JP2005073471A - 小径モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型モータの整流子端子部のガタをなくすことを目的とする。
【解決手段】端子部13の一部に設けた突起と絶縁リング16を当接させて、端子部13を固定する。
【選択図】図5

Description

本発明はブラシ付小型モータに係わり、特に整流子を含む回転子の構造に関する。例えば携帯用電子機器の携帯カメラのレンズアクチェータ等の駆動用として用いられる小型直流モータの整流子に関するものである。
近年、OA機器あるいは音響、映像機器は小型化、高性能化の要求があり、それに呼応して、モ−タの鉄心(電機子、あるいはコアともいう)とマグネットとの隙間を狭くして性能を向上させたりしている。携帯情報端末などに搭載されるモータは振動発生用モータから、ヒンジアクチュエータ用モータなど小型モータが使用されてきて、サイズの直径6mm以下が主であり、部材等も小さくなり、部品精度もより高まってきているが、組立精度などに起因する課題も多く、対策を立てる必要が生じてきている。携帯電話などでは機種の更新が早く、より小型でのモータの要求がある。
携帯電話などは現在の状況はつぎのようである。
携帯電話、携帯情報端末などの電子機器に、小型カメラを搭載した製品が市場に現れ始めてきている。それらの小型カメラの画素数も11万画素や35万画素のものが主流である。携帯電話に搭載の小型カメラの画素数は年々増加の傾向にあり、デジタルカメラ市場の低級画素数クラスのものの牙城をとり込んできている。
そうした社会市場環境において、携帯電話に搭載の小型カメラで撮影した画像は携帯電話の液晶モニタで確認することが可能であり、最近は2画面の液晶モニタを備えた携帯電話もある。デジタルカメラと同様に携帯電話にカード型メモリーを装着して、そのメモリーに撮影した画像を保存する。必要な時にメモリカードからPCで取り込んでプリントしたりする。また、ネットワーク接続機能を備えた携帯電話であれば、撮影した画像をそのままネットワークを介して相手に送信することが可能である。またさらには、FOMAのような携帯電話ではTV電話として利用することも可能である。
携帯電話に取付けられる小型カメラは、携帯電話本体に取り付けられているために、最近に薄型携帯電話の指向から、搭載する小型カメラも携帯電話の本体の厚さ以内である必要があるうえに、液晶モニタも大型になってきて、搭載する設置面積も限られた大きさである。たとえば、10mm角の大きさで厚さ的にも10mm程度であるコンパクトな携帯電話搭載小型カメラでなくてはならない。
デジタルカメラの機能から推測して、携帯電話の小型カメラもズーム機能やフォーカス機能を備えたものが必要と考えられて開発がなされつつある。
デジタルカメラではスペース的にも余裕があって、ズームやフォーカス用駆動モータとしては、小型直流モータやステッピングモータなどが使用されている。
そうしたモータの直径は6mm〜12mm程度のものが多く、あらゆる分野で広く使用されている小型モータで対応できている。その小型モータは長円筒型、長小判円筒型である。モータの構成的にも、シャフトが比較的に大きく、モータの整流子も何ら問題なく製作できていた。
携帯電話のカメラ駆動用モータはズーム用やフォーカス用であって、モータ直径はφ4
mmからφ2.5mmで高さは5mm程度の大きさが要望されている。その大きさは従来品の寸法で約半分の大きさの要求である。
小径モータになってくると、部品の組立精度やトルク特性が大きな問題になってくる。ブラシ付きモータではモータ径を小径にしても、ブラシ部の高さ寸法は径に見合ったように短くなっていない、高さ寸法があまり変化がない状態で小径になるために、トルクを出すためにはモータの全長が長くなって、小型モータを使用したアクテェータには使いにくい。ブラシ高さ寸法をモータ径に構成比に合わせれば、モータの出力特性の低下も大きくなく、十分に使用可能なモータになるので、ブラシ高さを小さくするモータ開発もしなくてはならない時期にきている。
現状は以下に示すようなモータ構造となっている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)
以下図面を参照しながら従来のモータについて説明する。
図11は従来のブラシ付のモ−タの構造図であり、図12はモ−タのアマチュア巻線組立体を示す。図13はモ−タの整流子の固定説明図を示す。図11、図12、図13において、38は鉄心、39はシャフト、40はインシュレ−タ、41はマグネット、42はコイル、43はフレ−ム、44、45は焼結軸受、46は整流子、47はブラシである。
以上のように構成された構造について、以下に説明する。
モータの鉄心38は珪素鋼板をプレス加工機で打ち抜き、板状の鉄心の表面に凹凸を形成し、金型内でその凹凸部を重ね合わせて積層するパック工法で製作される。パック位置は鉄心のほぼ中央半径になるティース部に形成されているが、モータが小さくなればそれに対応して鉄心のティース幅も小さくなり、パック径の小さなものになる。従来のモータではそのパック径は2mm〜1.2mm程度である。
前記珪素鋼板を積層したモ−タ鉄心38の中央部に設けた穴に、シャフト39を圧入固定している。積層厚みが大きいものでは、シャフト圧入力が大きくなるので、シャフトが曲がらないように、鉄心38の中央部に設けた穴の径を設計寸法的にコントロールしている。
シャフトが圧入固定された鉄心38に、鉄心形状に樹脂成形したインシュレ−タ40を鉄心38の両端面側から挿入する。鉄心38と樹脂インシュレータ40は微小隙間をもって挿入が可能である。樹脂製インシュレータ40を鉄心38に保持するためには、保持部分が形成されなくてはならない。通常は2例ある。1例は鉄心38のティース部に相当するインシュレータ側に微小突起を設けて、その微小突起にて保持力を持たせる場合である。2例目は鉄心38にはシャフト39が固定されているので、シャフト39に嵌合する部分をインシュレータ側に持たせることで、インシュレータ40を鉄心38に装着したときにインシュレータ40に形成されているシャフト嵌合部によって保持される。鉄心38にはプレスバリなどがあって、樹脂インシュレータ40は完全な密着状態ではないが、巻線作業には支障がない程度には装着されている。またティース部の鉄心表面側のインシュレータ成形厚を局所的に薄くし、インシュレータ40の成形性を確保するためには鉄心のティース部外周の積層方向の肉厚を厚くしても、鉄心38とインシュレータ40との挿入のための隙間は存在する。
インシュレータ40を装着した鉄心38付きのシャフト39に整流子46を圧入する。整流子46は整流子ホルダーと複数個の整流子片と絶縁リングとから構成されている。一般に整流子といえば、上記構成であるが、整流子片をさす場合もある。
小型モータの整流子としては、組立式整流子とモールド式整流子の2種が一般に用いられている。
組立式整流子は、通常は、耐熱性のある異方性熱可塑性樹脂やガラス含有率の高い樹脂などで射出成形されるホルダーと複数個の整流子片と絶縁リングから形成され、そのホルダーは円筒部があって、その円筒部の一端側にはその円筒径よりも大きなフランジ部が形成されている。また個々の整流子片は円弧部と突起状の端子部からなり、その端子部をフランジ部に当接させ、また円弧部をホルダーの円筒部の外周部に複数個円筒状に配列させ、その際には整流子片を電気的に独立させるように微小の隙間(スリットという)を設けて組み立てられる。
その後、これら整流子片が配列されたホルダー円筒部の先端から電気的絶縁性のある絶縁リングを圧入し、ホルダーのフランジ部に整流子片の端子部が当接するまで差し込んで複数個の整流子片を固定する。その場合、ホルダーのフランジ部と円筒部の境部には整流子片が規則正しく配置できるように、係合部を設けている。この組立式整流子はホルダーの成形性や部品の精度を押さえ込まなくては信頼性のある作業ができないので、小さな部材を組立する組立体であるので精度の点では今一歩ではあったが、製品単価を抑えないといけない場合には相当のコストダウンが期待できる。
また、モールド式整流子は、パイプ状の銅あるいは銀合金素材板等を、プレス打ち抜き加工により素材板の端部の一方から切り起こして端子部を形成し、さらにその隣の端部を切り越こして端子部を形成し、順次素材板の端部に複数個の端子部を形成させ、パイプ状円筒部の内部と端子部の内側部を耐熱性に富む熱硬化性樹脂または耐熱性の高い熱可塑性樹脂にてインサートモールド成形し、その成形樹脂部をホルダーする。このときはまだ、パイプ状の円筒部は繋がっているので、本来の整流子にするために、ホルダーをハンドリングすることができる場合にはその円筒状素材の外周面の芯振れがなくなるように旋盤加工をする。小型の整流子の時には芯振れが成形時は生じないように工夫をし、ラッピング工程でその芯振れを幾分修正する。さらに、円周状の素材部を等分にフライス加工で、スリット溝を作成して、複数の整流子片を作成する。モールド整流子の場合は、インサート成形、機械加工方式が必然的に必要であるので、この工程で手間がかかるために加工工数が多くなり、コストダウンの要求に応えることができなかった場合がある。
この組立整流子とモールド整流子を比較した場合、スリット溝の形成が異なる。モールド整流子のスリットは機械加工であるために、軸に向かって溝幅は均一であるうえに、スリット溝幅のばらつきは少ない。組立整流子の場合は、薄い板状のクラッド材をプレス打ち抜き加工をして、その一部をカーリング加工して円弧部を形成するため、カーリングする板の外周円弧長さと内周円弧長さはカーリングする前素材では同じ長さであった。カーリングすることで素材は伸びて、外周円弧長さと内周円弧長さはほぼ同一の開き角をもつ円弧部になる。カーリング工程のばらつきにとって、開き角にもばらつきが生じ、実際には組み立てる際に整流子片同士を同一の隙間では配置できない。したがって、組立整流子のスリット溝は溝幅にばらつきがあるうえに、溝の深さ方向においても溝幅のばらつきがある。
小型モータが携帯用電子機器に用いられる小型直流モータのサイズ程度、直径で4mm程度の場合には、組立整流子が一般的に多用されている。
さらに、インシュレータ40で絶縁された鉄心38にコイル42を巻回して、そのコイル42の通電箇所を整流子片の端子部に取り付け、半田で導通させて、さらに、リング状のバリスタを整流子片の端子部に導通接続してモ−タのアマチュア巻線組立体を作る。
鉄心38にコイル42を巻回し、そのコイル端子を整流子片の端子部に巻き重ねて取り付ける際に、鉄心38のコイル42に張力が作用してコイル42がずれて巻き崩れを起こすことがあるので、端子部の巻重ねには十分な注意が必要である。
しかも、図13に示されるように、整流子ホルダー49は薄肉に成形されており、コイル42を端子部52に電気接続する半田付作業において、半田コテ54の押圧力や圧着時間が過大であると、合成樹脂で作られたホルダー49は押し曲げられ、熱変形を起こし易い。
さらに、整流子片の端子部52は絶縁リング50とホルダー49のフランジ部51に挟まれた形態となっているが、整流子片の端子部52と円弧部48の折り曲がり部の角部にはシャープに曲がっていない角円弧部35が形成され、この角部に形成された角円弧部35の影響を考慮して、実際の組立整流子では絶縁リング50はホルダ49のフランジ部51から飛び出した規制部53に当接するようになっていて、絶縁リング50と端子部52は直接接触してはいない。この隙間は大きいモータの整流子ではコイルの巻き重ねや半田処理によって作業にはあまり影響していなかった。小型モータではこの隙間が信頼性に影響を与えはじめてきている。
次に、アマチュア巻線組立体の整流子片の円弧部表面をラッピング処理し、アマチュア巻線組立体全体を洗浄する。
図11に示されるように、有底円筒状のフレ−ム43の底の中央部に焼結軸受44を固定し、そのフレ−ム43の外周垂下部の内周側にマグネット41が取り付けられている。そのマグネット41には着磁が施されている。洗浄したアマチュア巻線組立体のシャフト39を焼結軸受44に挿入し、ブラシ47のついたブラケットをフレ−ム43に取り付けてモ−タを組み立てる。
ブラシ47の厚さは0.05mmから0.1mmであって、ブラシに比べて板厚が厚いブラシ端子に圧接固定されて、ブラシ端子をブラケットに固定している。ブラシ端子の板厚が厚いためにブラケットとの固定がしっかりしている。ブラシは貴金属が使用されたクラッド材から構成されている。
特開平5−284679号公報(第3頁、図1) 特開昭53−95208号公報(第2頁、第1図) 特開2001−320846号公報(第4頁、図1)
しかしながら、モータが小径になっていけば、モータのトルク特性を高めようとすれば、個々の部材の特性を上げることも必要であるが、(1)マグネットと鉄心との隙間(エアーギャップともいう)を狭める(2)コアの積層厚をできるだけ厚くする(3)ブラシと整流子のスペースを小さくするなどの対策を施す必要があり、さらには部品の組立精度が大きな問題となってくる。
モータの全長にしめるブラシと整流子を長さ割合を小さくすることで、整流子の組立精度などを調査していくと、整流子の端子部と絶縁リングの隙間の整流子部分に対する割合が大きなウエイトを占めることがわかる。この隙間を小さくする従来の取り組みはあまりなされていない。
この隙間があるために、コイルの巻重ねの際に端子部が安定しないために作業的に問題
を生じていた。小型モータにすることで、線径が小さなコイルを使用するようになって、この不安定な端子部のために、コイルに振動時などにストレスが作用して断線するものも出はじめてきた。
また鉄心にコイルを巻回し、そのコイル端子を整流子片の端子部に巻き重ねて取り付ける際に、鉄心のコイルに張力が作用してコイルがずれて巻き崩れを起こすことがあり、コイル巻回の巻き崩れや端子部の巻重ねが不安定になりやすい。そのために、巻回工程での作業時間短縮などをすることもできない状態であった。
端子部と円弧部との角部には角円弧部が形成され、その角円弧部35の影響で端子部の平面を直接に絶縁リングで加圧することが可能な位置まで、絶縁リングを押さえ込むことができない。端子部の平面部と絶縁リングは隙間があって、端子部はガタつくことがあった。このガタ付きのために、端子部にコイルの端末を巻重ねた際に、巻重ね作業の時間が長くかかる。
小型モータでは端子部に対する半田作業は、部品自体が小さくかつ密集しているので注意を払っておこなわなければならないのに、半田作業する端子部の位置がガタのために不安定であるので、作業に時間がかかる。そのために、薄肉に成形されている整流子ホルダーが、コイルを端子部に電気接続する半田付作業において、半田コテのコテ先半田温度や押圧力によって、熱変形を起こし易い。したがって、整流子は熱変形を受け易く、精度の維持が困難となって、モータ特性が均一に保たれなくなる。
またリングバリスタを接続する際にも、同様に、作業時間が長くなるので、高温の半田温度に曝される時間が長くなって、樹脂ホルダーが溶解する。
本発明は上記問題点を鑑み、小型モータの整流子端子部のガタをなくすことを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、樹脂成形されたホルダーと複数個の整流子片と絶縁リングを具備し、前記ホルダーは円筒部とその円筒部の一端側に形成された円筒部径よりも大きなフランジ部とを有し、前記円筒部の中心にはシャフト挿入用の穴が形成され、前記整流子片は円弧部とこの円弧部に対し略直角に折り曲がった端子部からなり、前記ホルダーのフランジ部に整流子片の端子部を、また前記ホルダーの円筒部に整流子片の円弧部をそれぞれ対応させて装着し、前記整流子片の円弧部に前記絶縁リングを圧入し、この絶縁リングと前記ホルダーのフランジ部との間に前記整流子片の端子部を挟み込んで構成される組立整流子において、前記整流子片の端子部の一部に突起部を形成し、この突起部と前記絶縁リングを当接させて固定する。
これにより、整流子の端子部にガタがなく、信頼性の高い小型の整流子ができて、ひいては、小型のモータのトルク特性を高めることができる。
上記実施例の記載から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、整流子片の端子部に突起部が形成されている。突起形成されていない端子部の面をホルダーのフランジ部に当て、突起形成があるもう一方の面には突起部を絶縁リングにて当接することによって、整流子片の端子部はホルダーと絶縁リングで挟み込んでガタ付かないように固定される。その突起部があるために、整流子片の端子部はホルダーと絶縁リングで挟み込んでガタ付かないという有利な効果が得られる。
その突起部は端子部と円弧部との角部に形成された角円弧部の影響が及ばないようにする役目を兼ねている。その突起部があることで、絶縁リングの内周円でもって円弧部をしっかりと圧入固定することができる。
このガタ付きがないために、半田接続の作業時間などの短時間に行え、高温のストレスを受けにくいなどの有利な効果が得られる。
また、請求項2記載の発明によれば、端子部に形成する突起部が半球状の凸部であって、整流子片をプレス打ち抜き加工する工程の中で形成することができ、一点で当たるということで、整流子片の精度などの影響を受けにくいという有利な効果が得られる。
また、請求項3記載の発明によれば、端子部に形成する突起部が端子部の幅全体に及んでいるかまぼこ状の突起であって、その端子部幅の突起が絶縁リングと当接するので、整流子の端子部を確実に固定することができるという有利な効果が得られる。
本発明の請求項1に記載の発明は、樹脂成形されたホルダーと複数個の整流子片と絶縁リングを具備し、前記ホルダーは円筒部とその円筒部の一端側に形成された円筒部径よりも大きなフランジ部とを有し、前記円筒部の中心にはシャフト挿入用の穴が形成され、前記整流子片は円弧部とこの円弧部に対し略直角に折り曲がった端子部からなり、前記ホルダーのフランジ部に前記整流子片の端子部を、また前記ホルダーの円筒部に前記整流子片の円弧部をそれぞれ対応させて装着し、前記整流子片の円弧部に前記絶縁リングを圧入し、この絶縁リングと前記ホルダーのフランジとの間に前記整流子片の端子部を挟み込んで構成される組立整流子において、前記整流子片の端子部の一部に突起部を形成し、この突起部と前記絶縁リングを当接させて、固定する構成としたことを特徴とするブラシ付きモータである。
整流子片の端子部には突起部が形成されている。突起形成されていない端子部の面をホルダーのフランジに当て、突起形成があるもう一方の面には突起部を絶縁リングにて当接することによって、整流子片の端子部はホルダーと絶縁リングで挟み込んでガタ付かないように固定される。
その突起部があるために、整流子片の端子部はホルダーと絶縁リングで挟み込んでガタ付かない。その突起部は端子部と円弧部との角部に形成された角円弧部の影響が及ばないようにする役目を兼ねている。その突起部があることで、絶縁リングの内周円でもって円弧部をしっかりと圧入固定することができる。
このガタ付きがないために、端子部にコイルの端末を巻重ねた際にもしっかりと端子部が固定されているので、巻重ね作業が正確にできる。また、半田コテでの半田接続時の端子部はしっかり固定されているので、作業時間などの短時間に行え、高温の半田温度に曝される時間が短くて、樹脂ホルダーが溶解することもなく接続作業ができる。リングバリスタを接続する際にも、同様に、作業時間を短く行えることができる。
小さなコイルを使用しても、端子部にガタ付きがないために、鉄心にコイルを巻回し、そのコイル端子を整流子片の端子部に巻き重ねて取り付ける際に、鉄心のコイルに張力が作用してコイルがずれることもなく、安定した端子部の半田接続ができ、振動によるコイル断線などもないという作用を有する。
本発明の請求項2に記載の発明は、整流子片の端子部に形成した突起部は端子部の幅の中央部に設けた半球状の突起であることを特徴とする請求項1記載のモータであり、整流
子片の端子部が絶縁リングとホルダーのフランジとに挟み込まれた状態になり、整流子片の端子部に形成された突起部に絶縁リングを当接させて固定され、その当接が半球状の凸部の一点で当たるということで、整流子片の精度などの影響を受けにくいことと、整流子片のプレス加工時に他の寸法影響を与えずに製作することができるという作用を有する。
本発明の請求項3に記載の発明は、整流子片の端子部に形成した突起部は端子部の幅の全面に及んだ突起であることを特徴とする請求項1記載のモータであり、
端子部に形成する突起部が端子部の幅全体に及んでいるかまぼこ状の突起であって、その端子部幅の突起が絶縁リングと当接するので、整流子の端子部を確実に固定することができるという作用を有する。
以下本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は小型モータの断面図であって、図2は整流子の説明斜視図である。図3はブラケットの説明図である。図4はフープ状の金属板を示す平面図である。図5は本発明の実施例1による整流子の分解斜視図である。図6は整流子の端子部に形成された突起部の説明図である。実施例1における小径モータの全体の構成を説明する。
図1に示すように、小径モータは、駆動マグネット1を内周面に取付けられたフレーム2と、そのフレーム2の内部に配設された回転子3とを備えている。前記回転子3にはシャフト4と、電機子5を備えている。その回転子3はフレーム2に設けられた焼結軸受6と、ブラケット7に設けられた焼結軸受8によって両端を回転自在に支持される。フレーム2は、有底中空筒状に形成される。その円筒部の内周部に駆動マグネット1が配設されたフレーム2の開口部には、その開口部に嵌合したブラケット7を備えている。フレーム2は、磁性鋼板を深絞り加工して製作される。ブラケット7も磁性鋼板をプレス絞り加工して製作されるが、ブラシ部の取り付けのために樹脂成形と一体的に形成される。モータによってはブラケットをすべて樹脂成型品で形成することもある。
電機子5はシャフト4に圧入固定された積層鉄心9のティース部にコイル10は巻回されている。だたし、積層鉄心9とコイル10との絶縁のために、鉄心9の表面には電着塗装11で絶縁処理されている。整流子12は、シャフト4に取付けられ、コイル10に電気的に接続されている。整流子12は、コイル10を接続するための3個の端子部13を有している。整流子は組立整流子である。
図1ではわかりづらいので、図2をもとに整流子を説明する。組立式整流子は、前述説明の通り、通常は、耐熱性のある樹脂で射出成形されるホルダー14と複数個の整流子片15と絶縁リング16から形成され、そのホルダー14は円筒部17があって、その円筒部17の一端側にはその円筒径よりも大きなフランジ部18が形成されている。また個々の整流子片15は円弧部19と突起状の端子部13からなり、その端子部13をフランジ部18に当接させ、また円弧部19をホルダー14の円筒部17の外周部に複数個円筒状に配列させ、その際には整流子片15を電気的に独立させるようにスリット20を設けて組み立てられる。その後、これら整流子片15が配列されたホルダー円筒部の先端から電気的絶縁性をある絶縁リング16を圧入し、ホルダー14のフランジ部18に整流子片15の端子部13が当接するまで差し込んで複数個の整流子片15を固定する。
整流子12には、図3のように2つのブラシ21が摺動係合している。ブラシ21は、ブラケット7に一体に取付けられたブラシホルダ22により保持されている。ブラシホルダ22は、たとえば、絶縁性の合成樹脂またはガラス繊維入り合成樹脂などの絶縁材料により金属性ブラケット7に一体的に形成されている。ブラシホルダ22には、一対の接続
端子23が取付けられている。ブラシ21は、接続端子23に電気的に接続されている。接続端子23の端部24は、ブラシホルダ22に設けられた取り出し口25(切り込み穴ともいう)に差し込んで、モータの外表面から外方に出ている。
背景技術のところでも記載があるが、組立整流子について、もう少し具体的に一例を説明する。
(1)整流子片は、導電性の優れた銅系の金属板にブラシと摺動する箇所に対応した位置に貴金属からなるクラッド帯を形成したクラッド材を整流子の素材として、プレス加工にて形成される。クラッド材は銅等からなる金属素材に別個の貴金属板あるいは貴金属の薄い箔を加圧による圧着によって2種の金属を接合することによって形成されている。その貴金属クラッド帯は金系、銀系、パラジウム系に大きく大別されるが、小型整流子の場合は銀系、パラジウム系の場合が多く、(a)銀92wt%、銅6wt%、カドミウム2wt%の3元銀合金、(b)銀90wt%、銅10wt%、(c)銀92wt%、金2wt%、パラジウム2wt%、銅4wt%、(d)銀50wt%、パラジウム50wt%、(e)銀90wtt%、インジウム4wt%、パラジウム2wt%、金2wt%、スズ2wt%などが多く用いられている。パラジウム系は整流子片側ではなく、ブラシ側に用いられることが多い。最近は環境問題のためにカドミウムフリーのクラッド帯が使用されている。銀が高価であることで、銀の含有量を少なくし、その代わりにビスマス系材料やニッケルを含有した複合クラッド帯なども使用されつつある。ビスマス系材料は超伝導材料であるので、今後使用が多くなっていく。クラッド材であるので、クラッド帯以外に母材金属がある。その母材金属の特性によっては、プレス工程での製品精度などに影響を与えるので、母材金属の材質にも注意を払わないといけない。母材金属として使用される材質として、銅、黄銅、白銅、青銅、洋白、ベリリウム銅など銅系材料である、銅と単純にいっても無酸素銅、タフピッチ銅、りん脱酸銅がある。ブラシとの摺動に直接関係がないので、あまり問題視はされないが、小型モータの整流子にあっては、無酸素銅が使用されることが多い。
(2)図4に示されるように、フープ状のクラッド材にクラッド帯26の位置を考慮して、整流子片のブランクをプレス機で打ち抜く。その際、個々の整流子片27は連結部28にて連結されているために、バラバラにはなっていない。帯状の金属板29に整流子片27の素形が連結部28をもって、連続的に形成される。連結部28は整流子片27の円弧部に設けられている。この状態ではまだ、整流子片27の素形はフラットな状態である。(3)プレス加工によって、整流子片27の端面にはバリが発生している。次に、プレス工程において、整流子片27の素形で、円弧部の端面に相当する部分のバリを取り除くため、スリット溝の空間を確保するために、面取り等の工程を追加して、端面の角部の面取り部を形成する。また、バリとりはプレス工程以外でもできるので、ブラシングやブラストや電解研磨、化学処理などで行える。そうした工程であってもよい。角部にバリ等がなくなっていること。円弧部を形成してから行ってもよい。また、素形形成時のプレス工程の際において面取り等の角部除去を行ってもよい。例えば、円筒部になる面から打ち抜き行為を板厚以下でおこない、さらにその後に素形プレス工程を行うことで、角部にエッジではない形状が形成される。
(4)ブランク抜き工程によって得られた整流子片27の素形は、カーリング工程によって円筒状にカーリングする。そのカーリング工程で整流子片の円弧部を形成する。
(5)さらに、素形部から略直角に折り曲げることで端子部を形成する。形成後に連結部を切断して、個々の整流子片を作る。
このようにして、整流子片が作られる。作られた整流子片には、円弧部の端面部には、内周側に角部除去による空間(エッジ除去空間)30ができる。
次に、プレス工程で作成した整流子片を使い、整流子組立を組み立てる。その組立工程を主に図5を用いて以下に説明する。図5は本発明の実施例による整流子の分解斜視図で
ある。
(a)ホルダー14は耐熱性を有し、電気絶縁性を有したエンジニアリング樹脂を射出成形にて形成し、軸方向に円筒状に円筒部17を設け、その中心にはシャフト挿入用に穴31が形成され、さらにその円筒部17の一端側にその円筒部径よりも大きなフランジ部18が形成されている。また、ホルダー14のフランジ部18には整流子片15を所定位置に設置するための凹部32がある。またホルダー14の円筒部17の外周部の一部に凸部33がある。ホルダー円筒部の長さは、整流子片の円弧部の長さと略同じに設定されている。ただしスリット溝幅も考慮してである。
(b)ホルダー14のフランジ部18の形成された凹部32に整流子片15の端子部13を挿入し、その際に整流子片15の円弧部19はホルダー14の円筒部17に沿わせるように、整流子片15をホルダー14に装着する。図5の場合は整流子片15が3つの構造になっている。3つの整流子片15を均等にホルダー14の円筒部17に挿入して装着する。
(c)3つの整流子片15の円弧部19で形成された円筒部の外周に電気絶縁性を有する円環状の絶縁リング16を、その円筒部の先端から圧入挿入する。整流子片15が絶縁リング16とホルダー14のフランジ18とに挟み込まれた状態になり、整流子片15の端子部13に形成された突起部34に絶縁リング16を当接させて固定される。絶縁リング16の圧入力でもって整流子片15は保持している。整流子片15同士が密接しないように、ホルダー14の円筒部17の外周部に設けた凸部33で行っている。この凸部33の寸法は整流子の板厚よりの小さな凸寸法である。整流子片15の円弧部の端面角部に形成した空間(エッジ除去空間)30によって、整流子片間距離が場所によって若干異なるので、そのことも考慮して、凸部33の大きさを決定している。凸部33の形状は整流子片15形状によって決定されるので、整流子片15の加工工程が確立した段階でホルダー14の凸部33の金型を微調して、ガタがないようにしている。
(d)その後、必要に応じて整流子片15の外周面をラッピングペーパでラッピング研磨することで、ラッピング仕上げを行い、本発明による組立整流子を組立ている。
本実施例では3個の整流子片で形成された3極の整流子組立であるが、5極、8極等の整流子であっても、同様な方法で組立が可能である。
小径モータにおいて、接続端子23から、ブラシ21を通ってさらに整流子12を介してコイル10に電流を流せば、鉄心9に磁界が発生し、駆動マグネット1によって発生している磁界中にその回転子3がおかれることになるので、回転子3にトルクは作用することになり、回転子3は回転する。その回転を安定にするために、ブラシと整流子を用いて電流を必要なコイルに通電させ続けることができ、シャフト1が回転し、出力が得られる。
図6をもとに、整流子の端子部に形成する突起部について説明をする。整流子片15の端子部13には突起部34が形成されている。突起形成されていない端子部の面をホルダー14のフランジ18に当て、突起形成があるもう一方の面には突起部34を絶縁リング16にて当接することによって、整流子片15の端子部13はホルダー14と絶縁リング16で挟み込んでガタ付かないように固定される。従来例での説明にもあるように端子部と円弧部との角部には角円弧部35が形成され、その角円弧部35の影響で端子部の平面を直接に絶縁リングで加圧することが可能な位置まで、絶縁リングを押さえ込むことができない。従来例では端子部の平面部と絶縁リングには隙間があって、端子部はガタつくが、本願発明の実施例では、その突起部34があるために、整流子片15の端子部13はホルダー14と絶縁リング16で挟み込んでガタ付かない。その突起部34は端子部13と円弧部との角部に形成された角円弧部35の影響が及ばないようにする役目を兼ねている。その突起部34があることで、絶縁リング16の内周円でもって円弧部をしっかりと圧入固定することができる。
このガタ付きがないために、端子部にコイルの端末を巻重ねた際にもしっかりと端子部が固定されているので、巻重ね作業が正確にできる。また、半田コテ54での半田接続時の端子部はしっかり固定されているので、作業時間が短時間になり、高温の半田温度に曝される時間が短くて、樹脂ホルダーが溶解することもなく接続作業ができる。リングバリスタを接続する際にも、同様に、作業時間を短く行えることができる。
図7に整流子の端子部に形成された突起を示す。図7(a)は半球状の突起であって、図7(b)はかまぼこ状の突起である。
図7(a)の半球状の突起34は整流子片15の加工する際に金型の凹凸で成形することができる。絶縁リングとの当接する箇所は球状先端部であって、1カ所で整流子片の移動を規制している。コイルなどのテンションが小さいモータの場合には好適である。すなわち小型モータには適している。また、図7(b)のかまぼこ状突起34は絶縁リングの当接する箇所が端子部幅に相当する凸部長さであるために、整流子片15はコイルのテンションなどでは動きにくい。すなわち、整流子片が安定して取り付けられる。
ここで、軸受について以下に説明する。図8は焼結軸受のポーラス図である。図9はピボットスラスト軸受を示す図である。図10はピボット軸受の荷重を示す図である。図1も参照のこと。
焼結軸受を説明するにあたって、焼結金属には図8に示すようにポーラス36(気孔などともいう)がある。本願のような小径モータではそのポーラスが問題になる。以下にその説明をする。フレーム2の有底部の中央部には焼結軸受6が圧入されている。焼結軸受6は円筒状の軸受であって、シャフト4が貫通している。シャフト4との摺動面は含油する油がにじみ出るようにポーラスが多数形成されている。シャフト径が0.6mm以下になってくると、従来では問題視されなかったポーラスの大きさが問題になってくるので、本実施例では、焼結粉末の粒子径を小さくするなどの対策をした焼結軸受を使用した。
焼結材について説明し、それを軸受に使うことによる効果についても説明する。
まず、焼結部品を作製する場合、製造工程は次のような工程をとる。ふるい分けした設定粒度で、化学組成の各成分の原料粉末と、潤滑剤を秤量混合して、その混合粉末を金型に充填して圧縮する。圧縮すると型の中で粉末粒子は移動し、さらに弾性変形を起こして粒子間の接触面積が広くなり、ついには粒子間の冷間接着が起こり高い密度の圧粉体が得られる。圧粉体では大部分が機械的にかみ合っている程度で、冷間接着された部分は全体に比べてごく少ないので、圧粉体の強度は低い。これを加熱によって、粒子間に充分な原子間結合を生じさせて、焼結部品をつくる。
圧粉体は炉に入ると予備加熱ゾ−ンで、粉末に混合された潤滑剤は揮発または分解して脱出する。そして、圧粉体は、粒子相互の接近や隙間がまとまってポーラスを形成するので、寸法の変化が起こる。
すなわち、原料粉末の粒径を通常のものに比べて、小さくすると表面に発生するポーラスの大きさも小さくなるので、シャフト径が0.6mm以下の場合には好適である。さらに、寸法変化を一般の焼結材よりも抑える効果がある。それは密度が高くなる反面、焼結軸受の内部に形成されるポーラスの大きさなども小さくなるので、油を含浸させて使用する軸受であるために、あまり粒径を小さくしすぎて、油が含浸する量が極端に少なくなることが実験評価でわかっているので、組成金属などを考慮して決定している。小型モータは高速であるために、焼結軸受は高速対応するために、含油する油は比較的粘度が低いも
のを使用した。
フレーム2の有底側から飛び出したシャフト4はモータの出力側である。使用される形態によって、シャフト4の出力側はシャフトにギア部をローレット加工する場合や、樹脂ギアを圧入する場合など何らかの部材を付けることがある。
もう一方の軸受8は、シャフト4の反出力側を回転自在に支承している。焼結軸受8の近傍には、スラスト方向荷重を受けるためにシャフト4の端面は球状に加工され、スラスト板37にその端面が当接している。スラスト板37は厚さが薄く、樹脂材料でできているために、スラスト荷重を受けるためにはスラスト板37の下にもう少し強度のある材料でもって受ける必要がある。本実施例では金属のブラッケット7で受けている。焼結軸受8はブラケット7に設けた凹部に圧入固定されている。
図9に示すように、焼結軸受8側の軸受構成は一般にいわれるピボット軸受である。スラスト方向の荷重はシャフト先端の球部とスラスト板とのピボット軸受で構成されている。スラスト板には、低摺動樹脂材料を使用する。
また、図10に示されるように、シャフトの先端球形状の半径をrとすると、最大面圧Pmaxと摩擦トルクTpは次式で求められる。
Pmax=a×r^(−2/3)・・・(式1)
Tp=b×r^(1/3)・・・(式2)
ただし、aは係数、bは係数
ある半径r0の場合の最大面圧Pmaxと摩擦トルクTpを1とした最大面圧、摩擦トルクのそれぞれの比率の関係を図10に示す。シャフト先端の半径rを小さくすると摩擦トルクは下がるが面圧が大きくなるので、スラスト材が樹脂の場合は面圧をあまり多くすることはかえって信頼性を損ねることがある。また、半径rを大きくすると、面圧は低下するが、摩擦トルクが増えてその損失トルクが熱となり温度が上昇して信頼性を損ねることがあるので、10000rpm回転以上の高速では、スラスト軸受のシャフト先端rとシャフト直径dとの関係を次式にする。
10d>r>1.5×d/2・・・(式3)
ピボット軸受の設計にしてある。
スラスト板37は一般的な高分子材料である。しかし、電池駆動、携帯タイプの装置にモータを使用する場合は、長期摩擦トルクを低減するために、潤滑性に優れたポリアセタール樹脂をスラスト板37に使用する樹脂選定をする。高温時での使用が多いときには耐熱性の優れるポリイミド樹脂、テフロン(R)樹脂を使用選定する。
次に、ブラシホルダ22とブラケット7とブラシ21と接続端子23の構成例について説明する。図1では説明するのに、わかりづらいので、図3を主に説明にする。図3はブラシ21が付いた状態のブラケット7を表す図である。
ブラケット7はモータのシールド効果をより持たせるために、金属で形成されている。すなわち、金属板材をプレス加工にて、穴加工や曲げ加工を施している。モータが1W程度の直流モータでは樹脂性のブラケットであることが多い。本願のように携帯電話のカメラレンズ駆動モータのような小型モータでは、できるだけ薄いブラケットにするためには強度の関係から金属板で形成している。さらに電機雑音などについても用途が通信機器であることから判断しても明確なようにブラケットは金属板で形成している。金属板は当然導電性であることから、電気の流れる箇所とは絶縁がなされなくてはいけない。すなわち、ブラケット7には絶縁を兼ねたブラシホルダ22が一体で樹脂成形形成される。そのブラシホルダ22には電気配線をモータ外部に導き出すために取り出し口25が形成され、
その取り出し口25に端部24を挿入することで、モータ内部から外部への電気を導きだすことができる。端部24は接続端子23の一方の端に形成され、もう一方にはブラシ21が取り付けられている。接続端子23はブラシ21の取り付け部と端部24はシャフト軸からみて90度離れた位置になる。それはモータ外部に出た端部24を半田接続して、リード線やフレキシブルプリント基板に接続することによって、半田熱でブラシホルダ22の樹脂が溶けて、挿入力が低下して、ブラシ位置が動いてしまい、ブラシと整流子の摺動位置がずれて信頼性を損なうことないようにしている。またその半田熱が接続端子23を伝導する距離をかせいで、ブラシ21へ半田熱が伝わりにくくしている。そのため、接続端子23は放熱ができるように大きくさらには、ブラシ21から離れた位置に端子部を形成する。また、焼結軸受8はブラケット7を凹部に加工した円筒部に圧入固定される。
直流モータであるために、電気的入力としては例えばDC2.8Vでは−端子と+端子の2端子に電圧を印加する、すなわち、−端子は0Vを印加し、+端子には2.8Vを印加する。接続端子は基本的に2つ(一対)である。接続端子にはそれぞれブラシが取り付けられている。基本的にモータの整流子片が多数であっても、ブラシ21は2つである。
図3に示すブラケット組立の組立手順を説明する。非常に一般的なものである。あらかじめ、ブラシ21はプレス加工で打ち抜き、それぞれがバラバラにならないように一部が連結した板状材に形成される。さらに接続端子23も同様にプレス加工され、それがバラバラにならないように連結される。それぞれの連結された状態でブラシ21と接続端子23を固定し、一方の連結部を残して、ブラシ組立部が形成される。さらにそのブラシ組立部に必要な曲げ加工をして形成する。最終に残った連結部を切断して個々のブラシ組立を作る。このブラシ組立はブラシ21と接続端子23から構成されている。
ブラシホルダ22を一体成形でブラケット7に形成し、ブラケット7の中央部の凹部にスラスト板を挿入してから焼結軸受8を圧入する。次に、そのブラシホルダ22の付いたブラケット7に、あらかじめ、ブラシ21を固定した接続端子23をそのブラシホルダ22の取り出し口25に挿入する。
ブラシ21にはよく防振ゴムが取り付けられているが本願の実施例1には防振ゴムは付いていない。防振ゴムを付けることが本来好ましいがスペース的に不可能である場合には、不具合現象の原因をよく把握して別の可能な工夫をするようにする。
ブラシは、整流子を回転摺動するに際して、整流子片のスリット間の段差のためにブラシが振動してチャタリングを生じ、大きく見ればブラシ飛びが生じ、ブラシ整流子の本来の作用である整流作用が悪くなる。その現象を防止するために、ブラシ飛びを無くせば良い。
さて、モータの鉄心と絶縁処理について説明する。
モータの鉄心9は珪素鋼板をプレス加工機で打ち抜き、板状の鉄心個片を指定枚数重ね合わせて鉄心のブロックを作り、そのようにして重ね合わせた鉄心のブロックを金型内で加圧しつつ加熱させて、板材の表面にコーティングしていた接着層を固着させて積層させた鉄心を製作する。板材の表面にコーティングされている接着層は熱硬化性のものと熱可塑性のものがあるが、鉄心の部材への固定方法で、熱硬化性か熱可塑性かを使い分けている。本願のようなシャフトと鉄心が固定される場合では熱硬化性接着層のあるものを使用している。熱可塑性でも問題ないが、積層された鉄心に熱が加わる工程がある場合は熱硬化性が好ましい。
珪素鋼板を積層したモ−タ鉄心9の中央部に設けた穴に、シャフト4を圧入固定して、
シャフト4の圧入された鉄心9の組立体を製作する。
その組立体の状態で、モータの鉄心9とシャフト4に絶縁処理膜を施す。その際に、シャフト4の全体に絶縁処理をすると、軸受部の摺動隙間や整流子の挿入に支障があるので、シャフト4に対しては部分的に絶縁処理膜を施す。すなわちシャフトの両端側はマスキングして絶縁処理膜を付けない状態とし、鉄心9との付け根部のシャフト側には絶縁処理膜を付ける。鉄心9の表面には全面に絶縁処理膜が被服している。
絶縁処理膜は、電着塗装膜およびリン酸マンガン処理や黒染処理やスチーム処理の化成処理膜である。図1では絶縁処理膜は電着塗装膜である。
小径モータの場合トルク特性を向上させるためには鉄心の積層厚みを大きくすることである。そうするとモータの全高が決まっているので、整流子12と鉄心9との隙間も小さくしなくてはならない。鉄心9と整流子12との隙間はコイルを配置できるのに可能な限り小さくして、整流子のホルダーの下にコイルの巻回スペースを確保し、絶縁を十分確保している。
鉄心9に電着塗装する場合はカチオン形電着塗装が多い。
さらに、電着塗装膜で鉄心とコイルとの絶縁をしているので、その絶縁処理膜が薄くできることで、コイルを巻回することによって、モ−タの薄型化が可能になり、量産性で安価な絶縁処理膜ができる。
モータの鉄心に化成処理を行う場合でも、実施例1と同様にシャフトを圧入した鉄心状態の組立体で行う。
化成処理膜は電着塗装膜よりも薄くできるので、より小径モータを作ることもできるうえに、マグネットと鉄心との隙間も狭めることができるのでモータのトルク特性を向上させることができる。化成処理のために、膜強度が塗装よりも高いので、ブッシュなどを膜の上に圧入することが容易にできる
本発明の小径モータは整流子片の端子部に突起部を形成することにより整流子片の端子部はホルダーと絶縁リングで挟み込んでガタ付かないように固定されるので組立精度が安定する。例えば携帯用電子機器の携帯カメラのレンズアクチェータ等の駆動用として用いられる小型直流モータの整流子片の移動を抑えることに有用である。
本発明の実施例1による小型モータの断面図 本発明の実施例1によるモータの整流子の斜視図 本発明の実施例1によるブラケットの説明図 フープ状の金属板を示す平面図 本発明の実施例1による整流子の分解斜視図 本発明の実施例1による整流子の固定の説明図 (a)整流子の端子部に形成された半球状の突起部の図(b)整流子の端子部に形成されたかまぼこ状の突起部の図 焼結軸受のポーラス図 ピボットスラスト軸受を示す図 ピボット軸受の荷重を示す図 従来例のモータの構造断面図 従来例のモータアマチュア巻線組立体の図 従来例の整流子の固定の説明図
符号の説明
1、41 駆動マグネット
2、43 フレーム
3 回転子
4、39 シャフト
5 電機子
6、8、44、45 焼結軸受
7 ブラケット
9、38 鉄心
10、42 コイル
11 電着塗装膜
12、46 整流子
13、52 端子部
14、49 ホルダー
15、27、 整流子片
16、50 絶縁リング
17 円筒部
18、51 フランジ部
19、48 円弧部
20 スリット
21、47 ブラシ
22 ブラシホルダ
23 接続端子
24 端部
25 取り出し口
26 クラッド帯
28 連結部
29 金属板
30 エッジ除去空間
31 穴
32 凹部
33 凸部
34 突起部
35 角円弧部
36 ポーラス
37 スラスト板
40 インシュレータ
53 飛び出した規制部
54 半田コテ
Pmax 最大面圧
Tp 摩擦トルク
a 係数
b 係数
r シャフトの先端球形状の半径
d シャフト径

Claims (3)

  1. 樹脂成形されたホルダーと複数個の整流子片と絶縁リングを具備し、前記ホルダーは円筒部とその円筒部の一端側に形成された円筒部径よりも大きなフランジ部とを有し、前記円筒部の中心にはシャフト挿入用の穴が形成され、前記整流子片は円弧部とこの円弧部に対し略直角に折り曲がった端子部とからなり、前記ホルダーのフランジ部に前記整流子片の端子部を、また前記ホルダーの円筒部に前記整流子片の円弧部をそれぞれ対応させて装着し、前記整流子片の円弧部に前記絶縁リングを圧入し、この絶縁リングと前記ホルダーのフランジとの間に前記整流子片の端子部を挟み込んで構成される組立整流子において、前記整流紙片の端子部の一部に突起部を形成し、この突起部と前記絶縁リングを当接させて固定する構成とした事を特徴とするブラシ付きモータ。
  2. 整流子片の端子部に形成した突起部は端子部の幅の中央部に設けた半球状の突起であることを特徴とする請求項1記載のモータ。
  3. 整流子片の端子部に形成した突起部は端子部の幅の全面に及んだかまぼこ状の突起であることを特徴とする請求項1記載のモータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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