JP2005073648A - 吸血性昆虫の捕集器、炭酸ガス発生部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンパクトかつ安価で、更には取り扱い性に優れた吸血性昆虫の捕集器の提供を課題とする。
【解決手段】 蚊捕集器具1に、アスコルビン酸類を含有する炭酸ガス発生部2と、この炭酸ガス発生部2で誘引した蚊Mを捕獲する粘着パッド4とを備える構成を採用した。炭酸ガス発生部2は、炭酸ガスを発生する薬剤をガス透過性フィルムで覆うのが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】 蚊捕集器具1に、アスコルビン酸類を含有する炭酸ガス発生部2と、この炭酸ガス発生部2で誘引した蚊Mを捕獲する粘着パッド4とを備える構成を採用した。炭酸ガス発生部2は、炭酸ガスを発生する薬剤をガス透過性フィルムで覆うのが好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、蚊等の吸血性昆虫を誘引捕集する吸血性昆虫の捕集器およびそれに用いる炭酸ガス発生部材に関する。
人間等の血液を吸う吸血性の昆虫である蚊は、刺した箇所に炎症を生じさせるだけでなく、マラリアやウエストナイルウィルス脳炎等の伝染病を媒介する可能性があるのは周知のとおりであり、このような蚊を駆除するため、各種の駆除剤、駆除装置等が広く提供されている。
例えば、駆除剤としては、いわゆる蚊取り線香、電子蚊取り器、スプレー式の殺虫剤があり、これらはいずれも、DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)等の蚊忌避剤を
用いている。
しかしながら、乳児がいる家庭や、化学薬品に対するアレルギー等を有する場合等、蚊忌避剤、つまり薬品を使用することに不安や抵抗を抱く人も多い。
例えば、駆除剤としては、いわゆる蚊取り線香、電子蚊取り器、スプレー式の殺虫剤があり、これらはいずれも、DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)等の蚊忌避剤を
用いている。
しかしながら、乳児がいる家庭や、化学薬品に対するアレルギー等を有する場合等、蚊忌避剤、つまり薬品を使用することに不安や抵抗を抱く人も多い。
蚊忌避剤に頼らず、蚊を駆除するには、炭酸ガスに蚊が誘引される、という性質を利用したものがある(例えば、特許文献1、2、3、4、5参照)。
特許文献1,2,3の場合では、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを発生させたり、または、LPガスの燃焼により炭酸ガスを発生させ、この炭酸ガスにより蚊の誘引を行っている。また、特許文献4,5の場合では、同様に炭酸ガスの発生による蚊の誘引を行っており、その炭酸ガス発生源として、炭酸ガス入浴剤などに用いられる発泡性錠剤や、ドライアイスを用いている。例えば発泡性錠剤を炭酸ガス発生源として用いる場合には、予め用意した容器内に水を張り、さらにその中に発泡性錠剤を投入することで炭酸ガスを発生させる。また、ドライアイスを炭酸ガス発生源として用いる場合には、予め用意した容器内にこのドライアイスを直接置くか、または、水を張った容器内にドライアイスを投入することで炭酸ガスを発生させる。
特許文献1,2,3の場合では、炭酸ガスボンベから炭酸ガスを発生させたり、または、LPガスの燃焼により炭酸ガスを発生させ、この炭酸ガスにより蚊の誘引を行っている。また、特許文献4,5の場合では、同様に炭酸ガスの発生による蚊の誘引を行っており、その炭酸ガス発生源として、炭酸ガス入浴剤などに用いられる発泡性錠剤や、ドライアイスを用いている。例えば発泡性錠剤を炭酸ガス発生源として用いる場合には、予め用意した容器内に水を張り、さらにその中に発泡性錠剤を投入することで炭酸ガスを発生させる。また、ドライアイスを炭酸ガス発生源として用いる場合には、予め用意した容器内にこのドライアイスを直接置くか、または、水を張った容器内にドライアイスを投入することで炭酸ガスを発生させる。
ところで、上記従来の蚊取り器は、以下に説明する問題を有していた。
すなわち、上記特許文献1,2,3に記載の蚊取り器は、一定量の炭酸ガスを継続して発生させることができるものの、炭酸ガスボンベやLPガスボンベなどを用いる関係上、装置構成が大がかりにならざるを得ず、これに伴い、製造コスト及びランニングコストが高いものとなっている。したがって、装置構成が大がかりであるが故に使用場所が限定される問題や、コストが高いが故に一般家庭での使用目的にそぐわないという問題を抱えている。
一方、上記特許文献4,5に記載の蚊取り器の場合には、ボンベ類を使用せずに済み、簡便に炭酸ガスを発生させることができるものの、水や容器を予め用意しておく必要があるなど、比較的手間がかかりやすい。しかも、ドライアイスを炭酸ガス発生源として用いる場合、その昇華によって発生する炭酸ガスが冷気となり、低温に弱い蚊の活動を阻害しやすいという問題や、そもそもドライアイス自体を一般家庭で保存することができないと
いう問題を有している。
さらに、このドライアイスまたは発泡剤の何れを用いた場合においても、炭酸ガスの発生量を最適な量にコントロールするのが難しく、かつ短時間で炭酸ガスの放出を終えてしまうため、蚊の誘引源として必ずしも適したものであるとは言い難い。
すなわち、上記特許文献1,2,3に記載の蚊取り器は、一定量の炭酸ガスを継続して発生させることができるものの、炭酸ガスボンベやLPガスボンベなどを用いる関係上、装置構成が大がかりにならざるを得ず、これに伴い、製造コスト及びランニングコストが高いものとなっている。したがって、装置構成が大がかりであるが故に使用場所が限定される問題や、コストが高いが故に一般家庭での使用目的にそぐわないという問題を抱えている。
一方、上記特許文献4,5に記載の蚊取り器の場合には、ボンベ類を使用せずに済み、簡便に炭酸ガスを発生させることができるものの、水や容器を予め用意しておく必要があるなど、比較的手間がかかりやすい。しかも、ドライアイスを炭酸ガス発生源として用いる場合、その昇華によって発生する炭酸ガスが冷気となり、低温に弱い蚊の活動を阻害しやすいという問題や、そもそもドライアイス自体を一般家庭で保存することができないと
いう問題を有している。
さらに、このドライアイスまたは発泡剤の何れを用いた場合においても、炭酸ガスの発生量を最適な量にコントロールするのが難しく、かつ短時間で炭酸ガスの放出を終えてしまうため、蚊の誘引源として必ずしも適したものであるとは言い難い。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、屋内、特に家庭内での使用に適し、小型で、可搬性、使用性にも優れる吸血性昆虫の捕集器等を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の吸血性昆虫の捕集器は、アスコルビン酸類を含有し、炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部と、この炭酸ガスで誘引した吸血性昆虫を捕集する捕集部と、を備えることを特徴とする。この捕集器では、アスコルビン酸類が周囲の酸素を吸引することで化学反応を起こし、炭酸ガスと反応熱を発する。そして、この炭酸ガス及び反応熱により誘引された蚊を捕集部で捕らえることで、蚊を効果的に捕集することができる。このようにして蚊の誘引に用いられるアスコルビン酸類は、ボンベ装置を用いる従来の炭酸ガス発生源に比べて極めてコンパクトかつ安価なものとなっている。しかも、酸素を吸引するだけで炭酸ガスを発生することができるので、ドライアイス等の従来の炭酸ガス発生源に比べ、取り扱い性においても優れたものとなっている。
ここで、少なくとも炭酸ガス発生部の酸素吸収面を、炭酸ガス発生部における酸素吸収量を調整するためのカバーで覆うのが好ましい。これにより、酸素吸収面に取り込む酸素量を、カバーで覆わない場合に比較して抑制することができる。
また、この捕集器に、炭酸ガス発生部及び捕集部を収容するケースをさらに備え、炭酸ガス発生部を、ケースに対し取外し可能な状態で装着するのが好ましい。これにより、アスコルビン酸類の化学反応が終息するのに合わせ、炭酸ガス発生部を交換することができる。
このケースは、その内部に通ずる開口部を下方に向かって設けられるのが良い。これは、炭酸ガスは比重が大気よりも大きく、下に向かう特性があるため、ケース内の炭酸ガス発生源から発生した炭酸ガスが、下方の開口部を通ってケースの外部に自然に流れ出るようになるからである。
このケースは、その内部に通ずる開口部を下方に向かって設けられるのが良い。これは、炭酸ガスは比重が大気よりも大きく、下に向かう特性があるため、ケース内の炭酸ガス発生源から発生した炭酸ガスが、下方の開口部を通ってケースの外部に自然に流れ出るようになるからである。
この捕集器は、炭酸ガス発生部を加熱するヒータをさらに備えることもできる。必要に応じてヒータで炭酸ガス発生部を加熱することによって、蚊を誘引するのに適した温度に炭酸ガス発生部を制御することができる。
本発明は、吸血性昆虫の捕集器に取外し可能な状態で装着され、吸血性昆虫を誘引するための炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部材として捉えることもできる。この炭酸ガス発生部材は、捕集器に対して取外し可能な状態で固定するための固定フレームと、この固定フレームに支持され、アスコルビン酸類を含有し、炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生剤と、を備えることを特徴とする。
このような炭酸ガス発生部材は、捕集器に対して取外し可能な状態で固定される、いわゆるカートリッジ式である。このため、未使用の状態にて、少なくとも炭酸ガス発生剤が気密性を有したパックに密封されているのが好ましい。また、炭酸ガス発生部材には、ガス透過性を有したポリメチルペンテンおよびポリオレフィン系樹脂からなり、炭酸ガス発生剤を被覆する被覆膜をさらに備えることもできる。この被覆膜により、炭酸ガス発生剤に対する酸素供給量を制限することができる。
このような炭酸ガス発生部材は、捕集器に対して取外し可能な状態で固定される、いわゆるカートリッジ式である。このため、未使用の状態にて、少なくとも炭酸ガス発生剤が気密性を有したパックに密封されているのが好ましい。また、炭酸ガス発生部材には、ガス透過性を有したポリメチルペンテンおよびポリオレフィン系樹脂からなり、炭酸ガス発生剤を被覆する被覆膜をさらに備えることもできる。この被覆膜により、炭酸ガス発生剤に対する酸素供給量を制限することができる。
また、本発明は、吸血性昆虫を誘引するための炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部材で
あって、アスコルビン酸類、水および活性炭を含む組成物に、熱可塑性樹脂を混合してなる混合物から形成されていることを特徴とする炭酸ガス発生部材として捉えることもできる。このような炭酸ガス発生部材は、いかなる形状であってもよいが、混合物をプレート状に成形したものとすることができる。
あって、アスコルビン酸類、水および活性炭を含む組成物に、熱可塑性樹脂を混合してなる混合物から形成されていることを特徴とする炭酸ガス発生部材として捉えることもできる。このような炭酸ガス発生部材は、いかなる形状であってもよいが、混合物をプレート状に成形したものとすることができる。
本発明によれば、その炭酸ガス発生源としてアスコルビン酸類を含有するものを採用したことにより、コンパクトかつ安価で、さらには取り扱い性に優れた吸血性昆虫の捕集器を提供することが可能となる。しかも、炭酸ガスの発生のみならず反応熱も発するため、より効果的に蚊を誘引することが可能となっている。
また、炭酸ガス発生源の酸素吸収面に吸収される酸素量を抑制することにより、アスコルビン酸類の酸素吸収・炭酸ガス発生反応を抑えることができるので、炭酸ガス発生量及び発熱量を適切にコントロールできる上に、比較的長時間、連続的に炭酸ガスを発生させ続けることが可能となる。
しかも、このような炭酸ガス発生部、炭酸ガス発生部材はカートリッジ式とすることができるので、交換することで、吸血性昆虫の誘引性能を維持することができる。
加えて、必要に応じてヒータにより炭酸ガス発生剤を加熱することにより、より効果的に蚊を誘引することが可能となる。
また、炭酸ガス発生源の酸素吸収面に吸収される酸素量を抑制することにより、アスコルビン酸類の酸素吸収・炭酸ガス発生反応を抑えることができるので、炭酸ガス発生量及び発熱量を適切にコントロールできる上に、比較的長時間、連続的に炭酸ガスを発生させ続けることが可能となる。
しかも、このような炭酸ガス発生部、炭酸ガス発生部材はカートリッジ式とすることができるので、交換することで、吸血性昆虫の誘引性能を維持することができる。
加えて、必要に応じてヒータにより炭酸ガス発生剤を加熱することにより、より効果的に蚊を誘引することが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本発明にかかる吸血性昆虫の捕集器の一実施形態の説明を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。なお、図1は、本実施形態の吸血性昆虫の捕集器を示す斜視図である。また、図2は、同吸血性昆虫の捕集器の内部構造を説明するための図であって、図1のA−A矢視で見た鉛直断面図である。また、図3は、同吸血性昆虫の捕集器の同内部構造の詳細を示す図であって、図2のB部拡大図である。また、図4は、蚊の誘引実験を行うための実験装置を示す断面図である。また、図5は、アスコルビン酸類を主剤とする炭酸ガス発生剤からの炭酸ガス発生量に対する被覆フィルムの効果を実験的に求めた結果を示すグラフであって、横軸が反応経過時間、縦軸が炭酸ガス濃度を示している。
本発明にかかる吸血性昆虫の捕集器の一実施形態の説明を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。なお、図1は、本実施形態の吸血性昆虫の捕集器を示す斜視図である。また、図2は、同吸血性昆虫の捕集器の内部構造を説明するための図であって、図1のA−A矢視で見た鉛直断面図である。また、図3は、同吸血性昆虫の捕集器の同内部構造の詳細を示す図であって、図2のB部拡大図である。また、図4は、蚊の誘引実験を行うための実験装置を示す断面図である。また、図5は、アスコルビン酸類を主剤とする炭酸ガス発生剤からの炭酸ガス発生量に対する被覆フィルムの効果を実験的に求めた結果を示すグラフであって、横軸が反応経過時間、縦軸が炭酸ガス濃度を示している。
図1及び図2に示すように、本実施形態の蚊捕集器具(捕集器)1は、炭酸ガス発生部(炭酸ガス発生部材)2と、この炭酸ガス発生部2を収容するケース3と、同じくこのケース3内に収容された粘着パッド(捕集部)4及びヒータ5とを備えて構成されている。
図3に示すように、前記炭酸ガス発生部2は、主にアスコルビン酸類を主成分とし、これに水、活性炭を含む組成物に、そして粒状熱可塑性樹脂を加えた混合物をプレート状に成形した薬剤(炭酸ガス発生剤)2aを、その酸素吸収面全面(外表面)を覆うように、ガス透過性フィルム(カバー、被覆膜)2bで被覆(密封)したものである。
薬剤2aとしては、例えば、市販のAnaeroPouchシリーズ(商品名。AnaeroPouch・ケンキ、AnaeroPouch Campylo:三菱ガス化学株式会社製。)などが採用可能である。
この炭酸ガス発生部2は、その外周部に、厚紙または樹脂等で形成された固定フレーム6が設けられ、この固定フレーム6を介してケース3に保持されるようになっている。
薬剤2aとしては、例えば、市販のAnaeroPouchシリーズ(商品名。AnaeroPouch・ケンキ、AnaeroPouch Campylo:三菱ガス化学株式会社製。)などが採用可能である。
この炭酸ガス発生部2は、その外周部に、厚紙または樹脂等で形成された固定フレーム6が設けられ、この固定フレーム6を介してケース3に保持されるようになっている。
この炭酸ガス発生部2は、薬剤2aが、その主剤であるアスコルビン酸類が空気中の酸素を吸収することで化学反応を起こし、炭酸ガスと反応熱を周囲に発し、これによって蚊を誘引するためのものである。
炭酸ガス発生部2から放出される炭酸ガスの全発生量(使用開始から寿命に至るまでの全放出量)は、主剤であるアスコルビン酸類の含有量や、薬剤2aの枚数やサイズなどにより調整することができる。また、炭酸ガス放出量は、薬剤2aへの酸素吸収量を調整す
ればよく、蚊の誘引に適した炭酸ガス濃度に応じて調整することができる。実際、後述においても説明するが、炭酸ガス濃度は低すぎても高すぎても蚊の誘引において良い効果を及ぼすものではなく、「最適な」炭酸ガス濃度に設定維持することが肝要となる。
炭酸ガス発生部2から放出される炭酸ガスの全発生量(使用開始から寿命に至るまでの全放出量)は、主剤であるアスコルビン酸類の含有量や、薬剤2aの枚数やサイズなどにより調整することができる。また、炭酸ガス放出量は、薬剤2aへの酸素吸収量を調整す
ればよく、蚊の誘引に適した炭酸ガス濃度に応じて調整することができる。実際、後述においても説明するが、炭酸ガス濃度は低すぎても高すぎても蚊の誘引において良い効果を及ぼすものではなく、「最適な」炭酸ガス濃度に設定維持することが肝要となる。
ガス透過性フィルム2bは、TPX(ポリメチルペンテン:TPXは登録商標)及びポリオレフィン系樹脂からなる共押出多層フィルム(多層膜)を袋状に形成した密封ケースであり、自らを透過させることで周囲の空気中に含まれる酸素を内部の薬剤2aに導くとともに、薬剤2aから放出される炭酸ガス及び反応熱を、同じく自らを透過させることで外部周囲に発散させることができるようになっている。しかも、この時のガス透過性フィルム2bは、内部の薬剤2aに向かって自らを透過させる酸素量(空気量)が所定量よりも多くならないように制限している。これにより、薬剤2aの酸素吸収による化学反応が過剰に生じないように抑制し、結果として、炭酸ガスの生成量及び発熱量を略一定に抑えることが可能となっている。すなわち、薬剤2aの化学反応時間(ひいては炭酸ガス発生剤としての寿命)を長く保つことが可能となっている。
ガス透過性フィルム2bを透過する酸素透過量について具体的に言うと、25℃、1気圧の条件下において、1m2の透過面積あたりの酸素透過量が、24hrで、3ml/m2・24hr・atm以上かつ30000ml/m2・24hr・atm以下であることが
好ましい。すなわち、透過する酸素量が3ml/m2・24hr・atmよりも少ないと
、薬剤2aが、十分な酸素吸収・炭酸ガス発生の反応を起こすことができない。したがって、炭酸ガス発生量が、蚊を誘引するのに不十分なものとなる。一方、透過する酸素量が30000ml/m2・24hr・atmよりも多いと、薬剤2aにおける酸素吸収・炭
酸ガス発生の反応が過度に生じてしまう。そして、無駄に炭酸ガスを消費してしまう(すなわち、無駄に薬剤2aを消費してしまう)虞がある。以上の理由により、ガス透過性フィルム2bを透過する酸素量としては、3ml/m2・24hr・atm以上かつ300
00ml/m2・24hr・atm以下であることが好ましい。
なお、このガス透過性フィルム2bの酸素透過量は、その厚み寸法、TPXに積層するポリオレフィン系樹脂の種類を変えるだけでコントロール可能である。したがって、これらを適宜変更することにより、薬剤2aから放出される炭酸ガス量、放出継続時間をコントロールすることができる。
好ましい。すなわち、透過する酸素量が3ml/m2・24hr・atmよりも少ないと
、薬剤2aが、十分な酸素吸収・炭酸ガス発生の反応を起こすことができない。したがって、炭酸ガス発生量が、蚊を誘引するのに不十分なものとなる。一方、透過する酸素量が30000ml/m2・24hr・atmよりも多いと、薬剤2aにおける酸素吸収・炭
酸ガス発生の反応が過度に生じてしまう。そして、無駄に炭酸ガスを消費してしまう(すなわち、無駄に薬剤2aを消費してしまう)虞がある。以上の理由により、ガス透過性フィルム2bを透過する酸素量としては、3ml/m2・24hr・atm以上かつ300
00ml/m2・24hr・atm以下であることが好ましい。
なお、このガス透過性フィルム2bの酸素透過量は、その厚み寸法、TPXに積層するポリオレフィン系樹脂の種類を変えるだけでコントロール可能である。したがって、これらを適宜変更することにより、薬剤2aから放出される炭酸ガス量、放出継続時間をコントロールすることができる。
また、このガス透過性フィルム2bは、耐薬品性、耐熱性にも優れており、ヒートシール等による形状加工も容易に行える材質特性を有している。しかも、オレフィン系樹脂でできているため、廃棄性の観点においても優れ、環境負荷が小さいものとなっている。
なお、このガス透過性フィルム2bとしては、例えば、OTフィルムシリーズ(商品名。OTPシリーズ、OTEシリーズ、OTKシリーズ、OTSシリーズなどがある。大塚テクノ株式会社製。)などが採用可能である。ちなみに、OTS−50を用いた場合の酸素透過量は、1m2の透過面積かつ1気圧の条件下において、10,900cc/24hとなっている
。また、反応熱に関しては、40〜50℃程度に昇温する。
なお、このガス透過性フィルム2bとしては、例えば、OTフィルムシリーズ(商品名。OTPシリーズ、OTEシリーズ、OTKシリーズ、OTSシリーズなどがある。大塚テクノ株式会社製。)などが採用可能である。ちなみに、OTS−50を用いた場合の酸素透過量は、1m2の透過面積かつ1気圧の条件下において、10,900cc/24hとなっている
。また、反応熱に関しては、40〜50℃程度に昇温する。
炭酸ガス発生部2は、新品状態(化学反応を生じさせていない未使用時)では、気密性を有したアルミパック(パック)2c内に真空密封されており、空気中の酸素吸収による化学反応を起こすことがないように保護されている。そして、その使用時には、図1に示すようにアルミパック2cを開封して中から炭酸ガス発生部2を外に取り出すだけで、自然と薬剤2aがガス透過性フィルム2bを介して周囲の空気中から酸素を取り込んで化学反応を起こし、さらには炭酸ガスと反応熱を周囲に放出し始める。そして、この炭酸ガス発生部2を前記ケース3内に収容することで、蚊を炭酸ガス及び反応熱で誘引する誘引効果を発揮することができる。しかも、この炭酸ガス発生部2は、アルミパック2cに収容された状態でも、例えば縦125mm×横80mm×厚み5mmのコンパクトな寸法形状を備えており、保管、管理に適したものとなっている。
前記ケース3は、例えばプラスチック樹脂からなる薄い箱形の中空ケースであり、図2に示すように、使用時には、例えば室内の壁面Wに対して貼り付けられた状態に設置される。同図に示す符号3aは、このケース3を壁面Wに対して接着するための両面テープであり、ケース3の裏面に複数個が取り付けられている。
このケース3には、その内部空間3bに通ずる開口部3cが、設置状態において下方を向くように形成されている。この開口部3cは、細長い長方形形状をなしており、空気(酸素)をケース3周囲の外部空間から内部空間3bに向かって取り込むとともに、炭酸ガス発生部2から内部空間3b内に放出された炭酸ガスを、内部空間3bからケース3周囲の外部空間に放出する通気口の役目をなしている。
ケース3の内部には、開口部3cからケース3の奥に向かって延在するガイドレール7、8が設けられている。このガイドレール7、8に、炭酸ガス発生部2の固定フレーム6、粘着パッド4がスライド可能に支持されるようになっている。開口部3cは、新しい炭酸ガス発生部2や粘着パッド4をケース3内に装着したり、逆に、使用済みの炭酸ガス発生部2や粘着パッド4をケース3内から取り出す際の出し入れ口の役目も兼ねている。
このケース3には、その内部空間3bに通ずる開口部3cが、設置状態において下方を向くように形成されている。この開口部3cは、細長い長方形形状をなしており、空気(酸素)をケース3周囲の外部空間から内部空間3bに向かって取り込むとともに、炭酸ガス発生部2から内部空間3b内に放出された炭酸ガスを、内部空間3bからケース3周囲の外部空間に放出する通気口の役目をなしている。
ケース3の内部には、開口部3cからケース3の奥に向かって延在するガイドレール7、8が設けられている。このガイドレール7、8に、炭酸ガス発生部2の固定フレーム6、粘着パッド4がスライド可能に支持されるようになっている。開口部3cは、新しい炭酸ガス発生部2や粘着パッド4をケース3内に装着したり、逆に、使用済みの炭酸ガス発生部2や粘着パッド4をケース3内から取り出す際の出し入れ口の役目も兼ねている。
開口部3cの位置としては、上記位置に限定されるものではない。しかしながら、炭酸ガスは比重が大気より大きくて下に向かう特性があるため、本実施形態のように開口部3cの位置を真下に配置すると、ケース3内で発生した炭酸ガスが下方の開口部3cを通って速やかに外部に流れ出るようになる。これにより、開口部3cを中心とする周囲空間が炭酸ガスで覆われ、蚊を効果的にケース3内に誘引することが可能となっている。
なお、ケース3の材質ならびに形状については、本実施形態のものに限らず、その他の材質や形状を用いても良いことは勿論である。
なお、ケース3の材質ならびに形状については、本実施形態のものに限らず、その他の材質や形状を用いても良いことは勿論である。
前記粘着パッド4は、シート状の粘着テープ、あるいはプレート状の基材表面に粘着剤を塗布したものであり、粘着性を備えた表面を有している。この粘着パッド4は、図2及び図3に示すように、内部空間3bを間に挟んだ状態で炭酸ガス発生部2に対向する位置に配置されるようになっている。換言すると、粘着パッド4の粘着面と炭酸ガス発生部2の炭酸ガス発生面との間に前記内部空間3bが形成され、さらに、この内部空間3bの真下位置に前記開口部3cが配置されている。
したがって、炭酸ガスに釣られて内部空間3b内に誘引された蚊Mは、その鉛直面に留まりやすいという性状により、粘着パッド4の鉛直平面である粘着面に対して留まり、ついには粘着パッド4に対して捕集されるようになっている。ケース3が鉛直方向を向くように壁面Wに固定する意味は、上述のような蚊Mの性状を利用する鉛直平面を粘着パッド4に形成させるためである。
したがって、炭酸ガスに釣られて内部空間3b内に誘引された蚊Mは、その鉛直面に留まりやすいという性状により、粘着パッド4の鉛直平面である粘着面に対して留まり、ついには粘着パッド4に対して捕集されるようになっている。ケース3が鉛直方向を向くように壁面Wに固定する意味は、上述のような蚊Mの性状を利用する鉛直平面を粘着パッド4に形成させるためである。
前記ヒータ5は、シート状の電熱ヒータであり、前記炭酸ガス発生部2の反応熱では蚊Mを効果的に誘引させる上で不足である場合に、発熱量を補う役目をなす発熱体である。勿論、炭酸ガス発生部2の反応熱のみで十分な発熱量が得られる場合には、このヒータ5を省略するものとしても良い。
以上説明の構成を有する本実施形態の蚊捕集器具1によれば、アスコルビン酸類が内部空間3b内に取り込まれた空気中に含まれる酸素を吸引することで炭酸ガスを発生すると同時に反応熱を発する。そして、これら炭酸ガス及び反応熱は、内部空間3b内に充満するとともに、余剰分が開口部3cからケース3の外部に流れ出る。
そして、この流れ出た炭酸ガス及び反応熱を嗅ぎつけた蚊Mが開口部3cを通って内部空間3b内に入り込む。さらに、この蚊Mは、鉛直面に対して留まろうとする性状に従って粘着パッド4に留まり、捕集される。
そして、この流れ出た炭酸ガス及び反応熱を嗅ぎつけた蚊Mが開口部3cを通って内部空間3b内に入り込む。さらに、この蚊Mは、鉛直面に対して留まろうとする性状に従って粘着パッド4に留まり、捕集される。
このようにして蚊Mの誘引に用いられるアスコルビン酸類は、ボンベ装置を用いる従来
の炭酸ガス発生源に比べて極めてコンパクトかつ安価なものとなっている。これにより、蚊捕集器具1自体を小型化・軽量化することが可能となっている。また、アスコルビン酸類は、酸素を吸引するだけで炭酸ガスを発生させることができるものであるので、ドライアイス等の従来の炭酸ガス発生源に比べ、取り扱い性において優れたものとなっている。
しかも、本実施形態の蚊捕集器具1では、炭酸ガスの発生のみならず、アスコルビン酸類の反応による発熱を行うため、より効果的に蚊Mを誘引することが可能となっている。
の炭酸ガス発生源に比べて極めてコンパクトかつ安価なものとなっている。これにより、蚊捕集器具1自体を小型化・軽量化することが可能となっている。また、アスコルビン酸類は、酸素を吸引するだけで炭酸ガスを発生させることができるものであるので、ドライアイス等の従来の炭酸ガス発生源に比べ、取り扱い性において優れたものとなっている。
しかも、本実施形態の蚊捕集器具1では、炭酸ガスの発生のみならず、アスコルビン酸類の反応による発熱を行うため、より効果的に蚊Mを誘引することが可能となっている。
また、本実施形態の蚊捕集器具1によれば、ガス透過性フィルム2bにより、薬剤2aの酸素吸収量を所定量に抑えることができるので、無駄に炭酸ガスや反応熱を発生させることがなく、炭酸ガス放出量及び反応熱量を略一定に維持することが可能となる。しかも、薬剤2aをガス透過性フィルム2bで覆うだけの構成で済むので、簡易な構成で炭酸ガス放出量及び反応熱量を略一定に維持することが可能となっている。したがって、比較的長時間、連続的に炭酸ガス及び反応熱を発生させ続けることが可能としている。しかも、薬剤2aは、有機物を主成分とするものであるため、使用後は可燃物として処理することができ、廃棄性に優れたものとなっている。また、上述のように、ガス透過性フィルム2bも廃棄性に優れているので、炭酸ガス発生部2全体としても廃棄性に優れたものとなっている。
また、ガス透過性フィルム2bは薄膜状であるため、炭酸ガス発生部2のコンパクト化、ひいては蚊捕集器具1のコンパクト化を妨げることのないものとなっている。
また、ガス透過性フィルム2bは薄膜状であるため、炭酸ガス発生部2のコンパクト化、ひいては蚊捕集器具1のコンパクト化を妨げることのないものとなっている。
前記炭酸ガス発生部2としてアスコルビン酸類を主剤とするものが最適であることを実験で確認したので、その結果を下記実施例1に示す。
<実施例1>
炭酸ガス発生源として、(1)発泡性錠剤(花王バブ(商品名)2個に水100mlを加えたもの)、(2)ドライアイス25g、(3)AnaeroPouch・ケンキ(アスコルビン酸
類を主剤とする薬剤)の3種類を用意し、これらによる蚊Mの誘引実験を行った。
図4に示すように、上記各炭酸ガス発生源10を、それぞれ個別のアクリルケース11(容量4L)に収容した。各炭酸ガス発生源10の周囲には粘着シート12を配置し、各炭酸ガス発生源10に近づいた蚊Mが捕集されるようにした。アクリルケース11の横には、蚊Mが進入するための導入管(φ3cm、長さ10cm)13が接続されている。
そして、導入管13にアカイエカの雌蚊50匹を入れた吸虫管14を接続し、この吸虫管14からアクリルケース11内に向かうアカイエカの移動状況、及び粘着シート12への捕集状況を確認した。
<実施例1>
炭酸ガス発生源として、(1)発泡性錠剤(花王バブ(商品名)2個に水100mlを加えたもの)、(2)ドライアイス25g、(3)AnaeroPouch・ケンキ(アスコルビン酸
類を主剤とする薬剤)の3種類を用意し、これらによる蚊Mの誘引実験を行った。
図4に示すように、上記各炭酸ガス発生源10を、それぞれ個別のアクリルケース11(容量4L)に収容した。各炭酸ガス発生源10の周囲には粘着シート12を配置し、各炭酸ガス発生源10に近づいた蚊Mが捕集されるようにした。アクリルケース11の横には、蚊Mが進入するための導入管(φ3cm、長さ10cm)13が接続されている。
そして、導入管13にアカイエカの雌蚊50匹を入れた吸虫管14を接続し、この吸虫管14からアクリルケース11内に向かうアカイエカの移動状況、及び粘着シート12への捕集状況を確認した。
その結果、(1)発泡性錠剤の場合では26匹のアカイエカがアクリルケース11内に移動した。しかしながら、粘着シート12には捕集されず、アクリルケース11の内壁面に降着していた。
また、(2)ドライアイスの場合では、アカイエカが吸虫管14から全く移動しなかった。
そして、(3)AnaeroPouch・ケンキの場合では、全てのアカイエカがアクリルケース
11内に移動した。しかも、そのうちの64%に至る32匹が粘着シート12に捕集されていた。
また、(2)ドライアイスの場合では、アカイエカが吸虫管14から全く移動しなかった。
そして、(3)AnaeroPouch・ケンキの場合では、全てのアカイエカがアクリルケース
11内に移動した。しかも、そのうちの64%に至る32匹が粘着シート12に捕集されていた。
以上の結果により、以下のことが判明した。
すなわち、(1)発泡性錠剤の場合では、僅かであるもののアカイエカを誘引した。しかし、炭酸ガス放出が短時間で終了してしまったためか、吸血行動につながる降着行動までは起こさなかった。
また、(2)ドライアイスの場合では、炭酸ガス発生時に環境温度の低下を招いてしまい、この低温化がアカイエカの行動を抑制させてしまった。
そして、(3)AnaeroPouch・ケンキの場合では、炭酸ガス発生にアスコルビン酸類の
反応熱が加わり、非常に強い誘引源として機能した。
すなわち、(1)発泡性錠剤の場合では、僅かであるもののアカイエカを誘引した。しかし、炭酸ガス放出が短時間で終了してしまったためか、吸血行動につながる降着行動までは起こさなかった。
また、(2)ドライアイスの場合では、炭酸ガス発生時に環境温度の低下を招いてしまい、この低温化がアカイエカの行動を抑制させてしまった。
そして、(3)AnaeroPouch・ケンキの場合では、炭酸ガス発生にアスコルビン酸類の
反応熱が加わり、非常に強い誘引源として機能した。
続いて、前記炭酸ガス発生部2における薬剤2aの密封ケースとして、TPX及びポリオレフィン系樹脂からなる前記ガス透過性フィルム2bが最適であることを実験で確認したので、その結果を下記実施例2に示す。
<実施例2>
酸素吸収・炭酸ガス発生剤である前記AnaeroPouch・ケンキ(アスコルビン酸類を主剤
とする薬剤。)1個を、前記ガス透過性フィルム2bに相当するOTS−50(商品名。OTフィルムの一種。厚さ50μm)に密封したものと、TPXフィルム(大塚テクノ株式会社製)に密封したものと、密封しないものとの3種類を用意し、これらの炭酸ガス放出量の時間変化を求めた。なお、OTS−50及びTPXフィルムに密封する際には、ヒートシーラーによりシーリングした。
<実施例2>
酸素吸収・炭酸ガス発生剤である前記AnaeroPouch・ケンキ(アスコルビン酸類を主剤
とする薬剤。)1個を、前記ガス透過性フィルム2bに相当するOTS−50(商品名。OTフィルムの一種。厚さ50μm)に密封したものと、TPXフィルム(大塚テクノ株式会社製)に密封したものと、密封しないものとの3種類を用意し、これらの炭酸ガス放出量の時間変化を求めた。なお、OTS−50及びTPXフィルムに密封する際には、ヒートシーラーによりシーリングした。
まず、用意した上記3種類の炭酸ガス発生源を、それぞれ個別のケース(容量約840ml)に収容し、一定時間ごとにガス検知管を用いてケース内の炭酸ガス濃度を測定した。その結果、図5に示すような結果が得られた。
同図に示すように、フィルムに密封していない炭酸ガス発生源(嫌気用)では、この炭酸ガス発生源を入れた直後から急激に炭酸ガスを発生し始め、15分後にはガス検知管の検出上限である0.7%以上の高濃度になり、僅か1時間で炭酸ガスの放出を終えてしまった。210分以上経ってから測定可能範囲の濃度まで低下したが、これは、自然拡散による濃度低下であった。
同図に示すように、フィルムに密封していない炭酸ガス発生源(嫌気用)では、この炭酸ガス発生源を入れた直後から急激に炭酸ガスを発生し始め、15分後にはガス検知管の検出上限である0.7%以上の高濃度になり、僅か1時間で炭酸ガスの放出を終えてしまった。210分以上経ってから測定可能範囲の濃度まで低下したが、これは、自然拡散による濃度低下であった。
また、OTフィルムの基材であるTPXフィルムに密封した炭酸ガス発生源(嫌気+TPX)では、密封していないものと同様に、ケース内に入れた直後から炭酸ガスを放出し始め、30分目までは測定できたが、それ以降は測定限界を超えてしまった。210分以上経ってから測定可能範囲の濃度まで低下したが、この場合もやはり、自然拡散による濃度低下であった。
一方、OTS−50に密封した炭酸ガス発生源(嫌気+OTS−50)の場合には、0.13〜0.15%の略一定の炭酸ガス濃度を測定終了まで維持し続けることができた。
以上の結果より、炭酸ガス発生源単体またはこれをTPXフィルムに密封したものでは、一定の炭酸ガス放出量(濃度)を維持することが不可能であった。これに対し、OTフィルムに密封したものは、一定の酸素量しか密封ケース内に透過させないため、炭酸ガス発生量が一定となり、かつ長時間に渡って炭酸ガスを放出し続けることが可能であることが確認された。
以上の結果より、炭酸ガス発生源単体またはこれをTPXフィルムに密封したものでは、一定の炭酸ガス放出量(濃度)を維持することが不可能であった。これに対し、OTフィルムに密封したものは、一定の酸素量しか密封ケース内に透過させないため、炭酸ガス発生量が一定となり、かつ長時間に渡って炭酸ガスを放出し続けることが可能であることが確認された。
続いて、上記実施例2で用意した3種類の炭酸ガス発生源を用いて実際に蚊Mを誘引した場合を実験で確認したので、その結果を下記実施例3に示す。
<実施例3>
前記3種類の炭酸ガス発生源を、上記実施例1で説明した図4の実験装置内に収容し、前記吸虫管14から前記アクリルケース11内へのアカイエカ50匹の移動状況、及び前記粘着シート12への捕捉状況を確認した。
<実施例3>
前記3種類の炭酸ガス発生源を、上記実施例1で説明した図4の実験装置内に収容し、前記吸虫管14から前記アクリルケース11内へのアカイエカ50匹の移動状況、及び前記粘着シート12への捕捉状況を確認した。
その結果、炭酸ガス発生源単体またはこれをTPXフィルムに密封したものを入れた場合には、実験開始から3時間ほど経っても吸虫管14からアクリルケース11内にアカイエカが移動することはなかった。さらに観察を続けて4時間ほど経過したところで、炭酸ガス発生源単体のもので20匹、TPXフィルムに密封したもので25匹のアカイエカがアクリルケース11内に移動したが、粘着シート12には捕集されず、アクリルケース11内の壁面に降着していた。残りのアカイエカは、吸虫管14内で死んでいた。
一方、OTS−50に密封した炭酸ガス発生源を入れた場合では、実験開始直後からア
カイエカが移動行動を示し、1時間後には全てのアカイエカがアクリルケース11内に移動していた。さらに、そのうちの64%にあたる32匹が粘着シート12に捕集されていた。
一方、OTS−50に密封した炭酸ガス発生源を入れた場合では、実験開始直後からア
カイエカが移動行動を示し、1時間後には全てのアカイエカがアクリルケース11内に移動していた。さらに、そのうちの64%にあたる32匹が粘着シート12に捕集されていた。
以上の結果より、下記の結論を得ることができる。
一般的に、蚊は、高濃度の炭酸ガスに晒されると、麻酔効果によってその活動を停止する。さらに、その麻酔時間が長いと死滅してしまう。このことから、炭酸ガス発生源単体またはこれをTPXフィルムに密封したものを入れた場合では、高濃度の炭酸ガスに晒されたために活動を停止していたが、自然拡散により炭酸ガス濃度が下がった時点で活動を再開したものと思われる。これに対し、OTS−50に密封した炭酸ガス発生源を入れた場合では、麻酔効果をアカイエカに与えない程度の濃度で炭酸ガスを放出できたことから、アカイエカが行動を停止することなく活動し続け、炭酸ガスに誘引されてアクリルケース11内に移動したものと推察される。
以上の結果より、炭酸ガスの過剰な放出は蚊の忌避行動を引き起こすため、前記ガス透過性フィルム2bで被覆することによって炭酸ガス濃度をコントロールするのが好ましいことが実験的に確認された。
一般的に、蚊は、高濃度の炭酸ガスに晒されると、麻酔効果によってその活動を停止する。さらに、その麻酔時間が長いと死滅してしまう。このことから、炭酸ガス発生源単体またはこれをTPXフィルムに密封したものを入れた場合では、高濃度の炭酸ガスに晒されたために活動を停止していたが、自然拡散により炭酸ガス濃度が下がった時点で活動を再開したものと思われる。これに対し、OTS−50に密封した炭酸ガス発生源を入れた場合では、麻酔効果をアカイエカに与えない程度の濃度で炭酸ガスを放出できたことから、アカイエカが行動を停止することなく活動し続け、炭酸ガスに誘引されてアクリルケース11内に移動したものと推察される。
以上の結果より、炭酸ガスの過剰な放出は蚊の忌避行動を引き起こすため、前記ガス透過性フィルム2bで被覆することによって炭酸ガス濃度をコントロールするのが好ましいことが実験的に確認された。
1…蚊捕集器具(捕集器)、2…炭酸ガス発生部(炭酸ガス発生部材)、2a…薬剤(炭酸ガス発生剤)、2b…ガス透過性フィルム(カバー、被覆膜)、2c…アルミパック(パック)、3…ケース、3c…開口部、4…粘着パッド(捕集部)、5…ヒータ、M…蚊
Claims (9)
- アスコルビン酸類を含有し、炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部と、
前記炭酸ガス発生部から放出される前記炭酸ガスで誘引した吸血性昆虫を捕集する捕集部と、
を備えることを特徴とする吸血性昆虫の捕集器。 - 少なくとも前記炭酸ガス発生部の酸素吸収面が、当該炭酸ガス発生部における酸素吸収量を調整するためのカバーで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の吸血性昆虫の捕集器。
- 前記炭酸ガス発生部及び前記捕集部を収容するケースをさらに備え、
前記炭酸ガス発生部は、前記ケースに対し取外し可能な状態で装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の吸血性昆虫の捕集器。 - 前記炭酸ガス発生部を加熱するヒータをさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸血性昆虫の捕集器。
- 吸血性昆虫の捕集器に取外し可能な状態で装着され、前記吸血性昆虫を誘引するための炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部材であって、
前記捕集器に対して取外し可能な状態で固定するための固定フレームと、
前記固定フレームに支持され、アスコルビン酸類を含有し、前記炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生剤と、
を備えることを特徴とする炭酸ガス発生部材。 - 未使用の状態にて、少なくとも前記炭酸ガス発生剤が気密性を有したパックに密封されていることを特徴とする請求項5に記載の炭酸ガス発生部材。
- ガス透過性を有したポリメチルペンテンおよびポリオレフィン系樹脂からなり、前記炭酸ガス発生剤を被覆する被覆膜をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の炭酸ガス発生部材。
- 吸血性昆虫を誘引するための炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生部材であって、
アスコルビン酸類、水および活性炭を含む組成物に、熱可塑性樹脂を混合してなる混合物から形成されていることを特徴とする炭酸ガス発生部材。 - 前記混合物がプレート状に成形されていることを特徴とする請求項8に記載の炭酸ガス発生部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003310415A JP2005073648A (ja) | 2003-09-02 | 2003-09-02 | 吸血性昆虫の捕集器、炭酸ガス発生部材 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005073648A true JP2005073648A (ja) | 2005-03-24 |
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ID=34412296
Family Applications (1)
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JP2003310415A Withdrawn JP2005073648A (ja) | 2003-09-02 | 2003-09-02 | 吸血性昆虫の捕集器、炭酸ガス発生部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005073648A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7380369B1 (en) * | 2004-03-10 | 2008-06-03 | Uril G Greene | Insect trap and method of use |
GB2503948A (en) * | 2012-07-14 | 2014-01-15 | Paul Keith Guerrier | Insect trap |
CN106804555A (zh) * | 2017-01-20 | 2017-06-09 | 唐成康 | 金属离子改性沸石分子筛在捕蚊中的应用及其改性方法 |
KR20180065297A (ko) * | 2016-12-07 | 2018-06-18 | 황문진 | 모기 퇴치기 |
-
2003
- 2003-09-02 JP JP2003310415A patent/JP2005073648A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7380369B1 (en) * | 2004-03-10 | 2008-06-03 | Uril G Greene | Insect trap and method of use |
GB2503948A (en) * | 2012-07-14 | 2014-01-15 | Paul Keith Guerrier | Insect trap |
KR20180065297A (ko) * | 2016-12-07 | 2018-06-18 | 황문진 | 모기 퇴치기 |
CN106804555A (zh) * | 2017-01-20 | 2017-06-09 | 唐成康 | 金属离子改性沸石分子筛在捕蚊中的应用及其改性方法 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061107 |