H),3.71(dd,1H,J=12.5,5,1Hz),3.58(s,3H), 3.36−3.27 (m,2H), 3.16−3.11(m,1H) 2.93 (d,2H,J=5.4Hz); 13C NMR(100MHz,CDCl3): δ170.2,168.6,139.1,136.5,128.5,128.5,128.4,127.5,127.3,51.8, 50.3,44.7,43.8, 39.6, 36.5; LRMS(m/z);323(M+); Anal. Calcd for C2021NO3・0.25H2O: C,73.26;H,6.61;N,4.27.Found:C,73.12;H,6.48;N,4.21.
実施例1と同様にして、表4、表5に示すα,β−不飽和アミドと、α,β−不飽和カルボニル化合物について反応させトランス/シス混合体としてピペリジノン誘導体を得た。収率を表4に示す。
Figure 2005075785
表中、2dはシクロヘキセノンを示す。収率欄、括弧内はシス体のトランス体への転換の割合を示し、ndは転換されないことを示す。括弧内のトランス/シスの割合は転換前の生成物を基にした。
Figure 2005075785
Figure 2005075785
表中、α,β−不飽和カルボニル化合物としてはアクリル酸メチルを用いた。
結果からもピペリジン誘導体が効率よく生成されることが明らかである。

Claims (16)

  1. 一般式(I)
    Figure 2005075785
    [式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し(但し、同時に水素原子の場合は除く。)、R4は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよく、R6は、水素原子又は一般式(II)
    Figure 2005075785
    (式中、R4及びR5は、一般式(I)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示す。)を示す。]で表されるピペリジン誘導体。
  2. 一般式(I)中、R6が水素原子を示すことを特徴とする請求項1記載のピペリジン誘導体。
  3. 一般式(III)
    Figure 2005075785
    [式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい窒素含有ヘテロ環基を示し、R2、R3は独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいシロキシアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す(但し、同時に水素原子の場合は除く。)。]で表されるα,β−不飽和アミドと、一般式(IV)
    Figure 2005075785
    [式中、R4は水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、又は置換基を有していてよもよいアリール基を示し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい鎖状若しくは環状アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、R4及びR5は一体となって環を形成してもよい。]で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物とを、反応剤の存在下で反応させることを特徴とする、一般式(I)
    Figure 2005075785
    [式中、R1、R2及びR3は一般式(III)におけるR1、R2及びR3とそれぞれ同じ基を示し、R4及びR5は一般式(IV)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示し、R6は、水素原子及び/又は一般式(II)
    Figure 2005075785
    (式中、R4及びR5は一般式(IV)におけるR4及びR5とそれぞれ同じ基を示す。)で示される基を表す。]で示されるピペリジン誘導体の製造方法。
  4. 反応剤が、ルイス酸及び塩基であることを特徴とする請求項3記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  5. ルイス酸が、アルキルシリルトリフラートであることを特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  6. アルキルシリルトリフラートが、t−ブチルジメチルシリルトリフラートであることを特徴とする請求項5記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  7. t−ブチルジメチルシリルトリフラートの使用量が、一般式(III)で表されるα,β−不飽和アミド1当量に対して1.0〜2.0当量であることを特徴とする請求項6記載のピペリジン誘導体の製造方法。
  8. 塩基が、アミン系有機化合物であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  9. アミン系有機化合物が、アルキルアミンであることを特徴とする請求項8記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  10. アルキルアミンが、トリエチルアミンであることを特徴とする請求項9記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  11. トリエチルアミンの使用量が、一般式(III)で示されるα,β−不飽和アミド1当量に対して0.5〜1.0当量であることを特徴とする請求項10記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  12. プロトン源の存在により、一般式(I)におけるR5が水素原子で示される基を有するピペリジン誘導体を選択的に得ることを特徴とする請求項3〜10のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  13. プロトン源が、t−ブタノールであることを特徴とする請求項11記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  14. t−ブタノールの存在量が、一般式(III)で表されるα,β−不飽和アミド1当量に対して、0.1〜1当量であり、一般式(IV)で表されるα,β−不飽和カルボニル化合物の存在量が0.7〜1.5当量であることを特徴とする請求項13記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  15. プロトン源が、t−ブチルジメチルシリルトリフラート中に不純物として存在するトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項12記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
  16. 溶媒としてジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、クロロホルム若しくはトルエンから選ばれる1種又は2種以上を用いるか、又は溶媒不存在下で行うことを特徴とする請求項3〜15のいずれか記載の一般式(I)で表されるピペリジン誘導体の製造方法。
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