JP2005069725A - 粒子径計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サブミクロの粒子の径まで精度よく計測する。
【解決手段】対象粒子を暗視野照明する暗視野照明部と、暗視野照明された対象粒子の像を撮像する撮像部と、撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する演算部とを備える粒子径計測装置。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は粒子計測装置に関し、とくに光学的に粒子を計測する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この発明に関連する技術としては、レーザ光源と、そのレーザ光源から出射されるレーザ光を受けてそのコヒーレンスを低下させて出射するコヒーレンス低下素子と、コヒーレンス低下素子の出射光を輪帯光に変換する輪帯光形成部と、その輪帯光を対象粒子に集光して照射する内面反射ミラーと、照射された対象粒子からの散乱光を輪帯光の内側で受光する対物レンズと、対物レンズを介して前記散乱光を受光するための受光素子と、受光素子によって得られる散乱光の強度から単調増加関数により粒子径を算出する演算部とを備えた装置(例えば、特許文献1参照)や、
粒子懸濁液の流れをシース液で取り囲んで細いあるいは偏平な流れに変換するシースフローセルと、変換された懸濁液流に対して光を照射する光照射手段と、照射された粒子を撮像する撮像手段と、撮像された粒子像を解析する画像解析手段と、表示手段とを備え、画像解析手段は、撮像された各粒子像の面積および周囲長についての粒子データを測定し、その粒子データから粒子の粒径と円形度を算出する算出手段と、粒径による粒度頻度データに基づいてヒストグラムを作成すると共に粒径と円形度とに対応する2つのパラメータによる2次元スキャッタグラムを作成して表示手段にそれぞれ表示する図表作成手段と、撮像された各粒子像を格納する記憶手段と、記憶手段に格納された各粒子像を表示手段に一括表示する粒子像呼出手段とからなる装置(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−121337号公報
【特許文献2】
特開平8−136439号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、血液や尿などに含まれる有形物質、ファインセラミックス、顔料、化粧品用パウダー、トナー、研磨用パウダーのような無機物の粉体、および食品添加物のような有機物の粒体などを精密に分析するために、サブミクロンから数十ナノミクロンの粒径を有する粒子の測定が要望されてきている。しかしながら、従来の装置では、そのような微細な粒子に対する測定精度は、いまだに満足できるものではない。
【0005】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、暗視野照明した粒子を撮像素子で撮像し、撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出することにより、微細粒子を高精度で測定することが可能な粒子測定装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、粒子を暗視野照明する暗視野照明部と、暗視野照明された粒子の像を撮像する撮像部と、撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する演算部とを備える粒子径計測装置を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明における暗視野照明とは、図1に示すように平行な照明光B1の中心部分を絞りR1によって制限して輪帯光B2に変換し、光B2をコンデンサレンズL1によって対象物Pに集光し、かつ、絞りR1の中心遮光の大きさを、対物レンズL2の開口数と同じにする照明である。これによって、対物レンズL2に入る照明光は全く無くなり、対物レンズL2側から見ると、対象物Pが暗闇に明るく浮き上って見える。
【0008】
これに対して、明視野照明とは、図2に示すように平行な照明光B1を、中心に開口を有する絞りR2によって光路径を制限して照明光B3に変換し、照明光B3をコンデンサレンズL1によって対象Pに集光し、かつ、絞りR2の中心開口の大きさを対物レンズL2の開口数と同じにする照明である。これによって、照明光が対物レンズL2の外に出ないので、効果的な照明が行われる。
【0009】
また、この発明の計測対象粒子としては、血液や尿などに含まれる有形物質や、ファインセラミックス、顔料、化粧品用パウダー、トナー、研磨用パウダー、ナノカーボンチューブのような無機物の粉体、および食品添加物のような有機物の粒体などが挙げられる。
【0010】
この発明における撮像部には、CCDカメラを好適に用いることができる。また、演算部は、CPU、ROM、RAMからなるマイクロコンピューターや、パーソナルコンピュータで構成できる。
【0011】
演算部は、所定の粒子径より小さい粒子に対して像の輝度に基づいて粒子径を算出し、所定の粒子径より大きい粒子に対しては像の形態特徴に基づいて粒子径を算出してもよい。また、演算部は像の輝度から単調増加関数により粒子径を算出するようにしてもよい。測定対象粒子を含む懸濁液を流すフローセルをさらに備えてもよい。撮像部が2次元撮像素子を備えてもよい。
【0012】
この発明は、別の観点から、粒子を暗視野照明する暗視野照明部と、暗視野照明された粒子の像を撮像する第1撮像素子と、第1撮像素子により撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する第1演算部と、粒子を明視野照明する明視野照明部と、明視野照明された粒子の像を撮像する第2撮像素子と、第2撮像素子により撮像された像の形態的特徴に基づいて粒子径を算出する第2演算部を備える粒子径計測装置を提供するものである。
【0013】
第1演算部は、所定の粒子径以下の粒子について粒子径を算出し、第2演算部は所定の粒子径より大きい粒子について粒子径を算出するようにしてもよい。
第1演算部は、第1撮像素子が撮像した像の輝度から単調増加関数により粒子径を算出することができる。
第2演算部は第2撮像素子が撮像した像の面積に基づいて粒子径を算出するようにしてもよい。
【0014】
さらに別の観点からこの発明は、粒子を照明するための光源と、その光源から粒子に至る光路中に挿入され光軸およびその近傍を通る特定波長の光を遮断する第1フィルターと、第1フィルターを透過した光と第1フィルター外側を通過した光とで粒子を照明する第1光学手段と、照明された粒子からの光を2つに分ける第2光学手段と、第2光学手段により分けられた一方の光によって粒子を撮像する第1撮像素子と、第2光学手段により分けられた他方の光によって粒子を撮像する第2撮像素子と、第2光学手段と第1撮像素子との間の光路に配置され前記特定波長の光のみを透過させる第2フィルターとを備える粒子径計測装置を提供するものである。
【0015】
フィルターの外側を通る光によって粒子を暗視野照明し、フィルターを通る光によって粒子を明視野照明することが好ましい。
第1撮像素子により撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する第1演算部と、第2撮像素子により撮像された像の形態的特徴に基づいて粒子径を算出する第2演算部を備えてもよい。
【0016】
【実施例】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。これによってこの発明が限定されるものではない。
第1実施例
図3はこの発明による粒子径計測装置の第1実施例を示す構成説明図である。同図に示すように、この実施例の粒子径計測装置は、測定対象粒子を含む懸濁液を紙面に垂直方向に流すフローセル5を設け、それを中心として右側に照明系を、左側に撮像系を備える。
【0017】
右側の照明系は、光源として赤外光と可視光とからなる光を発生するストロボランプ1と、コリメートレンズ2と、赤外光を遮断して可視光を透過させる円板状のフィルター3と、コンデンサーレンズ4を備える。フィルター3は、コリメートレンズ2とコンデンサーレンズ4との間に光軸と同軸に挿入され、光軸とその近傍を通る赤外光を遮断するように配置される。
【0018】
また、左側の撮像系は、対物レンズ6と、コンデンサーレンズ7と、赤外光を反射して可視光を透過させるダイクロイックミラー8と、赤外光のみを透過させるフィルター11と、フィルター11を透過した赤外光を受光する第1カメラ9と、ダイクロイックミラー8を透過した可視光を受光する第2カメラ10を備える。
【0019】
第1および第2カメラ9、10は、いずれもCCDカメラから構成される。第1および第2カメラ9、10から出力される画像信号は、情報処理部13に入力されて処理され、その処理結果が出力部14に出力されるようになっている。
【0020】
また、情報処理部13は、撮像画像を処理する画像処理部15と、第1カメラ9および第2カメラ10による画像データについてそれぞれ演算を行う第1演算部16および第2演算部17を備える。ここで、情報処理部13は、例えば、パーソナルコンピュータから構成され、少なくともCPU、メモリを備える。
【0021】
このような構成における撮像動作について説明する。
まず、測定対象の粒子を含む懸濁液がフローセル5に流されると、所定周期でストロボランプ1が発光する。ストロボランプ1から出射された光B11は、コリメートレンズ2により平行光に変換される。
【0022】
フィルター3は、その平行光のうち、光軸とその近傍を通る赤外光を遮断し可視光B12のみを透過させる。コンデンサーレンズ4は、フィルター3の外側を通る光、つまり赤外光と可視光を含む光B11をフローセル5に集光し、フローセル5に流れる粒子を対物レンズ6に対して暗視野照明する。
【0023】
また、コンデンサーレンズ4はフィルター3を通過した光、つまり可視光B12をフローセル5に集光し、フローセル5を流れる粒子を対物レンズ6に対して明視野照明する。粒子から発生する赤外光と可視光を含む光B13は対物レンズ6を介してコンデンサーレンズ7に入射する。
【0024】
コンデンサーレンズ7から出た光の内、赤外光はダイロイックミラー8に反射され、フィルター11を通って第1カメラ9に入射する。つまり、光B11によって暗視野照明された粒子からの赤外光のみが第1カメラ9に入射する。従って、第1カメラ9は、粒子の暗視野照明画像を撮像する。
【0025】
また、コンデンサーレンズ7から出た光の内、可視光はダイクロイックミラー8を通り、第2カメラ10に入射する。
つまり、光B11の内の可視光により暗視野照明され、かつ、可視光B12により明視野照明された粒子からの可視光が第2カメラ10に入射する。しかしながら、暗視野照明された粒子からの可視光は明視野照明された粒子からの可視光に比べて非常に弱いので、第2カメラ10は粒子の明視野画像を撮像することになる。
【0026】
次に、第1カメラ9により撮像された画像データの処理手順を図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、第1カメラ9で粒子の暗視野照明画像を撮像し、撮像した暗視野照明画像を輝度反転画像に変換し、暗視野照明画像とともに情報処理部13のメモリに格納する(ステップS1)。次に、輝度反転画像の背景(バックグラウンド)補正を行う(ステップS2)。
【0027】
このバックグラウンド補正は、粒子が通過しない時に撮像した暗視野照明画像を輝度反転して得られる画像データを予めメモリに記憶させておき、粒子の撮像画像データ(輝度反転画像データ)と比較演算することによって行うことができる。
次に、粒子像(輝度反転画像)を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理を行う(ステップS3)。具体的には一般に良く知られたラプラシアン強調処理を行う。
【0028】
次に、画像データをある適当なスレシホールドレベルで2値化する(ステップS4)。次に、2値化された粒子像に対してエッジ点かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣り合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する(ステップS5)。
次に、チェインコードを参照しながら粒子像のエッジトレースを行い、各粒子像(輝度反転画像)の総画素数、粒子を構成する各画素の位置情報を算出しメモリに記憶する(ステップS6)。
【0029】
次に、各粒子像の総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上かどうかの判定を行う(ステップS7)。総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上でない粒子については、情報処理部13のメモリに格納された暗視野照明画像を呼び出し、輝度反転画像の各粒子像の位置情報に基づいて、暗視野照明画像の各粒子像を切り出し、情報処理部13のメモリに格納する(ステップS8)。次に、撮像を終了するかどうかの判定を行うステップS9に進む。各粒子像の総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上の場合もステップS9に進む。ステップS9において、撮像が終了しない場合、ステップS1に戻り、撮像が終了する場合、ステップS10に進む。
【0030】
ステップS10では、情報処理部13のメモリから各粒子の暗視野照明画像を呼び出し、輝度反転画像の位置情報に基づいて、粒子画像を構成する各画素の輝度を合計する。具体的には、第1演算部16は、各粒子画像を構成する画素(ピクセル)の輝度b、b・・・bの合計値btを算出する(ステップS6)。
bt=b+b+・・・+b・・・(1)
次に、合計値btと粒子径Dとの関係式
D=f(bt)・・・(2)
を用いて粒子径Dを算出する(ステップS7)。
【0031】
次に、算出した粒子径から、粒度頻度データを作成する(ステップS12)。この粒度頻度データに基づいて、粒度分布の作成を行う(ステップS13)。
【0032】
次に、第2カメラ10により撮像された画像データの処理手順を図5に示すフローチャートを用いて説明する。まず、第2カメラ10で粒子の明視野照明画像を撮像し、撮像した明視野照明画像を情報処理部13のメモリに格納する(ステップS21)。次に、明視野照明画像の背景(バックグラウンド)補正を行う(ステップS22)。
【0033】
このバックグラウンド補正は、粒子が通過しない時に光照射して得られる画像データを予め取り込んでおき、実際の粒子撮像画像データと比較演算することによって行うことができる。次に、粒子像を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理を行う(ステップS23)。具体的には一般に良く強いられたラプラシアン強調処理を行う。
【0034】
次に、画像データをある適当なスレシホールドレベルで2値化する(ステップS24)。次に、2値化された粒子像に対してエッジ点かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣り合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する(ステップS25)。次に、チェインコードを参照しながら粒子像のエッジトレースを行い、各粒子像の総画素数を算出しメモリに記憶する(ステップS26)。
【0035】
次に、各粒子像の総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上かどうかの判定を行う(ステップS27)。総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上の粒子像については、情報処理部13のメモリに格納された総画素数を呼び出し、各粒子像に対応する総画粗相宇を情報処理部13のメモリに格納する(ステップS8)。次に、撮像を終了するかどうかの判定を行うステップS29に進む。各粒子像の総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上でない場合もステップS29に進む。ステップS29において、撮像が終了しない場合、ステップS21に戻り、撮像が終了する場合、ステップS30に進む。
【0036】
ステップS30では、粒子画像を構成する総画素数から粒子径を算出する。
具体的には、第2演算部17は、各粒子画像を構成する画素の総画素数ntから各粒子の投影面積Sを算出する。
S=k・nt (kは定数)・・・(3)
円相当径Dを次式で求める(ステップS30)。
D=2(S/π)1/2・・・(4)
【0037】
次に、算出した粒子径から、粒度頻度データを作成する(ステップS31)。この粒度頻度データに基づいて、粒度分布の作成を行う(ステップS32)。
【0038】
次に、情報処理部13は第1演算部16と第2演算部17から作成された粒度分布を合成し、出力部14に出力する。
【0039】
ここで、暗視野照明による撮像画像において、各粒子画像を構成する画素の輝度から粒子径を算出する式(2)は、照明系の光源1の光強度や、フローセル5の構成および対物レンズ6の倍率などにより影響をうけるので、測定前に予め決定しておく。
【0040】
図6は、粒子径が既知のラテックス粒子(直径0.4〜0.9μm)を含む懸濁液をフローセル5に流し、第1カメラ9で撮像して、ステップS2〜S7に示す手順で求めた粒子径Dと各粒子画像の画素の輝度合計値btとの関係をプロットしたグラフである。
【0041】
図6によれば、式(2)は0.4≦D≦0.9において、単調増加関数である一次式
D=a・(bt)+b(a、bは定数)・・・(5)
で表せることが分かる。
従って、この実施例では、0.4〜0.9μmの範囲の粒子径は第1カメラ9の画像に基づいて算出し、0.9μmより大きい粒子径は第2カメラ10の画像に基づいて算出する。
【0042】
本実施例では、画素数が4ピクセルの場合、粒子径0.9μmに相当するとしたが、光学系及びCCDカメラの高解像度化によって、画素数が4ピクセルの場合であっても相当する粒子径は小さくなり、本実施例においてはさらに小さな粒子の粒子径を求めることが可能である。
【0043】
本実施例では、暗視野照明画像の輝度を反転させ、輝度反転画像を作成し、画像処理を行ったが、暗視野照明画像そのままを用いて画像処理することも可能である。
【0044】
第2実施例
図7はこの発明による粒子径計測装置の第2実施例を示す構成説明図である。この実施例は図3において、フィルター3をフィルター3aに、フィルター11を赤外遮断用フィルター11aに、ダイクロイックミラー8をハーフミラー8aにそれぞれ置換し、ハーフミラー8aと第2カメラ10との間に赤外透過用フィルター12を追加挿入したもので、他の構成要素は、第1実施例と同等である。
なお、フィルター3aは中心部に開口を有するリングの赤外光遮断フィルター、つまり、開口の外側部分で赤外光を遮断して可視光を透過させるフィルター
である。
【0045】
このような構成における撮像動作について説明する。
まず、測定対象の粒子を含む懸濁液がフローセル5に流されると、所定周期でストロボランプ1が発光する。ストロボランプ1から出射された光B11は、コリメートレンズ2により平行光に変換される。コンデンサーレンズ4は、フィルター3の開口の外側部分を通る光、つまり可視光B12をフローセル5に集光し、フローセル5を流れる粒子を対物レンズ6に対して暗視野照明する。
【0046】
また、コンデンサーレンズ4はフィルター3の中心開口を通る光、つまり赤外光と可視光を含む光B11をフローセル5に集光し、フローセル5を流れる粒子を対物レンズ6に対して明視野照明する。粒子から発生する赤外光および可視光を含む光B14は対物レンズ6を介してコンデンサーレンズ7に入射する。
【0047】
コンデンサーレンズ7を出た光のうち半分の光はハーフミラー8aに反射され、赤外光を遮断するフィルター11aを通って第1カメラ9に入射する。つまり、可視光B12によって暗視野照明された粒子からの可視光のみが第1カメラ9に入射する。従って、第1カメラ9は、粒子の暗視野照明画像を撮像する。
【0048】
また、コンデンサーレンズ7から出た光の内、残りの半分の光はハーフミラー8を通過し、フィルター12を介して第2カメラ9に入射する。
つまり、光B11により明視野照明された粒子からの光のうち、赤外光のみが第2カメラ10に入射する。従って、第2カメラ10は、粒子の明視野照明画像を撮像する。
【0049】
第1カメラおよび第2カメラ9、10より撮像された画像の処理手順は、図4に示す通りである。但し、式(2)で示される粒子径Dと画素の輝度合計値btとの関係については、改めて求めておくことが好ましい。
【0050】
第3実施例
図8はこの発明による粒子径計測装置の第3実施例を示す構成説明図である。この実施例は図3において、フィルター3を遮光板3bに置換し、フィルター11、ダイクロイックミラー8、第1カメラ11、可視光B12を削除したもので、他の構成要素は、第1実施例と同等である。
【0051】
このような構成における撮像動作について説明する。まず、測定対象の粒子を含む懸濁液がフローセル5に流されると、所定周期でストロボランプ1が発光する。ストロボランプ1から出射された光B11は、コリメートレンズ2により平行光に変換される。コンデンサーレンズ4は、遮光板3bの開口の外側部分を通る光をフローセル5に集光しフローセル5を流れる粒子を対物レンズ6に対して暗視野照明する。
【0052】
粒子から発生する光B13は対物レンズ6を介してコンデンサーレンズ7に入射する。コンデンサーレンズ7を出た光は、第2カメラ10において粒子の暗視野照明画像として撮像される。
【0053】
次に、第2カメラ10により撮像された画像データの処理手順を説明する。
まず、第2カメラ10で粒子の暗視野照明画像を撮像し、撮像した暗視野照明画像を輝度反転画像に変換し、暗視野照明画像とともに情報処理部13のメモリに格納する。次に、輝度反転画像の背景(バックグラウンド)補正を行う。
【0054】
このバックグラウンド補正は、粒子が通過しない時に撮像した暗視野照明画像を輝度反転して得られる画像データを予めメモリ記憶させておき、粒子の撮像画像データ(輝度反転画像データ)と比較演算することによって行うことができる。次に、粒子像(輝度反転画像)を的確に抽出するための前処理として輪郭強調処理を行う。具体的には一般に良く知られたラプラシアン強調処理を行う。
【0055】
次に、画像データをある適当なスレシホールドレベルで2値化する。次に、2値化された粒子像に対してエッジ点かどうかを判定するとともに、着目しているエッジ点に対して隣り合うエッジ点がどの方向にあるかの情報、すなわちチェインコードを生成する。次に、チェインコードを参照しながら粒子像のエッジトレースを行い、各粒子像(輝度反転画像)の総画素数、粒子を構成する各画素の位置情報を算出しメモリに記憶する。
【0056】
次に、各粒子像の総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上かどうかの判定を行う。総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上でない粒子については、情報処理部13のメモリに格納された暗視野照明画像を呼び出し、輝度反転画像の各粒子像の位置情報に基づいて、暗視野照明画像の各粒子像を切り出し情報処理部13のメモリに格納する。
【0057】
総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上の粒子像については、情報処理部13のメモリに格納された総画素数を呼び出し、各粒子像に対応する総画素数を情報処理部13のメモリに格納する。
【0058】
次に、撮像するかどうかの判定を行う。撮像が終了しない場合、粒子の暗視野照明画像の撮像に戻る。撮像が終了する場合、各粒子像の総画素数が、4ピクセル(粒子径0.9μm)以上でない場合と4ピクセル(粒子径0.9μm)以上の場合でそれぞれ異なる処理に進む。
【0059】
総画素数が4ピクセル(粒子径0.9μm)以上でない粒子像については、情報処理部13のメモリから各粒子の暗視野照明画像を呼び出し、輝度反転画像の各粒子像の位置情報に基づいて、粒子画像を構成する各画素の輝度を合計して粒子径を算出する。具体的には、第1演算部16が前述の式(1)、(2)を用いて粒子径を算出する。
【0060】
次に、算出した粒子径から粒度頻度データを作成し、この粒度頻度データに基づいて粒度分布の作成を行う。
【0061】
総画素数が4服セル(粒子径0.9μm)以上の粒子像については、情報処理部13のメモリから各粒子像に対応する総画素数を呼び出し、粒子画像を構成する総画素数から粒子径を算出する。具体的には、第2演算部17が前述の式(3)、(4)を用いて粒子径を算出する。
【0062】
次に、算出した粒子径から粒度頻度データを作成し、この粒度頻度データに基づいて粒度分布の作成を行う。
【0063】
次に、情報処理部13は第1演算部16と第2演算部17から作成された粒度分布を合成し、出力部14に出力する。
【0064】
【発明の効果】
この発明によれば、暗視野照明によって撮像した粒子像の輝度に基づいて粒子径を算出することにより、サブミクロンの粒子の径まで、精度よく計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る暗視野照明の説明図である。
【図2】この発明に係る明視野照明の説明図である。
【図3】この発明の第1実施例を示す構成説明図である。
【図4】第1実施例の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】画像ピクセル輝度合計値と粒子径の関係を示したグラフである。
【図7】この発明の第3実施れを示す構成説明図である。
【図8】この発明の第3実施例を示す構成説明図である。
【符号の説明】
1 ストロボランプ
2 コリメートレンズ
3 フィルター
4 コンデンサーレンズ
5 フローセル
6 対物レンズ
7 コンデンサーレンズ
8 ダイクロイックミラー
9 第1カメラ
10 第2カメラ
13 情報処理部

Claims (12)

  1. 粒子を暗視野照明する暗視野照明部と、暗視野照明された粒子の像を撮像する撮像部と、撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する演算部とを備える粒子径計測装置。
  2. 演算部が、所定の粒子径より小さい粒子径に対して像の輝度に基づいて粒子径を算出し、所定の粒子径より大きい粒子に対しては像の形態特徴に基づいて粒子径を算出する請求項1記載の粒子径計測装置。
  3. 演算部は像の輝度から単調増加関数により粒子径を算出する請求項1記載の粒子径計測装置。
  4. 粒子を含む懸濁液を流すフローセルをさらに備える請求項1〜3のいずれか1つに記載の粒子径計測装置。
  5. 撮像部が2次元撮像素子を備える請求項1〜4のいずれか1つに記載の粒子径計測装置。
  6. 粒子を暗視野照明する暗視野照明部と、暗視野照明された粒子の像を撮像する第1撮像素子と、第1撮像素子により撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する第1演算部と、粒子を明視野照明する明視野照明部と、明視野照明された粒子の像を撮像する第2撮像素子と、第2撮像素子により撮像された像の形態的特徴に基づいて粒子径を算出する第2演算部を備える粒子径計測装置。
  7. 第1演算部は、所定の粒子径以下の粒子について粒子径を算出し、第2演算部は所定の粒子径より大きい粒子について粒子径を算出する請求項6記載の粒子径計測装置。
  8. 第1演算部は、第1撮像素子が撮像した像の輝度から単調増加関数により粒子径を算出する請求項6または7記載の粒子径計測装置。
  9. 第2演算部は第2撮像素子が撮像した像の面積に基づいて粒子径を算出する請求項6〜8記載のいずれか1つに記載の粒子径計測装置。
  10. 粒子を照明するための光源と、その光源から粒子に至る光路中に挿入され光軸およびその近傍を通る特定波長の光を遮断する第1フィルターと、第1フィルターを透過した光と第1フィルター外側を通過した光とで粒子を照明する第1光学手段と、照明された粒子からの光を2つに分ける第2光学手段と、第2光学手段により分けられた一方の光によって粒子を撮像する第1撮像素子と、第2光学手段により分けられた他方の光によって粒子を撮像する第2撮像素子と、第2光学手段と第1撮像素子との間の光路に配置され前記特定波長の光のみを透過させる第2フィルターとを備える粒子径計測装置。
  11. フィルターの外側を通る光によって粒子を暗視野照明し、フィルターを通る光によって粒子を明視野照明する請求項10記載の粒子径計測装置。
  12. 第1撮像素子により撮像された像の輝度に基づいて粒子径を算出する第1演算部と、第2撮像素子により撮像された像の形態的特徴に基づいて粒子径を算出する第2演算部を備える請求項10または11記載の粒子径計測装置。
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