JP2005075064A - ウォータージェットポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転駆動されるインペラ32が円筒状のハウジング31内に設けられたウォータージェットポンプ30において、インペラ32の、ハウジング31の内面31a1と対向する外周面のエッジ部32rにRを付けることにより、インペラ外周面とハウジング内面31a1との間をインペラ前面側に向けて通る水流の圧力変動を和らげてキャビテーションの発生を低減させポンプ効率を向上させる。
【選択図】図3
Description
この種のジェットポンプにおいては、ポンプ効率を向上させることが望まれるため、従来のジェットポンプでは、図7に示すように、インペラ1の外周面1aとハウジング2の内面2aとの間の隙間Cを極力狭くしてポンプ効率を向上させるべく、インペラ1の、ハウジング2の内面2aと対向する外周面1aは、その全面がハウジング内面2aと平行になるように鋭く切削加工されていた。したがって、インペラ1のエッジ部1eにRは設けられていなかった。
なお、上記特許文献2のものでは、インペラ外周面において、インペラの背面側と前面側とを連通する連通部を設けることによりキャビテーションを低減させようとしているが、そのような連通部を設けると、その分だけポンプ効率が低減するという難点がある。
本発明の目的は、上記のような課題を解決し、キャビテーションを低減させてポンプ効率の向上を図ることのできるウォータージェットポンプを提供することにある。
望ましくは、前記インペラを前記ハウジング内に支持するインペラシャフトの軸受けを、アンギュラ軸受けで構成する。
また望ましくは、前記Rの大きさを0.5mm以下とする。
このため、キャビテーションの発生が低減され、結果としてポンプ効率が向上することとなる。
しかも、キャビテーションの発生が低減される結果として、インペラ外周付近に生じるエロージョン(壊蝕)も抑制される。
また、前記インペラを前記ハウジング内に支持するインペラシャフトの軸受けを、アンギュラ軸受けで構成した場合には、軸受け部の外径を小さくできる。
したがって、ポンプ容量(ポンプ能力)を確保しつつインペラの外径を小さくすることによりインペラ外周面の周速を小さくでき、結果として、インペラ外周面のエッジ部にRを付けてあることによる上記作用と相まってキャビテーションの発生を一層低減してポンプ効率を一層向上させることができる。
また、前記Rの大きさを0.5mm以下とすることにより、圧力漏れを防止しつつキャビテーションの発生を低減させ、ポンプ効率をより確実に向上させることができる。
図1は本発明に係るウォータージェットポンプの一実施の形態を用いた小型滑走艇の一例を示す一部切り欠き概略側面図、図2は同じく概略平面図である。
船体11は、ハル14とデッキ15とを接合して内部に空間16を形成した浮体構造となっている。空間16内において、ハル14上には、エンジン20が搭載され、このエンジン20で駆動される推進手段としてのウォータージェットポンプ30がハル14の後部に設けられている。
この図に示すように、ジェットポンプ30は、船体11の底部に設けられた取水口17(図1参照)に連通する流路18を形成する円筒状のハウジング(ステータダクト)31と、このハウジング31内に配置されたインペラ32と、ハウジング31内に設けられたインペラの軸受け部33と、この軸受け部33の後端を塞ぐキャップ34とを備えている。
ジェットポンプ30は、ハウジング31の前部に形成されたフランジ部31dをハル14に図示しないボルトで固定することによりハル14に対して着脱可能に装着されている。
一方、軸受け部33には、インペラ32のボス部32aの後部32bを支持するインペラシャフト35が前後の軸受け部材(図示のものはボールベアリング)61,62を介して回転可能(自転自在)に支持されている。インペラシャフト35の先端には雄ネジ35aが形成されており、この雄ネジ35aがインペラ32のボス部後部32bに形成されている雌ネジと螺合していることによって、インペラ32とインペラシャフト35とが結合されている。
したがって、インペラ32は、そのボス部32aの前部がシャフト22に結合され、ボス部の後部32bがインペラシャフト35に結合されていて、これらシャフト22およびインペラシャフト35と一緒に回転する。
前述したようにドライブシャフト22がエンジン20で駆動されることでインペラ32が回転駆動され、水流が後方Rへ噴出されることで船体11が前方Fへ推進されるので、インペラシャフト35に対してはこれを前方Fへ引っ張ろうとするスラスト力が作用する。
そこでこの実施の形態では、前後の軸受け部材61,62の内、インペラシャフト35のスラスト力を受ける後側の軸受け部材62を前側の軸受け部材61に比べて大型の軸受け部材で構成してある。
また、カラー40は、防水シール42を介してインペラ32のボス部の後部32bに連結されている。したがって、カラー40とインペラ32のボス部の後部32bとの隙間C1からインペラシャフト35の外周面に向かって水が侵入するということもない。
防水シール42は、カラー40の外周面に形成されたリング状の凹溝41に装着されたOリングで構成されている。
具体的には、緩衝体50はゴムで構成される。
緩衝体50は、インペラのボス部32aにおけるネジ穴32cとの嵌合部51と、インペラのボス部32aの内周面に密着する大径部53とを有しており、前記嵌合部51の外周面から大径部53の中途部まで至る空気逃がし溝54が形成されている。
このような空気逃がし溝54が形成されていると、インペラシャフト35をインペラのボス部32aに螺合させる際に、インペラシャフトの前端35bと緩衝体50との間にある空気(あるいはグリース)が、インペラシャフト35の螺合に伴って上記空気逃がし溝54に案内され、この空気逃がし溝54の先端部55から上記大径部53を多少変形させてドライブシャフト22側に向けて逃げることとなる。ドライブシャフト22とインペラシャフト35とはスプラインで係合されているので、上記空気(あるいはグリース)はスプラインに沿って逃げることができる。
なお、インペラシャフト35をインペラのボス部32aに螺合させた後は、緩衝体50は、その大径部53がインペラのボス部32aの内周面に密着することから、ドライブシャフト22側からインペラシャフト35側に侵入しようとする水を遮断する役割も果たす。
したがって、キャップ34は、筒状の挿入部34bにOリング34eを装着してこの挿入部34bを軸受け部33の後部へ挿入(圧入)し、ネジ36によって軸受け部33の後部に装着される。
キャップが装着された状態では、軸受け部33への水の侵入は上記Oリング34eによって遮断される。
また、キャップ34の軸受け部33との当接面には、部分的な切り欠き34dが3カ所(1つのみ図示)に形成されており、メンテナンス時には、上記ネジ36を外し、この切り欠き34dに工具(例えばドライバ)の先を差し込んでキャップ34を容易に取り外すことができるようになっている。
より詳しく説明すると、軸受け部33には、軸受け部材61、62を収容する円筒状の軸受け室33aが形成されており、この軸受け室33aの前部には第1の段部33bが形成され、後部には第1の段部33bよも大径の第2の段部33cが形成されている。
一方、インペラシャフト35の前部にはカラー40および前側の軸受け部材61が装着され、後部には後側の軸受け部材62が装着される。なお、63は前側の軸受け部材61の止め輪、64は後側の軸受け部材62の止め輪である。
インペラシャフト35の後部にはフランジ35cが一体に形成されているので、インペラシャフト35に対しては、予め(インペラシャフト35等を軸受け部33に組み込む前に)その前方側から、後側の軸受け部材62,その止め輪64,前側の軸受け部材61のための止め輪63,前側の軸受け部材61,およびカラー40の順でこれらをインペラシャフト35に装着しておき、これらの組立体を、軸受け部33に対して後方から装着する。
インペラシャフト35の後端には、工具のための平面部35dが形成されているので、これを利用して(平面部35dに工具を係合させて)インペラシャフト35を回転させ、その前部の雄ネジ35aをインペラ32のボス部後部32bに形成されている雌ネジと螺合させて締め付けることによって、上記インペラシャフト35等からなる組立体が軸受け部33に装着される。
一方、後側の軸受け部材62は、そのインナーレース62aの後部がインペラシャフト35のフランジ35cに当接し、アウターレース62bの前部が第2の段部33cに当接し、これらフランジ35cと第2の段部33cとで挟圧された状態となる。したがって、インペラシャフト35に作用するインペラ32からの引っ張り力(スラスト力)は、後側の軸受け部材62に作用し、この後側の軸受け部材62(したがって第2の段部33cによって)によって受けられることとなる。
そこでこの実施の形態では前述したように、前後の軸受け部材61,62の内、インペラシャフト35のスラスト力を受ける後側の軸受け部材62を前側の軸受け部材61に比べて大型の軸受け部材で構成してある。
このため、キャビテーションの発生が低減され、結果としてポンプ効率が向上することとなる。
しかも、キャビテーションの発生が低減される結果として、インペラ32の外周付近に生じるエロージョン(壊蝕)も抑制される。
前記Rの大きさは0.5mm以下とすることが望ましい。
Rが0.5mm以上であると、インペラ32の背面側32bから前面側32fへの圧力抜けが生じやすくなってしまう。一方、Rを設けないと、前述したようにキャビテーションが生じてしまう。
したがって、Rの大きさは、エッジをなくす程度(切削加工等でエッジ部に生じたバリを除去する程度)以上0.5mm以下とすることが望ましく、より望ましくは、0.3mm程度とする。
この実施の形態では、R=0.3mm程度としてある。
これらの実施の形態が上述した実施の形態と異なる点は、インペラシャフト35の支持構造にあり、その他の点に変わりはない。
前述したようにドライブシャフト22がエンジン20で駆動されることでインペラ32が回転駆動され、水流が後方Rへ噴出されることで船体11が前方Fへ推進されるので、インペラシャフト35に対してはこれを前方Fへ引っ張ろうとするスラスト力が作用する。
そこでこれらの実施の形態では、インペラシャフト35の軸受け部材を、アンギュラ玉軸受けで構成した。
図5に示すものは、複列のアンギュラ玉軸受け65で構成し、このアンギュラ玉軸受け65をインペラシャフト35のフランジ35cと軸受け部33の段部33b1とで保持している。
図6に示すものは、2つの単列アンギュラ玉軸受け66,67で構成し、前側の軸受け66については軸受け部33の段部33b1とインペラシャフト35の前側の段部35fとで保持し、後ろ側の軸受け67についてはインペラシャフト35の後側の段部35gと、軸受け部33の後部に螺合された止めナット68とで保持している。
これらの実施の形態のようにインペラシャフト35をアンギュラ玉軸受けで構成することにより、軸受け部33の外径を小さくできる。
したがって、ポンプ容量(ポンプ能力)を確保しつつインペラ32の外径を小さくすることによりインペラ外周面32d(図4参照)の周速を小さくでき、結果として、インペラ外周面32dのエッジ部(32r)にRを付けてあることによる上記作用と相まってキャビテーションの発生を一層低減してポンプ効率を一層向上させることができる。
31 ハウジング
31a1 ハウジング内面
32 インペラ
32d 外周面
32r エッジ部
Claims (3)
- 回転駆動されるインペラが円筒状のハウジング内に設けられたウォータージェットポンプにおいて、前記インペラの、ハウジング内面と対向する外周面のインペラ軸方向エッジ部にRを付けたことを特徴とするウォータージェットポンプ。
- 前記インペラを前記ハウジング内に支持するインペラシャフトの軸受けを、アンギュラ軸受けで構成したことを特徴とする請求項1記載のウォータージェットポンプ。
- 前記Rの大きさを0.5mm以下としたことを特徴とする請求項1または2記載のウォータージェットポンプ。
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