JP2005073758A - 医療容器用キャップおよび医療容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シリンジに注射針を装着しなくても容器内部との間で薬剤などの出し入れが容易に実施可能であるとともに、容器保管時において、容器の密封性を良好に保持することが可能な医療容器用キャップおよび医療容器を提供する。
【解決手段】 バイアル1は、バイアル本体10と、この開口部11に装着されたキャップ20とから構成されている。この内、バイアル本体10の内方には、薬液30が充填されている。
キャップ20は、バイアル本体10における開口部11の内方に嵌挿された弁体21と、開口部11における弁体21が装着された部分よりも外方部分に圧入された栓体22とから構成されている。これらキャップ20の構成要素である弁体21および栓体22は、開口部11における各被装着箇所の内径よりも大きな外径寸法を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 バイアル1は、バイアル本体10と、この開口部11に装着されたキャップ20とから構成されている。この内、バイアル本体10の内方には、薬液30が充填されている。
キャップ20は、バイアル本体10における開口部11の内方に嵌挿された弁体21と、開口部11における弁体21が装着された部分よりも外方部分に圧入された栓体22とから構成されている。これらキャップ20の構成要素である弁体21および栓体22は、開口部11における各被装着箇所の内径よりも大きな外径寸法を有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、医療容器用キャップおよび医療容器に関し、特に、容器内部に対する薬剤の注入あるいは取り出し時等の良好な操作性と保管時における容器の高い密封性との両立を図るための技術に関する。
医療の分野においては、薬液などを貯留するための容器として、バッグ、ボトル、バイアルなどが広く用いられている。このような容器は、内部に薬液などが充填され、その口部分にゴム弁が装着されることで内部の密封性が保持された構成を有する。そして、内部の薬液などをシリンジなどに移し替える際における誤穿刺などの事故防止の目的から、最近では、シリンジに注射針を装着しなくてもそのルアーを挿入することが出来るように、ゴム弁にスリットを設けた構成を採るものがある。このような容器からシリンジに薬液などを移し替える際には、シリンジのルアーからの押圧力を受けてゴム弁のスリットが開き、シリンジのルアーが引き抜かれることでスリットはその復元力で再び閉じるので、シリンジに注射針を装着しなくても、内部の薬液の取り出しなどの操作を円滑に実施することが出来る。
ところで、医療容器においては、安全性の観点から内部の密封性を高く確保することが必須要件であり、一般にゴム弁のさらに外側を封止するように保護シール(タンパーシールなど)が装着される(特許文献1、特許文献2)。
特開平7−75663号公報
特開2001−129055号公報
しかしながら、上記特許文献1の容器では、保護シールが容器口縁部分に融着されているので、融着作業の良否によって容器の密封性が左右されることになり、融着作業の若干の条件バラツキによっても融着部分にピンホールなどが生じる結果となることがある。また、上記特許文献2の容器では、保護シールとして3つの形態のものが採用されているが、そのどれもが容器本体に対して直接装着されたものではなく、外枠体などを介しているので、容器の密封性という点から課題を残し、また、3つの形態の内のプルオフ方式のものに関しては、材料面で限定を受けるとともに、ピンホールが生じる危険性も高い。
本発明は、このような課題を解決しようとなされたものであって、シリンジに注射針を装着しなくても容器内部との間で薬剤などの出し入れが容易に実施可能であるとともに、容器保管時において、容器の密封性を良好に保持することが可能な医療容器用キャップおよび医療容器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1)医療容器本体における開口部に装着され、本体内部を封止するための医療容器用キャップであって、弾性材料からなる弁体と栓体とから構成され、弁体は、その主面間を挿通するスリットを有し、医療容器本体の開口部における口端より内方に嵌挿され、栓体は、医療容器本体の開口部における弁体が装着された箇所より外方に着脱可能に圧入されていることを特徴とする。
(1)医療容器本体における開口部に装着され、本体内部を封止するための医療容器用キャップであって、弾性材料からなる弁体と栓体とから構成され、弁体は、その主面間を挿通するスリットを有し、医療容器本体の開口部における口端より内方に嵌挿され、栓体は、医療容器本体の開口部における弁体が装着された箇所より外方に着脱可能に圧入されていることを特徴とする。
また、本発明は、
(2)上記(1)に係る医療容器用キャップにおいて、開口部が、円筒筒状に形成された側壁により構成されており、栓体には、側壁を内外から密に挟み込むように環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、
(3)上記(2)に係る医療容器用キャップにおいて、開口部の側壁外面およびこれに対応する栓体の凹部側壁面には、互いに螺合可能なネジ部が形成されていることを特徴とする。
(2)上記(1)に係る医療容器用キャップにおいて、開口部が、円筒筒状に形成された側壁により構成されており、栓体には、側壁を内外から密に挟み込むように環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、
(3)上記(2)に係る医療容器用キャップにおいて、開口部の側壁外面およびこれに対応する栓体の凹部側壁面には、互いに螺合可能なネジ部が形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、
(4)有底筒状の医療容器本体と、医療容器本体の開口部に装着され、これを封止するキャップとから構成される医療容器において、キャップには、上記(1)から(3)の何れかに係る医療容器用キャップが適用されていることを特徴とする。
(4)有底筒状の医療容器本体と、医療容器本体の開口部に装着され、これを封止するキャップとから構成される医療容器において、キャップには、上記(1)から(3)の何れかに係る医療容器用キャップが適用されていることを特徴とする。
本発明に係る医療容器用キャップは、スリットを有し、医療容器本体の開口部における口端より内方に嵌挿された弁体と、弁体が嵌挿された箇所よりも外方の開口部に圧入される栓体とから構成され、ともに弾性材料から形成されている。そして、栓体を容器本体から脱離させた場合には、弁体のスリットを用いて容易に薬剤等の出し入れが可能となり、栓体を圧入させた場合には、弁体だけを装着した場合に比べてより確実な容器本体内部の密封性の確保が可能となる。即ち、本発明に係るキャップを構成する要素の内、栓体を容器本体から脱離させた場合には、スリットを有した弁体が外方に向け露出されることとなり、弁体のスリットを挿通してシリンジのルアーを容器内部に挿入するだけで、容器内部に対して薬剤等の出し入れが可能となる。よって、このキャップを用いた場合には、シリンジに注射針を装着することなく容易に容器内部に対して薬剤等の出し入れ等の操作が可能である。
また、容器保管時において、圧入によって栓体を容器本体の開口部に装着した場合には、弁体および容器における弁体より内部と容器外部との間の経路を遮断できるので、確実な密封性が確保される。
従って、本発明に係る医療容器用キャップは、シリンジに注射針を装着しなくても、容器内部に対しての薬剤等の出し入れの実施を容易にするとともに、保管時における容器の密封性を良好に保持することを可能とするという優位性を有する。
従って、本発明に係る医療容器用キャップは、シリンジに注射針を装着しなくても、容器内部に対しての薬剤等の出し入れの実施を容易にするとともに、保管時における容器の密封性を良好に保持することを可能とするという優位性を有する。
ここで、上記医療容器用キャップでは、弁体および栓体の各々を、医療容器本体から脱離させた状態において、医療容器本体の装着相当箇所における内寸よりも大きな外寸を有するように設定しておけば、容器の内壁面と各々の外壁との間に隙間を生じることがなく、容器の密封性を確保する上で望ましい。また、弁体の外寸を開口部における被装着箇所の内寸よりも大きくしておけば、弁体に対して常にスリットを閉じる方向の力が加わることになり、シリンジのルアーを引き抜いた際のリシールスピードを向上させるのに有効である。よって、薬剤等が容器外に漏れ出すのを抑制するのに効果を奏する。
また、弁体および栓体には、操作性などを考慮するとき、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムおよび熱可塑性エラストマーなどの弾性材料を用いることが望ましい。また、弁体および栓体の各外寸と医療容器本体における各被装着箇所における各内寸との関係については、それぞれにおける締め代が各々の弾性変形域内であることが望ましい。このように設定しておけば、弁体および栓体を医療容器本体に装着した際に皺などを生じることがなく、高い密封性を確保することが出来る。
なお、本発明の医療容器用キャップは、容器内部の薬剤等を取り出しあるいは充填する場合に、先端に鋭利な注射針を備えたシリンジを用いなくてもよいので、誤穿刺などの医療事故を防止するのにも有効である。
さらに、本発明に係る医療容器は、上記医療容器用キャップを備えているので、シリンジに注射針を装着しなくても、容器内部との間で薬剤などの出し入れあるいは混合等の操作が容易に実施可能であるとともに、容器保管時において、容器の密封性を良好に保持することが可能である。
さらに、本発明に係る医療容器は、上記医療容器用キャップを備えているので、シリンジに注射針を装着しなくても、容器内部との間で薬剤などの出し入れあるいは混合等の操作が容易に実施可能であるとともに、容器保管時において、容器の密封性を良好に保持することが可能である。
以下では、発明を実施するための最良の形態について、医療容器としてのバイアルを一例に説明する。
(実施の形態1)
(構成)
先ず、本実施の形態に係るバイアル1の構成について、図1を用いて説明する。図1では、バイアル1の側面図および断面図を示している。
(実施の形態1)
(構成)
先ず、本実施の形態に係るバイアル1の構成について、図1を用いて説明する。図1では、バイアル1の側面図および断面図を示している。
図1に示すように、バイアル1は、バイアル本体10と、この開口部11に装着されたキャップ20とから構成されている。この内、バイアル本体10の内方には、薬液30が充填されている。また、バイアル本体10における開口部11の上端は、外向きに広がるフランジ状に形成されている。
キャップ20は、バイアル本体10における開口部11の内方に嵌挿された弁体21と、開口部11における弁体21が装着された部分よりも外方に圧入された栓体22とから構成されている。これらキャップ20の構成要素である弁体21および栓体22は、ともに弾性材料(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴムおよび熱可塑性エラストマーなど)から構成されており、これらをバイアル本体10から脱離させた状態において、開口部11の開口内径よりも大きな外径寸法を有している。これにより、これらをバイアル本体10へ装着した際に、開口部11の内周面と弁体21および栓体22の外周面との間に隙間を生じることはなく、バイアル1の高い密封性が保持される。
キャップ20は、バイアル本体10における開口部11の内方に嵌挿された弁体21と、開口部11における弁体21が装着された部分よりも外方に圧入された栓体22とから構成されている。これらキャップ20の構成要素である弁体21および栓体22は、ともに弾性材料(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴムおよび熱可塑性エラストマーなど)から構成されており、これらをバイアル本体10から脱離させた状態において、開口部11の開口内径よりも大きな外径寸法を有している。これにより、これらをバイアル本体10へ装着した際に、開口部11の内周面と弁体21および栓体22の外周面との間に隙間を生じることはなく、バイアル1の高い密封性が保持される。
(弁体21の構成とバイアル本体10における該当部分の構成)
次に、キャップ20の構成要素の内、弁体21の構成とバイアル本体10の構成について、図2を用いて説明する。図2(a)は、弁体21の上面図であり、図2(b)は、弁体21とバイアル本体10の開口部11近傍を示す側面図(断面図)である。
図2(a)に示すように、弁体21は、上方より見ると略円形の外観形状を有しており、その略中央部分に一文字型のスリット21Sが形成されている。このスリット21Sは、裏面にまで挿通しており、内部にブロッキング防止剤が挿入されている。
次に、キャップ20の構成要素の内、弁体21の構成とバイアル本体10の構成について、図2を用いて説明する。図2(a)は、弁体21の上面図であり、図2(b)は、弁体21とバイアル本体10の開口部11近傍を示す側面図(断面図)である。
図2(a)に示すように、弁体21は、上方より見ると略円形の外観形状を有しており、その略中央部分に一文字型のスリット21Sが形成されている。このスリット21Sは、裏面にまで挿通しており、内部にブロッキング防止剤が挿入されている。
図2(b)に示すように、弁体21は、その側方より見ると円柱形状の下段部分211とその上の部分である上段部分212とから構成されており、トータルの厚みはT10である。下段部分211と上段部分212とは、一体に成形されている。下段部分211における外径は、φD11であり、厚みは、T11である。対して、上段部分212は、その上面の外径がφD12である。上段部分212の周面部には、全周にわたってテーパ21Rが形成されている。
一方、弁体21の嵌挿対象であるバイアル本体10は、上述のように開口部11がフランジ状に形成されており、口部10aの周りの縁部10bが棚状になっている。また、開口部11の内方には、内壁面から径方向の中心に向けて高さを有する環状突起13が形成されている。この環状突起13は、バイアル本体10の高さ方向において、弁体21と栓体22とを装着した際の境界となる位置にあり、半円形の断面形状を有する。この環状突起13の表面形状は、上記弁体21におけるテーパ21Rのプロファイルに対応しており、弁体21を装着した際に、その間に隙間を生じないように形成されている。また、環状突起13から少し間隔をあけた下方には、環状突起13と同じくバイアル本体10の径方向内向きに突設された棚部12が全周にわたって形成されている。この環状突起13と棚部12との間に形成された凹部が、弁体21における下段部分211が装着される被装着箇所となる。
バイアル本体10の開口部11における各寸法は、環状突起13よりも瓶底側における凹部底の内径がφD01、環状突起13の断面における頂点での内径がφD02、環状突起13よりも開口端側における内径がφD03に設定されている。また、バイアル本体10の高さ方向において、環状突起13と棚部12との間の間隔は、T01である。ここで、バイアル本体10の開口部11における上記各寸法と、弁体21における上記各寸法との関係は、以下に示す通りである。
バイアル本体10への弁体21の嵌挿は、弁体21をその上方より押圧して弁体21の下段部分211がバイアル本体10の環状突起13を乗り越えさせることで実施される。そして、弁体21は、バイアル本体10に形成された棚部12の上に載置された時点において、バイアル本体10の開口部11に液密(あるいは気密)に嵌挿されることになる。
なお、嵌挿後の状態において、弁体21は、その径方向に径の差分(φD11−φD01)によって、バイアル本体10の開口部11内壁からその外周に対して常に径方向内向きの締め付け力が作用する。これにより、弁体21におけるスリット21Sは、常に閉じる方向に圧縮力を受けた状態となる。ただし、弁体21の外径寸法φD11とバイアル本体10の開口部11における該当個所の内径寸法φD01は、上記(数1)の関係を有するものであるが、嵌挿後の状態において、弁体21の主面に皺あるいは波打ち等が生じない程度の締め代、具体的には(φD11−φD01)の値が弁体21の弾性変形域内に設定されている。よって、弁体21は、バイアル本体10の開口部11に対して、密に嵌挿されているとともに、その主表面に皺や波打ちを生じることがない。
なお、嵌挿後の状態において、弁体21は、その径方向に径の差分(φD11−φD01)によって、バイアル本体10の開口部11内壁からその外周に対して常に径方向内向きの締め付け力が作用する。これにより、弁体21におけるスリット21Sは、常に閉じる方向に圧縮力を受けた状態となる。ただし、弁体21の外径寸法φD11とバイアル本体10の開口部11における該当個所の内径寸法φD01は、上記(数1)の関係を有するものであるが、嵌挿後の状態において、弁体21の主面に皺あるいは波打ち等が生じない程度の締め代、具体的には(φD11−φD01)の値が弁体21の弾性変形域内に設定されている。よって、弁体21は、バイアル本体10の開口部11に対して、密に嵌挿されているとともに、その主表面に皺や波打ちを生じることがない。
(栓体22の構成)
次に、キャップ20を構成する要素のもう一方である、栓体22の構成について、図3を用いて説明する。
図3(a)に示すように、栓体22は、本体部221と挿入上部222と挿入下部223とが一体に成形されることで構成されている。栓体22についても、上記弁体21と同様に、弾性材料(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴムおよび熱可塑性エラストマーなど)から構成されている。図には示していないが、本体部221の周面は、栓体22をバイアル本体10の開口部11に圧入させるときにユーザが実際に操作する部分であり、例えば、ローレット目形成などの滑り止め処理が施されている。
次に、キャップ20を構成する要素のもう一方である、栓体22の構成について、図3を用いて説明する。
図3(a)に示すように、栓体22は、本体部221と挿入上部222と挿入下部223とが一体に成形されることで構成されている。栓体22についても、上記弁体21と同様に、弾性材料(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムなどのゴムおよび熱可塑性エラストマーなど)から構成されている。図には示していないが、本体部221の周面は、栓体22をバイアル本体10の開口部11に圧入させるときにユーザが実際に操作する部分であり、例えば、ローレット目形成などの滑り止め処理が施されている。
挿入下部223については、上記図2に示す弁体21の上段部分212と同様に、全周にわたってテーパ22Rが形成されており、その寸法および形状についても、バイアル本体10の開口部11内方に形成された環状突起13と相似するように設定されている。
栓体22の下面22aには、ブロッキング防止剤が塗布されている。これは、上記図1のように栓体22をバイアル本体10の開口部11に圧入し、栓体22の下面22aがそのすぐ内方に位置する弁体21の主面と接触した状態で、これを長期にわたって放置した際にこの間に粘着が生じるのを防止する目的から塗布されているものである。
栓体22の下面22aには、ブロッキング防止剤が塗布されている。これは、上記図1のように栓体22をバイアル本体10の開口部11に圧入し、栓体22の下面22aがそのすぐ内方に位置する弁体21の主面と接触した状態で、これを長期にわたって放置した際にこの間に粘着が生じるのを防止する目的から塗布されているものである。
なお、下面22aにブロッキング防止剤を塗布する代わりに、下面22aに凹凸加工を施すことでも弁体21とのブロッキングを防止することが出来る。
図3(b)に示すように、栓体22は、挿入上部222の外径がφD22、挿入下部223における下面22aの外径がφD23に設定されており、また、挿入上部222の厚みがT22、挿入上部222と挿入下部223とを足し合わせた厚みがT20に設定されている。
図3(b)に示すように、栓体22は、挿入上部222の外径がφD22、挿入下部223における下面22aの外径がφD23に設定されており、また、挿入上部222の厚みがT22、挿入上部222と挿入下部223とを足し合わせた厚みがT20に設定されている。
対して、バイアル本体10の開口部11における各寸法は、上記図2(b)で示した通りであるが、それに加えて、栓体22を圧入した際にその挿入上部222に対応する部分の深さがT02、挿入上部222と挿入下部223との各該当個所の深さを足し合わせた値がT03に設定されている。
栓体22の上記各寸法と、バイアル本体10の開口部11に係る上記各寸法との関係は、以下に示す通りである。
栓体22の上記各寸法と、バイアル本体10の開口部11に係る上記各寸法との関係は、以下に示す通りである。
図3(b)に示すように、栓体22をバイアル本体10の開口部11に対して圧入させようとする場合には、栓体22に対して、その上方より軸方向下向きの力を作用させて口部10aに挿入上部222および挿入下部223を圧入してゆく。そして、栓体22の本体部221における挿入上部222との境界に位置するフランジ面が開口部11の縁部10bに接触するか、または、挿入上部222と挿入下部223との境界部分が環状突起13の位置に達した時点で、栓体22の圧入が完了する。
上述のように、栓体22の外径寸法は、バイアル本体10における開口部11の内径寸法に対して大きく、栓体22についても、上記弁体21と同様に、バイアル本体10に液密に装着されることになる。栓体22の圧入後におけるバイアル1については、上記図1に示す通りである。
ここで、栓体22についても、外径寸法φD22とバイアル本体10の開口部11における該当個所の内径寸法φD03とは、上記(数4)の関係を有するものであり、圧入後の状態において、栓体22の主面および側壁面に皺あるいは波打ち等が生じない程度の締め代となっている。具体的には、径寸法の差分(φD22−φD03)、即ちバイアル本体10に対する栓体22の締め代が栓体22の弾性変形域内の値に設定されている。
ここで、栓体22についても、外径寸法φD22とバイアル本体10の開口部11における該当個所の内径寸法φD03とは、上記(数4)の関係を有するものであり、圧入後の状態において、栓体22の主面および側壁面に皺あるいは波打ち等が生じない程度の締め代となっている。具体的には、径寸法の差分(φD22−φD03)、即ちバイアル本体10に対する栓体22の締め代が栓体22の弾性変形域内の値に設定されている。
(バイアル1が有する優位性)
先ず、上記図1に示すように、バイアル1は、薬液30を保管しておく際には栓体22がバイアル本体10に圧入されているので、従来のようにスリット21Sを有する弁体21上に保護シールを融着しただけのものに比べて、より確実に容器を密封することができる。即ち、スリットを有した弁体上に保護シールを融着した場合には、その融着作業のバラツキによって密封性が不十分となることが考えられるが、上記バイアル1では、弁体21の外側に更に栓体22を圧入させて、弁体21およびそれよりも内部の薬液30と容器よりも外部の環境との間の経路を遮断することができる。これより、バイアル1では、より確実な密封性が保持されることになる。
先ず、上記図1に示すように、バイアル1は、薬液30を保管しておく際には栓体22がバイアル本体10に圧入されているので、従来のようにスリット21Sを有する弁体21上に保護シールを融着しただけのものに比べて、より確実に容器を密封することができる。即ち、スリットを有した弁体上に保護シールを融着した場合には、その融着作業のバラツキによって密封性が不十分となることが考えられるが、上記バイアル1では、弁体21の外側に更に栓体22を圧入させて、弁体21およびそれよりも内部の薬液30と容器よりも外部の環境との間の経路を遮断することができる。これより、バイアル1では、より確実な密封性が保持されることになる。
また、キャップ20を構成する弁体21および栓体22のそれぞれは、バイアル本体10の開口部11に対して上記(数1)〜(数7)の各関係を満足する各寸法に設定されているので、バイアル本体10内部の密封性が高く保持される。
なお、栓体22と弁体21との間には、栓体22の下面22aへのブロッキング防止剤の塗布に加えて、極僅かな間隙があけられていることによって、バイアル1を保管する際の弁体21と栓体22との間での粘着が防止される。
なお、栓体22と弁体21との間には、栓体22の下面22aへのブロッキング防止剤の塗布に加えて、極僅かな間隙があけられていることによって、バイアル1を保管する際の弁体21と栓体22との間での粘着が防止される。
次に、バイアル1の内部に対して薬剤の出し入れ等する際には、栓体22をバイアル本体10の開口部11より取り外した上で、弁体21に設けられたスリット21Sに対してシリンジのルアーを挿入する。栓体22の取り外しについては、上記図3(b)の圧入時とは反対向きの力を栓体22とバイアル本体10との双方から加えて実施する。バイアル本体10から栓体22が脱離された状態においては、弁体21のスリット21Sが外方に向けて露出することになるが、弁体21の外径φD11およびφD12が上記(数1)および(数2)の関係を有して設定されているので、スリット21Sは常に閉じる方向に圧縮力が加えられた状態にある。これより、バイアル1では、栓体22を取り外した状態でも、高い密封性が維持されることになる。
また、上記図2(a)に示すように、本実施の形態に係るバイアル1では、弁体21にスリット21Sが設けられているので、容器に対しての薬液30の出し入れ、あるいは容器内での他の薬剤との混合などを実施するなどの際に、鋭利な注射針を装着したシリンジを用いることなく、シリンジのルアーをもって操作が可能である。よって、本実施の形態に係るバイアル1を用いる場合には、操作時における誤穿刺などの医療事故を生じることがなく、操作時における安全性の向上にも役立つ。
さらに、弁体21のスリット21Sは、弁体21がバイアル本体10の開口部11内壁面より径方向内向きに圧縮力を常に受けることから、シリンジのルアーを抜いた際のリシールスピードの向上が図れ、薬液30が漏れ出すような事態、さらには、漏れ出した薬液30に起因する微生物の繁殖といった安全性の問題の発生も抑制される。
また、バイアル1では、栓体22を取り外した際に、広い面積をもって弁体21が外方に向けて露出されることになり、シリンジのルアー挿入前に消毒等を行う際にも、作業性が高く、この面からも安全性の確保が容易である。
また、バイアル1では、栓体22を取り外した際に、広い面積をもって弁体21が外方に向けて露出されることになり、シリンジのルアー挿入前に消毒等を行う際にも、作業性が高く、この面からも安全性の確保が容易である。
なお、上記優位性については、本実施の形態に係るキャップを、上記同様の構成をもって他の容器あるいは混注ポート等に用いた場合にも同様に奏される。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るバイアルの構成について、図4(a)を用いて説明する。図4(a)では、すでに弁体21が嵌挿された状態のバイアル本体10とこれに圧入させようとする栓体23について、各断面を示す。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るバイアルの構成について、図4(a)を用いて説明する。図4(a)では、すでに弁体21が嵌挿された状態のバイアル本体10とこれに圧入させようとする栓体23について、各断面を示す。
図4(a)に示すように、本実施の形態に係るバイアルが上記実施の形態1に係るバイアル1と相違する点は、栓体23の構造にある。本実施の形態に係る栓体23は、本体部231、挿入上部232、挿入下部233が一体に成形されているのは同一であるが、栓体23には、更に本体部231の周縁部から下方に向けてカバー部234が形成されている点で上記栓体22とは異なる。見方を変えれば、栓体23では、圧入時にバイアル本体10の開口部11における周壁を径方向に内外から隙間なく挟み込むこと出来るような凹部が形成されていることになる。
カバー部234は、内径寸法がバイアル本体10の開口部11の外径寸法よりも若干小さめに設定されており、開口部11に栓体23を圧入させた際に、開口部11の外周壁との間で隙間無く密着される。
なお、栓体23における上記以外の構成については、上記実施の形態1に係る栓体22と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、栓体23における上記以外の構成については、上記実施の形態1に係る栓体22と同様であるので、ここでの説明は省略する。
以上のような構成を有する本実施の形態に係るバイアルでは、栓体23を圧入させた際の容器の密封性がより向上する。即ち、本実施の形態に係る栓体23は、カバー部234を有しており、バイアル本体10への圧入時に、この内周面についても開口部11の外周壁に密着することになる。よって、栓体23とバイアル本体10とが密着する領域の面積は、上記実施の形態1に係る栓体22の場合の略2倍となり、保管時における容器の密封性がより高く確保される。
また、中の薬液(図4では、不図示。)を取り出す等の際の操作性については、栓体23をバイアル本体10から取り外せば、上記バイアル1と同様の操作性が確保される。よって、本実施の形態に係るバイアルは、上記実施の形態1と同様に、優れた操作性を有する。また、誤穿刺などの医療事故が防止できる点についても、上記と同様である。
なお、栓体23についても、その下面23aにブロッキング防止剤が塗布されている点も同様である。
(実施の形態3)
実施の形態3に係るバイアルについて、図4(b)を用いて説明する。
なお、栓体23についても、その下面23aにブロッキング防止剤が塗布されている点も同様である。
(実施の形態3)
実施の形態3に係るバイアルについて、図4(b)を用いて説明する。
図4(b)に示すように、本実施の形態に係るバイアルは、基本的には上記実施の形態2に係るバイアルと類似の形態を有している。その相違点は、栓体24におけるカバー部244の内側壁244aにネジが形成されており、バイアル本体40における開口部外側壁41aにもネジが形成されている点にある。そして、栓体24の上記ネジとバイアル本体40における上記ネジとが互いに螺合するようになっている。
他の構成については、上記実施の形態2に係るバイアルと同一であるので説明を省略する。
本実施の形態に係るバイアルでは、上記実施の形態2に係るバイアルと同様に、内部の薬液の出し入れを行う際の優れた操作性とバイアル保管時における高い密封性を併せ持つ。本実施の形態に係るバイアルでは、これに加えて、栓体24のカバー部244の内側壁244aとバイアル本体40の開口部外側壁41aとにネジが形成され、互いに螺合するようになっているので、容器保管時に栓体24がバイアル以外のものに引っかかるなどした場合にも、不所望に栓体24がバイアル本体40から脱離するようなこともない。また、ユーザは、バイアル本体40の開口部41に対して栓体24を圧入させる際に、螺合の度合いによってその操作の完了を確認できるので簡易な操作で確実に容器を密封状態とすることができる。
本実施の形態に係るバイアルでは、上記実施の形態2に係るバイアルと同様に、内部の薬液の出し入れを行う際の優れた操作性とバイアル保管時における高い密封性を併せ持つ。本実施の形態に係るバイアルでは、これに加えて、栓体24のカバー部244の内側壁244aとバイアル本体40の開口部外側壁41aとにネジが形成され、互いに螺合するようになっているので、容器保管時に栓体24がバイアル以外のものに引っかかるなどした場合にも、不所望に栓体24がバイアル本体40から脱離するようなこともない。また、ユーザは、バイアル本体40の開口部41に対して栓体24を圧入させる際に、螺合の度合いによってその操作の完了を確認できるので簡易な操作で確実に容器を密封状態とすることができる。
さらに、キャップの構成要素である弁体21については、上記実施の形態1および実施の形態2に係るバイアルに付帯された弁体21と同一の構造を有する。よって、このバイアル内の薬液等を取り出したり、他の薬剤等を混合したりする際には、注射針の付いたシリンジを用いる必要がないので、操作時における誤穿刺などの事故を生じることがない。
(その他の事項)
上記実施の形態1〜3では、医療容器の一例としてバイアルを用いたが、本発明は、医療容器の種類をこれに限定されるものではない。また、バイアルの場合には、通常、一つの開口部を有するが、2つ以上の開口部を有するような容器に対しても、少なくともシリンジ等を用いて操作する開口部に本発明のキャップを装着すれば、上記効果が得られる。例えば、バイアル以外に本発明が適用可能な医療容器としては、プラスチック製バッグやプラスチック製ボトルなどがあり、さらには、医療容器以外に本発明に係るキャップが適用できるものとしては、点滴等の用途で用いられる輸液ラインにおける混注ポート等があげられる。
(その他の事項)
上記実施の形態1〜3では、医療容器の一例としてバイアルを用いたが、本発明は、医療容器の種類をこれに限定されるものではない。また、バイアルの場合には、通常、一つの開口部を有するが、2つ以上の開口部を有するような容器に対しても、少なくともシリンジ等を用いて操作する開口部に本発明のキャップを装着すれば、上記効果が得られる。例えば、バイアル以外に本発明が適用可能な医療容器としては、プラスチック製バッグやプラスチック製ボトルなどがあり、さらには、医療容器以外に本発明に係るキャップが適用できるものとしては、点滴等の用途で用いられる輸液ラインにおける混注ポート等があげられる。
また、本発明に係る医療容器用キャップは、スリットを有する弁体と、容器開口部における弁体よりも外方に圧入され、弁体と容器外部との間の経路を遮断する栓体とから構成されるものであって、上記機能を果たすことができる範囲であれば、その構造および寸法関係等は、上記実施の形態1〜3のものに限定されるものではない。
本発明に係る医療容器用キャップおよび医療容器は、医療の現場などでの良好な操作性と、保管時における容器の高い密封性とを両立させるのに有効である。
1.バイアル
10、40.バイアル本体
11.開口部
12.棚部
13.環状突起
20.キャップ
21.弁体
21S.スリット
22、23、24.栓体
30.薬液
10、40.バイアル本体
11.開口部
12.棚部
13.環状突起
20.キャップ
21.弁体
21S.スリット
22、23、24.栓体
30.薬液
Claims (4)
- 医療容器本体における開口部に装着され、本体内部を封止するための医療容器用キャップであって、
弾性材料からなる弁体と栓体とから構成され、
前記弁体は、その主面間を挿通するスリットを有し、前記医療容器本体の開口部における口端より内方に嵌挿され、
前記栓体は、前記医療容器本体の開口部における前記弁体が装着された箇所より外方に着脱可能に圧入されている
ことを特徴とする医療容器用キャップ。 - 前記開口部は、円筒状に形成された側壁により構成されており、
前記栓体には、前記側壁を内外から密に挟み込むように環状の凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の医療容器用キャップ。 - 前記開口部の側壁外面およびこれに対応する前記栓体の凹部側壁面には、互いに螺合可能なネジ部が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の医療容器用キャップ。 - 有底筒状の医療容器本体と、前記医療容器本体の開口部に装着され、これを封止するキャップとから構成される医療容器であって、
前記キャップには、請求項1から3の何れかに記載の医療容器用キャップが適用されている
ことを特徴とする医療容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003304874A JP2005073758A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 医療容器用キャップおよび医療容器 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=34408444
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005073758A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014104027A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 株式会社ジェイ・エム・エス | バイアルシールド |
-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003304874A patent/JP2005073758A/ja active Pending
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WO2014104027A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 株式会社ジェイ・エム・エス | バイアルシールド |
CN104884026A (zh) * | 2012-12-28 | 2015-09-02 | 株式会社Jms | 小瓶护罩 |
JPWO2014104027A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2017-01-12 | 株式会社ジェイ・エム・エス | バイアルシールド |
US10543150B2 (en) | 2012-12-28 | 2020-01-28 | Jms Co., Ltd. | Vial shield |
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