JP2005073189A - 符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 理論限界により近い高性能な符号化並びに復号化を行なう。
【解決手段】 符号化装置は、符号化率がk/pの符号化を行なう外符号と、符号化されたp個のビット系列からなるデータの順序を置換して並べ替えるインターリーバと、符号化率がp/nの符号化を行なう内符号を備える。内符号は、外符号とのEXITチャートを描画したときに、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4dBを加算した値以下のEb/NOにおいて、外符号の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つ。
【選択図】 図5
【解決手段】 符号化装置は、符号化率がk/pの符号化を行なう外符号と、符号化されたp個のビット系列からなるデータの順序を置換して並べ替えるインターリーバと、符号化率がp/nの符号化を行なう内符号を備える。内符号は、外符号とのEXITチャートを描画したときに、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4dBを加算した値以下のEb/NOにおいて、外符号の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つ。
【選択図】 図5
Description
本発明は、入力データに対して符号化変調を行なう符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、入力データに対して縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を行なう符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を用いて、理論限界により近い高性能な符号化並びに復号化を行なう符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
近年、例えば、移動体通信や宇宙通信といった通信分野や、地上波又は衛星ディジタル放送といった放送分野、及び記録媒体に対する記録及び/又は再生を行なう磁気、光又は光磁気記録分野の研究が著しく進められている。この種の情報伝達や情報蓄積などを行なう際、情報源からの出力はブラックボックスを通過して情報使用者の手許に届く。
情報通信や放送であれば、ブラックボックスは伝送路に相当する。ここで、伝送の途中でノイズが加わり、情報源からの入力情報の一部が損なわれる事態が考えられる。また、情報蓄積の場合、ブラックボックスは記録媒体に相当するが、記録媒体内に存在する欠陥が、ノイズと同様に入力情報を損なうことがある。
このため、誤り訂正符号化及び復号の効率化を目的として符号理論の研究も盛んに行なわれている。すなわち、情報通信や情報蓄積の技術分野では一般に、情報源出力をブラックボックスに渡す前に、符号化器を用いて冗長度を付加することにより、ノイズに抗して誤りなく情報伝達できるようにする。また、ブラックボックスから受け取ったデータを、復号器ではこの冗長度を利用して誤りの検出や訂正を行って、情報源出力にできるだけ近い推定値を情報使用者に提供するようにしている。略言すれば、符号化及び復号化の役割は、伝送又は蓄積データに冗長ビットを付加することにより、誤りを検出し訂正する機能をデータ自体に持たせることにある。
符号性能の理論的限界として、いわゆるシャノンの通信路符号化定理により与えられる「シャノン限界」が知られている。ここで、シャノンの通信路符号化定理とは、「通信路容量C(ビット/シンボル)の通信路を用いて伝送速度R(ビット/シンボル)で情報を伝送する場合に、R≦Cであるならば、誤り確率を限りなく0に近づけることができる符号化方法が存在する」という定理であり、シャノン限界とは、誤りなしに送信可能な伝送速度の理論上の限界である。
このシャノン限界に近い性能を示す符号化方法として、縦列連接畳み込み符号(Serially Concat enated Convolutional Codes(以下、「SCCC」と記す))による符号化方法(例えば、非特許文献1を参照のこと)が知られている。
縦列連接畳み込み符号による符号化は、2つの畳み込み符号化器とインターリーバとを縦列に連接して構成される装置により行なわれる。そして、この縦列連接畳み込み符号の復号は、軟出力(soft−output)を出力する2つの復号回路を縦列に連接して構成される装置により行なわれ、2つの復号回路の間で情報をやり取りし、最終的な復号結果が得られる。
また、この縦列連接畳み込み符号による符号化の応用として、縦列連接符号化変調(Serial Concatenated Trellis Coded Modulation:以下、SCTCMと記す)方式も知られている(例えば、非特許文献2を参照のこと)。このSCTCM方式は、縦列連接畳み込み符号による符号化と多値変調とを組み合わせたものであり、変調信号の信号点の配置と誤り訂正符号の復号特性とを統括して考慮するものである。
ここて、SCCC及びSCTCM方式による符号化を行なう符号化装置、並びにSCCC及びSCTCM方式による符号の復号を行なう復号装置について説明する。
まず、SCCC方式による符号化装置について説明する。以下の説明では、図22に示すように、ディジタル情報を図示しない送信装置が備える符号化装置501により縦列連接畳み込み符号化し、その出力を雑音のある無記憶通信路502を介して図示しない受信装置に入力して、この受信装置が備える復号装置503により復号し、観測する場合を考える。
SCCC方式による符号化を行なう符号化装置501としては、例えば図23に示すように、第1の符号(以下、「外符号」と記す)の符号化を行なう畳み込み符号化器510と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ520と、第2の符号(以下、「内符号」と記す)の符号化を行なう畳み込み符号化器530を備えるものがある。図示の符号化装置501では、入力した1つのビット系列からなる入力データD501に対して符号化率が1/2の縦列連接畳み込み演算を行ない、2つのビット系列からなる符号化データD504に変換し、順次、無記憶通信路502に出力する。
内符号としての畳み込み符号化器510は、図24に示すように、2つのシフト・レジスタと、3つの排他的論理和回路を備えている。シフト・レジスタは、保持している1ビットのデータを後段の回路に供給し続ける。そして、シフト・レジスタは、クロックに同期させて、1ビットの入力データを新たに保持し、この入力データを後段の回路に新たに供給する。また、排他的論理和回路は、入力される複数のデータを用いて排他的論理和演算を行ない、演算結果を1ビットのデータとして後段の回路に供給する。
図24に示す畳み込み符号化器510は、1つのビット系列からなる入力データD501を入力すると、この入力データD501に対して畳み込み演算を行ない、演算結果を2つのビット系列からなる符号化データD502として後段のインターリーバ520に出力する。すなわち、畳み込み符号化器510は、外符号の符号化として符号化率が1/2の畳み込み演算を行ない、符号化データD502を後段のインターリーバ520に出力する。
インターリーバ520は、図25に示すように、入力したデータを保持する入力データ保持メモリと、入力したデータの順序の並べ替え(置換)を行なうデータ置換回路と、データの置換位置情報を格納する置換データROM(Read Only Memory)と、出力するデータを保持する出力データ保持メモリを備えている。
図25に示すインターリーバ520では、畳み込み符号化器510から出力された2つのビット系列からなる符号化データD502にインターリーブを施し、生成した2ビットの系列からなるインターリーブ・データD503を後段の畳み込み符号化器530に出力する。
外符号としての畳み込み符号化器530は、図26に示すように、2つの排他的論理和回路と、2つのシフト・レジスタを備えている。図示の畳み込み符号化器530では、インターリーバ520からの2つのビット系列からなるインターリーブ・データD503を入力すると、インターリーブ・データD503に対して畳み込み演算を行ない、演算結果を符号化データD504とする。すなわち、畳み込み符号化器530は、内符号の符号化として符号化率が2/2の畳み込み演算を行ない、符号化データD504を外部に出力する。
このような符号化装置501は、畳み込み符号化器510により外符号の符号化として符号化率が1/2の畳み込み演算を行ない、畳み込み符号化器530により内符号の符号化として符号化率が2/2の畳み込み演算を行なうことによって、全体として、符号化率が(1/2)×(2/2)=1/2の縦列連接畳み込み演算を行なう。この符号化装置501により符号化されたデータは、無記憶通信路502を介して受信装置に出力される。
一方、符号化装置501によるSCCC方式の符号の復号を行なう復号装置503としては、例えば図27に示すように、内符号の復号を行なう軟出力復号回路570と、入力したデータの順序を元に戻すデインターリーバ580と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ590と、外符号の復号を行なう軟出力復号回路600で構成される。この復号装置503は、無記憶通信路502上で発生したノイズの影響によりアナログ値をとり軟入力(soft−input)とされる受信語D507から符号化装置501における入力データD501を推定し、復号データD513として出力する。
ここで、軟出力復号回路570は、符号化装置501における畳み込み符号化器530に対応して備えられるものであり、いわゆるBCJR(Bahl,Cocke,Jelinek and Raviv)アルゴリズムに基づくMAP(Maximum A Posteriori probability)復号やSOVA(Soft Output Viterbi Algorithm)復号を行なう。図示の例では、軟出力復号回路570は、軟入力の2つの受信語D507を入力するとともに、インターリーバ590から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報D509を入力し、これらの受信語D507と事前確率情報D509とを用いて、内符号の軟出力復号を行なう。そして、軟出力復号回路570は、符号の拘束条件により求められる情報ビットに対する外部情報D510を生成し、この外部情報D510を後段のデインターリーバ580に軟出力として出力する。なお、外部情報D510は、符号化装置501におけるインターリーバ520によりインターリーブされたインターリーブ・データD503に対応するものである。
デインターリーバ580は、符号化装置501におけるインターリーバ520によりインターリーブされたインターリーブ・データD503のビット配列を、それぞれ元の符号化データD502のビット配列に戻すように、軟出力復号回路570から出力される軟入力の外部情報D510にデインターリーブを施す。そして、デインターリーブして得られたデータを後段の軟出力復号回路600における符号ビットに対する事前確率情報D511として出力する。
インターリーバ590は、軟出力復号回路600から出力された軟入力である符号ビットに対する外部情報D512に対して、符号化装置501におけるインターリーバ520と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。そして、インターリーブして得られたデータを軟出力復号回路570における情報ビットに対する事前確率情報D509として出力する。
軟出力復号回路600は、符号化装置501における畳み込み符号化器510に対応して配設され、軟出力復号回路570と同様に、BCJRアルゴリズム(前述)に基づくMAP復号やSOVA復号を行なう。軟出力復号回路600は、デインターリーバ580から出力された軟入力の符号ビットに対する事前確率情報D511を入力するとともに、値が0である情報ビットに対する事前確率情報を入力し(図示しない)、これらの事前確率情報を用いて、外符号の軟出力復号を行なう。そして、軟出力復号回路600は、符号の拘束条件により求められる符号ビットに対する外部情報D512を生成し、この外部情報D512をインターリーバ590に軟出力として出力する。また、軟出力復号回路600は、符号の拘束条件により求められる情報ビットに対する外部情報を生成し、この外部情報に基づいて、硬出力(hard−output)の復号データD513を出力する(図示しない)。
このような復号装置503は、受信語D507を受信すると、軟出力復号回路570乃至軟出力復号回路600の復号動作を例えば数回乃至数十回といった所定の回数だけ反復して行ない、所定回数の復号動作の結果として得られた軟出力の外部情報に基づいて、復号データD513を出力する。
次に、SCTCM方式による符号化装置について説明する。但し、符号化装置401及び復号装置403は、それぞれ図22に示した通信モデルにおける符号化装置501及び復号装置503に代わるものであることは言うまでもない。
符号化装置401は、図28に示すように、外符号の符号化を行なう畳み込み符号化器410と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ420と、内符号の符号化を行なう畳み込み符号化器430と、所定の変調方式に基づいて信号点のマッピングを行なう多値変調マッピング回路440を備えている。この符号化装置401は、入力した2ビットの入力データD401に対して、符号化率が2/3の縦列連接畳み込み演算を行ない、3ビットの符号化データD404に変換し、例えば8PSK変調方式の伝送シンボルにマッピングして、3ビットの1つの符号化伝送シンボルD405として出力する。
畳み込み符号化器410は、図29に示すように、3つの排他的論理和回路411、413、415と、2つのシフト・レジスタ412,414で構成される。図示の畳み込み符号化器410は、2ビットの入力データD4011及びD4012を入力すると、これらの入力データに対して畳み込み演算を行ない、演算結果を3ビットの符号化データD4021、D4022、D4023として後段のインターリーバ420に出力する。すなわち、畳み込み符号化器410は、外符号の符号化として符号化率が2/3の畳み込み演算を行ない、符号化データD402を後段のインターリーバ420に出力する。
インターリーバ420は、図25に示したインターリーバ520と同様の構成であり、3ビットの入出力を行なう。インターリーバ420は、畳み込み符号化器410から出力された3つのビット系列からなる符号化データD402を入力し、あらかじめ格納している置換位置情報に基づいてこの入力データD402を構成する各ビットの順序を並べ替えて、インターリーブ・データD403を生成する。
畳み込み符号化器430は、図30に示すように、排他的論理和回路431と、シフト・レジスタ432で構成される。図示の畳み込み符号化器430は、3ビットのインターリーブ・データD4031、D4032、D4033を入力すると、これらに対して畳み込み演算を行ない、演算結果を3ビットの符号化データD4041、D4042、D4043として後段の多値変調マッピング回路440に出力する。すなわち、畳み込み符号化器430は、内符号の符号化として符号化率が3/3=1の畳み込み演算を行ない、符号化データD404を後段の多値変調マッピング回路440に出力する。
多値変調マッピング回路440は、畳み込み符号化器430から出力された符号化データD404を、クロックに同期させて、例えば8PSK変調方式の伝送シンボルにマッピングする。図示の例では、畳み込み符号化器430から出力された3ビットの符号化データD404を1つの伝送シンボルとしてマッピングし、1つの符号化伝送シンボルD405を生成する。そして、生成した符号化伝送シンボルD405を外部に出力する。
このような符号化装置401は、畳み込み符号化器410により外符号の符号化として符号化率が2/3の畳み込み演算を行ない、畳み込み符号化器430により内符号の符号化として符号化率が1の畳み込み演算を行なうことによって、全体として、符号化率が(2/3)×1=2/3の縦列連接畳み込み演算を行なう。この符号化装置401により符号化され且つ変調されたデータは、無記憶通信路502を介して受信装置に出力される。
一方、復号装置403は、図31に示すように、内符号の復号を行なう軟出力復号回路450と、入力したデータの順序を元に戻すデインターリーバ460と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ470と、外符号の復号を行なう軟出力復号回路480で構成される。図示の復号装置403は、無記憶通信路502上で発生したノイズの影響によりアナログ値をとり軟入力とされる受信語D406から符号化装置401における入力データD401を推定し、復号データD411として出力する。
軟出力復号回路450は、符号化装置401における畳み込み符号化器410に対応して配設され、BCJRアルゴリズム(前述)に基づくMAP復号やSOVA復号を行なう。軟出力復号回路450は、受信装置により受信された軟入力の受信語D406を入力するとともに、インターリーバ470から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報D407を入力し、これらの受信語D406と事前確率情報D407とを用いて、内符号の軟出力復号を行なう。そして、符号の拘束条件により求められる情報ビットに対する外部情報D408を生成して後段のデインターリーバ460に軟出力として出力する。なお、この外部情報D408は、符号化装置401におけるインターリーバ420によりインターリーブされたインターリーブ・データD403に対応する。
デインターリーバ460は、符号化装置401におけるインターリーバ420によりインターリーブされたインターリーブ・データD403のビット配列を、それぞれ元の符号化データD402のビット配列に戻すように、軟出力復号回路450から出力される軟入力の外部情報D408にデインターリーブを施す。そして、デインターリーブして得られたデータを後段の軟出力復号回路480における符号ビットに対する事前確率情報D409として出力する。
インターリーバ470は、軟出力復号回路480から出力された軟入力である符号ビットに対する外部情報D410に対して、符号化装置401におけるインターリーバ420と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。そして、インターリーブして得られたデータを軟出力復号回路450における情報ビットに対する事前確率情報D407として出力する。
軟出力復号回路480は、符号化装置401における畳み込み符号化器410に対応して配設され、軟出力復号回路450と同様に、BCJRアルゴリズム(前述)に基づくMAP復号やSOVA復号を行なう。軟出力復号回路480は、デインターリーバ460から出力された軟入力の符号ビットに対する事前確率情報D409を入力するとともに、値が0である情報ビットに対する事前確率情報を入力し(図示しない)、これらの事前確率情報を用いて外符号の軟出力復号を行なう。そして、符号の拘束条件により求められる符号ビットに対する外部情報D410を生成し、インターリーバ470に軟出力として出力する。また、軟出力復号回路480は、符号の拘束条件により求められる情報ビットに対する外部情報を生成し、この外部情報に基づいて、硬出力の復号データD411を出力する(図示しない)。
図31に示す復号装置403は、受信語D406を受信すると、軟出力復号回路450乃至軟出力復号回路480の復号動作を例えば数回乃至数十回といった所定の回数だけ反復して行ない、所定回数の復号動作の結果として得られた軟出力の外部情報に基づいて、復号データD411を出力する。
ところで、符号化装置501と復号装置503により構成されるシステム、及び符号化装置401と復号装置403により構成されるシステムは、性能が理論限界と十分に差があるという問題がある。
これを具体的に説明するために、ビット・エラー・レートの対数表示log10BERと、1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOとの関係で示される性能曲線を図32及び図33にそれぞれ示している。なお、図33においては、符号化装置401における多値変調マッピング回路440は、図34に示すように信号点をマッピングし、最小ユークリッド距離となる符号語間の入力距離総和を16としている。
図32から明らかなように、符号化装置501と復号装置503により構成されるシステムにおける性能曲線は、Eb/NOが約2.0dB付近からウォーターフォール現象を呈することが判る。この符号化率での理論限界は0.2dB程度であるため、未だ改善の余地が残るのが実情である。
また、図33から明らかなように、符号化装置401と復号装置403とにより構成されるシステムにおける性能曲線は、Eb/NOが約3.4dB付近からウォーターフォール現象を呈することが判る。この符号化率での理論限界は2.8dB程度であるため、未だ改善の余地が残るのが実情である。
S.Benedetto、G.Montorsi、D.Divsalar、F.Pollara著"Serial Concatenation of Interleaved Codes:Performance Analysis,Design,and Iterative Decoding"(TDA Progress Report 42−126,Jet PropulsionLaboratory, Pasadena,California,Aug 15,1996)
D.Divsalar、F.Pollara著"Serial and Hybrid Concatenation Codes with Applications"(in Proc.,Int.Symp.on Turbo Codes and Related Topics,Brest,France,pp.80−87,Sept.1997)
本発明の目的は、入力データに対して縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を好適に行なうことができる、優れた符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を用いて、理論限界により近い高性能な符号化並びに復号化を行なうことができる、優れた符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、入力されたデータに対して縦列連接符号化を行なう符号化装置であって、入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行なう第1の符号化手段と、前記第1の符号化手段により符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換手段と、前記置換手段により置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備えている。
ここで、前記第2の符号化手段は、前記置換手段から供給されたp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答部と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答部を備えている。
また、前記置換手段は、前記第1の符号化手段から供給された前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化手段の無限インパルス応答部に入力されるビット系列とそれ以外のビット系列とが互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替える。
また、前記第2の符号化手段は、前記第1の符号化手段とのEXITチャートを描画したときに、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下のEb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように構成されている。
本発明に係る符号化装置によれば、第1の符号化手段によって、入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行ない、置換手段によって、第1の符号化手段から供給されたp個のビット系列からなるデータに対して、所定のビット系列に入力されたデータがある特定のビット系列から出力されないように順序を置換して並べ替え、第2の符号化手段によって、置換手段から供給されたp個のビット系列からなるデータに関し、符号化率がk/pの符号化を行なう。
また、本発明に係る符号化装置は、符号化を行なう第2の符号化手段と、前記第2の符号化手段により符号化されたn個のビット系列からなるデータを所定の変調方式の伝送シンボルにマッピングするマッピング手段を備えていてもよい。このような場合、前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段は、前記第1の符号化手段とのEXITチャートを描画したときに、同符号化率且つ同変調方 式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように構成する。
また、本発明の第2の側面は、本発明の第1の側面に係る符号化装置により縦列連接符号化若しくは縦列連接符号化変調された符号の復号を行なう復号装置であって、第2の符号化手段に対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号手段と、この第1の軟出力復号手段に縦列に連接し、第1の置換手段により並べ替えられたp個のビット系列からなるデータのビット配列を、第1の符号化手段により符号化されたp個のビット系列からなるデータのビット配列に戻すように、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換手段と、第1の符号化手段に対応して備えられ且つ逆置換手段に縦列に連接し、逆置換手段から出力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号手段と、符号化装置側の置換手段と同一の置換位置情報に基づいて、第2の軟出力復号手段から出力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換手段を備える。
ここで、第1の軟出力復号手段は、情報ビットに対する事前確率情報として、第2の置換手段から出力された軟入力のデータを入力する。
本発明に係る復号装置によれば、縦列連接符号化若しくは縦列連接符号化変調された符号に対し、第1の軟出力復号手段によって、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行ない、逆置換手段によって、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替え、第2の軟出力復号手段によって、逆置換手段から出力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行ない、第2の置換手段によって、符号化装置側の置換手段と同一の置換位置情報に基づいて、第2の軟出力復号手段から出力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各ビットの順序を置換して並べ替える。
また、本発明の第3の側面は、入力されたデータに対して縦列連接符号化を行なうための符号化処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行なう第1の符号化ステップと、
前記第1の符号化ステップにおいて符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換ステップと、
前記置換ステップにおいて置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備え、
前記第2の符号化ステップでは、前記置換ステップで出力されるp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答を行ない、
前記置換ステップでは、前記第1の符号化ステップで出力される前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化ステップの無限インパルス応答処理に投入されるビット系列とそれ以外のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替え、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップが構成されている、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行なう第1の符号化ステップと、
前記第1の符号化ステップにおいて符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換ステップと、
前記置換ステップにおいて置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備え、
前記第2の符号化ステップでは、前記置換ステップで出力されるp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答を行ない、
前記置換ステップでは、前記第1の符号化ステップで出力される前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化ステップの無限インパルス応答処理に投入されるビット系列とそれ以外のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替え、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップが構成されている、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
また、本発明の第4の側面は、本発明の第3の側面に係るコンピュータ・プログラムを実行することにより縦列連接符号化された符号の復号を行なうための復号処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記第2の符号化ステップに対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号ステップと、
前記第1の軟出力復号ステップに縦列に連接し、前記置換ステップにおいて並べ替えられたp個のビット系列からなるデータの配列を、前記第1の符号化ステップにより符号化されたp個のビット系列からなるデータの配列に戻すように、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換ステップと、
前記第1の符号化ステップに対応して備えられ且つ前記逆置換ステップに縦列に連接し、前記逆置換ステップで出力される軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報を用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号ステップと、
前記置換ステップと同一の置換位置情報に基づいて、前記第2の軟出力復号ステップで出力される軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換ステップとを備え、
前記第1の軟出力復号ステップでは、前記情報ビットに対する事前確率情報として、前記第2の置換ステップで出力される軟入力のデータを入力する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
前記第2の符号化ステップに対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号ステップと、
前記第1の軟出力復号ステップに縦列に連接し、前記置換ステップにおいて並べ替えられたp個のビット系列からなるデータの配列を、前記第1の符号化ステップにより符号化されたp個のビット系列からなるデータの配列に戻すように、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換ステップと、
前記第1の符号化ステップに対応して備えられ且つ前記逆置換ステップに縦列に連接し、前記逆置換ステップで出力される軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報を用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号ステップと、
前記置換ステップと同一の置換位置情報に基づいて、前記第2の軟出力復号ステップで出力される軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換ステップとを備え、
前記第1の軟出力復号ステップでは、前記情報ビットに対する事前確率情報として、前記第2の置換ステップで出力される軟入力のデータを入力する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第3及び第4の各側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第3及び第4の各側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1及び第2の各側面に係る符号化装置及び復号装置と同様の作用効果をそれぞれ得ることができる。
本発明によれば、入力データに対して縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を好適に行なうことができる、優れた符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、縦列連接符号化及び縦連接符号化変調を用いて、理論限界により近い高性能な符号化並びに復号化を行なうことができる、優れた符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明によれば、外符号の出力をIIR成分に限定した自由距離dqf O>1となる内符号IIR成分へ入力される出力ビット系列の選び方ができるだけ多くなる符号化率k/pの外符号と、内符号FIR成分に入力されるビット系列の組と内符号IIR成分に入力されるビット系列の2個以上の組とが互いに混ざらないようにインターリーブするインターリーバと、pF個のFIR入力成分と(p−pF)個のIIR入力成分から構成される符号化率p/nの内符号と、入力距離1の送信シンボルの組が比較的小さいユークリッド距離にあり且つbdfreeが変調方式毎に決められた一定の値以下であるような変調器によって、SCTCM又はSCCCの符号を構成することにより、従来よりも高性能のSCTCM又はSCCCを得ることができる。
また、本発明に係る復号装置によれば、縦列連接符号化若しくは縦列連接符号化変調された符号に対し、第1の軟出力復号手段によって、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行ない、逆置換手段によって、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替え、第2の軟出力復号手段によって、逆置換手段から出力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行ない、第2の置換手段によって、第1の置換手段と同一の置換位置情報に基づいて、第2の軟出力復号手段から出力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各ビットの順序を置換して並べ替えることによって、回路規模が小さく且つ高い性能での縦列連接符号化方式及び縦列連接符号化変調方式により符号化された符号の復号を行なうことができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
本発明は、従来構成の符号化装置及び復号装置では理論限界に対し未だ改善の余地があるということに鑑み、より高い性能での符号化並びに復号を行なうことができる符号化装置並びに復号装置について提案する。
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態について、SCCCとSCTCMの両方の場合について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、SCTCMの場合について説明する。
本発明の第1の実施形態について、SCCCとSCTCMの両方の場合について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、SCTCMの場合について説明する。
図35には、本発明の一実施形態に係るデータ符号化・復号システムの構成を模式的に示している。図示のシステムは、ディジタル情報を図示しない送信装置が備える符号化装置1により符号化し、その出力を雑音のある無記憶通信路2を介して図示しない受信装置に入力して、この受信装置が備える復号装置3により復号する通信モデルに適用したデータ送受信システムである。
図示のデータ送受信システムにおいて、符号化装置1は、縦列連接符号化変調(SCTCM)方式による符号化を行なう。外符号としての第1の符号では、畳み込み演算により符号化率が2/3の符号化を行なう。また、内符号としての第2の符号では、畳み込み演算により、符号化率が3/3=1の符号化を行なう。特に、符号化装置1は、1ビット当りの信号対雑音電力比が低いところからウォーターフォール領域が現れ、さらに高いビット・エラー・レートでのいわゆるエラーフロアの出現を抑制することができる(後述)。また、復号装置3は、このような符号化装置1によりSCTCM方式による符号化がなされた符号の復号が可能である。
符号化装置1は、図36に示すように、畳み込み演算を行なう第1の符号化手段及び第2の符号化手段としての2つの畳み込み符号化器10、30と、入力したデータの順序を並べ替える置換手段としてのインターリーバ20と、所定の変調方式に基づいて信号点のマッピングを行なうマッピング手段としての多値変調マッピング回路40を備えている。図示の符号化装置1は、入力した2つのビット系列からなる入力データD1に対して、符号化率が2/3の縦列連接畳み込み演算を行ない、3つのビット系列からなる符号化データD4に変換し、例えば8PSK(8−Phase Shift Keying)変調方式の伝送シンボルにマッピングして3ビットを1つの符号化伝送シンボルD5として出力する。
ここでは、符号化装置1についての詳細な説明に先立って、当該符号化装置1を実現する2つの条件について説明する。
符号化装置1を実現する2つの条件のうち、第1の条件は、内符号の符号化を行なう畳み込み符号化器30として、入力する3つのビット系列からなるデータのうち少なくとも1つのビット系列のデータを畳み込み演算に関与させないか若しくは有限長インパルス応答(Finite Impulse Response:以下、FIRと略記する)型の符号として用い、それ以外のデータを無限長インパルス応答(Infinite Impulse Response:以下、IIRと略記する)型の符号として再帰的組織畳み込み演算に用いることである。
この第1の条件は、符号性能を示す上で一般的に用いられるビット・エラー・レート(BER)の対数表示(log10BER)と、1ビット当りの信号対雑音電力比(Eb/NO)との関係で示される性能曲線において、いわゆるウォーターフォール領域が低いEb/NOから現れることから導入されるものである。
第1の条件を満たすように内符号の符号化を行なう畳み込み符号化器30を構成して用いた場合の性能曲線は、例えば図37に示すようになる。なお、同図においては、畳み込み符号化器10による外符号の符号化として、次式(1)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器30による内符号の符号化として、次式(2)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行ない、多値変調マッピング回路40による信号点のマッピングとして、図38に示したように信号点をマッピングした場合についての性能曲線を示している。
図37に示す性能曲線は、低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するが、ビット・エラー・レートが対数表示で約10-3という高い値でエラーフロア現象を呈する。
そこで、符号化装置1を実現する2つの条件のうち、第2の条件として、このように高いビット・エラー・レートでのエラーフロアの出現を抑制することを導入する。
ここで、エラーフロアが出現する原因としては、畳み込み符号化器10による外符号をインターリーブした結果、外符号のすべての重みが内符号で符号化されない確率、すなわち外符号の最小重み4となるすべての重みが畳み込み符号化器30における畳み込み演算に関与されずにそのまま出力される確率である(1/3)4に支配されていると考えられる。なお、出力される3つのビット系列からなるデータのうち1つのビット系列に、畳み込み符号化器10による外符号の重みが集中することがないことは一般に知られている。
このことから、第2の条件を満たすためには、外符号のすべての重みが畳み込み符号化器30におけるFIR型の符号として入力されないようにすればよい。ここでは、インターリーバ20に工夫を凝らすことによって、外符号のすべての重みが畳み込み符号化器30におけるFIR型の符号として入力される現象を回避することを提案する。このようなインターリーバ20としては、さまざまなものが考えられるが、一例として、入力する3ビットのデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施すことが考えられる。
実際に、入力する3つのビット系列からなるデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施した場合の性能曲線を求めると、例えば図39に示すようになる。なお、同図においても、畳み込み符号化器10による外符号の符号化として、上式(1)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器30による内符号の符号化として、上式(2)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行ない、多値変調マッピング回路40による信号点のマッピングとして、図38に示したように信号点をマッピングした場合についての性能曲線を示している。
図39に示す性能曲線は、低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するとともに、高いビット・エラー・レートでエラーフロア現象を呈することがない。
以下、このような2つの条件を満足する符号化装置1について具体的に説明する。
符号化装置1において、畳み込み符号化器10としては、例えば図40に示すように、3つの排他的論理和回路11、13、15と、2つのシフト・レジスタ12、14で構成されるものが考えられる。
排他的論理和回路11は、複数ビットの入力データを用いて排他的論理和演算を行ない、演算結果を後段の回路に供給する。その他の排他的論理和回路13、15も同様である。
シフト・レジスタ12は、保持している1ビットのデータを後段の回路に供給し続け、クロックに同期させて、入力される1ビットのデータを新たに保持し、このデータを後段の回路に新たに供給する。シフト・レジスタ14も同様である。
このような畳み込み符号化器10は、2つのビット系列からなる入力データD11、D12を入力すると、これらの入力データD11、D12に対して畳み込み演算を行ない、演算結果を3つのビット系列からなる符号化データD21、D22、D23として後段のインターリーバ20に出力する。すなわち、畳み込み符号化器10は、外符号の符号化として符号化率が2/3の畳み込み演算を行ない、符号化データD2を後段のインターリーバ20に出力する。
インターリーバ20は、上述した第2の条件を満たすものとしてさまざまなものが考えられるが、ここでは差し当たって上述したように、3つのビット系列からなる符号化データD21、D22、D23に対してそれぞれ個別的にインターリーブを施すものとして説明する。インターリーバ20は、図41に示すように、符号化データD21に対してインターリーブを施すインターリーバ201と、符号化データD22に対してインターリーブを施すインターリーバ202と、符号化データD23に対してインターリーブを施すインターリーバ203を備えている。
インターリーバ201は、入力したデータを保持する入力データ保持メモリ211と、入力したデータの順序の並べ替え(置換)を行なうデータ置換回路221と、データの置換位置情報を格納する置換データROM(Read Only Memory)231と、出力するデータを保持する出力データ保持メモリ241で構成される。
入力データ保持メモリ211は、畳み込み符号化器10から出力された3つのビット系列からなる符号化データD2のうちの1つのビット系列の符号化データD21を入力して保持し、この符号化データD21を所定のタイミングでデータ置換回路221に供給する。
データ置換回路221は、置換データROM231に格納されているデータの置換位置情報に基づいて、入力データ保持メモリ211から供給された符号化データD21の順序の並べ替えを行なう。データ置換回路221は、並べ替えたデータを出力データ保持メモリ241に供給する。
置換データROM231は、例えば発生した乱数に基づいて決定されたデータの置換位置情報を格納する。すなわち、インターリーバ201は、この置換位置情報に基づいてデータのインターリーブを行なうランダム・インターリーバとして構成される。置換データROM231に格納されている置換位置情報は、随時データ置換回路221により読み出される。
出力データ保持メモリ241は、データ置換回路221から供給されるデータを保持し、これらのデータを3つのビット系列からなるインターリーブ・データD3のうちの1つのビット系列のインターリーブ・データD31として、所定のタイミングで後段の畳み込み符号化器30に出力する。
このようなインターリーバ201は、畳み込み符号化器10から出力された符号化データD21にインターリーブを施し、後段の畳み込み符号化器30に出力する。
より具体的には、入力データ保持メモリ211は、畳み込み符号化器10から出力された符号化データD21を順次入力して保持する。入力データ保持メモリ211は、所定のタイミングで、例えば、符号化データD21を構成する各ビットを順次保持し、Nビット(Nは任意の自然数)からなるビット系列が生成されたタイミングで、保持しているデータをデータ置換回路221に供給する。
続いて、データ置換回路221は、置換データROM231に格納されている置換位置情報に基づいて、入力データ保持メモリ211から供給されたビット系列を構成するN個の各ビットの順序を並べ替える。データ置換回路221は、並べ替えにより得られた新たなビット系列を出力データ保持メモリ241に供給する。
そして、出力データ保持メモリ241は、データ置換回路221から供給されたビット系列を構成する各ビットを保持し、保持したデータをインターリーブ・データD31として、所定のタイミングで後段の畳み込み符号化器30に出力する。
このように、インターリーバ201は、畳み込み符号化器10から出力された符号化データD21を入力し、この符号化データD21を構成する各ビットの順序をあらかじめ格納している置換位置情報に基づいて並べ替え、インターリーブ・データD31を生成する。
また、インターリーバ202は、インターリーバ201と同様に、入力データ保持メモリ212と、データ置換回路222と、置換データROM232と、出力データ保持メモリ242とを有し、畳み込み符号化器10から出力された符号化データD22を入力し、この符号化データD22を構成する各ビットの順序をあらかじめ格納している置換位置情報に基づいて並べ替え、インターリーブ・データD32を生成し、後段の畳み込み符号化器30に出力する。
さらに、インターリーバ203は、インターリーバ201と同様に、入力データ保持メモリ213と、データ置換回路223と、置換データROM233と、出力データ保持メモリ243を備え、畳み込み符号化器10から出力された符号化データD23を入力し、この符号化データD23を構成する各ビットの順序をあらかじめ格納している置換位置情報に基づいて並べ替え、インターリーブ・データD33を生成し、後段の畳み込み符号化器30に出力する。
このように、インターリーバ20は、3つのインターリーバ201、202、203によって、3つのビット系列からなる符号化データD21、D22、D23に対してそれぞれ個別的にインターリーブを施し、3つのビット系列からなるインターリーブ・データD31、D32、D33を生成する。
畳み込み符号化器30としては、例えば図42に示すように、排他的論理和回路31と、シフト・レジスタ32とを有するものが考えられる。
排他的論理和回路31は、2ビットのインターリーブ・データD32、D33を用いて排他的論理和演算を行ない、演算結果を3ビットからなる符号化データD4のうちの1ビットの符号化データD43として後段の多値変調マッピング回路40に出力するとともに、シフト・レジスタ32に供給する。
シフト・レジスタ32は、保持している1ビットのデータを排他的論理和回路31に供給し続ける。そして、シフト・レジスタ32は、クロックに同期させて、排他的論理和回路31から供給される1ビットのデータを新たに保持し、このデータを排他的論理和回路31に新たに供給する。
このような畳み込み符号化器30は、3つのビット系列からなるインターリーブ・データD31、D32、D33を入力すると、インターリーブ・データD31を畳み込み演算に関与させずにそのまま後段の多値変調マッピング回路40に符号化データD41として出力するとともに、インターリーブ・データD32並びにD33に対して再帰的組織畳み込み演算を行ない、演算結果を符号化データD42、D43として後段の多値変調マッピング回路40に出力する。すなわち、畳み込み符号化器30は、上述した第1の条件を満たすべく、インターリーブ・データD31をFIR型の符号として用い、それ以外のインターリーブ・データD32、D33をIIR型の符号として再帰的組織畳み込み演算に用いる。畳み込み符号化器30は、内符号の符号化として符号化率が3/3=1の畳み込み演算を行ない、符号化データD4を後段の多値変調マッピング回路40に出力する。
多値変調マッピング回路40は、畳み込み符号化器30から出力された符号化データD4を、クロックに同期させて、上述した第2の条件を満たしつつ、例えば8PSK変調方式の伝送シンボルにマッピングする。すなわち、多値変調マッピング回路40は、畳み込み符号化器30から出力された3ビットの符号化データD4を上述した第2の条件を満たしつつ1つの伝送シンボルとしてマッピングし、1つの符号化伝送シンボルD5を生成する。多値変調マッピング回路40は、生成した符号化伝送シンボルD5を外部に出力する。
このような符号化装置1は、上述した第1乃至第2の条件を満たし、畳み込み符号化器10により外符号の符号化として符号化率が2/3の畳み込み演算を行ない、畳み込み符号化器30により内符号の符号化として符号化率が1の畳み込み演算を行なうことによって、全体として符号化率が(2/3)×1=2/3の縦列連接畳み込み演算を行なうことができる。この符号化装置1により符号化され且つ変調されたデータは、無記憶通信路2を介して受信装置に出力される。
一方、復号装置3は、図43に示すように、軟出力(soft−output)復号を行なう2つの軟出力復号回路50及び80と、入力したデータの順序を元に戻すデインターリーバ60と、入力したデータの順序を並べ替えるインターリーバ70と、入力したデータを2値化する2値化回路90で構成される。図示の復号装置3は、無記憶通信路2上で発生したノイズの影響によりアナログ値をとり軟入力(soft−input)とされる受信語D6から符号化装置1における入力データD1を推定し、復号データD13として出力する。
軟出力復号回路50は、符号化装置1における畳み込み符号化器30に対応して配設される。軟出力復号回路50は、図44に示すように、BCJRアルゴリズム(前述)に基づく最大事後確率(MAP)復号を行なうMAP復号器51と、3つの差分器52、53、54で構成される。
MAP復号器51は、軟入力である受信語D6と、インターリーバ70から供給された軟入力である3つの軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報(a priori probability information)D71、D72、D73をそれぞれ入力し、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、受信語D6を基に3つの軟値の系列からなる情報ビットに対する事後確率情報(a posteriori probability information)D141、D142、D143を生成する。図示のMAP復号器51は、生成した事後確率情報D141を差分器52に供給し、生成した事後確率情報D142を差分器53に供給し、生成した事後確率情報D143を差分器54に供給する。
差分器52は、軟入力とされる事後確率情報D141と軟入力とされる事前確率情報D71との差分値を求め、この差分値を符号の拘束条件により求まる3つの軟値の系列からなる情報ビットに対する外部情報(extrinsic information)D8のうちの1つの軟値の系列の外部情報D81として後段のデインターリーバ60に軟出力として出力する。
また、差分器53は、軟入力とされる事後確率情報D142と軟入力とされる事前確率情報D72との差分値を求め、この差分値を3つの軟値の系列からなる情報ビットに対する外部情報D8のうちの1つの軟値の系列の外部情報D82として後段のデインターリーバ60に軟出力として出力する。
また、差分器54は、軟入力とされる事後確率情報D143と軟入力とされる事前確率情報D73との差分値を求め、この差分値を3つの軟値の系列からなる情報ビットに対する外部情報D8のうちの1つの軟値の系列の外部情報D83として後段のデインターリーバ60に軟出力として出力する。
このような軟出力復号回路50は、受信装置により受信された軟入力の受信語D6を入力するとともに、インターリーバ70から供給された軟入力の情報ビットに対する事前確率情報D7を入力し、これらの受信語D6と事前確率情報D7とを用いて、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、内符号の軟出力復号を行なう。軟出力復号回路50は、符号の拘束条件により求められる外部情報D8を生成し、この外部情報D8を後段のデインターリーバ60に軟出力として出力する。
具体的に説明するために、情報ビットをu、符号ビットをc、受信語D6をyとすると、軟出力復号回路50は、MAP復号器51に対して、受信語D6(y)とともに、次式(3)で表される事前確率情報D7(L(u))を入力する。
すなわち、軟出力復号回路50は、MAP復号器51に対して、受信語D6(y)と、情報ビットuが1である確率P(u=1)と情報ビットuが0である確率P(u=0)との比の自然対数で表される符号の拘束条件がない事前確率情報D7(L(u))を入力する。
続いて、軟出力復号回路50は、MAP復号器51によって、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、次式(4)で表される事後確率情報D14(L*(u))を生成する。
すなわち、軟出力復号回路50は、MAP復号器51によって、受信語D6(y)を受信した際に情報ビットuが1である確率P=(u=1|y)と、受信語D6(y)を受信した際に情報ビットuが0である確率P=(u=0|y)との比の自然対数で表される符号の拘束条件に基づく事後確率情報D14(L*(u))を生成する。なお、この事後確率情報D14(L*(u))は、対数尤度比(log likelihood ratio)とも呼ばれ、ここでは、受信語D6(y)を受信した際の情報ビットuの尤度を示すものである。
そして、軟出力復号回路50は、各差分器52、53、54によって、それぞれ次式(5)で表されるように、事後確率情報D14(L*(u))と事前確率情報D7(L(u))との差分値である外部情報D8(Le(u))を求める。
軟出力復号回路50は、このようにして外部情報D8を生成し、この外部情報D8を後段のデインターリーバ60に軟出力として出力する。なお、この外部情報D8は、符号化装置1におけるインターリーバ20によりインターリーブされたインターリーブ・データD3に対応するものである。
デインターリーバ60は、符号化装置1におけるインターリーバ20によりインターリーブされたインターリーブ・データD3のビット配列を、それぞれ元の符号化データD2のビット配列に戻すように、軟出力復号回路50から出力される軟入力の外部情報D8にデインターリーブを施す。デインターリーバ60は、デインターリーブして得られたデータを後段の軟出力復号回路80における符号ビットに対する事前確率情報D9として出力する。
インターリーバ70は、軟出力復号回路80から出力された軟入力である符号ビットに対する外部情報D12に対して、符号化装置1におけるインターリーバ20と同一の置換位置情報に基づいたインターリーブを施す。インターリーバ70は、インターリーブして得られたデータを軟出力復号回路50における情報ビットに対する事前確率情報D7として出力する。
軟出力復号回路80は、符号化装置1における畳み込み符号化器10に対応して備えられるものである。軟出力復号回路80は、図45に示すように、上述したBCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行なうMAP復号器81と、5つの差分器82、83、84、85、86で構成される。
MAP復号器81は、デインターリーバ60から出力された軟入力である3つの軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報D91、D92、D93と、値が0である2つの軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報D101、D102を入力し、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、2つの軟値の系列からなる情報ビットに対する事後確率情報D151、D152を生成するとともに、3つの軟値の系列からなる符号ビットに対する事後確率情報D161、D162、D163を生成する。MAP復号器81は、事後確率情報D151を差分器82に、事後確率情報D152を差分器83にそれぞれ供給する。また、MAP復号器81は、事後確率情報D161を差分器84に、事後確率情報D162を差分器85に、事後確率情報D163を差分器86にそれぞれ供給する。
差分器82は、軟入力とされる事後確率情報D151と値が0である事前確率情報D101との差分値、すなわち、事後確率情報D151を符号の拘束条件により求まる2つの軟値の系列からなる情報ビットに対する外部情報D11のうちの1つの軟値の系列の外部情報D111として後段の2値化回路90に軟出力として出力する。
また、差分器83は、軟入力とされる事後確率情報D152と値が0である事前確率情報D102との差分値、すなわち、事後確率情報D152を2つの軟値の系列からなる情報ビットに対する外部情報D11のうちの1つの軟値の系列の外部情報D112として後段の2値化回路90に軟出力として出力する。
また、差分器84は、軟入力とされる事後確率情報D161と軟入力とされる事前確率情報D91との差分値を求め、この差分値を3つの軟値の系列からなる符号ビットに対する外部情報D12のうちの1つの軟値の系列の外部情報D121としてインターリーバ70に軟出力として出力する。
また、差分器85は、軟入力とされる事後確率情報D162と軟入力とされる事前確率情報D92との差分値を求め、この差分値を3つの軟値の系列からなる符号ビットに対する外部情報D12のうちの1つの軟値の系列の外部情報D122としてインターリーバ70に軟出力として出力する。
また、差分器86は、軟入力とされる事後確率情報D163と軟入力とされる事前確率情報D93との差分値を求め、この差分値を3つの軟値の系列からなる符号ビットに対する外部情報D12のうちの1つの軟値の系列の外部情報D123としてインターリーバ70に軟出力として出力する。
このような軟出力復号回路80は、デインターリーバ60から出力された軟入力の符号ビットに対する事前確率情報D9を入力するとともに、値が0である情報ビットに対する事前確率情報D10を入力し、これらの事前確率情報D9及びD10を用いて、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、外符号の軟出力復号を行なう。軟出力復号回路80は、符号の拘束条件により求められる外部情報D11及びD12を生成し、外部情報D11を後段の2値化回路90に軟出力として出力するとともに、外部情報D12をインターリーバ70に軟出力として出力する。
具体的に説明するために、情報ビットをu、符号ビットをcとすると、軟出力復号回路80は、MAP復号器81に対して、次式(6)で表される事前確率情報D10(L(u))と、次式(7)で表される事前確率情報D9(L(c))を入力する。
すなわち、軟出力復号回路80は、MAP復号器81に対して、情報ビットuが1である確率P(u=1)と、情報ビットuが0である確率P(u=0)との比の自然対数で表される符号の拘束条件に基づく事前確率情報D10(L(u))と、符号ビットcが1である確率P(c=1)と、符号ビットcが0である確率P(c=0)との比の自然対数で表される符号の拘束条件に基づく事前確率情報D9(L(c))を入力する。なお、上式(6)及び(7)における右辺に記されるべき符号の拘束条件は、ここでは省略している。またここでは、事前確率情報D10(L(u))は0であるが、これは情報ビットuが0であるか1であるかの確率が1/2であることを示すことに他ならない。
続いて、軟出力復号回路80は、MAP復号器81によって、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行ない、次式(8)で表される事後確率情報D15(L*(u))と、次式(9)で表される事後確率情報D16(L*(c))を生成する。
すなわち、軟出力復号回路80は、MAP復号器81によって、情報ビットuが1である確率P(u=1)と、情報ビットuが0である確率P(u=0)との比の自然対数で表される符号の拘束条件に基づく事後確率情報D15(L*(u))と、符号ビットcが1である確率P(c=1)と、符号ビットcが0である確率P(c=0)との比の自然対数で表される符号の拘束条件に基づく事後確率情報D16(L*(c))を生成する。なお、上式(8)及び(9)における右辺に記されるべき符号の拘束条件は、ここでは省略している。また、これらの事後確率情報D15(L*(u))と事後確率情報D16(L*(c))とは、「対数尤度比」とも呼ばれ、ここではそれぞれ、情報ビットuの尤度と符号ビットcの尤度とを示すものである。
そして、軟出力復号回路80は、差分器82,83のそれぞれによって、次式(10)で表されるように、事後確率情報D15(L*(u))と事前確率情報D10(L(u))との差分値である外部情報D11(Le(u))を求めるとともに、差分器84,85,86のそれぞれによって、次式(11)で表されるように、事後確率情報D16(L*(c))と事前確率情報D9(L(c))との差分値である外部情報D12(Le(c))を求める。
軟出力復号回路80は、このようにして外部情報D11及びD12を生成し、外部情報D11を後段の2値化回路90に軟出力として出力するとともに、外部情報D12をインターリーバ70に軟出力として出力する。
なお、軟出力復号回路80は、情報ビットに対する事前確率情報D10が0であることから、差分器82並びに83を必ずしも備える必要はない。
2値化回路90は、軟出力復号回路80により生成された軟出力の外部情報D11、すなわち事後確率情報D15に基づいて、軟出力復号回路80から供給された外部情報D11を2値化し、硬出力(hard−output)の復号データD13として出力する。
このような復号装置3は、符号化装置1における畳み込み符号化器30、10のそれぞれに対応して軟出力復号回路50、80を配設することによって、復号複雑度が高い符号を複雑度の小さい要素に分解し、軟出力復号回路50、80の間の相互作用により特性を逐次的に向上させることができる。復号装置3は、受信語D6を入力すると、軟出力復号回路50乃至軟出力復号回路80の復号動作を例えば数回乃至数十回といった所定の回数だけ反復して行ない、所定回数の復号動作の結果として得られた軟出力の外部情報D11、すなわち事後確率情報D15に基づいて、復号データD13を出力する。
上述した符号化装置1と復号装置3により構成されるデータ送受信システムにおける性能曲線を求めると、例えば図46に示すようになる。なお、同図においては、畳み込み符号化器10による外符号の符号化として次式(12)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器30による内符号の符号化として次式(13)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行ない、多値変調マッピング回路40による信号点のマッピングとして、図47に示すように信号点をマッピングした場合についての性能曲線を示している。また、同図においては、比較のため、先に図33に示した符号化装置401と復号装置403とにより構成される従来のシステムにおける性能曲線も示す。
図46から明らかなように、符号化装置1と復号装置3により構成されるデータ送受信システムは、符号化装置401と復号装置403により構成される従来のシステムと比べて高い性能を有することが判る。なお、インターリーバ20のサイズを大きくすると、性能曲線において、ウォーターフォール領域における傾きを大きくし、エラーフロアを下げることができる。
また、符号化装置1と復号装置3により構成されるデータ送受信システムでは、符号化装置1は、畳み込み符号化器10及び30を縦列に連接し、上述した第1乃至第2の条件を満たしつつ、外符号の符号化として符号化率がk/(k+1)(kは任意の自然数)で表される畳み込み演算を行なった後、内符号の符号化として符号化率が1の畳み込み演算を行なうことによって、簡易な構成で、全体の符号化率をk/(k+1)という高い値に保つことができる。そして、復号装置3は、符号化装置1における畳み込み符号化器30及び10のそれぞれに対応する軟出力復号回路50及び80を連接して配設することによって、簡易な構成で、高精度の復号を行なうことができる。
したがって、符号化装置1と復号装置3により構成されるデータ送受信システムは、符号化装置401と復号装置403により構成される従来のシステムと比較して、同程度の回路規模構成ながらも、エラーフロアが低く、且つ従来に比べてシャノン限界に近いEb/NOでウォーターフォール現象を呈するという高い性能を発揮することができる。
次に、SCCCの場合について説明する。
この実施形態は、図35と同様に、ディジタル情報を図示しない送信装置が備える符号化装置701により符号化し、その出力を雑音のある無記憶通信路702を介して図示しない受信装置に入力して、この受信装置が備える復号装置703により復号する通信モデルに適用したデータ送受信システムである。
このデータ送受信システムにおいて、符号化装置701は、縦列連接符号化(SCCC)方式による符号化を行なうものであり、外符号の符号化として符号化率が1/2の畳み込み演算を行ない、内符号の符号化として符号化率が2/2=1の畳み込み演算を行なうものである。特に、符号化装置701は、後述するように、1ビット当たりの信号対雑音電力比が低いところからウォーターフォール領域が現れ、さらに高いビット・エラー・レートでのいわゆるエラーフロアの出現を抑制するものである。また、復号装置703は、このような符号化装置701によりSCCC方式による符号化がなされた符号の復号を可能とするものである。
符号化装置701は、図48に示すように、畳み込み演算を行なう第1の符号化手段及び第2の符号化手段である2つの畳み込み符号化器710及び730と、入力したデータの順序を並べ替える置換手段であるインターリーバ720を備えている。この符号化装置1は、入力した1つのビット系列からなる入力データD701に対して、符号化率が1/2の縦列連接畳み込み演算を行ない、2つのビット系列からなる符号化データD704に変換する。
ここではまず、符号化装置701についての詳細な説明に先立って、当該符号化装置701を実現する2つの条件について説明する。
符号化装置701を実現する2つの条件のうち、第1の条件とは、内符号の符号化を行なう畳み込み符号化器730として、入力する2つのビット系列からなるデータのうち、少なくとも1つのビット系列のデータを畳み込み演算に関与させないか若しくは有限長インパルス応答(FIR)型の符号として用い、それ以外のデータを無限長インパルス応答(IIR)型の符号として再帰的組織畳み込み演算に用いることである。
この第1の条件は、符号性能を示す上で一般的に用いられるビット・エラー・レートの対数表示(log10BER)と、1ビット当たりの信号対雑音電力比(Eb/NO)との関係で示される性能曲線において、いわゆるウォーターフォール領域が低いEb/NOから現れることから導入されるものである。
このような第1の条件を満たすように、内符号の符号化を行なう畳み込み符号化器730を構成して用いた場合の性能曲線は、例えば図49に示すようになる。なお、同図においては、畳み込み符号化器710による外符号の符号化として、次式(14)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器730による内符号の符号化として、次式(15)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行なった場合についての性能曲線を示している。
図49に示す性能曲線は、低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するが、ビット・エラー・レートが対数表示で約10-3という高い値でエラーフロア現象を呈する。
そこで、符号化装置701を実現する第2の条件として、このように高いビット・エラー・レートでのエラーフロアの出現を抑制することを導入する。
ここで、エラーフロアが出現する原因としては、畳み込み符号化器710による外符号をインターリーブした結果、外符号のすべての重みが内符号で符号化されない確率、すなわち、外符号の最小重み5となるすべての重みが畳み込み符号化器730における畳み込み演算に関与されずにそのまま出力される確率である(1/3)5に支配されていると考えられる。なお、出力される2つのビット系列からなるデータのうちの1つのビット系列に、畳み込み符号化器710による外符号の重みが集中することがないことは一般に知られている。
このことから、第2の条件を満たすためには、外符号のすべての重みが畳み込み符号化器730におけるFIR型の符号として入力されないようにすればよい。ここでは、インターリーバ720に工夫を凝らすことによって、外符号のすべての重みが畳み込み符号化器730におけるFIR型の符号として入力される現象を回避することを提案する。このようなインターリーバ720としては、さまざまなものが考えられるが、一例として、入力する2ビットのデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施すことが考えられる。
実際に、入力する2つのビット系列からなるデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施した場合の性能曲線を求めると、例えば図50に示すようになる。なお、同図においても、畳み込み符号化器710による外符号の符号化として、上式(14)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器730による内符号の符号化として、上式(15)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行なった場合についての性能曲線を示している。
この性能曲線は、低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するとともに、高いビット・エラー・レートでエラーフロア現象を呈することがない。
以下、このような2つの条件を満足する符号化装置701について具体的に説明する。
符号化装置701において、畳み込み符号化器710としては、例えば図24に示した畳み込み符号化器510と同じものが考えられる。このような畳み込み符号化器710は、1つのビット系列からなる入力データD701を入力すると、これらの入力データD701に対して畳み込み演算を行ない、演算結果を2つのビット系列からなる符号化データD702として後段のインターリーバ720に出力する。すなわち、畳み込み符号化器710は、外符号の符号化として符号化率が1/2の畳み込み演算を行ない、符号化データD702を後段のインターリーバ720に出力する。
インターリーバ720は、上述した第2の条件を満たすものとしてさまざまなものが考えられるが、ここでは差し当たって上述したように2つのビット系列からなる符号化データD702のそれぞれに対して個別的にインターリーブを施すものとして説明する。インターリーバ720は、図41に示したインターリーバと同様に、符号化データD7021に対してインターリーブを施すインターリーバ7201と、符号化データD7022に対してインターリーブを施すインターリーバ7202を備えている。
このように、インターリーバ720は、2つのインターリーバ7201及び7202によって、2つのビット系列からなる符号化データD7021及びD7022に対して個別的にインターリーブを施し、2つのビット系列からなるインターリーブ・データD7031及びD7032を生成する。
畳み込み符号化器730としては、例えば図51に示すように、2つの排他的論理和回路と、2つのシフト・レジスタで構成されるものが考えられる。
図示の畳み込み符号化器730は、2つのビット系列からなるインターリーブ・データD7031及びD7032を入力すると、インターリーブ・データD7031を畳み込み演算に関与させずにそのまま符号化データD7041として出力するとともに、インターリーブ・データD7032に対して再帰的組織畳み込み演算を行ない、演算結果を符号化データD7042として出力する。すなわち、畳み込み符号化器730は、上述した第1の条件を満たすべく、インターリーブ・データD7031をFIR型の符号として用い、それ以外のインターリーブ・データD7032をIIR型の符号として再帰的組織畳み込み演算に用いる。畳み込み符号化器730は、内符号の符号化として符号化率が2/2=1の畳み込み演算を行ない、符号化データD704を外部に出力する。
このような符号化装置701は、上述した第1乃至第2の条件を満たし、畳み込み符号化器710により外符号の符号化として符号化率が1/2の畳み込み演算を行ない、畳み込み符号化器730により内符号の符号化として符号化率が1の畳み込み演算を行なうことによって、全体として、符号化率が(1/2)×1=1/2の縦列連接畳み込み演算を行なうことができる。この符号化装置701により符号化されたデータは、無記憶通信路702を介して受信装置に出力される。
一方、復号装置703は、図27に示した復号装置503と同様に、軟出力(soft−output)復号を行なう2つの軟出力復号回路と、インターリーバ720によって置換された入力データの順序を元に戻すデインターリーバと、インターリーバ720と同一の置換位置情報に基づき入力データの順序を並べ替えるインターリーバと、入力したデータを2値化する2値化回路で構成される。この復号装置703は、無記憶通信路702上で発生したノイズの影響によりアナログ値をとり軟入力(soft−input)とされる受信語D706から符号化装置701における入力データD701を推定し、復号データD713として出力する。
このような復号装置703は、符号化装置701における畳み込み符号化器730及び710のそれぞれに対応する軟出力復号回路を備えることによって、復号複雑度が高い符号を複雑度の小さい要素に分解し、2つの軟出力復号回路間の相互作用により特性を逐次的に向上させることができる。復号装置703は、受信語D706を入力すると、2つの軟出力復号回路の復号動作を例えば数回乃至数十回といった所定の回数だけ反復して行ない、所定回数の復号動作の結果として得られた軟出力の外部情報、すなわち、事後確率情報に基づいて、復号データD713を出力する。
上述した符号化装置701と復号装置703により構成されるデータ送受信システムにおける性能曲線を、符号化装置501と復号装置503により構成されるデータ送受信システムにおける性能曲線と比べると、図52に示すようになる。なお、同図においては、畳み込み符号化器710による外符号の符号化として、上式(14)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、畳み込み符号化器730による内符号の符号化として、上式(15)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行なった場合についての性能曲線を示している。
図52から明らかなように、符号化装置701と復号装置703により構成されるデータ送受信システムは、符号化装置501と復号装置503により構成される従来のシステムと比べて高い性能を有することが判る。なお、インターリーバ720のサイズを大きくすると、性能曲線において、ウォーターフォール領域における傾きを大きくし、エラーフロアを下げることができる。
したがって、符号化装置701と復号装置703により構成されるデータ送受信システムは、符号化装置501と復号装置503により構成される従来のシステムと比較して、同程度の回路規模構成ながらも、エラーフロアが低く、且つ従来に比べてシャノン限界に近いEb/NOでウォーターフォール現象を呈するという高い性能を発揮することができる。
第2の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る、符号化装置701と復号装置703により構成されるシステム、並びに符号化装置701と復号装置703とにより構成されるシステムでは、性能が理論限界となお十分に差がある。
本発明の第1の実施形態に係る、符号化装置701と復号装置703により構成されるシステム、並びに符号化装置701と復号装置703とにより構成されるシステムでは、性能が理論限界となお十分に差がある。
例えば、ビット・エラー・レートの対数表示(log10BER)と、1ビット当たりの信号対雑音電力比(Eb/NO)との関係で示される性能曲線がそれぞれ図46並びに図52に示されている。
このうち、図52から明らかなように、符号化装置701と復号装置703で構成されるシステムにおける性能曲線は、Eb/NOが約0.5dB付近からウォーターフォール現象を呈することが判る。この符号化率での理論限界は0.2dB程度であるため、未だ改善の余地が残る。
また、図46から明らかなように、符号化装置1と復号装置3で構成されるシステムにおける性能曲線は、Eb/NOが約3.1dB付近からウォーターフォール現象を呈することが判る。この符号化率での理論限界は2.8dB程度であるため、未だ改善の余地が残る。
そこで、本発明の第2の実施形態では、より高い性能での符号化及び復号を行なうことができる符号化装置並びに復号装置に関し、SCCCとSCTCMの両方の場合について詳解する。
本実施形態では、相互情報量を用いたEXIT(EXtrinsic Information Transfer)チャートを利用して最適な符号化装置を探索する。ここで言う「EXITチャート」は、例えばS.ten Brink著“Convergence Behavior of Iteratively Decoded Parallel Concatenated Codes”(IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS,VOL.49,pp.1727−1737,2001)に記載されている符号性能の解析手法である。EXITチャートによる解析は、収束特性の把握が容易であること、符号長が長い場合は非常に精度の高い解析が可能であることなどの利点がある。
さて、図36に示された符号化装置1についてEXITチャートは、以下の4つの値を計算することによって得られる。
(1)外符号に関する復号器の入力相互情報量
外符号化器の出力D2全体(図36を参照のこと)と軟出力復号回路の事前確率情報入力D7全体(図43を参照のこと)との相互情報量。
(2)外符号に関する復号器の出力相互情報量
外符号化器の出力D2全体と軟出力復号回路の外部情報出力D8全体との相互情報量。
(3)内符号とマッピングの組に関する復号器の入力相互情報量
内符号化器への入力D3全体と軟出力復号回路の事前確率情報入力D9全体との相互情報量。
(4)内符号とマッピングの組に関する復号器の出力相互情報量
内符号化器への入力D3全体と軟出力復号回路の外部情報出力D12全体との相互情報量。
外符号化器の出力D2全体(図36を参照のこと)と軟出力復号回路の事前確率情報入力D7全体(図43を参照のこと)との相互情報量。
(2)外符号に関する復号器の出力相互情報量
外符号化器の出力D2全体と軟出力復号回路の外部情報出力D8全体との相互情報量。
(3)内符号とマッピングの組に関する復号器の入力相互情報量
内符号化器への入力D3全体と軟出力復号回路の事前確率情報入力D9全体との相互情報量。
(4)内符号とマッピングの組に関する復号器の出力相互情報量
内符号化器への入力D3全体と軟出力復号回路の外部情報出力D12全体との相互情報量。
以下では、復号器の入力相互情報量をIin、復号器の出力相互情報量をIoutとする。
まず、内符号とマッピングの組に関する復号回路50に入力される事前確率情報D7の確率密度関数が下式(16)によって与えられるものと仮定する。
ここで、f+1(l)は、図36に示す内符号化器30に入力されるビットが0であるという条件下における事前確率情報lの分布を表現したものであり、一方f-1(l)は図36に示す内符号化器30に入力されるビットが1であるという条件下における事前確率情報lの分布を表現したものである。また、σは、(0,∞)の範囲で値を取るパラメータである。
外符号に関する復号回路80に入力される事前確率情報D9の確率密度関数も同様に上式(16)によって与えられるものと仮定する。ここで、f+1(l)は、図36に示す外符号化器10から出力されるビットが0であるという条件下における事前確率情報l の分布を表現したものであり、一方f-1(l)は図36に示す外符号化器10から出力されるビットが1であるという条件下における事前確率情報lの分布を表現したものである。また、σは(0,∞)の範囲で値を取るパラメータである。
上式(16)で仮定される事前確率情報の確率密度関数に対し、内符号化器の入力(外符号化器の出力)と復号回路への事前確率情報入力との相互情報量Iinを下式(17)によって定義する。Iinは[0,1]の範囲の値をとる。
ここで、上式(17)によって定義されたIin は、事前確率情報入力がどれだけ内符号化器の入力(外符号化器の出力)についての情報を持っているかを表している。すなわち、Iin≒0とすると、図1上に示すように、2つの確率密度分布f+1(l)とf-1(l)の重なる部分が大きくなり、内符号化器の入力ビット(外符号化器の出力ビット)がどちらであるかについて事前確率情報から得られる情報量は少なくなる。特に、Iin=0とするとき、事前確率情報は内符号化器の入力ビット(外符号化器の出力ビット)がどちらであるかについて何の情報も持たないことを意味する。
一方、Iin≒1とすると、図1下に示すように、2つの確率密度分布f+1(l)とf-1(l)の重なる部分が小さくなり、内符号化器の入力ビット(外符号化器の出力ビット)がどちらであるかについて事前確率情報から得られる情報量は多くなる。特にIin=1とするとき、内符号化器の入力ビット(外符号化器の出力ビット)がどちらであるかについて事前確率情報から完全に判別できることを意味する。
また、後で計算されるIoutは、外部情報出力がどれだけ内符号化器の入力(外符号化器の出力)についての情報を持っているかを表している。Ioutが大きければ、それだけ内符号化器の入力(外符号化器の出力)についての情報量が多いことを意味し、特にIout=1とするとき、内符号化器の入力ビット(外符号化器の出力ビット)がどちらであるかについて外部情報出力から完全に判別できることを意味する。
さて、内符号とマッピングの組のEXIT特性を求めるに際して、上式(16)に示す内符号化器の入力についての事前確率情報入力の分布について、内符号とマッピングの組に関する複数個の(Iin,Iout)の組を以下のような手順で求める。但し、通信路のEb/NOは固定する。なお、説明の都合上、図2、図3の入出力系列は1本の矢印で表現している。
(1)パラメータσを適当な値に決める。
(2)式(17)に従ってIinを計算する。
(3)図3に示すように、軟出力復号回路50の内符号出力に関する事前確率情報入力D6に通信路からの受信値を入力する。
(4)内符号化器30の入力ビット系列を調べ、内符号化器30の入力D3が0であるとき、図2(a)に示すように、内符号入力に関する事前確率情報入力D7に、確率分布f+1(l)に従う乱数lを入力し、内符号化器30の入力D3にビット1が入力されたとき、図2(b)に示すように、内符号入力に関する事前確率情報入力D7に、確率分布f-1(l)に従う乱数lを入力する。
(5) 外部情報出力D8の値を記録し、入力D7がどちらの確率分布に依存していたかによって2つのヒストグラムを作成し、以下の確率密度関数を得る(図2を参照のこと)。
(2)式(17)に従ってIinを計算する。
(3)図3に示すように、軟出力復号回路50の内符号出力に関する事前確率情報入力D6に通信路からの受信値を入力する。
(4)内符号化器30の入力ビット系列を調べ、内符号化器30の入力D3が0であるとき、図2(a)に示すように、内符号入力に関する事前確率情報入力D7に、確率分布f+1(l)に従う乱数lを入力し、内符号化器30の入力D3にビット1が入力されたとき、図2(b)に示すように、内符号入力に関する事前確率情報入力D7に、確率分布f-1(l)に従う乱数lを入力する。
(5) 外部情報出力D8の値を記録し、入力D7がどちらの確率分布に依存していたかによって2つのヒストグラムを作成し、以下の確率密度関数を得る(図2を参照のこと)。
(6)上記手順(5)で得た各確率密度関数に対して、復号器の出力相互情報量Ioutを下式(18)の定義に従って計算する。
(7)パラメータσを変え、上記の手順(2)〜(6)を繰り返し、0<Iin<1の範囲でσを動かして、複数個の(Iin,Iout)の組を得る。
また、外符号のEXIT特性を求めるに際して、上式(16)に示す外符号化器の出力についての事前確率情報入力の分布について、外符号に関する複数個の(Iin,Iout)の組を以下のような手順で求める。
(1)パラメータσを適当な値に決める。
(2)式(17)に従ってIinを計算する。
(3)図3に示すように、軟出力復号回路80の外符号入力に関する事前確率情報入力D10に軟値0の系列を入力する。
(4)外符号化器10の出力ビット系列を調べ、外符号化器10の出力D2が0であったとき、図3(a)に示すように、外符号出力に関する事前確率情報入力D9に、確率分布f+1(l)に従う乱数lを入力し、外符号化器10の出力D3が1であったとき、図3(b)に示すように、外符号出力に関する事前確率情報入力D9に、確率分布f-1(l)に従う乱数lを入力する。
(5)外部情報出力D12の値を記録し、入力D9がどちらの確率分布に依存していたかによって2つのヒストグラムを作成し、確率密度関数(前述)を得る(図3を参照のこと)。
(6)上記手順(5)で得た各確率密度関数に対して、復号器の出力相互情報量Iout を式(18)の定義に従って計算する。
(7)パラメータσを変え、上記の手順(2)〜(6)を繰り返し、0<Iin<1の範囲でσを動かして、複数個の(Iin,Iout)の組を得る。
(2)式(17)に従ってIinを計算する。
(3)図3に示すように、軟出力復号回路80の外符号入力に関する事前確率情報入力D10に軟値0の系列を入力する。
(4)外符号化器10の出力ビット系列を調べ、外符号化器10の出力D2が0であったとき、図3(a)に示すように、外符号出力に関する事前確率情報入力D9に、確率分布f+1(l)に従う乱数lを入力し、外符号化器10の出力D3が1であったとき、図3(b)に示すように、外符号出力に関する事前確率情報入力D9に、確率分布f-1(l)に従う乱数lを入力する。
(5)外部情報出力D12の値を記録し、入力D9がどちらの確率分布に依存していたかによって2つのヒストグラムを作成し、確率密度関数(前述)を得る(図3を参照のこと)。
(6)上記手順(5)で得た各確率密度関数に対して、復号器の出力相互情報量Iout を式(18)の定義に従って計算する。
(7)パラメータσを変え、上記の手順(2)〜(6)を繰り返し、0<Iin<1の範囲でσを動かして、複数個の(Iin,Iout)の組を得る。
このようにして得られた(あるEb/NOにおける)内符号とマッピングの組に関する複数個の(Iin,Iout)の組について、Iinを2次元平面の横軸に、Ioutを2次元平面の縦軸にそれぞれプロットしていき、プロットされた複数の点を線でつなげることによって内符号とマッピングの組のEXIT特性を得る。また、外符号に関する複数個の(Iin,Iout)の組について、Ioutを2次元平面の横軸、Iinを2次元平面の縦軸にそれぞれプロットしていき、プロットされた複数の点を線でつなげることによって外符号のEXIT特性を得る。そして、外符号のEXIT特性と、(あるEb/NOおける)内符号とマッピングの組のEXIT特性を同時に1つの2次元平面に描画したものを(overallの)EXITチャートと呼ぶことにする。
さらに、decoding trajectoryと呼ばれる階段状の軌跡を描くことができる。decoding tragectoryは、いくの手順によって作成する。
(1)2次元平面上の点(0,0)から縦軸上に直線を引き、内符号とマッピングの組のEXIT特性との交点を点P1とする。
(2)点P1から横軸に平行に直線を引き、外符号のEXIT特性との交点を点Q1とする。
(3)点Q1から縦軸に平行に直線を引き、内符号とマッピングの組のEXIT特性との交点を点P1とする。
(4)以下、上記と同様に手順(2)〜(3)を繰り返す。
(2)点P1から横軸に平行に直線を引き、外符号のEXIT特性との交点を点Q1とする。
(3)点Q1から縦軸に平行に直線を引き、内符号とマッピングの組のEXIT特性との交点を点P1とする。
(4)以下、上記と同様に手順(2)〜(3)を繰り返す。
decoding trajectoryによって、収束の速さや特性、BERの下限などの反復復号の性能を確認することができる。
図4には、あるSCCCにおけるEXITチャートのイメージ図を示している。ここで、実線の曲線は(あるEb/NOにおける)内符号とマッピングの組のEXIT特性、破線の曲線は外符号のEXIT特性、中央の階段状の軌跡はdecoding trajectory である。図4に示すように、decoding trajectory が点(1,1)に到達する場合、符号のインターリーバ長を無限に長くすればそのEb/NOにおいていくらでも小さいBERが得られる。また、decoding trajectory の段数の大小は、復号反復を繰り返すときにBERがある値に収束する速さを表している。
上述の説明は符号化装置1及び復号装置3についてのものであったが、他の符号化率、変調方式のSCTCM及びSCCCについても上述と同様にしてEXITチャートを求めることができる。
さて、図36に示した符号化装置1において、畳み込み符号化器10による外符号の符号化として、式(19)で示される生成行列GOで与えられる符号化を行ない、インターリーバ20によって入力ビット系列をランダムにインターリーブし(以下、このようなインターリーブ形式をoverall インターリーブと呼ぶことにする)、畳み込み符号化器30による内符号の符号化として、次式(20)で示される生成行列GIで与えられる符号化を行ない、多値変調マッピング回路40による信号点のマッピングとして、図38に示したように信号点をマッピングした場合についての性能曲線は図37に示したようになることは既に述べた通りである。
図36に示した符号化装置1についてEXITチャートを描くと、図5に示す通りになる。但し、破線は外符号のEXIT特性(すなわち外符号における出力相互情報量Ioutと入力相互情報量Iinの関係)、実線の曲線は内符号とマッピングの組のEXIT特性(すなわち、内符号とマッピングの組における入力相互情報量Iinと出力相互情報量Ioutの関係)である。また、Eb/NO は3.2dBとしている。このEXITチャートは、外符号のIoutが0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つ。つまり、図5において階段状の実線で示すようにdecoding trajectoryを描くと、(1.0,1.0)に近い点には到達するが、(1.0,1.0)そのものには到達しないことが言える。このため、図38に示した性能曲線は低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するが、BERが対数表示で約10-3という高い値でエラーフロア現象を呈する。
しかし、符号化装置1においてインターリーバ20を入力する3つのビット系列からなるデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施すものに変えると、性能曲線は図39に示すように低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するとともに、高いBERでエラーフロア現象を呈することがないということは既に説明した通りである。
逆言すれば、EXITチャートが図5に示すように低いEb/NOにおいて外符号のIoutが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持つような符号化装置1について、インターリーバ20を入力する3つのビット系列からなるデータのそれぞれに対して個別的にインターリーブを施す(以下、このようなインターリーブ形式をin−lineインターリーブと呼ぶ)ものにすれば、その性能曲線は低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するとともに、高いBERでエラーフロア現象を呈することが無くなることが推測できる。
実際、これ以外の畳み込み符号化器10、畳み込み符号化器30、及び多値変調マッピング回路40を持つ符号化装置1について、低いEb/NOにおいて、外符号のIoutが0.9以上1.0未満の領域でEXITチャートが唯一の交点を持つような場合、インターリーバをin−lineインターリーバにすれば、その性能曲線が上述したような現象を示すことが数多くある。例えば、Y.Iida,T.Yokokawa,T.Miyauchi,K.Yamamoto,M.Hattori,R.J.McEliece共著“Convergence Analysis of SCCC and SCTCM with in−line Interleaver”(Proc.of ISIT 2003,Yokohama,Japan,Jun.−Jul.,2003)を参照されたい。
符号化装置は全体の符号化率が2/3で変調方式が8PSKのSCTCMであるが、これ以外の符号化率、例えば、全体の符号化率が3/4で変調方式が16QAMのSCTCM、全体の符号化率が5/6で変調方式が64QAMのSCTCMについても上記と同様の現象が確認されている。
では、ある外符号に対して、どのように内符号及び信号点配置を調節し、EXITチャートが上述の条件を満たすようにすれば良いのであろうか。信号点配置を無作為に調節しただけでは上述の条件を満たすようなEXITチャートを得るのは難しい。特に、16QAM変調や64QAM変調など、送信値を送信点に配置する組合せの数が非常に膨大になるものについては不可能と言っても良い。
これを解決する方法として、変調装置の信号点配置における送信シンボル間の入力距離構造を調節する方法が挙げられる。
ここで、信号点配置における送信シンボル間の入力距離について説明する。信号点空間上で異なる2つの送信シンボルの組を考える。符号化率が1でカタストロフィックでない内符号について、トレリス上のある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ、他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるように、内符号の2つの異なる符号化ビット系列を構成できることが知られている。このとき、それら内符号の2つの符号化ビット系列に対応する内符号の2つの入力ビット系列のハミング距離(すなわち、2つのビット系列のうちでビットが異なっている個数)を送信シンボル間の入力距離と呼ぶことにする。
この信号点配置における送信シンボル間の入力距離を、以下に示す2つの方法に従って調節し、内符号とマッピングの組についてのEXIT特性の形状を調節することによって、上述の条件を満たすEXITチャートが得られ、従ってインターリーバをin−line化したときに、性能曲線が低いEb/NOの範囲からウォーターフォール現象を呈するとともに、高いBERでエラーフロア現象を呈することが無いという意味で高性能の符号化装置を多くの場合において得ることができる。
信号点配置における送信シンボル間の入力距離構造を調節し、内符号とマッピングの組についてのEXIT特性の形状を調節するための2つの方法を説明するために、図6に示すような、全体の符号化率が5/6で変調方式が64QAMのSCTCM符号化装置を用いる。
外符号としての畳み込み符号化器1010は、符号化率5/6の畳み込み符号である。具体的には図7に示されるように、次式(21)で示される生成行列GOで得られる符号化を行なうものを用いる。
インターリーバ1020は in−lineインターリーバ、すなわち外符号出力の6個のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替えるものを用いる。但し、EXITチャートを計測するときは overallインターリーバ、すなわち外符号出力の6個のビット系列をランダムに混ぜ合わせて順序を置換して並べ替えるものを想定する。
内符号としての畳み込み符号化器1030は、符号化率6/6の畳み込み符号であり、1個の入力成分に関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力するものであり(FIR成分)、5個の入力成分については無限インパルス応答である(IIR成分)。具体的には図8に示されるものを用いる。
変調装置1040は、64QAM変調を行なう変調装置であり、入力6ビットを1つの単位として64個のいずれかの信号点に配置し送信するものである。
本発明の第2の実施形態として説明するSCTCMの復号器の構成は、上述した第1の実施形態のそれとほぼ同じ構成でよい。2つの要素復号器間でやり取りされるビット数が相違するだけである。
さて、内符号とマッピングの組についてのEXIT特性の形状を調節する第1の方法は、入力距離が1となる送信点の組の信号点配置上におけるユークリッド距離を調節することである。
符号化装置1001において、入力距離が1となる2個の送信点の組は全部で32組あり、64個の送信点は32組のいずれかに属している。これら32組の送信点を、図9に示すように最小のユークリッド距離上に配置する。このときの内符号とマッピングの組のEXIT特性(Eb/N0=9.5dB)は、図10の実線のようになる。なお、同図中の破線は外符号のEXIT特性を示している。ここで、複数の実線は、信号点配置が異なるが、すべて図9の通りに入力距離が1となる送信点の32組が配置されている。図10を見ると、内符号とマッピングの組のIinが1.0のところにおける切片の、内符号とマッピングの組のIoutの値が、どれも等しいことを理解できよう。
これに対して、入力距離が1となる送信点の32組を図11に示すように2番目に短いユークリッド距離上に配置すると、内符号とマッピングの組のEXIT特性(Eb/NO=9.5dB)は図12の実線のようになる。なお、破線は外符号のEXIT特性を示している。ここで、複数の実線は、信号点配置は異なるが、すべて図11の通りに入力距離が1となる送信点の32組が配置されている。図12を見ると、内符号とマッピングの組のIin=1.0における切片の、内符号とマッピングの組のIoutの値が、どれも等しく、且つその値が図10よりも大きくなっていることを理解できよう。また、0.3≦Iin≦0.7近辺におけるIoutの値が図10と比較して全体的に下がっていることも分かる。
入力距離が1となる送信点の組が信号点配置上において近いユークリッド距離にあればあるほど、内符号とマッピングの組のIin=1.0における切片の、内符号とマッピングの組のIoutの値は小さくなり、0.3≦Iin≦0.7近辺におけるIoutの値が大きくなるという傾向がある。
なお、信号点配置における最小のユークリッド距離をaとするとき、入力距離が1となる送信点の組をユークリッド距離が2a以上の場所に配置すると、内符号とマッピングの組のIin=1.0における切片の、内符号とマッピングの組のIoutの値は1.0に非常に近い値になる。
さて、図10と図12を比較すると、図12では外符号のIoutが0.5近辺の領域で、EXITチャートが交点を持ってしまうのに対して、図10の実線の何本かについては、外符号のIoutが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持つようになっているのが分かる。つまり、入力距離が1となる送信点の32組を図11に示すように配置するよりも、図9のように配置する方が良いことが分かる。
入力距離が1となる送信点の組が信号点配置上において近いユークリッド距離にあればあるほど、低いEb/NOにおいて外符号のIoutが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持つようになり易いという傾向がある。つまり、入力距離が1となる送信点の32組を図9に示すように配置するのが最良である。しかし、必ずしも図9のように配置しないと、EXITチャートが以上の条件を満たさないという訳ではなく、入力距離が1となる送信点の組の一部だけが最短のユークリッド距離にあるという場合でもEXITチャートが以上の条件を満たすこともある。
ところで、図10において、EXITチャートが以上の条件を満たす場合と、そうでない場合があった。この差はどこから来るのであろうか。ここで、bdfreeというパラメータを新たに設けて、符号とマッピングの組のEXIT特性の形状を調節するもう1つの方法について説明する。
ユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて入力距離を合計したものを、本明細書ではbdfreeと呼ぶことにする(ここで決めたbdfreeは一般的に通用しているbdfreeの定数倍になるが、便宜的にこの定義を用いることにする)。64QAMのSCTCMの場合、最小のユークリッド距離にある送信点の組は全部で112組あるので、それら112組の送信シンボルのすべてについて入力距離を足すとbdfreeが求まる。
さて、内符号とマッピングの組のEXIT特性の形状を調節する第2の方法はbdfreeの値を調節することである。
図10では、信号点配置におけるbdfreeの値と、それに対する内符号とマッピングの組の EXIT特性(実線)、及び外符号のEXIT特性(破線)を示している。これを見ると、bdfreeが小さ過ぎると、内符号とマッピングの組のEXIT特性が下に凸になり、EXITチャートは内符号とマッピングの組のIin=0.5の近辺で交点を持ってしまい、逆にbdfreeが大き過ぎると、内符号とマッピングの組のEXIT特性が上に凸になり、EXITチャートは内符号とマッピングの組のIin=0.2の近辺で交点を持ってしまうことが分かる。これに対し、bdfree =208及びbdfree=224においては、内符号とマッピング組のIinが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持っているのが分かる。
一般に、bdfreeが大きくなると、内符号とマッピング組のIin=0の切片における内符号とマッピング組のIoutの値が小さくなり、0.4≦Iin≦1.0近辺におけるIoutの値が全体的に大きくなる。なお、bdfreeが同じでも内符号とマッピング組のIin=0の切片における内符号とマッピング組のIoutの値も同じになるとは限らない。
図10より、最適なbdfreeの範囲が存在することが言えるが、その範囲は全体の符号化率が5/6で変調方式が64QAMのSCTCMの場合bdfree≦224であることが望ましい。
以上の2つの方法によって、内符号とマッピングの組のEXIT特性の形状を調節することによって、低Eb/NOにおいて内符号とマッピングの組のIinが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持つような信号点配置を求めることができることが理解できよう。
さて、以上の2つの方法によって、EXITチャートが以上の条件を満たすという意味で最適の信号点配置を求めたところ、図13のようになった。図13の信号点配置を含む符号化装置1001についてEXITチャートを描くと図14のようになる(Eb/NO=9.5dB)。破線は外符号の EXIT特性、実線は内符号とマッピングの組のEXIT特性である。
一方、図15は送信点に000000から111111までの送信値を順番に配置しただけの信号点配置である。図15の信号点配置を含む符号化装置1001についてEXITチャートを描くと図16のようになる(Eb/NO=9.5dB)。破線は外符号のEXIT特性、実線は内符号とマッピングの組の EXIT特性 である。図16のEXITチャートについては内符号とマッピングの組のIinが0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つという条件を満たさないことが分かる。
これら2つの信号点配置を用いた符号化装置1001について性能曲線を取り比較したところ、図17のようになった。同図において、実線は図13による符号化装置の性能曲線であり、破線は図15による符号化装置の性能曲線であり、但し、外符号出力ビット系列と in−lineインターリーバへの入力との接続は図18に示す通りに行なうものする。図13による符号化装置の性能曲線は、約10-5のBERにてエラーフロア現象を呈しているものの、ウォーターフォール現象を呈するSNRが図13による符号化装置の性能曲線よりも良く10-4のBERにて0.1dB以上左側に寄っている。
よって、以上に示した2つの方法により送信シンボル間の入力距離構造を調節し内符号とマッピングの組についての EXIT特性 の形状を調節することにより、適当に選んだマッピングよりも良い性能を持つ符号化装置1001を得ることが可能であることが確認できる。
ところで、これらの方法によって最適な性能の符号化装置1001を求めたところ、その信号点配置におけるbdfreeの値は224が望ましいことが判明した。
また、符号化装置1001の外符号としての畳み込み符号化器1010に、図20に示されるような下式(22)で示される生成行列G0で得られる符号化を行なうものを用いるとすると、その最適化結果の信号点配置におけるbdfreeの値は200であることが望ましいことが判明した。
なお、符号化装置1001における最適な信号点配置の条件を、低Eb/NOにおいて内符号とマッピングの組のIinが0.9以上1.0未満の領域で、EXITチャートが唯一の交点を持つとしてきたが、この低Eb/NOの具体的な目安を、本明細書では(シャノン限界+0.4)dBとする。図19には複数の符号化率、変調方式の符号化装置のシャノン限界を示している。符号化装置1001における低Eb/NOの目安は9.5dBとなる。
また、外符号の出力ビット系列のうち内符号のIIR入力成分に入力されるものに限定したときの自由距離(Free Distance)をdqf Oと呼ぶことにする(自由距離の定義については、例えばA.Dholakia著“INTRODUCTION TO CONVOLUTIONAL CODES WITH APPLICATIONS”(KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,1994)などを参照されたい)。このdqf Oが1よりも大きくなるような、内符号のIIR入力成分に入力される外符号の出力ビット系列の選び方が多くなる外符号、例えば全体の符号化率が5/6で1つのFIR成分と5つのIIR成分から成る内符号(符号化率6/6)が存在し変調方式が64QAMのSCTCMの場合、dqf O>1となる外符号の出力成分のFIR成分、IIR成分の分け方が、分け方の個数の最大である6通りであるような外符号(符号化率5/6)を用いると、全体の符号化装置の性能が向上することが確認されている。
以上説明してきた本発明の第2の実施形態では、全体の符号化率が5/6で変調方式が64QAMのSCTCMについて示したものであるが、これ以外の符号化率、変調方式のSCTCMについても同様に本発明を適用することができる。例えば、全体の符号化率が2/3で変調方式が8PSKのSCTCM、全体の符号化率が3/4で変調方式が16QAMのSCTCMについても同様に本発明を適用することができる。
また、符号化装置1001において、変調方式がBPSK又はGrayマッピングによるQPSKの場合、符号はSCTCMでなくSCCCとして扱われるが、この場合についても同様に本発明を適用することができる。
さらにまた、上述した実施の形態では、畳み込み符号化器1010におけるシフト・レジスタの数を4つとして説明したが、シフト・レジスタの数は、それ以上であってもそれ以下であってもよい。
また、上述した実施の形態では、畳み込み符号化器1030におけるシフト・レジスタの数を1つとして説明したが、この場合もシフト・レジスタの数は、例えば2であってもよいことは勿論である。
さらに、信号点の配置としては、上述した実施の形態として示したものの他、内符号との組み合わせに応じてさまざまなものが適用可能である。
さらにまた、本発明の第2の実施形態では、符号化装置における外符号の符号化として、符号化率が5/6の符号化を行ない、内符号の符号化として符号化率が6/6の符号化を行なうものとして説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、外符号の符号化率をk/pとし(k<p)、内符号の符号化率をp/nとする(p≧n)といったように、外符号の符号化として1未満の符号化率の符号化を行ない、内符号の符号化として1以上の符号化率の符号化を行ない、全体として符号化率がk/nとするさまざまな符号化率の組合せについても本発明を適用可能である。
また、本発明の第2の実施形態では、符号化装置における内符号の符号化として、符号化率が6/6の符号化を行ない、1つの入力ビット系列はFIRであり残り5つの入力ビット系列はIIRであるものとして説明してきたが、例えば、内符号の符号化率をp/nとして符号化を行ない、pF(1≦pF<p)個の入力ビット系列はFIRであり残り(p−pF)個の入力ビット系列はIIRであるものとしても構わない。
また、本発明の第2の実施形態では、符号化装置における変調装置として、入力距離1の関係にある送信シンボルの組が比較的小さいユークリッド距離にあることが良く、特に入力距離1の関係にある送信シンボルの組のすべてが最小のユークリッド距離にあることが目安であると説明してきたが、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、入力距離1の関係にある送信シンボルの組の全部でなく一部でも良く、最小のユークリッド距離ではなく2番目に小さいユークリッド距離などとしても構わない。
さらに、bdfreeは変調方式毎にある一定の値以下であることが良く、全体の符号化率が5/6で変調方式が64QAMのSCTCMの場合bdfree≦224であることが目安であると説明したが、他の変調方式においてはbdfreeの上限となる値も異なってくる。例えば、全体の符号化率が2/3で変調方式が8PSKのSCTCMの場合bdfree≦16が目安となり、全体の符号化率が3/4で変調方式が16QAMのSCTCMの場合bdfree≦48が目安となる。
さらに、本発明の第2の実施形態では、復号装置における軟出力復号回路として、BCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行なうものについて説明したが、本発明は、例えばいわゆるSOVAによる復号を行なうといったように、他の軟出力復号にも適用可能である。
また、本明細書中では、本発明に係る符号化装置及び復号装置ともハードウェアにより構成された装置であるものとして説明したが、これらの符号化装置及び復号装置とも、例えばワークステーションやパーソナル・コンピュータといったコンピュータ装置において実行可能なソフトウェアとして実現することが可能である。以下、この例について、図21を参照しながら説明する。
コンピュータ装置150は、同図に示すように、各部を統括して制御するCPU(Central Processing Unit)151と、各種プログラムを含む情報を格納する読取専用のROM152と、ワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)153と、各種プログラムやデータなどの記録及び/又は再生を行なうHDD(Hard Disk Drive)154と、これらのCPU151、ROM152、RAM153及びHDD154を接続するバス155と、CPU151、ROM152、RAM153及びHDD154と後述する表示部157、入力部158、通信部159及びドライブ160との間でデータの入出力を行なうための入出力インターフェース156と、各種情報を表示する表示部157と、ユーザによる操作を受け付ける入力部158と、外部との通信を行なうための通信部159と、フレキシブル・ディスクやコンパクト・ディスクなどの着脱自在な記録媒体170に対する各種情報の記録及び/又は再生を行なうドライブ160を備えている。
CPU151は、バス155を介してROM152、RAM153及びHDD154と接続しており、これらのROM152、RAM153及びHDD154を制御する。また、CPU151は、バス155を介して入出力インターフェース156に接続しており、この入出力インターフェース156に接続されている表示部157、入力部158、通信部159及びドライブ160を制御する。さらに、CPU151は、ROM152、HDD154又はドライブ160に装着された記録媒体170に記録されている各種プログラムを実行する。
ROM152は、各種プログラムを含む情報を格納している。ROM152に格納されている情報は、CPU151の制御の下に読み出される。
RAM153は、CPU151が各種プログラムを実行する際のワークエリアとして機能し、CPU151の制御の下に、各種データを一時記憶する。
HDD154は、CPU151の制御の下に、ハードディスクに対して各種プログラムやデータなどの記録及び再生を行なう。
バス155は、CPU151の制御の下に、ROM152、RAM153及びHDD154から読み出された各種データなどを伝送するとともに、RAM153及びHDD154に記録する各種データなどを伝送する。
入出力インターフェース156は、CPU151の制御の下に表示部157に各種情報を表示するためのインターフェースと、ユーザにより入力部158を介して操作された内容を示す制御信号をCPU151に対して伝送するためのインターフェースと、CPU151の制御の下に通信部159を介して外部との間でデータを入出力するためのインターフェースと、ドライブ160に装着された記録媒体170に対して各種情報の記録及びは再生を行なうためのインターフェースを備え、CPU151、ROM152、RAM153及びHDD154からのデータを表示部157、入力部158、通信部159及びドライブ160に対して出力したり、表示部157、入力部158、通信部159及びドライブ160からのデータをCPU151、ROM152、RAM153及びHDD154に対して入力したりする。
表示部157は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなり、CPU151の制御の下に、例えばHDD154に記録されていたデータ等の各種情報を表示する。
入力部158は、例えばユーザによるキーボードやマウスの操作を受容し、操作内容を示す制御信号をCPU151に対して出力する。
通信部159は、CPU151の制御の下に、例えばネットワーク回線や衛星回線などにより外部との通信を行なうインターフェースとして機能する。
ドライブ160は、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM又はMOといった磁気、光又は光磁気ディスク等の記録媒体170を着脱し、CPU151の制御の下に、装着された記録媒体170に対する各種情報の記録や再生を行なう。
このようなコンピュータ装置150は、CPU151によって、上述した符号化装置1における符号化処理及び/又は復号装置3における復号処理をプログ
ラムを実行することにより実現することができる。
ラムを実行することにより実現することができる。
まず、コンピュータ装置150における符号化処理について説明する。コンピュータ装置150は、例えばユーザが符号化プログラムを実行するための所定の操作を行なうと、入力部158によって、操作内容を示す制御信号をCPU151に対して供給する。これに応じて、コンピュータ装置150は、CPU151によって、符号化プログラムをRAM153にロードして実行し、符号化して得られた符号化伝送シンボルを通信部159経由で外部へと出力するとともに、必要に応じて、表示部157に処理結果などを表示する。
ここで、符号化プログラムは、例えば記録媒体170により提供されるものであって、CPU151の制御の下に、この記録媒体170から直接読み出されてもよく、ハードディスクに1度記録されたものが読み出されてもよい。また、符号化プログラムは、ROM152にあらかじめ格納されていてもよい。さらに、符号化の対象とするデータは、ここではハードディスクに記録されているものとする。なお、このデータは、上述した入力データD1に対応するものである。
具体的には、コンピュータ装置150は、CPU151により符号化プログラムを実行すると、CPU151の制御の下に、ハードディスクに記録されている所望のデータを読み出し、このデータに対して外符号の符号化として符号化率2/3又は5/6の畳み込み演算を行ない、上述した符号化データD2に対応する符号化データを生成する。
続いて、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成した符号化データに対してインターリーブを施し、上述したインターリーブ・データD3に対応するインターリーブ・データを生成する。このとき、コンピュータ装置150は、上述した第2の条件を満たすように、符号化データに対してインターリーブを施す。
続いて、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成したインターリーブ・データに対して内符号の符号化として符号化率が3/3=1又は6/6=1の畳み込み演算を行ない、上述した符号化データD4に対応する符号化データを生成する。このとき、コンピュータ装置150は、上述した第1の条件を満たすように、内符号の符号化を行なう。
そして、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成した符号化データを例えば8PSK変調方式の伝送シンボルにマッピングし、上述した符号化伝送シンボルD5に対応する符号化伝送シンボルを生成する。このとき、コンピュータ装置150は、上述した第2の条件を満たすように、生成した符号化データをマッピングする。
コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成した符号化伝送シンボルを1度ハードディスクなどに記録した後、所望のタイミングで符号化伝送シンボルを読み出し、通信部159を介して外部へと出力するとともに、要に応じて、表示部157に処理結果などを表示する。なお、生成した符号化伝
送シンボルは、記録媒体170等に記録することもできる。
送シンボルは、記録媒体170等に記録することもできる。
このように、コンピュータ装置150は、上述した符号化装置1における符号化処理を、符号化プログラムを実行するという形態で実現することができる。
次に、コンピュータ装置150における復号処理について説明する。コンピュータ装置150は、例えばユーザが復号プログラムを実行するための所定の操作を行なうと、入力部158によって、操作内容を示す制御信号をCPU151に対して供給する。これに応じて、コンピュータ装置150は、CPU151によって、復号プログラムをRAM153にロードして実行し、通信部159を介して外部から受信し、上述した受信語D6に対応するものでありハードディスクなどに記録されている受信語を復号するとともに、必要に応じて、表示部157に処理結果などを表示する。
なお、復号プログラムも、符号化プログラムと同様に、例えば記録媒体170により提供されるものであって、CPU151の制御の下に、この記録媒体170から直接読み出されてもよく、ハードディスクに1度記録されたものが読み出されてもよい。また、復号プログラムは、ROM152にあらかじめ格納されていてもよい。
具体的には、コンピュータ装置150は、CPU151により復号プログラムを実行すると、CPU151の制御の下に、ハードディスクから読み出した受信語、若しくは通信部159を介して受信した受信語に対して例えばBCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行なうことによって、内符号の軟出力復号を行ない、上述した外部情報D8に対応する外部情報を生成する。
続いて、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成した外部情報にデインターリーブを施し、上述した事前確率情報D9に対応する事前確率情報を生成する。
続いて、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、生成した事前確率情報に対して例えばBCJRアルゴリズムに基づくMAP復号を行なうことによって、外符号の軟出力復号を行ない、上述した外部情報D12に対応する外部情報を生成し、この外部情報にインターリーブを施し、上述した事前確率情報D7に対応する事前確率情報を生成する。
そして、コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、このような復号動作を例えば数回乃至数十回といった所定の回数だけ反復して行ない、上述した外部情報D11に対応する所定回数の復号動作の結果として得られた軟出力の外部情報に基づいて、硬出力の復号データを出力する。
コンピュータ装置150は、CPU151の制御の下に、得られた復号データをハードディスクなどに記録し、必要に応じて、表示部157に処理結果などを表示する。なお、得られた復号データは、記録媒体170などに記録することもできる。
このように、コンピュータ装置150は、上述した復号装置3における復号処理を、復号プログラムを実行するという形態で実現することができる。
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
1001…符号化装置
1010…畳み込み符号化器(外符号)
1020…インターリーバ
1030…畳み込み符号化器(内符号)
1040…変調器
1010…畳み込み符号化器(外符号)
1020…インターリーバ
1030…畳み込み符号化器(内符号)
1040…変調器
Claims (50)
- 入力されたデータに対して縦列連接符号化を行なう符号化装置であって、
入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行なう第1の符号化手段と、
前記第1の符号化手段により符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換手段と、
前記置換手段により置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備え、
前記第2の符号化手段は、前記置換手段から供給されたp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答部と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答部を備え、
前記置換手段は、前記第1の符号化手段から供給された前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化手段の無限インパルス応答部に入力されるビット系列とそれ以外のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替え、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように、前記第2の符号化手段が構成されている、
ことを特徴とする符号化装置。 - 前記第2の符号化手段により符号化されたn個のビット系列からなるデータを所定の変調方式の伝送シンボルにマッピングするマッピング手段を備え、縦列連接符号化変調を行ない、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ同変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段が構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は2相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は4相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は8相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は16値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は32値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は64値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は内符号の1時刻の出力nビットを2n値変調方式により1送信シンボルにマッピングするように変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化手段の2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに最短のユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化手段の2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに2番目に短いユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記マッピング手段は、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化手段の2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに最短又は2番目に短いユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が2/3であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が3/3であり、
前記マッピング手段は、信号点空間上で互いにユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化手段の2つの入力ビット系列同士のハミング距離の合計が16以下となるような8値位相変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項5に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が3/4であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が4/4であり、
前記マッピング手段は、ユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化手段の入力ビット系列同士のハミング距離の合計が48以下となるような16値直交振幅変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項6に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が5/6であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が6/6であり、
前記マッピング手段は、ユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化手段の入力ビット系列同士のハミング距離の合計が224以下となるような64値直交振幅変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項8に記載の符号化装置。 - 前記置換手段は、前記第1の符号化手段から供給されたp個のビット系列からなるデータを、同一入力ビット系列に属するデータが同一出力ビット系列に属するように順序を置換して並べ替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は、p個の符号化ビット系列のうちの(p−1)個のビット系列についての自由距離が1よりも大きくなるような、(p−1)個のビット系列の選び方がp/2個以上存在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が1/2であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が2/2であり、
前記マッピング手段は2相位相変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、0.6デシベル以下の信号対電力雑音比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段が構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が2/3であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が3/3であり、
前記マッピング手段は8相位相変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、3.2デシベル以下の信号対電力雑音比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段が構成されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が3/4であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が4/4であり、
前記マッピング手段は16値直交振幅変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、5.0デシベル以下の信号対雑音比において、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段が構成されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の符号化装置。 - 前記第1の符号化手段は符号化率が5/6であり、
前記第2の符号化手段は符号化率が6/6であり、
前記マッピング手段は64値直交振幅変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化手段における出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化手段における入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、9.5デシベル以下の信号対雑音比において、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化手段及び前記マッピング手段が構成されている、
ことを特徴とする請求項15に記載の符号化装置。 - 入力されたデータに対して縦列連接符号化を行なう符号化方法であって、
入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行う第1の符号化ステップと、
前記第1の符号化ステップにおいて符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換ステップと、
前記置換ステップにおいて置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備え、
前記第2の符号化ステップでは、前記置換ステップで出力されるp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答を行ない、
前記置換ステップでは、前記第1の符号化ステップで出力される前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化ステップの無限インパルス応答処理に投入されるビット系列とそれ以外のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替え、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップが構成されている、
ことを特徴とする符号化方法。 - 前記第2の符号化ステップにおいて符号化されたn個のビット系列からなるデータを所定の変調方式の伝送シンボルにマッピングするマッピング・ステップを備え、縦列連接符号化変調を行ない、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ同変調方 式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップ及び前記マッピング・ステップが構成されている、
ことを特徴とする請求項24に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは2相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは4相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは8相位相変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは16値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは32値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは64値直交振幅変調方式による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは、内符号の1時刻の出力nビットを2n値変調方式により1送信シンボルにマッピングするように変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化ステップの2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに最短のユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化ステップの2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに2番目に短いユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記マッピング・ステップでは、ある1時刻においてのみ異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせるような前記第2の符号化ステップの2つの入力ビット系列について、そのハミング距離が1となるときのそれら2つの異なる送信シンボルの組の一部又はすべてが互いに最短又は2番目に短いユークリッド距離にあるような点に配置される変調を行なう、
ことを特徴とする請求項25に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が2/3であり、
前記第2の符号化ステップの符号化率が3/3であり、
前記マッピング・ステップでは、信号点空間上で互いにユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化ステップの2つの入力ビット系列同士のハミング距離の合計が16以下となるような8値位相変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項28に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が3/4であり、
前記第2の符号化ステップの符号化率が4/4であり、
前記マッピング・ステップでは、ユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化ステップの入力ビット系列同士のハミング距離の合計が48以下となるような16値直交振幅変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項29に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が5/6であり、
前記第2の符号化ステップの符号化率が6/6であり、
前記マッピング・ステップでは、ユークリッド距離が最小となる異なる2つの送信シンボルの組のすべてについて、ある1時刻においてのみそれら2つの異なる送信シンボルを生じさせ他の時刻においては同じ送信シンボルを生じさせる前記第2の符号化ステップの入力ビット系列同士のハミング距離の合計が224以下となるような64値直交振幅変調による変調を行なう、
ことを特徴とする請求項31に記載の符号化方法。 - 前記置換ステップでは、前記第1の符号化ステップで生成されるp個のビット系列からなるデータを、同一入力ビット系列に属するデータが同一出力ビット系列に属するように順序を置換して並べ替える、
ことを特徴とする請求項24に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップでは、p個の符号化ビット系列のうちの(p−1)個のビット系列についての自由距離が1よりも大きくなるような、(p−1)個のビット系列の選び方がp/2個以上存在する、
ことを特徴とする請求項24に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が1/2であり、
前記第2の符号化手ステップの符号化率が2/2であり、
前記マッピング・ステップでは2相位相変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、0.6デシベル以下の信号対電力雑音比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化ステップの出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップ及び前記マッピング・ステップが構成されている、
ことを特徴とする請求項26に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップでは符号化率が2/3であり、
前記第2の符号化ステップでは符号化率が3/3であり、
前記マッピング・ステップでは8相位相変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、3.2デシベル以下の信号対電力雑音比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化ステップの出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップ及び前記マッピング・ステップが構成されている、
ことを特徴とする請求項36に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が3/4であり、
前記第2の符号化ステップの符号化率が4/4であり、
前記マッピング・ステップでは16値直交振幅変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、5.0デシベル以下の信号対雑音比において、前記第1の符号化ステップの出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップ及び前記マッピング・ステップが構成されている、
ことを特徴とする請求項37に記載の符号化方法。 - 前記第1の符号化ステップの符号化率が5/6であり、
前記第2の符号化ステップの符号化率が6/6であり、
前記マッピング・ステップでは64値直交振幅変調方式による変調を行ない、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、9.5デシベル以下の信号対雑音比において、前記第1の符号化ステップの出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップ及び前記マッピング・ステップが構成されている、
ことを特徴とする請求項38に記載の符号化方法。 - 請求項1に記載の符号化装置により縦列連接符号化された符号の復号を行なう復号装置であって、
前記第2の符号化手段に対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号手段と、
前記第1の軟出力復号手段に縦列に連接し、前記置換手段により並べ替えられたp個のビット系列からなるデータの配列を、前記第1の符号化手段により符号化されたp個のビット系列からなるデータの配列に戻すように、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換手段と、
前記第1の符号化手段に対応して備えられ且つ前記逆置換手段に縦列に連接し、前記逆置換手段から出力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報を用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号手段と、
前記置換手段と同一の置換位置情報に基づいて、前記第2の軟出力復号手段から出力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換手段とを備え、
前記第1の軟出力復号手段は、前記情報ビットに対する事前確率情報として、前記第2の置換手段から出力された軟入力のデータを入力する、
ことを特徴とする復号装置。 - 請求項24に記載の符号化方法により縦列連接符号化された符号の復号を行なう復号方法であって、
前記第2の符号化ステップに対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号ステップと、
前記第1の軟出力復号ステップに縦列に連接し、前記置換ステップにおいて並べ替えられたp個のビット系列からなるデータの配列を、前記第1の符号化ステップにより符号化されたp個のビット系列からなるデータの配列に戻すように、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換ステップと、
前記第1の符号化ステップに対応して備えられ且つ前記逆置換ステップに縦列に連接し、前記逆置換ステップで出力される軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報を用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号ステップと、
前記置換ステップと同一の置換位置情報に基づいて、前記第2の軟出力復号ステップで出力される軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換ステップとを備え、
前記第1の軟出力復号ステップでは、前記情報ビットに対する事前確率情報として、前記第2の置換ステップで出力される軟入力のデータを入力する、
ことを特徴とする復号方法。 - 入力されたデータに対して縦列連接符号化を行なうための符号化処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
入力されたk個のビット系列からなるデータに対して符号化率がk/pの符号化を行なう第1の符号化ステップと、
前記第1の符号化ステップにおいて符号化されたp個のビット系列からなるデータを入力し、その順序を置換して並べ替える置換ステップと、
前記置換ステップにおいて置換されたp個のビット系列からなるデータに対して符号化率がp/n(p≦n)の符号化を行なう第2の符号化手段を備え、
前記第2の符号化ステップでは、前記置換ステップで出力されるp個のビット系列からなるデータのうち、pF(1≦pF<p)個のビット系列からなるデータに関しては有限インパルス応答であるか若しくは符号化せずにそのまま出力する有限インパルス応答と、(p−pF)個のビット系列からなるデータに関して無限インパルス応答を出力する無限インパルス応答を行ない、
前記置換ステップでは、前記第1の符号化ステップで出力される前記p個のビット系列からなるデータのうち、前記第2の符号化ステップの無限インパルス応答処理に投入されるビット系列とそれ以外のビット系列が互いに混ざり合わないように順序を置換して並べ替え、
前記第1の符号化ステップにおける出力相互情報量と入力相互情報量の関係並びに前記第2の符号化ステップにおける入力相互情報量と出力相互情報量の関係を記述したEXITチャート上で、同符号化率且つ2相位相変調方式の符号化方式におけるシャノン限界から0.4デシベルを加算した値以下の1ビット当たりの信号対雑音電力比Eb/NOにおいて、前記第1の符号化手段の出力相互情報量が0.9以上1.0未満の領域で唯一の交点を持つように前記第2の符号化ステップが構成されている、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。 - 請求項49に記載のコンピュータ・プログラムを実行することにより縦列連接符号化された符号の復号を行なうための復号処理をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
前記第2の符号化ステップに対応して備えられ、入力された軟入力である受信語と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報とを用いて軟出力復号を行なう第1の軟出力復号ステップと、
前記第1の軟出力復号ステップに縦列に連接し、前記置換ステップにおいて並べ替えられたp個のビット系列からなるデータの配列を、前記第1の符号化ステップにより符号化されたp個のビット系列からなるデータの配列に戻すように、入力された軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを並べ替える逆置換ステップと、
前記第1の符号化ステップに対応して備えられ且つ前記逆置換ステップに縦列に連接し、前記逆置換ステップで出力される軟入力であるp個の軟値の系列からなる符号ビットに対する事前確率情報と、入力された軟入力であるp個の軟値の系列からなる情報ビットに対する事前確率情報を用いて軟出力復号を行なう第2の軟出力復号ステップと、
前記置換ステップと同一の置換位置情報に基づいて、前記第2の軟出力復号ステップで出力される軟入力のp個の軟値の系列からなるデータを構成する各軟値の順序を置換して並べ替える第2の置換ステップとを備え、
前記第1の軟出力復号ステップでは、前記情報ビットに対する事前確率情報として、前記第2の置換ステップで出力される軟入力のデータを入力する、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2003303914A JP2005073189A (ja) | 2003-08-28 | 2003-08-28 | 符号化装置及び符号化方法、復号装置及び復号方法、並びにコンピュータ・プログラム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-08-28 JP JP2003303914A patent/JP2005073189A/ja active Pending
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