JP2005069973A - 遺伝子反応管および遺伝子検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 遺伝子検査における検査時間を短縮して検査効率を大幅に向上させることのできる遺伝子反応管および遺伝子検出装置を提供すること。
【解決手段】 遺伝子反応管3は、一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有する柱状の基体1と、凹部1aを塞ぐように取着される紫外線透過性の蓋体2とを具備している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、遺伝子の増幅に用いられる遺伝子反応管および増幅した遺伝子から遺伝子情報を検出するための遺伝子検査装置に関する。
検査目的の遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)を有する血液等の検体と試薬とを混合させた遺伝子検査液を収納し、遺伝子の増幅反応を行なうための容器であるマイクロプレートと呼ばれる従来の遺伝子反応管103を図10(a),(b)に示す。ここで図10(a)は、遺伝子反応管103の断面図、図10(b)は蓋体102を外した状態での斜面図である。
従来の遺伝子反応管103を使用した遺伝子増幅方法は、代表的なものとしてPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)法、ICAN法、LAMP法等が存在する。近年、非放射性標識を用いた遺伝子の変異を同定するPCR法が注目されている。
PCR法とはDNAを複製する酵素(耐熱性のDNAポリメラーゼ)を利用して特定のDNA領域を短時間で増幅する方法である。先ず、目的の遺伝子の本体であるDNA(ゲノムDNA等)の領域に対して相補的な塩基配列を持つ遺伝子の断片(プライマー)を合成する。次に、2本鎖のDNAを加熱処理(約90℃)して一本鎖の鋳型DNAに分離し、その後冷却(約50℃)してプライマーを結合させる。そこに熱に安定なDNAポリメラーゼを加え、再度加熱(約70℃)して1本の鋳型DNAを2本に増幅する。この一連の工程を複数繰り返すことにより目的の遺伝子の本体であるDNAを指数関数的に短時間で増幅することができる。
つまり、1回の工程で2本のDNAが複製されるので、これを20回繰り返せば220=で約100万倍に、30回で230=約1億倍に複製できる。しかもこの増幅は短時間でできるという長所がある。
そして、このようなPCR法により増幅された遺伝子を蛍光検出法によって遺伝子情報を検出することができる。即ち、増幅された遺伝子に特定の物質にのみ結合する化学的なマーキングを施した後、特定波長の紫外線を当てるとマーキング部が反応して蛍光を発するため、施したマーキングの種類により遺伝子の特徴を知ることが可能となる。
特開2003−194817号公報
近年、遺伝子検査における検査時間の短縮に対する要求が急激に増加している。しかしながら、PCR法による遺伝子増幅反応を行なうプロセスは、目的の遺伝子の本体であるDNAを有する検体とPCR法用試薬とを混合した遺伝子検査液をヒーターにより加熱して50〜90℃の範囲で温度を変化させて反応させ、この工程を30〜40回繰り返すことにより行なわれるため、遺伝子検査液が蒸発して液量が減少し易いものであり、遺伝子検査液の蒸発を防止するために蓋体102を取着させるものの、従来の遺伝子反応管103は基体101および蓋体102がポリプロピレン等のプラスティックから成るために気密性が悪く、遺伝子検査液の蒸発を見越して液量を50μL程度も用いる必要があった。そのため、遺伝子検査液を所望の温度とするのに時間がかかり、検査時間を短縮するのが困難であるという問題点を有していた。
また、従来のポリプロピレン等のプラスティックから成る遺伝子反応管103は熱伝導率が低いため、内部に収容する遺伝子検査液を所望の温度とするのに時間がかかるとともに、遺伝子検査液を温度制御するのが困難であるという問題点も有していた。
さらに、従来においては、増幅を行なった後の遺伝子検査液に対して紫外線を照射して遺伝子検査液の蛍光反応から遺伝子情報を確認する際、増幅反応後の遺伝子検査液を別の容器に移して紫外線を照射し蛍光反応を確認する必要があった。そのため、遺伝子反応管103から完全に遺伝子検査液を取り出すことは非常に困難であり、遺伝子検査液を多量に用いる必要があるとともに、非常に作業効率が悪いという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、遺伝子検査における検査時間を短縮して検査効率を大幅に向上させることのできる遺伝子反応管および遺伝子検出装置を提供することにある。
本発明の第1の遺伝子反応管は、一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有する柱状の基体と、前記凹部を塞ぐように取着される紫外線透過性の蓋体とを具備していることを特徴とする。
本発明の第2の遺伝子反応管は、内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、該基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、該蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることを特徴とする。
本発明の第3の遺伝子反応管は、一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有するとともに、外側面から前記凹部の内側面にかけて貫通孔が形成された柱状の基体と、前記貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、前記凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記窓部材および前記蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることを特徴とする。
本発明の第4の遺伝子反応管は、外側面から内側面にかけて貫通孔が形成された、内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、前記貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、前記基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、前記窓部材および前記蓋体は少なくとも1つが紫外線透過性であることを特徴とする。
本発明の遺伝子反応管において、好ましくは、前記基体は、ジルコニア質焼結体,アルミナ質焼結体,窒化珪素質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体から成ることを特徴とする。
本発明の遺伝子反応管において、好ましくは、前記基体はその外側面および内側面が円筒面とされていることを特徴とする。
本発明の遺伝子検査装置は、上記本発明の遺伝子反応管と、紫外線透過性の前記蓋体または紫外線透過性の前記窓部材に紫外線を入射させるための紫外線照射手段と、前記蓋体または前記窓部材から出てきた光を検知するための光検知手段と、前記遺伝子反応管の温度を制御するための温度制御手段とを具備しており、前記温度制御手段により前記遺伝子反応管内の前記遺伝子検査液中の遺伝子を反応させるとともに、前記紫外線照射手段によって紫外線を紫外線透過性の前記蓋体または紫外線透過性の前記窓部材を透過させて前記遺伝子検査液に照射し、前記遺伝子検査液中の前記遺伝子の紫外線との反応により生じて前記蓋体または前記窓部材を透過して出てきた蛍光を前記光検知手段により検知することを特徴とする。
本発明の第1の遺伝子反応管は、一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有する柱状の基体と、凹部を塞ぐように取着される紫外線透過性の蓋体とを具備していることから、遺伝子反応管内で遺伝子検査液を反応させた後、紫外線を紫外線透過性の蓋体を透過させて遺伝子検査液に照射させ、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じた蛍光を検知して遺伝子情報を検出することができ、遺伝子検査液を別の容器に移す必要がない。従って、作業効率を非常に向上させることができるとともに、遺伝子検査液の液量を少なくすることができるので遺伝子増幅反応の時間を短縮することができる。その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができる。
また、紫外線透過性の蓋体を透過させて紫外線を遺伝子反応管内に入射するので紫外線が吸収されるのを有効に抑制でき、強度の小さい紫外線でも安定した遺伝子情報の検出を行なうことが可能となり遺伝子検査装置を省電力化することができる。さらに遺伝子検査液から生じた蛍光を反射し易い材質で基体を構成すると、蛍光が基体に吸収されたり基体を透過したりして蛍光強度が低下するのを有効に抑制して蓋体を通して高効率に蛍光を検出することができることから、紫外線の強度をさらに小さくして蛍光強度が小さくなっても安定した遺伝子情報の検出が可能となり、さらに遺伝子検出装置を省電力化することができる。
本発明の第2の遺伝子反応管は、内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、この基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、この蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることから、遺伝子反応管内で遺伝子検査液を反応させた後、紫外線を紫外線透過性の蓋体を透過させて遺伝子検査液に照射させ、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じた蛍光を検知して遺伝子情報を検出することができ、遺伝子検査液を別の容器に移す必要がない。従って、作業効率を非常に向上させることができるとともに、遺伝子検査液の液量を少なくすることができるので遺伝子増幅反応の時間を短縮することができる。その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができる。
また、紫外線透過性の蓋体を透過させて紫外線を遺伝子反応管内に入射するので紫外線が吸収されるのを有効に抑制でき、強度の小さい紫外線でも安定した遺伝子情報の検出を行なうことが可能となり遺伝子検査装置を省電力化することができる。さらに遺伝子検査液から生じた蛍光を反射し易い材質で基体を構成すると、蛍光が基体に吸収されたり基体を透過したりして蛍光強度が低下するのを有効に抑制して蓋体を通して高効率に蛍光を検出することができることから、紫外線の強度をさらに小さくして蛍光強度が小さくなっても安定した遺伝子情報の検出が可能となり、さらに遺伝子検出装置を省電力化することができる。
さらに、基体の両端面に取着される蓋体のうちの一方の紫外線透過性の蓋体に紫外線を照射し、他方の蓋体で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、一つの蓋体に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体を非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。
本発明の第3の遺伝子反応管は、一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有するとともに、外側面から凹部の内側面にかけて貫通孔が形成された柱状の基体と、貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、一端面の凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記窓部材および前記蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることから、遺伝子反応管内で遺伝子検査液を反応させた後、紫外線を紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材を透過させて遺伝子検査液に照射させ、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じた蛍光を検知して遺伝子情報を検出することができ、遺伝子検査液を別の容器に移す必要がない。従って、作業効率を非常に向上させることができるとともに、遺伝子検査液の液量を少なくすることができるので遺伝子増幅反応の時間を短縮することができる。その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができる。
また、紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材を透過させて紫外線を遺伝子反応管内に入射するので紫外線が吸収されるのを有効に抑制でき、強度の小さい紫外線でも安定した遺伝子情報の検出を行なうことが可能となり遺伝子検査装置を省電力化することができる。さらに遺伝子検査液から生じた蛍光を反射し易い材質で基体を構成すると、蛍光が基体に吸収されたり基体を透過したりして蛍光強度が低下するのを有効に抑制して蓋体または窓部材を通して高効率に蛍光を検出することができることから、紫外線の強度をさらに小さくして蛍光強度が小さくなっても安定した遺伝子情報の検出が可能となり、さらに遺伝子検出装置を省電力化することができる。
さらに、紫外線透過性の蓋体に紫外線を照射して窓部材で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、または、紫外線透過性の窓部材に紫外線を照射して蓋体で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、一つの蓋体または窓部材に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体または窓部材を非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。また、紫外線の照射方向に対して直角に光検知手段を設置することができるため、紫外線が光検知手段に直接入り込んでノイズとなるのを防止でき、遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
本発明の第4の遺伝子反応管は、外側面から内側面にかけて貫通孔が形成された、内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、窓部材および蓋体は少なくとも1つが紫外線透過性であることから、遺伝子反応管内で遺伝子検査液を反応させた後、紫外線を紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材を透過させて遺伝子検査液に照射させ、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じた蛍光を検知して遺伝子情報を検出することができ、遺伝子検査液を別の容器に移す必要がない。従って、作業効率を非常に向上させることができるとともに、遺伝子検査液の液量を少なくすることができるので遺伝子増幅反応の時間を短縮することができる。その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができる。
また、紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材を透過させて紫外線を遺伝子反応管内に入射するので紫外線が吸収されるのを有効に抑制でき、強度の小さい紫外線でも安定した遺伝子情報の検出を行なうことが可能となり遺伝子検査装置を省電力化することができる。さらに遺伝子検査液から生じた蛍光を反射し易い材質で基体を構成すると、蛍光が基体に吸収されたり基体を透過したりして蛍光強度が低下するのを有効に抑制して蓋体または窓部材を通して高効率に蛍光を検出することができることから、紫外線の強度をさらに小さくして蛍光強度が小さくなっても安定した遺伝子情報の検出が可能となり、さらに遺伝子検出装置を省電力化することができる。
さらに、紫外線透過性の蓋体に紫外線を照射して窓部材で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、または、紫外線透過性の窓部材に紫外線を照射して蓋体で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、一つの蓋体または窓部材に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体または窓部材を非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。また、紫外線の照射方向に対して直角に光検知手段を設置することができるため、紫外線が光検知手段に直接入り込んでノイズとなるのを防止でき、遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
また、基体の両端面の紫外線透過性の蓋体に紫外線を照射して窓部材で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、紫外線を2方向から照射できるので紫外線の照射効率を向上させることができ、遺伝子検査液の蛍光効率を高めて遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。または、紫外線透過性の窓部材に紫外線を照射し、基体の両端面の蓋体で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、蛍光を2方向から検知することができ、遺伝子検査液の蛍光効率を高めて遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
本発明の遺伝子反応管は、基体が、ジルコニア質焼結体,アルミナ質焼結体,窒化珪素質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体から成ることから、基体を内径および外径の公差が1乃至5μm以下と非常に高い加工精度で形成することができ、また、基体の摩擦係数が低いとともに、剛性が高く、熱膨張係数も低いことから、外部応力や温度変化に対して基体の形状を安定にすることができ、遺伝子反応管の気密性を非常に高くして、遺伝子検査液の蒸発を著しく抑制することができる。その結果、遺伝子検査液の量を非常に少なくすることができ、検査時間を著しく短縮することができる。
また、基体が耐食性にも非常に優れるものとなるとともに紫外線に対しても安定なものとなり、基体が遺伝子検査液に侵されたり紫外線によって劣化したりして遺伝子情報の検出の妨げとなるのを有効に抑制することができる。
さらに、遺伝子検査液に照射する紫外線や遺伝子検査液から生じた蛍光を内側面で効率よく反射させることができるので、紫外線強度が低下したり蛍光強度が低下するのを有効に抑制して検査精度を向上させることができる。
本発明の遺伝子反応管は、基体の外側面および内側面が円筒面とされていることから、基体を容易に加工することが可能となり、基体を押出成形やプレス成形,射出成形等により所定形状に成形する際、また必要があれば切削等により高精度な加工をする際、内径および外径の公差を1μm以下と高精度にすることができる。その結果、遺伝子反応管の形状を安定化することができ、遺伝子検査液に対する紫外線照射効率や蛍光効率を一定に維持して、遺伝子反応管ごとに遺伝子情報の検出結果が異なることのない高精度の検出が可能となる。
また、基体の外側面と内側面との間の厚みを全周にわたって一定にすることができ、基体の外側面から内側面に至る熱伝導時間を全周にわたって均一にして内部に収容する遺伝子検査液の温度制御を容易に行なうことができる。その結果、遺伝子増幅反応の速度を高めることができ検査時間を短縮化することができる。
さらに、基体の内側面において紫外線を等方的に反射することができ、遺伝子検査液に対する紫外線の照射効率を高めて遺伝子情報の検出効率を高めることができる。
本発明の遺伝子検査装置は、上記本発明の遺伝子反応管と、紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材に紫外線を入射させるための紫外線照射手段と、蓋体または窓部材から出てきた光を検知するための光検知手段と、遺伝子反応管の温度を制御するための温度制御手段とを具備しており、温度制御手段により遺伝子反応管内の遺伝子検査液中の遺伝子を反応させるとともに、紫外線照射手段によって紫外線を紫外線透過性の蓋体または紫外線透過性の窓部材を透過させて遺伝子検査液に照射し、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じて蓋体または窓部材を透過して出てきた蛍光を光検知手段により検知することから、遺伝子反応管内に遺伝子検査液を収納した状態で遺伝子の反応および遺伝子情報の検出を連続して、または同時に行なうことができ、その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができるとともに遺伝子情報のより高精度な検出を行なうことができる。
本発明の遺伝子反応管の実施形態を以下に詳細に説明する。
図1は本発明の第1の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図であり、図2は図1の遺伝子反応管のA−A’線における断面図である。
図1,2において、1は基体、2は蓋体、1aは遺伝子検査液を収容するための凹部であり、これら基体1、蓋体2で、凹部1aで、遺伝子検査液を収容するための本発明の第1の遺伝子反応管3が基本的に構成される。
基体1は、遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための保持部材、ならびに遺伝子検査液へ熱を伝達するための熱伝導体として機能している。なお、本発明において、遺伝子とはDNA内の遺伝情報を含んだ部分のことである。また、ある種のウィルスの場合は、RNA内の遺伝情報を含んだ部分のことである。
基体1の材料は、ジルコニア質焼結体,アルミナ質焼結体,窒化珪素質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料、石英、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料、ポリプロピレン等のプラスティック材料であるが、耐熱性、耐薬品性の点から耐熱性、耐薬品性に優れるセラミック材料が好ましい。
好ましくは、基体1が、ジルコニア質焼結体,アルミナ質焼結体,窒化珪素質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体から成るのがよい。これにより、基体1を内径および外径の公差が1乃至5μm以下と非常に高い加工精度で形成することができ、また、基体1の摩擦係数が低いとともに、剛性が高く、熱膨張係数も低いことから、外部応力や温度変化に対して基体の形状を安定にすることができ、遺伝子反応管3の気密性を非常に高くして、遺伝子検査液の蒸発を著しく抑制することができる。その結果、遺伝子検査液の量を非常に少なくすることができ、検査時間を著しく短縮することができる。また、基体1が耐食性にも非常に優れるものとなるとともに紫外線に対しても安定なものとなり、基体1が遺伝子検査液に侵されたり紫外線によって劣化したりして遺伝子情報の検出の妨げとなるのを有効に抑制することができる。さらに、遺伝子検査液に照射する紫外線や遺伝子検査液から生じた蛍光を内側面で効率よく反射させることができるので、紫外線強度が低下したり蛍光強度が低下するのを有効に抑制して検査精度を向上させることができる。
例えば、基体1がジルコニア質焼結体から成る場合、主成分としてZrO、安定化剤としてYを含有し、正方晶の結晶を主体とした部分安定化ジルコニア質焼結体を用いるのがよい。これにより寸法安定性および気密信頼性の高いものとなる。このようなジルコニア質焼結体から成る基体1は、上記の原料粉末を押出成形、射出成形、またはプレス成形等で所定形状に成形した後、焼成することによって作製することができる。
また、ジルコニア質焼結体から成る基体1は、平均結晶粒径が0.1μm〜0.5μmであり、かつ気孔率が3%以下であるものがよい。これにより、結晶間の空隙が大きくなりすぎず、気密性が向上する。この気孔率は基体1の固体中に含まれる空隙の体積割合を百分率であらわしたもので3%を越えると、基体1の気密性や熱伝導率が低下し易くなる。
基体1の形状は、円柱や角柱のような柱状であり、縦断面の形状が台形状や三角形状のような両端部で大きさが異なるものでもよい。また、基体1の一端面には凹部1aが形成されており、遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が凹部1a内に収容される。
好ましくは、基体1の外側面および内側面(凹部1aの内側面)は円筒面とされているのがよい。これにより、基体1を容易に加工することが可能となり、基体1を押出成形やプレス成形,射出成形等により所定形状に成形する際、また必要があれば切削等により高精度な加工をする際、内径および外径の公差を1μm以下と高精度にすることができる。その結果、遺伝子反応管3の形状を安定化することができ、遺伝子検査液に対する紫外線照射効率や蛍光効率を一定に維持して、遺伝子反応管3ごとに遺伝子情報の検出結果が異なることのない高精度の検出が可能となる。また、基体1の外側面と内側面との間の厚みを全周にわたって一定にすることができ、基体1の外側面から内側面に至る熱伝導時間を全周にわたって均一にして内部に収容する遺伝子検査液の温度制御を容易に行なうことができる。その結果、遺伝子増幅反応の速度を高めることができ検査時間を短縮化することができる。さらに、基体1の内側面において紫外線を等方的に反射することができ、遺伝子検査液に対する紫外線の照射効率を高めて遺伝子情報の検出効率を高めることができる。
基体1の凹部1aが形成されている一端面は平坦になっているのがよく、これにより蓋体2を安定して取着することができ、蓋体2によって凹部1aの気密性を良好にすることができる。
蓋体2は、紫外線透過性であり、凹部1aに収容される遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を気密に保持するとともに、凹部1aに収容される遺伝子検査液に紫外線を照射するための紫外線透過部となる。
このような紫外線透過性の蓋体2は、石英やサファイヤ、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料、プラスティック材料からなる。より紫外線の透過性をよくして遺伝子検査液の蛍光強度を高めるという観点からは、紫外線透過率の高い石英を使用することが好ましい。
また、蓋体2は遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、蓋体2を通して遺伝子検査液から生じた蛍光を検出し易くなる。
蓋体2の形状は、円柱状、角柱状、角錐状等であり、遺伝子検査液で生じた蛍光を蓋体2を通して検出する際に蓋体2の上部が平坦である方が作業性を高めるため、円柱状、角柱状等であることが好ましい。
このような蓋体2は、例えば石英からなる場合は、切削加工や、研磨加工、打ち抜き加工等の従来周知のガラス加工方法を施すことによって所定の蓋体形状に製作される。また、蓋体2の基体1への取着は、基体1の一端面と蓋体2の主面とをエポキシ樹脂等の接合材を用いて接合するか、従来周知の割りスリーブ等のリングを使用することによって基体1と蓋体2を接触させるとともに割りスリーブでかしめることで行われる。割りスリーブ等のリングを用いると接合材を用いる必要がなく、遺伝子検査液に接合材が溶け出して検査精度が低下したり、気密性が低下するのを有効に抑制できるので好ましい。
また、蓋体2は凹部1aに嵌着されることによって基体1に取着されてもよい。さらに、蓋体2は、基体1に取着される主面の中央部に凸部を有するとともに、この凸部を凹部1aに嵌着させることによって基体1に取着されてもよい。これらの構成により、接合材を用いる必要がなく、遺伝子検査液に接合材が溶け出して検査精度が低下したり、気密性が低下するのを有効に抑制できる。
次に本発明の第2の遺伝子反応管の実施形態を以下に詳細に説明する。図3は本発明の第2の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図であり、図4は図3のB−B’線における断面図である。これらの図において、21は筒状の基体、22aは基体21の一端面に取着された紫外線透過性の蓋体、22bは基体21の他端面に取着された蓋体、21aは遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための基体1の内側の空洞部であり、これらで本発明の第2の遺伝子反応管23が基本的に構成される。
基体21において、その形状以外の構成は上記の第1の遺伝子反応管3の基体1と同じであるので詳細な説明は省略する。
基体21の形状は円筒形や角筒形のような筒状であり、縦断面の形状が台形状のような両端部の大きさが異なるものでもよい。また、基体21の両端面には蓋体22a,22bが取着され、蓋体22a,22bおよび基体21で構成される空洞部21a内に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が収容される。
好ましくは、基体21の外側面および内側面は円筒面とされているのがよい。これにより、基体21を容易に加工することが可能となり、基体21を押出成形やプレス成形,射出成形等により所定形状に成形する際、また必要があれば切削等により高精度な加工をする際、内径および外径の公差を1μm以下と高精度にすることができる。その結果、遺伝子反応管23の形状を安定化することができ、遺伝子検査液に対する紫外線照射効率や蛍光効率を一定に維持して、遺伝子反応管23ごとに遺伝子情報の検出結果が異なることのない高精度の検出が可能となる。また、基体21の外側面と内側面との間の厚みを全周にわたって一定にすることができ、基体21の外側面から内側面に至る熱伝導時間を全周にわたって均一にして内部に収容する遺伝子検査液の温度制御を容易に行なうことができる。その結果、遺伝子増幅反応の速度を高めることができ検査時間を短縮化することができる。さらに、基体21の内側面において紫外線を等方的に反射することができ、遺伝子検査液に対する紫外線の照射効率を高めて遺伝子情報の検出効率を高めることができる。
基体21の両端面は平坦になっているのがよく、これにより蓋体23を安定して取着することができ、蓋体22によって空洞部21aの気密性を良好にすることができる。
基体21の両端面に取着される蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であればよく、他方の蓋体は紫外線透過性であっても紫外線非透過性であってもよい。紫外線透過性の蓋体22aは上記の第1の遺伝子反応管3の蓋体2と同じであるので詳細な説明は省略する。
蓋体22bは、セラミック材料、プラスティック材料、金属材料、ガラス材料等が用いられ、蓋体22aと同じ材料であってもよく異なっていてもよい。
また、蓋体22a,22bは遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、蓋体22a,22bを通して遺伝子検査液から生じた蛍光を検出し易くなる。例えば、蓋体22bが遺伝子検査液から生じた蛍光を透過させない場合、蓋体22aを紫外線および遺伝子検査液から生じた蛍光をともに透過させるもので構成することにより、蓋体22aを通して紫外線を照射するとともに蛍光を蓋体22aを通して検出することができる。また、蓋体22bが遺伝子検査液からの蛍光を透過させる場合、蓋体22aに紫外線照射手段を設置し、蓋体22bに光検知手段を設置することができ、一つの蓋体に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体22a,22bを非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。
次に本発明の第3の遺伝子反応管の実施形態を以下に詳細に説明する。図5は本発明の第3の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図であり、図6は図5のC−C’線における断面図である。これらの図において、31は基体、32は蓋体、31aは遺伝子検査液を収容するための凹部、35は基体31の外側面から内側面にかけて形成された貫通孔であり、これらで本発明の第3の遺伝子反応管33が基本的に構成される。
基体31において、その形状以外の構成は上記の第1の遺伝子反応管3の基体1と同じであるので詳細な説明は省略する。
基体31の形状は、円柱や角柱のような柱状であり、縦断面の形状が台形状や三角形状のような両端部で大きさが異なるものでもよい。また、基体31の一端面には凹部31aが形成されており、遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が凹部31a内に収容される。
好ましくは、基体31の外側面および内側面(凹部31aの内側面)は円筒面とされているのがよい。これにより、基体31を容易に加工することが可能となり、基体31を押出成形やプレス成形,射出成形等により所定形状に成形する際、また必要があれば切削等により高精度な加工をする際、内径および外径の公差を1μm以下と高精度にすることができる。その結果、遺伝子反応管33の形状を安定化することができ、遺伝子検査液に対する紫外線照射効率や蛍光効率を一定に維持して、遺伝子反応管33ごとに遺伝子情報の検出結果が異なることのない高精度の検出が可能となる。また、基体31の外側面と内側面との間の厚みを全周にわたって一定にすることができ、基体31の外側面から内側面に至る熱伝導時間を全周にわたって均一にして内部に収容する遺伝子検査液の温度制御を容易に行なうことができる。その結果、遺伝子増幅反応の速度を高めることができ検査時間を短縮化することができる。さらに、基体31の内側面において紫外線を等方的に反射することができ、遺伝子検査液に対する紫外線の照射効率を高めて遺伝子情報の検出効率を高めることができる。
基体31の凹部31aが形成されている一端面は平坦になっているのがよく、これにより蓋体32を安定して取着することができ、蓋体32によって凹部31aの気密性を良好にすることができる。
また、基体31は、その外側面から凹部31aの内側面にかけて貫通孔が形成されているとともに、この貫通孔を塞ぐように窓部材35が取着されている。
そして、窓部材35および蓋体32は少なくとも一方が紫外線透過性である。これにより、紫外線透過性の蓋体32に紫外線を照射して窓部材35で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、または、紫外線透過性の窓部材35に紫外線を照射して蓋体32で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、一つの蓋体32または窓部材35に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体32または窓部材35を非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。また、紫外線の照射方向に対して直角に光検知手段を設置することができるため、紫外線が光検知手段に直接入り込んでノイズとなるのを防止でき、遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
蓋体32は上記の第1の遺伝子反応管3の蓋体2または第2の遺伝子反応管23の蓋体22bと同じであるので詳細な説明は省略する。また、窓部材35は、セラミック材料、プラスティック材料、金属材料、ガラス材料等が用いられ、蓋体32と同じ材料であってもよく異なっていてもよい。
蓋体32が紫外線透過性である場合、窓部材35は遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、蓋体32から紫外線を照射し、遺伝子検査液から生じた蛍光を窓部材35から検出することができる。また、窓部材35が紫外線透過性である場合、蓋体32は遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、窓部材35から紫外線を照射し、遺伝子検査液から生じた蛍光を蓋体32から検出することができる。また、窓部材35を紫外線に対しておよび遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているものとすれば、窓部材35から紫外線を照射して遺伝子検査液から生じた蛍光を窓部材35で検出することも可能である。
窓部材35は、図6に示すように貫通孔に嵌着することによって基体31に取着されてもよく、基体31の外側面に貫通孔の開口の周囲に接合することによって基体31に取着されてもよい。好ましくは、図6のように窓部材35が基体31の内側面と面一になるように貫通孔に嵌着されているのがよい。これにより、貫通孔と窓部材35とから成る窪みが生じて遺伝子反応液が滞留したり紫外線の照射が妨げられるのを有効に抑制でき、遺伝子の複製反応を良好に進行させることができるとともに、紫外線を遺伝性検査液に均一に照射して遺伝子情報の検出の分解能を向上させることができる。
次に本発明の第4の遺伝子反応管の実施形態を以下に詳細に説明する。図7は本発明の第4の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図であり、図8は図7のD−D’線における断面図である。これらの図において、41は基体、42は蓋体、41aは遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための基体41の内側の空洞部、45は基体41の外側面から内側面にかけて形成された貫通孔であり、これらで本発明の第4の遺伝子反応管43が基本的に構成される。
基体41において、その形状以外の構成は上記の第2の遺伝子反応管23の基体21と同じであるので詳細な説明は省略する。
基体41の形状は円筒形や角筒形のような筒状であり、縦断面の形状が台形状のような両端部の大きさが異なるものでもよい。また、基体41の両端面には蓋体42が取着され、蓋体42および基体41で構成される空洞部41a内に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が収容される。
好ましくは、基体41の外側面および内側面は円筒面とされているのがよい。これにより、基体41を容易に加工することが可能となり、基体41を押出成形やプレス成形,射出成形等により所定形状に成形する際、また必要があれば切削等により高精度な加工をする際、内径および外径の公差を1μm以下と高精度にすることができる。その結果、遺伝子反応管43の形状を安定化することができ、遺伝子検査液に対する紫外線照射効率や蛍光効率を一定に維持して、遺伝子反応管43ごとに遺伝子情報の検出結果が異なることのない高精度の検出が可能となる。また、基体41の外側面と内側面との間の厚みを全周にわたって一定にすることができ、基体41の外側面から内側面に至る熱伝導時間を全周にわたって均一にして内部に収容する遺伝子検査液の温度制御を容易に行なうことができる。その結果、遺伝子増幅反応の速度を高めることができ検査時間を短縮化することができる。さらに、基体41の内側面において紫外線を等方的に反射することができ、遺伝子検査液に対する紫外線の照射効率を高めて遺伝子情報の検出効率を高めることができる。
基体41の両端面は平坦になっているのがよく、これにより蓋体43を安定して取着することができ、蓋体42によって空洞部41aの気密性を良好にすることができる。
また、基体41は、その外側面から内側面にかけて貫通孔が形成されているとともに、この貫通孔を塞ぐように窓部材45が取着されている。
そして、窓部材45および蓋体42は少なくとも1つが紫外線透過性である。これにより、紫外線透過性の蓋体42に紫外線を照射して窓部材45で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、または、紫外線透過性の窓部材45に紫外線を照射して蓋体42で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、一つの蓋体42または窓部材45に対して紫外線照射手段および光検知手段の両方を設置する必要がないため、蓋体42または窓部材45を非常に小さくすることができ、遺伝子検出装置を小型化することができる。また、紫外線の照射方向に対して直角に光検知手段を設置することができるため、紫外線が光検知手段に直接入り込んでノイズとなるのを防止でき、遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
また、基体41の両端面の紫外線透過性の蓋体42に紫外線を照射して窓部材45で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、紫外線を2方向から照射できるので紫外線の照射効率を向上させることができ、遺伝子検査液の蛍光効率を高めて遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。または、紫外線透過性の窓部材45に紫外線を照射し、基体41の両端面の蓋体42で遺伝子検査液から生じた蛍光を検知することにより、蛍光を2方向から検知することができ、遺伝子検査液の蛍光効率を高めて遺伝子情報の検出の分解能をより高くすることができる。
蓋体42は上記の第1の遺伝子反応管3の蓋体2または第2の遺伝子反応管23の蓋体22bと同じであるので詳細な説明は省略する。また、窓部材45は、セラミック材料、プラスティック材料、金属材料、ガラス材料等が用いられ、蓋体42と同じ材料であってもよく異なっていてもよい。
蓋体42が紫外線透過性である場合、窓部材45は遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、蓋体42から紫外線を照射し、遺伝子検査液から生じた蛍光を窓部材45から検出することができる。また、窓部材45が紫外線透過性である場合、蓋体42は遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているのがよい。これにより、窓部材45から紫外線を照射し、遺伝子検査液から生じた蛍光を蓋体42から検出することができる。また、窓部材45を紫外線に対しておよび遺伝子検査液から生じた蛍光に対して高い透過率を有しているものとすれば、窓部材45から紫外線を照射して遺伝子検査液から生じた蛍光を窓部材45で検出することも可能である。
窓部材45は、図8に示すように貫通孔に嵌着することによって基体41に取着されてもよく、基体41の外側面に貫通孔の開口の周囲に接合することによって基体41に取着されてもよい。好ましくは、図8のように窓部材45が基体41の内側面と面一になるように貫通孔に嵌着されているのがよい。これにより、貫通孔と窓部材45とから成る窪みが生じて遺伝子反応液が滞留したり紫外線の照射が妨げられるのを有効に抑制でき、遺伝子の複製反応を良好に進行させることができるとともに、紫外線を遺伝性検査液に均一に照射して遺伝子情報の検出の分解能を向上させることができる。
このような本発明の第1乃至第4のいずれかに記載の遺伝子反応管3,23,33,43と、紫外線透過性の蓋体2,22a,32,42または紫外線透過性の窓部材35,45に紫外線を入射させるための紫外線照射手段と、蓋体2,22a,22b,32,42または窓部材35,45から出てきた光を検知するための光検知手段と、遺伝子反応管3,23,33,43の温度を制御するための温度制御手段とを具備することにより、図9に示すような本発明の遺伝子検査装置となる。そして、温度制御手段により遺伝子反応管3,23,33,43内の遺伝子検査液中の遺伝子を反応させるとともに、紫外線照射手段によって紫外線を紫外線透過性の蓋体2,22a,32,42または紫外線透過性の窓部材35,45を透過させて遺伝子検査液に照射し、遺伝子検査液中の遺伝子の紫外線との反応により生じて蓋体2,22a,22b,32,42または窓部材35,45を透過して出てきた蛍光を光検知手段により検知することにより、遺伝子反応管内3,23,33,43に遺伝子検査液を収納した状態で遺伝子の反応および遺伝子情報の検出を連続して、または同時に行なうことができ、その結果、遺伝子検査における検査時間を大幅に短縮することができるとともに遺伝子情報のより高精度な検出を行なうことができる。
従来の遺伝子反応管に対する本発明の遺伝子反応管の検査効率を確認するための評価を以下のように行なった。
図1,2に示すような本発明の遺伝子反応管として、中央部に凹部1aが形成されている円柱型で、全長10mm、外径2mm、内径126μm、凹部1a深さ3mmのジルコニア質焼結体から成る基体1を準備した。
そして、目的の遺伝子である2本鎖DNAを含むヒトの血液からDNA断片を抽出した検体と、周知のDNA合成方法によって作成した、この目的の遺伝子に対して相補的な塩基配列を持つプライマーと、耐熱性DNAポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq タカラバイオ社製)とを混合した遺伝子検査液となる試薬をDNA基体1の凹部1aに注入し、基体1の一端面に直径2mm、高さ1mmの円柱状の石英の蓋体をエポキシ樹脂で凹部1aを覆うように接着することにより試料を作製した。
次にこの試料を、ヒーターで温度を調整することによって、95℃の温度で30sec反応させた後、55℃の温度で30sec反応させ、次に75℃の温度で30sec反応させた。この一連の工程を1サイクルとし、合計40サイクル繰り返した。
このようにして反応させた遺伝子検査液に対して、蓋体2から紫外線を入射し、遺伝子検査液の蛍光反応によって出射した出射光を蓋体2を通して受光機によって検出することにより、遺伝子増幅反応が正しく行なわれているか検査した。
次に比較として、図10に示すような全長30mm、外周の直径10mm、開孔部の内径9.5mm、内径の凹部深さ26mmの逆円錐型のポリプロピレン製の基体101と、直径10mm、高さ0.5mmのポリプロピレン製の蓋体102とから成る従来の遺伝子反応管を用い、上記と同様にして40サイクルの遺伝子増幅反応を行った。
この比較例の遺伝子検査液を蛍光検出法により蛍光検出を行うため、基体から遺伝子検査液を取り出して蛍光セルに移した後、遺伝子検査液へ紫外線を入射し、遺伝子検査液の蛍光反応によって出射した出射光を受光機により検出することにより、遺伝子増幅反応が正しく行われているか検査した。
そして、このような手順で行なった遺伝子増幅反応の検査について、遺伝子増幅反応が完了してから蛍光検出法により蛍光検出を完了するまでの時間をストップウォッチにて測定することにより、検査時間の評価を行った。
表1に評価結果を示す。表1は試料および比較例の検査時間をそれぞれ示したものである。
Figure 2005069973
表1より、従来の遺伝子反応管103を用いた比較例では10個の測定に対して合計248分もの検査時間が必要であるのに対し、本発明の遺伝子反応管3を用いた試料では10個の測定に対して61分となり、検査時間が非常に短縮できることがわかった。
なお、本評価において試料および比較例のいずれも蛍光が十分に検出されており、特に本発明の遺伝子反応管3を用いた試料では遺伝子増幅反応が比較例よりも進んでいるのが確認され、遺伝子増幅反応においても本発明の遺伝子反応管3を用いることにより反応時間を短縮できることがわかった。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば形状、材料、組み立て方法に関する種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
本発明の第1の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図である。 図1の遺伝子反応管のA−A’線における断面図である。 本発明の第2の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図である。 図3の遺伝子反応管のB−B’線における断面図である。 本発明の第3の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す断面図である。 図5の遺伝子反応管のC−C’線における断面図である。 本発明の第4の遺伝子反応管の実施の形態の一例を示す側面図である。 図7の遺伝子反応管のD−D’線における断面図である。 本発明の遺伝子検査装置の実施の形態の一例を示すブロック図である。 (a)は遺伝子反応管の断面図、(b)は(a)の遺伝子反応管の蓋体を外した状態での斜面図である。
符号の説明
1,21,31,41:基体
1a,31a:凹部
21a,41a:空洞部
2,22a,22b,32,42:蓋体
3,23,33,43:遺伝子反応管
35,45:窓部材

Claims (7)

  1. 一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有する柱状の基体と、前記凹部を塞ぐように取着される紫外線透過性の蓋体とを具備していることを特徴とする遺伝子反応管。
  2. 内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、該基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、該蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることを特徴とする遺伝子反応管。
  3. 一端面に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液を収容するための凹部を有するとともに、外側面から前記凹部の内側面にかけて貫通孔が形成された柱状の基体と、前記貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、前記凹部を塞ぐように取着される蓋体とを具備しており、前記窓部材および前記蓋体は少なくとも一方が紫外線透過性であることを特徴とする遺伝子反応管。
  4. 外側面から内側面にかけて貫通孔が形成された、内部に遺伝子および試薬を含む遺伝子検査液が注入される筒状の基体と、前記貫通孔を塞ぐように取着された窓部材と、前記基体の両端面に取着される蓋体とを具備しており、前記窓部材および前記蓋体は少なくとも1つが紫外線透過性であることを特徴とする遺伝子反応管。
  5. 前記基体は、ジルコニア質焼結体,アルミナ質焼結体,窒化珪素質焼結体または窒化アルミニウム質焼結体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の遺伝子反応管。
  6. 前記基体は、その外側面および内側面が円筒面とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の遺伝子反応管。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の遺伝子反応管と、紫外線透過性の前記蓋体または紫外線透過性の前記窓部材に紫外線を入射させるための紫外線照射手段と、前記蓋体または前記窓部材から出てきた光を検知するための光検知手段と、前記遺伝子反応管の温度を制御するための温度制御手段とを具備しており、前記温度制御手段により前記遺伝子反応管内の前記遺伝子検査液中の遺伝子を反応させるとともに、前記紫外線照射手段によって紫外線を紫外線透過性の前記蓋体または紫外線透過性の前記窓部材を透過させて前記遺伝子検査液に照射し、前記遺伝子検査液中の前記遺伝子の紫外線との反応により生じて前記蓋体または前記窓部材を透過して出てきた蛍光を前記光検知手段により検知することを特徴とする遺伝子検査装置。
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