ところで、上述した浸漬型分離膜ユニットを反応槽内部に設置した場合、例えば吸引ポンプによって透過水チューブから処理水を抜き出すようにすることで処理水を連続的に濾過することが可能であるが、この場合、膜エレメントの外部に滞留する汚泥(反応槽内の汚泥)から処理水を吸引ポンプによって強制的に引き出すことになるため、吸引ポンプの運転開始後、短時間のうちに膜エレメントの外面に汚泥が付着してしまい、濾過能力が急激に低下してしまうことになる。つまり、吸引ポンプの運転開始直後は、高い濾過能力が得られて単位時間当たりの透過水量を多く得て高フラックス化を図ることができるが、その後、濾過能力が急激に低下してしまって、透過水量を殆ど得ることができない状況に陥ってしまう。
本発明の発明者らはこの点に鑑み、槽外に設置され、生物反応槽における生物反応処理後の処理汚泥を膜エレメントで濾過して処理水を得るようにした槽外設置型膜分離装置を既に提案している(特願2003−043731)。つまり、多数本の膜エレメントを収容して成る膜モジュール内に生物反応処理後の処理汚泥を導入し、膜エレメントの内部に比較的高い速度で処理汚泥を通過させながら、一部の処理汚泥に対して濾過を行って処理水を抽出するようにしたものである。これにより、循環流の中から処理水を抽出することにより、短時間のうちに膜エレメントに汚泥が付着してしまうといった状況は生じ難くなり、高い濾過能力を長時間に亘って維持することができる。
ところで、このような槽外設置型膜分離装置の処理能力を高く得るために複数本の膜モジュールを並列に接続する構成が考えられる。つまり、生物反応槽から取り出した生物反応処理後の処理汚泥を各膜モジュールに分配し、各膜モジュールによって濾過処理を行うことで単位時間当たりに得られる処理水量の増大を図るものである。
しかしながら、このように複数の膜モジュールを並列に接続する場合、その据え付け作業や交換作業において以下に述べるような不具合を招いてしまうため、更なる改良が必要であった。
先ず、膜分離装置の据え付け作業にあっては、複数本の膜モジュールを据え付け現場に搬送し、各膜モジュールそれぞれの固定作業(地面や据え付け用ベースに対する各膜モジュール毎の固定作業)、各膜モジュール同士の配管接続(並列接続)作業、膜モジュールと生物反応槽との間の配管接続作業といった多数の作業が必要である。例えば、4本の膜モジュールを膜分離装置に採用する場合、各4本の膜モジュールそれぞれに対して固定作業を行い、また、各膜モジュール同士を配管によって接続し、更には、これら膜モジュールと生物反応槽との間を配管により接続するといった作業を据え付け現場で行う必要がある。このため、現場での作業時間を長く要してしまい、且つ煩雑な作業を据え付け現場で行わねばならないといった不具合があった。
一方、汚水処理動作中(膜分離動作中)に、何れか1本の膜モジュールに不具合が生じた場合(例えば、ある1本の膜モジュールに収容されている膜エレメントに詰まりが発生した場合)、その膜モジュールを特定してその膜モジュールを交換する必要がある。ところが、この1本の膜モジュールを特定するためには、膜エレメントに詰まりが発生したことを検知するためのセンサ類を各膜モジュールそれぞれに個別に取り付けておく必要がある。しかし、これでは、装置全体としての構成の複雑化や製造コストの高騰を招いてしまい好ましくない。また、不具合が生じた膜モジュールを特定できたとしても、その補修作業は、水処理システムを停止させた状態で行わねばならない。例えば、補修が必要な膜モジュールを一旦取り外して洗浄した後に再度装着して運転を再開させるといった作業が必要である。このため、この補修作業が完了するまでの長時間に亘って汚水処理動作を行うことができないといった不具合を招いてしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生物反応槽における生物反応処理後の処理汚泥を濾過して処理水を得るようにした膜モジュールを複数本備える汚水処理装置に対し、膜モジュールの据え付け作業や交換作業の簡素化及び迅速化を図ることができ、特に、交換作業にあっては水処理システムの停止時間を短時間にしながらも汚水処理動作を早期に復帰させることが可能な膜分離装置及びこの膜分離装置に備えられた膜モジュールユニットを提供することにある。
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、複数の膜モジュールとこれらを接続(並列接続)する配管とを1つのユニット(膜モジュールユニット)として構成し、膜モジュールの据え付け時にあっては、このユニットを所定値に据え付けた後に、このユニットから延びる配管を生物反応槽に接続するのみで、各膜モジュールと生物反応槽との間で循環回路が構成されるようにしている。つまり、膜モジュールユニットの設置作業及びユニットから延びる配管の接続作業のみで膜分離装置の据え付けやユニット交換が行えるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、生物反応槽において生物反応処理を行った後の汚泥を固液分離する膜分離装置を前提とする。この膜分離装置に対し、生物反応槽の外部に設置され且つ膜モジュール本体の内部に膜エレメントを収容して成る複数の膜モジュールが、汚泥導入配管及び汚泥導出配管にそれぞれ接続されていると共に、これら膜モジュール、汚泥導入配管及び汚泥導出配管が一体的に輸送可能となるように支持体によって支持されて成る膜モジュールユニットを備えさせる。また、この膜モジュールユニットを所定位置に設置し、上記汚泥導入配管及び汚泥導出配管を介して各膜モジュールが生物反応槽との間で循環回路を成し、この循環回路に汚泥を循環させながら、この汚泥を各膜モジュールにおける膜エレメントの一次側から二次側に向けて濾過することにより処理水を得るようにしている。また、上記膜エレメントに対し、上記二次側から一次側に向けて洗浄水を通過させて膜エレメントの一次側面に付着している固形物を剥離除去する逆流洗浄動作を実行する逆流洗浄手段を備えさせている。
この特定事項により、先ず、膜分離装置の据え付け作業時には、この膜分離装置の構成部材である膜モジュールユニットが、それ以外の機器(逆流洗浄手段等)から切り離された状態で据え付け現場まで搬送され、この据え付け現場において、膜モジュールユニットが逆流洗浄手段等の各機器に接続されて膜分離装置が構築され、更に、膜モジュールユニットを、汚泥導入配管及び汚泥導出配管を介して生物反応槽に接続する。これにより、各膜モジュールが生物反応槽との間で汚泥循環用の循環回路を構成することになる。これにより、水処理システムが完成する。
また、本解決手段では、膜モジュールユニットのみを単独で輸送することが可能であるので、各膜モジュールと汚泥導入配管及び汚泥導出配管との接続作業やその他の配管接続作業は、予め工場内で行っておくことができ、据え付け現場では、主に、膜モジュールユニットの生物反応槽に対する接続作業のみで済む。従って、据え付け現場での作業の簡素化及び作業時間の短縮化を図ることができる。また、各膜モジュールが長尺のものであり且つ据え付け現場では縦置きに配置する必要がある場合であっても、上述した如く膜モジュールユニットのみを単独で輸送することが可能であるので、この膜モジュールユニットは横置きにしてトラック輸送することができる。つまり、膜モジュールを逆流洗浄手段等の各機器に接続した状態で輸送しようとする場合には、膜モジュールを起立状態でトラックの荷台に載置せねばならず、トラックの積載高さの許容寸法を越えてしまう可能性があるが、本解決手段によれば、膜モジュールユニットのみを単独で輸送可能であるため、この膜モジュールユニットを横置きに積載して輸送するなどして積載許容範囲内での輸送が可能になる。
そして、上記膜分離装置の運転動作としては、先ず、生物反応槽において生物反応処理を行った後の処理汚泥が、各膜モジュールと生物反応槽との間で構成される循環回路を循環する。つまり、生物反応槽から取り出された処理汚泥は、各膜モジュールに供給され、一部の汚泥については後述する濾過が行われた後、生物反応槽に戻される。循環回路ではこの循環動作が繰り返される。
一方、各膜モジュールでは、生物反応槽から供給された処理汚泥の一部が膜エレメントの一次側から二次側に向けて濾過され、これによって、この処理汚泥の一部が固液分離されて処理水が得られる。つまり、上記循環回路での循環動作が繰り返されながら各膜モジュールでは処理水が順次得られていく。
このように、膜エレメントの一次側では、循環回路での循環流速に略等しい流速の処理汚泥が流れているため、この循環回路の循環流速を比較的高く設定しておけば、膜エレメントの一次側の面に付着しようとする汚泥(固形物)は、循環流によって押し流され、膜エレメントに付着することなしに生物反応槽に戻される。このため、膜エレメントの一次側の面での単位時間当たりにおける汚泥(固形物)の付着量は、従来の浸漬型分離膜ユニットの場合に比べて大幅に低減される。従来の浸漬型分離膜ユニットでは、膜エレメントの一次側では汚泥が殆ど滞留した状態であったため、処理水が抽出された後の汚泥(固形物)は押し流されることなしに膜エレメントの一次側の面に付着してしまい、汚泥の濾過を開始した後、短時間のうちに膜エレメントに大量の汚泥が付着してしまって、濾過能力が急激に低下してしまっていた。
本解決手段によれば、循環流の中から処理水を抽出するようにしているので、短時間のうちに膜エレメントに汚泥が付着してしまうといった状況は生じ難く、高い濾過能力を長時間に亘って維持することが可能である。尚、循環回路の循環流速は、具体的には循環回路に備えられた循環ポンプの能力により決定される。
更に、本解決手段では、例えば所定時間毎に逆流洗浄動作を実行しており、これによって、膜エレメントの一次側面に付着している固形物を剥離除去している。具体的には、処理汚泥の濾過動作(膜エレメントの一次側から二次側に向けての濾過)を停止した状態で、二次側から一次側に向けて洗浄水を通過させて膜エレメントの一次側面に付着している固形物を剥離させる。例えば、膜エレメントの一次側面での固形物の付着量が多大になる前に逆流洗浄動作を実行するように上記所定時間を設定することにより、この付着している固形物を短時間で剥離することができ、この逆流洗浄動作に要する時間も短くて済む。このため、膜エレメントの一次側面に大量の固形物が付着する状況が回避でき、高い能力での濾過動作を安定して行うことが可能になり、活性汚泥処理システムの高性能化を図ることができる。その結果、従来のものに比べて、小さな膜面積であっても単位時間当たりに得られる処理水の量を大幅に増大(高フラックス化)することができ、システム全体を大型にすることなしに、高性能の水処理を実現することができる。
尚、逆流洗浄動作の実行タイミングとしては、例えば濾過動作を5min間連続して行った後に、8sec間の逆流洗浄を行うことなどが掲げられる。また、逆流洗浄動作に使用する洗浄水としては、濾過動作において得られた処理水を利用することが好ましい。この洗浄水としては上記処理水に限らず、個別の水(水道水等)であってもよい。また、付着固形物の剥離が容易に行えるように水に活性剤等を混入したものであってもよいが、この洗浄水は、膜エレメントの二次側から一次側へ透過した後には生物反応槽に流入することになるので、生物反応処理に悪影響を与えないものである方が好ましい。
また、何れか1本の膜モジュールに不具合が生じた場合(例えばある1本の膜モジュールに収容されている膜エレメントに詰まりが発生した場合)には、その膜モジュールを備えている膜モジュールユニット全体を他の新規な膜モジュールユニットに交換する。つまり、水処理システムを一時的に停止し、膜モジュールユニットの取り外し作業及び新規な膜モジュールユニットの装着作業を行った後に直ちに水処理システムを復帰させることができる。そして、取り外した膜モジュールユニットにあっては、工場などに持ち帰って、不具合が生じている膜モジュールの特定やその原因の調査や補修を行うことになる。このようにして膜モジュールユニットの交換作業が行われるため、この交換作業時間の間だけシステムを停止すればよく、膜モジュールに不具合が生じた際のシステムの停止時間を大幅に短縮化することができる。
また、何れか1本の膜モジュールに不具合が生じた場合には膜モジュールユニット全体を交換するようにしているため、この交換時点では、不具合が生じている膜モジュールを特定しておく必要がない。このため、不具合が生じている膜モジュールを特定するために各膜モジュールそれぞれにセンサ類を個別に取り付けておくといったことは必要なく、ユニット全体として不具合(処理能力の低下;例えば配管内圧力や処理水量の変動)が生じたことが検知できればよい。例えば、膜モジュールユニットの汚泥導入配管に1個の圧力センサを設けるのみで、それを検知することが可能であり、装置全体としての構成の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
尚、上記膜モジュールの具体構成としては以下のものが掲げられる。つまり、透過膜材料(例えばポリエステルやポリスチレン等)を円筒形(ストロー形状)に成形して膜エレメントを構成している。そして、多数本の膜エレメントを膜モジュール本体内に収容して、各膜エレメントの内部空間と生物反応槽との間で汚泥の循環回路を構成する。更に、上記生物反応槽から各膜エレメントに供給された汚泥が、各膜エレメントの一次側である内部から二次側である外部に向けて濾過されて処理水が得られるようにしている。
このように、透過膜材料を円筒形状に成形して膜エレメントを構成し、多数本の膜エレメントを膜モジュール本体内に収容した場合、個々の膜エレメントの内側面積を比較的小さくすることができる。これは、膜エレメントの内面に汚泥が付着した場合に、個々の膜エレメントそれぞれにおける汚泥付着総面積の削減に繋がる。つまり、個々の膜エレメントにあっては、汚泥付着面積が小さいため、上記逆流洗浄動作による固形物の剥離をより簡単に行うことができる。このため、逆流洗浄動作に要する時間が短くなり、濾過動作の稼働率の向上を図ることができる。また、膜エレメントから処理水を吸引する場合、この膜エレメントは円筒形に成形されているため、吸引負圧による変形は生じ難く、内部空間の形状を維持することができて、濾過能力を安定的に維持することが可能になる。言い換えると、膜エレメントの内部空間を大きく確保して個々の膜エレメントの濾過能力を高めようとする場合、平板状の膜エレメントであると、上記吸引負圧によって簡単に変形してしまう状況となるが、円筒状に成形した場合には、吸引負圧による変形は生じ難いため、膜エレメントの内部空間を大きく確保することが可能になり、その結果、膜エレメントの設計の自由度(径寸法の設計自由度)を拡大することができる。具体的に、膜エレメントの外径寸法としては5〜8mm程度に設定される。
上記膜モジュールユニットの具体構成としては以下のものが掲げられる。つまり、膜モジュールユニットから、汚泥導入配管及び汚泥導出配管を延設すると共に、各膜モジュールから処理水を取り出す処理水導出管を延設させる。そして、上記汚泥導入配管及び汚泥導出配管を介して各膜モジュールと生物反応槽との間で循環回路を構成すると共に、上記処理水導出管を介して各膜モジュールを処理水槽に接続するようにしている。
このように膜モジュールユニットから延設する各配管を介して各膜モジュールと生物反応槽や処理水槽とを接続することで水処理システムが完成することになる。つまり、各膜モジュール毎の個別の配管接続作業が不要になり、これによっても据え付け現場での作業の簡素化及び作業時間の短縮化を図ることができる。
上記膜エレメントの一次側空間における汚泥流速を高く確保するための手段として以下のものが掲げられる。つまり、循環汚泥が流れる膜エレメントの一次側空間にこの循環汚泥の流れ方向に沿って流れる気泡を供給することによって循環汚泥に搬送力を与える気泡供給手段を設けた構成である。
この特定事項によれば、気泡供給手段から膜エレメントの一次側空間に供給された気泡が、一次側空間を流れる循環汚泥を、その流れ方向に押し流すことになり、この一次側空間で循環汚泥が滞留してしまうことがなくなる。また、この気泡は、膜エレメントの一次側面に対する汚泥の付着を抑制する機能も発揮することになり、膜エレメントの一次側面での単位時間当たりにおける汚泥(固形物)の付着量をよりいっそう低減することができる。具体的な構成としては、膜エレメントを縦型配置とし、一次側空間の下側から上側に向かって処理汚泥を流す構成としておき、膜エレメントの下側から一次側空間に向けて気泡を供給(エアリフト)する構成が掲げられる。これにより、気泡の浮力が循環汚泥の搬送力として与えられることになる。その結果、循環汚泥を循環させるために必要な動力(循環ポンプの動力等)を低減することができ、システムのランニングコストの削減を図ることができる。
また、この解決手段の場合、気泡供給手段から供給される気泡の形状を、膜エレメントの一次側空間における汚泥流れ方向に直交する断面の形状に略一致させることが好ましい。この場合、一次側空間には、汚泥に満たされた層と空気に満たされた層とが汚泥流れ方向で交互に存在することになる。このため、汚泥は気泡によって強制的に押し流される状態となり、気泡から汚泥に対して搬送力を確実に与えることができて効率の良い汚泥循環動作を行うことができる。
上記気泡供給手段の具体構成としては以下のものが掲げられる。つまり、気泡供給手段として、膜モジュールにおける汚泥流れ方向に直交する断面の形状に略一致する形状を有する散気部材を備えさせている。
また、この散気部材としては、以下の構成が掲げられる。つまり、膜モジュール本体を、汚泥流れ方向に直交する断面の形状が略円形の管状体とする。そして、散気部材を、上記膜モジュール本体の断面形状に略一致する円盤状の多孔質体により構成している。
以上の構成によれば、膜モジュール本体の内部に収容された多数本の膜エレメントのそれぞれの内部空間(一次側空間)に対して空気を略均等に供給することが可能となる。このため、各膜エレメントの一次側空間での汚泥流量を略均一にできて、濾過能力の均等化を図ることが可能となり、その結果、膜モジュール全体としての濾過能力の向上を図ることができる。
上記逆流洗浄動作をより効率的に行うための手段として以下のものが掲げられる。逆流洗浄動作の実行中に膜エレメントの一次側空間に比較的大量の空気を一時的に通過させる空気供給手段を設けた構成である。
また、この空気供給手段としては、加圧空気を発生させる圧縮機を適用することが可能であるが、その他に以下の構成としてもよい。つまり、空気を貯留する貯留容器を備えさせ、逆流洗浄動作の実行中に貯留容器の内部空間を膜エレメントの一次側空間に解放して比較的大量の空気を膜エレメントの一次側空間に通過させる構成である。この構成によれば、例えば、上記気泡供給手段を備えさせた場合にその気泡供給手段から供給される気泡の一部を貯留容器に貯留させていき、逆流洗浄動作の実行中に、この貯留容器から膜エレメントの一次側空間に大量の空気を供給することができる。つまり、この場合、気泡供給手段から供給される気泡を逆流洗浄動作用の空気として利用することができ、特別な空気圧送機構が必要なくなってシステム構成の簡素化を図ることができる。
次に、膜モジュールを薬液洗浄するようにした場合の解決手段について述べる。先ず、膜モジュールの薬液洗浄時に膜モジュール本体の内部に薬液を供給する薬液供給管を、膜モジュール本体から処理水を取り出す処理水導出管に接続する。また、この薬液供給管から処理水導出管を経て薬液を膜モジュール本体の内部に供給する薬液洗浄動作を実行する薬液洗浄手段を備えさせている。
この特定事項により、薬液洗浄時、薬液供給管から処理水導出管を経て膜モジュール本体の内部に供給された薬液は、膜エレメントの二次側から一次側に向けて流入することになる。これは上記逆流洗浄の場合と同様の流れである。これにより、膜エレメントの一次側面に付着している固形物は容易に剥離され且つ溶解されて膜エレメントは浄化されることになり、効率の良い薬液洗浄を実行することができる。これにより、薬液洗浄動作に要する時間の短縮化を図ることが可能になり、膜モジュールを迅速に復帰させて濾過動作の稼働率の向上を図ることができる。また、循環回路での汚泥循環を停止した状態で薬液洗浄を行うようにした場合、薬液洗浄に使用する薬液の量は膜モジュール本体内の容積程度で済むため、従来の浸漬型分離膜ユニットを薬液洗浄する場合に比べて使用薬液量の削減が図れる。これにより、薬液洗浄後の廃液の量が少なくなり、その処理を容易に行うことができる。
また、膜モジュール本体には、薬液洗浄終了後に膜モジュール本体内の薬液を排出除去する排出手段を備えさせている。これによれば、薬液洗浄の終了後には、膜モジュール本体内の薬液はその大部分が排出手段によって排出除去され、この薬液が生物反応槽へ流入されてしまうことがない。従来の浸漬型分離膜ユニットでは、膜エレメントを薬液洗浄した場合、その薬液はそのまま生物反応槽内に存在することになり、汚泥の活性が低下してしまって、その後の生物反応処理に悪影響を及ぼしていた。本解決手段では、このような状況は生じないため、生物反応処理を常に安定的に行うことが可能になり、活性汚泥処理システムの高性能化を維持することができる。
また、上述した如く気泡供給手段を設けた場合において、嫌気好気活性汚泥法を利用した活性汚泥処理システムに本発明を適用した場合の循環回路としては以下の構成が掲げられる。つまり、生物反応槽として嫌気槽及び好気槽を備えさせる。そして、循環汚泥を膜分離器本体から生物反応槽に戻す汚泥戻し管を、嫌気槽及び好気槽にそれぞれ対応して分岐させる一方、これら嫌気槽及び好気槽に対する汚泥戻し量を調整する戻し量調整手段(例えば三方弁)を備えさせるようにする。
この構成によれば、好気槽から膜モジュールに供給された汚泥を汚泥戻し管によって嫌気槽に戻すことが可能となる。従来の嫌気好気活性汚泥法を利用した活性汚泥処理システムでは、好気槽から嫌気槽に汚泥を戻すための特別な戻し配管を備えさせ、この戻し配管にポンプを備えさせる必要があった。本解決手段によれば、この戻し配管及びポンプの機能を上記循環回路が備えることになる。このため、この循環回路を有効利用して好気槽から嫌気槽へ汚泥を戻すことが可能になり、従来の戻し配管及びポンプが必要なくなってシステム全体のコンパクト化を図ることができる。
また、上述した如く気泡供給手段を設けた場合、膜モジュールを流れる処理汚泥には空気(酸素)が供給されることになる。このため、好気槽に必要な空気量(DO(Dissolved Oxygen):溶存酸素量)をこの気泡供給手段によって処理汚泥に与え、この処理汚泥を好気槽に戻すようにした場合には、好気槽には曝気装置が必要なくなる。これにより、システム構成の簡素化を図ることができる。
また、上記好気槽内に空気を供給する曝気手段(エアレーション装置)を備えさせ、この曝気手段から好気槽内に供給する空気の供給量を、気泡供給手段からの空気供給量及び膜分離器本体から好気槽内への循環汚泥の戻し量に応じて調整する曝気量調整手段を備えさせている。この場合、好気槽に必要な空気量のうち、どの程度が気泡供給手段からの空気により賄われているかを、この気泡供給手段からの空気供給量及び膜分離器本体から好気槽内への循環汚泥の戻し量によって認識し、その不足分のみを曝気手段から好気槽内に供給すればよい。これにより、好気槽内に必要以上の空気が供給されてしまうことがなくなり、曝気手段の稼働率を必要最小限に抑えることでシステムのランニングコストの大幅な削減を図ることができる。
上述した各解決手段に係る膜分離装置に備えられる膜モジュールユニットの具体構成としては、以下のものが掲げられる。つまり、生物反応槽の外部に設置され且つ膜モジュール本体の内部に膜エレメントを収容して成る複数の膜モジュールが、汚泥導入配管及び汚泥導出配管にそれぞれ接続されていると共に、これら膜モジュール、汚泥導入配管及び汚泥導出配管が一体的に輸送可能となるように支持体によって支持されて構成されたものである。
本発明では、複数の膜モジュールを1つのユニットとして構成し、これら膜モジュール同士を予め配管接続しておき、膜モジュールの据え付け時にあっては、このユニットを据え付けた後に生物反応槽と配管接続するのみで、各膜モジュールと生物反応槽との間で循環回路が構成されるようにしている。このため、膜モジュールの据え付け作業や交換作業の簡素化及び迅速化を図ることができ、また、交換作業にあっては水処理システムの停止時間を短時間にしながらも汚水処理動作を早期に復帰させることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、本発明を、標準活性汚泥法を使用した汚水処理装置(水処理システム)に適用した場合について説明する。
−汚水処理装置の概略構成の説明−
図1は本形態に係る汚水処理装置に備えられる膜分離装置Aを示す平面図、図2はその側面図、図3は汚水処理装置全体の回路構成図である。
これら図に示すように、本形態に係る汚水処理装置は、生物反応槽1、処理水槽3、これら生物反応槽1及び処理水槽3に対して配管により接続される膜分離装置Aを備えている。
また、膜分離装置Aは、膜分離器としての複数(本形態では4本)の膜モジュール2,2,…を備えた膜モジュールユニットU(詳細は後述する)や、その他の機器(後述するポンプやブロア)や、各種配管(詳細は後述する)が同一のベース10上に設置されて構成されている。
本形態の特徴として、上記4本の膜モジュール2,2,…は、同一基板7上に立設状態で設置されていると共に、この基板7上に組まれたユニット枠71によって支持されている。このユニット枠71は、例えば複数本のH型鋼が直方体形状の枠体に組み合わされて構成され、その内側に4本の膜モジュール2,2,…を収容するための収容空間を形成している。また、これら膜モジュール2,2,…は、ユニット枠71の各部に連結金具などによって連結されることでその立設状態が維持されるようになっている。更に、膜モジュール2,2,…には各種配管が接続されており(これら配管については後述する)、これら膜モジュール2,2,…と各種配管とがユニット枠71に収容されることで上記膜モジュールユニットUが構成されている。これにより、上記基板7及びユニット枠71によって本発明でいう支持体が構成されている。そして、この膜モジュールユニットUが上記ベース10上に着脱可能に載置されている。尚、この膜モジュールユニットUの具体的な寸法の一例としては、図2に示す立設状態での高さが4000mmで、各2000mm角(幅及び奥行きが2000mm)程度となっている。この寸法はこれに限るものではなく、適用する膜モジュール2,2,…の長さ寸法や適用本数等によって任意に設定される。
そして、本膜分離装置Aは、ベース10をクレーン等によって吊り上げたり、トラックの荷台に載置してトラック輸送することにより、装置全体が移動可能な可搬式膜分離装置として構成されているばかりでなく、膜モジュールユニットUもベース10から独立してクレーン等によって吊り上げたり、トラックの荷台に載置してトラック輸送することにより輸送可能な構成となっている。
上記ベース10(例えば長さ6000mm、幅2200mmの金属製板材)には、装置全体をクレーン等によって吊り上げる際にワイヤロープを係止するための図示しないアイボルトが取り付けられており、また、装置を所定の設置場所に固定するためのアンカボルトを挿通するための図示しない開口が形成されている。同様に、ユニット枠71にも、ユニット全体をクレーン等によって吊り上げる際にワイヤロープを係止するための図示しないアイボルトが取り付けられており、また、この膜モジュールユニットUの基板7にはベース10上の所定位置に固定するためのアンカボルトを挿通するための図示しない開口が形成されている。このため、本膜分離装置Aの据え付け時には、先ず、各種機器が取り付けられたベース10を所定位置に固定した後、このベース10上の所定位置に膜モジュールユニットUを載置し、基板7をベース10上に固定するようになっている。
上記生物反応槽1は、その上流側に設けられた微細目スクリーン13を通過した流入水(汚水)が導入されるものである。この生物反応槽1の内部には曝気手段としての曝気ブロアB1から延びるエア供給管61が導入され、このエア供給管61の先端に設けられた散気装置61aから空気が供給可能となっている。そして、この曝気ブロアB1の駆動に伴って生物反応槽1内に空気が供給され、それに伴う生物化学的処理が行われるようになっている。
処理水槽3は、後述する各膜モジュール2,2,…によって汚泥が固形分離されて抽出された処理水を回収するものである。
−膜モジュール2の説明−
次に、上記膜モジュールユニットUを構成している膜モジュール2について説明する。各膜モジュール2,2,…はそれぞれ略同一の構成であるので、ここでは1つの膜モジュール2を代表して説明する。
図4は膜モジュール2の内部構造を示す断面図であり、図5は膜モジュール2の内部における膜エレメント22,22,…の収容状態の一部を示す断面図である。
この膜モジュール2は、縦置き設置された略円筒状の膜モジュール本体としての本体ケーシング21を備え、この本体ケーシング21の内部に多数本の膜エレメント22,22,…が収容された構成となっている。より具体的には、図4に示すように、本体ケーシング21は、その長手方向の中央部が一定の内径寸法を有するエレメント収容部23として構成されており、このエレメント収容部23に多数本(例えば615本)の膜エレメント22,22,…が束ねられた状態で収容されている。
各膜エレメント22,22,…は、透過膜材料が円筒形に成形された小径(外径寸法が例えば5.2mm)の所謂ストロー形状の部材であって、その内部に汚泥が流入した場合、その汚泥から水のみを外部に濾過できるように微多孔性膜等により構成されている。尚、この膜エレメント22を構成する透過膜材料としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が掲げられる。透過膜材料はこれら材料に限るものではない。
これにより、本体ケーシング21の長手方向の下側部分には汚泥流入空間24が形成されていると共に、本体ケーシング21の長手方向の上側部分には汚泥流出空間25が形成されている。また、膜エレメント22,22,…の長手方向の両端部分(汚泥流入空間24及び汚泥流出空間25に近接する領域)では、これら膜エレメント22,22,…の外周面とエレメント収容部23の内周面との間の空間に樹脂が充填されており、これによって、各膜エレメント22,22,…の内部空間が汚泥流入空間24及び汚泥流出空間25に連通状態となり、各膜エレメント22,22,…の外部空間は汚泥流入空間24及び汚泥流出空間25に非連通状態となっている。
−循環回路の説明−
上記膜モジュール2と生物反応槽1とは、汚泥取り出し管51及び汚泥戻し管52を介して互いに接続されており(これら配管は実際には複数の配管同士が接続されて構成されている)、汚泥取り出し管51に備えられた循環ポンプP1の駆動に伴って各膜モジュール2,2,…と生物反応槽1との間で汚泥が循環するように構成されている。
具体的には、膜モジュールユニットUには汚泥導入配管81が備えられており、この汚泥導入配管81が汚泥取り出し管51に接続されている。この汚泥導入配管81の上流端側は汚泥取り出し管51に接続されている一方、この汚泥導入配管81の下流端側は各膜モジュール2,2,…に対応するように4本の分岐管81a,81a,…に分岐されている。また、汚泥導入配管81の上流端は、汚泥取り出し管51に対する接続作業が容易になるように、ユニット枠71から僅かに突出した位置に設定されている。尚、この汚泥導入配管81の上流端はユニット枠71の内部に位置していてもよい。そして、上記汚泥取り出し管51の上流端は生物反応槽1の下部に、汚泥導入配管81の下流端側の分岐管81a,81a,…は各膜モジュール2,2,…の汚泥流入空間24にそれぞれ接続されている。
また、膜モジュールユニットUには汚泥導出配管82が備えられており、この汚泥導出配管82が汚泥戻し管52に接続されている。この汚泥導出配管82の上流端側は各膜モジュール2,2,…に対応するように4本の分岐管82a,82a,…に分岐されている一方、この汚泥導出配管82の下流端側は汚泥戻し管52に接続されている。また、この汚泥導出配管82も、その下流端は、汚泥戻し管52に対する接続作業が容易になるように、ユニット枠71から僅かに突出した位置に設定されている。尚、この汚泥導出配管82の下流端はユニット枠71の内部に位置していてもよい。そして、汚泥戻し管52の下流端は生物反応槽1の上部に、汚泥導出配管82の上流端側の分岐管82a,82a,…は各膜モジュール2,2,…の汚泥流出空間25にそれぞれ接続されている。
これにより、各膜モジュール2,2,…は生物反応槽1に対して互いに並列接続されている。そして、生物反応槽1、汚泥取り出し管51、汚泥導入配管81、膜モジュール2,2,…、汚泥導出配管82、汚泥戻し管52によって汚泥循環回路が構成されている。
また、上述した如く上記各分岐管81a,81a,…、82a,82a,…は、膜モジュールユニットUの内部に位置している。このため、汚泥導入配管81の分岐管81a,81a,…同士が連結された合流管(汚泥導入配管81)が膜モジュールユニットUから延設されている。同様に、汚泥導出配管82の分岐管82a,82a,…同士が連結された合流管(汚泥導出配管82)が膜モジュールユニットUから延設されている。つまり、この膜モジュールユニットUからは生物反応槽1との間で汚泥循環回路を構成する配管としては2本の配管81,82が延びているのみである。従って、ベース10上に膜モジュールユニットUを載置した後、汚泥導入配管81と汚泥取り出し管51との接続、汚泥導出配管82と汚泥戻し管52との接続といった2箇所の配管接続作業のみで各膜モジュール2,2,…が生物反応槽1に対して互いに並列接続された汚泥循環回路が形成されることになる。
このように、生物反応槽1、汚泥取り出し管51、汚泥導入配管81、膜モジュール2,2,…、汚泥導出配管82、汚泥戻し管52によって汚泥循環回路が構成されていることにより、生物反応槽1における生物反応処理後の処理汚泥は、生物反応槽1から取り出され、各膜モジュール2,2,…に供給される。膜モジュール2の内部では、汚泥流入空間24から各膜エレメント22,22,…の内部空間を経て汚泥流出空間25に向かう流れが生じている。このため、図6(a)に示すように、各膜エレメント22,22,…の内部空間を流れている汚泥の一部については濾過が行われ、処理汚泥の一部が固液分離されて処理水が膜エレメント22の外部に抽出される。このようにして循環回路での汚泥の循環動作が繰り返されながら各膜モジュール2では処理水が連続的に得られるようになっている。尚、通常運転状態では、上記循環回路における汚泥循環量と膜エレメント22による処理水抽出量との比は「20:1」程度となるように設定されている。本発明はこの比に限るものではない。
尚、固液分離されて膜エレメント22の内部空間に残った汚泥は、この内部空間に生じている汚泥流に沿って膜エレメント22の内部空間から汚泥流出空間25、汚泥戻し管52を経て生物反応槽1に戻されるようになっている。また、余剰汚泥は循環ポンプP1から抜き取られる。
このように、膜エレメント22の内部空間(一次側)では、循環回路での循環流速に略等しい流速の処理汚泥が流れているため、この循環回路の循環流速を比較的高く設定しておけば、膜エレメント22の内側面に付着しようとする汚泥(固形物)は、循環流によって押し流され、膜エレメント22に付着することなしに生物反応槽1に戻されることになる。このため、膜エレメント22の内側面での単位時間当たりにおける汚泥(固形物)の付着量は、従来の浸漬型分離膜ユニットの場合に比べて大幅に低減される。これにより、高い濾過能力を長時間に亘って維持することが可能になる。尚、図6(b)は、循環回路での循環動作が所定時間継続して行われて膜エレメント22の内面に僅かに固形物が付着した状態を示している。
−処理水の取り出し−
上記膜モジュール2と処理水槽3とは、導出管としての処理水取り出し管53(この処理水取り出し管53は実際には複数の配管同士が接続されて構成されている)を介して接続されている。
具体的には、膜モジュールユニットUには処理水導出配管83が備えられており、この処理水導出配管83が処理水取り出し管53に接続されている。この処理水導出配管83の下流端側は処理水取り出し管53に接続されている一方、この処理水導出配管83の上流端側は各膜モジュール2,2,…に対応するように4本の分岐管83a,83a,…に分岐されている。また、処理水導出配管83の下流端は、処理水取り出し管53に対する接続作業が容易になるように、ユニット枠71から僅かに突出した位置に設定されている。尚、この処理水導出配管83の下流端はユニット枠71の内部に位置していてもよい。そして、この処理水導出配管83の分岐管83a,83a,…は、それぞれ更に2分岐され、一方の分岐管53aは上記エレメント収容部23の下部に、他方の分岐管53bはエレメント収容部23の上部にそれぞれ接続されている。また、処理水取り出し管53には膜濾過ポンプP2が備えられており、この膜濾過ポンプP2の駆動に伴って、各膜エレメント22,22,…で濾過された処理水が各分岐管53a,53bから抜き出され、処理水導出配管83及び処理水取り出し管53を経て処理水槽3に回収されるようになっている。このため、上記処理水導出配管83が膜モジュールユニットUから延設されている。つまり、この膜モジュールユニットUからは処理水槽3に向けて処理水を排出する配管としては1本の処理水導出配管83が延びているのみである。従って、ベース10上に膜モジュールユニットUを載置した後、処理水導出配管83と処理水取り出し管53との接続といった1箇所の配管接続作業のみで各膜モジュール2,2,…からの処理水を処理水槽3に回収するための回路が形成されることになる。
−エアリフト−
また、膜分離装置Aは、各膜エレメント22,22,…の内部空間に気泡を連続的に供給するためのエアリフトブロアB2を備えている。このエアリフトブロアB2と膜モジュール2の汚泥流入空間24とはリフトエア供給管62(図3では破線で示すように下流側が各膜モジュール2,2,…に対応して分岐している)によって接続されており、エアリフトブロアB2の駆動に伴って、汚泥流入空間24にエアが供給され、このエアが気泡となって各膜エレメント22,22,…の内部空間に連続的に供給されるようになっている(図6(a)、(b)参照)。具体的には、リフトエア供給管62の先端には多数の開口が形成された散気管62aが取り付けられており、この散気管62aの各開口から汚泥流入空間24に気泡が供給され、これら気泡はその浮力によって各膜エレメント22,22,…の内部空間に連続的に供給されるようになっている。このように上記リフトエア供給管62及びエアリフトブロアB2によって本発明でいう気泡供給手段が構成されている。
上述の如く各膜エレメント22,22,…の内部空間に気泡を連続的に供給するようにしたことにより、この気泡が、膜エレメント22内の汚泥をその流れ方向(上方)に押し流すことになり、膜エレメント22の内部空間で汚泥が滞留してしまうことがなくなる。また、この気泡は、膜エレメント22の内面に対する汚泥の付着を抑制する機能も発揮することになり、膜エレメント22の内面での単位時間当たりにおける汚泥(固形物)の付着量をよりいっそう低減することができる。これにより、気泡の浮力が循環汚泥の搬送力として与えられることになり、その結果、循環汚泥を循環させるために必要な動力(上記循環ポンプP1の動力)を低減することができ、システムのランニングコストの削減を図ることができる。
また、この場合、膜エレメント22の内部空間に供給される気泡の外径は、膜エレメント22の内径寸法と略等しいか、または、膜エレメント22の内径寸法よりも僅かに大きく設定しておく。これによれば、膜エレメント22の内部空間には、汚泥に満たされた層と空気に満たされた層とが汚泥流れ方向で交互に存在することになり(図6(a),(b)参照)、汚泥は気泡によって強制的に押し流される状態となって、気泡から汚泥に対して搬送力を確実に与えることができて効率の良い汚泥循環動作を行うことができる。
また、上記リフトエア供給管62は、膜モジュールユニットUに備えられた配管であって、このリフトエア供給管62の下流側の各分岐管は各膜モジュール2,2,…に対して工場に置いて予め接続されている。従って、据え付け現場において、ベース10上に膜モジュールユニットUを載置した後、このリフトエア供給管62をエアリフトブロアB2(または、このエアリフトブロアB2から延びる配管)に接続(1箇所の接続)するのみで各膜モジュール2,2,…に対してリフトエアを供給するための構成が得られることになる。
−逆流洗浄−
上記処理水槽3と処理水導出配管83の各分岐管83a,83a,…とは逆流洗浄管54(この逆流洗浄管54は実際には複数の配管同士が接続されて構成されている)を介して接続されている。
具体的には、膜モジュールユニットUには洗浄水導入配管84が備えられており、この洗浄水導入配管84が逆流洗浄管54に接続されている。この洗浄水導入配管84の上流端側は逆流洗浄管54に接続されている一方、この洗浄水導入配管84の下流端側は各膜モジュール2,2,…に対応するように4本の分岐管84a,84a,…に分岐されている。また、洗浄水導入配管84の上流端は、逆流洗浄管54に対する接続作業が容易になるように、ユニット枠71から僅かに突出した位置に設定されている。尚、この洗浄水導入配管84の上流端はユニット枠71の内部に位置していてもよい。そして、この洗浄水導入配管84の分岐管84a,84a,…は、上記分岐管53bにそれぞれ接続されている。また、上記逆流洗浄管54には逆流洗浄ポンプP3が備えられており、この逆洗浄ポンプP3の駆動に伴って、処理水槽3内の処理水が逆流洗浄管54、洗浄水導入配管84、分岐管53a,53bを経て膜モジュール2のエレメント収容部23に供給されるようになっている(図3に破線で示す矢印参照)。
つまり、所定時間毎に逆流洗浄ポンプP3を駆動することによって逆流洗浄動作を実行し、これによって、各膜エレメント22,22,…の内面に付着している固形物を剥離除去できるようにしている。この逆流洗浄動作の実行時には、循環ポンプP1の駆動は継続させる一方、膜濾過ポンプP2は停止され上記の濾過動作を停止するようになっている。このように上記逆流洗浄管54及び逆流洗浄ポンプP3によって本発明でいう逆流洗浄手段が構成されている。
このような逆流洗浄動作を実行することにより、図6(c)に示すように、膜エレメント22の内側面に付着している固形物を容易に剥離除去することが可能であり、高い能力での濾過動作を安定して行うことが可能になり、活性汚泥処理システムの高性能化を図ることができる。その結果、従来のものに比べて、小さな膜面積であっても単位時間当たりに得られる処理水の量を大幅に増大(高フラックス化)することができ、システム全体を大型にすることなしに、高性能の汚水処理を実現することができる。具体的には、従来の浸漬型分離膜ユニットにあっては処理能力が0.4m3/m2・day程度であったが、本実施形態に係る膜モジュール2では処理能力が0.8m3/m2・day程度に向上することが実験により確認されている。
上述した配管構成により、上記洗浄水導入配管84が膜モジュールユニットUから延設されている。つまり、この膜モジュールユニットUからは洗浄用の処理水を導入する配管としては1本の洗浄水導入配管84が延びているのみである。従って、ベース10上に膜モジュールユニットUを載置した後、洗浄水導入配管84と逆流洗浄管54との接続といった1箇所の配管接続作業のみで洗浄用の処理水を各膜モジュール2,2,…に導入するための回路が形成されることになる。
−エアインジェクション−
上記の逆流洗浄動作をより効率的に行うために、本システムは、各膜エレメント22,22,…の内部空間に比較的大量の空気を一時的に通過させるエアインジェクションコンプレッサCを備えている。このエアインジェクションコンプレッサCと上記汚泥導入配管81の各分岐管81a,81a,…とはエアインジェクション管63(下流側が分岐している)によって接続されており、エアインジェクションコンプレッサCの駆動に伴って、加圧エアが、汚泥導入配管81、汚泥流入空間24を経て各膜エレメント22,22,…の内部空間に一時的に大量に供給されるようになっている。このように上記エアインジェクション管63及びエアインジェクションコンプレッサCによって本発明でいう空気供給手段が構成されている。
この加圧エアによって、膜エレメント22の内面に付着している汚泥を迅速に剥離することが可能となり(図6(c)参照)、上記逆流洗浄動作に要する時間が短くなって、濾過動作の稼働率の向上を図ることができる。
また、上記エアインジェクション管63は、膜モジュールユニットUに備えられた配管であって、このエアインジェクション管63の下流側の各分岐管は各分岐管81a,81a,…に対して工場に置いて予め接続されている。従って、据え付け現場において、ベース10上に膜モジュールユニットUを載置した後、このエアインジェクション管63をエアインジェクションコンプレッサC(または、このエアインジェクションコンプレッサCから延びる配管)に接続(1箇所の接続)するのみで各膜モジュール2,2,…に対して加圧エアを供給するための構成が得られることになる。
−各動作の実行タイミング−
次に、上述した逆流洗浄動作の実行タイミングについて説明する。図7は、本汚水処理装置の動作を示すタイミングチャートである。この図に示すように、通常の処理水濾過動作にあっては、膜濾過ポンプP2、循環ポンプP1、エアリフトブロアB2が運転され、上述した汚泥の循環動作に伴う処理水濾過動作が実行されて、処理水槽3に連続的に処理水が抜き出されることになる。
そして、この動作が所定時間A(例えば5min)実行された後に、逆流洗浄動作に切り換えられる。この逆流洗浄動作では、上述した如く、膜濾過ポンプP2が停止され、逆流洗浄ポンプP3が駆動されることにより実行される。この逆流洗浄動作は、図中の時間B(例えば8sec)だけ行われる。そして、この逆流洗浄動作の途中でエアインジェクションコンプレッサCが一時的に駆動され、加圧エアが各膜エレメント22,22,…の内部空間に一時的に大量に供給される。このエアインジェクションコンプレッサCの駆動タイミングとしては、逆流洗浄動作の実行時間のうちの中間の時間に行われる。尚、エアインジェクション動作は、逆流洗浄動作の開始と同時に実行するようにしてもよい。
このような逆流洗浄動作が実行された後、所定時間のウエイト時間(図7中の時間E)だけ膜濾過ポンプP2の起動を禁止し、このウエイト時間の経過後に、膜濾過ポンプP2を起動して上記の循環動作に伴う処理水濾過動作が復帰されることになる。以上の動作が繰り返される。
以上の動作は、各膜モジュール2,2,…に対して同じ動作を行う場合について説明したが、一つの膜モジュール2のみに対して逆流洗浄動作を行い、他の膜モジュール2,2,…にあっては膜分離動作を継続させるようにしてもよい。この場合、配管の各所にバルブを備えさせ、これらバルブの開閉を切り換えることで逆流洗浄動作を行う膜モジュール2を選択することになる。
尚、本形態における膜モジュールユニットUは、汚泥導入配管81(分岐管81a,81a…同士の合流管)に1つの圧力センサが備えられていると共に、処理水導出配管83(分岐管83a,83a…同士の合流管)に1つの流量センサが備えられている。そして、これらセンサの検知信号により、何れかの膜モジュール2に不具合が生じたこと(例えばある1本の膜モジュール2に収容されている膜エレメント22に詰まりが発生したこと)が検知できるようになっている。図1及び図2における符号9は本膜分離装置Aを統括的に制御する制御盤であり、上記検知信号はこの制御盤9に送信される。
−膜モジュールユニットUの交換作業−
上述したような膜分離動作を継続して行い、何れか1本の膜モジュール2に不具合が生じた場合(例えばある1本の膜モジュール2に収容されている膜エレメント22に詰まりが発生した場合)には、膜モジュールユニットU全体を他の新規な膜モジュールユニットUに交換するようにしている。つまり、水処理システムを一時的に停止し、各膜モジュール2,2,…の下端に予め備えられたバルブを開放して、モジュール内の汚泥を排出して回収すると共に、膜モジュールユニットUのベース10に対する締結を外して、クレーン等によって膜モジュールユニットUを吊り上げて膜分離装置Aから取り外す。そして、予め準備しておいた新規な膜モジュールユニットUのベース10上への設置作業を行い、各所の配管接続作業を行う。これにより、新たな水処理システムが完成することになる。これにより、短時間で水処理システムを復帰させることができ、システムの停止時間の短縮化が図れる。
そして、取り外した膜モジュールユニットUにあっては、工場などに持ち帰って、不具合が生じている膜モジュール2の特定やその原因の調査や補修を行う。
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、膜エレメント22の内部に比較的高い速度で処理汚泥を通過させながら、一部の処理汚泥に対して濾過を行って処理水を抽出するようにしている。このとき、膜エレメント22の内面に付着しようとする汚泥(固形物)は、循環流によって押し流され、膜エレメント22に付着することなしに生物反応槽1に戻される。このため、膜エレメント22の内面での単位時間当たりにおける汚泥の付着量は、従来の浸漬型分離膜ユニットの場合に比べて大幅に低減される。従って、高い濾過能力を長時間に亘って維持することが可能になる。また、本形態では、この膜エレメント22に対し、処理水の濾過方向とは逆方向に洗浄水を定期的に通過させることにより膜エレメント22の内面に付着している固形物を剥離除去するようにしている。このため、膜エレメント22の内面に大量の固形物が付着する状況が回避でき、高い能力での濾過動作を安定して行うことが可能になり、活性汚泥処理システムの高性能化を図ることができる。その結果、従来のものに比べて、小さな膜面積であっても単位時間当たりに得られる処理水の量を大幅に増大(高フラックス化)することができ、装置全体を大型にすることなしに、高性能の汚水処理を実現することができる。
また、本形態では、膜モジュールユニットUを膜分離装置Aから切り離して単独で輸送することが可能であるので、各膜モジュール2,2,…と汚泥導入配管81及び汚泥導出配管82との接続作業やその他の配管83,84,62,63の接続作業は、予め工場内で行っておくことができ、据え付け現場では、主に、膜モジュールユニットUの生物反応槽1及び処理水槽3に対する接続作業のみで済む。従って、据え付け現場での作業の簡素化及び作業時間の短縮化を図ることができる。また、上述した如く膜モジュールユニットUのみを単独で輸送することが可能であるので、この膜モジュールユニットUは横置きにしてトラック輸送することができる。つまり、膜モジュール2を膜分離装置Aに組み込んだ状態で輸送しようとする場合には、膜モジュール2を起立状態でトラックの荷台に載置せねばならず、トラックの積載高さの許容寸法を越えてしまう可能性があるが、本実施形態によれば、膜モジュールユニットUのみを単独で輸送可能であるため、この膜モジュールユニットUを横置きに積載して輸送するなどして積載許容範囲内での輸送が可能になる。
また、曝気ブロアB1から生物反応槽1に供給する空気の供給量を、エアリフトブロアB2からの空気供給量及び汚泥戻し管52から生物反応槽1内への循環汚泥の戻し量に応じて調整するようにし、この生物反応槽1内へ戻される汚泥中の酸素量と曝気ブロアB1からの酸素量との合算が目標DOとなるように曝気ブロアB1を制御すれば、生物反応槽1内に必要以上の空気が供給されてしまうことがなくなり、曝気ブロアB1の稼働率を必要最小限に抑えることでシステムのランニングコストの大幅な削減を図ることができる。この曝気ブロアB1から生物反応槽1に供給する空気の供給量の調整は、図示しないコントローラに備えられた曝気量調整手段の制御により行われる。尚、通常運転状態では、曝気ブロアB1からの空気の供給量とエアリフトブロアB2からの空気供給量とは「3:1」程度に調整されている。本発明はこの比に限るものではない。
尚、本形態では、生物反応槽1へ空気を供給するための曝気ブロアB1を備えさせるようにしたが、生物反応槽1に必要な空気量をエアリフトブロアB2によって処理汚泥に与え、この処理汚泥を生物反応槽1に戻すようにした場合には、曝気ブロアB1が必要なくなる。これにより、システム構成の簡素化を図ることができる。
(第1変形例)
次に、上述した実施形態の第1変形例について説明する。本例は、膜モジュール2の内部を定期的に薬液洗浄するための構成を付加したものである。その他の構成は上述した実施形態のものと略同様である。従って、ここでは薬液洗浄を行うための構成についてのみ説明する。
図8は本例に係る汚水処理装置全体の回路構成図である。この図に示すように、本汚水処理装置は薬液タンク4を備えている。この薬液タンク4は、膜モジュール2を薬液洗浄するための薬液が貯留されている。つまり、所定期間毎に実行される薬液洗浄時には、この薬液タンク4に貯留されている薬液が膜モジュール2に供給されることになる。
また、本例における膜モジュール2の本体ケーシング21の底部には、薬液洗浄動作の終了後に、この本体ケーシング21の底部から薬液を排出するための排出手段としての排出管が接続されており、この排出管には開閉自在なバルブが設けられている。つまり、薬液洗浄動作の終了後にこのバルブが開放されることにより、本体ケーシング21から薬液が排出され、生物反応槽1には流入しないようになっている。
−薬液洗浄−
上記薬液タンク4と処理水取り出し管53とは薬液洗浄管(薬液供給管:下流側が分岐している)55によって接続されている。この薬液洗浄管55には薬液洗浄ポンプP4が備えられており、この薬液洗浄ポンプP4の駆動に伴って、薬液タンク4内の薬液が薬液洗浄管55及び処理水取り出し管53を経て膜モジュール2のエレメント収容部23に供給されるようになっている(図8に一点鎖線で示す矢印参照)。
つまり、所定期間毎に薬液洗浄ポンプP4を駆動することによって薬液洗浄動作を実行し、これによって、各膜エレメント22,22,…の内面に付着している固形物を溶解除去できるようにしている。この薬液洗浄動作の実行時には、薬液洗浄ポンプP4を除く全てのポンプP1〜P3は停止され、上記の濾過動作やエア供給動作を停止するようになっている。このポンプの駆動制御による薬液洗浄動作の実行は、図示しないコントローラに備えられた薬液洗浄手段の制御により行われる。
このような薬液洗浄動作を所定期間毎に実行することにより、膜エレメント22の内面に付着している固形物は容易に剥離され且つ溶解されて膜エレメント22は浄化されることになり、効率の良い薬液洗浄を実行することができる。これにより、薬液洗浄動作に要する時間の短縮化を図ることが可能になり、膜モジュール2を迅速に復帰させて濾過動作の稼働率の向上を図ることができる。また、薬液洗浄に使用する薬液の量は膜モジュール2の本体ケーシング21内の容積程度で済むため、従来の浸漬型分離膜ユニットを薬液洗浄する場合に比べて使用薬液量の削減が図れる。これにより、薬液洗浄後の廃液の量が少なくなり、その処理を容易に行うことができる。
以上の動作は、各膜モジュール2,2,…に対して同時に薬液洗浄動作を行う場合について説明したが、一つの膜モジュール2のみに対して薬液洗浄動作を行い、他の膜モジュール2,2,…にあっては膜分離動作を継続させるようにしてもよい。この場合にも、配管の各所にバルブを備えさせ、これらバルブの開閉を切り換えることで薬液洗浄動作を行う膜モジュール2を選択することになる。
(第2変形例)
次に、上述した実施形態の第2変形例について説明する。本例は、逆流洗浄動作時に、各膜エレメント22,22,…の内部空間に比較的大量の空気を一時的に通過させるための構成の変形例である。その他の構成は上述した実施形態のものと略同様であるため、ここでは、上記実施形態との相違点についてのみ説明する。
図9は、本例に係る汚水処理装置全体の回路構成図である。この図9に示すように、本形態に係る汚水処理装置は、エアリフトブロアB2に繋がっているリフトエア供給管62の下流側が分岐されており、一方の分岐管62bは各膜モジュール2,2,…の汚泥流入空間24に接続され、他方の分岐管62cは上記汚泥導入管81に接続されている。また、この他方の分岐管62cの途中には、エアリフトブロアB2から供給される空気を一時的に貯留する貯留容器65が設けられている。この貯留容器65の上流側及び下流側の配管には開閉弁V3,V4がそれぞれ設けられている。
このため、処理水濾過動作時には、エアリフトブロアB2が駆動した状態で上流側の開閉弁V3のみが開放され、エアリフトブロアB2から供給された空気の一部が分岐管62cに流入して貯留容器65の内部に蓄えられていく。
そして、逆流洗浄動作中に、上流側の開閉弁V3が閉鎖されると共に下流側の開閉弁V4が開放され、これによって、貯留容器65の内部に蓄えられた空気が、汚泥導入管81、汚泥流入空間24を経て各膜エレメント22,22,…の内部空間に一時的に大量に供給されることになる。これにより、膜エレメント22の内面に付着している固形物を効果的に剥離除去することができる。
つまり、本例では、エアリフトブロアB2から供給される気泡を逆流洗浄動作用の空気として利用することによって、上記実施形態におけるエアインジェクションコンプレッサCやエアインジェクション管63を不要とすることができ、システム構成の簡素化を図ることができる。
(第3変形例)
次に、上述した実施形態の第3変形例について説明する。本例は、エアリフトブロアB2から各膜エレメント22,22,…の内部空間に連続的に気泡を供給するための構成の変形例である。その他の構成は上述した実施形態のものと略同様であるため、ここでは、上記実施形態との相違点についてのみ説明する。
図10は本例に係る膜モジュール2の内部構造を示す断面図である。図11はリフトエア供給管62の先端に取り付けられた散気部材62dの斜視図である。これら図に示すように、リフトエア供給管62の先端には、膜モジュール2の本体ケーシング21の断面形状に略一致する円盤状多孔質体により構成された散気部材62dが取り付けられており、この散気部材62dが汚泥流入空間24の底部に設置されている。
このため、膜モジュール2の本体ケーシング21の内部に収容された多数本の膜エレメント22,22,…のそれぞれの内部空間(一次側空間)に対して空気を略均等に供給することが可能となる。従って、各膜エレメント22,22,…の内部空間での汚泥流量を略均一にできて、濾過能力の均等化を図ることが可能となり、その結果、膜分離装置全体としての濾過能力の向上を図ることができる。
−その他の実施形態−
上述した実施形態及び変形例では、本発明を標準活性汚泥法を使用した汚水処理装置に適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、嫌気好気活性汚泥法などのその他の活性汚泥法を使用した汚水処理装置に適用することも可能である。
また、膜モジュールユニットUとしては、1種類に限らず、能力の異なる複数種類を用意しておき、汚水処理システムの要求能力に応じて膜モジュールユニットUを交換する場合にも本発明は適用可能である。この場合にも交換作業を短時間で行うことができ、システムの停止時間は短くて済む。例えば、長さが1mの膜モジュールを4本備えた膜モジュールユニットUから、長さが3mの膜モジュールを4本備えた膜モジュールユニットUに交換する場合などである。
また、上述した実施形態及び変形例では、1つの膜分離装置Aに1つの膜モジュールユニットUを備えさせた場合について説明したが、1つの膜分離装置Aに2つ以上の膜モジュールユニットUを備えさせることも可能である。この場合、例えば、各膜モジュールユニットU毎に循環ポンプP1を備えさせ、各膜モジュールユニットUが個別に生物反応槽1との間で汚泥循環回路を形成する構成などが掲げられる。また、膜モジュールユニットUの交換は、不具合が生じているユニットのみ対して行われることになる。
更に、1つの膜モジュールユニットUに備えられる膜モジュール2は4本に限らず、その他の本数(2本や3本)によって膜モジュールユニットUを構成するようにしてもよい。